うらぷら


 

 

第1話

「げーっ、あの人見て、髪と眼が緑色だよっ」
「ああ、あれは確か生まれつきって話よ」

 周りで俺のことを話している。
 まったく・・・聞こえないように話せよ。
 しかし、再びこういった朝を迎えることになるとは・・・。
 俺はため息をついて歩き出した。
 ここはとある私立の学校だ。
 ただし、とてつもなくでかい。
 中学から通っているのだが、未だに何処に何があるか全てを把握し切れていない。
 とりあえず今は2年の第6校舎に通っている。
 俺と東野、センパヒは学力レベルが一緒なので同じ校舎なのだが、雪の森ちゃんは俺達とは学力レベルが全然違うので第1校舎に通っている。
 一つの学年だけで校舎がいくつもあるなんて、ここの全校生徒数はいったい何人なんだか・・・。
 ここに通ってると、昨今の子供の不足が嘘みたいに思えてくる。

「あ〜、あの人。最近見ないと思ったら、もしかして、不登校になってたのかなぁ?」
「しーっ、聞こえるわよっ」

 その声も聞こえてます・・・。
 確かにアメリカに行ってた時はいなかったけど、ここしばらくはちゃんと通ってたんだけどな。
 やっぱ、目と髪の色が緑色ってだけで覚えられてるんだな。
 改めてそう実感した。

「おお〜い、緑松〜。」

 聞き慣れた声が聞こえて、ばたばたと走ってくる気配を感じた。
 振り返ると、もの凄く老けた男が走ってきた。
 見た目には40〜50代のマッドサイエンティストの悪いイメージをそのまま映像と化した顔のその男のあだ名は「センパヒ」。
 美少女を眺めるのが大好きなこれでも俺や雪の森ちゃんと同い年の学生なのだ。

「おはよ、センパヒ」
「おお、東野から聞いたがこれでこそ”緑”松だな」

 朝一番から人の気にするところをついてくる。

「なんだよ、も〜。センパヒまで!!」
「気にするな緑松、これがないと朝の挨拶をしてる気がしない」

 ガーハッハッと偉そうに笑うセンパヒ。

「あれ、緑松とセンパヒじゃないか」

 そこへ呼んでないのに東野までやってきた。

「おー、東野。今、緑松に挨拶をしてたんだ、ガハッ」
「そうか。やはり緑松はこうでなきゃな」

 俺を見てそう言う東野。
 こいつはいつものように骨をかぶり、装飾品にしている。

「ねぇねぇ、みてよ。あそこの人達、凄く変だよ〜」
「わ、だめだよ。あの人達に関わったら」

 辺りから次々とひそひそ話が聞こえてくる。
 だから、気付かれないようにいってくれ。

「あら、緑君達。こんな所で何漫才やってるの?もうすぐ予鈴なるわよ」

 更に雪の森ちゃんまで来た。

「あ、雪のも・・・」

 ドクンッ!!
 雪の森ちゃんを見たときに何か俺の中から湧き出るような感じがした。
 しかし、それは一瞬のことでその後何の反応もなかった。

「緑君?どうしたの」
「あ、何でもないよ。雪の森ちゃんおはよう。昨日はごめんね。心配かけちゃって」
「あ、いいのよ別に。あたしが勝手に取り乱しただけなんだから。それで、何ともないの?」
「うん、何ともないよ。ただ単に前と同じ生活になっただけと思えば良いんだから」
「そう、よかった・・・」

 俺がそう言うと、雪の森ちゃんは安堵した。

「お〜い、緑松。急がないと遅刻するぞ」

 時計を見ると、走らないと間に合いそうもない。
 センパヒと東野はすでに走り出していた。

「ああっ、まてよ」

 俺は走りだそうとして、雪の森ちゃんの方を見た。

「雪の森ちゃん、また後でね」
「うん、じゃ勉強頑張ってね緑君」

 俺は雪の森ちゃんの言葉を聞くと走り出した。




 はぁはぁ言いながら俺達がたどり着くと、ホワイトボードにでかでかと「1時間目自習」と書かれていた。
 俺達の苦労はいったい・・・。
 俺が入ると、教室は微妙にざわめきに包まれた。

