〜 比売子の場合 〜


 山が真っ赤に染まる秋の頃。空気が徐々に寒くなり、それに合わせてどんどん澄んでいく。

 季節に関係なく街には人が溢れ、そこかしこに暮らしを漂わせている。

 綺麗で長い黒髪に、ニキビ一つない肌。モデル並みのスタイルに文字通りアイドルも顔負けの美形。強烈な存在感にすれ違った人は皆振り返る。

 そこらをうろついているカップル達を尻目に咲耶は歩いていた。

 はぁ・・・私も彼氏が欲しいわ・・・。

 咲耶は高校卒業後、OLとなって働いている。

 そして、少年とは今も繋がっていた。

 少年いや男は好きだが、彼はそう言う付き合いはしない。

 結果、いつも楽しませてもらってはいるが彼の心は彼だけの物だった。

 彼が咲耶の他に女を抱いているのは知っている。ほんとうは自分だけを見て欲しかった。自分だけを見て、自分だけを愛して欲しかった。

 だが、それは叶わぬ願いだった。なぜなら、男は咲耶の持ち物ではないし、男の心は男だけの物だった。

「はぁ・・・・」

 ため息をしてもその美しい顔は曇るどころか妖艶な雰囲気を漂わせていた。

「咲耶・・・ちゃん?」

 突然の声に咲耶が振り向くと、顔にそばかすがあり、出るところもあまり出てない小柄の女性がもの凄く嬉しそうな顔をして、咲耶を懐かしがってみていた。

「やっぱり咲耶ちゃんだ。咲耶ちゃん久しぶり!!」

「・・・・お姉ちゃん」

 その人物は咲耶の姉、岩長 比売子(いわなが ひめこ)だった。



 咲耶と比売子の家庭事情は複雑と言うほど複雑ではなかったが、円満な家庭ではなかった。

 母親は資産家の一人娘で父親とは高校で知り合ったという。

 付き合っていた当時は仲のいいカップルだった。

 しかし、結婚し、母親が二人を産むと父親は酒に溺れ、母親に暴力を振るいだした。母親は妻として堪え忍び、来る日も来る日も夫の暴力を甘んじて受けた。

 そして、二人にはそんなことを微塵も見せずにしっかりと躾けていった。

 父も世間体は良く外から見た限りでは仲の良い夫婦、円満な一家に見えただろう。

 それも長くは続かなかった。咲耶が小学校3年、比売子が5年の時、父の暴力が子供達に向かったのである。母親は妻として自分への暴力は堪えたものの母として、娘達へと向けられる暴力には堪えられなかった。

 結果、二人は離婚。比売子は母親に、咲耶は父親に引き取られた。

 離ればなれになった二人だったが、二人は両親の目を盗んでは密会していた。

 だが、ある時期を境に咲耶は比売子と会わなくなった。比売子は咲耶から住所も電話番号も聞いてないので―いや、いつ聞いても咲耶は答えをはぐらかせて比売子に教えることはなかった―比売子には連絡を取る術がなかった。

 待ち合わせの場所に来ない、それだけで咲耶と比売子の絆は途切れ、二度と会うことがなかったのである・・・今日までは。



「本当に久しぶりね、咲耶ちゃん」

 比売子は嬉しそうに咲耶に言う。その目の前には水の入ったコップが置いてあった。

 ここは二人の再会した場所からそう遠くないところにある喫茶店。比売子は立ち話も何だし、時間もたっぷりあるというので咲耶をそこへと連れていった。

「ええ、姉さんも元気そうね」

 比売子は珈琲、咲耶はカフェオレをそれぞれ注文すると、比売子は懐かしがって色々と話し込んだ。

 まだ、両親が離婚する前の話、両親が離婚して二人で密会していたときの話、咲耶が比売子に会わなくなってからの話。

 様々な話を嬉しそうに語る比売子に時に頷き、時に軽く返事をして咲耶は応対していた。その目は冷たく、比売子を観察していたがその目の奥にある感情に比売子が気付くことはなかった。

