奴隷の部屋3 サチコ編

〜店に来た友達に弄ばれて堕とされた私〜


 

 

後編


「あふ……? きゃあ! もうこんな時間!? ……やだ、どうして?」

 その日、目が覚めたのは午前10時半を回った頃だった。
 すぐに自分が仕事から帰った服のまま、着替えもせずに寝ていたことに気づく。
 それに、この胸のむかつき。

「いけない、飲み過ぎちゃった……って、あれ? なんでそんなにお酒飲んだのかしら?」

 自分の体調は明らかに二日酔いの状態なのに、昨日のことがぽっかりと頭から抜け落ちている。
 どうしてそんなになるまでお酒を飲んだのかすら思い出せない。

「いけない! 今日は大切なお客様が来る日じゃないの!」

 まだ上手く回らない頭で昨日のことを考えていた私は、それよりも優先しなければいけないことがあるのを思い出した。

「こうしちゃいられないわ……」

 慌ててバスルームに飛び込んでシャワーを浴びると、身なりを整えてからダッシュで店に向かう。





 そこまで私が慌てているのは、午後から大切なお客様の予約が入っているからだった。
 そのお客様、神山夫妻は私が店を開いた当初からずっと贔屓にしてくださっている。
 いつもいちばん良いコースを指定してくれる上得意でもあるし、他のお客様を紹介してくれたことも何度もあった。
 とにかく、うちの店にとって本当に重要なお客様で、失礼のないように細心の注意を払わなければいけない相手だった。




「あっ、おはようございます、サチコさん!」
「みんな、待たせてごめんね!」

 店に着くと、受付の佳奈ちゃんにサポートスタッフの絵莉佳と絢音がその前で待っていた。
 全員、店をオープンしたときから働いてくれているメンバーだ。

「社長〜、遅刻遅刻〜」
「ごめん、ちょっと寝過ごしちゃった」
「もう、どうしたんですか? もうすぐお客様が来る時間ですよ」
「うん、急がないといけないわね」

 絵莉佳と絢音に急かされながら店を開ける。

「絵莉佳さん、絢音さん、こっちです!」
「うん」
「ありがと、佳奈ちゃん」
「……? なんなのよ、みんな?」

 佳奈ちゃんがまるで案内するみたいにふたりの手を引いて更衣室として使っている部屋に連れて行く。
 絵莉佳も絢音も、ずっとここで働いてるはずなのに……。

「なんか変なの……」

 そう独りごちると、私も更衣室へと向かう。






* * *







「なんか、あなたの白衣小さくない?」
「うん、なんかねー、あたしのが無かったから佳奈ちゃんの替えの分借りたのよー」
「そうだったの……って、絢音も?」
「ええ。私のも無くて佳奈ちゃんのを借りたんだけど」

 絵莉佳も絢音も、少しサイズが合わない白衣を窮屈そうに着ていた。
 身長のある絢音が小柄な佳奈ちゃんの服を着たらきつそうに見えるのは当然だし、絵莉佳は胸のあたりがはち切れそうになってる。 

 でも、ふたり分も白衣が足りないなんてどういうことなのかしら?
 ……この間のユニフォーム交換のときにどうしてたっけ?

 なぜか、記憶があやふやになってる気がする。

「どうしたの、絵莉佳? やけにニヤニヤしてるけど?」

 首を傾げている私を、絵莉佳がすごく楽しそうに見ているのに気づく。

「え? あ、ううん、なんでもないです!」
「それよりも社長、そろそろ予約のお客様が来る頃ですよ」
「そうだったわね。急ぎましょう」

 なにか隠してるような絵莉佳のごまかし方が気になるけど、絢音の言うとおりもうすぐ神山夫妻が来る時間だった。
 とりあえず3人で器具やアロマオイルの準備を整えたところで受付から佳奈ちゃんの声が聞こえた。