「何、その色?染めたの}
「趣味わるー、緑色はなぁ〜」

 なかなか言いたいことを言ってくれる。

「あーっ」

 素っ頓狂な声と共に現れたのは前髪が黒で後ろ髪が茶色と金を混ぜたような色の髪の少女高屋敷 朱美(たかやしき あけみ)だ。
 朱美は俺と同じ緑色人だった。
 こいつは昔、緑色だというのを隠すためにかつらとカラーコンタクトを入れていたが、かつらの髪型が気に入ったのか色が黒くなってもそのかつらだけはそのまま使っていた。

「ひーほー、緑まる男。それに骨男にフケ男。ご機嫌いかが?」
「別に」
「まーまー、そんなに突っぱねないでよ。ほらほら、席につきましょー」

 朱美は俺の背中を押して、俺を席へ連れていった。
 それでその場は散会し、皆それぞれ自習をし始めた。
 俺は席に座って荷物を置くと、早速切り出した。

「朱美、聞きたいことがあるんだけど」
「あたしも聞きたいことがあったんだけど、こっちはもういいわ。それにまる男の質問と同じだと思うから答えを言っちゃうと、あたしも変わったわよ」

 そういって、朱美は目のカラーコンタクトをはずした。
 見事に緑色に変わっていた。
 俺が確認したのを見ると、朱美は再びカラーコンタクトを入れた。

「今朝、起きてみてビックリよ。あわてて、コンタクト探しちゃった」

 朱美は俺の前の席に座って言った。

「それで、報告したら向こうも慌てて色々調べ始めたわ。学校が終わる頃には結果が出てるかもね」
「おい、死語使い女。お前は起きたら変わってたのか?」

 不意に横で話を聞いていただけの東野が加わってきた。

「そーだけど、それがどうかしたの?」
「いや、お前もこの辺りに住んでるんだろ?緑松は昨日、うちでぶっ倒れて変わったんだ」
「それで?」

 朱美は結論を急がせる。

「その時間はまだ、昼間だったんだよ。大体・・・4時か5時くらいだった。緑松はお前より早かったわけだが、何でなんだろうな?」
「関係ないでしょ、たぶん。分からないわよ、そんなことは」

 朱美は東野の疑問をあっさり却下した。

「それでさ、力は・・・使えるの?}

 俺は意を決して、聞いた。
 力、俺達はそう呼んでいる。
 俺達12人の緑色人は全員がある特異能力を持っている。
 超感覚的知覚・・・超能力だ。
 超能力と言っても色々な種類がある。
 PK(念動力)、テレパシー、テレポーテーション、パイロキネシス(発火能力)、幽体離脱に運の調整、上げていけばきりがないほど超能力と言われている物はあるが、俺はまだPKしか使えない。
 あの作戦の時に必要だった能力がPKで2年しか時間がなかったので、俺はそればっかりをやらされていた。
 人類の危機に俺の好奇心なんぞを満足させている暇はなかったのだ。
 朱美は俺より前から訓練を受けていたので、色々と使えるらしい。

「うん、試してみたら使えたのよ。それに、なんか前より能力が上がってる感じがするわ」
「やりすぎて、人をひき殺すなよ」

 横から東野が茶々を入れる

「なによ、骨男。あたしはそんなへましないわよ」
「わかんねーだろ。だいたい、俺とセンパヒを追っかけ回したお前にそんなこと言えた義理か」

 ・・・犬猿の仲だな。
 俺はぎゃーぎゃー言い合ってる東野と朱美を尻目にゲームウェアを開いて、サイコプラスをつけた。
 データ残ってるかな〜?
 アメリカに行ってからの訓練はNASAだかペンタゴンだかが作ったっていう訳の分からない訓練機械にかけられて訓練してたので、こうしてサイコプラスをつけるのは久しぶりだった。
 電源を入れると、ヴンという起動音がしてサイコプラスのタイトル画面が出た。
 どうやらデータは残ってたらしく、中間試験が終わってレベル5からスタートした。
 なるほど・・・。
 レベル5はこれか。
 ちょっと、いたずらに使えそうだな。
 そう思った俺は早速使ってみる。
 対象はさっきからずっと言い争いをしている東野と朱美だ。