「でも、なんで咲耶ちゃんはあの日来なかったの?私、何か悪い事言った?あの日から一週間、毎日待ってたけど、どうしてきてくれなかったの?」

 比売子の言葉に咲耶の顔が一瞬引きつったと思うとすぐに静かな微笑へと戻り、咲耶は静かに立ち上がった。

「咲耶ちゃん?」

 比売子は小首を傾げて咲耶の顔色をうかがう。

「ごめんなさい姉さん、ちょっと用を足してきます」

 そう言うと咲耶はバッグを持って、そのままトイレへと向かっていった。

 後へ残された比売子は事情を飲み込めず、首を傾げるだけだった。



 白々しい・・・!!

 咲耶はトイレにはいると洗面台の鏡へと向かった。

 あの人さえいなければ私は・・・・!!

 鏡に映る咲耶の顔には烈火の如き怒りと激しい憎しみが浮かび、それでもその美貌は曇るどころか精悍な豹のような美しさを讃えていた。

 私はあんな事にはならなかった・・・!!

 ギリと強く噛み、手を強く握る。

バシャア!!

 鏡へと水をたたきつけると、咲耶は手を拭き、携帯電話を取り出してどこかへと電話をかける。

 数回呼び出し音がなって、目的の人物が出た。

「なんだ?咲耶」

「あなたの奴隷にしてもらいたい人がいるの・・・」

 咲耶は憎しみのこもったまま笑みを浮かべた。その笑顔は冷徹な魔女の微笑みであったがやはりその美貌を引き立たせるものであった。



「おまたせ、ごめんなさい遅くなっちゃって」

 咲耶はトイレでの表情など微塵も見せずに戻ってきた。

「大丈夫よ、咲耶ちゃん。今日はまだまだ時間があるんですもの」

 その言葉に比売子は笑いながら答える。

 咲耶は椅子に座ると、にこりと微笑んだ。

「姉さんは今、何やってるの?」

「わたし?私は今、大学院の研究室で新エネルギーの研究をやっているの。じきに石油も石炭も無くなるわ、その時のためにいまから新しいエネルギーを探索しているのよ。地球や生き物に害を与えないで十分な量を確保できる新エネルギー、これからの世界には必要なものですわ」

