あの日から、私と結城和音の関係はすっかり変わってしまった。 周囲の人間も、多少は変化を感じ取っていた。 とはいえ、せいぜいが、最近あのふたり仲が良くなったね、とか、やっぱり良きライバルとしてお互いのことを認め合っていたのね、とか噂される程度だ。 でも、私たちの本当の関係は誰も知らない。 「あんっ、んんんっ、こんな感じでっ、よろしいですか、琴乃さまぁ?」 その日も和音は、私の見ている前で自分の胸やアソコをいじったりして、せっせといやらしいポーズを作っていた。 ここは、レイチェル館からさらに奥に入ったところにある雑木林の中。 遊歩道からだいぶ離れているので、ここまで人が来ることはまずない。 ていうか、この学園の敷地ってどんだけ広いのかしら? さっきから和音は、ブラウスをはだけさせて乳首を指先でこねていたかと思うと、今度は両側から乳房でネクタイを挟みこんでこっちに流し目を送ってきた。 「んふうっ、いかがでしょうかぁ、琴乃さまぁ?」 んー……。 まあ、あなたのおっぱいじゃネクタイを挟むのがせいぜいね。 と、今度はくるりと向きを変えてクヌギの木に手をついたかと思うとこっちに尻を突きだし、もう片方の手でゆっくりとスカートをめくり上げていく。 今日はそっちのパターンか……。 和音のスカートのめくり上げ方は、パッと思い切りよくめくり上げるやり方と、こうやってゆっくりと、思わせぶりにめくり上げていくふたつのパターンがあった。 どっちでもいいじゃん。 どうせ、私は先にショーツを脱いでいるところを見ているんだし。 そうは思うのだが、彼女は彼女なりにいろいろ考えているらしい。 さらけ出された和音のお尻は、たしかに色白で形も良くて女の私が見てもきれいだなとは思う。 見ると、早くも溢れ出したお汁がふとももを伝っているのが丸見えだ。 和音は、顔だけこっちに向けて蕩けた笑みを浮かべると、アソコの中にゆっくりと指を入れていく。 「ああんっ、やあっ!私のここ、もうこんなにおつゆが溢れてますよぉ……」 クチュクチュと音を立てて、自分のアソコの中をかき回しながら和音がだらしのない笑みを浮かべる。 週に何回か、人気のない場所で和音を”可愛がって”やるのが私の習慣になっていた。 でも、”魔法の手”を使うとあまりにもあっさりとイってしまって面白くないので、はじめはこうやって和音に自分でやらせてるんだけど。 それに、何度も言うようだけど、私にはそっち方面の趣味はないし、これはある意味、私の目の前であられもないことをして喜ぶ奴隷に成り下がった和音の姿を見て、溜飲を下げるといった程度のことだ。 「琴乃さまぁ、いかがですかぁ?」 「ええ、とってもいやらしいわよ、和音。へっ…くしゅんッ!」 もう、ルーティーンになってしまったお決まりの返事を返そうとして、大きなくしゃみが出てしまった。 「大丈夫ですか、琴乃様!?お寒いのではありませんか?」 すると、はだけた制服のままで、和音が心配そうに駆け寄ってくる。 「うん、ちょっとね……」 たしかに、もう秋も終わりかけだし、さすがに屋外にずっといるのは辛い季節になっていた。 まったく、そんな中で半分裸みたいな格好をしてる和音の気が知れないわ。……ま、させてるのは私なんだけど。 「こう冷えてくると、なかなか外でっていうわけにはいかないわよねぇ……」 「じゃあっ、私の家においでになりませんか、琴乃様!」 「へ?あなたの家?」 「はいっ!私なんかの家にお招きするのは心苦しいんですけど……」 「いや、それはいいんだけどね」 ていうか、あんたの家ってすごいお屋敷とかなんじゃないの? 「それに、今、家には他に誰もいませんから」 へ?どうこと? 誰もいないって、みんなで旅行にでも行ってるとか? あんたをおいて? 「ですから、ぜひ私の家にお越しください、琴乃様!」 「うん、まあ、あんたがそう言うんだったら……」 「光栄です!ではっ、早速!」 パッと表情を輝かせると、和音はいそいそと乱れている制服を整えはじめる。 「さ、それでは行きましょう、琴乃様!」 自分のカバンと私のカバンも手に取ると、和音は先に立っていこうとする。 「いいわよ、自分のカバンくらい自分で持つから」 「でも、琴乃様……」 「忘れたの?他の人の目があるところでは私たちの関係を知られないようにって言ったでしょ」 「あっ、申し訳ありません!琴乃様がうちにお越しになるので、私、少し舞い上がっていたみたいです」 恐縮して私にカバンを手渡すと、和音はまるでエスコートでもするみたいに私の前を歩きはじめた。 「ここがあなたのうちなの!?」 