変わらない日常


 

 

後編


 僕は完全に思考能力を失った、生気のない目を向けている渡瀬さんを目の前にして、興奮を隠し切れなかった。

「さ、これから僕の言う事をよく聞くんだ。…これ以降は君を『留美』と呼ぶけど、それは君にとってはごくごく当たり前の事なんだ。だから全然気にならない。いいね?」

「はい、私は藤原君が私の事を『留美』と呼ぶのは自然な事で、気にしません」

 ん?そうか。僕だけが名前で留美の方が苗字で他人行儀な呼び方をするのはおかしいな。よし――

「それと、留美も僕の事は『健輔』と呼ぶんだ」

「…はい。私はあなたの事を健輔と呼びます」

「ん。それじゃあまず、留美の部屋を見せてもらおうかな」

「…はい。私は健輔に私の部屋を見てもらいます。それではご案内いたします」

「ちょっと待った」

 僕はおもむろに立ち上がって部屋へ歩き出そうとする留美を制止した。今は術に掛かっている状態なので、留美もぴたりと動きを停止した。

「僕の言葉には従ってもらうけど、そんな奴隷みたいな口調はしなくていいよ。できれば普段通りの言葉使いで話してくれるかな?」

「…分かったわ。健輔とは普通に話す事にする」

「よし、それじゃあ留美の部屋に行こうか」

「うん、こっちへきて」

 言葉使いは完全に普段通りに見える。しかし、留美の目は前方の一点だけを見詰めているような、一種独特の雰囲気があった。

「さ、入って」

 留美に促された私は、あっさりと彼女の部屋に侵入する事に成功した。僕を――男を迎え入れるつもりなど毛頭なく、一切の虚飾を施していない生のままの留美の部屋。ピンク色のシーツが掛かっているベッドの上には、今朝彼女が脱ぎ捨てたのだろう、黄色いパジャマの上下が打ち捨てられており、さらに、勉強机の横にあるごみかごには、何に使ったのか丸められたティッシュが捨てられていた。

 とは言え、全体としては片付けられていて、さすがに女性の部屋だと言う印象だった。ベッドの周辺以外は全体的に黒でまとめられている雰囲気と言い、美帆子の部屋とはかなり違って、大人の印象を抱かせる部屋と言えた。

「へえ。これが留美の部屋なのか」

「そうよ」

 留美は精気の無い目をしたままそう答えた。うーん、これじゃああまり面白くないな。

「よし、じゃあ今から僕が手を一つ叩くと留美は正気に戻るんだ。けど、僕がさっき言った内容には従わなくちゃいけない。それと、留美が僕をこの部屋に連れ込んだ事については全然気にならないよ。部屋が少し散らかっている事も全然気にしないんだ。分かった?」

「うん、私は健輔が手を叩くと目を覚ます。で、健輔を部屋に入れた事や、部屋が散らかっている事は気にならない」

「よし、それじゃあ手を叩くからね。はい!」

 ぱん、と手を打ち鳴らすと、留美の瞳に輝きが戻り、瞬き一つしていなかった目がぱちぱちと開いたり閉じたりした。

「あれ、私どうしてたんだろ?」

「何言ってるんだよ。留美が僕を君の部屋に案内したんだろ?」

「え…?そ、そうだったわね。じゃあ健輔、そこにでも座って」

 留美に促され、僕はベッドの上に腰掛けた。ベッドの上には黄色いパジャマが置いたままなのだが、留美は一切気にしていないらしい。

 それと、留美は僕を健輔と呼んだ。暗示は上手く継続しているようだ。では、前に掛けた暗示は保持されているのだろうか?僕は試しに一つ聞いて見る事にした。

「留美。それって何に使ったの?」

 僕は意地悪く、さっきの丸められたティッシュを指差してそう言った。

「ああ、それはリップクリームを拭き取るのに使ったものよ」

 何だ。アレに使ったんじゃなかったのか。ちょっと残念。もしそうだったら留美の口からその言葉が聞けると思ったのに。まあいいか。言わせるだけならどうにでもなるんだから。