 比売子は熱心に話す。その話を興味なさげに静かな瞳で咲耶は見つめる。

 奥に秘めたる感情を微塵も見せることなく・・・・

「咲耶ちゃんは?」

 不意に話を振られて、咲耶はびっくりした。

「え、わ、私?」

 いままで、咲耶は軽く生返事をしていただけなので、この答えには貧窮した。

「私は・・・・高校を出てからすぐに就職して、今年で4年目ね」

 咲耶は静かに、とても静かに言葉を紡ぐ。

「まあ、咲耶ちゃんは働いているの?凄いなぁ、私には考えられないよ・・・・」

 比売子は本当に驚いたように言う。そして今度は目を伏せ、静かに聞く。

「・・・父さんは・・・」

 その言葉を聞いたときに咲耶の身体がビクッと震える。しらず、咲耶の身体が震え、グッと唇を噛む。テーブルの下では強く拳を握る。

「お父さんはどうしてます?」

 それは咲耶にとって二度と触れたくない話題だった。

 身体の震えを必死に隠し、感情を読みとられないようにして静かに答える。

「高校を卒業してから、私は一人暮らしをしてるのでお父さんが今、何をしているのかはわかりません。ごめんなさい」

 頭を下げて咲耶は言う。溢れ出しそうになる涙を堪え唇を噛んだ。

「さ、咲耶ちゃんが謝ることないよ!?顔をあげて、ね?」

 比売子は焦って、落ち着かせるように咲耶に言う。

「ありがとう、姉さん。そう言って貰えると助かります」

「いいのよ、ただ聞きたかっただけだから・・・お父さん、どうしてるのかなぁ・・・・ちゃんとご飯食べてるのかなぁ・・・・?」

 比売子がその優しさから言葉を紡ぐごとに咲耶は拳を握り、身体の震えを抑えていた。

「?どうしたの咲耶ちゃん?」

 咲耶の異変に気付いたのか比売子が心配そうに見ている。

「いえ、別に・・・何でもありませんわ」

「そう、それならいいけど・・・咲耶ちゃんは昔から病弱だったから気になってしまって・・・」

 そう言って、比売子は目の前の珈琲に口を付けた。

「あら、結構冷めてしまったわ。ずいぶん話し込んじゃったわね」

「姉さん、ちょっといいかしら」

 咲耶が切り出す。

 比売子は今まで聞くだけだった咲耶が話を切りだしてくれたことが嬉しかった。昔は自己主張が激しかったので目の前の咲耶がなかなか信じられなかったのである。

「何?咲耶ちゃん」

「姉さんに紹介したい人がいるの・・・会ってくれませんか?」



 比売子は舞い上がっていた。咲耶は昔から人にその心を見せず、友達といえる様な人がいなかった。その咲耶が恋人を紹介すると言っているのだ。姉としてこんなに嬉しいことはなかった。

 喫茶店を出て、咲耶に案内されるまま比売子は裏路地のバーへと入っていった。

 照明は暗く、いかにも素行の悪い人達のたまり場のように比売子には思えた。

 咲耶はきょろきょろと辺りを見回していたが、やがて目的の人を見つけたのか比売子の手を引いてある男の近くへといった。

「こんばんわ」

 咲耶は男の隣へと座って男に声をかける。

 男は咲耶の声に振り向いて、フッと笑った。

 はぁ〜、なんか不思議な人だなぁ・・・

 男を見たときの比売子の感想である。

「こんばんわ、木花さん。そちらが俺に紹介したい人?」

 不意に男の視線が比売子に移る。

 比売子は軽く会釈する。

「ええ、紹介するわ。こっちは私の姉です」

「岩長 比売子です。よろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします、お座りになったらどうですか?」

 男に勧められ、咲耶は男の隣、比売子は咲耶の隣へと座った。

「ぶつしけな質問で申し訳ないのですが、岩長さんは結婚なさられていらっしゃるんですか?」

「いえ、でもどうしてその様なことを?」

 男の質問に比売子は困惑顔で答え、そのまま質問を返す。

 男は手をふるふると横に振り、頭を振った。

「いえ、木花さんと岩長さん。御姉妹でいらっしゃられるのに名字が違うので気になって・・・あ、お気を悪くなさられたのなら謝ります」

「大したことではありません。私と咲耶ちゃんが小さな頃に両親が離婚をして、私は母に、咲耶ちゃんは父に引き取られたのです。その時に私も名字を母の旧姓へと変えられたのです」

