いつかみた、あの夏へ

原作:Panyan


 

 

第06話:奴隷宣言


−1−



「はっ、はっ、はっ、はっ」

 テンポよく呼吸をする。
 滲む汗、多くなる呼吸、速くなる鼓動を感じ、それでも夕菜は走っていく。

(統一郎さん、統一郎さん、統一郎さん)

 一刻も早く統一郎に会いたい。
 それが統一郎からの呼び出しを受けた夕菜の心を占めていた。
 くねくねと折れ曲がった路地を走り、最後の角を曲がる。そして辿り着いたそこは唯名の喫茶店だった。
 バンと勢いよく扉を開く。
 その店の店主はコップを拭きながら、胸に手を当て、ぜえぜえと呼吸を整える突然の来客ににこりと笑った。

「あら、いらっしゃい夕菜さん」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・唯名さん・・・・こん、にちわ・・・」

 そう言って、夕菜は何とか呼吸を整えると改めて唯名を見た。

「はぁ・・・・唯名さん・・・統一郎さんは?」

 先程かかってきた電話。統一郎は夕菜に唯さんの喫茶店にいるから来て欲しいと言っていた。
 しかし、どう見ても今この場には夕菜と唯名しかいない。その疑問は当然だった。
 そんな夕菜の質問に唯名はくすりと笑い、コップを置く。そして、カウンターから出ると、ドアの鍵をかけてかかっている札を営業中から準備中へと変えた。

「あ、の・・・唯名さん?」

 その行動の意味が分からない夕菜。そんな夕菜の手を取って、唯名は奥へ続くドアへと導いていく。

「さ、ご主人様はこっちよ。夕菜さん」
「ご主人様・・・・?」

 唯なの言葉に疑問を覚える夕菜。そんな夕菜をフフッと笑い、唯名は夕菜を連れて行く。
 続いていく廊下。その先の階段を下りて、辿り着いたドアを開く。
 その瞬間、むわっとその中に溜まっていた淫靡な空気が溢れ出し、拡散する。

「さあ、夕菜さん」
「は・・・はい・・・・」

 その空気に戸惑いながらも夕菜は唯名に導かれるままにその部屋へと入っていく。
 そして、中に広がる光景に絶句した。

 ぴちゃぴちゃぴちゃ。
 水っぽい音が響く。
 一人は口で奉仕し、一人は指で与えられる快感に体を震わせる。
 一人は頬を赤く染めて体を擦りつけ、残る二人は互いに慰め合う。
 そんな五人の女性達の中に裸の統一郎が居た。

「とう・・・・・いちろう・・・・さん・・・・」
「ああ、夕菜か。よく来た」

 今までとは違う統一郎の態度。そして目の前に広がる淫靡な光景に夕菜の声が震える。

「なに・・・・・これ・・・・・・」
「なにって、見ての通り。ハーレムさ」
「ふふっ、ご主人様のハーレムへようこそ、夕菜さん」

 そう言って、いつの間にか服を脱いだ唯名が夕菜へとしなだれかかった。

「ゆ、唯名さん!?」

 素っ裸の唯名の姿に夕菜は素っ頓狂な声を上げる。そんな夕菜の反応に唯名はくすりと笑った。

「私は唯名じゃなくて藍。ご主人様の奴隷なの」
「な、なに言ってるんですか・・・・唯名さん」

 突然の状況に理解がついて来れない夕菜に唯名―――藍はくすくすっと笑った。

「だから、私は唯名じゃなくて藍なのよ。夕菜さん」

 そして、夕菜から離れた藍は踊るようにくるくると回ると、少し離れたところでお辞儀をするように腰を曲げ、上目遣いに夕菜を見上げた。

「ここはご主人様の世界。この中では私達はご主人様の奴隷に戻る。そう、ここは私達の楽園なのよ」

 そこまで言って、一度言葉を切った藍は再び夕菜へと擦り寄り、その耳へと言葉を囁く。

「あなたもそのために来たんでしょう? 夕菜さん」
「な゛ーーっ!?」

 その言葉に夕菜は目を見開き、体を硬くする。そんな反応もお構いなしに藍は夕菜の視線を固定して、言葉を重ねていく。

「ほら、ご覧なさい。あの子をとても気持ちよさそうでしょ」

 そう言って、藍の指さした先には統一郎に秘裂を弄られている女性の姿があった。統一郎の指の動きに翻弄され、体を震わせながら嬌声を上げている。
 その顔はくしゃくしゃに潰れながらも何処か気持ちよさそうだった。