「ふうん。ところで留美はオナニーってするのかな?」

「ええ。するわよ」

 あっさりと答える留美。当然の事ながら、答えるのが嫌な質問だったのだろう。僕は僕で少しドキドキしながら会話していた。それはそうだ。僕の方は普段と変わりない僕なのだから。こんな会話、日常生活で普通にあるものじゃない。

「それで?どのくらいのペースでやってる?」

「えっと、ムラムラッとした時にやるから…週に2回か3回程度かな」

 そうか。なるほどなるほど。結構やる事はやっているんだな。しかし、こんな真面目そうな留美がムラムラくるって言う言葉を吐くのは想像ができなかったな。直接には言わせているわけではないところが余計に興奮させられるじゃないか。

「男とのセックスに比べてどうなの?やっぱり物足りない?」

 僕の質問に対し、留美は何とも言えないような笑みを浮かべた。どうやら、僕に対して優越感のようなものを抱いているような、そんな表情だ。

「へへへー。そう思うのが男の浅はかさよ。自分の体の事は自分が一番よく知っているのよ?どこをどうすれば一番感じる事ができるか。男の乱暴な触り方では到底到達できない境地にまで自分でなら上り詰める事ができるわ。それに、今までもそうだったけど、男の方が先にいっちゃって、私が満足させてもらえないまま、なんて言う事の方が多いくらいだもの。とてもじゃないけど、男との方がいいなんて言えないわね」

「へえ、そう言うものなんだ」

 なるほど。それはそうかもしれない。男は女の体を目の前にすると、相手の事を考えない野獣になりがちだ。まして留美はまだ肉体も成熟しきってはいない高校生なんだ。彼女が言う事は恐らく一般的な考え方なのだろう。

 ――だけど。今日僕がそれを変えてあげるよ。男の肉棒なしでは生きていけないほどに。

「じゃさ、ここでやってみせてくれないかな?女のオナニーって奴を」

「はあ?どうして私がそんなものを健輔に見せなくちゃいけないのよ?」

 おっとっと。調子に乗りすぎて、命令を受け入れる状態になってもいないのに、自分の願望を口にしてしまった。彼女にはまだ正直に話す指令しか与えていないんだった。

「留美、『かえるのしっぽ』」

 がくん、と留美の全身が弛緩し、危うく前に倒れ込みそうになる。僕は慌ててベッドから立ち上がって彼女の体を支えてやる。うーん、留美の体温を感じるなあ。いい香りもするし。おっと、こんな事に興奮している場合じゃない。

 僕は留美の体をしっかりと座らせると、再びベッドの上に座った。うつむき加減の留美をちょうど見下ろす形になる。その留美は身じろぎ一つせずに僕の言葉を待っている。

――このまま言葉を掛けなければどうなるのだろうか。力尽きるまでここでこうしているのだろうか。いや、その前に家族の誰かに――いやいや、そんな事を考えても仕方がない。ここは待っている留美の期待に応えてあげなくては。

「よーし。それじゃあ留美、今から僕が言う事をよく聞くんだ。分かったら返事して」

「うん、分かった」

「OK。これから先、僕が色々と指示すると思うけど、留美はそれに逆らう事はできない。いや、できないどころか、僕に従う事が留美にとって何より幸せな事だと感じるようになるんだ。分かったかい?」

「…うん。これからは健輔の言う事に喜んで従うよ」

「じゃあまず…じゃあまず僕に向かってウィンクしてみて」

 留美は即座に反応した。僕の方に顔を向けると、何がそんなに嬉しいのか、精一杯の笑顔を作って片目を閉じる。ふむ。命令通り動いているようだ。

 でもまあ、こんなものは普通にやってくれって言ってもやってくれるかも知れないレベルの命令だ。普通なら絶対にしない事をさせてみないと術を掛けている面白味がない。

「じゃあやめていいよ。じゃあ次に…そうだな。留美はトイレに行きたくはないか?」

「ううん、まだ全然大丈夫」

「ふうん…」

 留美が溜まっていたらトイレに行かせて生で見せてもらおうかと思ったのに、残念だ。…ん、待てよ。術ってのは肉体にどこまで干渉できるものなのだろうか。いい機会だからちょっと試してみよう。

