催淫師


 

 

妖染 ─ 崩山(3) ─


 三人は時間が止まった教室を出た。授業が始まっている為、当然廊下には誰もいない。
「どこへ行くの?」
 真弓が尋ねても啓人は答えず、どんどん先へ歩いていく。やがて立ち止まると、二人の方を向いた。
「着いたぞ」
 啓人にそう言われ、二人は上を見た。3−Bと出ているのを見て、真弓が何かを察したらしく息を呑んだ。
(ここ・・・彼の教室だ・・・)
 そこは真弓の彼氏のクラスであり、今授業を受けているであろう教室であった。扉の向こうからは、女性教師の声が聞こえてくる。
(まさか・・・見せつけるの・・・?)
 啓人の思考回路を理解し始めた真弓の頭に、そんな考えが浮かび上がった。 
「引っ張った訳が分かったか?」
 啓人はそう言って笑みを浮かべる。真梨江はまだ理解出来ていないが、真弓はさっきの考えが正しいと確信した。授業中にか、などという考えは浮かんで来ない。
(決別の時ね・・・)
 真弓はそう考え、何故か清々しくさえあった。
「それじゃあいくか」
 啓人は緊張感の欠片もなく教室の扉を開けた。


「失礼しまーす」
 決して大きくない、それでいて良く通る声が3−Bに響く。突然の乱入者に教室にいた全員の視線が集まり、そしてどよめきが起きる。
「さ、冴草君?」
 啓人に最初に声を掛けたのは、やはり教師であった。彼女の顔には明らかな驚きと困惑が浮かんでいる。
「何か用かしら?」
 教師が知る限りでは、啓人はとても模範的な生徒であった。従って何か用事あるのだろうと、教師は自分に言い聞かせた。
「ええ少し」
 啓人はそう答えると、過去に見せて来た爽やかな笑みを浮かべる。これによって教室も静寂を取り戻した。啓人の用事が何なのか、全員が聞き耳を立てたのである。
「時間と場所を拝借したいと思ったんです」
 言ってる側から妖気が教室内へ流れ込んでいく。敏感な者は違和感を覚えたが、ほとんどの者は何も感じない。
「それで・・・?」
 続きを促した教師の顔から、表情が抜け落ちる。生徒達も次々と似た表情になっていく。
「用があるのはお前達じゃない・・・まだな」
 啓人はそう言うと、教室内を見回した。
「それで・・・誰だ?」
「知らないの?」
 真弓は怪訝な顔をした。教室を知っているのだから、当然顔も知っていると思ったのである。
「調べたのは俺じゃないからな・・・顔までは知らない」
 真弓はそれを聞いて納得すると同時に軽く溜め息をついた。
「各務(かがみ)君よ。ほら、窓側の列の一番前にいる」
 真弓の指差した先に、長身の男が座っていた。
「それは知ってる。各務三郎だろ?父親が警察官とかいう」
 どうやら最初から知っていたらしい。
「何で聞いたの?」
 真弓は困惑した。啓人が何を考えているのか、彼女にはさっぱり理解出来なかったのである。
「何となくだ」
 啓人は事もなげに言うと、三郎の方へ歩き出した。他の二人も慌てて後に続いた。
「起きろ各務」
 啓人は三郎の前に立つと頬を二、三回叩いた。三郎の表情が少しずつ戻ってくる。やがてすっかり元通りになると、三人に気が付いた。
「・・・君達はここで何をやっているんだ?」
 三郎は意外な程冷静な態度で尋ねながら、三人の顔を代わる代わる見た。そんな三郎に、啓人はにこやかに笑い掛けた。
「いやあ楽しい事でもしようと思ってね」
 それを聞いた三郎の眉がつり上がった。
「き、君は何を言っているんだ!今は授業中だぞ!」
 口から泡を吹いて色々と喚き出す。啓人はそれを無視し、珍獣を見るような目で真弓を見た。
