音楽室の嬌声


 

 




 それは昼の事だった。
 その日はちょうど、テストの最終日でいつもなら午後に続く授業も今日はもうない。
 音楽やテレビの話題。放課後の予定。部活の内容。テストの結果等、生徒達の喧噪の広がる。
 そんな廊下を天音 霞は空になった弁当箱を片手に教室への道のりを歩いていた。
 廊下に溢れる生徒達は思い思いの話題を喋っており、その後ろや横を歩くほかの生徒達には気にもしない。
 そんな中を歩く霞。
 その前に一人の男子生徒が歩いてきた。その男子生徒は霞を見ると薄く笑い、携帯でも取り出すように自転車の鍵を取り出した。
 その鍵に霞の注意が引きつけられていく。
 男子生徒は、廊下の中央で立ちつくしたままの霞に向けて鍵を差すようにすると、くいっとその鍵をひねった。

 びくんと霞の体が小さく跳ねて、霞の目が見開かれる。

「ついてこい」

 小さく言って、進み出す男子生徒の後をふらふらと夢遊病者のように霞はついて行く。
 しかし、そんな霞の姿を目にとめる者はいなかった。



 男子生徒は廊下を進み、やがて、突き当たりへと辿り着く。数歩遅れてふらふらとしながら霞もたどり着いた。
 二人の目の前には教室の引き戸や、そのあたりの部屋の軽いドアとは違うしっかりとしたドアがあった。
 ポケットから、さっきの自転車の鍵とは違う、音楽室とかかれた棒が括りつけてある鍵を取り出して、鍵穴に差し込む。
 がちゃりと鍵を開けて、男子生徒と霞はその部屋へと入っていった。
 男子生徒は霞を部屋の中へと入れるとドアを閉めて鍵をかける。
 男子生徒は霞の正面に立つ。その顔は表情というものが抜け落ちており、すぐにも崩れ落ちそうなほど頼りない感じで立ちつくしている。
 そんな霞に男子生徒は声をかける。

「聞こえますか?」
「は・・い・・・」

 ゆらゆらと頼りなげに立ち、とぎれとぎれの言葉で霞は答える。

「ここはどこですか?」
「私の・・・な・・・か・・・わたし・・・の・・・底・・・・」

 弱々しく開かれた瞼はすぐにも閉じそうで、その瞳には力も意志も見られない。

「そこには誰がいますか?」
「誰も・・・いません・・・・私・・・・だけ・・・・」

 霞の手から空になった弁当箱が滑り落ちて、ガシャンと言う音が小さく響く。その音にも反応をせず、霞はそのまま立ちつくしていた。

「そう、そこは霞の底。霞の中だから、霞以外には誰もいない。霞以外誰もいないのだから、聞こえてくる声はすべて霞の心。自分の心に従っていれば霞は気持ちよくなれるんだ」
「気持ちよく・・・・」
「そう、気持ちよくなれるんだ」

 男子生徒は薄く開いた霞の唇に自らの唇を重ねる。そして、舌を差し入れると、何の反応も見せない霞の口内を舐りはじめた。
 にちゃにちゃと音を鳴らし、舌同士を絡め合わせる。口蓋を舐め上げ、その堅い感触を楽しむ。
 右手を霞の背中に回して霞を引き寄せ、空いている左手は霞の右胸を揉み上げた。

「ふ・・・ぅ・・・」

 塞がれた口に代わり、霞の鼻から空気が漏れる。
 年相応の胸が力を込めた手に心地いい弾力を返してくる。
 男子生徒はその弾力を愉しみ、口内の感触を愉しむ。
 するりと男子生徒は霞の後ろへと回り、右胸を揉んでいた左手を左胸に、霞を引き寄せていた右手を霞の秘所に、そして、口を塞いでいた口を首筋へと寄せ、うなじをぺろりと舐め上げる。
 その感触にびくんと霞は体を震わせる。男子生徒は霞のショーツに湿り気を感じた。
 男子生徒は霞の前に回り、2歩ほど離れた地点へと下がる。

「スカートをあげて」
「スカート・・・あげ・・・る」

 虚ろな瞳で虚空をみたまま、霞はそっとスカートの裾を摘む。そして、そろそろとスカートをまくり上げた。
 露わになる白いショーツ。その一部を染める染みに男子生徒はにやりと笑みを深くした。
 男子生徒はもう二歩下がり、グランドピアノの蓋を開ける。
 ピン、ポンと幾度か鍵盤を鳴らす。