「いいかい、留美。君は今座っているよね。当然重力は下に向いて掛かっている。君はさっきお茶を飲んだよね。あれがそろそろ降りてくる頃じゃないかな。ホラ、今膀胱に入った。おしっこをしたくなってきたんじゃないか?」

 命令ではないこの言葉に留美はどんな反応を示すか。「おしっこがしたくなる」と直接命令を与えるのとどう違うのか、興味のあるところだ。

…お?留美が反応しているぞ。下半身をもじもじとさせて、これはもしかして?

「何だ、留美。もしかして出そうになってきたのか?」

「うん、何だか急におしっこがしたくなってきたの」

 留美はちょっと切ないような表情を見せていた。本当に催してきたのか、それともそう思い込んでいるだけなのか。その答えはすぐに判る。

「よし、じゃあトイレに行くといいよ。ただし、トイレの扉は決して閉める事はできない。それ以外は普通に行動するんだ。いいね?」

「うん、今からトイレに行くけど、扉は閉めないわ」

「うん、じゃあ行きなよ」

 留美はおもむろに立ち上がり、トイレへ向かって歩き始めた。僕も当然のごとくにそれについていく。留美は僕がついてきている事に、何の関心も抱いていないようだった。ただトイレに行って用を足す、それだけを考えているようだ。

 留美はトイレの扉を開けると、扉には一顧だにせず、こちらに向き直った。目の前にいる僕の事など、全然視界に入っていない。

 留美がおもむろにジーンズを引き下ろすと、僕の目の前には留美の穿いている水色のショーツが曝け出された。間髪置かずに留美はそのショーツも引き下ろす。

「ストップ!」

 僕が静止を呼びかけると、ショーツを引き下ろす手がぴたりと止まった。脚の付け根がショーツから離れるかどうかと言う微妙なタイミングで留美の動きは停止していた。何となくこの光景をじっくりと見たかったためにそうしたのだが、想像通り、この光景はなかなか興奮させられるものだ。

 股間から離れる直前にあるショーツの股布の上には、留美の股間から抜け落ちたと思われる一本の毛が乗っているのが見て取れる。僕はその一本を摘み取った。

(これが留美のアソコの毛か…)

 目の前に見えている茂みには見向きもせず、僕は手に取った一本の毛に注目していた。男の物ほど縮れてはいないように見える。僕はそれを記念にポケットにしまった。

「よし、じゃあ動いていいよ。続けて」

 ビデオの映像を「一時停止」から「再生」に戻したかのように、留美は再びショーツを引き下ろしていく。足首辺りまでショーツを引き下ろすと、留美は便座に腰掛けた。

「ん…ちょっとよく見えないな。脚をちょっと開いてみようか」

 僕の言葉に反応して留美の足がゆっくりと広がってゆく。段々と露わになっていく留美の股間。それどころか、股間にある割れ目の中身までもが広がって晒されていく。ううん、たまらなくいやらしい光景だ。

「おっと、それはしなくていい」

 トイレの水を流そうと、コックに手を伸ばそうとした留美を僕は制止した。手を引っ込めて何もなかったかのように行動を再開する留美。もう出そうなのか、今にも泣き出しそうな、妙な表情をする。

「…んっ」

 留美がちょっと体を震わせると、ちょろっと数滴股間から流れ出た。その直後、勢いよく尿がほとばしり始めた。シャアッと言う音が僕の耳にもしっかりと入ってくる。だけど、そんな音よりも僕には、留美の股間とトイレの便器を結んでいる放物線に目を奪われていた。

 僕が昔見た、美帆子の放尿シーンとはまた違い、あまりきれいとはいえない起動を描きながら排出されているそれ。小陰唇に阻害されているためか、二つに分岐して噴出している。飛沫が飛んでふとももやお尻までも濡らしていっている。それはそれで気持ち悪いだろうに、留美は平然とした、いや、むしろ恍惚とした表情をしていた。いつもの事なので気にもならない、と言ったところか。

