若奥様と予備校生


 

 

中編


「はーい、それじゃー、きゅうり、入りまーす」

 軽いノリで礼二が言うと、遥は美貌を不安で曇らせながらも、息を飲んで頷いた。

「はい………。お願いします」

 至近距離で礼二と目が合うと、恥かしさに思わず顔を背けてしまう。今の自分の姿格好が信じられない。それは悪い白昼夢のようだった。全裸で床に転がって、白い肌を全て晒している中沢遥は、両足をピンと伸ばしたまま、ストレッチのように大きく開脚し、両手でその足首を掴んでいる。なぜかその格好のまま体が硬直してしまった彼女は今、「治療法」として礼二にきゅうりを、彼女の恥かしい場所に突っ込んでくれるよう、自分の口でお願いしたばかりなのだ。

 火曜日の朝っぱらから、どうして自分が今、予備校生とこんなことをしているのか、塞がれた穴から水が染み出すように、彼女の疑問が湧き上がってくる。しかしそんな思いも、礼二がたった一言、言葉を口にするだけで、煙のように立ち消えていってしまう。

「遥はいつも通り、とってもイヤらしい体をしてるね。アソコがこれを欲しがってるみたいだよ」

 彼の言葉が遥の全身に吸い込まれていく。彼女が思わず溜息をつくと、全身が見る間にうっすらと汗ばんだ。「もう一人の旦那様」、小林礼二の言うことは、いつも全て正しい。彼が口にするだけで、彼女の体はいつも、その通りに反応してしまう。ご馳走を前にして口の中に唾液が溜まるように、みるみるうちに彼女のデリケートな部分が恥かしい液で湿っていってしまう。きゅうりが当たると、遥は肩をすくめて首を振った。

「はぁあっ」

 クチュリと粘着質な音がたつ。さっきまで冷蔵庫で冷やされていたきゅうりは、熱い彼女の粘膜にピリピリと痛むような快感を与えた。床と彼女の豊かな尻の間が、彼女の汗で滑るほど濡れている。

(凄い。ちょっと当たっただけなのに、こんなに反応しちゃう………。恥かしい。でも、しょうがないわ。私の体はとってもイヤらしいんだし………。アソコがすっごく求めちゃってるんだから………。はぁ、情けないなぁ。)

 遥が困ったように身をよじるけれど、礼二はかまわずに野菜を彼女の中に押し込んでいった。快感に緩んだ膣口が従順に、青々としたきゅうりを受け入れていく。内部の抵抗を感じた礼二が手首のスナップをきかせて、握ったきゅうりを捻るように押すと、肌色の粘膜がクチャクチャと音を立てた。音が出るたびに、まわりに遥の、甘酸っぱい女の匂いがムンとたちこめていく。

 礼二が気がつくと、遥の両手はいつの間にか両足首から離れて床につき、体を支えている。足も自由になったように、膝のところで少し折っている。しかし遥は、そのことに気がついた様子がない。薄く目を閉じて天井を仰ぎながら、きゅうりの動きを全身で噛み締めている。肩で呼吸をするたびに、豊満な胸の先端、堅く伸びた乳首が上下している。

 礼二の術中に今日もドップリとはまってしまっている、美しい人妻のあられもない痴態を、礼二は器用に左手のカメラで何枚も押さえていった。



 キンコーン…………。

 キンコーン。


 アパートのベルが鳴る。突然入った邪魔者に、礼二が一瞬だけイラだったような表情を見せるが、すぐに新しい遊びを思いついて、遥の耳元に顔を近づけた。

「遥さん。きゅうり遊びは、もうお終いですよ。体も自由になりました。よかったですね………。体が自由になるのはとってもいい気持ち。でも、何でもうまいことばかりではないのです。貴方の体が自由になった変わりに、貴方の意識は完全に自由を失って僕のものです。遥の心はすっかり礼二のもの。しょうがないですよね」

 目を閉じたままの遥が、ゆっくりと頷く。

(はぁ………、せっかく体が自由になったのに、今度は心が礼二君のものになっちゃった………。しょうがないのかなぁ………。)

 礼二がさらにいくつかの文章を耳もとで囁く。うっとりとした表情で、快感の余韻に浸っている遥は、虚ろな目と締りのない顔で、何度も頷いた。礼二がパチンと手を叩くと、ふいに彼女の意識がはっきりとする。

 キンコーン。

 何度目かのベルに気がついた彼女は、慌ててドアに向かって声を上げる。

「はーい。今行きます」

 柔らかく温和な声を出した若妻は、立ち上がって、自分が全裸であることに気がつく。

(きゃっ、私なんでこんな格好………。あっ、そうだ。お洋服が全部、洗濯物になっちゃったからだわ。………えぇっと。)

