タクマ学校


 

 



その7


女子大生 高坂緑


「詩織、本当に、留守中のお隣さんのうちにお邪魔したりなんかして、よかったの?」

 詩織が1階から紅茶を持って子供部屋に戻ってきたところで、私は今更ながら確認するのですが、詩織は私を安心させるように微笑みながら、うなずくばかりです。

「大丈夫だって。詩織はこの家のタクマ君ってチビッ子のお姉さんみたいなもんなんだから、それにここに私たちを呼んでたのは、そのタクマ君なんだし、あの子たちが帰ってくるまで、リラックスしてればいいんだってば。」

 由利恵は相変わらずの豪快な言い方で、私を無理やり落ち着かせようとします。能天気なトモエは楽しそうにキョロキョロしてますし、どうも心配そうにしているのは私だけみたいです。

「ミドリちゃんが聞きたがってた古いレコードも、きっとタクマ君のお父さんが持ってると思って・・・。本当に凄いコレクションなの。ただ、さすがにタクマ君もいない間にお父さんの書斎まで漁るわけにはいかないから、もう少し待っててね。タクマ君ったら、約束忘れて、お友達と道草してるのかな?」

 詩織は我が家みたいに慣れた様子で、紅茶を私たちに勧めてくれます。

「なんか、いかにも小っちゃい男の子の部屋って感じで、懐かしいな。うちの従兄弟の部屋も、昔こんな感じだったな〜。」

 トモエは一番に詩織のお盆からティーカップをとると、本棚のプラモデルを見上げながら、嬉しそうにしています。みんながくつろいでいるのに、私だけ立ち尽くしていてもしょうがないと、青いチェックの柄のシーツが敷いてあるベッドに、遠慮がちに腰掛けました。するとその時、
「キャッ!」

 私は思わず反射的に声を上げてしまいました。誰かにおもむろに胸を鷲? みにされたような気がしたからです。あわてて胸を両腕で覆って、周りを見回すのですが、この部屋には私たち、女4人しかいません。

『だからケンスケ! 急に思いっきりやったりしたら駄目だってタクマが言っただろ!』

『ワリィ、ツトム。タクマもゴメンな。』

『最初のうちは気をつけてよ。特にこのお姉ちゃんとこのお姉ちゃんは催眠にかかったの、今日が初めてなんだから・・・、えーっとミドリちゃん、ミドリちゃんだよね? あなたは何も気にならない。あなたには僕たちが見えないし、意識の上では僕たちの声にすら気づかないんだから、全部気のせいだと思うんです。透明人間があなたにしてくることは、全部気のせいだと思って受け入れるしかないんですよ。』

 耳もとで誰かの声がしたような気がするんですが、ここにはやっぱり私たち4人しかいません。私が色々と心配しすぎで、過敏になっているのかもしれません。

「ミドリちゃん、どうかしたの?」

 詩織が心配そうに私を声をかけます。

「ん? 何でもないよ。ハハハ。」

 私はわざとらしい笑い声で、取り繕いました。

「さっきから何か落ち着きがないなー、ミドリ。どうしたの?」

「もー、何でもないってば。ただの気の・・あっ・・。」

 やっぱり、誰かが後ろから私の両胸を、押し上げるように両手で揉みしだいてきているような気がしてならないんです。私は後ろに誰もいないのを確認して、平静を装いました。あんまり変な反応ばかりしていると、3人に変に思われてしまいます。まだ胸がゆっくり揉まれてるような気がするのですが、気のせいなんだから、じっと我慢です。

「ミドリちゃん、何か顔が赤くなってるし、やっぱりどうかしたんじゃない?」

 本棚の前にいたトモエが、まだ幼さの残る、鼻にかかった声を出します。私が弁解しようと、トモエを見た時、妙な光景を目にしてしまいました。トモエのマーメイドスカートの裾が、まるで誰かにめくられているかのように、宙に浮いていたのです。