 意外と短時間で(無理矢理尿意を呼び起こしたためだろう)用を足した留美は、紙で股間を拭き始める。僕はその光景の一部始終をじっくりと観察する。なるほど。お尻からアソコの上に向かって順繰りに拭くわけか。何か、上からやった方が正しいような気がするんだけど、まあ大差ないだろうな。

 最後に紙でふとももをひと舐めすると、留美は立ち上がってショーツを穿き始めた。脱ぐ場面では嫌に興奮してしまったものだが、穿く段になるとそうでもない。ただ、どちらにしても普段は決して見る事のできないシーンである事は疑いようもない。

 留美は水を流すと再び部屋に向かい始めた。僕も慌てて先に部屋に戻る。そして何食わぬ顔で留美を出迎えてやった。

「よう、おかえり」

「え?ああ、いつの間に帰ってたの?」

「まあ、そんな事より座りなよ」

「うん」

 あっさりと留美は僕の前に座り込む。そう言えば術を掛けっ放しだったな。解いて会話をしてもいいが、あまり時間もなくなってきているな。そろそろ次のお楽しみと行くか。

「ところで、留美はさっき週に2回はオナニーするって言ったよな?」

「ええ」

「ふうん。じゃあ、今ここでやってみてよ」

「え…う、うん。いいけど…」

 一瞬の躊躇の後、留美はおもむろに胸に手をやって服の上からゆっくりと動かし始めた。

「いつもそうやって服の上からやっているのかい?」

「うん、最初はいつもこんな風にして気分を高めていくの」

 わずかに呼吸を荒げながら僕の質問に答える留美。本当に気分が高まってきているようだ。全身がもぞもぞと動き、彼女のもどかしさを表現している。

「…んっ…」

 留美は服の上から既に硬くなり始めている乳房の先端部分を指で摘み、こりこりと転がし始めた。顔を軽く仰け反らして刺激の大きさを示す留美を見ていると、こちらも興奮させられてくる。

 たまらなくなってきたのか、留美は足を広げるとジーンズのボタンを外し、ファスナーを少し引き下げると、おもむろにショーツの中に右手を突っ込み、直接股間を触り始めた。ショーツの中で手が激しく動き、ショーツを様々な形に変形させる。

「んふ…」

 留美が甘い声をあげた。もうすでに目は閉じられて、自分の体から伝わってくる悦楽に身を任せているようだ。すでに左手はシャツの下から差し込まれて、直接に胸を触っている。

 五分ほどそうしていただろうか。必死になって手を動かしている留美だったが、そこからは決して最後まで辿り着く事ができないようだった。もどかしげな表情をしながら、懸命に動いている。

「だ、ダメだわ。全然盛り上がってこない」

 突然手の動きを止めた留美が僕に向かってそう言った。そう言えば女のオナニーはイメージを膨らませながらするものだって聞いた事がある。僕に指示されて動きだけは再現してくれているが、恐らく何も頭に浮かべてはいなかったのだろう。そんな状態で最後まで達しろと言われてもなかなか難しいに違いない。

「ちょっとその手を見せてよ」

 僕がそう言うと、ショーツの中に突っ込まれていた留美の右手を手に取ってまじまじと観察した。そこを見ても濡れている様子は全くない。やはりある程度までしか気分が盛り上がっていなかったようだ。――よし、それならこれを試してみるか。

「留美。この手は魔法の手だ。この手に触れられた部分は、どんなところであってもクリトリス並に感じてしまうんだ。だけど留美、君はオナニーでは決して達する事はできない。分かったね?それじゃあ続けて」