「お前・・・こんな堅物とよく付き合ってるな。って言うか、よく処女を捧げる気になったな」
 啓人は心底呆れていた。はっきり言って、真梨江と付き合っている方が遥かに納得が出来る。啓人の言いたい事が分かったのか、真弓は露骨に嫌な顔をした。
「冗談じゃないわ。誰がこんな頭でっかちとするもんですか!デートをしたのは認めるけどね、こんな奴に誰が処女を捧げるのよ!」 
 それだけ一気にまくし立てると、大きな溜め息を付いた。だがまくし立てられた方はきょとんとしていた。
「確かにそれはそうだが・・・それじゃあお前の彼氏っていうのは?」
 啓人はいつになく驚いた顔をしていた。
「大学生よ」
「・・・二股かけてたのか?」
「各務君と付き合うって言った覚えはないわ」
 熱くなった真弓はさっきの事も忘れ、啓人の方を悪いかと言わんばかりに睨みつける。
「じゃあ先に言えよ・・・」
 啓人の言葉には万感がこもっていた。
「貴方がここに連れて来たのよ?」
 そう言われて、啓人は詰まった。確かにここへ連れて来たのは啓人であり、真弓は彼氏と呼べない事はない相手を選んだだけである。悪いのは啓人であり、真弓でもなければ実際に調べた千鶴でもない。
「まあ良いか・・・やろうと思った事に差し支えないし」
 啓人は自分にそう言い聞かせる事によって頭を切り替えようとした。しかし三郎はそう簡単にいく筈もなく、茫然と立ち尽くしていた。
「う、嘘だ・・・」
 教室に静寂が訪れた直後、三郎からうめくような声が発せられた。
「そ、そんなの嘘だ・・・」
 三郎の目に、うっすらと涙が浮かんでいる。
「僕の事が好きだと言ったじゃないかっ!!あの時もっ、あの時もっ、楽しそうにしてたじゃないかあっ!!」
 突然頭を抱えて絶叫する。これを見た啓人達は、流石に複雑な表情を見せた。
「今こいつが死んだら、さぞ強力な悪霊になるだろうな」
 意味不明の言葉を喚き散らす三郎を見た啓人がポツリと呟き、意味ありげに真弓の方を見る。
「こ、怖い事を言わないでよ・・・」 
 啓人の言いたい事を察した真弓は、思わず後ずさりをした。啓人は悪戯っぽい笑みを浮かべた後、溜め息をついた。
「ま、いつまでもこうしてるわけにいかないしな。おい各務!いい加減にしろ!」
「うるさいっ!うるさいっ!君なんかに僕の気持ちが分かってたまるかあっ!!うわあああ〜〜〜っっっ!!!」 
 三郎は泣き叫びながら、手足をジタバタさせている。高校生とは到底思えない姿であった。
(こいつ・・・幼児退行してやがる・・・)
 流石の啓人もこれには呆れるしかない。真弓はおろか真梨江でさえ、同情する気が失せていた。
「もういい加減にしろ」
 啓人はうんざりしていた。
「お前はもう動く事は出来ない。そして声を出す事も出来ない」
 三郎は驚愕の表情を浮かべたまま動かなくなった。
「やれやれ・・・」
 啓人はまた溜め息を付くと、教室全体に意識を向けた。
「お前達は俺達三人や各務の事が気にならない。何が起ころうと気付かずに授業を続ける。だが俺が手を叩けば、淫らな気分になってくる。段々性的欲求が強くなってくる。それは絶対に我慢出来ない、誰も見ていないから安心して一人で出来る。授業よりも大切な事だから必ずやらなければならない」
 啓人はそこで一息つき、もう一度同じ内容を繰り返した。
(大体こんなものだろう)
 そう独断した啓人はやはりいい加減である。
「お前達は絶対にイけない。俺達が教室に来たという事、俺が言ったという事は忘れてしまう。だが俺の言った内容は覚えている」
 そこまで言うと啓人は指をパチンと鳴らした。


