つい・すと

〜Twin Story〜


 

 



1日目・夜 解放


「上がりましたー」
「クソっ」
 マコトの手札がなくなり、俺はうなだれる。先に上がっていた千晶と叶が笑う。
 七並べを四ゲームやったが、今日は運と調子が悪く、二回ドベを引いてしまった。そして千晶と叶は離脱の意思を示す。この二人も小学校の時のよしみで仲が良い。ベッドの方で話し込むのだろう。
 マコトがレズなのは中学生の時から知っていたが、叶もレズだ、と俺と千晶が知ったのは大学に入ってからだ。しかし、だからといって千晶と叶の関係が変質したわけでもないようで、二人が談笑するその様子は典型的な「女友達」のそれだ。主に叶の方ばっかりしゃべっているが、千晶はそれでいいというのは俺もよく分かっている。楽しくなるほどに、却って口数が少なくなるのは千晶の習性だ。そのおかげでとても子供っぽく見えるのだが、それは本人には言ってない。
 二人の反応を受けたマコトは、今度は鞄から将棋盤を持ち出した。俺とマコト(千晶もだが)は小さい頃から室内・室外の別に限らずよく遊んでいて、ボードゲーム系もよくやる。駒をさっと並べて、早速指し始めた。



「んー……」
 厳しい局面になり、顎に親指を当ててマコトが考え込む。マコトが前傾姿勢になり、自然に、マコトの全身が目に入った。
 マコトの顔は風呂とアルコールのせいで赤らんでいる。日中より女っぽく見えるが、それは赤らんでいるためというよりは、多分サングラスを外し、化粧を落としているためだ。
 マコトは化粧で中性的に見せているが、化粧を落とした今の姿を見れば、誰でも美女と言うだろう。特に、170cm前後もある長身(ちなみに俺は175cmだ)に、綺麗な腹筋と腰のくびれはファッションモデルのようだ。……いろいろともったいない、と思うが、もしこれが「もったいなくない」なら、俺と千晶との関係もきっと違うものになっていたはずなので、複雑な思いがある。

 マコトの指が、持ち駒を掴んだ。長く綺麗な指だが、その動きは、意識的だろうか、男らしく雑になっている。マコトはそれを盤面に打ち……
「……あっ」
「待ったなしだぞ、マコト」
 即座に牽制する。受け間違えて、マコトの玉が既に詰んでいる――負けが決まったことに、打った直後に気づいたのだろう。



「あー楽しかった」
「そうだね」
 遊びがお開きになり、俺達は自分達の部屋に戻ってきた。奥の扉は両側から施錠され、最早開かない。
 俺と千晶は、マコトと叶とは大学が違う。大学に入ってから一人暮らしを始め、立地が良いマコトの家には良く行くが、叶まで含めた四人が揃うことはかなり珍しかった。遠出して旅行をするのは実に春休み以来だ。千晶も久しぶりに叶と話し込んだようで、満足げだった。

 夜の自前の「アトラクション」も終わり、本格的に寝る準備に入っていた。もちろん、この場合の「寝る」は、アレな意味だ。千晶がピルを飲んだことを目前で確認し(本当は夕食後に飲むものだが、忘れていたようだ)、俺はトイレに入った。

 トイレから戻ってくると、スマホが震えた。見ると通知が届いている。開いた。



『本日はお疲れ様でした。これが本日最後の通知になります。
 お客様がお泊まりの部屋は防音仕様となっておりますので、外に声が漏れることはありません。
 今夜は性欲を全開にしてお楽しみ下さい。』



 顔を上げる。ベッドの側で、同じくスマホをのぞき込んでいた千晶と目があった。千晶の瞳は、見る間に情欲に染まっていく。俺の理性の箍が外れるのを感じる。
 俺はそのまま千晶に近づく。
 磁石が引き合うように、俺達は抱き合った。



