夢の続き


 

 

第二話

 ……何かの音で、はっと目を覚ました。

 あわてて周りを見渡す。

 自分の、部屋だ。
 制服のまま、ベッドに横になっていたらしい。

 それが当たり前と思いつつも、どこか『ほっ』とする自分を感じる。

 それほど、リアルな夢だった。
 今でもその感触が、身体に残っているようだ。

 いつも夢にでてくる洋館で、僕はセンパイと…………

 はっと気づき、あわてて自分を確認する。

 ……大丈夫。下着は汚れていなかった。
 いくら何でも、夢精は恥ずかしいし……。

 やっと落ち着いて周囲に意識を向けると、ドアの向こうからカリカリと扉をひっかく音と、「ニャー、ニャー……」という小さな鳴き声が聞こえる。
 飼い猫のカルが、何か催促しているらしい。

 時計を見ると、いつも起きる時間の1時間ほど前。空はだいぶ明るくなっている。

 昨日、家に帰り、そのままつぶれてしまった。
 とすれば、カルはその間放っておかれたわけだ。メシをあげた記憶もない。

「この時間に起こされても、文句は言えないか……」

 そうつぶやいて、ドアを開けてやると、黒い毛並みをしたカルが部屋に入ってきて、にゃーにゃーと鳴いた。
 どうやら、おなかがすいてるらしい。

「わかったよ。
 じゃあ、台所に行こうか」

 そう言って移動する僕について、トテトテと小さな足音がついてきた。
 時々、少し足音のリズムが乱れるのは、こいつの脚のうち一本が不自由なせいだ。

 台所のエサ用の容器に、キャットフードを入れてやる。
 よほどお腹が空いていたのだろうか。カルは夢中で食べ始めた。


 カルが家に来たのは、一昨年の冬だった。

 当時中学3年であった僕が道を歩いていると、なんだか泣きそうな顔をした女の子と目があった。
 彼女は道ばたにしゃがみ込んでおり、その足下には、なんだか黒い毛の固まりみたいのが落ちてた。

 それが、カルだった。

 その、まだあまり大きくない黒い猫は、近づく僕にろくに反応もせずに、寒さに震えていた。
 その右後ろ脚は、野良犬にでもかまれたのだろうか、中途半端に固まった血がこびりついていた。

 その脇にしゃがみ込んだ少女は、僕と同じ年くらいに見えた。
 眼鏡をかけ、髪を後ろで結わえたその娘は、そんな猫を見ながらもどうして良いのか分からず、かといって立ち去るわけにも行かずといった感じで、ただ泣きそうな顔をしてそいつを見ていた。

 そう、偶々(たまたま)、目が合ってしまったのだ。

 そして偶々、僕の財布の中には、先ほど遊びに行ってきた祖父の家でもらった、多めの小遣いが入っていた。
 そして、さらに偶々僕の家は一戸建てで、しかも偶々僕の家族は動物嫌いとかじゃなく、おまけに偶々………。

「はぁ……」

 僕はその猫を抱え上げた。
 ケガと飢えと、そして寒さのせいだろうか。見知らぬ人間にさわられても、そいつは逃げるそぶりすら見せられないようだった。

 女の子はそんな僕を見上げ何か言いたそうだったが、それは放っておいた。

 そしてそのまま、動物病院に向かった。


「お前も大きくなったよなあ」

 そうカルに声をかけると、やつは顔を上げ、『ニャアー』と鳴いた。




 放課後、廊下で見知った背中を見つけた。
 あの真っ直ぐな黒い髪は、由香里…っじゃない、高嶋センパイだ。

 危ないところだった。今朝の夢に引きずられて、変になれなれしいやつ、と思われるところだった。

「高嶋センパイ!」
 声をかける。

「え?」とこちらを向くセンパイ。

 その顔が、ビクッと怯えるように引きつるのを感じた。

「……センパイ?」
 ……どうしたんだろうか。

 だけどそんな表情は、ほんの一瞬のものだった。
 次の瞬間には、いつもの柔らかな、それでいてどこか凛とした笑顔を浮かべる。

「あ、ごめんね、なんでもない。
 ──こんにちは。どうしたの、倉田くん?」

「あ、いえ。センパイの背中を見かけたから、挨拶をしただけですけど……。
 なにか、あったんですか?」
 少し心配して、訊ねる。

「え? ううん、ほんとになんでもないの。」
 そう言いながらも、なぜか僕から目をそらすように、身を返した。

「ごめんね。今これから、合気道部の方が忙しくて……」

「え? ああ、大丈夫ですよ。とくに用事があった訳じゃあないんです。
 忙しいところ、すみませんでした」

 僕がそう言い終えるのを待つか待たないか、そのぐらいでセンパイは早足に歩み去ってしまった。

"気のせいかな?"
 むこうを向いたとき、少しだけ見えた頬が、なんだか紅かったように思えた。

「はあ。まあ、じゃあ帰るかな」

 そうつぶやいて、なにか視線を感じた。
 後ろを見ると、教室の扉のところから女子生徒がこちらを見ていた。
 ショートカットに、スレンダーという言葉がぴったりのシルエット。
 ──草加部だ。

