転落へのスイッチ


 

 



第2話




 翌朝。

 学校へ行く準備をして1階に降りる。

「おはよう、奈菜ちゃん」
「あら、今日は早いのね」

 ダイニングルームでは、あの男が当たり前のようにご飯を食べていた。

「さあ、奈菜も食べましょう」
「いらない」
「あっ、ちょっと、奈菜?」

 母さんが止めるのも聞かずに、そのまま家を出る。
 本当はそんなこと考えたくないしまだ頭が混乱してるけど、今の母さんは私の味方じゃないってことはわかってる。
 もちろん秋本と一緒にご飯を食べるのが嫌だっていうのはあるし、もしかしたら朝ご飯を一緒に食べるどこかにスイッチが仕込んであるんじゃないかと思うと怖くて一緒にご飯なんか食べられない。













「とにかく、どうやったら勝てるか考えないと……」

 独り呟きながら学校へ向かう。

 スイッチを回避するか、裏をかくか、耐えきるか……。
 昨日、あの男はそう言っていた。
 だけど、どんな仕掛けがしてあるかわからない。

「とりあえず、耐えるってのは危険よね」

 私のどんな行動にスイッチが仕込んであって、どんな結果になるのかわからないだけに、できるだけ引っかかりたくはなかった。
 それが耐えられるものだったらいいけど、もしも一回でアウトな結果になるものだったらそれで終わりだもの。

「やっぱり、できるだけスイッチに引っかからないようにするしかないわよね。……あれ? そういえば私?」

 今、普通に学校への道を歩いている自分に気づく。

 昨日は外に助けを呼びに行こうとしても出られなかったのに……。
 あっ! そうか!
 昨日あいつが言ってたじゃないの。
 私が助けを呼ぶつもりで外に出ようとしたら、自分の部屋に行くっていうスイッチを仕掛けてたって。
 ということは、助けを呼ぶつもりじゃなかったらこうやって外に出られるんだ!
 ってことは、いったん外に出てから助けを求めたらどうなるんだろう?

 ……うん、体は自由に動く。
 勝手に家に戻ろうとしたりしてない。
 だったら!





「……あっ! 絵美だ!」

 同じクラスで仲良しの絵美ちゃんが校門を入っていくのが見えて足を速める。

「絵美ーっ!」

 校舎に入ったところで絵美に追いつき、声を掛ける。

「あ、おはよう、奈菜。どうしたの、そんなに慌てて?」
「それが大変なのよ!」
「なんかあったの?」
「それがねっ……あなたが大好きです! ……って、ええっ!?」

 昨日から私の身に起きたことを説明しようとしたのに、口から出たのは告白のセリフだった。
 それも女の子同士で。

「やだ、奈菜ったら朝っぱらからなに言ってるのよ?」
「えっ、いやっ、そうじゃなくて……」
「ほらほら、ふたりとももうすぐホームルームが始まるぞ。早く教室に入りなさい」

 自分でもわけがわからなくて混乱しているところに、担任の佐藤先生が通りかかった。

 そうだ!
 絵美よりも先生に助けを求めた方がいいじゃない!

 そう思った私の口から出てきたのは……。

「あのっ、先生! あなたのことが大好きです! ……やっ、違う!」

 またも告白の言葉が出てきてしまう。
 自分で言おうとしたことと全く違うことを言ってしまっている。
 そこで気がついた。

 これって、あいつが言ってたスイッチじゃないの!?

 自分の思ってることと全然違う行動をしてしまう。
 それは、昨日のあれと同じ。

「なんだ? どうしたんだ、羽村?」
「あ、いや、なんでもないです」
「もう、奈菜ったら朝から変なのー」
「あ、うん、ちょっとね、えへへへ……」

 怪訝そうな顔をしてる先生と絵美をごまかして教室に入る。







 ……私が迂闊だったわ。

 その日、授業を受けながらずっと朝のことを考えていた。

 外で誰かに助けを求めようだなんて、そこにスイッチが仕掛けてあるに決まってるじゃない。
 冷静に考えたらそんなのすぐにわかるはずなのに、今朝は家の外に出ることができたからって舞い上がっていた。
 きっと、あいつのことや私の家で起きていることを誰かに話そうとしたり、助けを求めようとしたらその相手に告白するようなスイッチが仕掛けてあるんだ。

 ……よかった、まだごまかしやすい絵美や先生が相手で。
 もし、学校に行く途中で見知らぬ相手に助けを求めていたらと思うと、ちょっとゾッとする。

 とにかく、誰かに今の状況を説明したり助けを求めたりすることはアウトってことね……。
 だとすると、逃げるとかそういう行動にもスイッチが仕掛けてあると考えた方がいいわ。