和音に連れてこられたマンションの前で、私は素っ頓狂な声をあげてしまった。 豪邸なんてとんでもない、高級マンションですらなかった。 ごく普通の、賃貸マンションじゃないの。 「申し訳ありません。本当なら、琴乃様をお招きするような場所ではないんですけど……」 「いや、違うのよ。私が勝手に勘違いしてただけだから」 そういえば、日頃の振る舞いからてっきりお嬢様だと思ってたけど、よく考えたら和音の家のことを聞いたことがなかったわ。 「さあ、こちらです、琴乃様」 ふたりでエレベーターに乗り、和音に案内されてきたのは809号室。 いちおう3LDKだけど、マンションの外見同様、とりたてて豪華というわけじゃない。いたって普通の部屋だ。 「私は一人娘で、父は仕事から帰るのも遅いですし、今日は母もパートのある日ですから、この時間は誰もいないんです」 「へえ、お母さんも働いてるんだ……」 さっきから、驚くことばかりだった。 プライドの高い良家のお嬢様という、私が和音に抱いていたイメージは脆くも崩れ去っていた。 ごく普通の家じゃない、そう、私の家と負けず劣らずの。 じゃあ、なんで学校ではあんな風に振る舞ってたんだろう……? 勧められた椅子に腰掛けながら、ぼんやりと部屋を見回していた私の思考は、和音の言葉で中断させられた。 「お体が冷えてないですか、琴乃様?よろしかったら、熱いシャワーで体を暖めてはいかがでしょうか?それとも、これからお風呂を沸かしましょうか?よろしければ、私がお体を流しますけど」 ……って!どんだけやる気マンマンなのよ、この子は!? だから、私にはそんな趣味はないって言うの! 「いや、大丈夫。そこまで寒くないから」 「そうですか……」 だから、その残念そうな顔はなんなのよ! 「あの、なにか温かいお飲物でも用意いたしましょうか?」 「うん、ありがとう。でも、大丈夫だから」 和音が、甲斐甲斐しく私の世話をしようとする。 さっきから、私はなんだか毒気が抜かれたような気がしていた。 いや、さっきからじゃない。 それは、あの日から薄々は感じていたんだけど……。 「では、私の部屋に行きませんか、琴乃様?」 少し困ったような表情で和音が訊ねてきた。 「うん、そうね、そうさせてもらうわ」 「はいっ!それではどうぞっ、こちらです!」 また、和音が弾けるような笑顔を見せる。 そうだ、この笑顔を見ているとなんだか調子が狂っちゃうのよね。 そして、連れてこられたのは、広さは6畳くらいだろうか、そんなに広くない部屋。 学習机と、ベッドと本棚があるだけで、あんまり飾り気のない女の子らしくない部屋だった。 机の上と本棚には、参考書の類が詰まっていて……まあ、私の部屋とあまり変わりはないか。 でも、和音の性格を考えると、そういう部屋っていうのはある程度は想像できた。 多芸多才のイメージの割には、参考書以外の物がないのが意外といえば意外だったけど。 「なんていうか、質素な部屋ね」 「はい……申し訳ありません、女の子の部屋らしくなくて」 「いや、いいのよ。私の部屋もこんな感じだし」 「そうなんですか?」 「そりゃそうよ。お互いの成績をみたらなんとなくわかるわ。あんたも私と同じで、家で地道に勉強するタイプなのよね」 表向きのイメージとは違い、きっとこの子もこれといった趣味がなくて、家では勉強ばかりしていたんだろうな。 そう思ったら、案外私たちって似てるのかもしれない。 ベッドに並んで腰掛けて、ふたりでおしゃべりをする。 こうしていると、まるで普通の友達みたいな感覚になってしまう。 こんなこと、少し前にはとてもじゃないけど考えられなかった。 でもっ、それもこれも私の奴隷になる前の和音の性格のせいなんだけどねっ。 だけど……こんな感じなら別に奴隷じゃなくても、友達でもいいじゃないかとすら思ってしまう……。 「それで、これから何をしましょうか、琴乃様?」 「……え?」 いけないいけない、またぼんやりしちゃってた。 「やっぱり、さっきの続きをいたしましょうか?」 えーっと、さっきの続きといったら……。 「だって、そのために私の家にお越しになられたんでしょう?」 「そ、そうね……」 適当に返事をした後でやっと思い出した。 そういえば、学校で和音を”可愛がって”いた途中だったんだ。 すっかりその気が失せてしまっていた私をよそに、和音は嬉々として制服をはだけはじめる。 ……これだわ。 今の和音は、すっかり私のヘンタイ奴隷になってしまっているから、今さらもう、友達同士になんかなれない。 少なくとも、私はなれても和音には無理だろうな……。 「どうのような格好でいたしましょうか?