変わらない日常


 

 

第3話


 僕の能力を使えば、何をどこまでできるのか。それを知っておかないと、失敗すると取り返しのつかない事になってしまう。超えてはいけない一線――それを把握しておかなければ、何をするにも半信半疑で動かなければならなくなる。そうなったら動くに動けないようになってしまうかも知れない。それはなんとしても避けなければ。

「おっはよう!」

「よう、おはよう」

 僕が家を出ると、計ったように隣から美帆子が出てきて僕に声を掛けてきた。十数年間、当たり前のように毎朝繰り返される光景。こんな変化のない日常がいつまで繰り返されるのだろうか。僕のこの「力」も使い方を誤れば、あっと言う間に崩壊してしまうだろう。

「文香ったら、最近調子に乗っちゃって。この前なんかね…」

 楽しそうに世間話をしている美帆子。こうして見ていると、この頃は少し輝いて見える時があるのは、僕が美帆子を意識しかけているせいなのだろうか。

 でもまだ僕は誰か一人に絞るということはしたくない。これは終始言い続けている事だけど、このところ自信がなくなってきた。僕の力を使えば誰でも僕の物にできるかもしれない。けど、そんな形で得たものなんて彼女と言えるのだろうか。力を得たばかりに、僕は普通の生活ができなくなっているのではなかろうか。僕は少し『力』を恐れ始めていた。

「おはよう、里枝」

「おはよう、岩橋さん。今日も二人連れで仲のよい事ね」

 美帆子の挨拶にそう答えたのは、隣のクラスの『相楽里枝』さんだった。話し振りからも分かるように、同じ学年とは思えないほどに大人びた雰囲気を持っている女性だ。

 身長も僕と同じかわずかに高いほどで、美帆子と比べると10センチ近くは高いように思える。漆黒の髪を背中まで伸ばし、それだけ見ればまるで日本人形のようだと言えなくもない。

 しかし、彼女が周りからそうだと言われないのは、高い身長をさらに強調しているその長い脚だった。学校指定の標準のスカートを履いているはずなのに、裾が膝上までしかなく、他の校則違反をしている女子生徒たちと同じに見えてしまうほどなのだ。無駄な肉などほとんど付いてない、光を放っているかのような脚線。そこを見ていると、日本人形と言うよりは西洋とか、フィギュアの人形を思わせる、そんな脚だった。

「またまた。私と健輔はそんな仲じゃないって」

 半ば照れながら必死で弁解する美帆子。うれしさ半分、迷惑半分、と言ったところに見える。僕への恋心を封印された美帆子だったが、少しまた僕に寄ってきたのかもしれない。

「あら、そうなの。私のクラスでは二人はもう付き合っている事になっているわよ。ま、私にはどうでもいい事だけれど」

 そう言い残して彼女は先に行ってしまう。僕と美帆子は顔を見合わせて、そして一つ溜め息をついた。

「う、噂って怖いよね。週刊誌にフォーカスされる芸能人のつらさが分かったような気がするわ」

「そんないいもんじゃないけどね。まあ、これだけ毎日一緒に登校とかしてりゃ、誰だってそんな疑いを持つんじゃないか?普通の人は幼馴染って言う関係の人を持ってないだろうし。噂がどうだろうと、事実は本人が一番よく知ってるんだから、それでいいんじゃないか?」

「そ、そうよね。じゃ、ちょっと部室に寄ってから行くから」

 いそいそと退散していく美帆子。何か微妙な空気を嫌忌したのだろうか、僕を避けるように部室の方へ行ってしまった。今の行動からしても僕に対して、美帆子が幼馴染以上のものを感じているのは確かなようだ。ま、それはそれだ。成り行きに任せる事にしようって決めたんだから、僕は何も気にする必要はない。僕は彼女を見送ると、教室へと向かった。

(さて、今朝会ったあの娘、ちょっと気になるよな。相楽さんか…美人系の人にも興味あるよなあ…早速、何か仕込んでみるか)

