望み

〜禁断の薬〜


 

 

第三話:玉川 依子



 あれから数日が経った。
 どうやら、楠はちゃんと思い出せないようで俺を見ても怯えることはなくなった。
 一時はどうなることかと思ったが、これで安心だ。

「おい」

 突然、声をかけられて振り向くと、そこには主将が立っていた。
 鋭い鷹のような目で俺をにらんでくる。
 ここ数日、部活をさぼっていたので、たぶんそのことだろう。
 俺は顔を引きつらせて、後ずさっていた。

「な、なんでしょう・・・主将」
「数日、無断欠席が見られるな。部活をさぼるとはいい度胸だ」

 目がいっそう鋭くなる。俺はまさに蛇ににらまれた蛙のようだ。

「こい」

 主将は俺に断る暇も与えず、武道場へと引っ張っていった。



 ヒュッヒュッヒュッ
 ビュンビュンビュン

 そして、俺は数日ぶりに部活に出された。
 俺は隣にいる部長と一緒に素振りをしている。



「素振り千本だ」

 主将にそう言われ、俺は固まった。
 ロードワークから戻ってきていきなりなので休む暇がない。
 普段は素振り二百本なので単純に五倍動かされる。
 そう言えば、ロードワークも俺だけ普段の五倍だった。
 しかも、主将がついているので逃げるに逃げられない。



 ちらりと主将を横目で見る。
 俺が両手で振っているのに対し、主将は片手。しかも、柄頭を握っている。
 音で分かるが、俺とは振りのキレが違う。そして、正確に一点で剣先を止めている。

 この人有りとまで言われた主将の実力が垣間見えた。
 ちなみに今道場には俺と主将しかいない。普段の練習は終わって、みんな帰ってしまった。
 俺だけ終わっていなかったので残されたのだ。

「995,996,997,998,999,1000!!」

 俺は振り終えるとそのまま道場へと倒れ込んだ。
 スパンッ
 その俺の顔の真横に竹刀が叩かれた。
 恐る恐る、顔を上げる。
 主将が俺を見下ろしていた。

「道場に寝っ転がるとはいい度胸だ」




「家に帰ったら、ちゃんと休めよ」

 宿直の先生に鍵を返すために校舎へ行く主将と別れ、俺は家路につく。
 足も腕もガクガクで言うことを聞いてくれない。

 よろよろと道を歩いていると、ある顔とすれ違った。
 思わず、振り返る。
 こんな時間にあの玉川 依子が歩いていれば、誰だって驚く。
 言うことを聞いてくれない体に鞭打って、玉川の後をつけた。
 玉川はお嬢様というには妙に市民的な服を着ている。
 俺のイメージではもっと高級そうなモノを着ているイメージがあったのだが、Tシャツにジーンズという格好だった。
 手には何かを持ち、気持ちよさそうに口笛を吹いていた。

 そして、あるアパートへと歩いていく。一階の端の部屋。そこに玉川は入っていった。
 男の家なのか?
 さすがに、いきなり乗り込む訳にもいかない。
 体も動かないし、今日のところは帰ることにした。
 煩悶とした思いを抱えながら。


 次の日、当然の結果というかなんというか、俺は筋肉痛に悩まされていた。
 二の腕と太股にぺたりと貼られた湿布が痛々しい。
 実際に痛いんだけど。
 俺は動かすたびに痛む身体に顔をしかめ、奇妙な歩き方をしながら学校へと行く。
 何とかいつもの時間に乗ることができた。
 きょろきょろとあたりを見回すと、程なく玉川 依子を発見できた。
 いつものごとく、友達とおぼしき少女達と談笑している。
 普段から少女達といるので、隙がない。
 彼女が一人の時でないと薬は使えないし、どうしたものか。
 結局、朝は隙を見つけることができずに学校へ行ってしまった。