 誰も頼れないし、逃げることもできないとなると、自分ひとりの力でスイッチを回避するか、その裏をかかないといけない。

 とりあえずスイッチが仕掛けてある可能性のある行動をできるだけ予想して、その行動を取らないようにしないと。
 そう思って、思いつく限りのことをノートにメモしていく。





* * *






 そして放課後、メモしたことを頭の中にたたき込んで学校を出る。

 とはいえ、あの男がいる家には帰りたくない。
 それと、もしかしたらという思いもあって家とは違う方向に向かおうとしてみる。
 とにかく、あいつがいない場所ならどこでもいい。
 行くあてなんかないけれど、電車に乗ってどこか遠くに行けたら、と思って駅に向かって歩く。

 だけど、その途中で一歩も踏み出せなくなった。
 それでも無理に歩こうとすると、私の意志とは裏腹に体が家の方に向かって勝手に歩きはじめる。

「やっぱり……」

 予想はしていたことだけど、こういう行動にスイッチが仕掛けてあるのは間違いなかった。
 私がどこかに逃げようとしたこと自体がスイッチなのか、それとも家からある程度離れることがスイッチになってるのかはわからないけど、これを避けたり裏をかいたりすることは難しそうだ。

 そうなると、家にいる間は余計な行動はしないほうが無難だよね……。

 学校にいる間考えたように、家ではスイッチの仕掛けてありそうな行動を極力避けるようにするしかなさそうだった。





 そうこうしているうちに、家の前に着いていた。
 気は進まないけど、玄関のドアを開けて中に入る。 

 ……なに? この声は?

 リビングの方から、なんか変な声が聞こえる。
 これって、母さんの声?

「……なっ!?」

 リビングに入って中の光景を見た私は、思わず言葉を失う。
 そこでは、母さんがあいつとセックスをしていた。

「あんっ、はぁあっ、いいっ、いいですっ! ああぁんっ!」

 裸のままテーブルに両手をついた母さんを、あいつが後ろから犯してる。

「ふぉおおおっ! そこっ、いいですっ、隆夫さまぁああっ!」

 同じように裸になったあの男が母さんのお尻を掴んで腰を振るたびに、母さんは聞いたことのない声をあげていた。

 なっ、なにしてるのよ!?
 とにかく、こんなこと止めさせないと!

 そう思って、一歩進み出る。

「なにをしてるのよ!? 私にもしてちょうだいよ!」

 ……えっ!?
 私いまなんて言ったの?
 ふたりのセックスを止めるつもりだったのに、口が勝手に!?

「もう、奈菜ったら、今は私が隆夫様にしてもらってるんだから少しは我慢しなさい……あんっ、はぁうぅんっ!」
「母さんばっかりズルいわよ! 私だってして欲しいんだから!」

 いやっ! 私そんなこと思ってない!
 なのに口が勝手に……って しまった! これって!

「これもスイッチなのね!?」

 そう気づいた私に向かって、あいつがニヤリと笑う。

「その通りだよ。僕たちのセックスを止めようとしたら、本人の気持ちに関係なく自分からセックスをねだるっていう仕掛けさ」
「……なっ!」
「しかも、そいつはいったんスイッチが入ったら僕とセックスを終えるまで解けないようになってるからね」
「そ、そんなっ!?」

 秋本が種明かしした仕掛けは、思わず吐き気を催すくらいにおぞましいものだった。
 今朝の学校でのあれとは比べものにならない。

 私、スイッチのことを、いや、この男のことを甘く見ていた。
 こんなとんでもないスイッチが仕掛けてあったなんて……。

 このままだと大変なことになる。
 早く逃げなきゃってわかってるのに、体が動いてくれない。
 それだけじゃなくて、またもや口が私の意志とは関係なく動く。

「だから私だってセックスしたいの!」

 いや、だからそんなこと思ってなんかないってば!
 私の口なんだから思ってないことを言わないでよ!

「もう、奈菜ったらしかたのない子ね。もう少し待っていなさい。……ぁんっ!」
「そういうことだ。いいからそこで僕とサトミのセックスを見てるんだ」

 そう言って秋本がニヤッと笑う。

 私はこんなもの見たくない。
 見たくないはずなのに……。
 なんで目が離せないの?