やっぱり、こうやって足を広げた方がお好みですか?」 そう言うと和音は、アソコを見せつけるようにしてMの字に大きく足を広げてみせる。 「どうでもいいけど、あんたってそういう言葉遣いが板に付いたわよね」 「はいっ!どうしたら琴乃様のお気に召す良い奴隷になれるのか、奴隷とはいったいどういうものなのか勉強いたしましたから。主にネットなどで……」 ……さすがは学年一の秀才ちゃんだわ。 そういうことまで勉強するのね。 ていうか怖い、いったいどういうサイトを見て勉強したのか聞くのが怖い。 「では、始めてよろしいですか?」 「いいわよ、私がその気になるくらいおもいきりいやらしくやりなさいよ」 「はいっ!それでは……ん、んんんっ!」 大きく広げた股間を私に見せつけながら、和音が自分の指でアソコをいじると、すぐにくぐもった喘ぎ声があがり始める。 自分の家で安心しているのか、完全に服をはだけてネクタイも外している和音は、私が言ってももう止まらないだろう。 だって、和音のアソコはもう真っ赤になって、あんなにおつゆが溢れ出してきて、完全に発情してるのがわかるもの。 それでも、今のこの子ならあのネクタイがなくても私の言うことを聞くかもしれない。 「あんっ!んっ、はんんんっ!ああんっ、いかがですかぁ、琴乃さまぁ?私、いやらしくできてますかぁ?はうんっ、あんっ!」 「やめなさい、和音」 「んんんっ!ええっ?も、申し訳ありません。この姿勢ではお気に召しませんでしたか?それでは、この体勢ではいかがでしょうか?んふうっ、ああんっ!」 今度は俯せになって、私の方に向けてきゅっと尻を突き上げると、和音は股間を挟むように前後から手を伸ばしてアソコをいじり始めた。 「いや、そうじゃなくてね……」 「もっ、申し訳ありませんっ!琴乃様がっ、その気になるようないやらしいやり方を、きっと勉強しますからっ!今日はこれでお許しくださいっ!あんっ、はああんっ!」 ……やっぱり、ネクタイなしじゃ火のついた和音を止めることはできないか。 「だからっ、お願いしますっ、琴乃様!私のっ、このいやらしい体にっ、どうかっ、どうかっ!」 「しかたないわね……」 まるで、甘える子犬のような潤んだ瞳を向けておねだりしてくる和音の姿に腹をくくると、私はいつものようにその体に向かって手を伸ばす。 「ひあっ、ふああああああっ!」 手のひらが触れた瞬間、和音が喉の奥から絞り出すような喘ぎ声をあげた。 「んふうううっ!あっ、ああああああああああっ!」 そのまま、体を大きく震わせて、いとも簡単に和音はイってしまう。 突き上げていた尻がガクンと落ちて、俯せでへたり込んだまま大きく喘いでいる。 「ふわああぁ……す、すごいです、琴乃さまぁ……。もっと、もっと和音を可愛がってくださいませ……あんっ!んふうううううううっ!」 最近は、耐性が付いたのかそれとも単なる慣れなのか、一度や二度イったくらいでは和音はびくともしない。 私が背中から腹の方まで撫でてやると、また甘ったるい声をあげて悶え始める。 あ……和音の体って、こんなに柔らかくてすべすべしてたんだ。 今日、初めて和音の家に来て、家庭のこととかいろいろなことを知って認識が変わったせいか、私は、いつもとは違った気持ちで和音の肌に触れていた。 こうして落ち着いて触ってみると、和音の肌って柔らかくて滑らかで、そして、こんなに温かかったんだ。 「ふあああああああああっ!なんだかっ、今日の琴乃さまっ、とっても優しくてっ、私っ、またイってしまいますううううううううっ!」 私の手のひらに、ピクピクと筋肉が痙攣する感触が伝わってくる。 なんだか、私の手の中のこの感触が無性に愛おしく思えて、もっと触っていたくなる。 自然と、手が滑っていって和音の胸に当たった。 和音のおっぱいって、こんなに柔らかかったんだ……。 手のひらで、たぷんたぷんとさせながら和音の胸のふにゃりとした感触を楽しむ。 「ああああっ!まだイってる途中なのに、そんなっ、おっぱい触られるとっ、ああっ、んふうううううううううっ!」 私の手のひらで、乳房を包まれたまま、和音は3度目の絶頂に達してしまった。 もう、和音ったら可愛らしいわね……。 ……はっ!なに考えてるのよっ!わ、わたしにはそんな趣味はないんだから! 不意に、我に返る私。 和音のことを可愛らしいと、愛おしいなどと思った気持ちを振り払うように、わざと意地悪な口調で言って強く乳房を掴む。 「ふん、またイったの?ちょっと優しくするとすぐそうなんだから。本当にあなたってヘンタイな牝奴隷ね」 「はいいいいいいっ!