おろろん淫魔君


 

 

05. マンションこわい


 あれから二週間がたった。

 春蘭さんも初めの頃は、淫魔君の淫気を欲しがって僕の股間にしがみついて離れなかったり、ちょっと目を離した隙に周りにある物を手当り次第におまんこの中に突っ込んだりしちゃって大変だったんだ。
 でも今はずいぶん落ち着いて、ゆっくり眠れるようになってきた。少しお話ししたりも出来るんだよ。
 でもやっぱり僕のちんこを舐めていると落ち着くみたいで...もちろん淫魔君の居ない、僕の小っちゃいちんこだけど、僕が寝転がるとすぐに飛んで来てちんこを欲しがるんだ。まるで赤ちゃんがおしゃぶりを離さないように僕のちんこをいつまでも咥えている。

 そんな春蘭さんをみてると、かわいいって思うのと同時に申し訳無い気持ちで一杯になってくる。


 今、淫魔君は下の素子さんの所に居る。淫魔君もお腹が空くし、素子さんだってたまには気持ち良い事したいだろうしね。

 たぶんもうじき二人でここに来るはずだよ。僕と春蘭さんの食事を持って...。

 あ、それと春蘭さんには薬もあるんだ。少し薄めた淫気をちんこに付けてあげる。その後も「もっともっと」って欲しがるけど、駄目なんだって。そんな時は僕、とってもつらい。



 ガチャッ

「いよー!おまっとうさん。腹減ったか?わしらは満腹やがな。かっかっかっ」

「いやん。あなたぁん。ごめんなさいねぇん。私お先に頂いちゃいましたわん。あ、そ、こ、で、うふっ」

 淫魔君が素子さんの肩から飛降りてやっと僕の足に戻ると、優しく春蘭さんの頭をどかし、一緒に食卓に着いた。

 春蘭さんの口に食事を運びながら、今は左肩に居る淫魔君に話しかける。

「ねえ?春欄さん、後どの位で良くなる?まだ随分掛かるの?」

「なんや?もう嫌になったんかいな?」

「ちっ、違うよっ!ちょっと心配しただけじゃないか。僕が、そんな、嫌になる訳ないじゃない!」

「かっかっかっ。冗談やがな。そないムキにならんでもええやんけ。...せやなー、もう2、3日で依存は無くなりよるやろ。それからは淫気無しで当分過ごさなあかん。ばこばこ出来るまでには何ヶ月かは掛かるやろなー」

「そうかぁ、やっと先が見えて来たね。僕、一時はどうなるかと思っちゃったよ」

「ああ、ほんまの事言うたらな、どこまで直んのか、わしにもよう解らんかったんや。せやけど良かったで、こいつがどっか病院にでも収容されてみぃ、あっちゅう間に闇祓いが押し寄せて来よるがな...別にあいつらが怖い訳やあらへんけどな」

「うん。これからは気を付けなくっちゃね」

 時々口の周りとかを拭いてあげながら、春蘭さんに食事をさせてあげていると、急に春蘭さんの目から涙が一粒こぼれた。

「しゅ、春蘭さん!どうしたの?熱かった?ごめんね」

 慌てて口元を拭い、調べている僕に、春蘭さんはたどたどしい言葉で告げた。

「あ、り、がと、だん、な、さま、うれ、し、あ、た、し、す、き、だい、じ」

「えっ!..あ、うん。ありがとう。僕も春蘭さんの事大好きだよ。ずっと一緒に居るからね。もう少しがんばろうね」

「ほー、もうしゃべれる様になったんか?感情も出て来よるみたいやし。後は体の回復だけやな。...ほな、ぼちぼちお薬といこか」

 春蘭さんの顔がすっごく嬉しそうにほころんで、僕にしがみついて来た。

 ねっとりとしたくちづけで僕の唾液を吸い取った後、徐々に足元に下がって行く。
 朝からパンツを履く暇も無かった僕の股間に顔を埋め、薄ーく緑色に染まったちんこにそっと舌を這わせる。
 少しでも長く味わおうと舌の先っちょをゆっくりと上下させ、てっぺんでちろちろと振るわせる。
 ちんこに着いた緑色が無くなってくると あむっ て咥えて ちゅーちゅーと吸いだす。
 お薬がもう全然無くなってもやめようとしないけど、僕は何も言わずに頭を撫でてあげるんだ。