 留美は頷くと、再び胸から触り始めた。

「ひゃん!な、何!?」

 乳房に手が触れた瞬間、留美の体が大きく跳ねた。驚いたような表情を浮かべる留美。よほど感じてしまったらしい。留美は夢中になって胸を揉み始めた。

「あん…こ、こんなに感じるなんて…!」

 留美の腰が悩ましげな動きを見せ始めた。留美の手はその欲求に逆らう事なく、股間へと伸びていく。

「そんな物を穿いているとやり難くないか?脱いじゃえよ」

「え、あ、そ、そうね」

 妙に腑に落ちた表情を見せた留美はジーンズを引き下ろし、次いでショーツまでも脱ぎ捨ててしまう。僕の目の前には情欲を求めてひくついている肉襞がはっきりと見えていた。思わず触ってみたい衝動に駆られるが、ここはぐっと我慢し、留美が自分で処理するに任せた。

 邪魔がなくなり開放されたそこを、留美は再び弄り始めた。襞を丹念に揉み解したかと思うと、おもむろに肉壷に指をねじ込む。

「ふうっ…!い、いいわ…」

 股間を大きく広げて指を出し入れする留美。もはや僕がいる事など一切関係なく、自分の欲望のままに手や腰を動かしているさまは、僕を興奮させるには十分なものだった。

「あ…イキそう…!ん、ん」

 留美はかなり上り詰めてきたのか、一層手の動きが激しくなってきた。しかし、どれだけ激しく攻め立てようとも、決して最後まで達する事はできない。それに気付き始めたのか、留美は焦りの表情を見せ始めた。

「え…んふう!ど、どうして?こ、こんなに感じているのにイケないなんて…あん!」

 股間からはぐちょぐちょと淫靡な音が聞こえてくるが、どれだけ音が激しくなろうとも留美は決して果てる事はなかった。

「留美。イキたいだろ?今の君はオナニーなんかでは満足できない体になっているんだ。女が本当に満足するには…分かるだろ?」

「あふ、そ、そんな…!……け、健輔、あなたのを私に頂戴!」

 とうとう我慢ができなくなったのか、留美はそう要求してきた。僕だって鬼じゃないんだから、彼女がそう望むのならそれを叶えてやるくらいの度量は持ち合わせている。

 僕はすぐに下半身裸になると、留美の前にもうギンギンに張り詰めている自分の股間を突きつけた。

「留美。これが欲しいのなら、まずは君の方が奉仕しないといけないよな。さあ、まずはその口で僕のココを楽しませてくれ」

 僕がそう言うと、留美は一切のためらいを見せずに僕のモノを咥え込んだ。すでに全身が熱く滾っている留美の口の中は火が出るように感じられた。意外なほどに上手い舌使いで僕のモノに絡み付いてくる。

「う…上手いじゃないか。く、もう出そうだ。しっかりと飲んでくれ…うっ!」

 僕は軽く全身を震わせ、留美の口の中に一気に放出した。一瞬、目を見開いた留美だったが、何の躊躇も見せずにそれを飲み下す。

 モノから口を離した後、口の周りに付着した液体までも舐め取る留美のさまは、妖女の雰囲気を醸し出していた。僕の萎えかけたそこも、それを見て再び力を取り戻す。

「よし、ご苦労だったな。では褒美をやるからお尻をこっちに向けるんだ」

「うれしい、早く挿れて!」

 慌ただしく体を反転させると、留美は腰を振りながら僕を求めてきた。うーん、よっぽどイキたいらしいな。まあ、僕のモノでしかイケないように暗示を掛けているからか。

「じゃあ行くぞ」

 ずっと言う音が聞こえるような感触が腰に伝わってくる。留美の体温が僕の体にも伝わってくる。

「うわあ、柔らかい…これが女の膣内なのか…」

「ああ、すごい、健輔。もっと!」

 もう頂点寸前までできあがっている留美は、僕のモノをさらに体内の奥深くへと取り込もうと腰を動かし始めた。僕もその気持ちよさに取り込まれてしまいそうになる。

 …ぐちゅ、ずちゅ…

 部屋の中に淫猥な音が響き渡っている。でも僕らの耳にはそんな音は全然入ってきてはいなかった。ただ己の本能のままに腰を動かすのみ。きゅうきゅうと予想外に締め付けてくる留美に、僕は再び達しそうになる。