 今日は何か悪戯をしようかと目論んでいたのだが、それは中止し、相楽さんへの『裏』の悪戯へと方針転換する事に決めた。

 何にしても、美帆子に勘繰られないようにしなければ。あいつが部に行ってから動き出せばいいだろう。

 放課後になって美帆子を送り出すと、僕は動き始めた。相楽さんは僕と同じ帰宅部なので、動き始めるのが早いはずだ。ヘタをすると既にいないかも知れない。まあ、いなければいないで明日以降に回すだけだ。そう考えながら隣の教室を覗くと、教室から出ようとした誰かとぶつかりそうになった。

「!!」

「おっと。あ…」

 何と、そのぶつかりそうになった相手と言うのが相楽さんその人だったのだ。何かを口にしかかった彼女に対し、僕は否応なしに彼女の目を見詰め、『力』を発動させた。

「…」

 相楽さんの目から力が失われ、開きかけていた口が、その発音の形で止まってしまった。その直後にゆっくりと口が閉ざされていく。

「よし、じゃあついておいで」

「は…い」

 僕はボソッとそう彼女に指令すると、素直に彼女が僕の後に従ってついてくる。

「よし、じゃあ僕から3メートル離れた後ろからついてきてくれ」

「…はい」

 並んで歩いているとろくな噂を立てられない。それを恐れた僕は、彼女と間を取って移動する事にした。うーん、それでも何か違和感があるな。そう考えた僕は、一計を案じる事にした。

 僕は忘れ物を思い出したように突然戻り始めると、すれ違いざまに相楽さんに『指令』を伝える。

「さっきの命令はキャンセルだ。僕についてこなくていいから、今から5分後に3−Hの教室に来るんだ。いいね?」

「はい」

 僕はそう彼女に伝えると、3−Hとは別の方向に歩き始めた。

 3−Hとは過去には使われていたのだが、今は生徒の数が減ったので使われていない教室で、体育の時間には男子の着替えなどに使われている場所なのだ。そのためもあってか、普段から施錠はされていない。僕がしようとしている事に対しては、格好の舞台と言えた。

「そろそろ時間だな。鉢合わせると怪しまれるから…ちょっと遅れていくか」

 僕は時計で5分が優に経過した事を確認すると、3−Hの教室へと入った。まるで人の気配などは感じなかったが、入ってみるとそこには相良さんが立ち尽くしていた。

「お、ちゃんときていたな。よ〜し、じゃあ始めようか」

 僕は目の前に無防備に立っている相楽さんを見て、改めてその背の高さを実感させられた。今まで何人かの人間を『堕として』はきたが、こうしてやや見上げながら『指令』を発するなんて言うのは初めての体験だ。支配しているのはこちらだと言うのに、相手に見下ろされていると言うのは、何だか妙な違和感があるものだ。

「じゃあまずは…そうだな。身長と体重を教えてもらおうかな」

「…身長は171センチ、体重は…」

 彼女の口はそこから中々動かなかった。どうやら、彼女の中でまだ抵抗する意思が残っているようだった。ま、最初はこんなもんだろ。僕は彼女と目を合わせ、囁くような声で言った。

「さあ、この声が聞こえるかい?この声は君にとって最愛の人――君が全てを捧げたい人の声なんだ。だから、その声が質問してくる事には全て答えなくちゃいけない。例えどんな恥ずかしい事にでもだ。いいね?」

「は、は…い」

「よし、いい娘だ。じゃあ改めて聞くけど、身長と体重はいくらなんだ?」

 僕がそう聞いた途端、これまで無表情だった相楽さんの表情が、ぱっと晴れやかなものに変化した。彼女の中では、最愛の人と会話していると言う幸福感で一杯なのだろう。当然の事、その言葉には逆らおうともしない。彼女にとっては、その声に答える事こそが幸福なのだから。

「身長は171センチ、体重は43キロです」

 うへえ。その身長で43キロ!?ちょっと痩せすぎじゃないのかな。僕と20キロ近くも違うのか…そう言われてみれば、彼女はそんなには胸とかは大きくないような気がする。よし、ついでだから…