 そしたら横で物欲しそうにこっちを眺めていた素子さんがすり寄って来た。

「ごめんね、素子さん。今ここで淫気を出す訳にはいかないから、後で下のお部屋に行くよ。待っててくれる?」

「あ〜ん。わかりましたわん。もとこ下でおなにいしながらお待ちしておりますわん。早くいらしてね。あ、な、た」

「うん。あ、それとご飯ありがとう。とってもおいしかったよ。ご馳走様!」


 名残惜しそうに部屋を出ていく素子さんを見送って、僕達はまたベッドに戻った。

「ねぇ、淫魔君?もし春欄さんが元に戻ったら僕、この部屋出ていった方がいいかな。春欄さんの記憶、消したりとか出来る?」

「ん?まあ、出来ん事もないけど完全に社会復帰出来るのはもうちょい先の話やなぁ」

 すると今までちんこにむしゃぶりついてた春欄さんが急に僕の首にしがみついて顔を擦り付けてきた。

「いや、いや、あたし、はなれ、ない、だんな、さま、と、ずと、いっしょ。あた、し、もう、なんでも、する、じぶん、で、ごはん、たべる、じぶん、で、おしっこ、する、いかない、で、おねが、い」

 涙をぼろぼろこぼしながら、頬を擦り付け、僕の細い首を締めつける。

 僕は春欄さんの為にそう言ったんだけど、どうも捨てられると思ったらしい。僕みたいな子供が言うのも何だけど、そんな彼女を心底かわいいと思った。

「うん、うん。わかった。どこにも行かないよ。ごめんね春欄さん」

 そう言うと少し落着いたのか、わんわんと泣くのは止ったけど、でもまだ鼻をすすり上げながら僕の首に込めた力を緩めようとはしない。

「あーあ、こんなラブラブ、わしの趣味とちゃうんやけど...ま、しゃあないか」

 右手で彼女の頭を抱きながら、僕達3人はいつになくほのぼのした空気に包まれてベッドでうとうとしていた。

 ガチャッ

 しばらくして僕のまだはっきりと覚めていない頭に、玄関の扉が開く音が聞こえてきた。

「誰?素子さんかな?」

「!!いや、ちゃうで!あいつの臭いとはちゃう!こいつは前からこの部屋に残っとった女の臭いや。春欄のツレや思とったけど勝手に入って来るっちゅうのんは..同居人か...まずいな」

 ドアが閉り、その人はリビングでごそごそとしている。僕の靴は置いたままだから、居るのはばれてるはずだ。

「春欄...居るの?お客様?」

 春欄さんと同じ..外国訛りのその人はこの部屋のドアの前で話掛けている。

「ちょっと待っとれ」

 淫魔君が僕から抜出しドアの隙間から出ていくと、部屋の外で喧噪が広がった。

「きゃっ!なにこれ?わっ!やめてっ!いやっ、きゃっ!」

 にゅるにゅるっ、ずちゃっ、びちょっ、ずりゅっずりゅっ。

「どや!ほれっ、こりゃっ、うりゃっ!まだかっ!ほれっ!おらおらおらおらおら.........な、なんや、どしたんや?おっかしいなぁ、こいつどうなっとるん.........うっ、うわっ!なっ、なんやお前!どこのもんっ!うわっ、くっ来るな、やっ、やめ......うわっ、たっ、たすけ、すまん、やめっ...うわぁぁ..ぁ....ぁ........ぁ.......」

 初めて聞く淫魔君のうろたえた声が段々遠ざかるのが聞きながらも、僕には何が起ったのか全然分らなかった。
 だけど、すごく怖い気がして頭から血の気が引いていくのを感じていたんだ。

 ぶるぶる震えながらも春欄さんをぎゅっと抱きしめ、彼女を守る方法を必死で考えていた。でも淫魔君の居ない今の僕は寝たきりで力の弱い只の子供だ。

「春欄さん、大丈夫。僕が、僕が...」

 カチャッ、キィィー

 寝室のドアが開くと、スーツ姿の気の強そうな女の人が立っていた。
 その人は太股を緑色に染めながらも目には強い意志の光を称えている。
 釣上がった眉をひそめつつこちらを睨みつけるその人は、春欄さんとよく似た顔立ちでやっぱりとびきり綺麗だった。
 春欄さんのむっちりと色気のある体つきとは対照的に、少し細目ではあるけれど均整の取れたそれはまるでモデルさんみたいだ。