「それでは授業を始めます」
 教師は何事もなかったかのように授業を始めた。生徒達も教科書を開き、啓人達には見向きもしない。それを良い事に啓人は真梨江を招き寄せてキスをする。
「んん・・・」
 二人は直ぐに舌を絡め合う。
「はあ・・・冴草君・・・」
 真梨江は熱っぽい息をもらし、啓人を潤んだ目で見た。朝から散々焦らされ、もう限界だと言わんばかりに腰をくねらせた。
(ここでしなかったら楠町はどうなるかな?)
 未経験の筈なのに精一杯の色気を振りまく少女を見て、啓人の頭によからぬ考えがよぎる。
(・・・・・・止めとくか、壊れそうだしな)
 啓人は真梨江の手を引いて歩き出す。
「どうしてぇ・・・」
 真梨江はまた焦らされると思ったのか、不満そうな声を出した。
「ここだと各務に丸見えだぞ」
 啓人に耳で囁かれ、真梨江は真っ赤になった。三郎の事はすっかり忘れていたのである。
「もう濡れてるんだろう?もしかして見られたいのか?」
「いやぁ・・・言わないで・・・」
 第三者に見られるのにはまだ抵抗があるらしい。啓人が指で股間を撫でると、ピチャという音がした。
「これなら前戯の必要はないな」
 啓人は立ち止まり、真梨江を生徒達の方を向かせた。目の前には一人の女生徒が座っているのだが、気付いた様子はない。
「両手と両膝をつけ」
 真梨江は言われた通りにし、四つん這いになる。啓人はゆっくりと挿入していく。
「うっ・・・んっ・・・」
 真梨江は声をもらし、眉を寄せた。処女膜を破られた時の痛みが彼女の体を走ったのである。だがその痛みは大したものではなく、直ぐに痛みが治まっていった。
「ふ・・・あ・・・」
 痛みが消えるタイミングを見計らって啓人はゆっくりと動き始めた。
「んんっ・・・あ・・・ああ・・・」
 湧き上がってくる快感に、真梨江の声は少しずつ大きくなる。
「うっ・・・くっ・・・あっ・・・」 
 授業中の教室から淫猥な音と艶っぽい声が、教師の声とシャーペンの音に混じって聞こえる。それを認識しているのは、真弓と三郎だけである。
「ああっ・・・あああ・・・」
 真梨江は達してしまい、ぐったりと倒れ込みそうになったところを啓人に支えられる。
「倒れるにはまだ早いな」
 啓人は真梨江の体を抱き起こし、両手を目の前の机につかせた。
「ほら・・・本番はこれからだ」
「ああっ・・・」
 啓人に深々と刺され、真梨江は体を反らした。啓人はさっきと同じ速さで動き出す。
「ふあっ・・・あっ・・・」
 より大きな快感が襲い掛かられ、真梨江の理性は再び消え去る。
「あっ・・・あっ、あっ、あっ」
 真梨江は再び達しようとしていた。
「ああっ・・・ダ、ダメ・・・あああっっ」
 全身を震わせ真梨江は二度目を迎え、気絶し机に倒れ込んだ。その時に大きな音を立てたのだが、それに気付いた者は誰もいなかった。
「もう誤魔化しは効かないか・・・」
 啓人は真梨江が限界である事を見て取った。
「寝かせる必要があるな。えーと服は・・・・・・教室か」
 舌打ちしたが、まさか服を出すわけにもいかない。
「仕方ない、誰かの服を・・・脱がせるしかないか」
 啓人は真梨江の腕を自分の肩に回し、自分の手を真梨江の腰に回して立たせる。
「日生」
 真弓を呼んで真梨江を支えさせ、教師に近づいていく。
「それでは続きを誰かに読んでもらいます」
 生徒達の顔を見回す教師の正面に立ち、上着のボタンを外していく。
「沢井君、読んで」
 教師はそれを気に止めず、一人の生徒を当てる。啓人は教師の手から教科書を奪い、床に投げ捨てると上着を脱がせた。ブルンという音を立てて、布に包まれた大きな胸が現れた。
「教職者にふさわしくない体だねえ・・・」
 啓人はそう感想をもらすと、上着を奪い三郎の方へと歩いていった。
「どうだ?目と耳の保養になったか?」
 からかいながら三郎の額を指で突っつく。
「手と足以外は動かしても良いから何か言ってみろ」
 まるで珍獣を扱っているかのような態度である。
「ふざけるなあーっ!!・・・てあれ?声が出た?」
 三郎は怒鳴りつけた後、驚いた顔になった。
「囚われの透明人間になった気分はどうだ?」
