つい・すと


 

 



3日目・夜1 盲従


 コテージに戻ると、ちょうど奥から出てくるミリアと鉢合わせした。

「お帰りなさいませ、皆様」
 しなやかな動きでおじぎをしたミリアは、顔を上げて話を続けた。
「皆様、よろしければ皆様がお持ちになっているお召し物をお預かりしても良いでしょうか。夕食の準備の後に残りの洗濯を致しますので、ご一緒にさせて頂ければ」
「本当? ありがとう」
 一も二もなく俺は承諾した。すっかり忘れていたが、トランクスの替えがないのだ。
 千晶達は少し迷ったようだが(女にはいろいろあるのだろう)、結局はミリアの言葉に甘えて、洗濯してもらうことにした。

 その時、四人のスマホが震えた。俺は抱えていた荷物を脇に置き、太もものスマホを取り出す。




『洗い漏れがないようにするため、お持ちの衣服は未使用のものも含めて、全てご提供下さい。』



 顔を上げた俺達に、ミリアは言葉を続けた。
「水着モニターのこともありますので、今しばらく水着をご着用のままでお願いします。皆様の水着は特殊加工していますので、一旦真水で洗い流して頂ければ、不快感なくお過ごし頂けるかと思います。もし気になるようであれば、上から備え付けの浴衣を羽織って頂いても問題ありません。後ほど新しいお召し物もお貸ししますので」
 言われてみて気づいたが、身につけたままの水着は既にかなり乾いてきていて、男物の水着でも感じるような、特有の不快な感触が全くなかった。さっき、海岸近くのシャワーで塩っ気と砂を流しただけなのだが。
「お部屋に洗濯物用のポリ袋を置いておきましたので、そちらに衣服を詰めて部屋の外に出しておいて下さい。あとで回収に伺います」



 ベッドの上に置いてあったポリ袋は二つあり、俺と千晶は別々に、洋服や下着を詰め込んだ。トランクスや靴下はもちろん、まだ着ていないシャツやズボンも、自前の水着も、何も考えずに突っ込んだ(そもそも体型が変わった俺が着れるものではないが)。袋は口を縛って、部屋の外に出しておいた。
 海岸のシャワーで若干手間取ったのもあって(初めて使うせいでもあったが、使い勝手が今ひとつだったのだ)、昨日と同様に水着のモニターアンケートを埋めていると、あっという間に夕飯の時間になっていた。

 ダイニングに集うと、四人とも水着の上に浴衣を羽織っていた。中は水着なので、考えてみれば奇怪な格好だったが、水着に不快感がないので、ほとんど気にならない。単に下着を着ているようなものだ。
 椅子は元の仕様のものに戻っていた。料理はイタリア料理のコースで、やはりとても美味しかった。それにしても、この料理はまさか、全部ミリアが作っているのだろうか。フランス料理、和食、イタリア料理の全てがこんなに高い水準で作れるというのは、とてもすごいことだと思うのだが。これがプロというものなのか。



 そんなことを考えながらも、和やかに夕飯は進んでいった。そしてデザートを食し終わり、ミリアが食器を下げる。と思ったら、すぐにミリアがダイニングに戻ってきた。
「皆様、これから締めのアトラクションがありますので、奥の部屋にご案内致します」
 と言った。

 何となく、予想はしていた。それは千晶達も同じだったようで、ミリアの言葉を抵抗なく受け入れていた。



 俺達が案内されたのは、一階の奥だった。今朝、水着に着替えた二つの部屋がある通路をさらに奥に進むと、突き当たりに扉があった。入口にランプ型の明かりと、小さい棚がある。
 そこで、ミリアが振り返った。

「ここから先は、浴衣をお脱ぎ下さい」

 そう言われ、俺は腰紐に手をかけた。
 合わせ目が外れ、中からピンクのワンピース型水着がのぞく。フリルがついていてあまりにも女らしいそれは、自ら目にするとやはりとても恥ずかしい。が、浴衣を許可されなくなった以上、それをさらす以外の選択肢はなかった。

 そして同時に、俺の身体が目に入る。Aラインの水着は体のラインをある程度隠してくれているが、それでもDカップに育ったおっぱいが存在感を示している。それは、自分自身のものでさえなければ、とても魅力的に映っただろう。