「トモエ、スカート!」

「へっ? ・・あ、わあ! ・・・・か、風だね。この部屋、窓閉めてあるのに、どっかから隙間風が吹いてるのかな?」

 トモエはしばらくキョトンとしていましたが、ピンクのパンツがしっかり見えるぐらいにめくれあがった自分のスカートを慌てて両手で押さえると、照れ笑いを見せました。私はどうしても完全に納得することが出来なくて、トモエの横のあたり、誰もいない空間を睨んでしまいます。でもいつまでも不審がっていてもしょうがないので、由利恵が持ってきた、由利恵の親戚の結婚式の写真を、みんなで見ることにしました。彼女がこの式で着た服は、先月4人でショッピングをした時に、みんなでアレコレ言いながら選んだものなのです。

 それぞれ楽な姿勢になって、写真を見ながら花嫁衣裳のゴージャスさや、新郎のちょっと固い表情とかについて、勝手なコメントをつけては笑いあってしばらくいたのですが、私はやっぱり、この状況への違和感に耐えられなくなってきました。用心深くあたりを探しても、この部屋に私たち4人しかいないことは確かなのですが、やっぱり私の体は、誰かにまさぐられてるような気がしてしょうがないのです。さっきよりも強引に、まるでシャツの首もとから手を入れられて、ブラのカップの中で直に揉みまくられているような感触がずっと続いているせいで、私はろくに会話も出来ないのです。詩織の様子もいつもと違っています。床に膝をついて写真を見ていた彼女なのですが、いつの間にか四つん這いになって、不自然なぐらい両膝を広げて、お尻を空中に向かって突き上げています。詩織は一生懸命写真の話題に集中しようとしているのですが、時々変な声を上げては、お尻をモゾモゾさせています。

 私の隣でベッドに寝そべっていたトモエは、「隙間風のせい」でスカートがすっぽり脱げてしまっていて、薄手のセーターさえ胸もとまでめくれあがって、フリルのついたピンクのブラが、覗いてしまっています。私が注意すると真っ赤な顔をしてるくせに、「なんとなく直すのがダルいし、また風でこうなっちゃうから」とか、信じられない言い訳をして、恥ずかしい格好のまま会話をしているのです。何も起きてないかのように振舞ってるつもりの由利恵だって、少しずつボロが出てきています。喋っている途中で、何回か、口が突然誰かに側に指で引っ張られるみたいに横に広がって、話が出来なくなったりしています。由利恵ご自慢の美形が、急に激しくたれ目になったりつり目になったり、鼻が上を向いてしまったりと、酷い状態になっています。これには、みんな笑わずにはいられませんでした。

「ちょっと由利恵、ふざけないでよ。アンタってそんな顔だったっけ?」

 私が、荒い呼吸を整えながらも由利恵をからかうと、由利恵は恥ずかしそうに笑います。

「いやー、その・・・なんて言うか、急に顔面体操してみたんだってば。美容にいいんだよ。」

「アンタだって、何か変な感じするでしょ? この部屋・・・気のせいだとは思うけど・・・アンッ・・気味悪いよ。」

 両手で乳首をつままれて、さすられている感触と戦いながら、私が訴えると、立膝をついて床に座っていた由利恵は立ち上がって、私をなだめようとします。ですがその時、私たちの目の前で、立ち上がった由利恵のジーンズのベルトが、ひとりでに外れて、ジーンズがゆっくりと足元までずり落ちていきました。

「あ、・・あれ? ・・・ヤダ、私ってば・・・ウェスト細すぎ?」

 由利恵が恥ずかしそうに口ごもりながら、モジモジしています。なぜか自分からジーンズを引き上げようとしません。それどころか、両手を逆に上にあげて、バンザイのポーズをとってしまいました。

「な、なんだろうね? 私も誰かに腕をつかまれてる気もしないわけでもないんだけど・・・、まあ気のせいだけどさ・・気のせい・・・ワワッ、ちょっとタンマタンマ!」

 私たちも何が起こっているのか、全く理解できません。バンザイしている由利恵の下半身を唯一覆っていたレモン色のパンツが、ひとりでに、まるで一箇所を誰かに引っ張られているかのようにゆっくりと下におりていくではありませんか。まるで超常現象でも見ているようです。由利恵の足からジーンズとパンツが抜け出すと、今度は由利恵の両膝が、誰かに抱えられているかのように左右に引き上げられていきます。呆然と目の前の出来事を見守ることしか出来ない私たちの前で、由利恵はバンザイしたまま大開脚して、宙に浮いているのです!