「ふぁああっ! 隆夫様のオチンポが子宮の入り口ノックしてますぅううっ! はぁあああっ、すごいっ! それっ、すごくいいですぅうううっ! あんっ、はぁんっ、もっと、もっとズボズボしてくださぁいいいいいっ!」

 ……お母さん。

 そんないやらしい声で、なんていやらしいこと言ってるの?
 それに、その表情。
 母さんのそんな顔、見たことない。

「ああっ、隆夫様のオチンポ、私のおまんこいっぱいに擦ってっ! ふぁぁっ、いいですっ、隆夫さまぁああああっ!」

 なんだか見てると心臓がドクンって高鳴ってきて、体が熱くなってくるみたい。
 ……ち、違うわよ!
 私、興奮なんかしてない。
 そう、興奮なんか……。

「隆夫様! 隆夫さまぁああああっ! わたしっ、もうイキそうですっ! ああっ、あふぅううううっ!」

 やだ……私の体なにかおかしくなってる。
 お腹の奥の方がじんって痺れてきて、息が苦しい。

「ふん、僕もそろそろイクぞ」
「はいぃいいっ! 来てください! 隆夫様の熱いザーメン、子宮にいっぱい注いでくださいぃいいいっ!」
「はぁはぁ……そんな……母さん……」
「……くっ! 受け取れっ、サトミ!」
「ふぅぁああああっ! 隆夫様のザーメンでイクっ! ああっ、イクイクイクぅううっ! イッてしまいますぅううううううっ!」
「……んんんっ!」

 秋本が思いきり母さんに腰を打ちつける。
 すると、テーブルに両手をついた母さんの体がキュッと反り返ってプルプル震えた。
 その瞬間、私の体をビリビリしたものが駆け巡っていったような気がして体を強ばらせる。

「あふぅうううううう……隆夫さまぁあああ……」

 テーブルの上にぐったりと突っ伏した母さんから秋本が離れる。
 母さんのアソコから床の上に、ドロッとした液体がボタボタと落ちていくのが見えた。

「さてと、じゃあ次は……」

 そう言うと、秋本がこっちを向いた。
 このままじゃこいつに犯される。

 ……に、逃げなきゃ、ここにいたらまずい。

 頭ではそうわかっているのに。

「もう、待ちくたびれたわよ。やっと私の番が来たわね」

 私の体は、自分から秋本の方に歩み寄っていた。

「あなたとセックスしたくてしかたがなかったんだから!」

 嘘よ! そんなの嘘なんだから!
 ……あっ、なによその勝ち誇ったような笑みは?
 私が本当はそんなこと思ってないのが、嫌がってるのがわかってて、それを楽しんでるんだわ!

「ふうん、本当かな? どれどれ……おや? 奈菜ちゃん、僕とサトミのセックスを見て濡れたのかい?」

 やっ! 違うっ!
 そんなはずないっ!
 そんな……はずが……。

「そうよ! 母さんとあなたのセックスを見てたら私も欲しくて欲しくて体が疼いて……んんっ! ほら、こんなに濡れちゃったじゃないの!」

 私の気持ちなんか完全に無視して勝手に動く体がアソコに指を入れて、目の前に突き出す。
 その指先はヌラヌラと濡れて光っていた。
 必死で否定したい私の心を、私自身の体が嘲笑っているみたいに。

「そっか、奈菜ちゃんはエッチなんだねぇ」

 こいつ! なんてわざとらしいのよ!?
 全部わかってて、わざと私から返事を引き出すつもりなんだわ!

「そうよ、私はエッチなんだから。だから早くセックスしてよ!」

 お願いだからそんなこと言わないで。
 私はそんな子じゃない。
 こんなことしたくないのに……。

「うんうん、で、奈菜ちゃんは今までセックスしたことあるの?」
「ないわよ。でもそんなこといいじゃない。私はあなたとセックスしたいんだから。私の初めてをあげるんだからいいでしょ」

 よくない!
 なんでこんなやつに大事な初めてをあげなきゃいけないのよ!?
 もうやだ! こんなのやめてよ!

 心の中でいくら叫んでもそれは言葉にならないし、体も思うようになってくれない。

「でも、初めてだったらもうちょっと濡らしておかないといけないね。じゃあ、パンツを脱いでそこに座って足を広げて」
「……こう?」

 きゃあああっ!
 なんて格好してるのよ!?

 私はパンツを脱ぎ捨てると、床に座り込んで両足を大きく広げていた。
 もちろんそんなことをするつもりなんかないのに、体がそう動くのを止められない。

「さてと、じゃあちょっと気持ちよくしてあげるね」
「……ふぁっ!? んふぅううううんっ!」

 やっ!? 今のなにっ?
 なんかビリビリって!?

