おみくじ


 

 



大吉






「ねーねーっ!サオリ〜、ユマ〜!こんなところに神社があるよ−!」

 前を歩いていたアケミが、交差点で立ち止まって右側を指さしている。

「えーっ、どこどこー!?」

 私のすぐ隣を歩いていたサオリが、大声で聞き返しながらアケミの所まで行く。
 アケミもサオリも、足元がふらついていておぼつかない。

「もう〜、ふたりとも飲み過ぎだよ〜。サオリも、夜中なんだから大きな声出しちゃだめでしょ〜」

 そうぼやく私の足元も、大分ふらついていた。
 まあ、私も結構お酒が入って、すっかりいい気分になってるんだけど。



 私たちは、大学の仲良し3人組だ。
 前々から、今度のお正月は3人一緒でお祝いしようね!って約束していたので、大晦日から、私の部屋で飲み会をしながらカウントダウンをして、明けましておめでとうを済ませてから初詣でに繰り出したわけだ。

 今年のお正月は帰らないよー、て電話したときの、不機嫌そうなお母さんの声がちょっとコワかったけど、そこは無理矢理押し切った。
 だって、そのくらいいいじゃない。
 こういうのって、学生の時にしかできないんだから。

「あーっ!ホントだーっ!」
「えー?こんな所に神社なんてあった…っけ……?」

 はしゃいでいるアケミとサオリに追いつき、ふたりが指さしている方を見て、私は絶句してしまった。

 たしかに、その路地の突き当たりに神社はあった。
 石の鳥居の向こうに、小さなお社がある。
 近くに住んでいるのに、こんな所に神社があるなんて全然知らなかった。

 ていうか、真っ暗だし、誰もいないじゃない!
 元旦だっていうのに、誰も初詣でに来てない神社なんてあるの!?

「ねー、ここで初詣でを済ませちゃおうよ〜!」

 と、アケミがとんでもないことを言い出した。

「うそっ!アケミったら本気!?」
「えー、なんでー?」
「だって、あの神社、誰も来てないじゃないの!」
「いいじゃない。その方がすぐに終わって」
「そうよねー、初詣でって、どこの神社も行列できてるし、並んでても寒いだけだもんねー」

 と、サオリもアケミの意見に同調する。

「いや、だからって、あの神社、ちょっと気味が悪いじゃない!」
「いいのよ、どうせ初詣でなんて気分の問題なんだし、どこでやったって同じよー」

 いやっ、気分の問題だからこそ、もっとちゃんとしたところにお参りしようと思わないの!?

「だからさー、初詣でなんかさっさと済ませちゃって、カラオケにでも行かない?」
「あー、それ賛成〜!」
「ちょっとアケミー!サオリも……もうっ!」

 結局、初詣でよりも、その後どこに遊びに行くかに気持ちが傾いているふたりに振り切られてしまう私。



「ねぇ……本当にここにお参りするの……?」

 神社の近くに寄ってみると、やっぱり気味が悪かった。

 隣の家の灯りにぼんやりと照らされたお社は、ボロボロとしか言いようがなかった。
 いちおう、お賽銭箱と、お参り用の、縄の付いた大きな鈴はある。
 でも、なんか不気味でしょうがない。
 初詣での人がいないどころか、何年もお参りした人がいないんじゃないかっていうくらいにボロッちぃ。

「もう〜、ユマったら、さっきから変よ〜」
「いやっ、だって、アケミもサオリも気味が悪くないの!?」
「ん〜?ちょっと汚い神社だけど、どうってことないんじゃない?」
「うんうん、私んちの近くにもこんなボロボロの神社があるし〜」
「いやっ、でも!?」
「なに〜?怖いの、ユマ?」
「べっ、別に怖くなんかないわよ!」

 いや、ホントはちょっと怖いんだけど。
 ていうか、アケミたちこそ怖くないの!?

「ねぇねぇ、怖いんでしょ、ユマ?」
「だからぁ!」
「いーのいーの、隠さなくっても!ユマは怖がりだもんね」
「そういうのじゃなくてっ!」
「まぁまぁ、ちょっとお参りして行くだけだから。さっさっと終わらせましょ」

 そう言うと、真っ先にアケミがお賽銭箱に10円玉を放り入れた。
 そして、縄を手にとって鈴を鳴らし、パンパンと手を叩く。

「これでよしっと。次は?」
「じゃあ、私がやる〜!」

 サオリがポンッと10円を放り投げて、ガラガラと鈴を鳴らす。

「よしっ、じゃあ、最後はユマね」
「もう、わかったわよ」

 しかたなく、お財布を取り出す私。

 でも、よく考えたらちょっとお参りするだけだし。
 そうよね……いくらボロボロで気味が悪い神社でも、まさかお参りして祟りがあるなんてことはないわよね。
 でも、お賽銭は100円玉にしとこうっと。

 お財布の中から100円玉を取り出すと、そっとお賽銭箱に投げ入れて鈴を鳴らす。
 そして、パンパンと柏手を打ち、手を合わせて目を閉じた。

 どうか、祟りがありませんように……じゃなかった、今年一年いい年でありますように……。

 と、丁寧にお願いして目を開けると、アケミの暢気そうな声が飛んできた。

「あ〜っ、おみくじがあるよ!ねぇねぇ、おみくじ引いてかない?」

 そう言ってアケミが指さす先には、神社によく置いてある、お金を入れるとおみくじが出てくる赤い箱があった。

 もうっ、アケミってば本気?
 お参り済ませたんだから、早くこんな気味の悪いところからおさらばしようよ。

「いいねっ、やろやろ!」

 あちゃ、またサオリが乗ってきちゃった。

「ちょっとぉ、アケミってば〜。サオリも〜、早くどっか行こうよ〜」
「またまた〜、ユマったら本当に怖がりなんだからぁ」
「だから、そんなんじゃなくてっ!」
「いいじゃないの、ちょっとおみくじ引くだけなんだし」
「……えーっ!500円もするのっ?」

 私とサオリが押し問答してると、おみくじの箱を調べていたアケミが大きな声を上げた。

 確かに、その赤い箱のお金の投入口のところには”五百円”って書いてあった。

「ホントだーっ!こんなボロ神社のくせに高ーい!」

 サオリもそれを見て、バチの当たりそうなことを言っている。
 でも、これってチャンスよね!?