私は琴乃様に触ってもらって、それで何度もイってしまって、それで嬉しくなるヘンタイ牝奴隷ですううううっ!」 ネクタイもつけていないのに、和音は私の言葉に全く逆らおうとしない。 それは、本当に彼女が自分のことをヘンタイ牝奴隷だと思っているからなんだろう。 ……これが、毒気を抜かれたように私が感じるもうひとつの理由。 今の和音は、私の言うことには従順で逆らおうとしない。 はっきり言えば張り合いがないのだ。 そもそも、私が和音をこんな風にしたのは、あの憎たらしい結城和音がいたからで、その憎たらしさが全くなくなってしまったら和音を辱め、貶める楽しみは半減してしまう。 いや、半減どころではない、ほとんどゼロになってしまうといっても過言ではなかった。 今、私の目の前にいるのは、ヘンタイ牝奴隷の和音なのだから……。 結局、その後6回イって、ようやく和音は静かになったのだった。 「んんん……しゅごかったれすう、ことのさまああぁ。こんなにいっぱいかわいがってもらって、ありがとうごらいますうううぅ……」 ベッドの上で、私の胸に顔を埋めるようにして甘えてくる和音を眺めながら、私は複雑な心境だった。 もちろん、和音をもとの憎たらしい女に戻すなんてのは論外だ。 あんなことを繰り返すのなんてもうまっぴらだし、復讐のためだからといって、憎むに値する相手に戻してから苦しめるなんて馬鹿げている。 だいたい、それでは私も嫌な思いをしなくてはいけないのだから本末転倒な気もする。 それに、元に戻したら戻したで、今のこの和音はどうなってしまうんだろう? もし、元に戻った和音が私に奴隷にされていたことを憶えていたら、いっそう激しく私を憎むんじゃないんだろうか……。 じゃあ、その間の記憶を消したら? あのネクタイの力を使ったら、もしかしたらそんなこともできるんじゃないかしら? だめよだめよ!1ヶ月もの間の記憶がすっぽりと抜けたら、和音にも周りの人にも絶対変だと思われちゃう。 でも、このまま和音を奴隷にしていたいかというと、それもノー、だ。 私はただ、今の可愛らしい和音と、ごく普通の、仲のいい友達でいたいだけなのに。 あのネクタイを使ったら、そんな関係にすることができるかな? でも、今の奴隷の記憶も残したまま? 考えれば考えるほど、どうしたらいいのかわからなくなってしまう……。 結局、うまい落としどころが見つからないまま私はだらだらと和音との関係を続けていた。 両親の帰りが遅い日に学校の帰りに和音の家に寄って、和音を”可愛がって”やる。 和音とって私は本当にご主人様で、自分のことを奴隷だと思っているけど、私は、”ご主人様と奴隷ごっこ”をしているだけ。 ただ、今は和音のことを可愛らしいと思う気持ちを素直に受けとめられる分、少しは楽になっていた。 だけど、私が和音と続けたいのは、こんな関係じゃなくて、お友達としての関係なのに……。 そんな調子で冬休みが過ぎ、有るか無いのかわからないうちに短い3学期も終わりにさしかかり……。 今日は、冬の学年テストの成績発表の日。 もちろん、この間も私は勉強には手を抜きはしなかった。 きっと和音もそうだと思う。 いや、ずっと真面目でおとなしくなった今の和音は、私よりももっと頑張って勉強してるかもしれない……。 そう思いながら、私は掲示板を見上げた。 1番、斉藤琴乃、492点。 やった!とうとう念願の1番だ! で、和音は何点だったのかしら? 2番、高橋奏、485点。 あら?どうしたの?じゃあ、3番かな? 3番、藤本響子、482点。 あれれれっ!?もっと下なの?えーっと……。 …。 ………。 ……………。 …………………。 ………………………。 ……………………………。 …………………………………。 ………………………………………。 ……………………………………………。 ………………………………………………あった! 96番、結城和音、295点……。 ……むかついた。 すっごくむかついた。 なんだかよくわからないけど、和音の順位と点数を見た瞬間、顔が熱くなるくらいに腹が立った。 あまりの怒りに、私は掲示板の前で10分くらいフリーズしたままだった。 「ちょっと!これはいったいどういうことなのよ!?」 放課後、いつものように和音の部屋に来てから、私は和音を問い詰めていた。 本当は放課後まで待ち切れそうになかったんだけど、あまり人目のあるところでできる話でもないし、ホームルームが終わると私は、引きずるようにして和音を学校から連れ出したのだった。 「あの……いったいなんのことでしょうか?」 