闇の脱走者


 

 

第一話 脱走せし者


 ブゥゥゥゥゥゥン
 人の気配のない部屋に機械の駆動音が響き渡る。
 俺は閉じていた目を開く。回りに液体があるにもかかわらず、水槽の外が見える。
 この液体は極めて特殊な物でこの中でも肺呼吸ができる代物らしい。かくいう俺もその恩恵にあずかって呼吸器もつけていない。
 この部屋には誰もいない。今日は別の奴で実験をしているのだろう。俺はこのチャンスを逃すつもりはなかった。
 物心が付いてからずっとこの中か実験の日々。そんな毎日に嫌気しか感じなかった。
 さあ行こう―――自由なる物を求めて。



 ジリリリリリリリリリ!!!!

「なにごとだっ!!」
「脱走だっ!!」

 響き渡る警報。
 騒然となる研究員とあたりを照らし出す照明。
 慌てて探しても遅い。俺はすでに敷地外へと抜け出していた。一度だけ今まで俺がいた建物を振り返る。その建物は5メートルはある巨大なコンクリートの塀に囲まれていて、監獄いや巨大な墓石にみえた。
 俺達の生まれた場所にして、死んでいく場所。俺達の世界。
 その世界に後ろに置いていくと、新たな世界は開けていた。





「ハッ・・・・ハッ・・・・・」

 どこかの公園で一息をつく。
 これでもかというくらいに走ったので、喉がひりつき呼吸するのにも苦労する。
 あたりを確認する。脱走した俺を始末するために近いうち追っ手が差し向けられるだろう。
 俺が生き残るためには降りかかる火の粉は振り払わなければならない。しかし、俺は戦闘向きではない。手駒を作る必要があった。そして、住処も確保しなければならない。
 獲物を探して、街へと歩き出した。

 街には多くの獲物が転がっていた。こんな少量の光で闇を克服したと思っている馬鹿な獲物達。
 髪を染めて自分を偽り、肌を焼いて脆い鎧に身を包む。その程度で自らの身が守れると思っている愚か者ども。
 俺はそんな奴らに一瞥をくれて歩き出す。
 今俺が探しているのはこんなガキどもではない。俺が姿を隠すのに最適な一人暮らしの女だ。くわえて言うなら生活レベルや地位がある程度高いと申し分ない。
 そして、そんな格別の獲物を見つけた。
 長い髪。真っ黒い長髪を揺らして歩く。きっちりとしたスーツ姿。こつこつと鳴らすヒールの音は自立している大人の女を思わせる。
 俺はこの獲物にねらいをつけた。
 音を立てないように女の跡をつける。顔に伝う汗をそのままになんでもないように近づいていく。
 そして、そのまま酔っぱらいを装って、女に抱きついた。大声を出されないように口を塞ぐ。

「むぐぅっ、んんんっ!!」

 女は激しく暴れるが、俺も食らいついて放さない。放さなければこのままで勝負は付くのだ。全身の力を込めて女を押さえ込んだ。
 女に比べて、体格に劣るため、何度も振り回されとばされそうになったが必死に耐える。

「んんっ、んっ・・・・」

 やがて、女の暴れる力は弱まり、ふらふらと酔っている様に体が揺れる。
 ぺたりとその場に座り込むのを確認すると、俺は女から離れた。

「は・・・・ぁ・・・・」

 女は肩を上下に揺らし、顔を真っ赤にしている。目は潤み、何かを求めるように俺を見上げる。
 すでに女の両手は自らの胸と股をまさぐっている。口からはだらしなく涎を零し、下の口から液体が漏れ出てるのが見える。
 俺はにやりと口の端を持ち上げて、女を見下ろす。この女は堕ちた。