「あ、あ、あああああああっ!!」

 ピンと統一郎がクリトリスを弾いた瞬間、その女性は体を硬直させる。そして、その一瞬後に脱力し、崩れ落ちた。
 誰が見ても絶頂へと達した事が分かる。そんな女性の痴態に夕菜は思わずゴクンと唾を飲み込んだ。

「ほら、とても気持ちよさそうでしょ? 思い出して、夕菜さんもあんな風に気持ちよくなったでしょう」

 夕菜の耳元で囁かれる藍の言葉。その言葉に数日前の出来事が夕菜の頭で再生された。
 逞しい統一郎の体。大きかった統一郎の肉棒。それをくわえ込んだ自身の快感が頭の中で乱舞する。
 きゅうっと秘裂が収縮する。ぴくっぴくっと体が震え、吐息に熱いものが混じり始めた。

「ほら、思い出して。ご主人様、統一郎様のおちんちんの感触を」

 くすっと小さく笑い藍は夕菜に囁き続ける。思い出すだけではなく感覚まで再生されたのか、夕菜の体がビクビクと震え出した。
 そんな夕菜の反応を見ながら、統一郎は肉棒を舐めていた女性を自らの上に跨らせる。

「ほら、とても気持ちいいでしょう? 洋介さんのよりもずっといい」
「ぅ・・・・・・」

 自分の中で暴れ回る快感に呻く夕菜は藍の口から出た洋介という言葉に気づかない。

「ほら、よく見て。とても気持ちよさそうによがってる。あなたもあんな風に感じてみたくない?」

 統一郎の上で気持ちよさそうに腰を振る女性。その女性を指して、藍は夕菜へと囁いていく。
 何度も何度も嬌声を上げながら取り憑かれたように腰を振る女性。その体の動き、その表情、そして、女性と統一郎の繋がっているその場所を無意識のうちに見つめ、夕菜はゴクンと唾を飲み込んだ。

「ほら、よく思い出して。この間、統一郎様としたセックスを」

 もはや足に力が入らないのか、夕菜はぺたんとその場に座り込む。そして、震える体を丸めながら、それでも統一郎を見ていた。

「ん・・・・・」

 きゅっと夕菜の瞼が閉じられる。ピクピクッと震える体。夕菜は自分の秘裂からとろりと熱い液体がショーツに染み出すのを感じていた。

「とても気持ちよかったでしょう? 統一郎様のおちんちん。もう忘れられないくらいに気持ちよかったでしょう?」
「は・・・ぁ・・・・・・・いっ」

 藍は夕菜に覆い被さるように抱きつき、その胸や髪を撫でていく。ハァハァと呼吸を乱しながら藍の質問に答える夕菜は、数日前の記憶、そして藍から与えられる快感に体を震わせていた。
 そんな夕菜をくすりと笑い、藍はペロリと首筋を舐め、軽く耳を噛んで言葉を続けた。

「統一郎様の奴隷になればもっともっと気持ちよくなれる。最高の気持ちでイカせてもらえるわ」
「・・・・・気持ちよく・・・・・最高・・・・・・」

 夕菜はまるで催眠術にでもかかっているようにオウム返しに呟く。
 藍は夕菜への愛撫をピタリと止めて宣告した。

「でも、あなたが奴隷にならずにここを出ていけばそれでおしまい。あなたはあれだけの快楽を知りながら、決してそれを得る事は出来ない。あなたの性欲は満たされる事はない。だって、あの快楽を与えられるのは統一郎様だけだから」
「あ・・・・・ぁ・ぁ・・・・・・」