「いいかい。これから霞の感度はこのピアノの音と連動するんだ。音が高ければ高いほど霞の体は感じやすくなり、逆に低ければ低いほど霞の体は感じなくなるんだ」

 そういって、男子生徒は一番左の鍵盤と一番右の鍵盤を叩いた。
 一番左を叩いた時は何ともなかったが一番右の鍵盤を叩いた時、霞の体はびくんと跳ねた。
 ぶるぶると小刻みに震え、何かに耐えているようだったが、露わになっているショーツの染みがどんどん広がっていく。
 丘に出た魚のように口をぱくぱくと開閉させる。

「あ、あ、あ、あ、あ!!」

 ぶるぶると震えていた体がびくびくと大きく震え、霞の声が大きくなっていく。

「か、霞?」
「ああああああっ!!!」

 男子生徒が声をかけた瞬間、霞の声が一際大きくなった。
 一瞬、震えていた霞の体がぴたりと止まると、すぐに霞は崩れ落ちた。
 慌てて男子生徒が駆け寄り、霞に触れる。

「ああぁ!!」

 その瞬間に再び霞の体が震える。霞のショーツは染みどころかしとどに濡れていた。

「霞、霞?」
「ひぅっ、はぅっ、ああっ!!」

 パンパンと頬を叩く。そのたびに霞の体が跳ね上がり、びくびくと震える。びちょびちょに濡れたショーツから液体が滴り落ちる頃になり、男子生徒はようやく理由に気がついた。
 びくびくと震える霞をそっと、床に横たえるとピアノへと戻り、ど真ん中の鍵盤を叩いた。
 ポンと音が響き、霞の震えがぴたりと止まる。
 ハアハアと肩で息をしているものの、安らかに体を横たえている霞の姿を確認して、男子生徒はふうと息をついた。

「まさか、あそこまで感じるとは・・・・少し、気をつけないと」

 霞の呼吸が落ち着いてきたのを見て、霞の元へといく。

「霞。聞こえるか? 聞こえるなら返事をしろ」
「は・・・い・・・・きこ・・・え・・・ま・・・す」

 男子生徒の質問に弱々しくではあるが、しっかりと霞は答えた。

「よし、これから手を鳴らすと、霞はオナニーしたくてたまらなくなる。いつもやっているように存分にやるんだ」

 そう言って霞から離れると、パンと大きく手を打ち鳴らした。
 びくっと体が震える。先ほどの後遺症か、それとも気持ちだけが先行してしまっているのか、ふるふると震える左手をそっと胸へと持って行く。制服の上から自らの胸をしっかり掴み、円を描くようにくるくるとこね回す。そして右手はすでにびちょびちょになっているショーツの上から感じるところに指を滑らせていた。

「ふぅ・・・・んっ・・・」 

 吐息が漏れる。
 小さいが、小刻みに霞の体が震え、快感を感じていることを男子生徒に伝える。
 むにむにと自らの手の中で胸は形を変え、ショーツの上からでも分かるくらいに勃起した陰核を押しつぶしながらショーツごと秘裂に指をくわえ込ませる。
 静かながらもいつもすましている生徒会長の乱れる姿。そのギャップに男子生徒は満足そうだった。
 ポンと低めの音を出す。

「ぁ・・・・れ・・・・」

 突然の状況にとまどう霞。今まで感じていた快感が一気に引き、しかし、今まで快感に満たされていた霞はこれまでの、否、これまで以上の快感を求め出す。

「うぅぅぅ・・・」

 悔しいと思われる獣のような唸りを上げて、セーラー服を持ち上げて、中から出てきたブラウスのボタンを外し始める。しかし、震えた指ではボタンをうまく外すことができず、霞の焦りはどんどん上がっていく。
 一刻も早くさっきの快感に身を投じたい。自慰をして感じたい。その思いが霞の頭を占め、その焦りのためにうまくボタンを外すことができない。そして、うまく脱ぐことができないためにさらに焦りがたまっていく悪循環。その悪循環のために溜まっていく霞の焦りは許容量を超えようとしていた。

「さあ、もう一度手を鳴らす。するとさらに霞はオナニーをしたくてたまらなくなる。もっと快感が欲しくなるよ」

 そういうと、男子生徒はパンと手を打ち鳴らす。その音に霞はびくんと体をのけぞらせ、先ほどまで快楽に崩れていた貌は苦虫を噛み潰したような苦渋の貌に変わっていた。
 しかし、焦れば焦るほど、ボタンはうまくはずれず、さらに霞の焦りが溜まっていく。
 そして、もう一度男子生徒が手を打ち鳴らした時。