「ふうん。じゃあスリーサイズも教えてくれるかな」

「はい!上から82・53・84です」

 微妙なところだな。でも、普通と言えば普通か。それに、相楽さんの魅力はそんなところにあるのではないし。それはそうと、やっぱり『ですます言葉』で答えられるとくすぐったいよな。留美の時みたいに、タメ口を利いてもらうか。

「よし、相楽さん。これから君は僕に対しては普段、美帆子としゃべっているような口調で話してくれ。決して敬語などを使う事のないように。いいね?」

「は…う、うん。わかった」

「うん、それでいい。それから、二人だけの時は僕の事を健輔と呼ぶんだ。僕も君の事は里枝と呼ぶからな」

「う、うん。うれしい!健輔にそう呼ばれるなんて」

 僕は「二人だけの時」と言うところに念を押しておいた。留美の時みたいに、美帆子の前でもやられると、あらぬ(実際には大アリなんだけど)疑いをかけられる恐れがあるからだ。

 さて、あまり時間もあるわけじゃないし、そろそろ本題に入らないといけないな。

「里枝、君の脚って長くて細くってきれいだよね。やっぱり脚には自信を持ってるんじゃないの?」

「え?まあ確かに他の人よりは長い気はするけど、単純に長ければいいってものでもないし…」

「え?君は脚にコンプレックスを持っているのかい?そんないい脚をしているのに」

「い、いや、そんな事はないんだけど…でもみんな脚ばかりを見ているような気がするし、あまりいい気分じゃないわ」

 なあるほど。それはまあ仕方ないんじゃないかな。これだけの美脚を見せ付けられたら、普通の男だったら放ってはおかないだろう。

「里枝は自分の脚が気に入ってはいるけど恥ずかしいと――なるほど。で、話は変わるけど、今は彼氏はいるの?」

「え?そ、そんなのいないわよ」

「え?今はフリーなのか。そりゃもったいないな。ん?どうしたんだ?」

 急に落ち着きのなくなった里枝の様子に気付いた僕が質問すると、彼女は僕の顔から目を逸らし、恥ずかしそうにうつむいてしまった。ちょっと聞き方が悪かったのかもしれない。

「何だかソワソワしてるけど、どうしたのか、言ってみなよ」

「と、トイレに行きたくなっちゃって…」

 あ、そうなのね。そりゃ落ち着かなくなって当然だわな。それじゃあ行かせてあげるか――ん、待てよ。このまま行かせると、ここを往復しているところを誰かに見られてしまうかもしれないな。そりゃあちとマズイ。しょうがない、ここでシてもらうか。

「トイレ。そりゃ早く行かないといけないな。ところで里枝。ここがどこだか分かるかい?」

「え?教室でしょ。3−Hの」

「ええ!?何を言ってるんだ里枝。ここは廊下じゃないか。ホラ、目の前にはトイレがある。左が男子で右が女子だ。そうだろ?」

 里枝は目を凝らすように何度か瞬きをすると、急に目を見開いた。どうやら里枝の中では『事実』を確認できたようだ。

「え?……あ、ホントだ。私、何をボケていたのかしら。じゃあ、ちょっと行ってくるわね」

 里枝はそう言うと、『教室の奥』へと進んでいく。そこには本来の里枝が持っているはずの、毅然とした雰囲気がかなり損なわれていた。いそいそと奥へ進み、あるはずのない扉を閉めて、何かをまたぐように脚を開いた。

 そしておもむろにスカートを捲り上げて中のショーツを引き下げる。細く長い脚を白い布地が通り抜けていく。膝までショーツを引き下ろしたところで彼女はその場に腰を下ろした。

 里枝は前方に手を伸ばし、何かを引くような動作をした。恐らく水でも流そうとしたのだろうが、ここにはそんなものがあるはずもない。それらを済ませると、彼女は目を閉じた。どうやら臨戦態勢に入ったようだ。

