サイの血族


 

 



44


 二日間歩き続けた。

 毒気が抜けたというか、すべてを亜希子に注ぎ込んでしまったというか、街行く女に心を奪われることなく隼人は吉野を目指した。単に疲れて欲望が起きなかったと言えばそれまでだが。

 その間、隼人は「サイ」としての能力が完成したことについて考えていた。頭の中の声はあれから聞こえることはない。それまでは「サイ」の能力や、これからなすべきことについてのオピニオンだったが、亜希子の身体へ入り込んでからはなにかが変わった。もしかしたら、あの声は「サイ」として一人前になった隼人自身が未来から来たのかもしれないとも思える。

 浜名湖が見える家で一泊すると力が甦って来たように感じた。のどかな風景を眺めながら西へ進んで行く。亜希子の家を出てから、いままでの声とは違うなにかが聞こえていた。かすかなものだがエコーがかかった女の声が隼人を呼んでいるようなのだ。

 やはり、なにかが変わったのだろうと思った隼人は、深く考えもせずに声が導くまま歩き続ける。逆三角の青い標識には「国道362」と書かれていた。

 大きな橋に差し掛かると声がはっきりとしてきた。同時に言いようのない胸騒ぎを覚えた。このまま先に進んでよいのかという疑問が湧いてきて隼人は橋の真ん中で立ち止まった。

「どうしたの? 早く。こっち。こっちよ」

 声がそう言っていた。

「誰だ、お前は?」

 隼人は心の中で念じてみる。しかし反応はない。

 考えてみれば声の主が女だというのはおかしい。それに、いままで頭の中でした一体感のある声とは明らかに違う。なんというか他人の声なのだ。何者かに操られているのではないかと警戒心が芽生えてきたときのことだ。

「あれっ・・・気づかれちゃったかな・・・」

「バカ・・・念じるのよ・・・」

「あっ・・・うん・・・こっち、こっちよ・・・」

「こっち、こっちよ・・・」

 一瞬、なにやら会話らしきものが聞こえてから、ふたたびエコーがかった声が隼人を呼びはじめた。少し焦っている雰囲気がおかしかった。隼人は一族に関係した者が自分を呼んでいることを直感的に理解した。エコーに聞こえたのは二人で呼んでいるかららしい。不安は消えた。しかし警戒心は消えない。どうも違和感があるのだ。

 橋にもたれて、しばらく考えていた。しかし、どのみち進まなければならないのだと思い至り歩きはじめる。

 例の声から安堵の情が感じられる。よほど隼人を呼びたいらしい。

 やがて駅が見えてくる。豊川駅と豊川稲荷駅の案内表示を見て、因縁めいたものを感じながら、なんとなく腑に落ちた隼人だった。たぶん、声の主は豊川稲荷と関わりがあるのだ。