「きゃふぅうううんっ!?」

 やだっ! これってアソコに指を入れてるの!?

「ぁんっ! それすごいっ! きゃふぅうううんっ!」

 それだめっ!
 そんなにアソコの中クチュクチュしないで!

「ひゃううううううっ! はんっ、あぁあああんっ!」
「奈菜ちゃんは本当にエッチなんだね。どんどんいやらしいおツユが溢れてくるよ。それじゃ……」
「はうっ!? ああああっ!」

 今度はなに!?

「ん……ふぅ、うん、エッチな匂いがするね。ん、じゅっ……」
「やんっ! そこっ、ふあっ、いいっ!」

 アソコ吸われてっ、なんかクニュクニュしたのが……これって、ベロ!?

「じゅじゅじゅっ……くちゅ……」

 いやああああっ!
 そんなとこそんなに吸わないで!

 こんなの絶対嫌なはずなのに、どうしてこんなにからだが熱くなってくるの?
 アソコからジンジン痺れる感じがこみ上げてきて、こんなのおかしいよ。

「きゃふうううううううっ! 私のおツユそんなに吸っちゃ……ふあああっ、そこっ、気持ちいいっ!」

 こんなのが気持ちいいなんて絶対におかしいわよ!
 本当は気持ち悪いに決まってるのに、なんでこんなに?

「ダメダメ! クリトリスそんなに吸っちゃ……んふぅううううううううっ!」

 あれ……なんか目の前がチカチカして……。
 頭がボーッとしてきて……。

「やぁっ、来ちゃう! なんか来ちゃう! すごいのくるぅううううううううっ!」

 一瞬、目の前で光が弾けたかと思うと、体が大きく跳ねる。
 痺れるような刺激が体中を駆け巡っていく。

「いやー、処女なのに、潮吹いて派手にイッちゃったねぇ」

 ……イッた? 今のが?
 なんか体がふわふわする。
 まるで頭の中まで痺れたみたいな感じがして、なにも考えられない。

「さてと、準備もできたし、いよいよ本番といこうかね」
「……ふえぇ?」

 まだぼんやりしている私の両足をグッと持ち上げられる感じがしたかと思うと、アソコになにか硬いものが当たる感触で我に返った。

 ちょっと! これってまさか!?

「あぁん……早くおちんちんちょうだぁい……」

 いやっ! それだけはやめて!

 そう叫んだつもりなのに、口からは全く反対の言葉が出ていた。

「うんうん、今あげるよぉ」

 秋本がそう言ったかと思うと、その硬いのがアソコの中に押し込まれる。

「きゅふぅっ!」

 痛い痛い痛い!
 裂ける! 体が裂けちゃう!

 硬くて大きいのがお腹の奥まで入ってきて、本当に自分の体が裂けるんじゃないかと思うほどの痛みが走った。

 そんな……私、こんな形でこんなやつに初めてを……。

 鋭い痛みに処女喪失を思い知らされる、この絶望感。

「やっぱり痛いかい?」
「……うん」
「じゃあ、やめようか?」
「いやぁ……痛いの我慢するからやめないでぇ」
「そうかそうか。本当に奈菜ちゃんはエッチだね。それじゃあ動くよ」
「うん……くふっ! きゅふううううっ!」

 ショックで呆然となっている心とは裏腹に、体の方が勝手に秋本と会話を交わしたかと思うと、お腹の中のその大きいのが動き始めた。

「んっ、んきゅっ、きゅふっ!」
「最初は痛いと思うからゆっくりと動くね」
「うっ、うんっ! んくっ、くっ、んきゅうううっ!」
「どうだい? 少しは気持ちよくなってきたかい?」

 なにがよっ!
 痛い……こんなの痛くて痛くて、ただ痛いだけ……………………じゃない?

「はうっ! きゅふぅううううんっ!」

 やっ、なにっ!?
 今の痺れるような感じって?