「なに? 草加部さん」
 答えも期待せずに、一応話しかける。
 しかしその予想に反して、彼女は話しかけてきた。

「今の人、確か合気道部の部長さんだよね」

「……よく知ってるね」

 草加部は肩をすくめて見せた。
「綺麗だって聞いたことあるもん」

 まあ確かにセンパイは、男子生徒の間で校内best10に入るとの評価を受けているが。
 もっとも、それを言い出したら草加部もなんだけど……ね。

「学年が違うのに、なんで知ってるの?」
 今日の草加部は、よく話す。もっとも、かなりぶっきらぼうだが。

「部活が一緒だからね。
 天文部。センパイは、兼部してるんだ」

「ふーん……」

 それだけ言って、草加部は歩き去ろうとする。

「あ、おい」

 ……僕の呼びかけは、やっぱり無視されてしまった…………。






 夢を見ている。

 昨日からは少し違ってきた、翠色の夢。

 今日僕は、ベッドにはいるときに、例のペンダントをしたまま眠った。
 そしてやっぱり。夢の中でも、僕はそれを身につけていた。

 門の鍵を開け、中に入る。

 噴水を回り込み、洋館の前に着き、扉を開ける。

 中には昨日と全く同じ風景が広がっていた。
 ただ……

「あれ。今日は誰もいないんだ」

 広い玄関、あるいはロビーと言った方がしっくりくるだろうか、には誰の姿もなかった。

「期待、してたんだけどなあ」──むなしく、呟いてみる。

 しかしそれで何かが変わるわけでもない。
 残念な気はするが、それとは別にこの館の中をどこに何があるのか調べておかなくてはならないとも思う。

 今日は、そんな風にして過ごそう。

 とりあえず、玄関ロビーから2階へと上がる。
 そしてまずは一番端から、と廊下を移動している途中で、

「ん?」

 窓の外を見たとき、探索は中断となった。



「この辺のはずだけど……」

 玄関から外にでて、館の脇に回る。
 庭に植えられた木々の間を抜けてゆくが、視界が通りづらく、思ったよりも歩きにくい。
 もっともその分、日差しが遮られて涼しくはあるが……。

 ──と、小さく、猫の鳴き声が聞こえた。そちらの方に歩いていくと、目的地に着いた。

 そこはちょっとした広場があり、そこに簡単なテーブルといくつかの椅子が置かれていた。
 そしてその椅子の一つに座る、黒い人影。
 彼女の膝の上には、これまた黒っぽい毛並みの猫が乗っており、気持ちよさそうに撫でられている。

「センパイ、居たんだ」
 声をかける。

 ビクッと、昨日の夢と同じ黒いメイド姿の由香里センパイが立ち上がり、怯えたようにこっちを見た。

 そんなセンパイの膝から追い落とされた猫は、『ニャー』と不満そうに一声鳴き、後ろ足をちょっと引きずりながら、僕の方にやってきた。

 僕はそれを抱き上げて、のどをくすぐってやる。
「やあ、カル。お前まで居たのか」

『ニャー』カルは嬉しそうに鳴く。

「倉田くん……」

「こんにちは、センパイ。
 またここで会えて、嬉しいよ」

「また、って……。
 どうして? またこの夢なの!?」

「そうだよ。僕の、夢だよ」

「そんな……」

 ──突然、彼女は後ろを向いて僕から逃げ出そうとした。

「あ、まってよ!」

 あわてて僕は、彼女の右手を取り、止めようと──

"ズダッ──!"

 ……一瞬、何が起こったのか分からなかった。
 突然背中に痛みと衝撃が走り、肺の中の空気が吐き出された。
 目の前が、真っ白になって、まともに見えない。

「が、あっ……!」

 一瞬遅れてから、自分の身に何が起こったのかに気がついた。
 センパイは合気道部の部長。僕は彼女に投げ飛ばされ、背中から地面にたたき落とされたのだ。

"ジャリッ"と地面を蹴る足音が聞こえた。
 センパイだ。センパイが逃げようとしている……。

 僕の心を突発的な怒りが支配する。
 衝撃のせいで、肺のなかにはまともに空気など残っていなかった。
 しかし、そんなことは関係なかった。僕は怒りのままにそのわずかな空気を押し出し、可能な限り大きく叫んだ。