「由利恵ちゃん? これって・・・」

 口を両手で塞いで、目を丸くした詩織が聞いても、由利恵どころか、誰もこの状況にちゃんとした反応が出来ないでいます。

「気・・・気のせいだってば! ・・こんなの・・は・・」

 由利恵が浮いてるあたりで、パンッと誰かが手を叩くような音がした気がしました。すると由利恵はそのポーズのまま目を閉じて、ガックリと頭をおとしました。宙に浮いたまま横の方に移動していって、やっと床に下りました。つい今まで奇跡のような状態にあった由利恵は、下半身裸のままで、大の字になって床でぐっすりと眠ってしまっています。私たちは、あまりの驚きに、まだ開いた口がふさがらないでいました。

 私たちが目にした奇跡はそれだけでは終わってくれませんでした。3秒ぐらいたつとすぐに、詩織の服が勝手に詩織の体からはがれていってしまったのです。気をつけの姿勢で、服の脱げるがままにしていた詩織は、口では「気のせいだと思う」とか言い続けながらも、体中を真っ赤にして、身をよじっています。詩織の女の子らしい体が、いたるところを誰かにまさぐられているかのようにムニュムニュとへこみます。いつの間にか、胸もとから首筋にポツポツとキスマークまで浮かび上がってくるではありませんか。私とトモエは、すっかり怖くなって二人で抱き合って、詩織に起こっている不思議な事態を傍観するしかありませんでした。

 詩織はもう全裸です。細いけれど柔らそうな体が、新体操みたいな体勢を色々ととりながら、空中を浮遊します。やがてさっきの由利恵と同じ、はしたないポーズになると詩織も同様に眠り込んでしまいました。肌を晒して、女の子とは思えないような豪快な大の字になって床で熟睡する詩織と由利恵の表情には、先ほどまでの怯えや恥じらいは全くみえません。二人とも、安心しきって眠り込んでいるようです。どうしてこんなことが起こりえるんでしょうか?

 腰が抜けたようになってトモエと抱き合ったままだった私が立ち上がったのは、そのすぐ後のことです。でも、私は自分の意思で立ち上がったとはとても思えませんでした。私の耳もとでは、小学生ぐらいの男の子たちの、『ヨーイショ、ヨーイショ』という掛け声が、聞こえるように思えます。それと合わせて、私の体が勝手に持ち上がって、直立してしまったのです。全て気のせいだとは思いますが、私の服が数人の手で、テキパキと取られていってしまうのを、ただ見守っているような気すらします。どれだけ目を凝らしても、私の目の前には、恐る恐る私を見るトモエしかいないのに、私の服は勝手に床に散らばっていきます。

『はーいミドリちゃんもいい子です、力を抜いて、透明人間さんたちにされるがままにしていてくださいねー。じゃあ、みんな、サン、ハイ! ヨーイショ!』

 頭の中で、子供の声が聞こえたような気がすると、私は由利恵や詩織と同じように、宙に浮いていました。でも、そこには浮遊感というよりも、組体操か何かのチームプレイで持ち上げられているような感触でした。私の体が反転して床を向いて、両足が左右に引っ張られると、トモエの目の前に私のお尻が、全開の状態で突き出されてしまいました。誰かが、指で変なことをしてくるような感触がして、私は思わず目を固くつむります。

「こんにちは、トモエちゃん。催眠術の世界へ、ヨ、ウ、コ、ソ。」

 男の子のあどけない声がはっきりと聞こえると、それに合わせて、誰かの指が、私のお尻の穴を、左右、上下にパクパクと開く感触があります。トモエにとっては、まるで私のお尻が言葉を話しているように見えたのではないでしょうか? 私は何だかよくわからないけど情けなくて、唇をかんで涙をこらえています。