「メッセージは・・・と・・・」

 教室の中で1人声を出すのも恥ずかしいのでソフトウェアキーボードで入力する。

「これでよし、じゃあ送信」

 ボタンを押す。
 そして、二人の反応を待った。
 すぐに東野に反応があった。

「緑松ーっ!!ロズウェルでつかまった宇宙人の骨があるって本当か!!」

 東野はもの凄い勢いで俺の所まで来ると、俺の胸ぐらをつかんできた。

「ちょ、ちょっと待って・・・く、くるしい・・・」
「本当か?」

 東野は俺を解放すると、下手するとまた俺につかみかかってきそうな興奮ぶりで聴いてきた。

「東野、俺は何も言ってないよ。空耳でも聞こえたんじゃないの?」
「そうか? センパヒは聞こえたか」

 東野は1人で外を眺めてるセンパヒに聞く。
 外ではどこかのクラスの女子が体育をやっているのだろう。

「うんにゃ、緑松はなにも言ってなかったぞ。ガハッ」
「う〜ん、そうか・・・」

 東野は漫画なら頭に?マークが出てそうな表情をして考え込んだ。
 いや、知らない人が見てもこいつの表情の変化を見て取れないんだけど。
 ピピピピ・・・・。
 サイコプラスが音を出した。
 見ると、文字が書き出されていた。
 どうやら、朱美はすぐに気付いたらしい。
 朱美の返答は『なーに、あそんでんの?』だった。






 休み時間。
 外を見ると、次の時間に体育で外を使うクラスの女子が用意のために出てきた。
 その中には雪の森ちゃんもいる。
 俺はまた、サイコプラスを使ってみることにする。
 サイコプラスをつけて、対象を雪の森ちゃんに指定する。
 外の雪の森ちゃんを見ながら送信する。

『雪の森ちゃん』

 すると、雪の森ちゃんは急に辺りを見回す。
 俺を捜しているのだろう。
 どうやら、これは対象となってる相手の心も読みとるのだろう。
 画面には『緑君? どこ?』と出ていた。