「っ、と……まれ、動くなっっ…………!」

 実際には、ほとんど小さな声しか出すことはできなかっただろう。
 それでも、彼女の耳には届いたらしい。
 足音が止まり、代わりに怯えたような荒い呼吸音が聞こえてくる。

 でもまだ僕には、そちらにあまり注意を向けるような余裕は無かった。
 必死で痛みに耐え、肺の中に空気を吸い込もうとあえぐ。

 ……どの程度そうしていたのだろうか。
 やっと呼吸が楽になり、痛みも我慢できる程度のものに落ち着いて、僕はゆっくりと身を起こした。

 周りを見渡すと、そう離れていない場所で、真っ青な顔をして立ちつくすセンパイと目があった。

「ひっ──!」

 センパイの口から、悲鳴にも似た声が漏れる。
 僕は怯えるセンパイに、わざとゆっくりと近づいた。

「センパイ、強いね」
 センパイの恐怖心を煽るように、わざとそんなことを言う。

「だっ、だって、あれは、倉田くんが……」

「黙れ」

 センパイの口から、声が出なくなる。

 気のせいだろうか。
 さっきから、僕の中で、見知らぬ僕が頭をもたげ始めているような気がする。

「ホントは、今日は優しく二人で楽しみたかったんだけど……」

 ……いや気のせいじゃあない。
 さっきセンパイに投げられたときの、あの爆発するような怒り。
 あれと一緒に、何かが僕の中から顔を出した。

 右手を伸ばし、センパイの胸の膨らみを思い切りわしづかみにする。

「っっっ……!」
 痛いのだろうか? 必死に身体を縮こまらせようとしている。

 僕自身、自分の中にこんな残酷な自分が居るなんて、初めて知った。
 でも、今はそれが心地よく感じる。

 そして、僕はそんな自分に酔うように、続けた。

「やっぱりやめたよ」

 センパイは絶望したような表情で、僕を見た。



「せっかくだからね、昨日できなかったことを、順番にやっていこうか」

 センパイをさっきの場所まで連れ戻る。
 僕は手近な椅子に座り、センパイをそのそばに立たせた。

「じゃあまず、服を脱いでもらおうかな」

 センパイの手が首の後ろに回り、その白いエプロンを止めたひもをほどく。
 パサッと地面に落ちる、白いエプロン。
 続いて、手は止まることなく、ブラウスに付いたボタンをひとつ、またひとつとはずしていった。

 ぎゅっと目を閉じ、唇を噛みしめ耐える、その表情。
 新入生だった頃からずっと憧れてきた彼女の綺麗な顔がそんな風に羞恥にゆがむのは、服を脱ぐという行為以上に僕を興奮させた。

 黒いブラウスを脱ぐと、その下から白い下着が現れた。
 何でそうなっているのかはよく分からないが、白と黒のコントラストにこだわったデザインらしい。

 でも、それは正しいのかもしれない、──そう思う。

 木漏れ日の下で、木々の緑の中、生まれたままの姿になった彼女。
 その彼女の美しさを一番際だたせているのは、彼女のその美しい艶やかな黒髪と、きめ細やかな白い肌のコントラストなのかもしれないのだから……。


「こんな庭先で、しかもお日様の下で裸になってるなんて、由香里センパイは変態みたいだね」
 からかうように、そう言ってやる。

 センパイは顔を背けながら、必死で耐えている。

 センパイの身体は、本当に綺麗だった。

 小さな頭に、細く長い首筋。少しなで肩気味の、肩。
 初めてみるその乳房は女性らしい膨らみを主張しているが、かといって全体のすらりとした印象を壊すほどではない。その形のいい膨らみの上には、小さく可愛らしい乳首が見に焼き付く。
 ぜい肉を感じさせないウエストから臀部、ほっそりと長い足へと、そのシルエットは柔らかな、綺麗な曲線のラインを描く。
 そして、慎ましやかな、股間の陰り。

 その全てが、ただ、綺麗だった。

“ごくり……っ”
 思わず、つばを飲み込んでから、その音を聞かれなかったかと、少し慌てる。
 ……大丈夫そうだ。
 センパイは、ただ、顔を真っ赤に染めうつむいている。