 思考から逃れるために、俺は千晶に目を向けた。千晶も腰紐を外し、肌色の胸元が露わになっていた。一瞬、上半身が裸であるような錯覚をしてしまうが、股間に赤い布を見つけ、千晶の水着の形状を思い出した。そして、気づいた。千晶も、恥ずかしがって脱げないのだ。
 俺は千晶に近寄り、
「ほら、後ろ向け」
 とささやく。千晶はその言葉に素直に従い、ゆっくりと半回転した。俺は浴衣の襟に手をかけ、ゆっくりと肩から引きはがした。
 Fカップに「改造」された、鞠のようなおっぱいが二つ。その中心線には赤い布がかかり、最も恥ずかしい突起を覆っているが、その突起は二つとも、布を押し上げて存在をアピールしていた。赤い布は千晶の股間に向かい、その中心を覆い隠しつつも、むしろそこに目を引かせる矢印のように、いやらしい部分を強調していた。



 ――犯してぇ。



 一瞬、凶暴な思いに囚われる。しかし、むき出しの本能はすぐに、俺の理性に覆い隠された。



 顔を上げると、ミリアはマコト達の浴衣を抱え、俺の側にいた。俺と千晶の浴衣を手渡す。
 マコトは黒のバンドゥビキニを着用している。肩紐がなく、密着して支えるブラなので、小さいながらも胸の谷間が目立つようになっている。隣に立つ叶は黒を基調としながら、明るい紫で縁取られたO型モノキニだ。今の千晶すら超えるHカップの胸が、その性的魅力を存分に訴えていた。

「スマートフォンもこの小棚にお置きください。お部屋では不要ですので」
 ミリアの言葉に従って、俺達はケースごとスマホを棚に置く。
「そうしましたら、中にお入り下さい」
 ミリアが左手一本で扉を開き、俺達は部屋の中に入った。しかし、ミリアはそこに続かず、
「ここでしばらくお待ち下さい。すぐに戻って参ります」
 と言い残し、扉を閉めた。



 途端に静寂が襲い、俺達は部屋を見渡した。
 だだっ広いだけの部屋、というのが第一印象だった。ざっと十二畳ほどの広さだが、目につくものといえば、少し奥の方にある白い四つの座椅子だけ。壁も同様に白く、無機質な印象を与える。それでいて部屋は何となく薄暗い、と思ったら、どうやら間接照明のようだ。四方の壁が下側から照らされ、若干不気味に思える。
 その薄暗い部屋が、少し明るくなった。と思った、その時だった。
「あれ……?」
 身体の奥が、ぽかぽかと、熱を帯びてくるのを感じた。それは、数秒のうちにはっきりとした形になり、お腹の奥……いや、マンコの奥の方で燃え盛りだした。
「何だ、これっ」
 その熱をはっきり感じるにつれて、全身から力が抜けていくのを感じる。すぐに膝が折れ、俺はへたり込んでしまう。
 千晶達の方を見ると、同じようにお腹に熱を感じた様子で、ぺたりと座り込んでいた。マコトは最後まで踏ん張っていたが、
「ああ、ダメだっ」
 結局同じことになる。
 そして、気づいた、千晶達の頭上の花が、もちろん俺の頭上も、白く光を放っている。部屋が明るく感じたのは、そのせいだった。

 身体がどうなっているのかは、分かる。
 発情していた。しかも、強烈に。俺の身体が、性を求めている。千晶も、マコトも、叶も、一緒だ。
 ワンピースの水着の中で、女乳首が尖り、マンコが開いていくのを感じる。

 俺は部屋の奥に入りすぎていたので、何とか千晶達のところに戻ろうとする。立てないので、床を這って近づいた。
「あうっ! あんっ」
 しかし、おっぱいが水着越しに床に擦れて、変な声を漏らしてしまう。それでもケツを振りながら、何とか三人の元にたどり着いた。