『上だよ、上。俺のクラスから送ってんの』

 雪の森ちゃんがこっちを見てきたので手を振ってみる。

『嘘、そんなところから聞こえるわけ無いじゃない。え?』

 雪の森ちゃんはクラスメイトに話しかけられて、それの対応をしている。
 まあ、急に辺りを見回したら誰だって不審がる。

『それに誰も気付いて無いじゃない。そこからあたしにだけ声をかけるなんて不可能よ』

 対応を終えた雪の森ちゃんがまたこっちに話しかける。
 話しかけると言うより、疑問に思ってるだけなんだろうけど。

『サイコプラスの新しいレベルなんだ、これ。テレパシーってやつ』
『サイコプラス!? 動くの? テレパシーなら、考えればそっちに分かるんだ』

 サイコプラスの名前に雪の森ちゃんは驚いていたが、すぐに納得したようだった。
 キーンコーンカーンコーン・・・。
 鐘の音が鳴り響く。

『ほら緑君、授業が始まるわよ』

 雪の森ちゃんがそう言ったとき、教科担当の先生が入ってきた。
 取り上げられたらかなわないので、俺もとりあえずは止めることにする。
 そうして、授業が始まった。






 放課後になって俺達は下校するために正門に向かって歩いていた。
 正門も近くなってくると下校しようとしている生徒がちらほら見える。

「おんやぁ、あそこにいるは雪の森ちゃんではないか」

 東野に言われて正門を見る。
 そこには雪の森ちゃんが寄りかかっている。

「おーい、雪の森ちゃ〜ん」
「や、みんな」

 雪の森ちゃんは俺達を確認すると、門の柱に寄りかかっていた背中を離しこちらにやってきた。

「一緒に帰りましょう」
「え、うん」

 そう言って、みんなで正門を抜けた。
 正門を抜けて、しばらく話しながら歩いていると不意に東野が言い出した。

「なぁ、これからゲーセン寄ってかねーか?」
「ガヒヒ。みんなで、ワールドダービーをやるのだ」
「ヒッホ、あたしは構わないよ」

 東野の誘いにセンパヒと朱美は同意をする。

「俺もいいけど、雪の森ちゃんはどうする?}
「あたしも構わないわよ。じゃ、行きましょう」

 と言うわけで、東野とセンパヒと朱美はメダルゲームのワールドダービーに、俺と雪の森ちゃんはアクションゲームの「Digitalian〜デジタリアン〜」に座っている。
 「Digitalian〜デジタリアン〜」は横スクロール型のアクションRPGで、いま結構人気が高い。
 しかし、難易度が高いため全クリしたことのある人間はそんなにいない。
 それに俺と雪の森ちゃんは挑戦していた。
 それにしても意外なのは、朱美がほとんどゲームをやったことがなかったと言うことだ。
 聞いたところ、朱美が超能力を発現したとき朱美はまだ子供で、それからすぐに訓練の毎日だったのでゲームなんぞをやってる時間がなかったらしい。
 試しにやらせてみたところ、操作方法すら分からずやられていた。
 それじゃさすがにつまらないので、東野とセンパヒがボタンを押すだけで出きるメダルゲームに連れていったのだ。
 朱美は今、メダルゲームにはまっていた。
 この分なら、すぐにゲームにはまりそうだ。
 俺と雪の森ちゃんだが、こっちの方は全く問題がなかった。
 俺は何度もこのゲームをクリアしているし、雪の森ちゃんも大丈夫らしかった。
 そのためにわざわざ、一番難易度の高いキャラを選んでやってるし・・・。

「凄いわね、緑君。まさか僧侶を選ぶなんて・・・」
「それを見てすぐに召還魔道士を選んでる雪の森ちゃんもだよ」

 俺達の後ろにはすでにギャラリーが出来ている。
 最初は雪の森ちゃんの可愛さに惹かれていたが、そのうちに数も増え純粋に驚愕の目で見てる奴らのほうが今では多い。
 ただでさえ、人気ゲームなのにそれの最高難度でクリアしてる者はほとんどいないからだ。
 俺も雪の森ちゃんもボスを顔色一つ変えずに倒すと、ハイスコアに名前を入れずに東野達の所へいった。

「センパヒ。今日はよく当たってるね」

 見ると、センパヒの所にはメダルが山積みになっている。

「それにひきかえ・・・」
「なによ〜。今日はたまたまついてないだけよ〜」

 俺の視線に敏感に反応して、朱美が言う。
 朱美はすでにメダルがなかった。
 こうして、人はギャンブルから離れられなくなっていくという典型を見た気がした。
 朱美はセンパヒからお恵みを貰いその後もやっていたが、結局駄目だった。

「あ、あたしたちはこっちだから・・・」

 ゲーセンから出て帰る途中、三叉路に出たときに朱美が言い出した。

「おお、そうだガハ」
「そうだな」

 朱美に続き、東野とセンパヒも言い出す。

「あれ、東野君の家ってこっちじゃなかったっけ?」

 雪の森ちゃんは東野に聞く。
 東野の家とは方角が逆だった。

「ええと、そう、俺は中古ゲーム見に行きたいんだ」

 しどろもどろになりながら東野は答える。

「そう?」
「そうそう」

 東野はうんうんと頷いている。

「わかったわ、じゃあいきましょう緑君。また明日ね」

 そう言うと雪の森ちゃんは手を振ってから歩き出す。

「あ、まってよ・・・」

 朱美達が手を振って見送る中俺もその後を追おうとした。
 ピピピピピ・・・・・。
 サイコプラスが鳴る。
 何事かと開くと、「ヒーホー、がんばりなさいよ〜」と朱美からの伝言だった。
 振り向くと、朱美達も向こうに歩き出していた。
 そんな中、朱美が不意にこっちを向いてウインクをした。
 あいつら・・・。
 そんなあいつらの心遣いにちょっと感動した。