「ねねねっ!高いよね!だから、おみくじ引かずに早くカラオケ行こうよ!それに、この神社、人もいないし、もしかしたら、お金入れても出てこないかもしれないじゃん!」
「いいや、出てくるぞい」
「きゃああああああああっ!」

 いきなり後ろから声がしたものだから、私は悲鳴を上げて飛び上がってしまった。



 振り向くと、いつからそこにいたのか、巫女さんの格好をして箒を持ったお婆さんが立っていた。

 ていうか、箒って、これから掃除でもするの!?こんな時間に!?
 そもそも、今日、元旦なんだけど!?

 ビックリした私が口をアワアワさせていると、お婆さんはにやっと笑って口を開いた。

「お金を入れたら、確かに出てくる。しかも、ここのおみくじは特別製なんじゃ」
「え〜!?特別製!?」
「そうじゃ。そのおみくじに書いてあることが、絶対に叶う魔法のおみくじなんじゃよ」
「魔法のおみくじ〜!?うっそ〜!?」
「嘘ではないぞ。このおみくじを引いた者には、そこに書いてある通りのことが起きるのじゃ」
「やっだ〜 !信じらんない〜!」
「そうよね〜!お婆さんったら、私たちを驚かそうと思って〜!」

 もうっ!アケミもサオリも、こんな不気味なお婆さんとなに普通に話してんのよ?
 すっかりいい気分になっちゃって、ホント、ふたりとも飲みすぎだってば。

「いいや、間違いなく、このおみくじに書いてあることは本当になるんじゃ」
「じゃあじゃあっ、大吉が出たらすっごくハッピーになれるってこと〜?」
「そうじゃ。じゃから、心するがよいぞ。吉が出ればその者には幸せなことが起きるじゃろうが、凶が出れば、悲惨なことが起こるじゃろうからの。引くかどうかは、おまえさんたちがよく考えて決めるがよい」

 そう言い残すと、お婆さんは箒を持って神社の隣の家に入っていったのだった。

 そして、残されたのは私たち3人。
 まず、口を開いたのは私だった。

「ねえ、やっぱりやめとこうよ。気味が悪いしさ」
「やだっ、ユマったらまだ怖がってんの〜!?」
「いや、怖いっていうか、不気味じゃん!」
「まさか、ユマってばあのお婆さんの言ったこと信じてんの〜!?」
「いや、そうじゃなくてー」
「大丈夫だってば。書いてある通りになるおみくじなんて、そんなものあるわけないじゃない〜!」
「そうそう〜。それに、あったとしても、大吉引いたら問題ないじゃない〜!」
「いや、そういう問題じゃなくてさ……」
「いいから引こうよ!はい!みんな500円出して〜!」
「私はいいってば!」
「だ〜めっ!ユマも引くの!誰が一番運がいいか比べるんだから!ほらほら、500円用意して!」
「もう〜!」

 結局、ふたりに押しきられる形でおみくじを引くことになってしまった。

 アケミとサオリがまずおみくじを引いた後で、私も渋々ながらお金を出してその赤い箱に入れた。
 カサ……と乾いた音を立てて出てきた紙切れを手にとる。

「じゃあ、いい?一斉に開けるよ!……小吉!」
「うーん、私は末吉〜!」
「ねっ、ねっ!ユマは?」
「……大吉」

 折りたたんであった紙切れを開くと、そこには少し大きな字で、『大吉』、って書いてあった。

「ええ〜!なんでユマが大吉なのよ〜、面白くないんだからぁ〜!」
「そうよね〜!一番嫌がってたのに〜!」

 ちょっと!なんなのよ、ふたりとも!

「ま、いいか。じゃ、初詣でも済んだし、カラオケ行こ!」
「うん!行こ行こ!」
「あっ、ちょっと待ってよ、ふたりともー!」

 もう、すっかり神社にもおみくじにも興味をなくしたアケミとサオリが、ふらふらと街の方に歩き始めたので、私はおみくじをポケットにねじ込んで慌ててふたりの後を追いかけていった。



 その日は、その後カラオケをしながらまたお酒を飲んで、私もすっかり飲み過ぎてしまった。
 結局、明け方の方はほとんど記憶がなくて、気がついたら私の部屋で3人で寝ていたのだった。

 そして、それっきり、あのおみくじのことはすっかり忘れてしまっていたのだった。






* * *







 そして、お正月休みも終わり、怒濤の試験とレポート地獄もなんとか乗り切った、1月末のこと。

「……うん?」

 バイトに行こうとした私は、コートのポケットの奥に紙切れが入っているのに気がついた。

「これは……あの時のおみくじじゃない……」

 それを手にするまで、元旦に引いたそのおみくじのことをすっかり忘れてた。

「そうだ、大吉を引いたんだったわ……」

 改めて、そのおみくじをじっくりと見てみる。

 上の方に、「零番 大吉」って書いてある。

 ……なんか変なの。
 おみくじで、ゼロって番号あるのかしら?

 でも、今までおみくじをじっくり見たことなんてないからよくわからない。

 そして、その下に書いてある運勢。

”二月朔日、運命の人立ち現れん。彼の言葉は汝の全て。彼の意志は汝の全て。汝の運命は、彼によって大きく変わるであろう。されば汝、その運命を受け容れれば大いなる幸い訪れるであろう”

 ……なにかしら、これ?
 運命の人って?
 もしかして、ものすごい恋をするとか?

 ……て、なによっ、これ!?

 私がその下を見てみると、「願望、運命の人のままに、仕事 運命の人のままに、学業 運命の人のままに、恋愛 運命の人のままに、縁談 運命の人のままに……」て、全部運命の人のままじゃない!

 なに?
 私、そんなにその人に心を奪われてしまうの?

 な、なに言ってるのよ!これはただのおみくじなんだから!

 でも、あのお婆さんが、絶対にその通りになるって……。

 ないない!そんなおみくじなんか、あるわけないじゃない!

 妙に不安な気持ちになってくるのを、頭をぶんぶん振って振り払う。

「いけない!急がないとバイト遅れちゃう!」

 おみくじに気を取られて、だいぶ時間が経っていたのに気づいて、私は慌てて部屋を出て行く。









 その日は、バイトの間も、あのおみくじのことが気になってしかたがなかった。
 書いてあることが本当になるおみくじなんかあるわけないよ、とは思っているのに、内容が衝撃的すぎて気にせずにはいられない。

 私の運命を変えてしまう人って、どんな人なんだろう?
 想像したら、ちょっと怖い気もする。
 でも、大吉なんだから、きっと素敵な人に決まってるわよね。
 いつの間にか、私の胸にちょっぴり期待する気持ちも生まれていた。

 あっ、でも、2月朔日っていつなんだろう?
 こんな難しい書き方されるとわかんないよ。
 後で調べてみないと……。





 バイトが終わってから調べてみると、朔日っていうのは1日のことだってわかった。
 今日が1月30日だから、あと2日で運命の人が私の前に現れるんだ……。
 って、その日って、夜までバイト入ってるじゃないの!
 そんな日に本当に運命の人に出会えるのかしら?