『ミドリちゃん僕が手を叩くと、深〜い催眠状態に落ちるよ。気持ちのい〜い眠りに落ちる。ほらパチン。』

 私は急に自分が柔らかなベッドの上に投げ出されたような感覚に覆われて、深い眠りに落ちていきました。どこまでも柔らかくて、果てしなく沈み込んでいくような不思議なベッドで寝ているようで、信じられないぐらい心地よい眠りでした。

「じゃあ、今度はトモエちゃんだね。・・あれ? トモエちゃん、気絶しちゃってる! ちょっと驚かせすぎたかな?」



 私が深い眠りから目を覚ました時、目の前には、1枚のレコード盤がありました。

「ほら、ミドリちゃんの憧れのレコードがここにありますね。とっても素敵な、レコード。この線の一本一本に、夢にまで見た最高の音楽があります。ここに針をのせるところを想像してみてください。暖かい音が、ミドリちゃんの耳から魂まで入ってきて、ミドリちゃんの身も心も、和ませてくれる。天国のようなレコードです。一瞬でも目を離すのが勿体ないですよね。」

 これだ・・・。日本では発売されていない、ビル・エヴァンスのトロント・ライブ。ずっと探していた、ジャズピアノの最高峰の伝説のライブ・・・。私の目は、男の子が語りかける通りに、レコード盤の黒ツヤのある筋に釘付けになりました。

「どうしましょう。これに針をのせれば、ちょっとずつでも、レコードに傷をつけていってしまいます。今日はミドリだけに特別に、精神の針で音楽を聴く方法を教えてあげちゃいましょうね。ミドリちゃんは今から、全神経を集中させて、このレコードだけを意識します。髪の毛先から足の爪先まで、本当に全身の意識を、このレコードの細〜い線の上に集中させるんです。そして、ゆ〜っくりと頭をこのレコードの繊細な渦巻きに沿って、回転させていきましょう。音が聞こえます。普通に聞くよりもずーっと澄んだ音が、ミドリちゃんの魂の奥底まで、そして全身にくまなく染み込んでいきます。よーく集中してください。ほかのことは何も考えないでいいんです。とても気持ちいい。とても幸せ。そして、・・・僕の言葉も、音楽と一緒に、ミドリちゃんの意識の一番深いところまで、心地よく染み込んでいきます。他のことは何も考えないで、音楽と僕の言葉に集中してください。ほら、頭が一回転するたびに、集中が深まる。もう何も考えられない。とてもリラックス出来る・・・。」

 私が、目の前にあるレコードを凝視しながら、頭をグルグルと回転させるたびに、憧れの音が頭の中に響き渡ります。時に厳しく、時に優しく叩かれる鍵盤のハーモニーが、私を最高に幸せな気持ちにしてくれます。そしてそれ以上に、男の子の言葉も心地よく染み込んできます。

「もう一回、もう一回、ミドリちゃんが針になって、回転盤になって回転するたびに、どんどん心の奥深くまで行くことが出来る。螺旋階段を回るように降りていく。凄く気持ちいい。僕の言葉に逆らったり、僕の言葉を疑ったりしたら、この気持ちよさは一瞬でなくなってしまう。音楽も永久に失ってしまう。ミドリちゃんは僕の言うことに一切の疑いを持たずに、楽しい音楽に浸り続けましょうね。この気持ちいい状態を保つためなら、どんなことでもミドリちゃんはしちゃうんです。どんなことでもする強さを、この精神状態が養ってくれるんです。あと3回転・・・・・2回転・・・1回転・・・・ほら、ミドリの意識の一番深いところまで降りてきました。もうミドリは、僕の催眠術に完全にかかることが出来ました。もう何も考えられない。僕の言葉を無条件に、無抵抗に受け入れるだけ。僕が言ったことは全て本当になります。僕の言葉がミドリの大切な音楽で、ミドリの心そのものです。そうですね?」

 私は重く垂れ下がっていた顎をやっと引き上げ、痺れたように無感覚になっていた舌をもつれさせながら使って、ようやく一言、発することが出来ました。

「はい・・・そうです。」



 いつの間にか、また眠ってしまっていたようです。私がもう一度目を覚ましたとき、私は一匹の蛇になっていました。クールに光る緑色の鱗を持った、誇り高い蛇です。目の前にいる、さっきの男の子よりもやや大柄の男の子が、嬉しそうに私に呼びかけます。