 啓人がそう尋ねると、三郎の顔が怒りで真っ赤になった。
「ふざけるなっ!!今は授業中だぞっ!!こんな事をして良いと思ってるのかっ!?」
 三郎に怒鳴りつけられ、啓人は肩を竦めた。
「悪いと思ってたらすると思うか?」
 逆に尋ねられ、三郎は返答に困った。
「大体・・・」
 啓人の目は三郎の股間へと向けられる。怪訝に思った三郎が見ると、立派なテントが出来ていた。
「こ、こ、これは・・・・・・」
 三郎耳まで真っ赤になってどもってしまう。
「こんな風になる奴が言える台詞じゃないだろう。楠町の声を聞いて反応したのか?」
「ち、違うっ!!ぼ、僕はそんな男じゃないっ!!」
 三郎は懸命に否定しようとする。
「じゃあこのザマは何だ?」
 啓人は三郎をからかって楽しんでいた。 
「うぐっ・・・き、き、君という男は・・・何故こんな事をするっ!!」
 苦し紛れに話を逸らした三郎は怒りと焦り、そして屈辱の為に震えていた。ただし制限がある為、実際に震えているのは胴体と首、それに頭だけである。
「うーん・・・手足以外が震えるのは不気味かな?」
 啓人の声はのんきそのものであったが、真弓は気味悪そうに三郎を見ていた。
「質問に答えろっ!!」
 啓人の態度に三郎はかえって怒りを煽られた。先に話を逸らしたのは三郎の方だが、今の三郎はそんな事を忘れている。
「分かった分かった、答えてやるから落ち着けよ。な?」
 三郎を何とか宥めようとしてはいるが、実際は全く反省していない。
「俺はどうしてこんな事をするのかって質問だったよな?」
 三郎は怒りに満ちた目で啓人を睨みながらも頷いた。
「ただの退屈凌ぎだ」
 三郎は一瞬硬直し、その後目を見開いた。啓人はその隙に三郎から離れ、真梨江に上着を掛けてやった。   
(た、退屈凌ぎ・・・だと?)
 啓人の言葉は三郎の理解を超えており、その精神を打ち砕いたのである。
「そ、そんな・・・そんな事の為に皆を・・・」
 茫然とした顔で同じ内容の事を繰り返す。啓人はそれに気付くと、怪訝な顔をした。
「何だ?壊れたのか?」
 啓人の残念そうな言葉に、三郎は反応した。
「ゆ、許さないっ!君は許さないぞっ!!」
 血走った目で啓人を睨み、唾を飛ばしながら叫んだ。対する啓人は面白そうな笑みを浮かべた。
「許さない、か・・・。どうするんだ?」
 啓人は尋ねながら真弓を抱き寄せる。
「や、止めろっ!彼女に触るなっ!!」
 三郎は動こうともがくが、動くのは上半身だけである。結局体をくねらすような事しか出来ない。
「だから俺をどうするんだ?」
 啓人の口元には相変わらず笑みが浮かんでいるが、その目は三郎を見定めしているかのように鋭かった。
「許さないっ、きっと・・・きっと天罰が下るぞぉっ!!」
 三郎の叫びに対する答えは、啓人の大きな溜め息だけであった。真弓も呆れた顔で三郎を見ていた。
「他力本願な奴だな。期待するだけ無駄だったか」
 啓人はそう吐き捨てると、真弓の頬を舐めた。
「きゃっ」
 突然の攻撃に真弓は小さく悲鳴を上げる。
「やめろーっ!!」
 三郎の絶叫は最早完全に無視されている。
「皆で楽しんでみるか」
 啓人が一度手を叩くと、教師や生徒達に困惑の表情が浮かんだ。更に一回、二回と叩く。
「ぁ・・・」
 誰かが小さな声をもらした。程度の差はあれ官能の火がついたのである。
「今回はしぶとい奴が多いな。ほれ」
 もう一度手を叩くと、熱い息があちこちからもれ始める。中には始めた生徒もいる。
「取り敢えずはこんなものか」
 啓人は満足げに呟くと、また真弓の頬に舌を這わせる。チロチロと舐めながら、次第に真弓の唇へと近づいていく。 
「やめろって言ってるだろっ!!」
 三郎がまた叫んだ時、啓人は真弓の唇を舐めていた。
「ん・・・」
 真弓は時々くすぐったそうに声を出すが、啓人にされるがままになっていた。啓人は唇を重ねると、三郎が見やすい位置に移動した。
「んん・・・」
 二人の唇が重なり合い、舌が絡まり合っているところをまざまざと見せつける。 
「止めてくれっ!!頼むから・・・」
 三郎の言葉は懇願・哀願の類へ変わっていく。