 奇しくも昼過ぎと同じ並びで、四人で囲むように座る。四つの淡い光りで、俺達の全身が照らされる。

 正面に座るマコトは黒のバンドゥビキニで、口を半開きにして発情を耐えている。ガチガチの乳首がビキニを押し上げていた。
 右に座る千晶は、荒い息をついている。今日あった身体の改造に加えて、発情で一段と大きくなった乳首がV字のスリングショットの生地を押し上げていた。力が入らないはずの身体をタテに揺らしているのは、きっと乳首の感覚を楽しんでいるんだろう、と思った。実際、おっぱいが良く揺れて、乳首が擦れているのが見える。
 左に座る叶は、上を向いてロケットおっぱいを突き出すようにし、「ぅー」と低い声でうめいている。モノキニにはやはりはっきりと乳首が浮き上がり、我慢できないのか腰が横に動いている。
 そして俺は――余計な刺激を受けたせいで、ワンピースの水着の上からマンコを抑えようとしていた。しかし、それすらおっくうで、指が上手く動かない。
 部屋は狭くないはずなのに、発情した四つの女体のせいで、メスの臭いが辺りに充満しつつあった。

 そして四人――間違いなく、俺も含めて――の顔に浮かんでいたのは、「これから、どうなるんだろう」という、不安――ではない。期待。この淫靡な空気は、締めとなる「アトラクション」の始まりにふさわしい、刺激的なものだった。



「お待たせしました」
 ミリアの声が響き、俺達は入口に目を向ける。そこには、
(……すげぇ)
 黒のO型モノキニとヘッドドレスを着けたミリアが立っていた。モノキニは叶が着けているより遙かに生地が小さく、ミリアの素晴らしいプロポーションがはっきり見て取れた。そしてよく見るとモノキニは水着ではなく、ドレスのようだ。腰の後ろに延びる、レースのマーメイドスカートがついている。
 ミリアは扉を閉めて、後ろ手に鍵をかけた。途端に、頭上が赤く光る。俺の頭の中に、声が響く。

 ――イスニ、スワレ――

「「「「はい、いすにすわります」」」」

 四人の声が揃い、俺達は座椅子に向けて動き出した。







 僕が一番座椅子から遠かったので、一番後ろをついて行くことになった。
 僕も、みんなも、動かない身体に鞭を打って腰を上げる。四つん這いになろうとして、やっぱり無理で、ほふく前進のようにして何とか進んでいく。
 僕の位置からは、正面にシュンの、左にちーの、そして右に叶のお尻が見える。僕の頭上の明かりに照らされ、三人ともおまんこ汁が水着にしみ出しているのが分かった。そして僕のおまんこからも、汁が溢れる感覚がある。その時の僕には、全部どうでもいいことだったけれど。
「あん」
「はうっ」
「やぁん……」
 上半身を這って進んでいるので、おっぱいが床に擦れる。みんなからも甘い声が上がる。僕の乳首も、布越しに擦られている。身体をビクビクさせながら、必死にお尻を振って前に進む。椅子に座ることしか考えられない。

 ついにシュンが、一番奥の椅子に到達した。お尻から横に倒れ込み、渾身の力で上体を起こす。
 上体が背もたれに乗った瞬間、
「あ、あああ」
 シュンが震えだした。頭が真っ白になったような、崩れきった表情をさらしていた。そのままかくん、と椅子の中で崩れ落ちる。
「ひんっ」
 続いてちーが、
「おおおっ」
 そして叶が、椅子に到達して身体を震わせ、気を失った。ちーと叶の股間から、液体が噴き出すのが見えた。僕はその姿を見て、僕も「ああ」なるんだな、と何となく思った。
 僕は座椅子の右側に到達して、身体を九十度左に倒し、お尻を椅子の上にのっける。椅子から、ビート板のような感触がした。右腕で椅子の上端をつかみ、左腕を何とか突っ張って、上体を起こす。左足を持ち上げて、椅子の前に足を伸ばす。するとその勢いで、すっぽりと背中が背もたれに入った。
「あ」
 頭の中が、フリーズさせられた。強制的に。
 頭の中に花から快楽が流し込まれて、代わりに頭の中身がすうっと、真っ白になっていく。全てが、消えていく。
「あああ」
 抜け殻になった僕の身体は、抜け殻になったことを喜んだ。顔が、胸が、背中が、腕が、腰が、おまんこが、お尻が、膝が、足が、突き抜ける快楽に嬉々とした悲鳴を上げる。
 僕はそれを理解できない。理解できないことが、気持ちいい。
「あーーーーー……」
 僕はそのまま、真っ白を受け入れて、意識を失った。

 
 


 

 

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