 五限から授業をさぼり、玉川の通っている学校へと行く。
 幸い、今日からテスト一週間前なので部活はない。
 テストの結果も怖いが、そんなものは玉川と比べれば些細なものだ。
 ぞろぞろと校門から女子生徒達が出てくる。さすがにお嬢様学校だけあって、どこを見てもお嬢様という感じの少女達ばかりだった。
 その中でも、一際目立つ存在なのが玉川だった。
 彼女の回りには常に少女達が取り巻いており、帰りも隙が見えない。
 家の近くまで行けば、一人になる瞬間もあるかと思ったが、家にたどり着くまで最低でも二人は回りにいた。
 しかたなく、家に帰る。
 部屋でどうしようかと思い、考えあぐねているとふと思い出した。
 昨日、あの時間に玉川が一人で歩いていたことを。
 がばっと俺は起きあがると、家を出た。
 昨日、玉川をみた道へ行くと、きょろきょろとあたりをさがす。
 今日は結局見つからなく、俺は家に帰った。
 明日から、そこに張り込むことを決めて。


 張り込んで数日。ちょっとしたことが分かった。
 その日、玉川を見つけたのは例のアパートに入る瞬間だったので薬をかける暇がなかったが、この間のアパートには男か何かがいるらしい。
 制服で入ったのに、私服で出てくるといった事が何度かあった。
 その時は警戒して、俺は薬をかけるに至らなかった。

 そして、テストの日。
 テストの終わった後にいつもの通り、あそこで張り込む。
 俺は玉川が例のアパートから出てきて、しかもその部屋に鍵をかけるのを見た。
 あの部屋には誰もいない。
 ちょうどいい、間男になってやる。
 俺は決心をつけると玉川の前へと出た。
 この間すれ違った時と同じ、Tシャツにジーパンというラフな格好。
 長い黒髪をポニーテールにしている。
 どことなく雰囲気が違う気がするが、現在の格好のせいだろう。

「なに?」

 彼女は不機嫌そうな顔で言う。
 俺はそれには答えず、薬を吹き付けた。

「くっ」

 彼女は身をよじるが、そんなことでは薬から逃れられない。
 彼女の表情は固まり、双眸は焦点が定まっていない。
 彼女も落ちた。
 俺ははやる気持ちを抑えながら、慎重に言葉をえらぶ。

「玉川さん、玉川さん。聞こえますか?」
「はい・・・」

 ぼうっとしたまま玉川は答える。
 それだけで俺は勃起していた。
 ここは天下の往来。いつ人が来るか分からない。
 早急にここから離れる必要がある。

「玉川さん。あなたはこれから用事がありますか?」
「いいえ」
「では、アパートへと戻りましょう」

 俺が促して、あのアパートの中へとはいる。
 そこは全く汚くなく、綺麗に整頓されていた。
 テレビはないし、高価なものなんて全く見られない。
 ぱっと見、大体がそこらの量販店で売っているような家具ばかりで、貧乏学生の家のようだ。

「玉川さん。三つ数えるとあなたは目が覚めますが、目の前にいる私、吉岡 義男がとても好きになります。大好きで仕方ありません。いいですね」

 俺は玉川が頷くのを確認すると三つ数えた。
 玉川は目を覚ますと、顔色を全く変えず、壁へと寄りかかる。そして、本を取り出すと読み始めた。
 その反応に俺が面食らう。

「た、玉川」
「何よ、義男」

 自然な反応。
 自然すぎて、逆に俺は確認せずにはいられなかった。

「お前、誰が好きなんだ?」
「あんたに決まってんでしょ」

 乱暴な言葉遣い。
 あまりにもイメージとかけ離れている。
 俺が勝手に作り上げたイメージだからか、本人がこんなふうな性格だと言うことに結構ショックを受けた。
 だが、それ以上に好きだと言ってくれたことに対して浮かれていた。

「じゃあ、やろうぜ」

 その言葉が何を意味しているか分かっているようであるが、玉川は表情を変えない。
 そして、表情を変えないままこういった。

「やだ」

 俺は固まってしまった。
 どういう事だろうかと考え込んでしまう。
 だって好きなんだろ?
 好きなら誘われて、断るなんてあり得ない。
 俺には訳が分からなくなってしまった。

「やりたい時にはやるけど、やりたくない時にはやりたくない」

 玉川はそう言って、再び本に目を落とす。
 だけど、そんな答えで俺は納得できなかった。
 薬を玉川へと向ける。

 そして、静かに噴出した。
 再び弛緩し、顔から表情がなくなる。
 どさっと言う音とともに玉川の読んでいた本が下に落ちた。
 間男がいつまでも男の部屋にいる訳にはいかない。
 さっさと頂かないといけなかった。