「うぅぅぅ・・・うあぁぁぁぁぁ!!!」

 霞の焦りが爆発した。
 いつまでたっても外すことのできないボタンに業を煮やし、力任せにブラウスを引きちぎった。
 ぶちぶちという糸の切れる音とその直後にカンという乾いた音。その音の先にころころとボタンが転がっていた。
 霞はブラジャーも力任せにたくし上げ、晒された素肌の胸を自らの手で握りつぶす。
 痣のつきそうな勢いでぐにぐにと変形していく胸。そして、更に快感を得ようとショーツの中に片方の手を差し入れる。
 その瞬間を見極めて、男子生徒はちょっと高い音を出した。

「あああああああああっ!!!」

 ビクンビクンと霞の体が跳ねる。
 首でブリッジをするように背を反らして、霞は固まる。
 その一瞬後に霞の体が床に崩れ落ちた。その瞳からは涙が、その口からは舌と涎が、そして未だショーツに守られたその卑劣からは液体が零れ、水たまりを作っていた。
 ハアハアと呼吸が乱れ、見るも無惨な格好と表情でその場に横たえる霞。そこにはいつも凛としていて皆の憧れになる生徒会長の姿はどこにもなかった。
 その姿をしばらく眺めていた男子生徒だが、やがて、それにも飽きたのか霞のそばへと歩いていく。そして、ぐったりとしている霞の耳元に口を寄せた。

「さ、体を起こして。立ち上がりましょう」

 その言葉にふらふらと立ち上がる霞。男子生徒はそんな霞を支えていた。
 そっと離れて、霞を見る。顔は涙や涎でぐしゃぐしゃになり、無惨にも破れ去ったブラウスの中からは大きいとも小さいとも言えない胸がさらけ出されている。スカートにまで広がった染みはもはやショーツが水に飛び込んだ後のように濡れていることを如実に示している。
 そんなぼろぼろの姿の霞が表情なくただ立っていた。

「スカートを捲って」

 男子生徒の指示が飛ぶ。その声に疑うことなく霞はスカートを捲った。
 染みがついたスカートの下からは想像通り、びしょびしょに濡れているショーツが現れた。

「ほんのちょっとだけ足を広げて」

 言われたとおりに足を広げる霞。男子生徒はそんな霞のショーツをつまむと、そっと下へと脱がし始めた。
 つ、と粘性の高い液体がショーツと秘裂を繋げたまま伸びていく。光の加減によってきらりと光って見えたその液体の糸はショーツが膝を越えるくらいになってぷつんととぎれた。

「はい、片足ずつ上げて」

 言われるがまま片足を上げる霞から、男子生徒はショーツを抜き取る。
 汚い雑巾でも持つように端っこだけ抓み、ぶら下げていたショーツをどうしたものかと考えて、男子生徒は霞のスカートのポケットへとねじ込んだ。
 そして、再び霞の口を奪う。弱々しく開かれていた口は男子生徒にこじ開けられ、口腔を蹂躙される。
 すこしだけ、霞の口内を愉しみ、男子生徒は後ろへ回る。

「さあ、周りが見えるようになる。だけど、霞はこのままだ。このままで周りが見えるようになる。ここはどこだい?」

 そっと耳元で囁くと、そっと開いた霞の瞼から瞳があたりをきょろきょろと見回した。
 そして、霞は自らのいるこの部屋。普段から何かとお世話になっている、部活の主な活動場所を認識した。

「・・・音・・楽・室」
「そう、ここは音楽室だ。目の前にピアノがあるね」

 その言葉に目の前のピアノに注意が行く。

「あのピアノの鍵盤に向かって立つんだ」
「・・・はい」

 男子生徒の言葉に霞はふらふらと歩いていく。秘裂から垂れている液体の筋を床につけて。
 ふらふらとしながら霞は椅子をどけ、ピアノに向かって正対する。

「譜面台に手をつけて、こっちへ向かってお尻を出して」

 後ろから、男子生徒の声。その『自分の心の声』に従って、霞は譜面台に手をつき、男子生徒に向けてスカートに隠れたお尻を突き出した。
 突き出されたお尻からスカートを捲り、霞の素肌を露わにする。そして、ズポンと下着をおろし、自らの肉棒を取り出した。その肉棒はぎんぎんに立ち上がり、すでに臨戦態勢は整っていた。

「いいか? お前はいまから痛みを全く感じなくなる。どんな激痛でもお前は全く感じないんだ。快感も、触れている感覚も分かるが痛みだけは決して感じないんだ。わかったな」
「は・・・い・・」