 もぞりもぞりと夕菜は動く。藍から送られてくる快楽が止まった今、夕菜は自分で快感を得ようとしていた。

「ああああああああああっ!!」

 もぞりと動き、快感を得ようとしていた体がピタリと止まる。目の前で発生した絶叫の主を夕菜は見ていた。
 絶叫の主、統一郎に跨っていた女性はびくびくと体を震わせ、ぷつんと糸の切れた人形の様に崩れ落ちる。
 汗、涙、涎と様々な体液が溢れ出し、見開いたままの瞳はぐるんと回って白目を剥いている。そして、いつまでもびくびくと震える体と顔に張り付いた表情が女性の感じた快感の大きさを物語っていた。

「あ・・・・・・・・ぁ・・・・・・ぁ・・・・・・」

 ゴクン。と唾を飲み込む。
 目の前の女性の絶頂。あまりにも激しいイキッぷりを目に焼き付けた夕菜は自慰の感覚だけでは満足出来なかった。

(すごい・・・・・・私も・・・・・・気持ちよく・・・・・・イキたい・・・・)

 ビクッビクッと体が震える。しかし、今の夕菜には全く足らない。

(だめ・・・・・足らない・・・・・・・きもちよく・・・・・してぇ)

 ゆらゆらと瞳が揺れる。丸まっていた上半身が更に前のめりになり崩れ落ちる。びくびくと体を震わせながら、夕菜は必死に顔を上げて統一郎を見つめていた。

「ぁ・・・・・・ぁぁ・・・・・・ぁぁぁ・・・・・・」

 口から漏れる呻き声。そんな夕菜をくすりと笑い、藍は統一郎へと近づいていった。
 そして、統一郎の上に崩れ落ちた女性をどかすと、ペロリと統一郎の肉棒を舐める。
 一舐め一舐めする毎に藍の顔がとろけ、その秘裂から愛液が零れるのが見て取れる。時折、ぴくっと体が震えるのが夕菜には羨ましかった。

(私も・・・・・・あんな風に・・・・・)

 夕菜は体を動かすが、全く足らない。気持ちいいし、後少しでイッてしまいそうだったが、それでも全然満足なんて出来そうになかった。

(イキたい・・・・イカせて欲しい・・・・・私も・・・・統一郎さんに・・・・・・)

「気持ちよく・・・・してぇ・・・・・イカせて・・・・イカせてくださいぃ・・・・・」

 ビクビクと体を震わせながら夕菜は言う。その言葉にその場にいる者の視線が集中した。
 そして、ふふっと笑い、藍は再び夕菜へと近づいていく。
 そっとしゃがみこみ、夕菜の頬を撫で上げた。

「夕菜さん。先程も言った通り、ここは私達の楽園。ここにいて、統一郎様にしていただくには奴隷にならないといけないのよ」
「なりますっ! 私、奴隷になりますっ!! この快楽のない生活なんて考えられない! 統一郎さんのいない人生なんて私耐えられない! 奴隷になります! だからっ、だから、私をイカせてくださいぃ・・・・・」

 藍の問いにノータイムで答える夕菜。そんな夕菜に藍はくすりと笑った。

「藍」

 藍の後ろからかかってくる声。その声に藍ははいと笑顔で答えた。

「さ、夕菜さん。私と楽しみましょう?」

 そういって藍は再び夕菜へと体を擦り寄せていく。
 ペロリと夕菜の耳を舐め上げ、ぷちんぷちんと夕菜の服のボタンを外していく。
 一枚、また一枚と手際よく夕菜の服を脱がし、その度に夕菜へと快楽を与えていく。

「あっ・・・・・はぁっ・・・・・」

 ビクッビクッと夕菜の体が震える。
 そんな夕菜の反応を見ながら、藍はつつっと指を動かす。
 夕菜の腰を上げさせ、スカートを足から抜き取る。

「あ・・・・いっ・・・・・・」

 上下下着だけとなった夕菜の胸を包み込むように揉んでいく。
 ふにふにと藍の手の中で形を変える胸にふるふると夕菜は弱々しく首を振った。

「どうしたの? 怖い?」

 藍は優しげに言葉をかける。
 夕菜はその問いに首を振り、ぽつり、ぽつりと答えた。

「あ・・・・の・・・・私・・・・・・胸・・・・・小さいから・・・・・」

 その答えに藍は目を丸くする。そして、その一瞬後くすくすと笑い出した。
 プチンと藍は夕菜のブラジャーのホックを外す。緩くなったブラジャーの下に手を差し込み、守る物のなくなった胸を直接触れた。