「いいですか、玉川さん。あなたはとてもしたくなります。したくてしたくてたまりません。さあ、大好きな義男君としましょう」
「う・・・」

 玉川は身をよじる。
 だが、動こうとしない。
 効いていないのか?
 不安になる。

「とても気持ちいい事なんだ。玉川さんは気持ちよくなりたい。彼氏との行為はとても気持ちいい事なんだ」

 たたみ込む。
 玉川は苦しそうに身体をよじる。
 だが、それでも動こうとしない。
 もはや意地なのか。
 しかし、凄く苦しそうで、これ以上続けたら倒れるだろう事は予測できた。

「わかった。じゃあしなくてもいい。その代わり、キスしよう。それくらいならいいだろ?」

 荒い呼吸の中、玉川がこくりと頷いた。
 とろんと蕩けた眼。
 どきんどきんと胸が高鳴る。
 綺麗な黒髪、そして、真っ赤で艶やかな唇。
 その唇を知らない誰かの手から、知らない誰かの部屋で俺は奪った。

 タッタッタッ

 触れるだけの軽いキス。

 タッタッタッ

 だが、それは一瞬とも永遠とも言える時間の中での長いキスだった。

 バンッ

「お姉ちゃんっ」

 不意に扉が開き、その場の空気は固まった。
 真っ黒なストレートの長髪。
 フランス人形のような白磁の肌。
 髪と同じ色の瞳に、艶やかな唇。
 そして、お嬢様学校の制服。
 そこに入ってきたのは玉川 依子だったのだ。
 入ってきた玉川 依子は顔を真っ赤にして固まる。

「あ、ご、ごめんなさいっ」

 言って、玉川 依子は扉を閉めて出て行った。

「依子っ」

 俺とキスをしていた玉川 依子も玉川 依子を追って、部屋を出た。
 あとにはずっと固まったままの俺が残されたのだった。

「・・・・え?」

 しばらく頭が動かなかった。




「・・・・双子?」

 玉川 依子を連れて戻ってきた玉川 依子は俺にそう言った。

「そう、あたしが姉で玉川 豊子(たまかわ とよこ)。こっちが妹の玉川 依子よ」
「玉川 依子です。よろしくお願いします」

 ポニーテールの依子いや豊子に促されて、制服の依子が挨拶をする。
 二人を並べてみると違うところを探す方が難しい。

 ポニーテールとストレートの髪型を除けば、唯一の違いは瞳の中の意志の強さだった。
 豊子の方は焔が点いたように強力な意志があるのに対し、依子の方はあまり自己主張が感じられない。
 その瞳が唯一にして絶対の違いだった。
 それぞれの雰囲気の違いを表している。

「あの・・・お名前は?」

 依子が恐る恐る聞いてくる。
 そこで俺が名乗っていない事に気が付いた。

「あ、吉岡 義男です。こちらこそよろしく」

 思わず、下手に挨拶してしまう。
 その俺の態度を見て、くすくすと依子が笑った。

「あ、私お邪魔みたいですから、帰りますね」

 豊子と俺を見比べて、依子はそう言った。
 そこでようやく俺は気づいた。
 依子と豊子を間違えた事に。

「お、送ってくよ。夜は危ないし」

 陽は傾き、世界は橙色に包まれている。
 この部屋も知らない誰かがいつ帰ってくるかも分からないし、俺はさっさと消えた方がいいだろう。
 何より、目的の得物が目の前にいる。

「でも・・・」

 依子はちらと豊子を見る。依子は俺を豊子の恋人か何かかと思っているのだろうか?
 ここは知らない誰かの部屋で豊子がここにいるって事は豊子の恋人はそっちだって分かっているはずなのに。

「いいじゃん。送ってもらいなよ。夜危ないのは本当だしさ」

 豊子は再び本を手に取り、読み始める。
 別に気にしてないという感じだ。
 絶対の自信を持っているのか、それともどうでもいいのか、豊子の態度からは想像が付かなかった。