床に正座して、神妙な面持ちでベッドに腰掛けた私を見上げているが、和音にはどうして私がこんなに怒っているのかわからないみたいだった。 「なにって、学年テストの成績に決まってるでしょうが!96番って、あれはいったいなんなのよ!」 「ああ、あのことですか。それは、あんまりできなかったからあんなものかと思います」 5教科平均で60点にも満たない点数を取っておきながら、和音はけろりとした顔で、全くこたえた様子もなかった。 「だから!何があったって言うのよ!?」 「だって、全然勉強していなかったですから」 平然として、和音はそう言ってのける。 「ど、どうして!?」 「学校の勉強はもういいんです。私には琴乃様がいればそれでいいんですから」 「はぁ!?」 ちょっと、なに言ってんのよ!? さっきから全く会話が噛み合っていない気がするんだけど。 唖然としている私をよそに、少し頬を赤らめて、うっとりと私を見つめながら和音は話し続けた。 「私は、琴乃様のことだけを考えていればそれで幸せなんです。どうやったら琴乃様が喜ばれるか、何をしたら琴乃様のお気に召すのか、それを考えるのが私の仕事なんですもの」 「いやいやいやっ!なに言ってるの、あんた!?」 「でも、琴乃様のことだけを考えて、琴乃様の気に入ることだけをする奴隷になれとおっしゃたのは琴乃様の方ですよ」 「えっ?……あっ、あああっ!」 そうだ!確かに言った! 和音に向かって、私のことだけを考えて、私の気に入ることだけをする私の奴隷になれって! まさか、あれを真に受けて!? ううん!あの時和音は今と同じあのネクタイをしていたわっ! だから、真に受けるもなにも、和音はそうするしかなかったんだ! 「だから、私は琴乃様のことだけ考えていればいいんです。学校の勉強なんてもうどうでもいいんです」 そう言った和音は口許をだらしなく開いて嬉しそうに微笑みながら、まるで、遠くを見るように恍惚とした表情をしていた。 「ふざけないでっ!」 また、怒りがふつふつと沸いてきて、私は和音を怒鳴りつけてしまった。 「そんな……私、ふざけてなんかいません……」 困惑した表情を浮かべて、きまりが悪そうに体をもぞもぞとさせる和音。 自分の何が私を怒らせているのか本気で理解できていないみたいだった。 私が勝ちたかったのは、こんな腑抜けた女なんかじゃない! 性格は張り合いがなくなっても、勉強だけは頑張ってやってると思ってたのに! 学年順位で96番なんて成績とって、平気な顔して笑っているような相手に勝っても全然嬉しくないわよ! それは……そんな風にしたのは私かもしれないけど、あなたは私が今まで闘志を燃やしてきたことの全てを私から奪うつもりなの!? 「そんなことで、本当に私が喜ぶとでも思っているの!?」 怒り心頭に発した私は、ベッドから降りると和音の胸ぐらを掴んだ。 「え?え?しかし……」 「私のことを本当に喜ばしたいのなら、今度からテストに全力を尽くしなさい!前みたいに、私に勝つ気で、本気で勉強するのよ!」 「は、はいっ……!」 なんのことかもわからずに困った様子で、それでも和音は返事を返してくる。 私が掴んでいるその胸元には、あのネクタイがあった。 だから、この命令は絶対。 後からよくよく考えたらそうなんだけど、その時の私はそんなこともわからないくらいに頭に血が上っていた。 「今度学校の勉強なんかどうでもいいって抜かしたらただじゃおかないからね!あんたは勉強しなくちゃいけないの!私に負けないくらいの点を取らなくちゃいけないの!」 とりあえず、言いたかったことだけ言うと、ようやく手を離して私は立ち上がる。 「じゃあ、私、帰るわ」 「えっ!?琴乃様!?」 「次の学年テストの結果が出るまで、私はここには来ないから」 「そんなっ!琴乃様!」 「いいこと、さっき私が言ったことを忘れないで!もし、次の学年テストで今回みたいな成績だったら、もう二度とあなたのことを可愛がってあげないからね!」 それだけ言い捨てると、私は後ろも振り向かずに和音の部屋を後にしたのだった。 翌日。 私は、ちらりと和音の様子を窺う。 3学期になってからの席替えで、私と和音の席は離れてしまったが、その方がかえって彼女の顔がよくわかった。 和音は、真剣な表情で授業に集中している様子だった。 うんうん、昨日のことが相当こたえてるわね。 その様子だけ確かめると、私も自分の勉強に集中する。 ああ言った以上、私も頑張って勉強しないと格好がつかない。 それから、私と和音はほとんど口もきかずに過ごした。 漏れ伝わってきた話では、和音は学年テストの結果のことで先生に呼び出されたりしたらしい。 