「あっ・・・・・・ちょっ・・・・・んんっ」

 ぴくっと夕菜の体が震える。
 そんな夕菜の反応にくすりと笑いながら、藍は囁く。

「ほら、夕菜さんとってもスタイル良いじゃない。胸だってそんなに小さくないし。もっと自分に自信を持って」

 いいながら、藍は指を動かしていく。その手の中で夕菜の胸がふにふにと形を変えていき、伝えられる快感に夕菜は更に体を震わせた。
 藍はペロリと夕菜の首筋を舐め上げる。

「ひゃいぁぁぁっ」

 甘い声を出す夕菜。その胸から脇腹、そして臍を通り、ショーツに守られた秘裂へと藍は手を滑らせていく。
 まずはショーツの上からくっと秘裂へと指を押し込む。

「あぅんんっ!!」

 びくっと夕菜の体が震え、力が抜ける。押し込まれた部分は既に湿っており、夕菜が藍に触られる前から濡らしていた事を示していた。

「あら、夕菜さん。もう濡らしているの? エッチなのね」

 軽く嬲るような藍の言葉に夕菜はふるふると首を振る。そんな夕菜の反応に藍はフフッと笑った。

「嘘。だって、こんなに濡らしているじゃない。ほら」

 そう言って藍は再びショーツの上から指を押し込む。そして、下から上へと秘裂をなぞるように指を動かした。

「んんんっ・・・ふっ・・・」

 内から溢れ出してくる快楽を閉じこめるように、そして自分を守るように夕菜は体を丸める。
 そんな夕菜の体を覆い被さるように抱きしめて、藍は夕菜のショーツの中へと手を差し入れた。

「はぁぁあぁっ」

 ビクビクと夕菜の体が震える。ハアハアと乱れた呼吸を漏らし、夕菜は藍の手の動きに踊らされていく。
 クチュッと水っぽい音がなる。藍はくすりと意地の悪い笑みを浮かべると、ショーツの中から手を抜きだして夕菜の目の前へと持ち上げた。
 その指には粘性の高い液体が絡みついており、部屋の照明を受けててらてらと輝いていた。

「ほら、夕菜さん。あなたの愛液。とっても濡れているじゃない」

 そう言って、藍は夕菜の唇に愛液の絡みついた指をあてる。夕菜はそっと口を開き、当てられた指を口の中に含んだ。

「ん・・・・んん・・・・」

 ペロリペロリと指を舐め、愛液を舐めとりながら唾液を絡みつかせていく。そんな夕菜の表情は茫然としていて熱にうかされているようだった。
 藍は指の一本一本、付け根から先まで綺麗に舐め上げられた手を夕菜の口から引き抜く。愛液の代わりに夕菜の唾液が指を濡らし、部屋の照明を反射させていた。

「ふふ、綺麗に舐めたわね。そんなに美味しかったかしら?」

 くすりと夕菜の後ろで藍が笑う。そして、夕菜のショーツに手をかけて、ずるりとショーツを下に下ろした。
 愛液の染みたショーツが秘裂との間に銀色の糸を繋ぐ。外気に晒された秘裂はひくっと蠢き、夕菜はそれを感じ取っていた。

「夕菜さんのあそこ、ひくひくしてる。ほら、分かるでしょう?」

 そう言って、藍はつつっと夕菜の秘裂の周りに指を這わせる。先程とは違い、藍の指は秘裂に差し込まれることなく、縁をなぞるように動いていた。
 つつと藍の指が触れているところから微妙な感覚が伝わる。その感覚に夕菜は体をもぞもぞと動かし、身を捩らせて悶える。

「あ・・・・あぅ・・・・・やぁ・・・・んんぅ・・・・」

 自分の気持ちいいところへと藍の指を持って行こうと体を動かしていく。
 しかし、藍はそんな夕菜の動きを見越し、夕菜の体の動きに合わせるように微妙に指を動かした。

「あ・・・え・・・・くぅ・・・・・どうしてぇ・・・・・」

 藍の指を気持ちいいところへと持って行こうとしているのに、それに合わせるように指も動いていく。結果、どうしても気持ちいいところへといかない指に夕菜は苛立つ。
 腋の下から出ている藍の腕のためにその置き所に困っていた自らの腕を胸に、そして秘裂へと持って行く。
 しかし、藍はその動きを見ると、すぐに夕菜の手を取り押さえる。