「んっ」

 里枝が声をあげた瞬間、ぴゅっと言う音と共に、股間からちょろっと水滴がこぼれた。かと思う間もなく、小水は奔流となって床を濡らしていく。シャアッと言う激しい音が聞こえているのだが、水の音で掻き消せていると信じ込んでいる里枝本人はそ知らぬ顔で用を足している。

 ようやく出し終えたようで、里枝はわずかに腰を浮かし、前方へ手を伸ばした。紙を掴もうとしているようだが、そんなものはありはしない。しかし、濡れっぱなしじゃかわいそうだ。僕は一計を案じ、里枝の荷物からティッシュペーパーを探し出し、彼女に手渡した。

 里枝はそれを当たり前のように受け取り、股間を丁寧に拭き取る。そして当然のように、それを自分の出したものでできている水溜りの中にぽとりと落とし込んだ。

「ふうっ」

 一つ溜め息をついた里枝は、立ち上がりながらショーツを引き上げ、服装を整えた。そして『水を流す』と、『扉を開け』てこちらへ向かって歩いてきた。途中で立ち止まり、横を向くと、前に手を伸ばし何かを掴むような動作をした。どうやら『手を洗おう』としているようだった。

 ポケットから取り出したハンカチで手を拭き取ると、里枝はようやく『トイレから出て』きた。

「おかえり」

「あ、待っててくれたの。じゃ、戻りましょうか」

 戻ると言っても、ほとんど移動しないんだけど。僕らは水溜りのある場所から少し離れ(さすがに匂ってくるのはつらいからね)、再び向かい合った。そこにはトイレに行ったと言う後ろめたさのようなものはなく、まして教室の床に放尿してしまったと言う罪悪感など微塵も浮かんでいなかった。

「ところで、里枝は彼氏がいないって言ったけど、男性経験はないのかい?」

「え、そ、それは…まだないわよ。やっぱり初めては一番好きな人に捧げたいと思うし」

 はあ。いまどき古風な考え方をする娘だな。でもまあ、美帆子もそうらしいし、世の中まだまだ捨てたもんじゃないってところか。

「ところで、里枝にとって僕はどんな存在なんだい?今こうして二人きりでいるけど、それについてはどう考えてるんだい?」

「そ、それは、その…」

 言いよどむ里枝。顔が赤く染まり、恥らっているのがよく分かる。先ほど、僕の事を『最愛の人』と刷り込んでおいたのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、里枝自身にあえて口にさせるところがポイントなのだ。

「言いにくいようだね。じゃあ僕の目を見て……さあ、里枝、今から僕が10数えるけど、数が増えるごとに、僕への気持ちがどんどん高まって、僕の事をどんどん好きになっていくよ。そして10数えた時には、君はもはや抑えられないところまで気持ちが高まるんだ。分かったかい?」

 こくりと里枝は頷いた。

「よし。じゃあ数えるからね。1…2…」

 僕が発音するごとに、里枝の体がぴくりと反応する。僕の言葉に呼応して、何か里枝の中で変化が起きているのは明らかだった。

「3!」

 3をカウントした瞬間、里枝の瞳が潤み始めた。そろそろ愛情が高まってきて、それが性的なものにまで変化してきているのだろう。いわば『欲情してきている』のだ。ここまでくると、あとは時間の問題だ。

「…4…5…」

 すでに里枝の全身は小刻みに震え始めている。潤んだ瞳を何度も瞬かせ、僕の事を熱の篭った視線で見詰めていた。

「6…7」

 本人は自覚していないようだったけど、里枝は僕の方に一歩前進してきた。もはや手の届く位置に二人は接近してきている。しかし、理性が最後の抵抗をしているのだろう、それ以上は近付いてこようとしない。しかし、里枝の顔は紅潮し、わずかに汗すら滲んでいて、あらゆる激情を押さえ込んでいるかのように見えた。