 線路の反対側は若干賑やかな感じだ。声とは関係なしに隼人は豊川稲荷へ向かって歩きはじめる。

「あれぇ、神社じゃないんだ・・・」

 交差点の向こうにある総門を見て、生まれ育った玉石神社とは異なる佇まいに隼人は独り言を言った。

「おや、お兄さん。知らなかったのかい?」

 総門の向かいにある饅頭屋のお婆さんが笑いながら言う。隼人は知らずに大きな声を出していたんだと気づいて恥ずかしくなった。

「いや、普通、お稲荷さんって神社だから・・・」

「これを読みなさい。商店街で作ったパンフレットだよ」

 差し出されたパンフレットを見ると、そこには「豊川稲荷縁起」と書かれていた。

「ふ〜ん・・・」

 その説明を読んでいると、また声がした。

「こっちよ。門をくぐったら塀に沿って左よ」

 近いせいかはっきりと聞こえる。

「おばあさん、ありがとう。見学してきます」

 隼人が笑顔を向けると、饅頭屋のお婆さんは顔を赤くした。普段、放っている「気」も強くなっているようだ。

 総門をくぐった瞬間、ゾワッと鳥肌が立った。かなりのパワースポットらしい。それも虚空蔵の精霊のようなおおらかで重いものではない。どこか棘のある感じがする。

 隼人は声の通りに壁沿いの小径を進む。警戒心を解かず慎重にだ。

 やがて本殿の裏側にある開けた場所に出た。

「来たわね」

 森の奥から本当の声が聞こえた。

「な・・・なんだ・・・」

 姿を現した二人の女を見て隼人は開いた口を閉じることができなかった。

 年は隼人と同じくらいだろうか。その恰好がおかしい。いわゆる忍者装束なのだが、黒い網シャツのような鎖かたびらの上に着ている上衣は鮮やかなピンク、袴を着けていないので帯の下はミニスカートみたいだ。ピンクで揃いの脚絆の上に見えるふとももが艶めかしい。頭巾はかぶっておらず、ストレートヘアーを後ろで束ねてポニーテールにしている。はちまきの額部分にはメッキの金属板が、そして狐の耳らしい飾りまで付いているのだ。

「ぷぷっ・・・マンガみたいだ・・・」

 現実離れした、あるいはコスプレのような姿に思わず隼人は笑ってしまった。

「笑ったね」

 二人は声を揃えて言った。

「だ・・・だって・・・」

「笑っていられるのもいまのうちさ。ここが、あんたの墓場になるんだから」

「ど、どういうこと?」

 笑いが止まらない隼人には現実感がない。

「冥土の土産に聞かせてやろう。あたしの名前は百地亜実」

「あたしは百地絵実」

 名前を聞いてよく見ると二人は双子らしかった。切れ長でつり上がった眼がきつい印象だが、なかなかの美少女だ。

「ふたりは美少女忍者戦隊」

 ポーズを決める舌っ足らずのハーモニーはアニメから出てきたようだ。

「ぷっ!」

 吹き出す隼人を見て二人は目を吊り上げた。

「あたしたちが念力であんたを呼んだのさ。飛んで火に入る夏の虫とはこのことさ。あんたには恨みはないけどお屋形様の命令だからね。あたしたちの一族にお前は邪魔なんだって」