 千晶を抱きしめたまま、ベッドにダイブするように飛び込む。
 ベッドに全身を乗せきるかどうかというタイミングで、俺は千晶の唇を奪っていた。舌を差し入れるが、千晶は全く抵抗せず、うめき声を上げている。長年の経験で、それは苦しみから来るものではないと分かる。
 一息つく間もなく、俺は千晶の耳に狙いを定めた。
「はんっ!」
 驚声と嬌声の混じった音が漏れる。耳の奥まで舌を差し込むようにしつつ、不定期に音を立てて吸い上げる。千晶は耳を犯されるのが好きだが、ここは長すぎると嫌がる。早々に切り上げて、首もとに狙いを変える。
「んはぅ……」
 首もとを舐めると、音が漏れるような、湿った声が響いた。ここをちろちろと舐めていると、そのうち、千晶の腕が俺を抱え込むようになる。
 ぎゅっ、と強く抱きしめられるのを感じる。今日の愛撫順の場合は、これで抱きつきが強いときは激しく、弱いときは時間をかけて責めるのが正しい対応だ。千晶には教えてないが、それが千晶のクセだった。
 俺はキャミソールの肩紐に指をかけようとし――そこで、部屋が明るいままであることに気づいた。普段なら電気について聞くべきところだが、今日はもう我慢が利かない。それどころか、却って千晶をまじまじと見たくなった。
 抱きつかれているのを利用し、千晶の上半身ごと起き上がる。千晶は一瞬きょとんとしたが、俺が両肩紐に手をかけたのを見て、意図が分かったらしい。
 千晶が両腕を俺から離して、真横に下ろす。俺は一呼吸置いて、――肩紐を一気に下ろした。
 キャミソールに隠されていた千晶の双乳が、一瞬にしてさらけ出される。
 Cカップは綺麗な山の形をしており、両乳首はすでに大きく、固くなっていた。
「――っ」
 途端に、千晶は羞恥で下を向く。同時におっぱいを隠そうと反射的に両腕を持ち上げたが、当然俺が阻止した。何百回――いや、見ただけも入れたら千回は超えるか――見られていても、明るいところでおっぱいを晒すのは恥ずかしいらしい。
 千晶が反射的な抵抗を諦めたのを確認してから両手を離し、俺は自分の浴衣を脱ぎ、トランクス一枚になった。既にチンコがガチガチなのが外見からも分かる。
 俺の身体が一瞬でも離れると、千晶は少し冷静さを取り戻してしまう。それが分かっていたので、今度は座ったまま、さっきと反対側の耳を狙った。すぐに千晶の声が蕩けだし、興奮状態に陥る。
 犯した耳に、命令のように言葉を吹き込む。

「しゃぶってくれ」

 俺は千晶と手を繋いだまま、ベッドに腰掛ける。千晶が俺の股間に座ったのを見て、俺は両脚で千晶を軽く挟み込むようにし、手を離す。千晶と離れないためだ。
 千晶はずり落ちたキャミソールを腰に引っかけたまま、俺のトランクスに手をかけた。腰を浮かせて協力してやると、俺の固く大きくなったチンコが千晶の目の前にさらされる。千晶もこれを明るいところで見たのは久しぶりのはずだが、表情は変わっていない――いや違う。目がらんらんと輝いていた。
 セックスの時、千晶は感じているとき以外は割と表情が乏しいのだが、目が輝いている時の千晶は完全にセックスモードに入っている。こうなれば千晶は、どこまででも俺の刺激を受け入れていく。もっとも、千晶はこんな状態でも、指示しないと動いてくれないのが玉に瑕だが。

 じゅぷっ、じゅぷっ、と音を立てて、千晶は俺のチンコをしゃぶり出す。俺は、足を大きく開いた。千晶が咥えやすいようにするためだが、それだけではない。
 千晶はフェラをするとき、口だけで奉仕し、両手は使わずに俺の太ももに乗せる。そうすると、部屋の電気がつけっぱなしの今、千晶の無防備な上半身が俺の前にさらされるのだ。
 固く大きくなった両乳首も、柔らかいおっぱいも、触るとなめらかなお腹も、何の障害物もなく、千晶はさらしている。千晶がチンコに集中して、他のことに気が向いてないからだ。勃起した乳首や、上気した肌は、明らかに千晶自身への刺激を求めていた。しかし千晶はその自覚がないかのように、俺のチンコへの刺激しか行っていない。
 チンコに絡みつく舌の刺激が、背骨を通って脳髄を揺さぶる。その感覚も気持ちいいが、俺は何より、そんな千晶の様子を見るのが好きだった。