「…8…9…」

 里枝がまた一歩踏み出した。体が小刻みどころか、見て分かるほどに震えているのが分かる。よくは分からないけど、もしかしたら軽く達してしまっているのかも知れない。いよいよ最後だ。僕は最後の数字を口にする――

「10、うっ!」

 最後まで言わせてもらえないうちに、里枝の唇が僕の口を塞いでしまった。驚きも覚めやらぬうちに、熱いものが僕の口腔内に侵入してくる。それは扇情的に動き、僕の舌を絡め取ろうとしてきた。

 熱い口付けを交わした僕らは、いつの間にか僕を下にして床の上に倒れこんでしまっていた。

「ああ、健輔。は、早くあなたが欲しいの!」

 里枝はうなされるような口調でそう言うと、僕のズボンをあっと言う間に脱がせてしまい、僕のアレを引っ張り出してしまった。

「ああ、これよ。これが欲しかったの!」

 里枝は僕のそれを手で優しく包み込むように上下にしごき始める。キスの興奮で出来上がりつつあったので、あっと言う間に臨戦態勢が整ってしまう。里枝はそれを見て凄絶な笑みを浮かべると、それを口に頬張ってしまったのだ。

「ううっ!」

 思わず声が出てしまう。里枝はそれを聞いて、心底うれしそうな表情を見せると、ゆっくりと顔を上下させ始めた。

 しかし、本当に処女なのか――そう思わせるほど、見事な舌使いだった。元来、それだけの素質があったのか、僕が仕掛けた偽りの愛情がそうさせているのか。いずれかは分からないが、彼女が僕を満足させてくれている事は確かだ。

「う…出そうだよ、里枝。あっ」

 里枝のテクニックがあまりに優れていたのか、僕はあっと言う間に上り詰めてしまった。僕のそこから大量に放出される白い塊を、里枝は心底うれしそうな表情でこくりと飲み込んだ。

「ふぅ〜…さて、次は僕が里枝を喜ばせてあげる番だな」

 僕は里枝の体をそっと横に押してやると、逆に彼女の上に覆い被さるような体勢になった。里枝は緊張気味に目を閉じているものの、抵抗する気配は見せない。

 僕は里枝のスカートをそっと捲り上げたが、すでにショーツの上からでも分かるほどにそこは湿りを帯びていた。僕はこみ上げてくる何かに引きずられるように、その濡れそぼったショーツをゆっくりと脱がせていった。

「うわあ…」

「いやあ、あまり見ないでよ」

 顔を真っ赤にしている里枝だったが、僕はそんな事に一切構いはしなかった。恐らく里枝も初めて他人に見られるのであろうそこは、驚くほどに美しかった。きちんと手入れでもしているのか、恥毛もその部分には生えておらず、今は興奮のためか少し開きかけていた。

 僕は鼻息を荒くしながら、もうすでに濡れて輝きを放っているそこに指を突き立てた。

「あ…」

 そこは信じられないほどに軟らかく、しかしすっかり熱を帯びていた。僕はがっつくようにそこに舌を這わせてしまっていた。何か塩辛いような、変な味がする。あ…里枝はさっきおしっこをしたばかりだったんだった。それでこんな味がするんだ…

「美味しいよ、里枝のここ。ホラ、こうしてるとどんどん濡れてくるよ」

「いやあ、そんな事言わないで…」

 一層恥ずかしがる里枝だったが、それに比例するように里枝のそこはさらに濡れていくのだ。それが分かるだけに、僕の舌も懸命に動いてくれる。びくびくと小刻みに体を震わせて反応を見せてくれる理恵を見るにつけ、一度力を失っていた僕の下半身も再び起き上がろうとしていた。