* * *







 そして、運命の2月1日になった。
 その日は、朝から胸がドキドキしていた。
 絶対に当たるおみくじなんてあるわけないって思ってるのに、やっぱりちょっと期待してる。
 私の運命を変えるほどの素敵な人が、どんな人なのか早く見てみたいって思っちゃう。





「おはようございまーす!」

 バイト先で制服に着替えて、店長に挨拶する。

 言い忘れてたけど、私のバイトは喫茶店のウェイトレス。
 うちの制服は、黒をベースにして、白のフリルとエプロンのメイド風の服。

 あ、でもっ、メイド喫茶とかそういんじゃないんだからね!
 うちの店は、ティーポットで出す本格的な紅茶が売りなのよね。
 店の内装も、イギリス風のアンティーク調で統一されてるし、ウェイトレスの制服もそれに合わせてるっていうわけ。
 まあ、最初の頃は少し恥ずかしかったけど、別に、メイド喫茶の制服みたいに派手なわけでもないし、露出も多くないんだから。

「ああ、おはよう。今日も頼むよ竹内さん」

 口ひげを生やした店長が、笑顔で挨拶を返してくる。

 ひょっとして、店長が運命の人?
 まさかね……。

 それは、店長はちょっとダンディーだし、優しい人だとは思うけど、今まで何度も会ってるんだし、急に店長と恋に落ちるなんてないわよね。
 じゃあ、今日この店に来るお客さんにその人がいるのかしら?

 そんなことを考えながら、バイト仲間のミチルに挨拶する。

「おはよう、ミチル」
「あ、おはよ、ユマ。今日も寒いねー」
「本当よね、それに、今日は風が強いからー」

 今日は平日だし、まだお客さんが来る時間には少し早い。

 私たちは、テーブルを拭いたりしながら、他愛もないおしゃべりをしていた。








 その後、男のお客さんが何人か来たけど、運命の人だって思うような人は来なかった。

 そして、夕方近くになって。

「ちょっといいかな、竹内さん?風で看板が倒れたみたいだから、行って、直してきてくれるかな?」
「わかりました」
「あんまり風が強いみたいだったら、もう店の中に入れていいから」
「はい」



 店長に言われて店の外に出ると、倒れていた看板を起こす。

「うーん、このくらいだったら、こっちに置いておけば大丈夫かな?」

 入り口近くの、風のあまり当たらないところに看板を動かして様子を見てみた。

「うん!大丈夫そうね」

 看板が動いたりする気配がないのを確かめてから、私は店の中に戻る。



 その、少し後のことだった。



「いらっしゃいませ……!」

 入り口のドアの鈴をチリンチリンと鳴らして入ってきたお客さんを見て、思わず私は言葉を失ってしまった。

 いや、運命の人かそういうんじゃないのよ。

 ジーパンにヨレヨレのジャンパー、大きなリュックを背負って、頭に黄色いバンダナを巻いて眼鏡を掛けた太った男。
 こう言ったら失礼なんだろうけど、どう見てもうちみたいな本格的なティールームに来るような感じじゃない。
 それに、何歳くらいなんだろう?
 やけにおっさん臭くも見えるし、私とそんなに変わらないようにも見える。

 ……て、そんなことよりもお仕事お仕事。

「お一人様ですか?」
「あ、は、はいっ」

 私が訊ねると、相手は妙におどおどした感じで答えてきた。

「それでは、こちらの席にどうぞ!」

 別に、混んでるわけでもないし、私はその人を4人掛けのテーブルに案内する。
 と、その人は隣の椅子にリュックを置いて席に座る。

 置かれたリュックに、なんかよくわからないけどアニメキャラの女の子みたいなのがいっぱいぶら下がっていた。

 やだっ、こいつ本物のオタクだわ!

「それでは、ご注文がお決まりになったらお呼びください」
「は、はい……」

 私が差し出した水の入ったコップを受け取ると、メニューも見ずに私の方をじっと見ている。

 いやあああぁっ!なによこいつ!気持ち悪いわね!
 もしあのおみくじが本物だったとしても、こんなのが運命の人なんて絶対にないわよ!

 気味が悪くて、私は逃げるようにそのテーブルから離れたのだった。



 その後、そのキモオタはダージリンを注文すると、リュックから漫画を取り出して読み始めた。







「ねえ、あのお客さん、ときどき、こっちの方をじっと見てるんだけど?」

 ミチルが、気持ち悪そうに顔を顰めて話しかけてきたのは、それから2時間経ってからだった。

 あのキモオタは、ポット一杯の紅茶でその間もずっと粘っていたのだ。
 自分で持ってきた漫画を読んでいるかと思ったら、気づくと私たちの方をじっと見ていたりした。
 それが、本当に気持ち悪い。
 それでも、ついついそっちの方に目を遣ると、目が合った瞬間にキモオタは、にやぁ、と笑った。

 いやああああっ!
 もうっ、本当に早く帰ってよ!
 今日は、私の運命の人が来る日なんだから!
 もちろん、あのキモオタじゃないわよ!
 そんなの、ありえないんだから!

 あまりにも気持ちが悪くて、鳥肌が立ってくる。




 結局、そのキモオタが帰ったのは、19時の閉店時間が近づいた頃だった。
 お会計の時も、ニヤニヤしながら私の方を見て、最初から最後まで気持ちの悪い相手だった。






* * *






 閉店後。

「私たちはこれであがりますね、店長」
「それじゃ、お疲れさまです!」
「うん、お疲れさま」

 店の掃除と後片付けを終えて私服に着替えると、私とミチルは店長に挨拶して店を出る。



「じゃあ、またね、ユマ!」
「うん、お疲れさま、ミチル!」

 家の方向が違う私とミチルは、最初の角で手を振ると、それぞれの方向へ歩き始める。
 結局、今日は運命の人っぽい人が来ることはなかった。

 まあ、それもそうよね。
 絶対に当たるおみくじなんてあるはずがないもの。

 でも、ちょっと期待してたんだけどな……。



 そんなことを考えながら、自分の部屋に向かう人気のない路地を曲がった時だった。



「きゃあああっ!!」

 後ろからいきなり抱きすくめられて、私は悲鳴を上げた。

「おっ、大きな声を出さないで!」
「……ひぃっ!」

 そう言われて、息が詰まったように悲鳴が止まった。

 私の耳許ではぁはぁと、荒い息の音がする。
 恐怖でパニックになりながらそっちに顔を向けると、目の前にあのキモオタの顔があった。

「……っ!」

 また悲鳴を上げようとしたけど、声にならなかった。
 まるで、喉の奥に蓋をされたように声が出てこない。

「……んーっ!……ぐっ!ぐむっー!」

 それでも、声にならない呻き声を上げながら、体をばたつかせてキモオタを振り払おうとする。

「う、動かないで!じっとしてるんだ!」
「……!」

 いきなり体に力が入らなくなって、私はそのまま動けなくなった。

 なんで!?どういうことなの!?