 その言葉を聞いて、再び咲耶は震えだした。その咲耶を横目に男は言葉を続ける。

「あ、これは気付きませんで・・・配慮が足りませんでした。すみません。お詫びといっては何ですが、ここは奢らせて下さい」

 男はそう言って、バーテンに言いつける。バーテンはグラスを二つ取り出し、カクテルを注ぐ。そして、咲耶と比売子の前へと置く。

「あ、どうも・・・すみません、お化粧直しにいってきます」

 間の抜けた返事をして、比売子はトイレへと消えていった。

「奴隷にして欲しいというのはあいつか?」

 今までと口調をがらりと変えて、男は咲耶へと聞く。

 さっきまで震えていた咲耶は今はもう震えも止まり、憎しみに満ちた目で力強く頷いた。

 それを見た男はポケットから薬包紙に包まれた薬を取り出して、咲耶へ手渡した。

「ならば、これはお前が入れるんだ」

 咲耶は辺りを見回すと、包み紙を開き中に入ってる粉薬を比売子のカクテルの中へと投入し、スプーンを使って溶かし込んだ。

 やがて、比売子が戻ってきてそのカクテルを飲む。

「あれ?どうしたんだろ・・・頭がぼーっとする・・・飲み過ぎたのかな・・・?」

 そう言って、比売子はすぐに正体を無くして前のめりに突っ伏した。

 力無く突っ伏している比売子を背負い、男と咲耶はバーを去っていった。



 男の家へと辿り着くと、比売子をまずダブルベッドの上に寝かせて服を脱がした。

 薬によって正体を無くしている比売子の身体には全く力が入っておらず、服を脱がすのにも一苦労だった。

 そして、脱がし終えた後比売子の両手両足をそれぞれベッドの四隅の支柱と紐がピンと伸びきるように結んだ。

 これによって、比売子はその秘裂が丸見えでしかも、体を動かすことが出来ないので隠すこともできない。

 比売子の身体はここでも咲耶と比べて劣っていた。胸も尻も小さく、その秘裂はぴっちりと閉じられていた。

「一応もう一度聞いておくが、本当に良いんだな?」

 男は比売子の髪を梳いている咲耶に聞いた。その顔は優越感に浸り、悦びが満ちあふれていた。

 答えを聞くまでもなく、男は比売子の頬を張った。

「ん・・・・」

 比売子は気が付いたが、まだ薬の影響が残っているのであろう。ボーっとして完全には覚醒していない。

「咲耶ちゃん・・・えっ!?」

 起きあがろうとしたが、両手両足を伸ばされて固定されているので起きあがれない。そして比売子は現在自分が置かれている状況を思い知った。

 全裸でベッドへとくくりつけられ、傍らには咲耶、ベッドを挟んで咲耶と反対側には男がいた。

「どうなってるの!?いや、見ないで!!」

 自分が全裸だと知り手で隠そうとしたが、手も足も動かせなかった。

 何でこんな事になってるの?咲耶ちゃんに連れられて行ったバーでお酒を飲んで・・・・?

「静かにしてよ、姉さん。少し五月蠅いわよ」

 比売子の傍らにいる咲耶が冷たい声で言う。その顔に浮かぶ表情はただ、事実を事実として受け止めているだけで何の感情も出ていない顔だった。咲耶はその能面のような表情でも美しかったが、比売子は今まで咲耶のそんな表情は見たことがなかった。

「咲耶ちゃん・・・どうしたの?何でそんな怖い顔してるの?」

 その問いに咲耶は口の端をつり上げて答えた。

「決まってるでしょ。私は姉さんが嫌いだからよ」

「え・・・・・」

 咲耶の答えに比売子は声を失った。

 咲耶ちゃんは私が嫌い・・・・?

 今、本人に告げられるまで、いや、その事を告げられても比売子はそれを認めようとしなかった。

「じょ、冗談だよね?咲耶ちゃん。私をからかっているんでしょ?」

「取り込み中の所悪いんだけどさ、俺は姉妹喧嘩させるためにやってるわけじゃないんだよね」

 不意に男が声をかける。

「あら、ごめんなさい・・・」

「あなたなんなの!?何の目的でこんな事・・・!?」

 男の言葉に咲耶と比売子はそれぞれ反応する。

「お姉さん。何を分かり切ったことを聞いているんですか?僕は男でお姉さんは女。そしてお姉さんは裸と来たら、答えは決まってるじゃないですか」

 男がにっこりと笑いながら言う。それに比べて、比売子の顔は蒼白となり身体を強張らせていた。

「決まってるじゃないですか、セックスですよ」

「いやぁっ!!」

 比売子は何とか抜けようと必死に身体を動かす。しかし、紐はしっかりと結んであり、一般人の力ではほどけることなど無かった。

 しかし、じたばたと動く比売子に無理矢理挿れるのもつまらないし、全然濡れてない中に挿れるのはこっちも痛いので男としても避けたかった。

「咲耶、顔だけでいいからおさえてろ」

 咲耶は男の指示通り比売子の顔を真正面に向かせて押さえる。

「!?咲耶ちゃん!?」

「おい」

 比売子が振り向くと男はどこから取り出したのか真っ赤な宝石のついたペンダントを持ち、ぶら下げていた。赤と言うより紅の色を讃えた宝石は電灯の光を吸収して妖しい光を放っている。