「お姉ちゃんがそういうなら・・・義男さん。お願いします」
「こ、こちらこそ・・・」

 ぺこりと頭を下げる依子。
 思わず、俺も頭を下げた。



 夕暮れの街路を憧れの玉川 依子と二人で歩く。

「でさ、主将がまた厳しくて、毎日筋肉痛なんだよ」
「ふふ、そうなんですか? 大変そうですね」

 彼女の笑顔はとても綺麗で優しい。
 いつまでもこうしていたかった。

「・・・お姉ちゃんを大切にしてくださいね」

 不意に依子が声を出す。

「お姉ちゃんはあんな性格でお父様やお母様とそりが合わなくて、家を飛び出して、それであそこで一人暮らしをしているんです。お姉ちゃんは何もいらないというか、自分からは欲しいものをねだらないから、誰かが世話を焼いてあげないと・・・」

 その言葉に俺は驚きを隠せなかった。
 良家のお嬢様があんなところで一人暮らし。
 あそこは知らない誰かの部屋ではなく、玉川 豊子の部屋だったのか。
 それは凄い事だと思った。
 だけど、依子は俺が豊子の恋人だと思っている。それは間違いだ。
 確かに、あの状況ではそう思われても仕方ない。
 実際に俺も豊子と依子を間違えてしまったのだ。
 そう、間違えてしまっただけで俺は豊子ではなく、依子の方を欲していたのだ。

「違うんだ・・・」

 俺の口から声が紡がれる。

「え・・・?」

 ぴたりと、俺と依子の足が止まった。

「豊子さんとは何でもない。俺は依子さん、あなたの事が好きなんだ」
「え、でも・・・そんな・・・じゃあ、あれは・・・」
「豊子さんと依子さんを間違えたんだ。本当は依子さんの事が好きだったんだ。電車で依子さんを見かけて、一目惚れした。大好きなんだ」
「でも・・・」

 依子はまだ姉の事を気にしているのか、おろおろとしている。
 実はここは俺ん家ののすぐ近くだった。
 あたりには人がいない。
 俺は薬を取り出すと、プシュと依子に吹きかけた。

「あ・・・」

 依子の顔から表情が消え、ぼうっと立っている。

「依子、聞こえるかい?」
「はい・・・」
「君は俺の事が好きでたまらなくなる。寝ても覚めても俺の事ばかり考えている。好きで好きでたまらない。三つ数えると目が覚めるけど、催眠術にかけられている時のことは忘れてしまう。でも、俺の言った通りになります。1,2,3」

 パンと手を叩くと、依子はビクッと身体を震わせた。
 俺を見る。
 すると、顔を赤らめて、すぐに俯いてしまった。

「どうかな?」
「でも、急に好きって言われても・・・心の準備が・・・」
「そんなのはどうでもいいんだ。要は依子さんが俺の事をどう思っているかが問題なんだから。・・・・俺の事は嫌いですか?」

 まっすぐに依子をみる。
 依子はもじもじと顔を赤らめて俯いていた。

「そんな・・・嫌いじゃ・・・なぃ・・・」

 声が小さくなっていく。
 顔がみるみる赤くなり、耳まで真っ赤になっている。

「それで十分だよ。じゃあ、つきあってくれるかな?」
「嬉しい、そうなったらいいなって思ってました」

 俺の言葉に依子は満面に喜びを表していた。
 そして、依子は目を閉じてあごをあげた。
 俺はそれに応えて、唇に触れるだけのキスをした。
 豊子とのキスと同じ、触れるだけの長いキス。

 唇を話すとほうっとした表情で依子が俺を見上げている。

「近くに俺の家がある。そこへ行こうか」
「はい・・・」

 俺と依子は連れだって家へと行った。
 部屋へと案内する。

「ここが俺の部屋。飲み物持ってくるからちょっとまってて」
「あの、ご両親は?」

 親に会っていないのを気にしているのか依子が俺に聞いてきた。

「ああ、うちね。親は忙しくて家があるのに家に帰ってこないんだ。だから、一人暮らしと同じ」

 そう言って、俺は飲み物を取りに行った。
 ポットから湯を入れたやかんを火にかけて、ちょっとほっとく。
 その間にカップに紅茶パックをつっこむ。
 程なく、湯が沸いたらそれをカップに注ぐ。
 冷蔵庫からレモンの切り身を取り出して、カップに添えた。