 私は、完全に恐慌状態だった。
 今すぐ逃げ出したいのに、体が言うことを聞いてくれない。

「うわ、本当だ……」

 しかし、キモオタの方も驚いたように私を見ていた。
 と、急ににんやりと満面の笑みを浮かべた。

「じゃ、じゃあっ!やっぱりキミだったんだね!」

 キモオタは、やたら嬉しそうにニヤニヤと私を眺め回している。
 なに言ってるのよ、こいつ!
 やっぱりってどういうことよ!?

「わ、わたしに……何をしたのよ……?」

 本当は大声で叫びたいのに、私の口から出てきたのは蚊の鳴くようなか細い声だった。
 しかも、キモオタはそんな私の言葉なんか聞こえていないようだった。

「うんうん!じゃあ、声を出さないで、静かにして、おとなしくボクについてくるんだよ」

 そういうと、私の手を引いて歩き始めた。

 本当は、その手を振り払って逃げ出したいのに、足が勝手に動いてキモオタの後をついて行く。

 やだっ!?
 いったいどうなってるの!?

 何がどうなってるのかわからないまま、私はキモオタについて行くことしかできなかった。






* * *







 そして、私が連れて行かれたのは、ワンルームマンションの一室だった。

 キモオタの後から入っていって、灯りの点けられた部屋の中を見渡す。

 いやだ……気持ち悪い……。

 その部屋の中は、どちらかというと片付いていると言った方がいいのかもしれない。
 ただ、壁や天井に所狭しとアニメのポスターが貼られて、棚には整然と女の子のフィギュアが並んでいる、完全にオタクの部屋だった。

 と、キモオタが部屋の隅に積んだ衣装ケースから、なにかゴソゴソと取り出しはじめた。

「じゃあ、服を脱いで」

 立ち上がったキモオタが、いきなりそんなことを言い出した。

 声が出ない私は、ぶるぶると頭を振って、拒絶の意志を見せる。

「いいから服を脱いで裸になるんだよ!」
「……ひっ!」

 苛ついたようにきつい口調でキモオタがそう言うと、私の腕が動いてマフラーを外し、コートをを脱ぎはじめた。
 絶対にこんな奴の前で裸になるのは嫌なのに、腕が言うことを聞いてくれない。

 いや……。
 なんで?どうして体が言うことを聞いてくれないの?

 完全にわけがわからなかった。
 首だけはイヤイヤをしてるのに、腕は手際よく動いてブラウスを、次にスカートを脱いでいく。
 そして、とうとうストッキングもブラも、そしてショーツまで脱いでしまった。
 裸になった私は、腕で体を隠すこともできなかった。
 ただ、恐怖だけが募っていく。

 何がどうなっているのかわからないけど、きっと、これからレイプされるのに違いない。
 だって、女を裸にして男がやることといったら、そんなことしか思い浮かばない。

「うんうん、じゃあ、まずはこれをつけて」

 裸になって、これからされることに怯えていた私に向かって、キモオタが何か投げてよこした。
 見てみると、尻尾みたいなものが付いたゴムのバンドだった。

「ほら、早くつけてよ!」

 私がじっとそれを見つめたままでいると、また不機嫌そうにキモオタの口調がきつくなった。
 そして、また私の体が勝手に動いて、そのバンドに足を通すと、腰のあたりまで持ち上げる。

「いいよっ!じゃあ、次はこれを着て!」

 私が尻尾突きバンドを身につけると、キモオタは急に機嫌が良くなって今度は服のようなものを投げてきた。
 受け止めたそれを広げてみると、それはメイド服だった。
 でも、うちの店の制服よりもフリルがたくさんついているような気がする。

「もう〜、早く着てよ!」

 そう言われて、私の腕がノロノロと動き始める。
 背中の部分のファスナーを開けて、ワンピースのスカートに足を通す。
 そして、両方の袖に腕を通すと、ファスナーを上げた。

 着てみてわかったけど、このメイド服は、うちの制服よりも胸元が大きく開いていて、スカートの丈もずっと短かった。

 なによっ、これ!?
 こんなに胸が開いてたら、ファスナー降ろさなくても、すぐに胸が出ちゃいそうじゃないの!
 それに、スカートの裾も短いし。
 ……やだっ!私、下着つけてないんだから丸見えになっちゃいそう!
 袖もやたら短いし、あっちこっちスースーして気持ち悪いよ……。

 しかし、キモオタはそんな私の気持ちなんかまったく気にする素振りもなかった。

「うんうん!じゃあ、最後はこれとこれだね!」

 そう言って手渡されたのは……。

 なに?これ?
 カチューシャ?
 ……って、これ、猫の耳みたいなのが付いてるじゃない!

「さあ、それを頭に付けて、ソックスを穿いてよ」

 私の意志とは全く関係なく、言われるままにその猫耳カチューシャを頭に付けて、白いソックスを穿く。
 すると、キモオタは私の姿を見て満面の笑みを浮かべた。

「うんっ!すっごくかわいいよ!じゃあ、名前を聞こうかな!?」

 そう言われても、声が出てこない。

 あうっ、あうっと、言葉にならない呻き声を上げている私を不思議そうに見ていたキモオタは、不意にポンと手を叩いた。

「そっかぁ!ボクが声を出さないでって言ったからだね。じゃあ、声を出してもいいよ。でもあまり大きな声を出したらダメだからね。それじゃあ、きみの名前を聞かせてよ」
「……ユマ。竹内……由真……」

 言いたくないのに、自分の名前を言ってしまう。
 どうなってるのかわからないけど、さっきから、こいつの言うとおりに体が動いてしまう。

 だけど、素直に名前を言ったのに、キモオタは不機嫌そうな顔になった。

「もうっ、キミもおみくじを持ってるんだろ!だったら、ちゃんとボクの思ったとおりにしないとダメじゃん!」

 ええっ!?今、おみくじって言わなかった!?
 もしかして、これってあのおみくじのせいなの!?