まあ、それもそうだわね。 入学以来、今までずっと学年トップだった子が、いきなり96番に落ちたんですもの、誰だってびっくりするに決まっている。 和音が、どう弁解したのかはわからないけど、そんなに大きな騒ぎにはならなかったみたいだった。 まあ、先生たちも次のテストの結果を見てから決めようということにでもなったのか、きっとそんなところだろう。 とにかく、私としては次のテストでの和音との対決に備えて、ひたすら勉強するしかなかった。 そして、3学期も終わり、春休みも過ぎて、新年度が始まった……。 今日は、3年生になって最初の学年テストの結果発表だ。 私は、誰よりも早く登校して、食い入るように掲示板を見上げる。 発表された成績の最初にその名前はあった。 1番、斉藤琴乃、結城和音、490点。 掲示板の一番上に、まるで、仲良く並んでいるような私たちの名前。 それを見て、久しぶりに充実した感覚を覚える一方で、なぜか私は忌々しそうに舌打ちしていたのだった。 「……本当に憎たらしいわね。あんなに簡単に1番を奪還するなんて」 その日、学校が終わると、私は久しぶりに和音の部屋を訪れていた。 「そんな……私、琴乃様に言われたとおりにしただけなのに……」 機嫌が悪そうな私の様子に、床に正座した和音は困惑して顔を伏せる。 「これで琴乃様に怒られたら、私、もう、どうしたらいいのか……」 「別に、怒ってないわよ」 「え?琴乃様?」 私の反応をはかりかねたのか、和音が怪訝そうに顔を上げた。 「だって、私はテストに全力を尽くせって言って、あんたはその通りにしたんだから怒るわけがないじゃないの」 「では、私を許してくださるのですか?」 「許すもなにも、そりゃ、あんたに勝てなかったことは悔しいけど、負けたわけでもないしね。決着は次に持ち越しってことかしら。それに、こうなることは私が望んでいたことなんだし、むしろよくやったって褒めてあげたいくらいよ」 その言葉を聞いて、はじめて和音が満面の笑みを浮かべた。 そういえば、この子のこんなに嬉しそうな顔も久しぶりに見るわね。 「ありがとうございますっ、琴乃様!本当にありがとうございます!」 何度も何度も頭を下げる和音の姿を見ているうちに、なんでだか私の方も嬉しくなってきた。 別に、今の和音には恨みがあるわけでもないし、あっさりと1番をとるところはたしかに憎たらしくはあるけれど、こうやって私に言われたとおりに頑張っているところなんかは微笑ましくすら思えるじゃない。 「ああ、もういいから。でも、本当にあんたはよくやったわよ」 「それではっ!また琴乃様に可愛がっていただけるんですね!?」 「あー、そういえば、そういう約束だったわね。いいわよ、あなたの望み通りにしてあげるわ」 「本当ですか!?ありがとうございます!」 ぐいと私の方に身を乗り出してきて、和音は表情を輝かせる。 でも次の瞬間、いきなり真剣な顔になって居住まいを正す。 「では、ひとつだけ琴乃様にお願いがあるのですが……」 「なによ?言ってごらんなさい。私にできることならなんでもしてあげるわよ」 なんか、思い詰めた顔してるけどなんなのかしら? まあでも、今のこの子は私が嫌なことはするはずないし、ま、いいか。 和音のお願いがなんなのかはわからなかったけど、その時は、そんな感じで、本当に軽い気持ちだった。 「では、失礼します、琴乃様!」 「え?……きゃあっ!」 すっと立ち上がったかと思うと、和音がいきなり私をベッドに押し倒したもんだから思わず悲鳴を上げてしまった。 「ちょっ、和音!?……あっ、やあっ!」 和音が、私の首筋にそっと唇を寄せてくる。 突然のことに、私の頭はすっかり混乱していた。 「やんっ!こそばゆいよっ、和音!」 和音の唇が当たる温かくて柔らかい感触と、首筋を撫でる鼻息がくすぐったい。 「ちょっと!……ああんっ!」 アソコのあたりに何か当たる感触に、体がぞくっと震えた。 首筋の方に気を取られていた私は、スカートの中に和音の手が入ってきていることにも気づかなかった。 「なっ、なにするのよっ、和音!」 「ん、んふ……私、ずっと琴乃様にも気持ちよくなっていただきたいと思っていたんです。だから、今日は私にご奉仕させてください」 なっ、なに言ってんのよーっ! ていうか、なんなのよっ、”ご奉仕”って!? 「ひゃんっ!あああああーっ!」 和音の指がショーツの中に入ってきて、狙い過たずにクリを包んでいるところをめくった。 そして、指先でクリの先をつつかれたりしたから、頭のてっぺんまで電気が走ったような気がして、頭が勝手に反り返った。 ちょ、ちょっと!