「もう止めてくれよ・・・止めてくれ・・・」 
 うわ言のように繰り返す目には、うっすらとだが涙が浮かんでいる。それを見た啓人は真弓から唇を離し、頭を掻いた。
(ちょっとやり過ぎたか?冗談だったんだが・・・まあ良いか)
 啓人はまた三郎に近づいていく。
「もっとして欲しくなるようにしてやるよ・・・」
 啓人が低く言うと、三郎の背筋に悪寒が走った。
「ひっ・・・」
 三郎は明らかな恐怖を浮かべ、啓人から逃れようと体をよじる。 
「動くな」
 その一言で、三郎は身動き一つ出来なくなる。
(あ、あれっ?また体がっ、動かないっ!)
 三郎は必死に体を動かそうとしたが、瞬きするのが関の山であった。
「大人しくしてろ」
 啓人は服の上から真弓の胸を揉み出した。真弓を抱き寄せず距離を取ったのは、三郎に行為を見せつける為である。
「んっ・・・あっ・・・あぁ」
 真弓は目を閉じると同時に甘い声を上げ始める。
(止めろっ!)
 三郎は叫ぼうとしたが、口は全く動かせない。三郎は二人を見まいと目を閉じる。
「ふぁ・・・ああ・・・んん・・・」
 だが何も見えない三郎の耳には、真弓の声がより悩ましげに聞こえてくる。その声を聞いていると、見たいという願望が内から湧き上がってくる。
(い、いけないっ!見てはいけない!)
 三郎は必死に願望を抑えようとする。
「ああん・・・ああ・・・ふう・・・」
 願望を抑えようとすればする程、真弓の声に心が揺さぶられる。
「ああっ!!」
 不意に真弓の声の調子が変わり、三郎は思わず目を開けてしまった。啓人がスカートの上から真弓の股間を触ったのであった。
「そろそろだな」
 啓人は呟くと、真弓を一番近くの机の上に座らせる。脚を開かせると白い太腿が現れ、三郎はゴクリと唾を飲み込んだ。啓人は三郎の視線を意識しながらスカートの中を覗き込んだ。
「もう濡れてるなぁ」
 啓人がそう言うと、真弓はあぁと声を出した。それが三郎にはこの上なく官能的であった。
「一つ味見をしてみるか」
 啓人は芝居がかった動作で真弓の割れ目を舐め始める。
「はあっ・・・ああっ・・・んんんっ」
 啓人の愛撫に真弓は身悶えし始めた。
「ああっ、ああんっ、ああっ」
 スカートの中に顔を突っ込んで割れ目を舐める啓人、それによって悦びの声を上げる真弓、そしてその周囲で淫らな行為に耽る男女。それらの存在が三郎の理性を麻痺させていた。
「あああっっ!!イッ、イクッ!!」
 真弓は達してしまうと、後ろの生徒に倒れ込んだ。 
「きゃあっ!」
 倒れ込まれた方の女生徒は、突然の事に悲鳴を上げた。だが真弓の存在は認識出来ず、辺りをキョロキョロと見回す。
「もう・・・何なのよ」
 彼女は行為を中断させられた事に対する不満を口にしながら、真弓をの体を無意識のうちに前へ押しやった。但し股間へ伸びたてが止まる事はなかった。
「ふううっ・・・ああっ・・・」 
 彼女はたちまち快楽の世界へ舞い戻っていった。教師を始めとして他の者達もそれぞれの世界に浸りきり、淫靡極まりない空気を教室内に作り出していた。三郎もその気に当てられたのだが、身動きが取れないのでどうしようもなかった。
「各務、しっかり見てろよ」
 いちいち言わなくても三郎は目を離せなくなっているのだが、啓人は敢えて念を押した。啓人は真弓の脚を更に開くと、静かに挿入した。
「ああっ・・・」
 真弓は声を出しながら、啓人にしがみついた。啓人は両手を真弓の腰に回すと、ゆっくりと動き始める。
「うっ・・・あっ・・・ああっ・・・」
 真弓は突かれる度に声を上げる。三郎は初めて見る生のセックスに、瞬きも忘れて見入っていた。
「あっ・・・あっ・・・あっ、あっ、あっ」
 啓人の動きが段々と速くなり、真弓もクライマックスに突入していく。
「ふん」
 不意に啓人の動きが遅くなり始めた。
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・」
 真弓も声を上げてはいるが、どこか物足りなそうであった。啓人はやがて動きを止めると、立ち上がった。
「あううっ」