「いらっしゃいませぇっ!」
「さ、ふたりとも、いくわよ」

 絵莉佳と絢音に声をかけると、夫妻を出迎えに行く。

「こんにちは、神山様。奥様もようこそいらっしゃいませ」

 全員で神山さんと奥様の葉月さんに向かって頭を下げる。
 店でいちばんのお得意様なのだからそのくらいはして当然だ。

「ああ、こんにちは」
「こんにちは、祥子さん。今日もよろしくお願いしますね」
「はい。それでは奥様から始めましょうか、さあ、奥へどうぞ」

 神山夫妻を奥の部屋へと案内すると、葉月さんがするすると服を脱ぎはじめる。








「はい、終わりましたよ。それじゃ絵莉佳、葉月さんの体を拭いてあげて」
「はーい」

 120分のコースを終えて、葉月さんが体を起こす。

「ありがとう、祥子さん。お肌の張りもこんなに……祥子さんのおかげね」
「いえ、葉月さんはお若いですからもともとお肌の張りも艶もあるんですよ」
「あら、ありがとう。それじゃあ次は主人の番ね」
「そうですね。それでは神山さん、どうぞこちらへ」

 葉月さんと入れ替わりで、服を脱いだ淳大さんがベッドに横になる。
 その体は本当に細くて、少し痩せすぎなくらいだ。

 ただ、淳大さんのコースはボディケアではなくてここ……。

「それでは、失礼します」

 淳大さんの股間に手を伸ばすと、ペニスをそっと握った。
 少しだけ力を入れて、上下に滑らせるように扱くと手の中でペニスがみるみる膨らんでくる。

 ほんの5分も扱くとペニスはすっかり大きくなって、ツンと上を向くように突き立っていた。

「こんなに大きくなって……本当に逞しいペニスですわ」
「いやあ、そんなに褒められると照れますね」

 体の細さからは想像もできないような、太くて逞しいペニスに思わず感嘆の声が漏れる。
 もちろんお世辞なんかじゃない。
 淳大さんはああ言っているけど、惚れ惚れするほど大きくそそり立っていた。

「それではこのペニスにマッサージしますね」
「ええ。お願いしますよ」

 いったん立ち上がると、白衣の裾を軽く捲ってショーツを脱ぐ。
 そしてオイルのボトルを手にベッドに上がって、淳大さんの腰のあたりで膝立ちになった。

 そう……。
 ペニスへのマッサージはヴァギナで行うのが普通だからだ。

「では、始めますよ」

 マッサージの際に滑りをよくするために自分の股間、特に割れ目のあたりを中心にオイルを塗ると、手に握ったペニスをヴァギナに宛がってゆっくりを腰を降ろす。

「くっ……ふぅん。はい、全部入りました。それでは、このままマッサージしますね……んっ、くふぅううううっ……」

 ペニスの根元まで腰を降ろして膣の奥深くまで入れてから腰を浮かし、再び腰を沈める。
 神山さんのペニスが大きすぎて腰を降ろした際の圧迫感に息が詰まりそうになりなるけど、この程度で音を上げていてはエステティシャンは務まらない。
 お腹に力を入れ、膣の内側できゅっと締めつけながら腰を上下させてペニスへのマッサージを続ける。

「くっ……くふぅううう……んんっ、ふぅうううう……いかがですか神山さん? 痛いとかはないですか?」
「ええ、大丈夫です。実に良い感じですよ」
「そうですか、それではこのままマッサージを続けますね。くうっ……んふぅうううう……んっ……ふぅうううううう……」