なんで見もせずにそんなに正確な動きができるのよ!? 「嬉しい、感じていらっしゃるのですね、琴乃様」 「ひあああああああっ!やっ、ちょっと和音ったら、やめなさい!」 和音にのしかかられてクリを愛撫された状態で、なんとか私はそれだけ言うことができた。 この子は私の言うことを絶対に聞くんだから、これでやめてくれるはずよ。 「本当なら、琴乃様の命令を聞かなくてはいけないんですけど、私、どうしても琴乃様に気持ちよくなってもらいたいんです。申し訳ありません、琴乃様、私、ご主人様の言いつけを守れない、いけない奴隷で……」 「やっ、そういう問題じゃなくてっ!あんたはあたしの言うことをっ……あ!あああーーーーーーっ!!!!」 潤んだ瞳で私を見つめている和音を見て、私は思わず大きな声をあげてしまった。 私たちは、今年から3年生になった。 だから、和音の胸元から下がっているのは、臙脂色のネクタイじゃなくて深緑色のネクタイ。 もう、あの魔法のネクタイを和音がすることはないんだった。 久しぶりにまともに会話したから、私、そんなことにも気づいてなかった。 「和音っ、ちょ、ちょっとタイム!んっ、んむむむっ!?」 抗おうとした言葉を遮るように、和音の唇が私の口を塞ぐ。 なにこれ!? 私の口の中で、温かくて柔らかいものが動いてる……これって、和音の舌? 口の中で動くその感触がくすぐったくて、でも、なんか変な気持ちになってきそうな心地よさもあった。 「んんん……んふう……あっ、あんっ!」 キスが終わると、今度はブラウスの中に入ってきていた手がブラをずり上げて、胸をきゅっと掴まれた。 でも、どうしてだろう?けっこうしっかり掴まれてる感じがするのに、きつくも痛くもなくて、絶妙な力加減がすごく気持ちいい……。 「ああんっ!あなたっ、どこでこんなっ!?あっ、はああんっ!」 「私、一生懸命勉強したんです。どうしたら琴乃様に気持ちよくなっていただけるのか、ご主人様にご奉仕するにはどういう風にしたらいいのかをネットで。そして、どこをどのくらいの力で触ったら一番気持ちいいのか、自分の体を使って勉強したんです」 なっ、なんて勉強してんのよっ!!! そんなことしてるから学年テストで96番なんて成績になるんじゃないの! そうつっこもうとしたのに、乳首をこりっと摘まれた私の口から出たのは情けない喘ぎ声だけだった。 「ひあっ!ふああああああっ!」 「私のご奉仕で琴乃様の乳首、こんなに固くなって……私、嬉しいです」 「あああんっ!やあっ、乳首っ、感じちゃう!あっ、ふあああっ!」 弾かれるたびにびんびんするほど感じちゃってるから、和音に言われなくても自分の乳首がかちんこちんになってるのはわかる。 だいたい、触られてない方の乳首だってブラウスと擦れるだけでこんなに気持ちいいんだもの。 ……だめ。こうなっちゃうと私の乳首、本当に弱いの。 「ううんっ!だっ、だめだよう、和音、そんなにしたら……あんっ……」 今や、私は和音にされるがままだった。 奴隷に襲われるご主人様って、そんなのありなの? 世界史であった、”奴隷反乱”っていう言葉がふと頭に浮かんだ。 たしか、スパルタクスの乱、だったっけ……? 「琴乃様、もっともっと気持ちよくなってくださいね」 「やあっ、だめえ……これ以上されると、私、変になっちゃうよぉ……あっ、あふうん!」 そうだよ……私、普通の女の子のはずだったのに……こんな趣味はなかったはずなのに……。 実際、私はもう変になっていたのかもしれない。 さっきから、おっぱいと乳首をいじられながらも、和音のもう片方の手は執拗にずっとクリをこね回していて、下半身がじんじんと痺れてきて力が入らない。 摘まれただけで、自分でもクリが固くなっているのがわかる。 きっと、私のクリも赤くポチッとなってるんだろうな。 いつも見ていた和音のそれみたいに……。 と、その時、ベッドの上にだらしなく体を投げ出していた私の、胸とクリをいじっていた和音の手が不意に動きを止めた。 え?なに? と思う暇もあらばこそ、スカートに手が掛かって脱がせられていく。そして、ショーツも。 そして今度は、ぶうううぅん、という振動音が聞こえはじめた。 「え?なんなの、和音……あっ、んふううううううっ!」 頭を上げて和音に尋ねようとしたら、ぶんぶんと震えるものがアソコに当たって私の体は反対側に反り返ってしまった。 「きゃああああああっ!なにっ、なんなのっ、これ!?」 アソコに押しつけられている、少し固い震える物体、これは、もちろん指なんかじゃない。 「これは、母が使っていた電気マッサージ器です。