「では、僕の笛の音に合わせて、君たち蛇は踊りますよ。ほら」

 リコーダーが不安気に鳴り始めると、すぐに私は体を立たせ、冷たい体をクネクネと波打たせながら踊り始めました。道行く人たちも喜んでいます。ふと気がつくと、私の横にも3匹の蛇がいて、どうように体をくねらせていました。

「アハハッ、裸踊りだ。」

「ツトム、縦笛下手だな。音楽の時間中、ずっと遊んでたからだろ。」

 通行人たちが楽しげに喋っていますが、異国の言葉のようで、私にはわかりません。今、私に理解できるのは、目の前で笛を吹いている、ご主人様の言葉だけです。そして私は、ご主人様に従って生きる蛇なので、彼の言葉だけ理解できれば、十分なのです。

「もっと激しく、もっとヤラしく踊りなさい。ほら、立ち上がって踊りまくりなさい。」

 ご主人様の指示通りに、私は一層激しく身をくねらせて、通行人たちに、爬虫類の自分の体の格好良さをアピールします。他の蛇たちも同様に、通行人に近づいたり絡みついたりして、シューシューと舌を出しながら必死で踊っています。

「はい。余興はこれまで。蛇さんたち、お疲れ様。みんな一つの籠に放り込まれました。さー蛇さんたちはお互いに体を絡めあって、蛇玉みたいに一体になっちゃいますよ。そうすると凄く気持ちいいんだよ。お互いの体を擦りつけあうと、物凄いエクスタシーだよ。夢中になって絡み合いなさい。グチャグチャになっちゃいなさい。」

 男の子の言葉とともに、私たちは床をニョロニョロと這って一箇所に集まり、互いの体に乗りかかりながら、全身を擦り合わせて、絡み合わせました。爬虫類以外には理解出来ないと思いますが、体の芯から震えがくるような快感が身を貫きます。お互いの湿っている体をどの部分と構わずに絡み合わせ、さすりあいます。

「何か、本物の蛇になっちゃったみたいで、ちょっと気味悪いね。ツトム君もやるね。」

「タクマだったらあんまりこういう暗示かけないだろ? こういう蛇とかワイルドなのもたまには面白いんじゃない?」

 蛇にはありえないような喘ぎ声を出す蛇もいますが、4匹とも頭が痛くなるような快感に酔って、くんずほぐれつしていました。

「おっと、このままだと、そろそろ詩織ちゃんあたりがイッちゃうかな? ハイ、一旦みんな蛇ヤメー。誰かの上に乗ってる人はお互いに離れて、そのまま床で寝ちゃってください。おーおー、トモエちゃんもいい濡れ具合だね。詩織ちゃん並に感じやすいのかな? ヘヘッ。じゃー今度は・・・」



 今度目を覚ました時には、私は人間の高坂緑に戻っていました。でもすぐに、私は自分が素っ裸で大の字で横になっていることに気がつきました。体を隠そうにも、力が入らなくて、指一本動かせません。

「ミドリちゃん、大丈夫? 凄い格好になってるよ。」

 目を覚ましたトモエが私に声をかけてくれるのですが、トモエも私と同じ全裸でした。まあみんな女同士だから別にいいんですけれど・・・、やっぱり恥ずかしいです。特に、目を覚まして体を起こした由利恵の立派なバストとか見ちゃうと、ちょっとコンプレックス感じちゃいます。私も詩織よりは大きいですけれど、ちょっと左右のバストが、外に離れているみたいなんです。

「あれ? ミドリちゃんだけ起き上がれないの? どうしよう、お医者さん呼ぶ?」

 詩織が自分の体を恥ずかしそうに手で覆いながら、私に心配そうに声をかけます。みんなが私のもとに集まってきてくれました。体の一箇所も隠すことが出来ない私は、心配してくれているとは言え、友人たちに全裸の自分を見下ろされているのが、とても恥ずかしいです。