 すぐにでも椅子から立ち上がり、抱きつきたい。あの柔らかそうな身体を、思うがままに触りたい。
 ……そんな衝動を、無理矢理押さえつける。

 そう、またさっきみたいなことが起こっては絶対にいけない。
 今日は、まずセンパイにしっかりとした躾(しつけ)をしなければならない。

「センパイ、こっちに来てよ」
 椅子に座ったまま、命令する。

 ふらふらを歩み寄ってくるセンパイ。
 その彼女を、僕の足下にひざまずかせる。

 センパイは、何かを訴えるように、僕の顔を見上げる。
 そんな全裸の彼女に軽くほほえんで、次の命令を出した。

「センパイ。僕のを出してよ。
 さっきから、きつくって」

“え……?” ──と、表情だけで問い返してくる。

「だから、ズボンとトランクスの中から、僕のモノを出して、って言ってるんだ。
 センパイの裸を見てたら、興奮しちゃって」

 センパイはその時初めて僕の股間を見、はっと息をもらした。
 慌てて視線を逸らそうとするが、手は勝手に動く。

 たどたどしい手つきで僕のベルトをはずし、ジッパーを下げる。
 そしていきり立った僕のモノが引っかかるのに苦労しながら、センパイはその細い指で僕のペニスを解放してくれた。

 僕の興奮が、センパイの目の前にさらされる。

「ああっ……」

 センパイは、怯えるようにそれを見た。

「センパイ、僕の目を見て」

 センパイの大きめの瞳が、僕の顔に向けられる

 センパイの大きめの瞳が、僕の顔に向けられる。僕の脚の間に全裸でひざまずく年上の彼女は、どうにかなってしまうくらい魅力的だった。
 その彼女に、言い含めるように話す。

「いい、由香里センパイ。今からセンパイは、僕の『モノ』だからね。
 僕に対して、さっきみたいな反抗は、許されない。
 この館にいる限り、僕には絶対服従だからね」

「……っ」

「ここでは、僕がセンパイの主(あるじ)だ。
 センパイは、僕の従者だ。
 ただそのときそのとき、命令を聞けば良いんじゃない。
 僕が気持ちよく過ごせるよう、いつも気を配り、行動しなくちゃいけない。
 ──いいね」

 センパイの身体が、さっきより大きく、ぶるぶると震えている。
 それにかまわず続ける。

「言葉を話すのは、許してあげる。
 でも、余計なことや、僕に反抗するような発言は許さないよ。
 よく覚えておいてね

 ……さあ、
 理解できたのなら、返事をするんだ」

「………………はい」

 僕は彼女ににっこりと微笑みかけてやり、手を伸ばし、彼女の髪を撫でてやった。
 そうしながら、次の命令に移る。

「由香里センパイはイイ子だね。
 よし、そうしたら、次に移ろうか。
 まずは、これをどうにかしないとね」

 股間のいきり立ったモノを示す。
 僕のそれは、もう我慢の限界に来ていた。

「さあ、センパイ。従順の証に、これをその口でしゃぶってもらうよ。
 僕のために精一杯がんばるんだからね」

 その命令に従い、彼女の細くて白い指が、僕のペニスに伸ばされる。
 竿の部分に触れた彼女の指のひんやりした感触に、思わず背筋が震えた。

「ああ、センパイ。せっかくだからこれも覚えておいてね。
 これからは、僕のに奉仕するときは、必ずひとこと断りをいれてね。
 そうだな──『失礼します。ご奉仕させていただきます』──、かな。
 ──言って」

 センパイの目に、涙の水滴がおおきくたまっていく。
 歯を食いしばった唇が、ふるふると震えている。

 そして……、

「し、つれい、……します。
 ご、ご奉仕させて、いただき……ます」

 センパイの目から、涙がこぼれ落ちた………………。


“ぺちょ……”

 僕の尿道孔のあたりに、センパイの舌が押しつけられる。
 ぞくっ……と、快感が背筋を通りすぎるが、昨日の経験を生かし、腰が引けようとしてしまうのをなんとか耐える。

“ぺちゃっ……、ぺちょ……”

 いやらしい湿った音が耳に届く。

 センパイの舌が、亀頭のあたりを、何度も舐めあげた。
 湿っていて、それでいて微妙なざらつきが、僕の敏感な部分を刺激する。

 ……だけど、それだけだ。

「……センパイ、舐めるのはもういいから、口にくわえてよ」

 センパイは、その言葉の通りに動く。
 僕のペニスをくわえる。

“くちょっ……”

 僕のモノ全体が、熱いセンパイの体温にくるまれる。
 サオの下側を、センパイの舌が微妙に動きながら、刺激を伝えてくる。

 しかし、センパイは、それ以上のことをしようとはしない。

 昨日は初めてで、しかも緊張しまくっていたせいで、それだけの刺激でもすぐにイってしまいそうだった。
 でも、多少なりと余裕が出てきた今は、それだけではいくら何でも物足りない。