 それをお盆に乗せて持って行く。
 俺が部屋にはいると依子はおろおろと立ちっぱなしだった。

「そんなところに立ってないで、適当に座っていいよ」
「う、うん」

 俺がそう言っても、依子はおろおろとしている。
 お嬢様はこんな風な部屋に入った事はないのだろうか?
 俺はお盆を机の上に置くと、依子を引き寄せて、二人でベッドに座った。

「あ・・・」

 依子の顔が赤く染まる。
 先ほどから赤くなっているのでまるで茹で蛸のようだ。
 俺と依子は見つめ合う。

 ドキドキとお互いの胸が早鐘のように心拍数を高めていく。
 言葉なんていらない。
 ただ、その場にいるだけで俺達は際限なく気分が高まっていった。

 そっと依子の唇を奪う。
 依子も目を閉じて、俺を受け入れた。
 長い長いキス。
 俺と依子は抱きしめあって、お互いの体温を確認する。

 唇を放した後、依子の瞳は潤んでいた。

「いい?」

 短く聞く。
 それで意味が通じたか、依子もコクンと頷いた。

 キスをしながら依子をベッドへ押し倒す。
 服の上から依子の胸を揉み上げた。

「!」

 驚いて、思わず開いた口の中へ舌を滑り込ませる。そして、依子の舌と絡ませて、刺激を貪り合う。
 制服を押し上げて、胸をはだける。純白のブラジャーが慎ましげに胸を覆っていた。
 右手で乳房をすりすりと撫で回す。先ほどから、依子はビクッビクッと身体を痙攣させているが、唇を塞いでいるので声を出せないでいる。
 ブラジャーの形なんて分からないのでブラジャーも制服同様上へと押し上げる。
 ぽろんと出てきた乳房を直接触れた。

 ビクンッ

 一際、依子の痙攣が強くなる。
 感じているという事なのか。

 くりくりと乳首をつまむ。さらにくりくりと刺激を与えるとだんだんと乳首が立っていった。

「ん、んんっ」

 鼻で呼吸をしている依子が辛そうなので、なごり惜しみながらも唇を開放する。
 つ、とお互いの舌をつないでいた唾液も依子の方へと垂れていきやがてとぎれた。

 すぐさま、俺は反対側の乳首を口でくわえこみ、空いている片方の手をスカートの中へと侵入させた。
 布越しにあそこを刺激する。

「あぁっ!」

 依子は大きく身体を反らせる。柔道の寝技の応酬のように依子を押さえ込む。
 くりくりとした乳首に軽く歯を立てる。スカートの中の手をスリットに沿って動かした。

「はぅんっ」

 刺激に慣れさせるように、少しずつ手を動かす。
 荒くなっている依子の呼吸の中、俺の呼吸も期待に満ちて荒くなっていた。。
 再び、乳首に刺激を与えて、そっちに注意を行かせた後、すっと、布の中へと手を進める。
 つーっとスリットの上に指を走らせた後、おもむろに俺は指を突っ込んだ。

「ああぁっ」

 あつい柔肉。依子の中は指が一本通るのも大変だった。
 突然の感覚。そして、恐怖と痛覚に依子は逃げ腰になる。
 俺は乳首をくりっと刺激して、依子の耳元で囁いた。

「大丈夫。怖くない。大好きな俺とだったら痛くない。だから俺に身を委ねて」

 俺も何でこんな事を言ったのかわからない。
 今、依子はあの薬の支配下ではないが、この言葉は効果があった。

「大丈夫・・・怖くない・・・あなたとだったら・・・痛くない・・・」

 依子は呆然と呟く。
 何度も何度も。

「そう、痛くない。怖くない」

 俺も肯定するように耳元で囁き続けた。
 あそこの指を前後させる。処女膜を破らないように気をつけて。
 じゅぶじゅぶという音が部屋にこだました。

「怖くない・・・ぁあぁっ・・・・いたっ・・・く・・・ない・・・はぁあっ」

 上っていく快感でとぎれとぎれになりながら依子は言う。
 彼女は中に入っている指が二本に増えていた事に気づいていなかった。

 じゅぶじゅぶじゅぶじゅぶ。

「ああ、ああああ・・・ああああっ、ああああああっ」

 びくんびくんと痙攣を続ける依子。その痙攣の間隔がだんだんと短くなっていく。そして、それとともに依子の口から漏れてくる声が大きくなっていった。
 そして、親指が何かに当たったかと思った。