「お医者さんもいいけど・・・なんか・・・ミドリちゃんってさー。その・・・エッチな体してるよねー。」

 またトモエが、状況をわきまえない能天気発言を・・と思ったのですが、彼女の目は、本気でした。それどころか、それを聞いた詩織も由利恵も、なぜか私の体から目を離さないまま、ゴクリと喉をならしたのでした。

「ちょ・・ちょっと、みんな、冗談はやめてよね。何馬鹿なこと言ってるの? 早く、服とか何か、持って・・アァン!」

 信じられないことが起きてしまいました。親友の由利恵が、私に覆いかぶさってきて、首筋をそっと舐めたのです。さらに私は首筋に突然感じた強烈な快感に、思わずヤラしい声を上げてしまったのです。電気が走ったような、逆らえない快感でした。

「そうそう。ミドリちゃん以外は、みんな、ミドリちゃんにゾッコンのスーパー積極的なレズビアンです。どんなに我慢しようとしても、ミドリちゃんの体を愛撫したくてどうにもならないんです。そしてミドリちゃんだけは、普段の意識を保ってますよ。ただし、体は全然動きません。なぜなら、ミドリちゃんの顔から下は、全部クリトリスになっちゃってるからです。クリトリスだとミドリちゃんの自由に動かすことは出来ませんよね。でも物凄い快感を感じることは出来ます。ミドリちゃんは頭は正常だけど、体はただの性感帯。詩織ちゃん、由利恵ちゃん、トモエちゃんは体は自由だけど、頭の中はド淫乱レズビアンですよ。」

 男の子の声がどこからともなく聞こえると、由利恵だけでなく、トモエまでも私の横に寝そべって、右の脇腹からおヘソにかけて片手で撫でてきます。たったそれだけのことで、私の下半身の筋肉がキューッっと収縮して、決壊間近であることを知らせてきます。

「ヤーァァァッ! 駄目駄目。私に触れちゃ駄目だってばー!」

「ミドリちゃん。お肌スベスベねー。とってもいい手触りだもん。もうちょっとだけ触らせてよー。」

 トモエの潤んだ目は、私を見てるのか遠くを見ているのか、わからないぐらいに飛んでしまっていました。

「ミドリが悪いんだよ。こんなヤラしいオッパイして、こんなに乳首立てて・・・鎖骨も綺麗だね。」

 由利恵は、容赦なく私の胸元や首まわりに、音を立てて吸い付いてきます。彼女にキスされるたびに、私の意識が弾け飛びそうになっているのに、まったく許してくれないのです。

「だめだってー・・アァァンッ・・・ハァ・・・頭が、・・・ばらばらに・・・ヤンッ・・なっちゃう・・から。詩織・・・助け・・・て・・・はぁぁんっ・・。」

 私が、息も絶え絶えに助けを求めている間も、詩織は苦しそうに体を両手で抱えながら、葛藤しているような表情でうつむいていました。やっと彼女が私の足元まで来てくれた時、私は彼女が、変になっちゃってる由利恵とトモエを抑えてくれると思いました。でも詩織は、ゆっくりと私の開ききった両足の間で膝立ちになると、逆に私に許しを求めてきました。

「ミドリちゃん、本当にゴメンなさい。私、お友達にこんなことしちゃいけないけど・・・あの・・ド淫乱の・・そのレズビアンだから、もう、我慢できないの。ちょっとだけでいいから、我慢してね。ほんのちょっとだけなの・・ミドリちゃん・・・大好きよ。」

 全開になってる私の股間に詩織の舌先がついた時、私はもう、自分の意思で快感に抵抗することが無理な状態になっていることを認めました。詩織の下が私のアソコに入ってきた時には、彼女を押し戻すぐらいの勢いで、私の下半身からイヤらしい汁が搾り出されます。トモエが私の腕にキスをしながら、私のお腹や脇を撫で回します。由利恵は私の乳首を甘噛みしながら、胸を揉みしだきます。そして詩織が、ビチャビチャと音を立てながら、私のアソコを優しく激しく責めてきます。私だけがまともな精神状態だったはずなのに、私にはもう、一番オカシくなっているように、よがり狂うことしか出来ませんでした。これまでに付き合った何人かの男の子とエッチまでいきましたけれど、由利恵たちの愛撫は、敏感になっている私の体にとって、そんな経験を遥かに超えるエクスタシーを、容赦なく流し込んできました。私にはもう、されるがままに感じまくること、イきまくることしか出来なかったのです。