 膣の中いっぱいにその存在を主張するペニスを締めつけながら腰の上下運動を繰り返す。

「んんっ……くふぅううううっ……くふっ……ふぅうううううっ……んんんっ……あふぅうううう……」

 膣を締めつけながら腰を上下させてペニスにマッサージするのはかなり体力の要る作業だ。
 次第に息が上がってきて肌が汗ばんできているのが自分でもわかる。

「では、次はこうして……んっ、くっ、んっ、んっ、んっ、ふううっ……」

 今度は深く腰を沈めて膣内いっぱいにペニスを収め、バランスを崩さないように淳大さんの胸に手を突いて下腹に力を入れながらクイクイとリズミカルに腰をくねらせていく。

「くっ、んっ、はうっ、んんんんっ!」
「大丈夫ですか、高木さん?」
「……えっ? 私は大丈夫ですよ。……んんっ! はふぅうううううっ……」

 ペニスの圧迫感がすごくて、息苦しさで体が震える。
 それでもマッサージを止めるわけにはいかない。

「はっ……きゅふぅんっ! んっ、あふぅうううううっ!」
「かなり息が苦しそうですよ。大丈夫なんですか?」
「本当に大丈夫ですから。……んくうっ! んんんんんっ!」
「いや、おまえのことを恨んでいる男の上に跨がって自分から腰を振ってて本当に大丈夫なのかよ?」

 いきなり淳大さんの口調が変わったと思った次の瞬間。

「……えっ!? やっ!? いやぁああああああっ! 私っ、なんでこんなことをっ!?」

 自分が男の人に馬乗りになって、そのペニスを膣いっぱいに咥え込んでいることに気づいた。

 たしか私はペニスにマッサージを……?
 いや、そんなマッサージあるはずがない!
 これは紛れもなく性行為。
 私、マッサージだと思い込んで自分からこんなことを……。

 それに、この男は……。
 そうだ! 神山!
 神山淳大じゃないの!

 自分が跨がっている相手が誰かを思い出して愕然としている私の耳許で、楽しそうな声が響いた。

「どうだった? テレビ番組のドッキリでもこうはいかないわよね〜!」
「バカね、テレビでこんなの流せるわけないでしょ」
「……エリカ!? ……アヤネも!?」

 サイズの合わないぴっちりした白衣を着てニヤニヤしているエリカとアヤネ。
 私、さっきまでこのふたりのことを店のスタッフだと思い込んでいた。

「まあ、私たちはサチコのいやらしいところをたっぷりと楽しませてもらったわ」

 薄笑いを浮かべてこちらに歩み寄ってくるハヅキ。
 もちろん、神山の奥さんであるはずがない。

「どうしてこんな……まさか! 全部あんたの仕業なのっ!?」

 しばし呆然とした後で、神山が言っていたことを思い出した。
 こいつが他人を思い通りに操る力を手に入れたということ。
 その力を使ってハヅキたちをいたぶり、自分の奴隷にしたということを。

「……やっ、どうしてっ!? 体が動かない!?」

 慌てて神山の上から飛び退こうとしたけど、体が動かなかった。

「当たり前だろ、僕の力でそういう風にしてるんだから」
「まさか……本当にそんなことができるなんて……」

 信じられないことだけど、神山の言っていることは本当だと思わざるをえない。
 今、自分の体が動かないこと。
 エリカとアヤネを店のスタッフだと思い込んでいたこと。
 神山とハヅキを店の上得意の夫婦だと思っていたこと。
 そして、マッサージと思い込んで神山とセックスしてしまったこと。
 全て、神山の言うとおりの力でもないとあり得ないことばかりだ。

「だけどハヅキばっかりズルいよ〜! アツヒロ様と夫婦の役だなんて〜!」
「あら? ジャンケンで決めたことなんだから文句は言いっこなしよ」
「でも、ハヅキは最初のときもアツヒロ様と恋人だって思わされてたんでしょ? いっつもハヅキばっかりがいい思いしてるじゃん!」
「それを言ったらエリカの方が羨ましいわよ。私だってアツヒロ様の妹になってみたかったわ」
「もう、エリカもハヅキも無駄口はそれくらいにしておきなさい」