 その拍子でより深く真弓に突き刺さり、真弓は思わず仰け反った。それでも真弓の両脚は啓人の腰に巻きついてくる。啓人の両手は真弓の尻へと移動し、啓人は三郎に近づいて来た。
「自分で動けよ」
 啓人は真弓にそう言うと、三郎の脇で立ち止まった。
「んっ・・・ふあ・・・あっ・・・」
 真弓は言われた通り自分で動き始める。
「あっ・・・あっ・・・あっ、あっ」
 真弓は最初こそ遠慮がちだったが、段々と大胆に動き快感を貪り始めた。
「ああっ、あああっっ、ああっ」
 そんな真弓を見て三郎は、淫らな考えを浮かべ始めた。
(あ、あんないやらしい顔をして・・・いやらしい声を出して・・・)
 考えれば考える程歯止めが利かなくなっていく。
(どんなに気持ち良いんだ?彼女は、彼女の中はどれだけ気持ち良いんだ?)
 目の前の真弓は三郎が知っている真弓ではなかった。顔は快楽に蕩け、腰は淫らに動いている。
「はああっ、ああっ、ああっあああっっ」
 そして上げる声は、とてつもなくいやらしかった。
(ぼ、僕も・・・僕も・・・)
 いつの間にか啓人と自分を重ねるようになっていた。
「ああああっっっ!!!」
 真弓は再び達し、体は激しく痙攣した。啓人に巻きついていた脚はその力を失い、ダラリとたれた。
「す・・・凄い・・・」
 真弓はそう呟くとぐったりしてしまった。
(ああっ・・・ぼ、僕もっ・・・)
 三郎はそう思う事しか出来ない。
「したいと思うなら目を閉じろ」
 不意に言われて三郎は驚いたが、その言葉に従った。啓人は左手で真弓を支え、右の掌を三郎へ向けた。
(あれ・・・?)
 三郎は体が軽くなり、頭がボーッとしてくるのを感じたが、何も思わずなるがままに身を任せた。啓人はそれを見ると口を開いた。
「お前は一人でする時、誰かのを見ないと性的快楽を得る事は出来ない。誰かがイクところを見ないとイク事は出来ない」
 頭に響く啓人の言葉を三郎は無条件で受け入れていた。
「指を鳴らすとお前は欲情し、体は足以外は元通りになる。俺が言った内容は覚えているが、俺が言ったという事は忘れる。ほい」
 啓人が指を鳴らすと、三郎は正気に戻った。
「あぁ・・・」
「うう・・・」
 教室内から淫らな声が上がっていた。達したくても達せない者達であった。
「あうう・・・」
「んああ・・・」
 聞こえる声は、苦痛にも近かった。教師も床に座り込んで手を動かし続けている。
(ぼ、僕も・・・)
 三郎も皆に負けじと股間へ手を伸ばす。 
「うっ・・・う・・・」
 クラスメートの様子を見ながら、三郎は手を動かし始めた。
「変態君の完成だな」
 啓人はそう言ってほくそ笑んだ。
(さて・・・いよいよだな)
 啓人は改めて教室内を見回した。大胆にも下着を脱ぎ捨ててし続けている女生徒もいれば、ズボンをおろしてしている男子もいる。
(・・・・・・男は排除した方が良いな)
 お世辞にも良い眺めとは言えない。
(始めるか)
 啓人が目を閉じると教室内に充満していた気は、室外にも広がり始めた。


「あら?何なの?」
 気に触れた者は微かな違和感の後、体に疼きを感じるようになる。
「・・・おかしいわね・・・」
 妙に思いながらも、結局どうする事も出来ない。止める者もいないまま、気は広がり続けあっと言う間に高校の敷地全域を覆い尽くした。


「敷地内にある人の気配は、全部で・・・1208か。全員いるな」
 啓人はそう呟くと目を開いた。
「取り敢えずは全体・・・その後で個別か・・・面倒だな」
 啓人が大きな溜め息を付くと、外から一羽の鳥が飛んできた。羽がハンカチで縛られたその鳥は、啓人の肩に止まった。
「お前か・・・ご苦労だったな」
 啓人はそう言うと、鳥を優しく撫でてやる。
(それにしても・・・教師と生徒、そして男と女か・・・。次の機会には千鶴に手伝わせた方が楽だな・・・)
 啓人は吹き込む事を考えながら、留守番をしている女の姿を思い浮かべていた。
(どのみちお楽しみは明日からだな)
「やれやれ・・・」
 啓人は今日何度目か分からない溜め息をまた付いた。




 
 


 

 

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