 俺は奉仕に必死な千晶の頭をぽんぽん、と叩く。それは「ストップ」の合図だ。千晶は機械のように口を開き、ゆっくりと顔を離す。千晶の涎にまみれたチンコがぽろん、と口からこぼれた。
 俺は千晶の肩口から両手を差し入れ、千晶の乳首を擦った。
「あんっ!」
 はっきりとした嬌声を上げ、千晶が俺にしがみつく。そのまま何度か乳首を弾くと、「あん、あん、あん、あんっ!」と楽器のようにあえぎ声を漏らした。
 俺はしばらく千晶の身体で遊んでから、両肩に腕を入れ、千晶を持ち上げた。千晶は既に腰が立たなくなっているようで、されるがままになっていた。千晶の身体を俺の身体に乗っける形で、再びベッドに転がる。

 千晶のキャミソールを上から抜き、ホットパンツとショーツを下ろす。ショーツは少しだけ透過性のあるシンプルな作りだったが、当然ながら既に用をなしていない。
「このまま、上でするか?」
 俺の提案に何も言わず、千晶は俺のチンコに手を伸ばした。それは肯定の仕草だ。フェラとその後の刺激で、もうたまらなくなっているのだろう。そして、それは俺も同じだった。
 慣れた手つきで俺のチンコを持ち上げて自分のマンコにあてがい、千晶は腰を下ろした。
「ぁぁぅっ」
 苦しげな、それでいて待望のものが来たと言いたげな音を漏らし、俺と千晶は繋がった。

 千晶のマンコは、多分小さめだと思う。他の女を抱いたことはないから、比べられないが。
 千晶は一見辛そうに眉をひそめている――実際はかなり感じている顔だ――が、千晶のマンコは俺のチンコを愛おしむようにぜん動しているのを感じる。一刻も早く、快楽を欲しているのだろう。その動きが、心の「オスの部分」を刺激する。たまらず、突き上げた。
「はうっ!」
 千晶がおとがいを逸らす。おとがいが戻ってくるのを待たず、連続で突き上げた。
「はん、お、おぅっ」
 長い髪が揺れ、後ろに倒れそうになりながら、獣のようなあえぎ声を放つ千晶。俺の征服欲が刺激され、俺はその体勢を維持させるように、下から犯し倒してやる。
「おお、おお、おぅっ! おおおおっっっ!!!」
 ビクンビクン、と全身を震わせ、千晶はなすがままにされる。千晶の無防備な裸体が再びさらされ、おっぱいが揺れている。俺は目と耳とチンコで千晶とのセックスを愉しんだ。

 しばらく千晶を弄んでいた俺だが、千晶の腕に振りかぶるような力が入り出したのを見て、止める。それは、「苦しい」の合図だ。ちょっとやり過ぎた、と思いつつ、千晶の腕を優しく引っ張り、胸元に抱き留めた。
「大丈夫か?」
 千晶は何も言わない。表情は少し拗ねているように見えたが、視点は定まっていなかった。取り繕いきれないくらいに感じていたことが分かる。