「ああああああああああっ!!!」

 依子は急に大声を出して、くたっとベッドに身体を預けた。
 はあはあと呼吸は荒く、全身の力を持って行かれたようにも見える。
 その姿に俺はますます興奮した。

 スカートをめくり、パンティを脱がす。彼女のソコは洪水でだらだらと液体が流れていた。
 俺はズボンを脱ぎ捨てて、モノをあてがう。
 挿れる前に依子を抱きしめて、耳元で囁いた。

「行くよ」
「はい」

 依子も俺を抱きしめる。
 それを合図にして俺は依子のなかへと侵入した。

 めりめりめりめり。

 少しずつ、あまり痛くしないようにゆっくりと進む。

「あ あ あ あ あ あ!!」

 断続的な声。
 痛いのか、気持ちいいのか俺には分からない。
 だが、初めては痛いと聞くから痛いのだろう。

「や、やめようか!?」

 そんなことをあまりにも考えていないくせに言う。
 依子はそんな俺に精一杯の笑顔を見せた。

「大丈夫・・・私は・・・義男君と一緒になれたのが嬉しいんだから・・・我慢できるよ」

 すぐに俺をきつく抱きしめる。もう顔は見えないが、「大丈夫、大丈夫」と耳に囁きかけてくる。
 意を決して俺は依子の中へと進んでいった。

 プチプチプチプチ

「ああああああぁっ!!」

 嫌な音とともに依子が叫ぶ。ぎゅうっと、俺をきつく抱きしめた。
 はあはあと荒い呼吸が耳元で聞こえる。

「大丈夫か?」

 ぎゅっと抱きしめてくる依子を引き離して、顔を見る。
 依子の瞳には涙が溢れていた。

「嬉しい・・・大好きな義男君に初めてをもらってもらって・・・私、幸せ」

 依子は涙を流して、微笑んでいた。

「ね、動いて・・・。義男君も気持ちよくなってよ」

 再び俺を抱きしめて、依子が囁いた。
 その言葉で俺は我を忘れた。
 依子の唇を奪うと、腰を前後に動かす。

 ぱんっぱんっぱんっぱんっ

 肉と肉のぶつかり合う音が響く。
 依子の内部はぎゅうぎゅうと俺のモノを締め付けて出せ出せと急かしてくる。
 俺と依子は舌を絡ませあい、互いに快感を求めた。

 ハァハァハァハァ・・・・・

 依子の肉が全方向から俺のモノを刺激する。
 俺はすぐに我慢できなくなった。
 急いで、モノを引き抜く。
 引き抜いた瞬間、モノの先からびゅくびゅくと白濁液が飛び散り、依子にかかる。
 依子のソコからもピンク色の液体が流れ出していた。

「も、もしかして、中で出しちゃった!?」

 そんなつもりはなかったけど、もしかすると出してしまったかも知れない。
 念のため聞いてみた。
 依子はその質問に首を振る。

「ううん、女の子の液も泡立てば白くなるの」

 依子の答えに俺は力が抜けた。
 ベッドの上にへたり込んだ俺を見て依子はにっこりと微笑んだ。
 そして、時計をみて何かに気づく。

「大変、もうこんな時間。早く帰らないと怒られちゃう」

 いそいそと身体を清める。

「シャワー借りますね」

 依子はあわただしくシャワーを使うと、急いで帰り支度をすませる。
 俺は玄関まで依子を送る。
 靴を履いて、立ち上がった後に依子は俺の方を向いた。

「あの・・・・また来てもいいですか?」
「ああ・・・いつでもいいよ」
「ありがとうございます!!」

 不意打ちだった。
 依子が俺の唇に唇を重ねる。
 一瞬だけの触れるキス。

 すぐに唇を放して、ぺこりとお辞儀をすると恥ずかしいのか、急いで外へ出て行った。
 俺は呆然と自分の唇に触れた。


 
 


 

 

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