「緑君?」
「今いくよ」

 俺はそう言って、雪の森ちゃんの後をついていった。




 大通りを横目に俺達は歩いていく。
 2月の6時だというのに辺りはまだ明るく、人もそこらに溢れている。

「2月の夕方だって言うのに人が多いね」
「あら、それはそうよ。だって、今は夏だもの」

 隣で雪の森ちゃんが喋ってる。
 俺はそれだけでかなり幸せだった。

「ねぇ、ところで緑君」
「な、何雪の森ちゃん?」

 気付くと、雪の森ちゃんが俺を覗き込んでいた。

「サイコプラス、本当に動いたの?」
「え、うん。ほら」

 雪の森ちゃんの疑問に俺はゲームウェアを開いて見せた。
 画面にはサイコプラスの画面が映っている。

「ほんとうだ・・・じゃあ、休み時間のあれも緑君の仕業?」
「うん、雪の森ちゃんが見えたから・・・」
「あれ、どうやってやったの?」

 雪の森ちゃんが聞いてきたので実演することにした。

「えっと、対象を雪の森ちゃんに合わせて・・・メッセージを作って・・・送信」
「あ、声が聞こえてくる・・・こうしてたんだ。これなら携帯いらずね」

 あれ?
 良く見ると、右下に「表層意識」とか書いてある。
 表層意識と言うことは無意識にも送れるんだろうか?

「もしかして、考えてる事ってそっちに出るの?」

 色々といじくってみる。
 すると、セレクトボタンで「表層意識」と「無意識」の使い分けが出来ることに気がついた。
 早速、メッセージを作る。

「ちょっと、聞いてる?」
「え、わぁっ」

 目の前に雪の森ちゃんのドアップがあった。
 雪の森ちゃんは俺の反応を見て、ちょっと怒ったっぽかった。

「なにやってんの?緑君」
「あ、いや、何でもないよ」

 俺はそう言って、サイコプラスを隠した。
 ソフトウェアキーボードの位置は把握しているので後ろ手でやっても問題ない。
 カチカチ

「む、後ろで何やってるのよ。見せなさい、緑君」

 それより一瞬速く、俺はメッセージを送信した。
 ピタッと擬音が後ろに出てそうな感じで雪の森ちゃんは止まった。

「どうしたの、雪の森ちゃん?」

 聞いてみる。

「え、ううんなんでもないわ」

 サイコプラスを見ると、雪の森ちゃんの考えてることが見える。

『なに?どうしたんだろう?緑君が何か持ってたような・・・ま、いいか』

 俺が雪の森ちゃんに送信した内容は『サイコプラスのことが気にならなくなる』だ。
 どうやら、無意識の方に送信した内容はちょうど催眠術の暗示のように働くらしい・・・。
 でも、そんなことをやってるのが雪の森ちゃんにばれたら確実に嫌われそうだし、やるのは止めよう。
 ドクン!
 そんなことを考えたとき、俺の胸が高鳴った。
 何、腑抜けたこと言ってやがる・・・。
 極上の得物が目の前にいるじゃねえか。
 ドクン、ドクン。

「緑君?」

 雪の森ちゃんが見てるが俺にはそれに答える余裕はない。
 ドクン、ドクン、ドクン。
 胸が強く脈打ち始め、全身の血流の勢いが強くなった。
 ほら、犯せ、犯せ、犯せ。
 犯せ犯せ犯せ犯セ犯セ犯セおかセおカセオカセ・・・・・・。
 嫌な声がどんどん響いてくる。
 ふざけるな、そんなことをしたら雪の森ちゃんに嫌われてしまう。
 俺は両手で頭を抑え、膝をつく。

「緑君!? どうしたの、緑君!!」

 隣で叫んでるはずの雪の森ちゃんの声が遠くに聞こえる。
 お前が犯らないんならいいぜ。
 お前の代わりに俺がやってやる。

「緑君!!」

 その声を聞いた俺は雪の森ちゃんから逃げ出した。
 大切な雪の森ちゃんが犯されないように。
 大切な雪の森ちゃんが傷つかないように。
 パァーッ!!
 交差点を飛び出したとき、俺に向かって車が直進してきた。
 そして、俺は闇の中に落ちていった。






「はぁ・・はぁ・・・」

 あぶねーな、緑松の奴。
 後少し入れ替わるのが遅かったら、死んじまったじゃねーか。
 俺は轢かれるすんでで緑松と入れ替わり、テレポーテーションを使って間一髪の所で車をかわした。
 そんなに俺に犯らせたくなかったのか・・・あいつを。