 さっき指を入れられたときと同じ、ビリビリした感じがアソコからこみ上げてくるのを感じた。

「ぁあんっ! あっ、んくっ、んくぅうううんっ!」

 うそ……私こんなの知らない。

 指とは違って、アソコの中全体が熱くて痺れるような感じ。
 この、ジンジンと痺れる刺激が痛みをどんどん上回っていく。

「ふぁあああんっ……あんっ、そこっ、気持ちいいっ!」
「そうか、気持ちよくなってきたんだね?」
「うんっ! まだ少し痛いけど、おちんちんにズボズボされるの気持ちいいっ!」

 認めない……認めたくない!
 こんなやつに初めてを奪われて、それで感じているだなんて絶対に認めたくない。
 それなのに、体が言うことを聞いてくれない。
 こんな形で犯されて、こいつの思い通りにいやらしいことを言ってる自分なんて、認められるわけがない。

 だけど……。

「ふぁああっ! セックスいいっ! すごくいいのっ……あぁんっ、そこっ、もっとズボズボしてぇええっ!」

 やだ……私なんてこと言ってるの?
 それにこの、ビリビリするのがアソコから体中に弾けるような感じ。
 私こんな感覚知らない。
 これが気持ちいいってことなの?

「いやいや、初めてだっていうのに奈菜ちゃんはエッチだねぇ。そういうのをド淫乱っていうんだよ」
「そうなのっ、私エッチなの! 初めてのセックスで気持ちよくなっちゃうド淫乱なの! だからもっとしてぇっ!」

 私ったらそんなこと言わないで……。
 そんなこと言ったら本当に気持ちいいって思ってきちゃう。
 こんなの嫌なはずなのに、体に引きずられちゃう。

「うんうん、淫乱な奈菜ちゃんをもっと気持ちよくしてあげようね」
「……ふえ? あっ、ああああっ!?」

 秋本に抱えられた私の足が、ぐっと持ち上げられる。
 そのまま腰まで上向きになった体勢で、秋本が上からのしかかるようにしてきた。

 やだっ、なにこれっ!?
 苦しいっ! 苦しいのに……なんかゴツゴツって!?

 私の体を押しつぶすんじゃないかっていうくらいの勢いで秋本が腰を動かす。
 息が詰まりそうで苦しいのに、硬いのがお腹の奥の方にゴツンと当たるような……。

「んぐっ、きゅふっ! これすごいいいいぃっ! 一番奥にあたってるぅうううっ!」
「ああ、それはね、奈菜ちゃんの子宮の入り口をチンポがノックしてるんだよ」
「んふうぅうううっ! すごいのっ! 子宮ノックいいのっ! 子宮の入り口コツコツされるのすごくいいっ!」

 私ったらなに言ってんのよ!?
 ……でも、本当にすごいかも。
 もう、わけがわからない。

 秋本が突いてくる勢いで全身がガクガク震える。
 視界が揺れるせいで、頭がシェイクされたみたいにクラクラしてくる。
 ……ううん、目眩がするのはそのせいだけじゃない。

「うん、すごくいいよ。さっきから奈菜ちゃんのおまんこがチンポをぎゅうぎゅう締めつけて、こりゃ堪らないな」
「ふあああっ! これいいのっ! あんっ、イクッ、私もうイッちゃう!」

 ……もうイクっていうか、私、きっとさっきから何度も軽くイッてる。
 奥に硬いのがゴツッて当たるたびに意識が飛んだみたいになってる。
 ゾクゾクする刺激が絶え間なくこみ上げてきて、全身を震わせる。
 頭の中も真っ白で、もうなにがどうなってるのかもわからない。
 だけど、熱でのぼせたような頭でもわかる。
 もっとすごいのが押し寄せてきそうなのを。

「くっ! 僕ももう出そうだよ」

 えっ? 出すって……?
 ぼうっとして働かない頭では、秋本の言っていることの意味がとっさにはわからなかった。
 理解するよりも先に、体と口が勝手に反応していた。

「来てっ! 出してっ! 私の中にちょうだいぃいいいっ!」
「うん、じゃあ、たっぷり出してあげるよ。……そらっ!」
「ふぁっ、いまびゅくって……イクッ、イッちゃうっ!あっ、ふあぁぁぁあああああっ!」

 お腹の中の硬くて太いのがビクビクッて跳ねたかと思うと、なにか噴き出してくる。
 感じる……温かくてドロッとしたのものが私の中を満たしていくのを。
 そう感じたのも束の間だった。
 アソコで弾けた衝撃が体中を貫いた。

 それは、本当に衝撃と言ってもいいくらいだった。
 セックスする前にイカされたときの刺激なんか比べものにならない。
 頭がおかしくなるような大きな快感の波が私を飲み込んでいった。