調べてみたら、こういうのがすごくいいって書いてありましたし」 だからっ、どこに書いてあったのよ、そんなこと!? 「もちろん、私の体でも実験済みですから、効果は保証付きです」 「いやっ、そうじゃなくてっ!ふあああああっ!」 「当然のことですが、琴乃様に使わせていただくんですからちゃんときれいに洗ってあります」 そーいう問題でもないっ! だけど、その言葉は私の口から出てこなかった。 「んふううううううううっ!あっ、はあああああああっ!」 じんじんと、止まることのない刺激に、体が痙攣するみたいに勝手に跳ねる。 私の口からはもう、喘ぐ声しか出てこない。 アソコに当たる電気マッサージ器の振動が、頭の中を麻痺させていくみたい。 器械が震えているのか、体が震えているのかもわからない。 とにかく、体中が痺れて力が入らないし、気持ちのいい感覚しか体が受け付けないみたいになってくる。 「んくうううううううううっ!」 電気マッサージ器の振動が、クリに集中的に当てられたような感じになって、また体が強ばる。 そして、少し隙間の空いたアソコの中に、何か入ってきた。 ……これって、和音の指? そんなことを思った瞬間。 「ひくうううううううううっ!やあっ、いまっ、中に入れたらっ、はううううううううううううんっ!」 アソコの中に指を入れられて、軽くかき回されただけなのに、私の目の前が真っ白に弾けた。 「……ん、んんん?ふあ、ふあああぁ……」 あえなく絶頂に達してしまったことに私が気づいたのは、それから数十秒後だったのか、それとも数分は経っていたのか……。 とにかく、少しの間意識が飛んでいたみたいでよくわからない。 全身がまだ痺れてるみたいで、力も入らないけど、すごくほわんとしていて、とっても気持ちいい。 まるで、自分の体が温かくて柔らかなものの上にたぷたぷと浮いているみたいな気持ち……。 すごい……こんなの、癖になっちゃいそう……。 「ん……んんんっ!……え?和音!?……あんっ!……はああぁん……」 気が付くと、私の服はすっかりはだけられて、体のあちこちを和音の手が撫で、舌が舐め回していた。 すごく優しく、そして柔らかく。それも、胸やアソコだけじゃなくて、体中を丁寧に。 これって、後戯っていうのかしら? そういう経験のない私にはよくわからないけど、きっと和音はそういうのも勉強したんだろうな……。 なんか、和音のことをすごく愛おしいと思っている自分がいた。 ううん、ずいぶん前から、奴隷になった今の和音を可愛らしいとは思ってはいたけれど、そういうのとはちょっと違う。 私を喜ばせるために必死にテスト勉強して、ついでにいやらしいことも勉強して、こうやって優しく、そして一生懸命に私のために尽くしてくれる和音をとても大切に思う気持ち。 「あんっ……んふううっ……ああっ!か、かずねええぇ……」 でも、なんでだろう、和音の手も舌も、すごくソフトで優しいのに、体の熱がおさまるどころか、また体が熱くなってきちゃう。 また、えっちな気分になってきて……和音の手が触れると、すごく気持ちいい。 やだ、この子も魔法の手を持っているのかしら? そんな、とりとめのないことを考えながら愛撫に身を任せているうちに、私は自分の方から和音の体に足を絡ませていっていた。 「んん……ううん……和音……かずねえぇ……」 「いかがでしたか?気持ちよかったですか、琴乃様?」 「……うん」 「よかったぁ。でも、もっといっぱい気持ちよくなってくださいね、琴乃様」 「……うん」 和音の言葉に、私はただ頷くことしかできない。 すると、和音が私に抱きついてきたので、私もぎゅっと抱き返してあげる。 「ん……こうしていると、私も琴乃様に気持ちよくして欲しいって思ってしまって……私をもっといっぱい可愛がってください、琴乃様……」 「うん……いっぱい、気持ちよくしてあげるよ、和音」 私を見つめる和音の瞳は潤んで、トロンと蕩けた顔をしていた。 きっと、その時の私も、和音と同じ蕩けた顔をしていたんだろうな、と思う。 「ありがとうございます、琴乃様。では、私と一緒に、もっともっと気持ちよくなりましょうね」 「……うん」 もう、私は和音と気持ちいいことをするのになんの躊躇いもなかった。 だって、こんなに気持ち良くて、こんなに幸せで、こんなに素晴らしいことを、やめるなんてもうできないよ。 静かに目を閉じた和音の顔が、どんどん私の方に近づいてくる。 私もうっとりと目を閉じて、和音の唇を迎え入れた。
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