「緑君!!」

 俺が振り向くと、緑松を追ってきた獲物――雪の森 水乃――の姿があった。
 水乃は俺が無事なのを見て、安心したようだ。
 俺に近づいてくると、そのまま俺を調べる。

「どうしたの?雪の森ちゃん」

 俺は緑松の振りをして聞く。
 まあ、知られても構わないのだが何となくだ。

「それはこっちの台詞よ。さっきだって急に苦しみだしたかと思うと、いきなり走り出すんだもの。きっちり説明して貰うからね」

 くくく、飛んで火に入る夏の虫ってね。

「わ、わかったよ。でも、ここじゃ何だから公園に行こう」

 俺は水乃の手を引いて歩き出した。
 公園へと向けて・・・。
 公園に着く頃には日が暮れて、辺りの家から明かりが漏れている。
 夏の夜だというのに、公園にはほとんど人がおらず、しんと静まり返っている。
 俺と水乃はブランコにのった。

「さあ、全部話して貰うからね」
「何から話せばいいのかなぁ? 色々あるから雪の森ちゃんがきいてよ」
「じゃあ、何で急に苦しみだしたの?」

 俺が言うと水乃はきいてきた。

「あれはね、ただ単に頭痛がしただけだよ」
「ほんとに?」

 勿論嘘だ。
 だが、水乃はその事は追求せず次の質問を言った。

「じゃあ、なんで突然走り出したの?」
「それはなんでだろーなー」
「なによ、それ」
「いや、秘密と言うことで・・・」
「教えなさいよ」

 水乃は食らいついてくる。
 そろそろやるか。
 今はこの公園も静かだが、夜が更けていくに連れアベックが増えていくだろう。
 そんな中にいるのは御免だし、今日は早く水乃を味わいたかった。

「雪の森ちゃん、ちょっと来て」

 そう言って俺は水乃を公園の茂みの中へ連れ込んだ。

「なによ、緑君。こんな所まで連れてきて」

 くく、これからなにされるか知らないもんな。
 全く自分の立場を理解していない。
 そんな水乃に対して、俺は宣告した。

「水乃はこれから、俺に犯されるんだよ」
「え?」

 ドンッ
 水乃がそう言ったとき、俺は水乃の身体を突き倒した。
 倒れた水乃の上に馬乗りになる。

「ちょ、ちょっと緑君!!」

 水乃は俺を突き飛ばそうとしてきた。
 だが、その手を逆につかみ地面に押さえつける。

「コンピューターガールは自分に対しても冷たいんじゃないのか?」

 俺は水乃の手を押さえつけたまま言う。
 コンピューターガールとは水乃が昔持ってた異名だ。

「なに言ってんのよ緑君。やめなさい。あなたのやってるのは犯罪行為よ」

 水乃はもがくが、俺をはねのけるほどの力はない。
 俺は水乃の胸を服の上から揉んだ。

「やっ、い、痛っ」

 力任せに揉んでいるので痛いのは当然だ。
 水乃にはちゃんと痛みを感じてもらう。
 水乃の着ているタンクトップを押し上げる。
 動きやすそうなスポーツブラが水乃らしい。
 ついでにこれも押し上げると、プルンとした水乃の胸が露わになった。
 その先にある、ピンク色の乳首をぎゅっと摘む。

「痛っ!!」
「痛いのか?ならこれならどうだ?」

 俺はそう言って摘むのを止め、代わりに親指の腹で擦りはじめた。

「ちょっ、止めなさいよ!!」

 何度も擦ってると、それは段々ピンと自己主張をはじめた。

「たってきたぞ、感じてるのか?」
「そんなわけないでしょ!!こんな無理矢理!!」
「そうか?なら、調べさせてもらう」

 そう言って、俺が腰を前に進めたときだった。
 何かに頭を捕まれた感触がすると、俺はそのまま後ろに飛ばされていた。

「うおっ」

 ドン

「痛つ・・・」

 起きあがるとそこにはすでに水乃の姿はなかった。

「やるな、水乃」

 俺は慌てず騒がず水乃の無意識に暗示を送り込む。
 すでに水乃は見えていないが、水乃の意識は感じてるから問題ない。

『水乃はこの公園から出ることは出来ない。それと助けを求めることと悲鳴を上げることもできない』

 俺は作業を終えると水乃を追って歩き出した。




 水乃は走っていた。
 押し上げられていたブラとタンクトップはとっくに元に戻し、この場から逃げようとしていた。

「どうなってるの・・・」

 しかし、水乃は何処へ行っても公園の出入口を見つけられなかった。
 よく来ている公園のはずなのに出入口を見つけることが出来なかった。
 出入口が見つからなくても公園なので何処からでも出られるはず。
 水乃はそうも思い、茂みに飛び込んでいったが行けども行けども外に出られない。
 本人は気付いていないが、水乃は茂みをぐるぐると回っているだけだった。