「これが欲しいのだろう?」

 股間を指さす。女は涎を垂れ流しながらコクコクと何度も頷く。

「よし、ならばお前の家へと案内しろ」

 腋の下へと手を差し入れ、女を立たせる。
 しなだれかかってくる女に肩を貸し、女の住処へと向かっていった。



 女の住処は割と広いところだった。
 パスコード形式の自動ドアとオートロックの玄関。
 中にはいると部屋が3つほどある。
 ベッドやらソファーやらクッションやら、やたらふかふかしている物に囲まれており、ぬいぐるみなどもそこら中に飾ってある。
 女は部屋に入るなり、自らの服を引き裂いて俺の下へと跪く。
 縛ってある紐を解いて、ズボンをおろす。
 すでにそそり立っている俺のモノを見て、薄く微笑んだ。
 そして、すぐさま俺のモノをくわえこむ。
 愛おしそうに、美味しそうに、俺のモノを舐め、何度も頭を前後する。俺はその程度の刺激には慣れてしまっているのでまだまだ余裕がある。
 モノをくわえさせたまま二人で横になり、俺は体の向きを変える。女の下の口を俺の舌で弄りながら、女を逆さのまま持ち上げる。
 女の膣はだらだらと愛液を垂れ流し、未だ持って膣から愛液がわき出ている。
 豆をつつき、穴に舌を入れる。一つ一つ襞を伸ばして、膣を刺激し、愛液を飲み込んでいく。

「ああぅ・・・あっ・・・・」

 女の上げる切なげな声と共に膣がうねうねと動く。早く入れてくれと急かしているように。
 くく・・・
 分析も終わった。
 何度も俺のモノを舐めている女を引き剥がし、俺のモノを突っ込んだ。

「ああっ!!」

 女の体がいくらでも襲ってくる快楽に打ち震える。
 うねうねと俺のモノを包み込み、奥へ奥へと誘っていく。
 何度も実験をさせられていたので、今更この程度の刺激は何ともない。しかし、気持ちが良いのも事実だ。もう少し、この快楽に身を任せよう。
 俺は女の体を持つと、そのまま俺の体を後に倒す。俺の手で支えられた女の体が起きあがり、騎乗位のできあがりだ。

「さあ、自分で動いてみな」
「んん・・・・・・ん・・・」

 女は自身に走る快楽に耐えながら体を上下に動かす。そのたびにヌチャヌチャと音が鳴り、女の声が漏れだし、女の愛液にまみれた俺のモノが見え隠れする。
 俺は下から手を伸ばし、女の胸を揉みしだく。手に力を込める度、女の体がびくんと震えた。

「んっあっあっんっ・・・」

 やがて、切羽詰まってきたのか、女の声と体の動きが早くなっていく。それに伴い、女の膣の締め付け具合が強くなっていく。

「ほしいか?」

 女に言う。
 女は何度も何度も繰り返し頷いていた。壊れたロボットのように。

「ならば、媚びろ。願え。この俺に隷属しろ」
「くださいっ。どうか哀れな私にあなたの熱い汁をぶち込んでくださいっ。私の中に出してくださいぃぃぃっ!!!」

 その声に俺は白濁を迸らせる。
 俺の白濁は女の子宮に染み渡り、女を俺の虜にする。
 女は気が抜けたように放心したまま、俺へ向かって倒れ込んできた。




 どれくらいそのままにしていただろうか。
 いい加減うっとうしくなってきた俺は女の頬をはたく。

「おい、起きろ」
「ん・・・・あ・・・・」

 女が目を開くと、俺と目が合う。瞬時にゆだった蛸のように顔を赤くして、女は離れた。

「あ・・・あ・・・・」

 ベッドの端で、憧れを見るような目で俺を見る女。
 俺はそんな女を蔑むような眼で見ていた。
 お前は駒だ。俺のための人形。
 俺のためだけに生き、俺のためだけに死んでいけ。

「おい」
「は、はいっ」
「名前は?」
「唯咲 彩です」

 嬉しそうに答える彩。

「俺は今日からここに住む。周囲に怪しまれないようにしろ。そのための手続きは総てお前がやれ」
「はい、かしこまりました。恐れながら、あなた様のお名前をお教え頂けませんでしょうか?」

 名前か・・・・そんな事は考えもしなかったな。番号でしか呼ばれた事しかなかったし。

「ふむ・・・名字はお前のモノを使い、俺はお前の弟という事にしておけ。名前はお前が決めろ」
「あ、ありがとうございますっ。それでは・・・・かずい様というのはいかがでしょう」

 女――彩はきょろきょろと辺りを見回して、そう言った。

「ああ、それでいい。俺は今日から唯咲 かずいだ」
「かずい様。それではよろしくお願いします」

 彩は三つ指を突いて、頭を下げた。



 これで、拠点は手に入れた。次は力を蓄える時だ。

 
 


 

 

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