 返事を聞いてから、男子生徒は霞の中へと進んでいった。めりめりと押し開く感覚。びちょびちょに濡れていても、きつい締め付けが男子生徒を襲った。

「ひぅっ! あ、あ、あ、ああ・・・・」

 霞の口から声が漏れる。男子生徒は腰をしっかり持ってその先へと押し進めた。
 その穴を無理矢理押し開いていく。そして男子生徒は自らの先が何かに引っかかるのを感じた。先ほどの締め付けとは違う、垂直にあるような何か。それが処女膜だと気がつくのに数秒かかった。
 その膜をつんつんとつつく。そこからでも快感を感じられるのか、霞はぴくぴくと身じろぎさせる。
 男子生徒は意を決して、力強くその膜を突き破った。かさぶたをはがすときのような感覚。ぺりぺりと肉に引っ付いていたい皮を無理矢理引きちぎり、男子生徒は霞の奥まで潜っていった。

「あぅぅっ!!」

 今度こそ膣の奥まで辿り着く。その奥をこんこんと先でつつく。
 
「ひぅっ! はあっ! あううっ!!」

 その度に霞は大きく声を上げ髪を振り乱す。
 そんな霞に覆い被さるように男子生徒は体を曲げ、霞の胸を優しく握る。ふにふにと揉み上げられ、ぐにぐにと形を変える霞の乳房。その感触を愉しむように男子生徒は手を動かす。
 忘れずに腰を動かし、霞を何度も突く。

「霞は何度でもいける。どれだけいっても霞は気を失うことがない」
「あああああああっ!!!」

 ズンと大きく突き上げた瞬間、絶叫とともに霞の体の筋肉が硬直した。
 一瞬後に体を弛緩させ、崩れる霞。しかし、譜面台から手を離せずに体だけ鍵盤に向かって倒れた。
 男子生徒は霞の状態を気にもせず、ズンズンと犯し続ける。一突きされるごとに霞の体がぐんと反り、そして崩れていく。

「ひゃぅぅっ! ぁあっ! うああ!」

 ズン。

「ああっ!」

 ズン。

「ぅああっ!!」

 ズン。

「ああああっ!!!」

 時にソロパートを任せられるほどの霞のよく通る高い声が音楽室中に響き、反響して男子生徒の耳へと届く。男子生徒はその声にまるで自らが霞という楽器の演奏者であるような錯覚を覚えた。
 グリグリと奥を攻め、くりくりと乳首や陰核を摘む。

「ふあああっ、はあぁっ!!!!」

 びくびくと霞の体が震える。いきそうになったその瞬間、男子生徒は右手で一番高い鍵盤を叩いた。
 それと同時に霞の奥まで突き上げた。

「ああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!」

 今までで一番高い声を上げて霞は絶頂へと達する。
 膣内の感触、乳房や陰核の感覚、自らの肌に触れる服の感触、髪の感触、空気の流れまでもが霞の感度を刺激し、霞を絶頂へと延々押し上げる。

「ああああっ、あああああっ、ひぅぅぅぅぅっ!!」

 落ちることのない感覚。その感覚に霞は息を吐くことしかできず、やがて、チアノーゼの症状を帯びて、その苦痛をも快感へと変換させている。
 瞳からはさらなる涙。口は空気を流入させようと開き、舌もつきだしているが、涎とともに空気は出て行くばかり、鼻からも鼻水が出ていて、空気を取り入れることができない。
 下の秘裂はだらだらと液を垂らし、さらなる快感を欲している。

「うぁぁぁぁぁっ!! ひぁああぁぁっ!! ああああああっ!!」

 ズンと突くたびに声が上がり、そしてそのたびにきつく絡みつく霞の襞。それが男子生徒のものを包み込むように絡みつき、男子生徒を射精へと導く。
 その刺激に男子生徒もそう耐えられそうではなかった。
 ズンズンと二回突き、最後に大きく腰を下げる。
 最後は深く深く突き込み、左手で陰核をつぶし、右手で再び一番高い鍵盤を叩く。

 ピンッ!!
「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」

 鍵盤を叩く音と霞の絶叫。そして、男子生徒が射精したのは同時だった。
 霞は大きく背中を反らせ、男子生徒は霞の中へとその真っ白い液を送り込む。
 自分の中へ何かが流し込まれる感覚に霞はさらなる絶頂を迎えた。