 苦しいのか、「くぅ、うぅ……」と荒く漏れている鼻息や、肌に書いている汗なんかを見る限りでは、言われたとおりに一生懸命やってはいるみたいなんだけど……。

「センパイ、ちょっと聞きたいんだけど」

 センパイは、口をすぼめて僕のモノをくわえたまま、上目づかいに僕を見る。
 それは、凄く刺激的で、魅力的な表情だった。

 おもわず何を言いたかったか、忘れるところだった。
 慌てて先輩に尋ねる。

「センパイ、こういうの、初めて?
 って言うか、昨日は確認できなかったんだけど、センパイは処女だったの?」

 センパイは、真っ赤になって顔を伏せる。
 でも、僕は容赦しない。躾は、はじめが大切だって言うし。

「センパイ、さっき言ったろう。僕には絶対服従だって。
 きちんと、僕の目を見ながら答えるんだ」

 センパイは、再び上目遣いに僕を見上げて、いったん肉棒から口を離して、たどたどしく答えた。

「はい……。私は、昨日が初めてでした……」

「そう──」
 僕はその答えに、満足した。

 夢の中で初めてを奪ったからって、そんなことが意味を持つのかは分からない。
 それでも、今目の前にいるセンパイが、ほかの男に汚されていない、僕のためだけの存在であるということが確認でき、嬉しかった。

「そうか。
 それじゃあ、いろいろ教えてあげないと分からないよね」

「はい……」

「じゃあ、まずは舌を出して、僕のを舐めるんだ」

 センパイは細い首を伸ばして、赤い可愛らしい舌を突き出す。

「そう、まずは全体を、アイスキャンディーを舐めるみたいに何度も舐めあげるんだ。
 うん、そう……。
 あとは、ハーモニカくわえるみたいに横にくわえて舌と唇で舐めたり、先の方のくびれてるところを舌先で舐めたり……、

 ううっ……、そう。
 気持ちいいよ、由香里センパイ」

“ぺちゃ、ぺちゃっ…………”

 センパイは、僕に言われたとおりに、舌を動かす。
 何度も何度も、一生懸命。

「そうしたら、そろそろ咥えてもらおうかな。
 はじめは先の方だけ咥えて、吸いながら、舌で亀頭の部分を舐めるんだ」

 僕はアダルト雑誌とかで仕入れた知識を、夢中になって口にした。
 そして実際に、そうしてもらうのは、信じられないほどの快楽を僕にもたらした。

“ぬちゃっ…、ぬちゅっっ”

 口では偉そうに命令しながらも、必死で射精を我慢する僕の目に、僕を咥えるセンパイの口元のさらに下、柔らかそうに揺れる乳房が目に付いた。
 手を伸ばして、それに触れる。

「……んっっ!」

 センパイの身体が緊張し、

「痛てっ!」
 センパイの歯が、僕の敏感な部分に強く当たった。
 思わずセンパイを睨む。

「…………っ」

 僕のモノを咥えたまま動きを止め、不安そうに僕の顔を仰ぎ見るセンパイ。
 その表情が、さらに僕の嗜虐心を煽った。

「甘噛みならともかく、そんなに強く歯を当てたりしたら痛いじゃないか、センパイ」
 そう言いながら、僕はセンパイの乳首を探り当て、

「ううっ……」

 親指と人差し指でもって、強くつまんだ。

「んんんっっっっ!!」

「そう、痛い? でも僕も同じように痛かったんだよ、センパイ。
 分かったかい?」

 彼女は必死の形相で、何度もうなずく。
 それを見て僕は、手をゆるめてやった。

「じゃあ、これからは気をつけてね。
 またやったら、お仕置きだよ」

 再び舌の動きを再開しながら、涙を流し、何度もうなずくセンパイ。
 僕はそんなセンパイを満足しながら見やりつつ、乳房に伸ばした手を動かし始めた。

 柔らかな、乳房の感触。
 想像してたよりもずっと柔らかく、それでいて指を押し返すように張りがある、不思議な心地よい手触り。
 僕が指を動かすたびに、『くうっ、ふんっ……!』とセンパイの鼻から息が漏れ、僕の根本を刺激する。

 気分が高まり、どうにも我慢ができなくなった。

「センパイ、我慢できないや。ごめんね」

 そう一声書けて、僕はセンパイの頭を両手でつかんだ。

「センパイ、強く吸って。
 歯をたてないように、気をつけるんだよ」

「んんっ……?」

 彼女が不安そうにあげた声を無視して、

「ぐぅっっ…!? げあっ……っ!!」

 彼女の顔に向けて、欲望のままに腰を突き上げ、揺すり始める。
 両手でしっかりと彼女の頭を押さえ、逃げられないようにし、夢中で自分の股間に押しつける。

「んんっ、ごほっっ……っ!!」

 センパイの口から唾液と空気とが何度も押し出され、卑わいな音を立てる。

 ペニスの裏側に懸命に押し当てられた、舌の動き。
 肉棒と唇とがこすれる感覚。
 亀頭の先端が、のどの奥に当たる感触。
 時々わずかに当たる歯の感覚でさえ、今の僕にはどうしようもないほど気持ちがいい。

「センパイ、いくよ! もうすぐ出すからね!!」

 そう声をかけ、夢中で腰を振り、肉棒をのどの奥に突きまくる。

 …………脳髄がどうにかなってしまうような、原始的な……快感!!