「駄目よ、夕菜さん。私達はご主人様の許可なしで勝手にイッてはいけないのよ」

 フフッと笑って、藍はペロリと夕菜の首筋を舐めた。

「だって、私達はご主人様の奴隷で物なんですから」

 そう言って、藍は夕菜を押し倒すと夕菜の両手を片手で押さえ込みながら、もう片方の手で再び秘裂の縁へと触っていく。。

「あっ・・・・・ぅ・・・・・んんん・・・・・」

 藍の手の動きに合わせて、夕菜の秘裂がひくひくと蠢く。何かを中に入れるようにくぱぁと開かれた秘裂からはトロトロと粘性の高い液体が零れていた。
 自分のそんなはしたない姿を見たくないのか、それとも藍から与えられる微妙な快楽が辛いのか、夕菜はぎゅっと目を閉じて首を振る。その耳に激しい嬌声が届いた。

「あああああああああっ!!!!」

 部屋中に響き渡る絶叫。その甘く艶やかな声は一度限りの物ではなく、断続的に続いていく。
 その声だけで気持ちよくイッているのが伝わってくる。ひくっと夕菜の秘裂が物欲しそうに動いた。

「あらあら、晶子ちゃん。気持ちよさそう。ほら、夕菜さんも見てご覧なさい」

 そんな藍の言葉と今も続く晶子の喘ぎ声に夕菜はそっと目を開く、その視線の先には統一郎の上に跨り、腰を振ってよがっている少女の姿があった。

「ああっ!! いいいっ!! ああああああっ!! ああああああっ!!!!」

 腰を持ち上げ、下ろすたびに晶子の体が大きく反り返り、嬌声が口から漏れる。汗、涙、涎、そして愛液を垂れ流しながら快楽を貪っていく晶子の姿に夕菜はごくりと唾を飲み込んだ。