 ……あっ!
 ”彼の言葉は汝の全て。彼の意志は汝の全て”って、つまり、私はこいつの言いなりになるってことなの!?
 だから、さっきから私の体はこいつの言うとおりに動いてるんだわ!
 そんなのってないわよ!
 それじゃ、魔法のおみくじじゃなくて、呪いみたいじゃないの!
 だいいち、こんな気持ちの悪いやつが私の運命の人なわけないじゃない!
 嫌嫌嫌!そんなの、絶対に嫌なんだから!

 ようやく、自分の身に起こっていることの原因があのおみくじにありそうだということに気がついた。
 でないと、今、自分の体に起きていることが説明できない。

 でも、何が魔法のおみくじよ!なにが大吉よ!
 こんなのって呪いとしか言いようがないじゃない!
 そうだわ!私、きっと呪いのおみくじをつかまされたのよ!
 やっぱり、あのお婆さん、薄気味悪かったもの。
 私を、こんなひどい目に遭わせるために……。

 あのお婆さんを心の中で呪っていた私に、キモオタの声が降りかかってくる。

「ユマたんはボクの猫耳メイドなんだから、言葉の後ろに、にゃん、とか、にゃあ、って付けないとダメじゃんか!ほら、もう一度名前を言って!」
「……竹内……由真だ、にゃん」

 私の口がゆっくりと動いて、言われたとおりに、最後に、にゃん、って付ける。
 もう、私はこいつの言うとおりにしかならない。
 このキモオタには逆らえない。
 あまりの絶望感に、目の前が真っ暗になってくる。

「うほっ!かわいいよ、ユマたん!」
「きゃあああっ!」

 いきなりキモオタに抱きつかれて、思わず悲鳴を上げていた。
 でも、そんなに大きな声は出ない。
 キモオタのブヨブヨした感触に、全身に寒気が走る。

「いやぁっ!嫌だ、にゃんっ!」

 やだっ!私ったらなんでこんなことされてるのに、言われたとおりに、にゃん、て付けてんのよ!

「何が嫌なのかな、ユマたん?」
「いやっ、気持ち悪いにゃんっ!」
「気持ち悪いことはないでしょ。ユマたんはボクの猫耳メイドなんだから、こうされると気持ちいいに決まってるじゃん!」
「ひっ!?ひあっ!?……んふうううううっ!」

 一瞬で、肌が粟立ちそうなくらいの不快感が嘘みたいに消えて、体中を電気が走ったみたいにビリビリきた。
 悲鳴を上げたはずなのに、鼻にかかったような変な声しか出てこない。

「うんうん!そうだよね!……うわあ、ユマたんのおっぱいもかわいいなぁ!それに、ぷにぷにして柔らかいや。ユマたんは、ボクにこうやっておっぱいを触られるのも気持ちいいんだよね!」
「あふうっ!あっ、んんんんんっ!」

 メイド服の上から胸を揉まれて、またゾクゾクしたものが駆け巡る。
 やだ、私ったら、なんて声上げてるのよ。
 まるで、感じてるみたいじゃない。
 ……うそ?……私、本当に感じちゃってるの?
 そんなの、ありえないのに!

「あんっ、はあああんっ!」

 キモオタに胸を揉まれて感じて、喘ぎ声を上げながら体を悶えさせている自分に気づいて、私は愕然とする。

 こんなの嫌……。
 全部……全部あのおみくじのせいなんだからね……。

 今、自分に起きている何もかもが嫌で、泣きたくなってくる。
 ぜんぶ、あのおみくじが悪いんだ。
 あれのせいで私、こんなことに……。

 私……どうしてあのおみくじを引いてしまったんだろう?
 そうだ、アケミとサオリがあんなことを言い出さなかったらこんなことにはならなかったのに。
 恨むわよ、ふたりとも……。

 胸を揉みしだかれて身を捩り、いまさら言ってもしかたのないことを考えていたら、キモオタが興奮したような声を上げた。

「むふううっ!ボク、もう我慢できないよ!ねえねえユマたん、ボクのおちんちんを、ユマたんのおっぱいで気持ちよくしてよ!」
「きゃああああっ!」

 いきなり、キモオタがズボンを脱ぎ始めて、こっちに向かって気持ちの悪いものを突きつけてきたものだから、また私は悲鳴を上げた。

「ねえっ、これをユマたんのおっぱいで挟んで気持ちよくしてよ!」
「嫌だにゃん!そんなの、したくないにゃん!」

 そんなこと、したいわけがないじゃない!
 それに、死ぬほど嫌なのに、なんでこんな猫喋りになっちゃうのよ!

「そんなことないよね!ユマたんは、おっぱいでおちんちんを気持ちよくするのが大好きで、そうしたくてしょうがないんだから!」

 そんなことない!
 そんなはず、ないのに……。
 やだ……どうして?
 これも、あのおみくじの呪いなの?

 目の前で大きくなっている、グロテスクなものから目が離せない……。
 こうやって見つめていると、体中が熱くなって、息が苦しくなってくる。
 こんなのおかしいのに、それをおっぱいで挟みたいって思ってきちゃう。

「あぅ……あぁ……はぁ、はぁっ……」
「どうしたの?やっぱりしたくなったんでしょ、ユマたん?」
「うっ、うあぁ……は、はい……」

 自分の中にこみ上げてきた、その衝動を抑えられずに、私はキモオタの言葉に頷いていた。

「だったら、ちゃんとおねだりするんだよ。……そうだ、言い忘れてたけど、ボクの名前はトオルって言うんだ。だからちゃんと、”エッチな猫耳メイドのユマのおっぱいで、トオル様のおちんちんを気持ちよくさせたいにゃん。だから、どうかユマにご奉仕させて欲しいにゃん”っておねだりするんだよ」

 そんなこと言ったらダメ。
 絶対にダメなのに、体も口も、もう私の言うことなんか聞いてくれなかった。

「……エッチな猫耳メイドのユマのおっぱいで、トオル様のおちんちんを、気持ちよくさせたいにゃん。……だから、どうかユマにご奉仕させて欲しいにゃん」

 ときどき熱い吐息を吐きながら、私は途切れ途切れにその言葉を口にしてしまっていた。
 すると、キモオタがニマァッ、と笑みを浮かべて頷いた。

「うん、いいよ!じゃあ、早く始めてよっ、ユマたん」
「……わかったにゃん」
「ダメダメ!ユマたんはメイドなんだから、かしこまりましたにゃん、でしょ!」
「……かしこまりましたにゃん」