 振り向いた時、思わず宝石を見てしまった比売子はそのままその宝石から目を離せなくなった。

 なんで・・・・どうしてもあれを見なければならない気がしてならない・・・・・目が・・・・離せない・・・・・

「咲耶、もういいぞ」

 比売子は暴れることもいや、既に自分がどんな状況にあるかも忘れて宝石に魅入っている。

「おまえはもう何も考えられない・・・・」

 そう言って、徐々にペンダントを揺らし始める。それに従って、比売子の瞳もゆれていく。

 そのうち、比売子の瞳は揺れるのをやめ、瞳孔も焦点を合わせていない。

「俺がこれから言うことはおまえの底へと根付き、おまえは俺に言われたとおりになる」

 ペンダントを揺らしたまま男は続ける。

「おまえは俺の言うことには逆らえない」

 ペンダントが比売子の眼球に写っているが、比売子は何も見ていない。

「おまえは俺に尽くすことが最高の幸せだ」

 ゆっくりと染みわたらせるように男は言う。

「おまえは俺はもちろんのこと、自分も傷つけることが出来なくなる」

 男の言葉はまるで呪詛の如く比売子の心を蝕んでいく。

「俺から与えられる刺激は全部感じたことないくらいの快感になる」

 そして男はペンダントを比売子へとつける。

「このペンダントは俺の奴隷だという証だ。これをつけている限り、おまえは俺の奴隷だ」

 男は咲耶にも指示して、比売子を縛っていた紐をほどくと再び比売子の隣へと座った。

「これから三つ数えると、比売子は正気に戻る。だが、比売子は今俺が言ったとおりになる」

 最後にそう言って、男は三つ数えた。

 比売子の瞳孔が焦点を合わせ、幾度か瞬きをした。

 そして、男と目が合うとさっと後ろに下がり正座をした。

「なんでも、お申し付け下さい。御主人様」

「よし、俺のものに奉仕しろ。咲耶、お前も一緒にだ」

 男は傍らでじっと二人のことを見ていた咲耶に声をかける。

「失礼します」

 咲耶が服を脱いでいる間に比売子は男のズボンを下ろし、いきりたったモノを取り出す。そして、びくついた手つきでそっと男のモノを包み込んだ。

「たまをなめるんだ。咲耶はパイズリをしろ。俺を気持ちよくさせればさせるほど自分も気持ちよくなれるぞ」

 男の言葉に一心不乱になめつづける比売子。その隣では妹が胸を使い主人のモノをしごいている。

 姉妹の大事なところからは既にそれぞれ汁が垂れて、シーツに染みを作っていた。

「はぁ・・・っは!」

 今日、奴隷になった比売子はともかく、咲耶とは高校時代からかれこれ5年近くの付き合いになるので咲耶は男のポイントを知り尽くしていた。

 絶妙な舌使いにすべすべとした肌の触れ心地で咲耶は男を一気に上り詰めさせた。

 しかし、男が感じると自分も感じるという暗示のために後一歩を責めることが出来ない。

「んっ・・・んんっ・・んむぅ!!」

「はっ、ぁぁ・・ふぁっ」

 咲耶も比売子も至上の快楽にあえぎ、動きが鈍る。

「はっ・・・どうした?動きが鈍ってるぞ!」

 男はそう言って、両手を四つん這いになっている二人の下からそれぞれの秘裂へと伸ばし、一気に突き立てる。

 今までも想像を絶する快感が二人を感じさせていたがさらに男の絶妙な指使いが二人を昂ぶらせる。

「ああっ、ああぁ・・・っ!!」

「むぁ・・・んっ」

 その刺激になんとか堪えて男のモノを刺激する。

「よしっ、出すぞっ!!」

 男は腰を二人から少し引くと勢いよくドロドロの液を放出した。

 その液は二人の顔を汚して、下へ垂れる。

 咲耶は自らの顔についている液で舌で届く範囲にある物をなめとって口に含む。そして、その表情だけで抜けてしまいそうな程、妖艶な表情で笑った。

 比売子はそこまでの余裕がなく、ハァハァと息を切らせていた。

 その比売子に対して咲耶が覆いかぶさる。

「姉さん、いじめてあげる」

 そういって、咲耶は比売子の股へと指を這わせる。

 又、もう片方の手で比売子の胸をいじり、空いた胸の一方の乳首を口に含み舌で転がす。

「あ、やっ・・・・咲耶ちゃん・・・ふぅん!」

 強すぎず、弱すぎず、咲耶の愛撫は比売子を徐々に徐々に上り詰めさせる。

 しかし、絶頂には届かないように調整されていて、比売子は快感の中に溺れていた。

「だめっ・・・ああ、イッちゃう・・・」

 断続的に与えられる快楽に悶えながら比売子が言う。

「大丈夫よ、姉さん。イカないように調整してるから・・・」

 咲耶はそういいながら比売子を愛撫する。事実、比売子は昂っているもののどうしても頂上へとたどり着けない。

 口を胸から離し、比売子の肌へと下を這わせる。咲耶の肌理細やかな舌がなめくじのように比売子の肌を這う。

「ああ・・・・やぁ・・・・」

 絶頂を迎えられないからか、比売子の声が切なさを帯びてくる。

 比売子の手が自分を慰めようと動く。

「駄目よ、姉さん」

 咲耶は完全に比売子に覆いかぶさると右手で比売子の両手首を押さえ、両足で比売子の両足をからめて押さえ、秘裂同士を合わせ、左手で比売子の胸を、舌で比売子の肌をいじる。