 こういうときにさらに追い込むと本気で拗ねられるので、しばらく胸に抱き留めてやる。結合は解かれていないが、千晶の動きに獣欲が満たされた俺には若干の余裕があった。

 数分くらいそのままでいたが、やがて千晶がのそのそと動き出した。
 様子を見ていると、
「んっ」
 千晶は結合を一度解き、後ろを向いた。綺麗な背中とケツが俺にさらされる。
 そのまま再び、俺の股間に座り込んで、チンコをマンコに咥えた。
 千晶はそのまま後ろに倒れ、俺を布団の代わりにして寝転がる体勢をとる。
 そして千晶は、ゆっくりと腰を振り出した。
「はうぅっ……あんっ」
 大きな動きではないが、動く度に千晶は激しく震え、感じ入った声を漏らす。千晶の動きに合わせて俺が動くと、
「はあうっ!」
 さらに全身を震わせた。

 この背面騎乗位は、千晶が大好きな体位の一つだ。結合は浅いが、千晶のとても感じるところに当たるらしい。千晶はこの体位が好きすぎて、イキづらい体勢にもかかわらず、二人で一ヶ月以上練習して達する練習をした。おかげで、今では二人ともこの体勢でフィニッシュを迎えることはたやすくなっている。
 千晶が小刻みに腰をグラインドさせる。
「あんっ! あんっ! 気持ちいいっ!」
 僅かな動きにそぐわない大きな声が漏れ、ついに「気持ちいい」という言葉が出た。それは、このままフィニッシュしたいということだ。
 俺は腰を動かさず、そこで初めて千晶のおっぱいを掴んだ。仰向けのため、柔らかい千晶のおっぱいは少し縮んでいるが、それでも特有の快楽を両手に感じる。
「はああっ、はああっ、あうううっ」
 感じ入った様子で、千晶は同じグラインドを続ける。俺は左手をおっぱいに残したまま、右手を股間に差し入れた。クリを優しく擦ってやる。
「んっっ!!!」
 ビクン、ビクンと二度、千晶の身体が跳ねる。
「あっ、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいいっ」
 千晶は絶頂に向けて、まっすぐ盛り上がっていく。そして千晶の腰の動きに合わせて、俺も再び腰を使い始めた。

「はああっ、はああっ、はああっ、はああっ、あああっ、ああっ」
 単調とも思える刺激。しかしそれが、千晶の絶頂への道だ。実際、千晶の声はだんだん切羽詰まってきている。俺の身体も、合わせて高まっていく。
「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ、ああっ、ああっ、ああ、ああ、ああ、ああ、ああ、ああ」
「おおおっ」
 少しずつ、腰の動きが速くなっていく。俺の腰も止まらない。止められない。千晶のマンコを犯し尽くしたい。その思いに囚われ、頭が回らなくなっていく。
「ああ、ああ、ああ、ああ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、い、い」
 もうすぐだ。俺もこみ上げるものを少しずつ感じ、必死で我慢する。
「い、い、い、い、い、い、い、いく、いく、いく!」
 ついに、離陸が始まった。千晶のマンコがぐにゃり、と動いたように感じ、身体が激しい震えに襲われる。
 俺も歯を食いしばり、小刻みながらラストスパートに入った。左乳首とクリ、そしてマンコを必死で刺激した。
「いく、いく、いく、いく、いく、いく、いくいくいくいくっ………………うううあはあああああああああああんっ!!!!!」
 ぶしゅっ、とマンコから吹き出るものを感じる。潮だ。それを感じた途端、俺にも限界がきた。
「出るっ!」
 潮吹き後の絶頂に合わせるように、俺の精が解き放たれた。



 セックスで体力を使い果たして重い身体を引きずり、何とか掛け布団の中に潜り込む。
 千晶は呆然としていたが、俺の上を降りた後は俺にしがみつき、俺の胸に顔を埋めた。何も言葉を発しないが、それは俺の経験から考える限り、「満足した」というサインだった。千晶がセックスの時、無表情になったり無口になったりするのは、快楽に集中しているからなんだと思う。
 そんなことを考えているうちに、千晶からは寝息が聞こえ始めた。その音が耳に届き、自分の意識も混濁していくのを感じる。
 今日は、あまりに疲れた。運転といい、談笑といい、セックスといい、目白押しだった。
 電気がついていることが一瞬だけ気になったが、すぐに諦め、俺は素直に意識を手放した。

 
 


 

 

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