 あまりのショックに、エリカたちが緊張感のない会話をしているのもまともに耳に入ってこない。

「で、サチコはどうだった〜? アツヒロ様とのセックスは?」
「どうだったもなにも、私はこんなことするつもりはっ……!」
「またまたそんなこと言って〜! サチコもアツヒロ様とは一緒に飲んだ仲じゃないの?」
「はい? なに言ってるのよ? そんなことあるはずないじゃない!」

 エリカがからかい口調で絡んでくるのを本気で否定する。
 もちろん、私はこの男と飲みにいった覚えはない。

 そこに、スマホを手にしたハヅキが割り込んできた。

「でも本当のことよ。ほら、ちゃんと証拠もあるわよ」

 そう言って差し出されたスマホの画面に映っているのは、昨日の店でみんなで撮った写真。
 そこには、私たちと一緒にこの男の姿も写っていた。

「……そんなっ! だって昨日は4人で……あっ!」

 そのとき思い出した。
 昨日、店に入ったときに店員が5人ですかと確認したこと。
 乾杯のときにグラスを5つ持ってきたこと。
 あれは気のせいなんかじゃなかったんだ。

「そんな……どうして……」
「それはもちろんアツヒロ様が力を使ったからに決まってるじゃない。飲み会の間、サチコはアツヒロ様の姿が見えない、話すことも聞こえないようにさせられていたのよ」

 と、今度はアヤネが話に割って入ってくる。

 そして、最後にあの男が口を開いた。

「だいたいそんなのはあたりまえだろ。あの後でおまえの記憶や認識を弄らないと、そもそもこいつらと一緒にいられるわけがないだろうが」
「うそ……そんなことまで……」

 信じられないことだけどそうとしか考えられない。
 昨日、この男が姿を現して、変わってしまった友達の姿を見せつけられた後でみんなと飲みに行くなんて普通はできない。
 そんなの、私自身になにかされてないと説明できない。

「それよりも、さっきはあんなに激しくセックスしててなにも感じないのか?」
「それはあんたがおかしな力を使ってマッサージだって思い込ませてたからじゃないの! それに、いつまでこんな格好させてるの! 離しなさいよ!」

 そう、私はまだこの男の上に跨がってペニスと繋がったまま。
 動くこともできずそんな屈辱的な姿勢をとらされ続けていた。

「まあ、たしかにマッサージだと思い込ませたのは事実だけどな。なにも感じないようにはさせてないんだぜ」
「なに言ってるの? どういうことよ?」
「おまえの体は自分がしていることに対してちゃんと感じてるようにしてるけど、頭でそれを認識できないようにしてたのさ」
「な……なにを言ってるの……?」
「自分じゃそう思ってないだろうがさっきのでおまえの体は感じまくってたんだよ。体の痙攣具合から見て、2回は絶頂してたな。ただ、おまえの頭はそれをわかってないってだけでな」
「そんなバカなことできるはずがないじゃない!」
「だったら、今から体が感じていることを認識できるように戻してやるよ。さっきまであんなにイキまくってたから、それを一気に感じるも同然だろうな」
「そんな……やめっ……あああっ!? ふぁああああああああああっ!」

 突然、頭の中を焼き切れそうなほどの衝撃が駆け巡る。
 一瞬で目の前が真っ白になって意識が飛びそうなほどに。
 それに、全身が熱く燃えるようで、まだ軽く痙攣していて息苦しい。

「はうっ……はあっ、はあっ……やっ……なによっ、これっ!?」

 その場に崩れ落ちそうなほどの気怠さの中、まだ自分の中で神山のペニスが固さを保っているのを感じる。

「それが、頭と体が一致した状態でおまえが感じるさっきの行為の結果さ。どうだ? 自分が感じまくってたことがよくわかるだろ?」
「そんなっ……私はそんなつもりはなかったのにっ」