「勝手にイカせないんだから・・・」

 身動きを封じられた比売子はいやいやと頭を振った。

「咲耶ちゃん・・・イカせて、イカせてぇ・・・・」

 主導権は完全に咲耶のもので比売子は口を開いて喘いでいる。

 そこへ咲耶の唇が襲いかかる。そして、咲耶は舌を伸ばし比売子の歯茎や舌をなめる。

「ふぅん、はぅ・・・ん」

 鼻が詰まってきているのかひどく呼吸しにくそうに比売子は呼吸する。

 咲耶は一通り比売子の口を犯すと口を離す。つ、と唾液が二人の口をつないでいた。

「咲耶ちゃん・・・イカせて・・・・イカせてください・・・・」

 比売子は涙を垂れ流し、息を荒げて懇願する。そこには妹との再会に喜んでいた姉の姿は無かった。

 その比売子の痴態に満足したのか、咲耶は引いて男に任せる。

 男のモノはまだ足りないという風に力強く自己主張していた。

 男は息を荒げている比売子を起こして仰向けにする。そして、膝の裏を自分で持たせてその足を開かせて命令する。

「いいか、俺がいいと言うまでこの姿勢を維持していろ。咲耶、お前の中に入れてやる。来い」

「はいっ」

 咲耶は嬉しそうに男の元へと行く。

「お前はここだ」

 男は咲耶の顔が比売子の秘裂の目の前に来るように四つん這いにして、咲耶の中へとつっこんだ。

「ああっ!!」

 咲耶は悦びに打ち震えた。

「咲耶っ、お前は比売子を気持ちよくさせるんだ!!」

「は、はいっ!!」

 咲耶は男に貫かれたまま、比売子の秘裂に舌を伸ばした。比売子の秘裂からは大量の汁が出て咲耶の顔にかかっていく。

 咲耶も比売子もそれぞれ与えられる快楽に余裕が無く、切迫しながら堪えていた。

「んんっ!!んぁ、うぅん!!!」

 その口を使い、比売子の性感帯をいたぶっているのでくぐもった声であえぐ咲耶。

「はぁん!・・・ああ、あぅ!うんっ!!」

 咲耶に性感帯を弄くられ、激しい快楽に身を投じながらも自ら慰めるのを禁じられた比売子。

 二人とも通常味わうことの出来ないような快感に飲み込まれていく。

「咲耶っ!比売子っ!二人とも俺がイクまで絶対にイケないっ!!だけど、俺がイク時に一緒にイッてしまうっ!!」

 そして男はさらに暗示を重ねて、右手で胸を、左手でクリトリスをそれぞれいじり、口で背中やうなじ、耳などを刺激する。

「んっ、うう、ふぅん・・・・」

 その刺激は咲耶の動きも増やし、咲耶は快楽を少しでも紛らわせようと比売子への刺激を増やしていく。

 結果、咲耶も比売子もどんどん上り詰めていく。しかし、男の暗示の効果でどうしてもイク事が出来ない。

「んん、ふむぅ!うんっ!!」

「あああっ、イカせてっ!!イカせてくださイッ!!!」

 シーツにはあちこちで水たまりが出来、咲耶、比売子の身体は快感が続きっぱなしなのでに痙攣しだしている。

 男もまた、そろそろ限界が近づいてきた。

「よし、出す、出すぞっ!!二人ともイクんだ!!」

 咲耶の中深くまで突き刺して、男は液を放った。

「あああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!!」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっ!!!!!」

 比売子は天井を仰いで、咲耶は比売子の秘裂に顔を押しつけてそれぞれイッた。

 そして、3人はそのまま折り重なって眠っていった。



「ん・・・・」

「おはよう・・・」

 男が気が付いたとき、咲耶だけ一人起きていた。

 咲耶は薄暗い中で軽蔑したような目で比売子を見ていた。

「すみませんが、抜いていただけないかしら。この状態じゃあ動けませんわ」

 咲耶を貫いたまま寝てしまったので咲耶の中に男のモノが刺さったままだった。

 男は咲耶の中から自分のモノを引き抜くとベッドへと座った。咲耶がその隣へと座る。そして、頭を男の肩にのせた。

 とても幸せそうな咲耶に男は最初から抱いていた疑問をぶつけた。

「なあ、咲耶。なんでそんなに比売子のことを嫌ってるんだ?」

 その問いに咲耶はうつむき加減にぽつぽつと答え始めた。

「私の母の家系は由緒正しい家系だったんですって・・・母もとても綺麗な人で・・・父も結婚するまでは真面目な働き者だったそうです。でも、父は結婚してからと言うもの働かなくなってお酒ばっかり・・・・博打をやらなかっただけましでしたものの、いつも酔っては母に暴力を振るっていました。母の家では妻は堪え忍ぶものだという教育をされてきたんでしょう。母は甘んじて暴力を受け続けました。私も姉もその様な母の姿を見て育ちました・・・ですが、ある日父の暴力が姉に向いたのです」

 そこまで言うと、咲耶は一度上を見上げた。そして再び下を向くとまた語りだした。

「母は妻としては父の暴力に堪えておりましたが、母としては父の暴力に耐えきれませんでした。結果、両親は離婚。裁判の結果、姉は母に、私は父に引き取られたのです。私は父によく殴られておりました。しかも、顔ではなくお腹や背中など服に隠れるところを重点的に・・・それでも、私は堪えました。母の教えもありましたし、そのころは姉と両親には内緒であっておりましたから・・・姉は病弱だった私の心配をよくしてくれました」

 体育座りで座っている咲耶は知らず腕に力がこもった。

「父が私の顔ではなく、お腹や背中を殴っていたのは父も世間体を気にしているからだと、私は思っておりました。ですが、それがちがうと知ったのは私が14になった夏です。その日も父はいつものように酔って帰宅しました。私が玄関まで迎えに出るといつものように殴ってきます。それに堪え、何とか寝室まで連れていった時・・・・」

 咲耶は震える身体を必死に押さえているようだ。男が肩に腕を回すと安心したのかまた語りだした。

「何とか寝室まで連れていった時、いきなり父は私に襲いかかってきました。服を剥ぎ、私の身体を押さえつけて、犯してきたのです。もちろん、私も抵抗いたしましたが、私は筋力未発達な子供、しかも一般に男より筋力の弱い女でしたので私の抵抗など何の役にも立たなかったのです。父の行為は自分の欲求を吐き出すタメだけのものでしたので、私の痛みなど気にもかけてくれません。私もとても痛いので必死に抵抗いたしました」

