闇の脱走者


 

 

第三話 愛する者


 ざわざわとざわめく室内。そのある一点に人口が集中している。その中心に俺はいた。

「前はどこにいたの?」
「分からない場所教えてあげようか?」
「趣味何?」

 そのうざったい質問攻めに一つ一つ答えながら時を待つ。
 やがて、チャイムが鳴り回りの奴らは各自の席へと散っていく。
 俺は窓の外を眺め、ため息を吐いた。



 昨日の事である。律子を犯して、戻った俺を待っていたのは彩とその手に持たれた一通の封筒だった。

「学校に編入してもらいます」

 とりあえず、封筒について質問した時の答えがこれだ。
 詳しく聞くと、俺くらいの年頃の男は学校というモノにいっており、そうでない者は浮いてしまうという事だ。
 目立つのは困るので仕方なく編入したが・・・・

「目立っているじゃないか・・・」

 誰にも聞かれないように呟く。
 まあ、これ以上目立たないように真面目にしているか。
 俺は目の前に開かれたノートに向かった。



 昼休み。クラスメイトの質問攻めに嫌気がさした俺は、教室を抜け出してぶらぶらと廊下を歩く。手には彩の作った弁当だ。
 廊下は教室ほどの騒ぎではなく、俺はゆったりと歩く事ができる。ふと見下ろすと、中庭といわれる所にベンチがあるのが見える。風通しも良さそうで弁当を食べるのにはちょうど良さそうだった。
 階段を下りて、渡り廊下へと出る。中庭はそこまで広くなく、一グループが運動すれば他が仕えないほどだった。その端に設置されてあるベンチに座り、巾着を開く。

「・・・・・」

 よかった。教室で開かなくて本当によかった。まさか、そぼろとやらでハートマークが作られているとは思わなかった。
 彩め・・・家に帰ったら言っておかないといかんな。

「あら? 愛妻弁当?」

 突然、後からの声。思わず、口に入れた飯を吹き出すところだった。ごほごほと咽せながら後ろを向くと用意が良いのかコップが出された。それを受け取りごくごくと飲み干す。何とか喉につかえたものを流し込み、一息吐いてその人物を改めて見る。

「ちょっと、大丈夫?」

 原因が自分にあるにもかかわらず、くすくすと笑いながらこっちを見るその人物。短くさっぱりと切り揃えたその髪に、真っ白な白衣がよく映える。
 どうやら、教師らしいのだが、何の教師だかわからない。とりあえず、何も言わない方が良いのだろうとただ、教師をみるだけだ。

「む〜。見ない顔だね。大体の顔は覚えているのに自信があるんだけど・・・そうか、きみ、転校生でしょ。確か、今日だかに入ってきたって言う子の資料が・・・」

 部屋の中へと戻っていき、再び窓から顔を出した。その手には先程にはなかった白い書類がある。

「やっぱりそうだ。えーっと唯咲 かずい17歳。身長165p、体重58s。ん〜理想的な体型ね。両親は海外で働いていて、今は社会人のお姉さんのところで暮らしている」

 どう? と目で聞いてくる。とりあえず、頷いておいた。

「そうそう、私の名前分からないわよね。私は舞子。羽沢舞子よ。もうわかってるとは思うけど、養護。まあ、保健室の先生ね」

 羽沢と名乗った教師は「よろしくね?」と目で訴える。そのままにやにやと顔を崩した。

「ところで、手が早いわねぇ。もうお弁当をつくってもらうような人がいるの?」
「ああ、これは違いますよ。姉です、姉の手作り。まったく、こんな恥ずかしい弁当を恥ずかし気もなく作るんだから」
「いいお姉さんじゃない。確かに、恥ずかしいお弁当ではあるけどね」