「センパイ、由香里センパイ!
 いくからねっ……、全部、飲んでっ!!」

「けほっ! んんんっ……っ!!」

「ん、ああぁ…………っ!!」

“どくっ……、どくっっ……”

 体の中に響いている音は、堰を切りあふれ出した射精の音か、それとも限界まで高まった鼓動の音か……。
 力の限りセンパイの頭をかき抱き、その喉の一番奥に、命の断片を注ぎ込む。

「んんんっっ……!  げぇっ、げはぁ……っ!!」

 センパイの、苦しそうな声。
 それをどこか遠くの出来事のように感じながら、僕は全身を脱力し、椅子に座り込んだ。


「はあっ、はあっ………っ! ぜはぁ……っ!!」
 身体が、懸命に酸素を欲しがっている。

 そんな苦しみさえ、今の僕には快感としか感じられなかった。

 のろのろと頭を上げると、センパイは相変わらず僕の足下にうずくまり、『けほっ、けほっ!』と懸命に咳き込んでいる。
 その足下の青草の上には、吐き出された唾液と精子の混じり合った液体が飛び散っている。

 無理もない、あれだけのどの奥を突かれて、しかも僕自身さえ呆れるほどの量の精子を口の中に出されたのだ。
 初めてのことで、全部は飲みきれなかったのだろう。

 でも……

「センパイ、全部飲んでって言ったのに」

 由香里センパイの白い背中が、緊張する。

 僕はかがみ込んでセンパイの顔に手を伸ばし、顔を上げさせた。
 汗と涙、鼻水と唾液、そして僕の出したものでぐちゃぐちゃになったセンパイの顔。
 それはとても淫らで、惨めで、僕に暗い興奮をもたらした。

 そんな彼女の顔をじっと見つめつつ、噛んで含めるように言い聞かせる。

「今日は初めてだし、外だから許してあげるけど。今度こぼしたら、ぜんぶ舌で舐めとらせるからね。
 わかった?」

 センパイの目から、涙がこぼれ続ける。

「ぅう……、はい…………。
 申し訳ありませんで……した」

 その答えに満足した僕は、先輩に尋ねた。

「それで、どうだった?
 どんな味がした、僕の精液?」

「……わからない…」

 かちん、とくる。
「センパイ、言ったはずだよ。絶対服従だって。
 それとも、まだ僕に反抗するの?」

「違う……、そうじゃないの……っ!
 本当に、わからないの。苦くて、なんか、変な味……」

「そう……。
 だけど、そのうちきっとおいしく感じるようになるよ」

 僕は静かに言った。

「だって、由香里センパイには、これからこれなしではいられなくなってもらうんだからね……」

「あ……」 ため息のような声を漏らす、センパイ。

「これから、いっぱい気持ちよくしてあげる。
 だからセンパイも、次までに僕を喜ばせるやり方を、いろいろ勉強しておくんだよ。
 その手の本を読むとか、友達にやり方を聞くとか。今はインターネットとかにもそういうHPがあるしね。
 ──いいね?」

「………………はい…」

「まあ、それもこの次までの宿題だね。
 今日は、まあいいや。僕に任せてよ」

 そんな適当なことを言いたいだけ言って、僕は自分のものが再び興奮してきたことを自覚し、次の行為に移ることにした。

「さあ、立って。
 あそこの木に両手をついて、お尻を突き出すんだ」

「ああ……」

 センパイはふらつきながらも立ち上がり、ゆっくりと歩く。
 そして木のところまでいくと、言われたとおりに両手をその木につき、軽く脚を開いて、お尻を突き出すような格好をとった。

 その格好のおかげで、センパイの恥ずかしい部分が丸見えとなる。
 昨日の行為のせいだろうか、センパイのその部分は、昨日と比べるとほんの少し腫れているように見えた。

 僕はその部分に手を伸ばし、さわさわと恥毛の感触を楽しみながら言った。

「センパイ。さわってあげるから、感じて、気持ちよくなるんだよ。
 入れる前に、よく濡らしておかないとね」

 センパイの腰が、ビクッと動いた。

「あ…あぁ……っ」
 唇から、声が漏れる。

 指先に、『ぬちゃり……』とした感触……。
 彼女の内股が、ぶるぶると震えているのを感じる。

「そう、いっぱい感じてね、センパイ」

 そんな風に声をかけたとき、僕は視界の隅になにか動くものを感じた。
 そちらの方を向き、それを確認する。

「ねえ、センパイ。ちょっと、右の方を見てごらん」

 センパイは首を曲げ、僕の指し示した方を見る。
 そして、たぶんその、すぐそこの木の根本に座り込んでいる黒い影に気がついたのだろう。彼女の身体が、ブルルッと震えた。