 どこかを触れられるたび、舐められるたびに汽車の警笛みたいな甲高い声を上げて、絶頂を迎える私、だらしなく股間から生暖かい分泌物を垂れ流す私を、ようやく助けてくれたのは、先ほどのやや大柄の男の子の言葉でした。

「はい、もうそろそろいいかな? いいよな? タクマ。これでミドリお姉ちゃんも完全に、身も心もタクマ流催眠術の虜になることが出来ました。もうどうしてもこの快感を忘れることや拒むことは出来ませんね。じゃあ他の女の子たちは、レズ行為をやめて、ベッドの上に座ってください。」

 私は腰が抜けてしまって、全身クリトリス状態から抜け出させてもらった後も、立ち上がることが出来ませんでした。今度は、先ほどの男の子よりももう少し幼そうな声の男の子が、ぼんやりとしている私たちに話しかけてきました。

「皆さん、よく聞いてくださいね。あなたたちは、ついさっきまで、レズ行為に夢中になっていました。よく覚えていますね。ではこのままあなたたちを放っておくと、あなたたちは今のレズの気持ちよさが忘れられなくなって、真性淫乱レズビアンとして一生過ごすことになってしまいます。それでいいですか? 嫌ですね。ではどうしましょう? ねえ、ミドリちゃん、あなたも嫌ですよねえ? トモエちゃんも嫌ですよね? ・・・そこで僕が、皆さんを助けてあげます。皆さんはこれから、男の子と普通の、健全なセックスをすることで、元の自分に戻ることが出来るんです。僕が紹介してあげる男の子と、夢中でアツアツのセックスをしましょう。・・・ツトム君、お疲れ様。今日はツトム君が功労者だから、最初に選んでよ。」

「えー、俺だってこの子たち持ち上げるとき、苦労したのに・・。」

「ケンスケは黙ってろよ。お前も勝手なことばっかり言ってると、マサトみたいにお仕置くらうぞ。・・・えーっとねえ、ここんところ詩織ちゃんが続いてたし・・由利恵ちゃんはこないだオッパイ一杯揉んだから・・、やっぱり新人さんっていうことで、ミドリちゃんにしようかな?」

 男の子たちがガヤガヤと相談している間、私は呆然と天井を見上げながら、体力が回復するのを待っていました。どうも私はこの後、誰か男の子とセックスする必要があるみたいなので、なんとか起き上がれるようにならないと・・・。

 男の子たちの中ではやや大柄な彼は、ツトム君という名前でした。まだ小学6年生のはずなのに、随分と慣れているような手つきで、私をリードしようとします。私はまだ彼より背丈も大きいし、大学生の大人なのですから、負けないように必死で彼にサービスします。耳に息を吹きかけたり、背中に軽く爪を立てたりして彼を責めながらも、彼が音を立てて私のバストを頬張るのに、敏感に反応します。二人の体についた私たちの唾液の匂いと、汗の匂いとが、私たちをどんどん興奮させて、激しく互いの体をまさぐらせます。私は最初のうち、一生懸命ツトム君を感じさせようとしたのですが、さっきまでのエクスタシーを覚えていた体にまた火がつくともう頭の中が一杯になってしまって、最後はツトム君にされるがままになってしまいました。小学生にしては大き目のおチンチンが私の火照ったアソコに入ると、目の前で火花が散るように、私の視界がチカチカして、後はもう、彼に突き立てられるたびに、あられもない泣き声をあげるだけでした。大学生の私が、小学生の男の子に好き放題に感じされられて、イかされてしまったのです。ツトム君は子供のクセに余裕シャクシャクで、イかないままのおチンチンを抜き取ると、私の顔や胸もとにタップリとかけてきました。私は快感の余韻を噛み締めながら、呆然とかけられたものを手で拭っては口に入れていきました。11、2歳の男の子に完全に手玉にとられたことの悔しさ、情けなさ、恥ずかしさよりも、気持ちよさの方がはるかに強力だったのでした。