「あうっ、あっ、イッちゃ、イッちゃうぅ……ふぁああっ……」

 自分でもなにを言っているのかわからない。
 ただ、ずっとイッたままで降りてこられないような感覚に身を委ねるしかなかった。





「ふう、すごくよかったよ、奈菜ちゃん」

 秋本がそう言っておちんちんをアソコから抜いても、私はぐったりしたままだった。
 体に力が入らなくて、しばらく動けそうにない。

 私、初めてなのにこんなやつに犯されて、そのうえ中に出されちゃったんだ……。

「……うっ、うううっ」

 セックスを終えたせいでスイッチの効果が切れたのか、目から涙がこぼれ落ちてくる。
 ようやく自分の感情の通りに体が反応してくれたけど、全然嬉しくなかった。
 嬉しいはずがない、だって、私はこいつに犯されて……。

「うううっ、うっ、ううっ……」

 ただただ悲しくて、溢れ出す涙が止まることはなかった。





* * *






 翌日の放課後。

「どうした、羽村? なんかあったのか? 今日はなんか元気がないぞ」
「あ、いえ、なんでもないです。えへへ……」

 ホームルーム終わりに気遣うように声を掛けてきた佐藤先生に、無理に笑い顔を作ってごまかす。

「でも、奈菜ったらなんか変だよ。朝からずっと落ち込んでるっていうか、暗いっていうか」

 同じように絵美が心配顔で訊いてくる。

「そんなことないよ。ほら、いつも通り元気いっぱいだよ」

 そう言って、目一杯元気な振りをする。

 やっぱり、いつも通りじゃないのかな……。

 そんなのは当たり前。
 だって、昨日まんまとあの男の罠にはまって犯されて、初めてを散らしてしまったんだから。
 それで平気でいられるわけがない。
 悲しくて悔しくて昨日一晩あんなに泣いたっていうのに、今でもまだこの場で泣き崩れてしまいそうだ。
 どうしてあんなスイッチに引っかかってしまったのか、あまりにも自分が迂闊すぎたことが悔やまれて授業中もずっとそのことばかりが頭の中をグルグル回っていた。

 だけど、どんなに辛くても本当のことをみんなに話すことができないのはわかってるからどうしようもない。

「とにかく、悩みがあるんだったらいつでも相談に乗るぞ」
「そうそう、心配なことがあったらこの大親友の絵美ちゃんに頼っていいから!」
「うん、ありがとう。本当に大丈夫だって。じゃ、また明日」

 なるべく元気な風を装ってそう言って絵美たちに手を振る。

 家に向かって歩き出しても、どうしても足どりは重い。
 昨日あんなことがあって、その場所に帰りたいわけがない。
 だけど、どれだけ帰るのが嫌でも、帰らなきゃいけないようにスイッチが仕掛けてあるのは昨日確かめたからわかっている。

 とにかく、これ以上新しいスイッチにかかるのはなんとしても避けないといけないわ。
 あの男の仕掛けたスイッチは、敢えて引っかかるにはリスクが高すぎる。 
 昨日いきなり最悪のスイッチを踏んでしまったことで、少し臆病になっている自分がいた。









「ふう……」

 ドアの前に立つと、思わずため息が出た。
 自分の家だっていうのに、こんなにも気が重いなんて。

 今日を入れてあと8日耐えないといけないのね……。
 あいつとの勝負の期限は10日間。それを乗り越えたら私の勝ち。
 だけど、いきなりこんなに打ちのめされた後ではその8日がとてつもなく長く思える。

 ……って、弱気になってる場合じゃないでしょ!
 この勝負には絶対に負けるわけにはいかないんだから!
 とにかく、細心の注意を払ってこれ以上スイッチに引っかからないようにしないと!

 自分自身に気合いを入れ直して、ノブに手をかける。

「……ただいま」

 なるべく音を立てないように中に入ると、そっと耳を澄ます。
 昨日みたいな母さんの声は聞こえてこない。
 でも、母さんもあの男も中にいるのは玄関の履き物を見たらわかる。

 それにしても静かね。
 なにをしてるのかしら?

 廊下を忍び足で歩き、リビングの方に向かう。
 ドア越しに様子を窺うと、あの男の声がした。
 そんなに大きな声じゃないから、なに言ってるかはわからない。
 でも、母さんの声は聞こえない。

 とりあえず、中だけでも確認しないと。

 そう覚悟を決めて、ドアを開ける。

「……なっ!?」

 部屋の中で私が見たのは、ソファに座った秋本と、その足元で四つん這いになっている全裸の母さんだった。
 
 またあんたは母さんにそんなことして!