「宅急便ですー」

 ドアの向こうから、焦れたような、若い男の人の声がする。

「ごめんなさーい。ちょっとだけ待って下さい」

 遥は慌てて洋服ダンスの中から、夫、洋介の服を取り出した。


 ガチャリ。

 アパートのドアが開いて、思わずアルバイトの運送屋はのけぞってしまった。小ぢんまりとした玄関に立って、ドアを開けている美人が、驚くほど無防備な格好でいたからだ。

 黒々とした髪に少しウェーブのかかった、気品のある優しい顔立ちの女性は、ニッコリと笑いながら、男性用のランニングシャツ一枚のみを身につけて立っていた。白いシャツは薄手の肌着で、彼女の体にとっては丈が長いようで、右手で下に引っ張っているおかげで辛うじて彼女の股間を隠している。しかし、運動に適したデザインなのか、体にぴったりとフィットするタイプの肌シャツであるために、彼女のプロポーションがはっきりと露呈されてしまっている。
 特に胸のあたりは生地が伸び切ってさらに薄くなっていて、丸くて柔らかそうな乳房、ツンと伸びている乳首の形が手に取るように丸わかりになってしまっていた。急いで行動していたのか、うっすらと汗ばんでいる体に張り付いているシャツの上部は、ところどころ透けているようにも見えた。

「ごめんなさい………、ちょっと取り込んでいたので。お待たせしました」

 上品そうな若奥様は、上気した顔で微笑んだ。その潤んだ目で、彼女が今まで何に取り込んでいたのか、バイトの若い男性の妄想を掻き立ててしまう。

「あ………、あの、判子お願い出来ますか?」

 恥かしい格好のまま、内膝を擦り合わせるように体をよじって、少しでもシャツの中に身を隠そうとしている遥は、ドアに寄りかかるようにして左手を自由にする。そして握っているものを、男性の差し出す小包の上に敷かれた紙に押しつけた。

「あの………、奥さん。それ………、判子じゃなくて、きゅうりです」

「え………?」

 運送屋の男性の顔を覗きこんで、目をパチクリさせていた遥は、10秒ほどの沈黙の後で、やっと事態が飲み込めて、顔が真っ赤になった。

「きゃ………、ゴメンなさい。そ、そうですよね。これはきゅうりです。私ったら………」

 慌てふためいた遥は、意味もなくその場できゅうりの先っぽを、生のまま齧ってみせた。取り繕うために、何かで誤魔化したいのはわかるが、まったく意味不明の行動だった。気を使って、目を逸らすように男性が、小包の上に敷いた受領書に目をやると、さっき遥がきゅうりを押しつけた部分が、何かの汁で濡れている。光り方と糸の引き方からして、きゅうりを洗った水などではないようだった。

「えぇっと、判子、探してきますね」

 その場から逃げるように、遥が玄関に背を向けてリビングに駆け込もうとする。

「あ、あの、奥さん。判子でなくても大丈夫ですよ。サインでも結構です」

 アルバイトの男性が声をかけながら顔を上げて、遥の後姿を見る。左手で肌シャツの裾を引っ張って前の腰周りを隠していた彼女は、後ろはプックリと丸いお尻が完全に露出してしまっていた。

「うわっ」

 声を聞いて立ち止まった遥は、やっと自分が尻丸出しになっていることに気がついて、振り返りながら両手でシャツの後を下に引っ張って、お尻を隠し切った。

 バイト君は危うく、小包を落としそうになる。両手で裾を引っ張り、尻を隠しながら振り向いた彼女は、今度は前が完全に丸見えになってしまっていたからだ。後ろに生地が引っ張られ、前の裾はヘソの上まで上がってしまっている。黒々とした恥毛と、その下に垣間見える、めくれ上がった小豆色の粘膜とが、アルバイトの若い男性の網膜に熱く焼きつけられた。

「きゃんっ。もぅ、やだ、この服。………ゴメンなさい。サインでお願いします」

 とにかく早くこの場の恥かしい状況を終わらせたいとばかりに、駆け寄った遥が男性からボールペンを受け取る。右手のきゅうりを、当たり前のように、齧っていない方の先端から自分のヴァギナに押し込むと、ボールペンを握る。左手で受領書を抑えながら、綺麗な字で「中沢遥」と丁寧にフルネームを書き込んだ。

 あまりに自然な動きだったので、一瞬そのままやり過ごしそうになったが、宅急便の男性は数秒遅れて、彼女の股間に無造作に突っ込まれたきゅうりを凝視してしまう。一連のハプニングで顔を茹でダコのように紅潮させた遥は、サインを書き終えると、小包を受け取って、丁寧にお礼を言った。

 両手で小包を持っている遥の下半身は、もう既に完全に無防備に男性の目に晒されていた。きゅうりが突っ込まれたヴァギナ。リビングへ帰っていく後姿のプリプリと揺れる尻。一緒に揺れるきゅうり。