 そう言うのももどかしいくらいに、私はメイド服の胸元をはだけて、自分のおっぱいを出してしまっていた。
 これが、あのおみくじのせいなのはわかっているのに、本当はこんなことをしたらダメなのはわかっているのに、もう自分ではどうしようもなかった。

「それでは、始めますにゃん」

 そう言うと、膝をついて高さを調節して、目の前のそれを両方の乳房で挟み込む。
 そうして、両手で押さえたまま上下に胸を揺すり始める。

「ふあああっ!すごいよっ、ユマたん!」

 とたんに、キモオタが情けない声を上げた。

 胸に挟まれたそれが、さらに堅く大きくなっていくのがわかる。
 ドクドクと脈打ってて、すごく熱い。
 鼻先に突きつけられたそこから、プンとおかしな臭いがしてきて、顔を顰めそうになる。

 それなのに、どうしてこんなに切ない気持ちになるの?
 こんなの、気持ち悪いはずなのに、体が熱くなって、胸がいっぱいになって、こうするのが止められない。

「んふうっ、ふぅ……ふにゃあ」
「ああっ、ふああっ!いいよっ、ユマたん!ユマたんのおっぱい、ふにふにしてて、すごく気持ちいいよ!」

 キモオタが、喘ぎ声をあげながら、ぶるっと体を小さく震わせた。
 すると、胸の間のそれの先っぽから、ドロリと透明な汁が溢れてきた。

「ふあああああっ!ユマたん!舐めてっ、ボクのおちんちん、おっぱいと口で気持ちよくしてよ!」
「むふううぅ……かしこまりましたにゃん。……ぴちゃ、れろっ」
「うひゃああっ!すごいよっ、ユマたん!」

 舌先でそれを掬うと、ねちょっとした感触と、しょっぱいようなおかしな味が広がる。

 おかしい、こんなのおかしいよ……。
 でも……だめ、止められない。

「ぴちゃ、ぴちょ、れろ、あふっ、ぴちゃっ……んっ、んふっ、ちゅぼっ、ちゅぱっ」

 ぴちゃぴちゃと、湿った音を立てて舌先でそれを舐めてから、口をすぼめておっぱいの間から出てくるそれを受け止める。
 すると、すっかり興奮したキモオタが、嬉しそうな声を上げた。

「ふあああああっ!いいっ!それっ、いいよっ!」
「んふっ、ちゅぽっ、じゅぼ、んっ、ちゅばっ……」
「そうだよっ!そうしてるとユマたんもすごく気持ちよくなってきて、どんどんボクのことが好きになって、そうするのが止められなくなるよ!」

 ……ああ、そんなこと言わないで。
 そんなこと言われると、私、本当におかしくなっちゃう。
 自分が自分でなくなっちゃう。
 気持ちよくて、この人のことが好きになって、こうするのが止められなくなっちゃう……。

 キモオタの言葉が、私の心に染み込んでくるみたい。
 頭の中がぼんやりしてきて、じんじんと痺れてくるように思える。
 今、自分がしていることしか考えられない。
 そして、こうやっていると、なんだか嬉しく思えてくる。

「んむっ、じゅっ、じゅぱっ、じゅぶっ、んふっ、ちゅばっ、じゅぽっ、んちゅっ……」

 もう、私は夢中になってキモオタのおちんちんを、おっぱいで挟みながらしゃぶっていた。

 え?キモオタ?
 私ったら、なんて失礼なことを言ってるんだにゃん?
 トオル様のことを、キモオタだにゃんて……。

「ちゅぱっ、じゅっ、じゅむっ、あふう、んちゅっ、じゅぼっ、んじゅっ、じゅぽっ……」
「ふああああああっ!もうっ、もう出そうだよっ、ユマたん!ボクに出してもらって、それを飲んだら、ユマたんはもっともっとボクのことを好きになって、エッチな気持ちが止まらなくなるよ!」
「ちゅぼっ、じゅばっ、んちゅっ、しゅぽっ、んじゅっ!」

 うん、出して欲しいにゃん。
 そうしたら、トオル様のことをもっともっと好きになれるにゃん。
 だから、いっぱい出して欲しいにゃん。

 私の、おっぱいと口でトオル様のおちんちんを扱く動きにいっそう熱がこもる。
 すると、トオル様の体がぶるぶるって大きく震えて、おちんちんの先から熱いものがいっぱい溢れてきた。

「んぐっ、ぐむむむむっ!」

 慌てておちんちんを咥え込んだけど、受け損ねた分がだいぶ顔にかかってしまった。
 せめて、残りの分は全部飲み込もうと、必死でおちんちんの先を口に含む。

「はむむむむっ!……んっ、こくっ、ごくんっ」

 口の中で受け止めたトオル様の精液を、全部飲み込んでいく。
 すると、すごく幸せな持ちになって、ほわんとしてくる。

「……ふにゃぁああ。んん、トオル様ぁ……んふ、ぴちゃっ、れろっ……」

 その場にへたり込んでトオル様を見上げながら、舌を伸ばして顔に付いた精液を舐めとる。
 それだけですごく気持ちよくて、体が熱くなって……なんだか、アソコがむずむずしてくる。すごくエッチな気分になってくる。

「ふやぁああ、トオル様ぁ……」
「ん?どうしたの、ユマたん?」
「私、トオル様のおちんちん、もっと欲しいんだにゃん。トオル様のおちんちんが欲しくて、アソコがむずむずするんだにゃん」

 そう言いながら、私はふとももを擦り合わせるように動かしていた。

「ふーん、じゃあ、ちょっとボクが見てみようかな?」
「あっ、にゃん!」

 トオル様が、私を押し倒して両足を広げさせる。
 ショーツを穿いてないから、アソコが丸見えで少し恥ずかしい。

「ふにゃあああああっ!」

 私のアソコをトオル様が指でなぞったから、思わず大きな声が出てしまった。

「ふうん、すごいや、ユマたん。ユマたんのここ、ぱっくり開いて、ドロドロお汁が溢れてきてるよ」

 トオル様が指先を動かすと、クチュッ、クチュッて音がする。

「うにゃぁああ……恥ずかしいにゃん……」
「でも、ユマたんはここにボクのおちんちんが欲しいんだろう?」
「そ、そうだにゃん。ユマのエッチなおまんこに、トオル様の大きなおちんちん、入れて欲しいんだにゃん。でっ、でも……」
「ん?でも、どうしたの?」
「ユマは初めてだから、トオル様がちゃんと気持ちよくなるようにできるのか不安だにゃん。それに、痛いのがちょっと怖いんだにゃん……」