 そのうち怯えるのも忘れてその人に見とれていたら、ふいに春欄さんがつぶやいたんだ。

「..こうらん....ねえ..さ、ん」

「えっ、姉さん?春欄さんのお姉さんなの?...あ..ええと..はじめまして..僕、僕は..ええと...」

 どう言って自己紹介しようかなんて場違いな事で悩んでいる僕達に つかつか と歩み寄ると、その人は バサッ と布団を捲り上げ、裸の二人をじっと観察している。

 お姉さんの怒ったような表情を見て、春欄さんは僕の上に覆い被さり、ぎゅっと抱きしめながらお姉さんを睨付ける。

「だめ、わたし、の、だんな、さま、おこたら、だめ、わた、し、の、だい、じ」

 しばらく僕と春欄さんの二人を冷たい目で睨み付けていたお姉さんだったけど、ふぅっ と一つ息を吐き、急に暖かな笑顔が浮かんだと思ったら春欄さんの頬をゆっくりと撫でて、優しげに言った。

「そう、春欄...あなたも見つけたのね...大事な御主人様を。...良かったわね..これであなたも幸せになれるわ、きっと...」

 そう言うと春欄さんの頬に優しく口づけをし、僕の方に向かって

「春欄のちいさな御主人様..。春欄を宜しくお願いします。どうかこの子をいつまでもかわいがってやって下さい...」

 そう言って丁寧にお辞儀をすると、荷物を持ち、名残惜しそうに部屋を出ていった。




 その日の夜。

 何がなんだか分らないまま、でもどこにも動けずに僕は、ベッドの上で春欄さんと待ってたんだ。

 すると、淫魔君が扉の隙間から流れ込んで来てようやく僕の脚に戻った。

「遅かったじゃない、淫魔君。ひどいよ僕達を置去りにしていきなり居なくなっちゃうなんて」

「しぃーーっ!大っきい声だすなや。あいつは?あの女はどこ行きよったんや」

 淫魔君は今でも少し怯えたように震えている。

「あの人ならすぐに出て行っちゃったよ。ねぇ、どうしてそんなに怖がってるの?あの人春欄さんのお姉さんだったんだよ。だからそんなに悪い事しないって。僕に”春欄をよろしく”って言ってたんだよ」

「一人か?一人やったんか?」

「うん、そうみたいだったけど...。ねぇ、どうしたのさ?そんなに怯えてる淫魔君、初めてだよ。何をそんなに怖がってるの?」

 淫魔君はやっと落着いたように僕の肩にやってくると、話しだした。

「あいつ...あの女は、闇に魅入られた人間や。それもわしら使い魔なんかと違う..もっとごっつい力を持った奴に操られとる。”お方”はん程やないにしても、安モンの堕天使クラスはあるやろ...。 そんな奴の持ちもんに手ぇ出したなんちゅう事がバレたらわしなんぞ指一本で消されてまうがな。 闇祓いなんぞやったら武装はしとっても所詮は人間や、逃げる事もいわしたる事もでける。せやけど闇の住人はそうはいかん。どこにも隠れるとこなんぞあらへんがな...」

「闇の住人ってそんなに怖いの?」

「怖いっちゅうか、あいつら自分以外の生きもんの命なんぞ屁とも思とらへん。あいつらの役にたっとる内は強力な味方やけど、敵にまわしたらわしらなんぞにはどもならんがな」

「でも、淫魔君も闇の住人なんじゃないの?」

「せやけどわしら一番下っ端やがな。いつでも肩身の狭い思いしとんねん」

「ふぅーん。淫魔君かわいそうだね」

「別にお前に同情してもらわんでもええわい。おい、そんな事よりあの女帰って来ぃひんやろな? それやったらわし、このマンション出ていきたいわ」

「駄目!ぜっっったい駄目。春欄さんが直ってないのに出ていく訳にはいかないよ」

「はぁぁぁ..。他にもマンションは山程あんのに、なんでわし こんなとこ選んでしもたんやろ。 ...わしもう、このマンションこわい...」






「お、あと、が、よろ、しい、よ、うで」
「お前、絶対外人ちゃうやろ」
「てゆーか、直ってる?」

 
 


 

 

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