 全て出し尽くしたところで、男子生徒は低い鍵盤を叩く。
 その音に絶頂地獄から解放された霞は力無く鍵盤に突っ伏しかけた。そこを男子生徒が支える。そっと肉棒を抜くと、除けてあった椅子を持ってきて、霞をそれに座らせる。
 短距離走もしくは25メートルを息継ぎなしで泳ぎ切った後のような全力で空気を取り込む作業、ハアハアどころではなくゼエゼエと荒い呼吸をして霞は酸素を体内へと取り込んでいた。
 力無く開かれた足の間からは処女の証である血と中出しの証である白いものが混じり合ったピンク色の液体がとろとろと流れ出ていた。

「さあ、だんだん落ち着いてくる。酸素が全身へと行き渡り、呼吸も元へと戻っていく」

 男子生徒の言葉に霞の呼吸、霞の表情が元の安らかなものへと戻っていく。
 完全に落ち着いたのを確認して、男子生徒は霞の顔を持ち上げる。
 正対する霞と男子生徒。霞はそのことを認識できているのかぼうっとした表情のままだった。

「聞こえるか? 霞」
「・・・はぃ・・・」

 少しかすれた霞の声。その声、その返事にうなずき、男子生徒は続ける。

「たった今、霞は霞の目の前にいる男の子とセックスをして中出しされてしまいました。どうなる?」

 その問いに、霞は困ったような、どうしようかという表情になる。しかし、それでいて顔はほのかに赤く染まっていた。

「ぁかちゃんが・・・・できちゃぅ・・・」
「それはちがう」

 霞の答えに男子生徒は振る振ると首を振る。
 そして、霞をしっかりと見てこう言った。

「いいか。霞は中に出されるとその人に永遠の服従と愛を誓ってしまうんだ。だから、霞は目の前の男の子に永遠の服従と愛を誓う。そうだろう?」

 ねじ曲がった男子生徒の言葉。
 だが、霞にとって、その言葉は男子生徒の言葉ではなく、『自分の心の声』だった。

「えぃぇんの・・・あぃを・・・・誓ぅ・・・・・」

 男子生徒を見つめる霞の目がうるうると潤んでいく。そして、頬を赤く染め、愛しそうに目の前の男子生徒を見つめる。

「霞。目の前にいる男の子は、誰?」
「わたしの・・・・だぃすきな・・・・とても・・・・たぃせつな・・・・ひ・・と」

 男子生徒はその答えに満足げにうなずく。

「そう、目の前の男の子は霞のとても大切な人だ。だから、普段から彼に迷惑をかけてはいけない。霞はいつも彼のためになることを考えながら、周りに関係が知られないように彼の言葉を待っているんだ。自分から彼に向かっていってはいけない」
「わたしは・・・・彼のためになることだけをかんがぇて・・・・待っている」
「そう、彼のために動くことが霞の喜びなんだ。それを忘れてはいけない」
「かれのため・・・・わたしのよろこび・・・・」
「さ、これから霞の鍵を閉じるけど、今言ったことを霞は忘れない。霞は目の前の男の子に永遠の服従と愛を誓い、彼のために動くんだ」
「はぃ・・・・かれにふくじゅぅ・・・あぃ・・・・ぅごく」

 霞の言葉を聞いて、男子生徒は自転車の鍵を取り出す。
 霞に向かって差し込むようにつきだし、そして、くいっとひねった。
 その瞬間、霞の体はびくんと跳ね、その表情が戻っていった。

「ぁ・・・・」

 霞はぽぅっとした表情で男子生徒を見つめ、そして、自分の格好や状況に気がついて貌を真っ赤にした。

「ここを片づけろ。誰にも知られないようにな」
「は、はいっ!!」

 男子生徒は霞にそう言いつけて、自分は音楽室を出る。
 そして、すぐにあることに気がついて、音楽室へと戻った。

「霞。これも戻しておけよ。硯さん経由でも大丈夫」

 そういって、男子生徒は音楽室の鍵を投げ、今度こそ廊下へと消えていった。




 次の日。

 運動部の朝練の声だけが響く中、霞は昇降口へと向かって、一人歩いていた。
 タッタッタッタという軽快な足音が霞に近づき、すぱぁんと乾いたいい音を出して、霞を叩いた。
 響き渡る痛みにしかめっ面を浮かべ、叩いた相手を見据えた。

「った〜〜。何するのよ晶」
「別に〜。ただ、生徒会長様ともあろうものがあまりにも無防備だったから」

 にやにやと見つめ、暗に「なにかいいことでもあった?」と問いかける親友。
 その姿にぷいと顔を背けた。

「別に」
「バレバレだってーの。明らかに浮かれてるじゃん霞」
「何でもないわよ」
「うそつくなー。教えれよー」

 霞と晶はそんな言葉を交わしながら校舎へと消えていった。


 
 
< 了 >


 

 

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