 そう喉元まで出かかった言葉をグッと飲み込む。
 昨日はそれでまんまとしてやられたんだから。
 同じミスは許されない。

「やあ、お帰り、奈菜ちゃん」

 私に気づいた秋本が、わざとらしい笑顔を浮かべる。
 それに反応して母さんも私の方に振り向いた。

「にゃーん」

 私を見てまるでネコみたいな声を出した母さんが、満面の笑みを浮かべた。
 そして、四つん這いのままでこっちに向かってきた。

「ちょっと……母さん?」
「にゃーお」
「やだっ!? なにしてるのよ!?」

 またネコが鳴くような声をあげて、母さんが私の足に擦り寄ってきた。

「ちょっ、ちょっと、母さんったら! ……やだ、くすぐったいよ!」
「なぁーお」

 母さんが私の足に頬っぺたをすり寄せたりペロペロ舐めたりしてくる。
 私が何を言っても、まるで聞こえていないみたいに無視して。

「無駄だよ。サトミは今ネコになりきってるからね」
「なんですって?」
「簡単なことさ。催眠術で自分はネコだと思い込ませればいいだけだからね」
「あんたなんてことしてるのよっ!?」
「でも、そうやって懐いてくるサトミは可愛らしいと思わないかい?」
「ちょっと! 母さんで遊ばないでよ!」
「そう思うんだったら勝負で僕に勝つことだね。それまでは僕の自由にサトミで遊ばせてもらうよ」
「……くっ!」

 なんて勝手な言い草なのよ!?
 勝負しようって言ったのは私じゃないのに!
 母さんを人質に取った形でそっちが無理矢理10日間の勝負に持ち込んだんじゃないの!
 こんな最低で身勝手なやつの言い分に言い返せないのが悔しい。

「にゃーん」
「母さん……」
「ふみゃぁあ」
「……くっ!」

 本当にネコになりきったみたいに足にスリスリしてくる母さんの姿がさらに追い打ちをかける。
 いたたまれなくなった私は、リビングを飛び出して階段を駆け上がっていた。
 さっきの母さんの姿に、涙がこみ上げてくるのを抑えることができない。






「やっぱり、こんなの放置しておくわけにいかないわ……」

 自分の部屋に戻って、ひとり呟く。
 このまま、母さんをあの男のおもちゃにしておくわけにはいかない。
 あと8日も待ってられない。

 あいつをどうにかしないと……。
 でも、どうやって?
 ……そうだ! 110番!
 警察に電話して助けてもらおう!

 そう思ってスマホを取り出してから、昨日のことが頭をよぎった。

 無理だよ、そんなの。
 昨日の二の舞になるだけじゃない。

 そう、110番して助けを求めようとしても、相手に告白するセリフしか出てこない。

 警察に電話して告白だなんて、イタズラ電話と思われちゃうに決まってるよ。
 せっかくいい考えだと思ったのに……。
 って……ん? イタズラ電話?

 肩を落として項垂れたとき、思い出したことがあった。
 警察にイタズラ電話を何度も掛けて逮捕されたっていうのを、前にニュースかなんかでやってた。

 たとえイタズラ電話だと思われても、何度も何度も110番してたら、もしかしたら……うん、これって、あいつの裏をかけるんじゃないかしら?
 もし警察の人さえ来てくれたら、うちの異常な状況に気づいてくれるかもしれない。
 あの男だって、いきなり来た警官に催眠術をかけたりするのは難しいはず。
 問題は、何回くらい電話をしたら警察の人が来るのか……100回くらいか、もっと必要なのか。
 それに、何回も電話してもすぐ来てくれないかもしれない。
 何日か時間がかかるかも。

 だったら、早くやるにこしたことはないわ。

 そう考えて、改めてスマホを握る。

 ええっと……警察の番号って……?
 あれっ? さっきまで覚えてたはずなのに?
 なんでだろう? たしか、簡単な番号だったはず……。
 えっと……何番だっけ?

 ……あっ、思い出した!

 090−△×□□−〇〇△□
 ……うん、これで合ってるよね?

 番号が間違っていないのを確認すると、スマホを耳に当てる。
 そのまましばらく待つと、男の人が電話に出た。

『もしもし』
「あのっ、もしもしっ! あっ、あのですねっ!」

 イタズラ電話になってしまうことは覚悟してるけど、それでも、もしかしたらこのことを伝えることができるかもしれないという願望から、かなり喰い気味に話し始める。
 しかし、スマホの向こうからは楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

「あ、あの……?」
『あっはははっ! 早速このスイッチを踏んだか』

 ……えっ? スイッチ?
 ていうかこの声、どこかで……はっ、まさかっ!