「あ、ダメ、い、イクッ!」

 全身を大きく震わせて、僕よりも先に留美が果ててしまったようだった。膣が痙攣して、僕のモノをとどめ、と言わんばかりに締め付けてくる。それで思わず留美に再び僕の精を搾り取られてしまった。目の前がチカチカして意識が朦朧とする。これが本当のイクってやつなのか。一人でやっている時とは全然違うんだ…僕は感動しつつ、留美の中からさすがに力を失っているそれを引き抜いた。

「………」

 留美はあまりの快感に気を失ったのか、床の上に仰向けになって寝息を立てているようだった。時計を見ると、そろそろ留美の母親が帰ってきてもおかしくない時間を示していた。そろそろ帰り支度をしないといけない。

「留美、起きて…」

 さすがに意識のない相手に術を施す事はできない。「意識がない」と言うのと「催眠状態で自由意志がない」と言うのはまた違うのだ。僕に揺り動かされて、留美は再び目を覚ます。

「…んっ…体の奥がまだひくついてるぅ…って、何!?」

 留美の動きが突然機敏になり、後ずさりして僕から一瞬にして距離をとった。と、どうやら術が解けてしまっているらしい。騒がれると面倒だな。

『かえるのしっぽ――』



「――あれ?私何をしていたんだっけ?」

 留美は左右を見回し、自分がどこにいるのか確認をしているようだった。

「あ、そっか。汗をかいたからシャワーを浴びたんだった」

 自分がバスルームにいる事に気が付いた留美は、そこで「全て」を思い出したのだった。

――健輔を誘って一緒に下校した事。
――その健輔と途中で別れて一人で帰った事。
――帰ってくるとムラムラしてきたので自分で慰めた事。

 それで汗とその他で汚れてしまった体を洗い流すためにシャワーを浴びていたのだ。

「さ、そろそろお母さんが帰ってくる頃ね。準備しておかないと」



「おっはよう!」

「おお、おはよう、美帆子。相変わらず元気だな」

「また馬鹿にして。それだけが取り柄みたいに言わないでよね!」

「まあまあ、いいじゃないか。そこがよさでもあるんだし」

「…おはよう、健輔」

 突然呼びかけられて僕は少しビビってしまった。見ると留美の姿がそこにはあった。目にくまができていて、何だか妙に疲れているようだ。夜に起き出して「自分の下着の匂いを嗅ぎながらオナニーする」と言う僕の指示を守ったのに違いない。ただ忘れさせては面白くないので、彼女にはそんな性癖を植え付けておいたのだ。彼女には悪いがまあ、これも実験の一つだ。しかも、留美は決して最後までイク事はできない。男のモノでなければ満足できない肉体に変化してしまっているのだ。

「それじゃあ、私こっちだから」

 大した会話もなく、留美は僕たちと別れて行ってしまう。

「ちょっと、どう言う事よ?」

「は?何がだ?」

「あの娘よ。あれ、C組の渡瀬さんでしょ?それが何で健輔に声を掛けたりするの?」

「俺が知るかよ。本人に聞いてくれよ」

「無関係なんだったら何で『健輔』なんて呼び方をするのよ!」

「…そ、そりゃ…」

 うっ、痛いところを突かれてしまった。そう言われてみれば、留美に僕をそう呼べ、と言った暗示を解くのを忘れていた。それにしても、美帆子のやつ、何て鋭いやつなんだ。だからこいつを彼女にしておきたくはないんだ。もしそうなったら、文句を言われるだけでは済まないだろうから。

「ま、いいけどね。健輔がダレと付き合ったって私には関係ないんだから」

「お、おい、美帆子」

 そう言い残すと僕を置いて、美帆子は先に行ってしまう。

 そう言われると少し寂しい気分がしてしまうのは、僕もやはり美帆子に気がある証拠なのだろうか。

 でもまあいいや。この力さえあれば美帆子だろうが他の女だろうが、いつでもモノにできるさ。今はこの状況を楽しまなくっちゃ。

 ――おっと、その前に留美の暗示を解いておかないとな!

 
 


 

 

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