「えっ・・・? そしたら・・・」

 隼人は服部早苗の話を思い出していた。

「死んでもらうよ」

 二人はプロレスのゴングが鳴ったときみたいに構えた。

「サイ!」

 身の危険を感じた隼人は両手をかざして強く「サイ」を唱えた。

 しかし、何事もなかったかのように二人は隼人に向かって突進してきた。

「とうっ!」

 亜実と名乗った方が跳び蹴りを仕掛けてくる。ふとももの奥には、さらしのような布がスパッツのように巻いてあった。そこまで見えたとき隼人の側頭部に衝撃が走った。

「はっ!」

 こんどは絵実のかけ声がして腹部にキックが炸裂した。

「ぐはっ・・・」

 隼人は草が生い茂った地面に転がる。

「な・・・なんでだ・・・『サイ』が効かない・・・なんて・・・」

 痛みの中で隼人は呻くように言った。

「ふん。残念だったね。あたしたちはお屋形様から『サイ』をかけてもらってるから、もうかからないのさ。えいっ!」

 亜実が隼人を蹴り上げる。

 隼人は高く上がった脚と上衣の奥に覗く股間を見ながら転げて逃げた。

「オンシラバッタニリウンソワカ!」

 亜実と絵実が人差し指を立てて合掌した。印を結ぶというやつだ。そして呪文を唱えると隼人は金縛りにあったように身体が動かなくなった。

「くくく・・・この世の見納めだね」

 絵実が隼人の身体を跨ぐようにして立った。

 こんなときでも股間に目が行ってしまう男の性が隼人は悲しかった。

「すぐに楽にしてあげる」

 絵実は隼人の腹にしゃがむと首に手を伸ばしてきた。

 視線が合う。絵実の眼はトランスに陥ったとき独特のものだ。遠くを見るように笑みを浮かべた表情からは感情が読み取れない。

 ついに隼人の首に指がかかった。しなやかな指がめり込んでいく。

「んぐっ!」

 気管が変形する痛みに、隼人はやけくそになってオーガズムを送ってみた。

「きゃうんっ」

 不思議な声とともに絵実の身体が跳ねて首から手が離れた。

「げほっ! げほほっ!」

 隼人が咽せる。身体は重いがなんとか動かせるので上半身を起こす。

「絵実! どうしたの?」

 呪文を唱えていた亜実が駆け寄ってくる。そのせいで呪縛が解けたようだ。

「く・・・ふん・・・わかん・・・ない・・・」

 へたりこんで答える絵実の声は甘ったるい。

「ちきしょう! 絵実に何をした!」

 亜実は隼人の襟首をつかんで言った。

「きゃん」

 こんどは亜実が喘いで尻餅をつく。大きく逆ハの字に開いた脚、その間のスパッツのようなさらしが丸見えになった。

 どうやら他人がかけた「サイ」でも快感を送り込む能力は有効らしい。命拾いしたと胸を撫で下ろした隼人だったが、自分や雄大の他にも「サイ」を使える男がいるのがショックだった。

「くそぉ・・・」

 逃げようとする隼人の足首を亜実がつかむ。

「はうぅぅんっ!」

 隼人は思いつく限りのオーガズムを亜実に送り込んだ。

 亜実は全身を痙攣させながら喘ぐ。

 呪文の効果が残っているのか隼人は立ち上がることができず、這いながら逃げた。

「亜実、なにやってるの。捕まえて」

「だって、あいつに触るとヘンになっちゃうんだも〜ん」

「だったら刀かなにかで・・・」

「ダメだよ。境内を血で汚したら、あたしたちにお狐様の祟りが・・・」

「でも・・・境内の中じゃないと、あたしたちの力は・・・」

 絵実はそう言いながら、這っている隼人の前に両手をひろげて立ちふさがった。

「オンシラバッタ・・・きゃん・・・」

 印を結んだ絵実の両足首をつかんで隼人はまたオーガズムを送り込む。

「やめろぉぉぉっ!」

 亜実が隼人の腹に蹴りを入れる。

「げぶっ!」

 もろにみぞおちにはいってしまい、隼人は転がりまわって痛みに耐えた。

「あん、ばか・・・もうちょっとだったのにぃ・・・」

「なに言ってんの。こいつを逃がしたらお屋形様からお仕置きだよ」

「いいもん。絵実、お仕置き好きだもん・・・こいつガチ気持ちいいし・・・」

 二人が言い争っている間に、なんとか逃げたい隼人だったが、息が苦しくて立てない。とにかく、この二人を感じさせて動けないようにして逃げるのが得策だと思った。隼人は這って亜実に近づいて足首をつかむ。

「あっ・・・やんっ! いやぁ〜っ!」

 不意を突かれた亜実はガックリと膝をつき雑草を握りしめて悶えた。四つん這いになったヒップが丸くて色っぽい。なんてったって、ミニのような上衣の下は腰の線がはっきり見えるさらしなのだ。

「ああんっ! なんで・・・いい・・・こんなの・・・はじめて・・・」

 亜実はヨダレをたらして喘いでいる。

「だめぇ。ずる〜い。絵実にもぅ・・・」

 絵実が這いながら隼人に覆い被さる。もはや殺気はない。それどころか媚び全開だ。

「欲しいの・・・あたし、これが・・・」

 絵実は隼人を仰向けにしてベルトを外しジーンズを下ろした。

「うそぉ〜・・・なんでぇ〜?」

 絵実は縮こまった隼人のものをつまんで言った。

「やめろ。だいたい、あんなことされて興奮するはずないじゃないか」

 隼人はもがきながら言う。

「だったら、あたしがおっきくしてあげまちゅ〜・・・パクリ」

 大きく口を開いた絵実は隼人のものをくわえた。そして訓練されたとしか思えない舌の動きで先端部分を舐めまわした。

 流れが変わった。

 恐怖と痛みでそれどころではなかった隼人にも、この刺激でエッチな気持ちが甦ってきた。だいたいコスプレのようなコスチュームはけっこう色っぽいし、二人とも同じように(当たり前だが)かわいい。こんな女を感じさせてから逃げるのもいいと心に余裕ができてきた。