「なんであんたが電話に出るのよ!」

 電話に出たその声は、間違いなくあの男の声だった。

『奈菜ちゃんがかけた番号は本当に110番かい?』
「えっ? ……やっ、うそ……なんで?」

 言われて初めて、さっき自分が110番とは全く違う番号にかけたことに気づいた。
 すると、電話口の声はまた楽しそうに笑う。

『そんなの、奈菜ちゃんが警察に110番しようとしたら僕の携帯に電話するようスイッチが仕込んであったに決まってるじゃないか』
「そんなっ!」

 まさか、そこにスイッチが仕込んであったなんて……。
 とにかく、このまま話をしていたら危険だ。
 そう思って通話を切ろうとした、その時だった。

『とにかく、このスイッチを踏んだからには次のステップに進まないとね。奈菜ちゃん、"僕の言葉だけ受信するんだ"』
「え……?」

 その時、いきなり意識が遠くなるような気がして、そのまま全てが真っ暗になった。


















「あれ? 私、何してたんだっけ?」

 気がつくと、スマホを耳に当てたまま立ちつくしている自分に気がついた。

 私……あっ、そうだ! 警察に電話してたんじゃないの!

 ようやく、さっきまで自分がしていたことを思いだした。
 警察に電話したら、予想に反して私の置かれた状況を話すことができた。
 だから私の家にあったことを全部説明して助けを求めてたんだった。
 ただ、警察の人の説明だとすぐに来ることはできないらしい。
 向こうでもある程度調べないといけないから、来るのは3日後くらいになるって言ってた。
 そういうところは少し頼りないけど、それでも少しの間耐えたら警察が来てくれるんだ。
 3日後ならあの男との勝負の期限に余裕で間に合う。
 あいつとの勝負に勝てるんだ!

 それに、その間あの男に犯されないですむ方法も教えてもらった。

「えっと……使えそうなものあったっけ? ……ん? これって?」

 警察の人に教わったことを実行しようとしてそれに使うものを探していた私は、机の上に置いてあったそれに気づいた。

「なんだろ、これ? 私、こんなもの持ってたっけ?」

 それは変な形をした棒だった。
 ピンクの、少し硬い樹脂みたいな素材でできてて、長さは15センチちょっとくらい。
 少しだけ反りが入っていて、表面にはゴツゴツとイボみたいなものが付いてる。

 なんに使うもので、なんでそれが机の上にあったのかはわからないけど、これって使えそうじゃないかな?
 私は、ショーツを脱ぐとその棒をアソコに当てる。

「……くううっ! 痛ぅっ! これ、ちょっと大きすぎ?」

 その棒をアソコに入れようとしても、大きさのせいか引き攣るような痛みが走る。

「でも、これしかちょうどいいのなさそうだし。……あっ、濡らしたら滑りがよくなって入るかな?」

 そう思った私は、その棒の先っぽを口に咥えた。

「ん……あふ、れろ、あむぅ……こんな感じかしら?」

 まんべんなく唾液をまぶすようにその棒を舐め回す。
 そして、改めてそれをアソコに当てた。

「んっ……やっぱりキツい! でも、これなら入りそう……んっ、んんんっ! はんっ! んふぅううううっ!」

 滑りがよくなったせいか、ゆっくりとその棒がアソコの中に入っていく。

「んんっ! やだっ、これ、なんかっ、おかしな感じっ!」

 ゆっくりとそれがアソコの奥に入っていくと、痛みと同時にビリビリ痺れるような妙な感覚がこみ上げてくる。

「やんっ……あと少しっ! あんっ! はんんんんんっ!」

 その棒を根元まで挿し込むと、思わず体がブルブルッて震えた。

「ふううぅ……やっぱり、少し大きかったかしら? ……んっ、はんっ!」

 硬い棒がお腹いっぱいに入ってて、少し息苦しいくらい。
 それに、コリコリッてアソコの中に当たって、あのビリッてくる妙な感覚が走る。

「でも、これくらいいっぱいいっぱいの方が安心よね。……んんっ!」

 そう、これが警察の人に教えてもらった方法。
 アソコに栓をしてしまえば男の人に犯されることはないって。
 だって、これを入れてたらおちんちんを入れることができないから。
 ただ、この棒が大きくて、ちょっと動いただけでお腹の中で擦れて変な感じになるけど、このくらいは我慢しないと。

「とっ、とにかくこれでひと安心ね! これでもうあいつに犯されずにすむわ」

 そして、3日後に警察の人が来る。
 それで私の勝ちよ!

「そのためにも、もう余計なスイッチに引っかからないようにしなくちゃね」

 目の前に光が射してきた思いがするのと同時に、それまで耐えるために私は改めて気を引き締めたのだった。

 
 


 

 

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