 神山の言葉に、頭を横に振って精一杯否定する。
 自分に襲いかかった異常な状況にほとんどパニックになりかけていた。
 それに加えて、私を見つめる神山の冷静さが恐怖に拍車をかける。

「そんなつもりはなかった? でも、おまえの体が一度味わった僕のチンポを覚えてるんだろうな」
「なにを言ってるのよ!? 一度味わっただなんて、そんなことあるわけないわ!」
「ああ、おまえは自分が昨日やったことを知らない、いや、わかってないからな」
「な……なにを言ってるの? わけのわからないこと言わないでよっ」
「まあ、言葉で説明するよりも実感した方が早いさ。少しだけ昨日のおまえを思い出させてやるよ」
「なにを…………ひぅっ!?」

 感じたことのない不気味な感覚に襲われて、言葉の途中で悲鳴をあげる。
 頭の片隅を引っ掻かれるような、思考にノイズが混ざるような違和感。

 私ハマスターノ精液ヲ搾ル搾精マシーン……。

 ……今のはなにっ!?
 頭の中でなにか声が聞こえたような気がする。

 マスターノ精液ヲ搾リ取ルノガ私ノ務メ。

 またっ!?

 自分の中に自分じゃない別な存在がいて、自分に呼びかけてくるような、そんな声が頭の中に響く。
 しかも、ただ声が聞こえるだけじゃない。
 私の膣に入ったままのペニスの存在感が膨らんでいく。
 その大きさ、固さだけでなく熱さまで感じられるみたいに。
 それが、私の下腹部をジンジンと熱くさせていく。

「なに……私にいったいなにをしたのっ!?」
「なに、おまえの知らない昨日のおまえを少しだけ呼び戻したんだよ」
「私の知らない昨日の私って!?」
「それにしても、裸で騎乗位もいいもんだけど、やっぱり白衣のままで男に跨がってる姿はいいよな。リハビリのときに看護師を操ってさんざんやらせたのを思い出すよ」
「あんた! さっきからなにわけのわからないことばっかり言ってるのよ!?」

 私が声を荒げても、神山は余裕の表情を浮かべたままだった。
 その視線が、ちらっとハヅキの方を見た。

「サチコったら本当にわからないの? だったら、昨日なにをしていたか見せてあげましょうか?」
「ハヅキ……いったいなにを?」
「さあ、入ってらっしゃい」
「はーい」

 ハヅキに呼ばれて入ってきたのは佳奈ちゃんだった。
 ただ、その白衣は前がはだけて、その内側には下着を着てなかった。
 胸も股間も丸見えの状態で白衣を羽織っただけの姿で背中に手を回して、佳奈ちゃんはニコニコと笑っていた。

「そんな……佳奈ちゃん?」
「黙っててごめんなさい、サチコさん。私はもうアツヒロ様の奴隷なんですよ」
「そんなっ!? 神山っ! あんた佳奈ちゃんにまで手を出してたのっ!?」
「佳奈ちゃんを怒っちゃだめだよサチコ。だって、佳奈ちゃんがアツヒロ様の奴隷になったのは昨日今日のことじゃないもの」
「はい。もうエリカさんたちともすっかり仲良しなんですよ!」

 そう言うと、佳奈ちゃんはじゃれるようにエリカに体を寄せる。

「そんな……いつから……」

 あまりのことに言葉を失う私に答えたのはアヤネだった。

「ほら、私が予約の電話を入れた日。あのとき、この店の前で待ち伏せをして出てきた佳奈ちゃんをアツヒロ様の力で奴隷にしたのよ」
「はい、そうです。それでアツヒロ様にいっぱい可愛がってもらって、今ではすっかりアツヒロ様の奴隷です」
「そんな……佳奈ちゃん、目を覚まして!」
「でも、そんなこと言ってもサチコさんだってもうアツヒロ様のものじゃないですか」
「なにを言って…………ええっ!?」