 絵実は隼人のものを熱心にしゃぶっている。

 あまりの気持ちよさにムクムクと反応してしまった。

「きゃ〜ん・・・なに、これぇ・・・すっご〜い・・・」

 卓越した「サイ」だけが持てる黒く節くれ立った逸物に絵実は驚嘆の声をあげる。

「あ〜ん。すごい、すご〜い。触ってるだけでジンジンきちゃうんですぅ」

 語尾にハートが付くような甘い声でそう言うと、絵実は隼人のものに頬ずりをした。亜希子との一件から隼人のものは勃起時から「気」を放つようになっていた。

 気がつくと絵実は自分で帯を解いていた。前をはだけたまま、さらしの結び目を解くとクルクルと外しはじめる。その下は素肌だった。

「あ〜ん、すっごく硬〜い。こんなんが入っちゃったら・・・いやん・・・考えただけで・・・たまらな〜い・・・」

 隼人の屹立に手を添えた絵実はそれだけで感極まってしまったようだ。

「ダメだよ、絵実。そんなことしたら、お屋形様に叱られちゃうよ」

「いいもん。だって、これ・・・お屋形様のより、ずっと・・・ああ〜んっ!」

 言葉の最後には、もう先端が潜り込んでいた。

「ひゃっ! ひゃんっ! すっごい・・・ひゃあんっ!」

 結合が深まると絵実の喘ぎのトーンが変わった。ただでさえアニメのキャラじみた舌っ足らずな口調なのに、もっと輪をかけたように甘くなっていく。

「ひゃあん・・・おっきくて・・・いっぱいで・・・あついの・・・」

 そう言いながら絵実は自分から腰を動かしはじめる。

 はだけた上衣から覗く鎖かたびら、その下にはブラジャーさえ着けておらず、薄茶の乳首が勃起してはみ出しているのが見える。

 隼人は亜実の足首から手を離し、指先でその乳首に触れた。

「ひゃうぅぅぅんっ!」

「気」を放つ逸物を根本まで挿入され、指先からオーガズムを送り込まれた絵実はたまらずのけ反って高い声をあげた。

 そんな絵実の姿を亜実は呆然として見ているだけだ。

 絵実は何度も身体を硬直させ痙攣を繰り返す。

 口の端からはヨダレを流し、目は宙を彷徨っている。

「いくよ!」

 その姿を見て隼人は渾身の力を振り絞って腰を突き上げ、絵実の乳首をつまんでオーガズムを送り続けながらラストスパートを開始した。

「あっ! ぐっ! くぅ〜んっ!」

 放出の瞬間、まるで子犬のような声をあげて絵実は白目をむいた。何度か痙攣を繰り返した後、地面の上に倒れ込む。

 隼人は絵実から離れて立ち上がった。

「亜実ちゃんだっけ? こんどは君がお仕置きを受ける番だよ。双子だから君も好きなんじゃない。たっぷり、してあげるよ」

 隼人がそう言って亜実を見ると蕩けたような眼をして震えている。

「あたしたち・・・双子だから・・・絵実が感じると・・・あたしも・・・」

 双子はテレパシーでつながっていて感覚を共有できるという話を思い出した。

「じゃあ、もう満足したんだ。だったら僕は行くから・・・」

 ちょっと意地悪をしてやろうと思った隼人が立ち上がってパンツを履こうとしたとき亜実が叫ぶように言った。

「ダメッ! あたしにもしてくれないと・・・」

 もう亜実は装束を脱ぎはじめていた。

「絵実と一緒じゃないと・・・お屋形様にも・・・」

「そのお屋形様ってだれ?」

 目の前から危険が去ったことを察した隼人は亜実に聞いた。

「あ・・・だめ・・・言えない・・・」

「だったら、僕は行くから・・・」

 絵実と感覚がシンクロしているなら、不均衡を作ればしゃべらせることができるのではないかと隼人は考えた。

「怒られる・・・から・・・」

「ここにいる絵実ちゃんが気を失って、君も僕を殺す気がなくなっちゃったのがわかる。それだけで怒られるんじゃない? だったら教えた方がいいよ。力になれるかもしれない」