 羽沢は「ご愁傷様」とにやけて外を見る。そんな羽沢を放って、彩の作った弁当を口に運ぶ。やはりというべきかうまかった。

「日課なのよ。昼休みにここで外を見るの。そこの中庭ね。毎日どっかのクラスの子が遊んでるから。危険がないか・・・ね」
「ご苦労様です」

 俺は適当に言葉を返す。その時、チャイムが鳴った。

「あら、予鈴ね。そろそろ教室に戻りなさい。これから午後の授業よ」
「はいはい」

 どっこいせと足に力を入れて腰を上げる。知っている事をもう一度やるというのは非常につまらなかった。

「お疲れ様。がんばって勉強しなさい」

 背中に羽沢の声を聞きながら教室へと帰っていった。



 まったく、今日は彩のおかげで大変な目にあった。まあ、だが、そのおかげで学校とやらでの拠点の目星をつける事ができたからよしとしよう。



「あら? 唯咲君」

 羽沢が職員会議から帰ってきた。部屋に入ってきて俺の顔を見るとすぐに顔をしかめる。それはそうだ。なぜなら空調を切り、窓も閉めているからだ。

「なに、この熱さ。窓くらい開けなさいよ」

 ぱたんとドアを閉め、窓へと歩いていく。その目の前に俺は立ちふさがった。

「だめですよ、先生。いま挑戦してるんですから」
「何に?」
「どれだけ、この中にいられるかって。ほら、サウナみたいに熱いからダイエットにも良いかなぁ〜って」

 そう笑いながら言うと、はぁ〜と盛大にため息を吐いて、羽沢は自らの席へとついた。

「何でここでやる必要があるのよ。他の場所もあるじゃない」
「いえ、ここなら、迷惑を掛けるのは先生一人ですし、なんとなく、羽沢先生なら赦してくれるかなぁ〜って」
「もしも、誰かの具合が悪くなったら止めるんでしょうね」
「ええ、約束しますよ。先生がそう言う理由で止めるように言えばね」

 言って、俺も長椅子に横になった。
 先程、羽沢が戻ってくる前にこの部屋中に俺の汗を振りまいておいた。効果は時期に現れるだろう。
 あたりからは少し気の早い蝉の声、それと運動部達の声。
 すぐ隣の机からはかりかりとペンの走る音。そのペンが走ると、インクが紙にのっていく。

「ねぇ?」
「はい?」

 羽沢の声。俺が寝てるとはまったく思ってないんだろう。当然、寝ているわけもなく、その声に答える。

「何で、こんな事やってるの?」
「何故といいますと?」
「だから、あなた全然太ってないじゃない。それどころか理想的な体型といえる。それなのにダイエットなんてする必要ないじゃない」

 一息に言って、はぁっと大きく息を吸い込む。その端々にどことなく妖艶さが漂い始めた。
 それを感じながらも俺はふつうに接する。
 まだ早い。

「そんなこと言ったって、女性の方だってダイエットをするじゃないですか。どう見ても太ってない人までそんなことを気に掛ける。俺がそれを気に掛けてもおかしくはないんじゃないんですか?」
「う〜ん、そうねぇ。確かに女性はそう言うの気にするわね。うん。私も気にしたこと有るし。虚栄心ってやつね。きれいに見られたいって言う感じ」

 徐々に羽沢の呼吸が早く激しくなっていく。ちらりと羽沢を見ると体をもじもじとさせて、どこかそわそわしていた。

「どうかしましたか、羽沢先生?」
「いえっ、なんでも・・・ないわ」

 唐突な裏声を上げ、羽沢は答える。結構きてるというのが手に取るように分かる。
 そんな羽沢を横目で観察する。顔は赤く、きょろきょろとあたりを警戒する。はぁはぁと呼吸は荒くなり、仕事もどこか上の空だ。
 後少しか。

「どうかしましたか? 羽沢先生。顔が赤いですよ」

 立ち上がり、羽沢に近づく。額に手を当て、熱を測る振りをする。結局そんなことをやっても分からないからだ。

「わ、凄い熱ですよ。大丈夫なんですか?」
「だ・・・いじょうぶ・・・よ」
「そうですか。でも、無理はしないでくださいね」

 その場は引き下がり、再び長椅子に座る。天井を見上げて時を待った。
 蝉の声に、運動部の怒声。紙にインクが走る音、そして、はあはあと荒い羽沢の呼吸音。そこにくちゅっと水っぽい音が混じった。

「んっ」

 くぐもった声。かすかにしか聞こえなかったが、艶の混じった声だ。ちらりと羽沢を見ると左手を目の前へと持って行き、呆然としていた。
 しばらく呆然としていたが、突然我に返ったようにびくんと肩を震わせ、いそいそと職務に戻る。しかし、数分と立たないうちに再びくちゅっと音がした。