「もうちょっとしたら、タクマも詩織ちゃんとの1セットが終わって、こっちに来ると思うよ。そうしたらミドリちゃんも、今日のことは忘れちゃって、家に帰ることになるはずだよ。でも、また遊ぶ機会は絶対あると思うんで、その時はまた、色々楽しんでってね、ミドリお姉ちゃん。」

 私はふやけたような表情で頷きながらも、まだ手や顔についているものを残らず舐め取ることに、一生懸命でした。

 友人 川口ツトム

 詩織お姉ちゃんを含めて、4人の中ではミドリお姉ちゃんが一番大人っぽい魅力があると思っていました。由利恵ちゃんはどちらかというと男勝りで活発な感じ、詩織お姉ちゃんはちょっとお嬢様っぽい感じ、そしてトモエちゃんはあまり大学生という雰囲気のない、もっと若い感じがしました。僕がその、一番大人っぽいミドリちゃんをしっかりイかせて満足していると、タクマやケンスケ、ヒロトも嬉しそうな顔で部屋に戻ってきました。タクマは、4人のお姉さんたちに後片付けをさせて、服を着させると、今日の記憶を書き換えて、それぞれ家に帰しました。ミドリちゃんも、僕と濃厚なセックスをしたことなんてすっかり忘れて、ジャズのレコードを満足いくまで聴いたと思い込んで、嬉しそうに帰っていきました。いつもながら僕としては、ちょっと複雑な気持ちでした。

「トモエってよう、小動物系の可愛い子ちゃんタイプに見えて、結構ヤラしいこととか自分からするんだぜ。」

 ケンスケが嬉しそうに、そしてなぜか自慢気に語っているのが、なんだか気に食わない。いきなり呼び捨てになってるし、自分の女気取りみたいです。タクマの催眠術遊びに参加したての初心者は、なぜか自分も偉くなったみたいな勘違いをよくするみたいです。

「そういう暗示をタクマがかけてたんだから、当たり前だろうが。お前は初めてだからって大目に見てたら、今日は調子に乗りすぎてたぞ! まだ完全に術中に落ちる前のミドリちゃんのオッパイ、いきなり力いっぱい掴んでただろう。下手したら、あそこで失敗してたかもしれないんだぞ。」

「ゴメンゴメン。でもあんな綺麗な女の人たちが、いきなりお触りOKになっちゃったら、初心者はみんなあれぐらい力入っちゃうって。気をつけるから、今度もまぜてくれよ、な? タクマもさ?」

 一見、物凄く強力に見えるタクマの催眠術も、入り口は僕ら素人にはわからないような難しいことのバランスで成り立ってるってことを、分かっている友達は、僕ぐらいなんでしょうか? 僕がそう思いながらタクマの方に目をやると、タクマはゴタついてる僕らにお構いなしに、椅子に座って分厚い本を読み始めていました。

「タクマ? 聞いてる?」

「あ、ゴメン。今、ユウタ君の日記を読もうとしてるんだ。みんな、満足出来たようだったら、今日は解散にしない?」

 無邪気に僕らに解散を宣言したタクマは、さっそく本に集中し始めてしまいました。大満足の様子で帰る、ケンスケやヒロトと一緒に、僕もタクマの家を後にしました。タクマはいつからユウタと交換日記なんか始めたんでしょう。相変わらず、どこか理解しきれない、不思議な奴です。

「俺さ、今度はミドリちゃんとヤりたいな。ツトム、やっぱりミドリちゃんって1対1でも色っぽかった?」

「お前には十年早いぐらいの、色っぽさだったよ。ケンスケの場合は、もうしばらく力仕事こなしてもらわないと、ミドリちゃんや詩織ちゃんは無理だな。」

 軽口を飛ばしながらも、僕はさっきのミドリちゃんのヤラしい体のことを考えていました。詩織お姉ちゃんはやっぱり特別だけど、ミドリちゃんもいいなあ・・・、とか勝手な感想に浸りながら、いい気分で帰り道を歩いていくのでした。

 
 


 

 

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