作品

スズキ  
キャッツ・アイ〜Cats eyes〜
「猫っていえばさ」美希は内緒の話をするかのように身を乗り出して囁いた。「明美、聞いた?『キャッツ』の話」
 美希が言うと、明美も強く頷いた。「うん。アジトがこのあたりにあるんじゃないかって話でしょ?」昨日からどのニュース番組もこの話題をこぞって取り上げていた。
催眠
第1章 「さあ、お前たち。仕事だ。行け」
 命令を受けた眼光の持ち主達は、愛らしく、どこか妖艶な声をあげ、部屋を飛び出していった。
第2章  山奥にある、廃れた洋館。
 扉を開けると奥からレオタードを着た少女達が現れ、「猫のポーズ」で跪いた。
「ご主人様、お帰りなさいませ」
第3章  男は左手で優雅にワインの入ったグラスを傾けた。右手は傍らで男に抱きつくようにしている一人の奴隷猫に伸びている。
「ああ…あぁん…ミャウン…」猫は可愛らしい喘ぎ声を上げながら、男に身を任せる。
第4章  明美は「教育中」の少女達の間を歩いていった。
 黒光りする壁の如く垂直に立てられた板に、少女達は裸で「大」の字に磔にされている。
 虚ろな目はしっかりと、目の前に立つ猫のオブジェを凝視している。
第5章  明美は十数回目の絶頂を迎えた。3時間前の最初の絶頂から全く変わらない興奮が明美を襲う。
「ストップ」
 しかししつけ猫がそう告げると、明美の絶頂はたちまち鎮まっていった。
第6章 ―――この事件には催眠術が絡んでいる。
 これが岸田の立てた仮説であり、今回の岡崎との対決で最も重要な要素となる発言だった。
「信じるんですか、あの話」
第7章  衝撃の事実が二人にもたらされた。
 数日前に失踪した美希の親友の少女、谷咲 明美が昨日、失踪したというのだ。
第8章  ティーチャーは教育部屋の奥にある、膨大な量の冊子や物品が並ぶ戸棚に向かった。
 「教育」を受けた少女の通し番号、仲間入り後の名前と所属する群れ、奴隷猫となる前後の写真から、教育中の自我や記憶の数値の変化、仲間入り後に受けた仕事とその結果など、事細かなデータと、彼女らの教育やしつけの際に必要なアイテムの「一部」がここに詰まっている。
第9章  窓の無い部屋に、得体のしれない音が響いている。
 いたるところにSMに使われるようなアイテムが置かれていた。
第10章  マナミは、完全に失神していた。
 男の精子を口で受け取った瞬間、彼女は催眠で支配されたその意識さえもブツリと途絶え、そのまま正に人形の如く眠りに堕ちた。
第11章  一冊の古い冊子を取り出すと、直紀は一つ息を吐いた。
 これを世に出す時が来るのかもしれない。良い意味でも悪い意味でも。
第12章 「あれ?わたし、どうして仕事してるの?」
「催眠が解けたようですね」直紀が冷静に言った。
「さいみん・・・?」
第13章 「大学院に進まないって、本当かよ」
 彼は清々しい笑みを浮かべて頷いた。
「もう、行く必要はなくなったんだ」


 

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