 僕は、センパイの耳元でささやく。

「ほら、センパイ。カルの奴が、じっとこっちを見てるよ。
 あいつもオスだからね。もしかしたら、いやらしいセンパイを見て、興奮してるのかなあ」

「ああぁ…。
 ……いや…、いやぁ……っ」

 彼女は頼りなげに、首を左右に振る。

 でも、そんな彼女の粘膜はさらに粘液を分泌し、もうそのぬるぬるする液体は彼女の内股を伝わり、ふくらはぎの方まで流れていた。

「もう少し、お尻を下げて……。
 ……そう」

 僕のモノを入れやすい高さに、お尻の高さを調節させる。

「いい、センパイ、入れるよ?
 僕のこれで、センパイはとっても感じるんだ。
 いままで想像したこともないほど、気持ちよくなる。
 何度でも、イっていいからね。

 …そしてセンパイは、このさきその快楽なしではいられなくなるんだ──…」

 グッと、僕は自分のものを、ちからいっぱい先輩の中に突き入れた。
 熱い肉の壁を無理矢理押し広げながら、腰を進める。

「あああぁぁっっ………………っっっっ!!」

 センパイの喉から絞り出される、悲鳴。
 その悲鳴は、絶望と、痛みと、羞恥と、悲しみと……、

…そしてなにより、それらを遙かに上回る、どうしようもない肉の快楽により放たれる叫びだった。


「センパイの中、気持ちいいよ。
 熱くて、きつくって、僕のを締め上げてる」

 いちばん根本まで押し込み、一息つく。

 いったん入ってしまうと、入れるときの抵抗が嘘だったように、センパイの中はまるで包み込むように僕のモノを締め付けてくる。
 粘膜の壁が微妙な収縮を繰り返し、絶えず僕のモノを刺激する。ただ入れているだけでも、こんなにも気持ちがいい。

「センパイ、わかる?
 センパイのが、僕のをギュッってつかんでる」

「ああ……ぁ」

「動かなくても、キュッキュッって締め付けてくる。
 センパイも、僕のを感じてくれてるんだね?」

「ううぅ……、いやぁ…
 …………ひっっ!?」

 センパイの口から、可愛らしい悲鳴が漏れた。
 僕が後ろから手を回して、彼女の胸の膨らみを柔らかく揉みあげたのだ。

「あっ、ああっっっ!」

 ゆっくりと、指を動かす。
 …ゆっくりと、しずかに……

 さっき一度出したせいだろうか、僕の心は、妙に落ち着いていた。
 決して性急には動かず、ただじんわりとわき起こってくる快感に身をゆだねる。

「はあっ、はあっ、……んんっ」

 そんな僕に合わせて、センパイも高まっているのがわかる。
 彼女の、激しい鼓動が聞こえる。
 二人がつながった場所から、じんわりと愛液が足を伝わって滑る。
 彼女の荒い息継ぎや、小さな身体のふるえが、徐々に深いものへと変わっていく。

 ……ふと、脇を見る。
 ああ、あいつ、まだそこに居るんだ。

「見てごらん、センパイ。カルの奴、あそこで僕らをじっと見てるよ。
 ──センパイ、あいつに見られてるんだ」

 耳元で、そうささやく。

「──……! いや、ぁっ……っ!?」

 ──そのとたん、

「あっ? んんっ──っっぅ!?」

 センパイの身体がひときわ大きくぶるぶると震え、

 ──かくん、

 と身体から力が抜けた。

 木についた手で身体を支えることが出来ずに、そのままずるずると草の上に崩れ落ちてしまう。

「はあっ、はあっ、はあ……」

 肩で、荒い息をつく。
 全身を、光る汗が流れている。

「……センパイ、もしかしてイッちゃったの?」

 少し驚いてそう訊くと、

「ううぅ……、いやぁ……っ」

 センパイは、疲れ果てたような声で、そんなよくわからないつぶやきを漏らした。

「……は、ははっ。そうか。
 センパイ、イっちゃったんだ。
 そう、そんなによかったの?
 ただ入れられただけで、口から精液垂らしながら、猫に見られて興奮してイっちゃったんだ。
 ……ははっ、とんだ変態さんだね。由香里センパイは」