 私がモジモジしながらそういうと、トオル様は素敵な笑顔を浮かべて優しくおっしゃった。

「なんだ、そんなこと心配しなくてもいんだよ。じゃあ、素直なユマたんにはボクがご褒美をあげるよ。いいかい?ユマたんは、ボクのおちんちんでは痛みは感じないよ。気持ちいいのしか感じないんだ。だから、初めてでも、何も気にすることはないよ」
「本当にゃん?」
「うん、ボクの言うことに間違いはないよ」
「ありがとうにゃん、トオル様!」

 トオル様の暖かい言葉に、私は感動のあまり泣きそうになっていた。

「じゃあ、いいかな?そんなエッチなユマたんを見てたら、ボクのおちんちん、また大きくなってきちゃったよ」
「はいっ……はいっ!どうか、ユマのおまんこに、トオル様のおちんちんを入れてくださいにゃん!ユマの初めてを、もらってくださいにゃん!」

 トオル様の言葉に、私は何度も何度も頷いていた。

「じゃあ、行くよ、ユマたん」
「はい!トオル様!……んんっ!うにゃぁあああああああんっ!」

 トオル様が、両足を広げた私に体を近づけてきて、アソコにおちんちんの堅い感触が当たった。
 そして、それがズブッ、ズブズブッと私の中を押し広げるようにして、いっぱいに入ってきた。

「ふにゃああああああっ!」
「どう?痛い、ユマたん?」
「うにゃああ……痛く、痛くないにゃん。トオル様のおちんちんが、中にいっぱいに入ってきて、すごく、気持ちいいにゃん……」

 うっとりとした気持ちで、トオル様の言葉に答える。
 本当に、痛みは全くなかった。
 トオル様の熱いおちんちんがいっぱいに入っているのを感じて、それだけでとても幸せな気持ちになれる。

「じゃあ、動くね、ユマたん」
「はいっ……にゃっ、うにゃっ、にゃんっ、ふにゃああっ!」

 トオル様が動き出すと、私の中でおちんちんが暴れ始めた。
 熱いのが、アソコの中の襞を擦りながら出たり入ったりしているのを感じる。
 そして、奥をドンって突かれるとビリリと電気が走って、気が遠くなるくらいに気持ちがいい。

「にゃんっ、ふにゃっ、にゃっ、にゃうん……ああっ、気持ちいいにゃん!トオル様のおちんちんがっ、中で擦れて気持ちいいにゃん!」
「うほほほっ!ユマたんのなか、熱くて柔らかくてドロドロでっ、ボクもっ、ボクもすっごく気持ちいいよ!」
「うっ、嬉しいにゃん!……にゃあっ、にゃっ、うにゃあっ、にゃんっ、ふにゃあああっ!」

 トオル様の動きが激しくなってきて、おちんちんがぐちゃぐちゃに私の中を掻き混ぜる。
 頭の中までとろとろに溶かされそうなくらいに気持ちよくて、もう、トオル様のおちんちんのことしか考えられなくなる。

「ふにゃああああっ!トオル様のおちんちんっ、熱くて逞しくてっ、とっても素敵だにゃん!にゃっ、にゃんっ!にゃふううううっ!」
「ああああっ!いいっ、いいよっ、ユマたん!」
「うにゃあああっ!もっとっ、もっとずぼずぼ突いて欲しいにゃん!トオル様のおちんちんで、いっぱいいっぱい突いて欲しいにゃん!」

 私は夢中で腕を伸ばして、トオル様に抱きついていた。
 トオル様も私を抱えるようにして、さらに激しく腰を動かしてくる。

 もう、さっきからおまんこの奥におちんちんが当たるたびに、目の前がピカッて光って、なんだかわけがわからなくなりそうなくらいに気持ちよかった。

「あああああっ!もうダメだ!出そうだよっ、ユマたん!」
「ふにゃああああっ!くらさいっ、トオル様の熱いせーえきっ、いっぱひっくらさいにゃ……うにゃっ!にゃあああああああああああっ!」

 目の前が真っ白になりながらトオル様に答える間もなく、お腹の中でおちんちんがびゅるびゅるって震えて、熱いものが弾けた。

「うにゃあっ!出てりゅにゃん!トオル様のせーえきがっ、ユマのおまんこにっ、ビュビュッてでてりゅにゃん!ふにゃああああっ!きもひいいっ、きもひいいにゃんんんんっ!んんんんっ、ふにゃあああああぁ…………」

 アソコの中に、ドクドクと熱い精液が注がれているのがわかる。
 トオル様が、私の上に体を倒して抱きしめてくれる。
 その暖かさに包まれて、私は、すごく気持ちよくて、すごく幸せな気持ちでいっぱいになっていたのだった。






* * *







 あれから、3ヶ月近くが経った。

『もう、ユマってば最近つき合い悪いじゃん。それに、学校来てないみたいだけど、大丈夫なの?』

 アケミからのメールに、”ゴメン。今、すごく忙しいの”と短く返事を返す。

 アケミの言うとおり、この春から私はほとんど学校に行ってない。
 それに、ゴールデンウィークには必ずアケミやサオリと一緒に遊ぶ予定を入れてたのに、今年はそれも断っていた。

 ……だって、今の私にはそんなことよりも大切なことがあるんだから。

「もう〜、まだかな〜?」
「もうしわけありません!すぐ行きます!」

 待ちくたびれたようなトオル様の声に慌てて携帯を置くと、赤いリボンを手にとって、手早く髪をツインテールに結う。
 そして、淡いピンクのストッキングの上から、一見、レザーのように見えるビニール製の白いブーツを履き、肘まである、これも真っ白なビニール製の手袋に手を通すと、置いてあったピンクのロッドを手に取った。







 ピンクに白をあしらった、裾丈の短い太ももの露わなドレススーツに身を包み、魔法のロッドを持った格好で、着替えをしたキッチンから急いでトオル様の所に行く。

「お待たせしました、トオル様!」
「もう〜!トオル様じゃないだろ!」

 すると、トオル様にいきなり叱られてしまった。

 いけない、そうだったわ。
 今日の私は、悪と戦う正義の魔法少女シルキーユーマ。
 そして、トオル様は悪の総帥、ダークトール。
 それが、トオル様の好きなアニメをふたりでアレンジした設定だった。

「もうしわけありません!」
「じゃあ、もう一度最初からやるよ」
「はい!」

 私は、またキッチンに戻ると、トオル様の部屋に飛び込みながら叫ぶ。

「またあなたの仕業ね!ダークトール!」
「ふふふ、来おったな、シルキーユーマ」
「もう、あなたの好きにはさせないわ!今日こそおまえを倒すんだから、覚悟しなさい、ダークトール!」
「ふん、おまえに私を倒す事ができるかな?」
「黙りなさい!くらえっ、シルキーサンダー!!」