「お、お屋形様が術をかけると・・・あたしたちは・・・忍者になるんです」

 亜実の口調が変わった。

「『サイ』のことだね?」

「そう・・・です・・・」

「君も『サイ』をかけられて忍者になったんだ」

「一族の者は・・・忍者になるのが・・・さだめです。お屋形様には逆らえません・・・お屋形様の『サイ』で一族は忍者として一人前になるのです」

 亜実の声には抑揚がない。

「ちょっと待って。どういうこと?」

 結花のお婆さんは傍系の力は不完全だと言った。もしかしたら傍系の「サイ」は一族にしかかけられないということかもしれない。

「あたしは狐の血筋、『サイ』とお稲荷様の力で人を操れます」

 隼人の考えは当たったようだ。亜実は一族とお屋形様について語り出した。しかし、わからないことも多い。

「なぜ、僕を殺そうとしたの?」

「命令でした。あなたを殺さないと一族の危機がやってくると」

「じゃあ、まだ、その命令は生きているんだね?」

「あたしと絵実は二人でひとつ。絵実の意識がないときは九ノ一の力は使えない・・・」

 そう言いながら絵実は服を全部脱いだ。

「お狐様が言ってる。あなたに抱かれないと、あたしたちの力は終わり・・・それに・・・あたしはあなたが欲しい・・・」

 そう言う亜実の身体はヨダレが出るほど美しかった。だいたい、スレンダーで、ちょっときつ目の美少女は隼人の大好物なのだ。

 豊川のお稲荷様が亜実に取り憑いたのだと思った。雰囲気が虚空蔵の洞窟で裸体を晒した麻里そっくりだった。そして、その力は隼人にも影響を及ぼしているようで勃然となった逸物がいままでにないくらい熱くなっていた。

「君は狐なんだから後ろからされるのが好きだよね。そこの木に手をついてお尻を突き出して」

 さっき殺されかけたのに、狐の力なのか自分のものを亜実に入れることしか考えられなかった。

 張りのあるヒップをつかむと逸物をあそこへ押し当てる。

「きゃうんっ・・・」

 それだけで亜実は甘い声をあげた。

「きゃっ! きゃうぅぅぅっ!」

 蜜壺は熱く濡れきっていて隼人のものを受け入れていく。

「あうぅぅぅ・・・き、きつくて・・・やっ・・・感じるぅ・・・」

 亜実は夢中になって喘ぐ。

「や・・・やん。あついのが・・・いっぱい・・・あああんっ!!」

 隼人が腰をつかんで根本まで挿入すると亜実は悲鳴のような声をあげた。

 ちょうど手のひらに収まるくらいのバストを鷲づかみにして隼人は挿送を開始する。張りがあると言うよりは青い果実のように硬いバストの感触が隼人を興奮させた。触れた部分から、ありったけのオーガズムを送り込みながらの律動が続く。

「ああっ! すごい! こんなの・・・はじめて・・・おかしく・・・なるぅ!」

 肉を打つ音が森に響く。隼人は、ふと誰も自分たちに気がつかないのかと不思議な気分になった。豊川稲荷は祈祷に来る人たちで賑わっている。なのに人の気配を感じないのだ。

 気がつけば背中の中程まであるポニーテールがいくつかに分かれていた。隼人は九尾の狐を思い出す。これも狐の加護なのかもしれないと思い挿送の速度を上げた。それにシンクロして亜実の喘ぎも高く大きくなっていく。

「あっ・・・あついのっ! いやっ!! いやぁ〜っ!!!」

 限界まで膨れて硬くなった逸物を感じて亜実が叫ぶ。

 ほぼ同時に隼人は熱い「気」とともに精を放出した。

 亜実の身体が鋼のように硬直する。

 内部の締め付けが最後の一滴まで搾り取ろうとしているようだった。

 そして、亜実は地面に崩れ落ちた。

 肩で息をする隼人。どうやら呪縛が解けたようだ。痛みからも解放され、晴れやかな気分だった。

 
 


 

 

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