 暗い愉悦が、僕を突き動かす。
 その衝動のままに、僕は彼女を貶(おとし)め、恥辱を与える。

「うぅ…、ぁぁ……っっっ」

 それに反論もせずに、ただ嗚咽するセンパイ。
 でも、僕の欲望はまだ満足されてはいなかった。

「っあぁっ……っ!?」

 彼女のことになど何の頓着もせず、腰を動かし始める。
 両手でがっちりと腰をつかみ、入ったままだった僕のモノを大きく揺する。

「お願い、ねえ……、わたしっ、…ま、だ………っ!」

 そんなセンパイの悲鳴を無視し、ただ彼女を突き上げる。

「んんっ、…はあっ……、はあぁ………っっ!!」

 彼女の口から漏れる、声。
 そしてそれは、間違いようのない、快楽のあえぎ。

「くぅぅ……、はぁっ、はぁっ!」

 それは耳に心地よい、僕の快楽のために存在する、調(しら)べ。

「センパイ、ダメだよ、自分だけ気持ちよくなって、それで終わりじゃ。
 僕は、まだ終わってないんだ。
 今度は、一緒に気持ちよくなろうよ」

「はぁ、はぁ……、んん──…っ!!」

 もはや、僕の言うことが聞こえているのかどうかも分からない。
 ただ、そのとき、僕は自分の快楽に、何か変化が起こったのに気がついた。

「?」

 気のせいでは、なかった。
 快楽を生み出すための、動き。
 いまでは、それを貪欲に求めているのは、僕一人では無くなっていた。

「うぅ……っ、センパイっ!?」

 そう、意識的にかどうかは分からない。
 それでも、今、彼女の腰が小さいながらも懸命に、僕とともにさらなる快楽を生み出す為に、淫らに動いていた。

「ああ……、センパイ、由香里センパイ。
 センパイの腰、動いてるよ?
 気持ち、いいんだね?」

 彼女は答えない。
 ただ力無く首を振り、……でも快楽を求めるその動きは、さっきまでよりも確かなものになって僕を刺激した。

「はあっ、はあっ、センパイ。
 僕も、気持ち…、いいよ。
 ねえ、一緒に……、今度は、一緒にいこう!」

 夢中になって、腰を動かす。
 僕のモノが彼女の動きに助けられ、彼女の肉をかき分け、こすりあげ、蹂躙する。

 腰の中心から背骨を通り、ただ快楽だけが僕の脳を支配し、突き動かす。

 ──そして、

「う、あぁっっ……っ!!」
「あっ、あっ、あっ……、んくぅっ──!!」

 ──キュウッッ、と彼女の中が収縮し、

“どくっ、どくっ、どくっ………………”

 同時に、僕は自らの欲望を彼女の中に吐き出した。

「はあっ、はあっ、はあっ……」
「ふぅっ、ふぅっ……、んっ……っ」

 日に緑色に輝く草の上に横たわるセンパイ。
 その隣に身を投げ出す、僕。

 木々の間、静かな空気の中を、二人の荒い息だけが響き渡る。

   ……心地よい、疲れ………


 ……だけど、先に動いたのは僕だった。

「センパイ、起きて」
 声をかける。

 なのに、彼女は力が入らないのか、のろのろとして動こうとしない。

 一瞬、彼女の髪の毛をつかみあげようとし──、結局、止めた。
 彼女の綺麗な黒髪を、そんな一時の衝動で傷つけたくは無かったのだ。

 だからその代わり、僕は優しく彼女の顔に手を伸ばし、それを支えた。

「センパイ、まだ終わりじゃないよ。
 起きて、僕のを、センパイの口で綺麗にするんだ」

 センパイはされるがままに身を起こすと、何も言わずに、ただ黙って僕のモノに舌を伸ばした。

“ぺちゃ…、ぴちゃ……”

 僕の精液と、彼女の愛液とでぐちゃぐちゃになったそれを、彼女はただ従順に舐め、しゃぶり、清めていく。

「そう、由香里センパイ。その味を覚えておくんだよ。
 それが、センパイを気持ちよくしてくれるものなんだからね。
 それだけが、センパイに絶頂の快楽を与えてくれることが出来るんだ」

“ぴちゃ…、ぺちゃ……”

「その味を、よく覚えておくんだ。
 これからセンパイは、僕を見るたびにその味を思い出すんだ。
 そうして、いつでも、どこでも、どんなふうにでも、僕を喜ばす準備をしておくんだよ。

 それがセンパイの、センパイの主人である、僕に対する大事な役目なんだからね……」

“くちゅ…、くちゅ……”

 センパイは、何も言わない。
 何も言わず、ただ従順に、僕のモノに舌を這わせる。

 そんな彼女の長い美しい髪の毛を優しく梳(くしけず)りながら、僕はいつまでもその心地よい感触に、ぼんやりと浸かっていた…………

 
 


 

 

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