「うん、そろそろ準備もいいようだね。じゃあそろそろ行くよ、里枝」

「え?ま、待って」

 慌てて股間を押さえて抵抗しようとする里枝に、僕は顔を向けた。

「ん?大丈夫だよ、里枝。ちゃんと痛くないようにするから」

「で、でも…」

 まだ躊躇を見せる里枝に対し、僕は一計を案じた。僕は彼女の股間に手を添えるとやさしく撫でるように動かし始めた。

「よし、じゃあ僕がおまじないをかけてあげる。ホラ、こうして僕の手がさすると、そこは痛みを感じなくなるんだ。ほうら、これでいい。ちょっと試してみるよ」

 僕は里枝の恥毛を一本引っ張ってやった。男の僕のものともまた違う感触。抜けるかどうか、と言うところまで引っ張ってやるが、里枝の表情は変わらなかった。

「ね?痛くないでしょ。何も感じないわけじゃなくて、痛みに対してだけ感じないようになってるんだ。ほら、暖かさとかは感じるだろ?」

「…あ、ホントだ」

「よし、これでいいだろ。さ、脚をもっと開いて」

 それでも抵抗感があるのか、里枝の見事な美脚はなかなか開帳してくれない。しかし、僕の言葉と性的欲求には勝てないようで、ゆっくりと脚は開かれていく。

「よーし、それでいい。じゃ、行くからね」

 僕はもうすでに滾りきっているそこを、位置を合わせて里枝のそこに突き立てた。強烈な抵抗感と共に、里枝の体温が伝わってくる。

「う…」

「痛くないだろ?行くよ」

「う、うん。来て、健輔」

 僕は腰を落とし、里枝の体内の奥深くへと侵入していった。ずぶりと言う感触と共に里枝の股間から赤いものが流れ落ちるが、里枝の方も僕の術が効いているのか、痛みは感じてはいないようで、どちらかと言うと挿入による息苦しさのようなものを感じているらしかった。

「んふ…」

 里枝が柔らかい吐息を洩らした。どうやら少しずつ感じてきているようだった。僕も痛みと言うリミッターを外されて、強烈に締め付けてくる里枝の攻めに、耐えがたいほどの快感を覚えていた。

「う、すごいよ、里枝。そんなに締め付けられたら…ううっ!」

 僕は不覚にも里枝の膣内に発射してしまった。もしも子供ができてしまったら――さすがに僕も血の気が引いてしまった。

「ふぅ…大丈夫よ、健輔。今日は安全日だから」

 その言葉に僕の心は一気に救われた。とは言え、快感に泳がされた僕がミスを犯してしまったのは間違いない。次回以降は気を付けないと――特に処女との時には。いや、いい勉強になりました。

 気が付けば里枝が僕のあそこを優しく撫でていた。顔を向けると里枝はにこりとした。

「さ、私はまだ満足してないわよ。続きをしましょうか♪」



 あれから僕は抑圧されていた里枝の性欲の洪水に飲み込まれてしまい、ようやく終わった頃には立っているのがやっと、と言う状態だった。

 家に帰った僕を待っていたのは相変わらず怒り顔の美帆子の姿だった。美帆子の疑いの目をかわしつつ、僕は泥のように眠り込んでしまった。

 さて、翻弄された僕だったが、今回も里枝には悪戯を施してある。やはりあの美脚を放っておく手はない。里枝には毎日ストッキングを穿かせる事にし、毎晩脱いだそれをオカズにしながら一人自分の体を慰めるように指示した。おかげで元来は自分の脚が気に入っていなかった風だった里枝が、脚を強調するようなスカートを穿いている始末だ。

「そう言えば、里枝ちゃんに最近彼氏ができたみたいだよ」

「え?そうなのか。そりゃよかったな」

「そうなの。あの娘ったら、ちょっと男の人を避けてるような雰囲気があったけど、この頃ちょっと変わったわね。積極的になったって言うか」

 それはそうだ。何せ他ならぬ僕が仕掛けた事だもの。ま、彼氏ができたってのは意外だったけどね。

「あ〜!その顔は何か知ってる顔ね!?白状しなさいよ!」

 おっと、相変わらずスルドイ美帆子であった。こんなのと付き合いだしたら尻に敷かれる事になりそうだなあ…ま、それはそれでいいか。

 
 


 

 

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