(あ・・・・・気持ちよさそう・・・・私も・・・・・わたしも・・・・・・イキたい)
「あ・・・・の・・・・・」

 夕菜は藍を見上げて恐る恐る声を出す。
 すぐ下からかけられた声に藍はにこりと笑みを浮かべた。

「なあに? 夕菜さん」
「私も・・・イキたいっ・・・・イキたいっ・・・です」
「そう。なら、私じゃなくて、ご主人様におねだりしないと・・・ね」

 藍はそう言うと、夕菜の体を起きあがらせる。がくがくと足が震える夕菜を支え、統一郎の前へと連れて行った。

「あああっ! ああああっ!! あああああっ!!!」

 統一郎の上で嬌声を上げる晶子。そんな晶子を突き上げて震わせている統一郎は近づいてきた二人に気づいた。
 腰を突き上げながら、ちらりと夕菜を見る。

「ほら」

 藍が夕菜を促す。
 統一郎に見つめられているだけでドキドキと高鳴る心臓を押さえつけて、夕菜は恐る恐る声を出した。

「あ・・・・・・・の・・・・・・」
「きゃふああああぁぁぁぁぁぁっ!」

 弱々しく発せられた声は晶子の嬌声にかき消される。統一郎は夕菜の様子を見ながら晶子を突き上げていた。

「あ・・・・・・・」
「あふぅっ、ふあぁっ、ひああああぁっ!!」

 夕菜の声に重なるように晶子の声が出されていく。
 困ったように口を噤む夕菜を、にやにやと笑いながら統一郎は眺めた。

「どうしたんだい夕菜? そんな小さい声じゃ分からないよ」
「あああああぅっ!! ひああああああぁっ!! ああああああああっ!!!」

 叩きつけられる快楽に踊るように体を動かす晶子。
 夕菜はそんな晶子を羨ましそうに見る。

「どうしたの夕菜さん。イキたくないの?」

 藍は夕菜に覆い被さるように後ろから抱きつき、先程と同じように秘裂の縁へと指を這わせながら囁いた。
 そして、くすりとからかうように笑う。

「んんっ」

 体を走る感覚にピクンと僅かに震える夕菜。
 先程から延々と焦らされた体はそれだけでガクガクと震えた。

「イ・・・キ・・・・たい」
「あああああああああああああっ!!」

 微かな声が夕菜の口から零れる。
 それと同時に晶子が絶叫を上げ、それをきっかけに夕菜の欲望は限界を超えた。

「イキたいっ、私もイキたいですっ! 統一郎様! ご主人様っ!! お願いしますっ! 私をイカせてくださいぃっ!!」

 なりふり構わず叫ぶ夕菜。そんな夕菜に統一郎はにやりと笑った。

「今はこれしか空いてないがそれでも良いか?」

 そう言って、統一郎は右手を掲げる。それを見て、夕菜の顔がぱあっと明るくなった。

「はいっ、ありがとうございますっ!!」

 何度も頷く夕菜は統一郎の手招きに飛びつくように体を寄せた。

「んっ・・・・」

 ソファーの上に突き立てられた中指。夕菜は嬉しそうな顔で自らの秘裂を押し開くと、その中指を秘裂の中へと迎え入れた。
 つぷりと統一郎の中指を飲み込んでいく夕菜の秘裂。
 体に走る快感に夕菜はピクンと体を震わせた。

「藍」
「はい」

 統一郎は夕菜の後ろに立っていた藍へと声をかける。
 名前を呼ばれただけでするべき事を理解した藍は笑顔で頷き、夕菜へと覆い被さる。
 腋の下から手を回し、夕菜の胸を揉み上げる。

「はぁっ! 藍っ・・・・さんっ!」

 先程とはまるで違う、直接的な揉み方。一気に叩きつけられた快感に夕菜は戸惑いの声を上げる。

「さあ、夕菜さん。楽しみましょう。 ほら、夕菜さんも腰を動かさなくちゃ。気持ちよくイケないわよ」
「あっ・・・・はぁっ・・・・・はいぃっ!!」

 ビクビクと体を震わせながら、夕菜は頷く。そして、体を走る快感を感じながら腰を動かし、更なる快楽を求めていった。

「あああっ! いいぃっ!! はあああああっ!!」

 腰を上下させる度に夕菜の体に快感が走る。それは先程、それに自分でした時、そして洋介とした時ですら感じられなかったレベルの快感だった。
 統一郎の指が中に入る度にビクビクと夕菜の体が震える。大きく背は反り、背後の藍にもたれかかる姿勢になった夕菜の顔は、強烈な快楽に苦しんでいるようにも見えた。

「あああぅっ!! すごいっ!! すごいのぉっ!!」

 耳元で夕菜の叫びを聞き、藍はくすりと笑う。そして、片手を夕菜の肌を滑らすように下へと下ろしていく。

「すごいっ!! すごいぃぃっ!! 頭が真っ白になるぅっ!!」
「大丈夫よ。頭を真っ白にしても大丈夫。それは気持ちが良いこと。それがご主人様の物になるという事よ。安心してイッてしまいなさい」

 叫ぶ夕菜の耳元に藍は言葉を囁く、それは夕菜に聞こえていないようで無意識には届いていた。
 そして、藍が夕菜のクリトリスをぎゅっとつまむ。

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 それと同時に統一郎に指を差し込まれ、夕菜は絶叫を上げると共にビシリと体を硬直させる。
 股間に生じた激しい快楽が体中を走り、脳を真っ白に染め上げた。
 数秒の硬直。呼吸も思考も、心臓すらも止まったかの様な硬直が終わり、ガクンと夕菜の体が崩れ落ちた。

「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 続いての絶叫。統一郎の上で腰を振っていた晶子も絶叫を上げて絶頂へと達した。
 崩れ落ちた晶子の体を患わしそうにどかし、統一郎は夕菜を見る。