「あそこは?」

 水乃は緑松と初めてあったときに教えた秘密の抜け道へ向かっていった。
 しかし、そこには抜け道などなくただ茂みが広がっているだけだった。

「嘘・・・」
「無駄だよ、水乃」

 水乃が振り向くと、裏緑が立っていた。

「緑君・・・」
「水乃はここで俺に犯されるんだ」

 そう言って裏緑は水乃を再び押し倒した。

「んむっ」

 そのまま水乃の口を塞ぐ、噛まれては困るのでまだ舌は入れなかった。
 俺は片手で水乃のタンクトップをまくると、ブラをはずした。
 そして、水乃の乳房を片手で揉む。
 その刺激に水乃の目が大きく見開かれる。

「んぅっ、んーっんっ!!」

 水乃は暴れるがその程度では俺は離れない。
 口にもう片方の乳首を含む。
 そして、舌で乳首を弄くる。

「止めなさいよ緑君!!」

 丹念に弄くるとだんだん乳首がたってきた。

「やめてと言いながらたってきてるぞ。ほんとはもっとやって欲しいんじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ!!早く止めなさい緑君!!」

 やめろと言われてやめる馬鹿はいない。
 俺はもう一方の手を水乃の股に持っていった。

「くっ、このっ、何で動かないの!?」

 俺は手の代わりに念動力で水乃の身体を押さえている。
 水乃も押さえつけられてる感触はあるはずだ。

「これもあなたの仕業ね、馬鹿なことは早く止めなさい!!」

 くく、その気丈さがどこまで保つかな?
 俺は乱暴に水乃のはいている短パンを脱がすとパンティの上から水乃の秘所に触れた。
 当然の事ながら、そこは全く濡れていなかった。

「わかるか?これからここに俺の物がはいるんだぜ」

 俺は布地の上から水乃の割れ目をなぞった。

「やっ!!やめなさいっ!!」
「何処までそんなことが言ってられるかな?」

 そう言って俺はパンティを破き、水乃を四つん這いにさせた。

「あっ!」
「この方が無理矢理って感じがするだろ?」

 水乃を四つん這いにしたままで俺はズボンを脱ぐ。
 俺のモノは元気にいきりたっている。

「そ、そんなものはいんないわよ!!」

 俺のモノを見た水乃は叫ぶ。
 タンクトップ一枚で四つん這いになっている。
 まあ、俺がやったものだが・・・。

「入れてみればわかるさ・・・」

 俺は水乃の秘所に俺のモノをもっていく。

「ひっ、や、やめなさい・・・」

 俺のモノが水乃の秘所に触れると、水乃はそう言ってきた。
 しかし、さっきまでの勢いはなく少し怯えてるようだった。
 ようやく、怖がってきたか・・・。
 俺はじらすように肉棒を水乃のに擦りつける。
 さらに水乃に覆い被さるようにして、タンクトップの中に手を入れ胸を揉む。

「・・・・!!!」

 水乃は悲鳴でも上げるように大きく口を開けた。
 しかし、叫びは声にならず、水乃が口を開けただけだった。

「な、なんで・・・?」
「お前は助けを求めることも悲鳴を上げることもできないんだよ」

 その綺麗な顔に驚愕の表情を浮かべてる水乃に俺はそう宣告した。

「緑君・・・ねぇ、冗談でしょ? やめてよ・・・」

 水乃は状況を理解したのか俺にそう言ってきた。
 見ると水乃の身体はがたがたと震えていた。

「残念ながら冗談じゃない。俺は本気だ」

 それだけ言うと、俺は水乃の中に突き進んだ。

「〜〜〜〜!!!」

 水乃は痛みからか絶叫を上げようとするが暗示のため声にならない。
 結果、陸に上がった魚のように口をパクパクと動かすだけだった。
 突き進んでいった俺のモノは奥で何かの抵抗を感じ、一度そこで止まった。
 水乃の中はきつく、俺のモノの締めつけてくる。
 当の水乃は初めてで痛いのかぎゅっと目をつぶり、歯を食いしばっている。