 佳奈ちゃんが、背後に隠し持っていたタブレットをこちらに向けて突き出す。
 その画面に映っているのは裸に黒のストッキングだけという格好で神山の上に跨がって腰をくねらせている私の姿だった。

「うそよ……なんなのよ、これ……?」

 どこか虚ろな表情で腰を振っている画面の中の私。
 私には全く記憶はないけど、それは間違いなく自分の姿だ。
 しかも、腰の動きは確実に大きくなっていっている。

「サチコさんがこんなにエッチだなんて、私、知りませんでしたよ」
「そんな……違う……うっ! ううっ!?」

 私ハマスターノ精液ヲ搾ル搾精マシーン。

 またっ!?

 頭の中で、またあの声が響く。
 それだけじゃなくて、画面の中でいやらしく腰を振る自分を見ていると体が熱くなってくる。
 アソコが疼いて下腹部に勝手に力が入る。
 すると、そこに入っているペニスをはっきり感じてさらに体が疼く。

 コノペニスヲ扱イテ、精液ヲ搾ル。

「いやっ……違うのっ!」

 頭の中の声に抗う言葉が、思わず口をついて出る。
 だけど、視線はタブレットの画面の中で神山に跨がり腰を振っている自分の姿に釘付けになったまま。
 どうしてもそこから目が離せない。

「なにが違うんだ?」
「わっ、私は搾精マシーンなんかじゃない!」
「ふーん、だったらなんでおまえは自分で腰を動かしてるんだ?」
「……えっ!?」

 気がつくと、私は自分から腰をくねらせていた。

「やっ……ど、どうしてこんなっ!? いやっ、止まって!」

 口ではそう叫ぶものの、腰の動きは止まるどころか少しずつ大きくなっていく。
 膣の中で固いペニスが擦れるたびに、甘い痺れにも似た感覚が全身を駆け巡る。

「そんなっ! さっきまで体が動かなかったのに! はぁああんっ! ……こっ、これもあんたの仕業なのね!?」
「まあ、僕の仕業といえばそうなんだけど、たぶんおまえが思ってるのとは少し違うな」
「違うってどういうことよ!?」
「僕はただおまえの体が動かないようにさせてただけじゃないのさ。おまえが逃げようとしたり抵抗しようとした場合に体が動かなくなるようにしてたんだ。そして、おまえが快感を求めようとした場合はそれに従って体が動くように細工してたんだよ」
「そんな……それって……」
「おまえの腰が動いてるってことは、おまえ自身がその快感を求めてるってことさ」
「そんなバカなっ…………んっ、はううううんっ!」

 神山の説明はとてもじゃないけど受け入れられない。
 だけど、腰の動きは止まらない。

「はんっ! はううううっ! そっ、そんなはずない! 私は快感なんか求めてない! ああっ! んんんんんっ!」

 扱ク、コノペニスモット扱ク。
 ソシテ精液ヲ搾リ取ル。

「違うっ! 違うのっ! 私はそんなっ! ……んふぅううううっ!」

 必死に抗おうとする私の気持ちを、頭に響く声が妨げる。
 それに加えて、ペニスで奥まで突かれるたびに突き抜けていく蕩けるような甘い痺れが脳を溶かしていくみたいになにも考えられなくなっていく。

「いやっ! こんなのいやっ! ああんっ……いやっ、止まってお願い!」
「そうか? だったら思い通りにしてやるよ」
「……え?」

 不意に、腰の動きがピタッと止まった。

「やだ……なんで……?」

 お腹の中に固いペニスが入っている感覚があるのに、満たされない喪失感。
 さっきまでの甘い刺激を味わいたいのになにもできない。
 たった今まで感じていた快感の余韻が消えていくのと裏腹に、欲求だけが高まっていく。