「その時父に恨むなら姉を恨めといわれました。父曰く『恨むならお前のより美しく生まれてこなかった比売子を恨め、比売子がお前より美しかったら俺は比売子を引き取った』だそうです。結局・・・・その言葉が呪いになってしまったのでしょうね」

「話を戻します。私は父に襲われて、何とか逃げようと暴れておりました。そして、その時手に触れたものをつかみ父を殴り倒しました。ですが、倒れた父は何の反応も見せません。電気をつけて父を殴ったものを見てみるとそれは金槌でした。父の方を見ると血も何も出ていないのにお腹が動いていません。鼻や口に手をかざして見たのですが、父は呼吸をしていませんでした。今から考えれば正当防衛と事故だったかも知れません。でも、当時の私にはそこまで考える余裕がありませんでしたので、このままだと警察がやってきて自分を捕まえるんじゃないかという強迫観念に襲われていたのです。これも呪いになってしまったと思います」

「そして、私は父の死体をしばらくそのまま放置して暮らしていました。姉と会わなくなったのもこの時期からです。姉と会ったら姉が警察へと連絡するんじゃないのかと思ってましたから・・・怪しまれないために学校にもちゃんと行ってました。やがて父の身体が腐ってきて、悪臭が部屋の中に充満するようになっても、私はそこで生活いたしました。臭いを外に出して父の死体に気付かれるのは困りますので窓も開けず、ただその中で暮らしていたのです。そのうち、何故自分はこんな惨めな暮らしをしているのか、いや、しなければならないのかという自問自答を繰り返すようになっていったのです」

「家にいるときは常に自問自答を繰り返しておりました。『何故、自分はこのような惨めな生活をしなければならないのか・・・・腐った死体の臭いが漂う部屋に住んで、昼は学校、夜はバイトで火も水も電気も使えないような生活をしなければならないのか?』そもそもなんで自分は父に襲われなければならなかったのか?どうして自分が父に引き取られたのか?色々と考えて暮らしていました。そして、呪いとなった父の言葉通り姉を恨むようになりました」

『私が今、こんな生活をしている時でも姉は母の実家で何不自由ない生活をしているのだろう・・・』

『姉が私より美しかったら私は父に犯されなくてすんだのに・・・』

『そもそも、姉が私より美しかったら私は母に引き取られていたはずだ』

『もし、姉が生まれてこなかったら私はこんな事にはならなかった!!』

『憎い、姉が憎い、私がこんな惨めな生活をしてるのは全て姉のせいだ!!姉さえ生まれてこなければよかったのだ!!』

 そう語る咲耶の目はいつもの目ではなく、どこか遠くを見ている目だった。

 男は咲耶の目に見覚えがあった。そう、咲耶と出会う以前の人。男が憧れ、壊した人。

 その人がある時を境にしていた目と咲耶の目はそっくりだった。

「そうやって暮らしていたのですが、高校であなたと出会って初めて自分が救われたと思いました。この人は私を守ってくれる・・・と。そうして、私は腐った父の死体をなんとか処分することにしました。深夜、大きな袋に父の死体を入れ、それを山や公園のところどころに穴を掘って埋めました」

 咲耶はそこまで言うと男の方を見てフッと笑った。顔は男の出した液やら比売子の出した液やらで汚れていたが、その笑顔は今までの妖艶な笑顔ではなく、とても儚い、今にも散ってしまいそうな笑顔だった。

「ん、おはようございます」

 ようやく起きた比売子がさっきの体勢のまま声を出す。命令通りに男がいいと言うまでその体勢を維持しようとしているのだ。

 その比売子に向かって咲耶が言った。

「あなた・・・・誰?」

 咲耶の一切から比売子の事が消えており、この数分後、木花 咲耶は短い生涯を終えた。

 死因は心臓麻痺で比売子の証言によると咲耶は小さな頃から心臓が弱かったという。

 


 

 

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