 私は、ポーズを決めながらトオル様に向けてロッドを突き出す。
 当たり前だけど、そんなことをしても何も起こるはずがない。

 でも、私は大袈裟に慌てたふりをする。

「そんなっ!?魔法が発動しないなんてっ、どうして!?」
「ふはははっ!ここには、特殊な魔法陣を巡らしてある。その中では、貴様の魔法など役には立たんのだよ」
「……そっ、そんな!」
「さてと、では、こちらの番だな。……破ッ!」
「きゃああああああああ!」

 トオル様が、私に向かって片手を突き出した。
 もちろん何も起きてないんだけど、私は悲鳴を上げながら大きくよろめいて壁にもたれかかる。

「ふん、脆いものだな、シルキーユーマよ」
「私は……おまえなんかに負けない!……きゃあっ!いやああああっ!」

 トオル様が私に近づいてきて、おっぱいをつかんだ。

「ふっ、いつもながら形のいい胸だな」
「やめてっ!やめなさいっ、ダークトール!」
「さっきまでの威勢はどうした?まさか、この程度で感じているのか?」
「誰がっ!こんなので感じてなどっ!あうっ、くああああああっ!」

 もちろん、抵抗の素振りを見せなくちゃいけないからそう答えているけど、本当は感じちゃってる。
 トオル様におっぱいをもみくちゃにされて、体が熱くなって、アソコがじんじんしてくる。
 乳首も、カチカチに堅くなってるのが自分でもわかる。

 だって、トオル様におっぱい揉まれて感じないなんて、そんなこと私にはできないよ。
 それに、こうやって壁に押しつけられて、乱暴にされてる倒錯感もいつもと違って胸がドキドキしちゃう。
 ……きっと、私のアソコ、グショグショになってるんだろうな。

「あんっ、あぅうううううんっ!」

 そんな私の心を見透かしたように、トオル様がスカートの中に手を入れて、私のアソコを掻き混ぜたから、思わず甘い声が出てしまった。

「なんだ今の声は?それに、ここもこんなに濡らして。……ククク、相変わらずいやらしい体をしているな、シルキーユーマ。それで正義の魔法少女などと、聞いて呆れるわ」
「ちっ、違うっ!私はいやらしくなんかっ……ああっ、ふわぁああああん!」

 やだ……。
 トオル様が奥まで指を入れてきたから、思わず本気の声が出ちゃったじゃない。

「いい加減認めろ、シルキーユーマ。幾度私に犯されたと思っている?その度に快感を体に刷り込まれた貴様は、もう正義の戦士などではいられないほどに淫乱な体になっているんだ」
「そっ、そんなことは……ない!」
「やれやれ、強情な奴だ。それでは、今日もこれにものを言わせるしかないようだな」

 そういうと、トオル様は、ズボンを脱いでガチガチに大きくなったおちんちんをさらけ出した。

「んっ!……ううっ!」

 いけない、私ったら、勃起したトオル様のおちんちんを見ただけで、ピュッておツユが溢れちゃった。
 ただでさえ、さっき掻き回されてグショグショになってるのに、溢れたおツユがふとももを零れ落ちていくのがわかる。

「どうした?シルキーユーマ?」
「くっ!な、なんでもないわ!」
「まあ、そう強がりを言うな。いつものように私がおまえを犯してやろうというのだ」
「やめてっ、やめなさいっ!」

 ううん、本当は今すぐ入れて欲しい。
 でも、ここは抵抗しないとトオル様に怒られちゃう。

「さあ、行くぞっ、シルキーユーマ」
「やっ、やめっ……ああっ、ふあああああああああっ!」

 トオル様の逞しいおちんちんが入ってきて、バネで弾かれたように体が仰け反った。

「どうだ?私のものが入った感触は?気持ちいいだろうが?」
「そっ、そんなはずないでしょ!くうううっ!いっ、今すぐ抜きなさい!」

 本当はすごく気持ちいい。
 私の中の、この、熱くて堅いのを抜いて欲しくない。
 だけど、ここは我慢しないと……でもっ、もう無理!

「ふっ、また強がりを。だったら、これならどうだ?」
「くうううっ!こっ、こんなのっ……ふああああっ!気持ちいいっ!」

 いけない!
 トオル様がいきなり激しく腰を使ってきたから、思わず気持ちいいって言っちゃった!
 言うのがちょっと早すぎたかな?
 でも、こんなに気持ちいいの、もう我慢できないよ。

「ふふふ、やっと本音が出たようだな、シルキーユーマよ」

 良かった……。
 トオル様は気にしてないみたいだわ。

「ちがっ、今のは違うのっ!ああんっ!んふううううっ!」
「いい加減に素直になれ、シルキーユーマ」
「いあああああああっ!だめえっ!ダークトールのチンポッ、気持ちいいっ!よすぎるのぉおおおお!」

 ダメだ。
 さっき一瞬ホッとしちゃったから、一気に快感が溢れてきちゃった。

「どうだ?自分が淫乱だと認めるか?」
「はいいいいっ!私は淫乱ですうううううっ!ダークトールのチンポでおまんこ突かれて感じちゃう、いやらしい魔法少女ですううううっ!」

 もう、私はトオル様にしがみついて、自分から腰を動かしていた。
 トオル様のおちんちんにアソコの中を掻き回されて、ゾクゾクと快感が走る。
 その先が奥まで届くと、目の前がフラッシュして、もうどうしようもなくなって自分から動くのを止められない。

「んふうううううっ!いいっ、ダークトールのおチンポ、すごくいいですうぅ!だから、もっと奥までズボズボしてくださいいいいぃ!」

 ……ああ、アケミたちにも少しは感謝した方がいいのかもね。

 体をいっぱいに使ってトオル様のおちんちんを貪りながら、私はそんなことを考えていた。
 だって、あのおみくじのおかげでトオル様に会うことができたんだから。
 あの時、アケミとサユリがあの神社に行ってなかったらと思うと、本当にゾッとする。
 だから、あのふたりには感謝だよね。
 やっぱり、あのおみくじは本物だったんだ。全部、あの、大吉のおみくじのおかげ。
 私は、あのおみくじのおかげでトオル様と会えて、今、こんなに幸せなんだから。

「ふああああっ!いいっ、気持ちいいれすっ!あっ、ふああああああっ!」

 トオル様にしがみついて、無我夢中で腰をくねらせながら、私は、今、こうしていられる幸せを噛みしめていた。 

 
 


 

 

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