「おまえが止まってって言ったからお望み通りに止めてやったんだよ」
「そんな……こんなのって……」

 あの快感が欲しい。
 なのに体はピクリとも動かない。
 満たされない思いが、胸の中に澱のように沈殿していく。

 完全に生殺しだった。
 疼ききった体が快感を求めているのに、それをもたらすものがアソコに入っているというのに、自分ではなにもできない。

 私ハ……私ハ搾精マシーン。
 ペニス、扱ク。
 腰、動カス。
 精液、搾ル。

 頭の中であの声が鳴り響く。
 それが体の疼きをどんどん募らせていく。
 だけど、そのはけ口がない。
 まるで、ブレーキとアクセルを同時に思いきり踏んでいるような状態。
 このままだと、自分が焼き切れてしまう……。

「どうしたの、サチコ、泣きそうな顔して?」
「……ハヅキ」
「そんなに苦しいのー? だったら、すぐ楽になれる方法があるんだよ」
「……エリカ」
「そうよ。アツヒロ様の奴隷になるって言ってしまえばいいだけなんだから」
「……アヤネ」
「サチコさんも早くこっち側にきてくださいよぉ。私、サチコさんと一緒にアツヒロ様の奴隷でいたいです」
「……佳奈ちゃん」

 みんなが集まってきて私を取り囲む。
 全員、妖しいくらいに淫靡な笑みを浮かべた牝の表情をしていた。
 私の大切な人たちが浮かべているそれは、神山の奴隷としての顔。

 ……だけど、なんで?
 そんなみんなが羨ましい。
 ああ、そうか……私、もう……。

 見たこともないいやらしい笑顔を浮かべ、でも、すごく幸せそうなみんなのことを羨ましいと感じている自分に気づいた瞬間、神山に抗おうという意志は粉々に砕け散った。

「……私を、あなたの奴隷にしてください」

 喉の奥から、隷従の言葉を絞り出す。
 だけど、その人は薄笑いをこちらを見上げているだけだった。
 相手が黙っているのが不安で、もう一度頼む。

「……お願いします。私をあなたの奴隷にしてください」
「本当にそれでいいのか?」
「そっ、それは……」
「嫌なら別に無理しなくてもいいんだぞ。昨日だって僕のことを鬼とか悪魔とか罵ってたしな」
「ごめんなさい! そのことは謝るから! お願いします! このままだと頭がおかしくなりそうなの!」
「そうは言ってもな……そもそも、僕がなんでこんなことをしてるのか忘れたわけじゃないだろ? 高校のときにおまえたちがしたことに対する復讐なんだからな。それに対してはどう思ってるんだ?」
「本当にごめんなさい! 私がやったことはあなたの奴隷になって一生かけて償います! だから私をあなたの奴隷にしてください!」

 もう、プライドもなにもなかった。
 このままお預けされた状態だと本当におかしくなってしまいそうで、奴隷にしてくださいと必死になって懇願していた。

「そうか、そこまで言うんなら僕の奴隷にしてやるよ」
「本当にっ!?」

 それが完全敗北なのは自分でもわかってる。
 でも、自分にはどうしようもなかった。
 奴隷にしてもらえるという言葉を聞いたときに嬉しいとすら思っていた時点で、もう私はこの人の手に堕ちてしまっているのをはっきりと自覚していた。

「そんなに嬉しいのか?」
「はいっ!」
「だったら、体が動くようにしてやる。思うように動いてみろ」
「はいっ! ……んはぁああああっ! これっ、これが欲しかったのぉおおおっ!」

 さっきまでピクリともしなかった体が動かせる。
 いったん腰を浮かせて、もう一度深々と沈める。
 ペニスが膣内を擦って奥に当たる目も眩むような快感に理性が吹き飛ぶ。