「は・・・・ぁ・・・・は・・・・・ぁ・・・」

 時折、体を震わせながら気絶している夕菜を見て、統一郎はにやりと笑った。




−2−



「夕菜・・・・・夕菜・・・・・どうして・・・・」

 ふらりふらりと洋介は街を歩いていた。
 あの夜、夕菜から逃げ出した洋介は自分の部屋にも帰らず、ただあてもなく彷徨っている。
 あれからどれだけ過ぎたのか、洋介は分からない。日が昇り、朝が来ても会社に行かず、腹が鳴っても食事をとらず、睡眠もとっていない洋介はただふらふらと歩いていた。
 夕菜と二人で歩いた街並み。そこかしこに夕菜との思い出が思い出される。
 そして、その度に夕菜と統一郎の包容とキスが洋介の頭に広がっていった。

「夕菜・・・・ゆうな・・・・・・・」

 ぶんぶんと頭を振ってその映像を振り払う。

(違う、夕菜は・・・・・違う!)

 二人で見た夕日。告白を受け入れてくれた夕菜の笑顔。
 心の底に大切にしまった思い出。
 しかし、その大切な記憶すらもあの晩の出来事に覆われていった。

(違う! 夕菜は・・・・・夕菜は!!)

 その映像を力一杯否定し、ぶんぶんと首を振る。何も食べていなかった洋介はそれで力を使い切った。
 がくんと足から力が抜けて、道の端へと崩れ落ちる。
 いつの間にか入り込んだ路地。浮浪者や不良達が当たり前のここでは、人が一人倒れたところで目を向ける者など誰もいない。

(夕菜・・・・・夕菜・・・・ゆうな・・・・・)

 弱々しく動く目で、洋介は意味もなく往来を歩く人たちをぼうっと見ていた。
 その耳に呼び慣れた名前が飛び込んできた。

「あー、早くあの夕菜って子とやってみてぇ〜」
「藍さんも晶子ちゃんもいいけど、あの子の体も捨てがたいよなぁ」
「そろそろ、いいんじゃねぇ? 今度統一郎さんに言ってみようぜ」

(ゆ・・う・・・・な・・・)

 洋介はろくに動かない体で視線だけを声の方へと向ける。そこには赤、緑、金色と派手な色に髪を染めた若者達の姿があった。
 若者達は笑いながら洋介の方へと歩いてくる。両者の距離が近づく度に声ははっきり聞き取れるようになり、三人が話している内容も分かるようになっていく。

「しかし、催眠術ってすげえよな。あの夕菜っての、男がいたんだろ? それなのに今や統一郎さんの奴隷だもんな」
「俺も催眠術が使えたらなぁー」
「ばーか、お前じゃ無理だよ」

 はははははと笑いながら三人組は洋介の側を通り過ぎていった。
 しかし、その言葉は洋介の耳へとしっかりと届いていた。
 ぴくり。
 洋介の指が動く。

(ゆうな・・・・・・とういちろう・・・・・さいみんじゅつ・・・・)

「ゆうな・・・・ゆうな・・・・・夕菜・・・・」

 呟くように零れる愛しい人の名前。
 その単語と新しく聞いた単語。それが洋介の中でグルグルと巡っていく。

(催眠術・・・・・・夕菜・・・・・統一郎・・・・)

「夕菜・・・・夕菜・・・・・夕菜・・・・」

 愛しい人。その人の見せてくれた最高の笑顔と自分が逃げ出したあの光景が脳裏に浮かぶ。
 相反する光景。相反する想い。どちらが本物なのかと言う問いは、洋介の頭の中でぐるぐると狂おしく繰り返されていく。

(統一郎・・・・催眠術・・・・・夕菜・・・・)

「夕菜」

 その瞳に意志が宿る。
 今聞いた単語をつなぎ合わせて、洋介は一つの結論へと達した。

(夕菜は催眠術で操られているんだ。あの男を好きだという風に思わされているんだ!)

 腕を地面につき、体を起こす。
 体力の尽きた体は起きあがった時点でぐらりと揺れる。
 必死に踏ん張ってそれを止めると、洋介は足を進めていった。

(夕菜を助けなくちゃ。夕菜は操られている。洗脳されているんだ!)

 ふらりふらりと揺れながらも足を進める。

(そうだ・・・・本当の夕菜は僕を好きなんだ・・・・!)

 今にも倒れそうなその足取りで、しかし瞳には強い意志が籠もっていた。

 
 


 

 

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