 帽子を脱いで一礼したアルバイトの男性は、ドアを自分で閉じた。肉体労働作業がキツくて、すぐに辞めようかと思っていた宅配便のバイトだったが、男性はもうしばらく続けようと固く誓った。

「もしも配達先の奥さんが、エッチな格好でお出迎えしたら………。ドッキリ大成功だね。はい、チーズ」

 リビングで、カメラを構えて遥を迎えた礼二が声をかけると、遥は小包を顔の横に掲げて、ニッコリ微笑んでポーズを取りながらフラッシュを浴びた。

 しかし、シャッター音が聞こえた後で、急に頭がはっきりとまわりだす。今までの信じられないような自分の応対が、頭の中で思い出される。思わず両手で顔を覆って、床にしゃがみこんでしまった。

「やーっ! なんで? こんな格好で………。もう、宅配の人の前に顔出せないよー!」

(どうして私………、こんなことになってるの?)

 泣きそうな目で、すがるように小林礼二を見る。遥が変になっている時、いつも頼りになるのは「もう一人の旦那様」、礼二だ。彼に頼れば、全ては彼の言う通りに、上手くいく。この予備校生と出会ってから、まだそれほど時がたっていないはずなのに、遥はなぜかそんな確信を持っている。

 礼二は、遥のそんな目にニッコリと頷き返す。

「大丈夫。恥かしい思い出は、運動で吹き飛ばしちゃおう。体を動かしてると、嫌なことなんて忘れちゃうよ。そうだね………。今日は久しぶりに、ハイテンションな『マタドール遥』に戻っちゃおうか?」

 礼二の言葉が聞こえると同時に、遥の目の前の光景が、小ぎれいなアパートから壮大な闘牛場に様変わりしてしまった。地響きのような観衆たちの応援の声。暑く乾いた日差しの中で舞う土埃。いつの間にか遥は、コロセウム型の円形闘牛場で観客たちに大スペクタクルを披露する、一流の闘牛士になっていた。

 身に「かけていた」赤い布を肩から引っ張り上げる。一瞬、ただのインナーシャツのように頼りない感触のした布だったが、すぐに濃い赤色をバタバタと風にはためかせる、華麗な布の感触に変わる。

 黒く大きな牡牛が、獰猛に突進してくるのを、布をはためかせた遥がヒラリとかわした。

「オーレィッ!」

 得意満面の笑みで、遥が布を振りながらクルクルと身を回転させ、観衆にアピールする。音楽が激しくなると、腰を左右に振りながら、牛を挑発し、観衆を挑発して華麗に舞う。

 囃し立てながら、礼二は嬉しそうに、リビングで跳ね回る遥の大活躍を見守った。いつもは少し恥しがり屋の遥が、素っ裸で飛び回る。その溌剌とした満面の笑顔を見ていると、彼はすっかり自分の腕に自信を感じることが出来るのだ。

「ほら、馬鹿な牛がまた突進してくるよ。今度はY字バランスでかわしちゃおうっ」

「フォーゥッ!」

 礼二の言われるままに、遥は嬉しそうに足を高く上げ、片手で足首を掴み、ポーズをとりながら、牛の突進を軽やかにかわしたつもりになる。左右に引っ張られた割れ目から、赤い内部がしっかりと曝け出される。顔の形が変わるほどに口を大きく開けて、ラテン系の底抜けに明るい笑顔を見せる遥は、悩みのひとかけらもないように幸せな様子で、礼二のデジカメの中に収まった。

 クルクルと舞う彼女は、礼二の言葉に誘導されるままに、いつの間にか闘牛士から、フラメンコのダンサーになって床を踏み鳴らした。下の階から苦情が来る前に、礼二が彼女をフラメンコダンサーから、フラダンスのダンサーに変える。言われるままに、食卓の上に登って拍手を浴びた遥は、うっとりとした視線を周囲に投げかけながら、女性的な動きで愛のダンスを表現し始めた。緩やかに、流れるような手つきで優雅に舞いながら、腰は別の生き物が暴れるようにダイナミックに左右前後に振られる。浜辺の湿った甘い風と、ロマンチックな波の音に盛り立てられながら、遥はムードたっぷりに、セクシーに踊った。



 ふと気がつくと、遥は牧草をたっぷりと食べて満足している、大きな牝牛になっていた。飼い主が体を起こすようにせっつくので、重い図体をやっとのことで持ち上げる。四つん這いになっている地面が一瞬だけ、食卓の白いテーブルクロスのような感触を膝と手に返したように思えたが、すぐに柔らかい牧草の感触に変わって、『遥牛』を安心させた。

(ご主人様〜。早く遥のお乳を搾って。張ってしまって、少し痛いの。)