「じゃあ、いくぞ」

 俺はそう言って、きつい水乃の中を更に突き進んだ。
 プチプチッ

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 何かを突き破る感覚と共に水乃は更に大きく口を開いた。
 そしてしばらく俺達はそのままでいた。

「もう・・・やめて・・・」

 水乃が呟いた。

「そんなに言うんだったら、お前から抜けばいい」
「あなたが抑えてるから、抜けないんじゃない・・・」

 水乃には最初の勢いはすでになく、静かに呟くのみだった。

「分かった、なら抑えない」

 俺は繋がったまま仰向けになる。
 すると、仰向けの俺の上に水乃が座ってる体勢になる。

「俺はこのままこうしているから、やるのがいやだったら俺のモノを抜けばいい。だが、抜かないんだったらこのまま続ける」

 俺はそう言うと、暗示を送る。

『俺のものが水乃の中から抜けそうになると、水乃の手足に力が入らなくなる』

「ほんと?」

 水乃が聞いてくる。
 何か、もの凄く幼い感じだ。

「ああ、ほんとだ。約束する」

 俺がそう言うと、水乃は両手両足に力を込め、俺のモノを抜き始めた。

「んっ、〜〜〜!!」

 暗示が効いているので、悲鳴は出ない。
 ズズッ・・ズッ・・。
 水乃の中から俺のモノが抜け始める。
 後少しで抜けそうになったとき・・・。
 ズブズブッ
 水乃の身体が落ちてきた。

「〜〜〜〜〜!!!!」

 水乃はまた口をパクパクと動かした。

『え、何で?』

 水乃は困惑に満ちていた。
 水乃は再び抜こうと挑戦する。
 ズズッ
 しかし、抜けかけたところでまたも落ちてしまう。

「〜〜〜〜〜!!!!」

 その後水乃は何度も繰り返したが、俺のモノが抜けることはなかった。

「どうした?抜かないのか?」

 俺は余裕を持って聞く。

「抜けない・・抜けないよぉ・・・何でぇ・・・・抜きたいのに抜けないのぉ・・・」

 だいぶ参っているようだな。

「抜かないって事はこのままやって良いって事だな?」
「やるって、まっ、〜〜〜〜!!」

 俺は水乃の返答を待たないで腰を突き上げた。
 ズンッ、ズンッ!!

「〜〜〜〜〜!!」

 水乃の腰が跳ね上がる。
 俺は水乃から抜けないようにしっかりと水乃の腰をつかんだ。
 水乃の中は全く濡れてなく、動くと水乃が痛みにもがく。

『痛いっ、痛い!!』

 水乃の叫びが響いてくる。
 俺はそんな水乃には構わず、ただ己の快楽の為だけに動いた。
 ズッ、ズッ、ズッ、ズッ。

「〜〜〜〜〜!!」
『止めて、止めてよぉ・・・』

 水乃は懇願してくる。

「俺はチャンスをやったぞ。だが、水乃は抜かなかったじゃないか」
『あれは違っ、痛っ!!』

 ズリュ、ズリュ、ズチュ
 水乃の初めての血が潤滑油の代わりになって、少し楽になった。
 水乃の中は熱く、俺のモノを刺激してくる。

「何が違うんだ?お前は抜かなかった。つまり続けて欲しかったんだろ?」

 俺が言うと水乃は違うと言いたいのか、それとも擦れて痛いのか、いやいやをした。
 腰の辺りから熱いモノがせり上がってくる。

「水乃!!だすぞ、しっかり受け止めろ!!」
『え、出すって!?いや、やめて、嫌っ!!」

 ズンッ!!

「〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 ドクッドクッドクッ・・・。
 俺は肉棒を水乃の奥まで突き刺すと、水乃の叫びを無視して白濁液を水乃の中に放った。 
 水乃は大きく口を開いた。

『嫌ぁ・・・』

 水乃は俺と繋がったまま、泣き崩れていた。

 
 


 

 

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