「んんっ」

 再びくぐもった声。しかし、それは先程よりも大きかった。肩を震わせ、顔を机に突っ伏している。見ると、紙に走るインクはミミズがのたくったようになっている。
 はあはあと荒い息が漏れ、その度に肩が震える。俺は羽沢に近づき、下を弄っている手を持ち上げた。状況を受け入れられず、困惑した顔で俺を見上げる。

「ふふ、我慢出来ないんですか? 淫乱なんですね。羽沢先生って。学校でこんな事をするなんて」

 俺の声に目をそらす。その顎をとり、こっちを向かせる。そして、そのまま口を塞いだ。

「なっ、んっ・・・・」

 舌を差し込み、口を嬲る。もちろんたっぷりと俺の唾液を流し込んでやった。
 その瞬間、ドンと羽沢に押され、後に下がる。口元を拭き、にやりと口の端を上げる。
 余裕を持って、羽沢を見下ろす。すでに瞳は霞がかかり、はあはあと息が荒い口からは涎を垂れ流している。

「どうしました? 先生? 具合が悪いんですか?」

 そう言って羽沢に近づく。真っ白く映えるその首筋をぺろりと舐め、ふっと息を吹きかける。
 ビクンと大きく体を震わせ、椅子から崩れ落ちる。腰を床に押しつけるようにうつぶせになる。時折ビクンビクンと跳ねるのを見ると自らを慰めているようだ。

「もう我慢出来ないようだな。その程度では満足出来まい?」

 俺は羽沢を抱き上げ、ベッドへと連れて行く。
 ベッドのスプリングがぎしぎしと悲鳴を上げて羽沢と俺を受け入れる。
 欲情しきった目で俺を見上げる羽沢にのしかかっていった。
 ブラウスのボタンをはずし、ブラジャーを持ち上げる。ぽろんと転び出た胸を揉み、こね上げる。

「はぐぅっ」

 羽沢の体は跳ね上がり、快楽にとろけていく。
 一度イッて力が抜けた羽沢のズボンをショーツごと引きずりおろす。
 足を持ち上げて膝が肩に届くくらいに足を持って行く。そしてそのまま、ひくひくと蠢いている膣へと肉棒を突っ込んだ。

「ああああぁぁぁぁぁぁぁ」

 押し寄せる奔流を受け、そして流される。後に残るのは呆然としたカラのようなものでその間に体を動かす。
 つながったままぐるんと体を反転させ、まるで赤ん坊におしっこをさせるような体勢で羽沢を持ち上げる。そして、腰を突き上げた。

「あぁあっ!!」

 甲高い声を上げる羽沢を無視し、腰を動かす。それに合わせて羽沢の声が上がっていく。

「ふ、深いっ! 深く入ってくの! 感じるよぉ!!」
「もっと感じさせてやるよ」

 俺は自分の手を舐めて、唾液をまぶす。そしてその手で羽沢の胸を揉み上げた。

「あぅっ!」

 体を反らし、快楽を受け入れていく羽沢。それを何度も何度も追い込んでいく。
 一突きするたびに髪を振り乱し、頭を振り回す。その姿は快楽を受けると言うよりも苦痛に耐える姿に見えた。
 だが、そんなことは俺には関係がない。
 俺のモノを欲しくて欲しくて蠢いている膣の中へと深く突き入れ、中へ一気に吐き出した。
 同時に突起を刺激して羽沢を絶頂へと引き上げる。

「ーーーーーーーっ!!!」

 羽沢は掠れるほど高い声を出し、脱力した。はあはあと呼吸を整え、何とか肩越しに俺を見る。

「―――!!」

 目が合うと、ぼっと音が出るくらいに顔を赤くし、そっぽを向く。
 その仕草に気分をよくし、その首筋を再び舐めあげた。

「羽沢。お前は俺のモノだ」
「うれしい・・・・うれしいです」
「学校の生徒、教師を含め、全ての関係者をの身元を調べ、報告しろ。細やかに、全部だ」
「はい。わかりました」

 俺に全てを委ねるように体を預ける羽沢を抱きしめ、そのまま第二ラウンドへと突入した。

 
 


 

 

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