 遥はそう伝えようとしたのだが、重い口からは、やっと

「ムォーーーーオ」

 という、低いくぐもった鳴き声が出ただけだった。

 顔全体が、とても重い気がする。瞼も半分開けるのが精一杯。口はまるで垂直に円を描くように下顎を回して、クチャクチャと音を立てていたのだが、今、口を開けて声を出したせいで、涎を、地面に水溜りを作るほど垂らしてしまった。

「おっ、遥牛。乳を搾って欲しいのかい?」

 なぜか遥よりも一段低い地面で、椅子に腰掛けているご主人様が、遥の尻をペチペチと叩く。遥は頷きながら体を礼二に寄せて、大きく柔らかいオッパイを彼に押しつけた。

「わっ、涎を服につけるなよ………。ま、いいや。こんなにデカパイに一杯、乳溜めちゃってるのかな?
 遥牛は確か、このオッパイに乳を溜めれば溜めるほど、ここが敏感になってイキやすくなるんだったよな? ほらっ」

「ブモ〜ォォッ」

 飼い主の礼二に胸を掴まれただけで、遥が背中を弓なりにして、大きな鳴き声を出してしまった。大きくて分厚い全身を、強烈な快感が駆け巡ったからだ。礼二が両手で彼女の乳を遠慮なく揉みしだくと、遥牛は顔を突き上げて、快感の暴れるままに、くぐもった牛の声で喘いだ。彼女のイメージの中では、礼二の手が触れるだけで、弾けそうだった彼女の乳房から牛乳が噴き出していく。熱いミルクが、ブリキのバケツにバシャバシャと飛び散っていっている。しかし礼二が見ているのは、食卓で四つん這いになって、オッパイを揉まれる度に股間から潮を噴き出している、美しい人妻の狂態だった。



 日も高くなってきたお昼前、小ぎれいなアパートの一室で、若くて美人の人妻が、向かいの寮に住んでいる予備校生のペニスを夢中でしゃぶっていた。ジュパジュパと音を立てながら、舌でペニスの裏筋を刺激し、頬の筋肉で目一杯吸い上げる。膝立ちで頭を前後に振りながら、細い指で睾丸を撫でさする。
 精魂込めた丹念な奉仕に、小林礼二はすっかり満足していた。中沢遥は懸命に、「もう一人の旦那様」のペニスを可憐な口で愛撫する。これが彼女が今、必死に取り組んでいる、美容エクササイズなのだ。

(頬の筋肉、舌の筋肉をしっかり使っているうちに、最近、顎のラインがすっきりしたって言われたわ。さすがは礼二君お薦めのエクササイズね。上手く出来たら栄養満点のジュースももらえて、女性ホルモンが活性化されるの。おかげさまで、お肌もとっても調子がいいわ。)

「うあー。上手くなってきたな、遥。まだちょっとしかたってないのに、もうイキそう。うぅぅうーーん。我慢!」

 礼二が思わず遥の頭を掴んで、もっと奥までペニスを突っ込む。

(ゴホッ、辛いよー。礼二君、若いから、時々、乱暴………。)

 遥が眉をひそめるが、けっして礼二の動きを遮ったりしない。
 むしろもっと頑張って、口だけでなく喉で、肩から上全体で、彼女の体全身で彼のペニスを愛撫する。両手でさらに睾丸を撫で上げる。迫力のあるバストを彼の膝小僧に押し付けて、乳首で膝を刺激する。

(ここはグッと我慢よ。ここでもう一踏ん張りすることで、効果が断然違うんだから。私、洋介さんのためにもっと綺麗になりたい。大好きな洋介さんが喜んでくれるんだったら、もっと頑張るわ。好きよ、洋介さん。)

 髪が振り乱されるほど激しく頭を振ると、礼二の両手が彼女の頭からビクッと離れる。彼の背筋がさらにぐっと伸びた瞬間、遥の口の中のペニスがもう一段階大きくなったような気がする。そう思った次の瞬間には、彼女の口の中には若い男子の濃密な精が、溢れるほどに放出されていた。

「んふぅ……」

 鼻から熱い溜息を漏らす遥。最近はこのフェラチオ美容エクササイズも、すっかりコツを掴めてきたようだった。

(はぁ〜。嬉しい………。洋介さん。礼二君。二人とも私の大事な旦那様。遥……、幸せです………。)


 礼二は半分放心しながら、腕時計を見た。

「今日は午後から数学の特別講座があるんだよね。あと、1時間弱ってとこかな? ちょっと一休みしたら、もうちょっと他の遊びをしよっか?」

「お願い………しまふ」

 陶酔したような目で礼二を見上げて、口を開けた遥の唇から、白濁した礼二の液がこぼれそうになる。大事そうに舌で舐めとった遥が、清楚な顔を緩めて微笑んだ。

 
 


 

 

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