「あぁんっ! はんっ! いいっ、すごくいいのぉっ!」

 無我夢中で腰を振り、快感を貪る私の頭にあの声が響く。

 私ハマスターノ精液ヲ搾リ取ル搾精マシーン……。

「そうよっ! 私は搾精マシーンなのっ! だからもっとペニス扱くっ! 精液搾り取るのぉおおっ!」

 もう、頭の中に響く声をすんなりと受け入れていた。

「ああんっ! いいっ! ペニス扱くの気持ちいいっ! はぅんっ、んほぉおおおっ!」
「くくっ! すっかり気に入ったようだな。なら、本格的に僕のものにしてやるよ」

 我を忘れて腰を動かしている私にその人がそう言ったかと思うと、頭の中に何か入ってくる感覚に襲われた。

「ふええっ!? ……あ゛っ! いぁああああっ!?」

 頭の、いや心の中になにかドロリとした粘着質なものが入ってきて広がるような感覚。
 たしかに違和感はあるけど、決して不快な感じはしなかった。
 それどころか、それが自分の中に広がっていくほどにうっとりとしてくる。

 ああ……わかるわ。
 私が変えられていく。
 この人の……アツヒロ様のものに。
 アツヒロ様に絶対服従し、生涯お仕えする奴隷になっていく。

 私ハ、マスターノ精液ヲ搾ル搾精マシーン……。

 ……そうよ。
 私の体はそのためにあるんだから。
 アツヒロ様にご奉仕して、気持ちよくなってもらうための搾精奴隷。

 頭の中に響く声と、アツヒロ様の奴隷としての私がどんどん融合していく。

 でも、嬉しい。
 これで私もみんなと同じになれるんだ。
 みんなと一緒にアツヒロ様にお仕えすることができるんだ……。

「ふぁああああっ! アツヒロ様ぁああああっ!」

 軽い絶頂に達しながら、私は自分のご主人様の名前を叫んでいた。

「どうだ? 僕の奴隷になった気持ちは?」
「最高ですぅううっ! アツヒロ様のペニス、もっと扱きますっ! このペニスにもっともっとご奉仕して精液搾り取らせていただきますっ! ……はうんっ、ふぁっ、んっ、はううううっ!」

 アツヒロ様の奴隷になれた喜びを感じながら懸命に腰を振る。
 自分が奉仕するこのペニスが愛おしくて堪らなかった。

「あんっ、アツヒロ様っ! はうっ、んっ、はぁああっ! 扱くのっ、ペニスもっと扱くのぉおおっ!」
「くっ、激しいな。そんなにするともう出てしまいそうだ」
「はいっ! ください! アツヒロ様の搾精奴隷の膣内に精液いっぱい出してください! あんっ……ああっ! いまっ、ペニスがブルブルッて!」
「くううっ! 全部受け取れ!」
「はいいいいっ! ふぁああっ! 熱い精液っ、きたぁあああああああああっ!」

 お腹の中でアツヒロ様のペニスが震えたかと思うと、熱いものが迸る。
 それを一滴も逃すまいと、下腹に力を入れて文字通り精液を搾り取る。

「ふぁあああああ……アツヒロ様の精液でお腹いっぱい……私、アツヒロ様の奴隷になれて幸せですぅうううう……」

 お腹の中のペニスが萎んでいくのに名残惜しさを感じながら、アツヒロ様の胸に抱きつくように体を倒して絶頂の余韻に浸る。

「すごくいやらしかったわよ、サチコ」
「んん……ハヅキぃ……」
「これでサチコもあたしたちの仲間だね!」
「うん、エリカ……」
「おめでとう、サチコ。これからみんなでアツヒロ様にお仕えしていきましょうね」
「ありがとう、アヤネ……」
「私も頑張りますからよろしくお願いしますね、サチコさん!」
「もちろんよ、佳奈ちゃん」

 ベッドを囲んで集まったみんなが口々に祝福の言葉をくれる。

「アツヒロ様、私、これからずっと精一杯ご奉仕しますね」
「ああ」

 大切なご主人様と、そして仲間たちに囲まれて、私は隷属の喜びに満たされていくのだった。

 
 
< 終 >


 

 

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