MC三都物語


 

 



神戸編:前編 異人館にて



「あっ、恋ちゃん!こっちこっち!」

 改札の向こう、エスカレーターを降りた恋ちゃんが少し小さめのトランクを引いてくる姿を見つけて、私は大声を上げて手を振る。
 恋ちゃんに会うのは久しぶりやけどすぐにわかった。
 黒くて長くて、真っ直ぐな髪は昔からちっとも変わってない。

「詩穂ちゃん、久しぶり!」

 手を振ってる私を見て、恋ちゃんが小走りに駆け寄ってくる。
 私、廣田詩穂(ひろた しほ)と生田恋(いくた れん)ちゃんは、私が東京に住んでいたときのお隣さん同士で、いつも一緒に遊んでいた大親友だ。
 中学卒業と同時に私が父さんの仕事の都合で神戸に引っ越してからもメールや電話はしょっちゅうしてたし、春休みや夏休みにはこうしてどっちかの家にお泊まりするって決めていた。
 この春は恋ちゃんが東京から神戸まで来ることになってて、私はこうして新神戸の駅まで迎えに来たっていうわけなのだ。

「ホンマ、久しぶりやなぁ。いらっしゃい」
「詩穂ちゃん、前に会ったときよりも関西弁がひどくなってる!」
「え?そうかな?でも、こっちの友達はみんな関西弁やからしかたないわ」

 私がしゃべると、恋ちゃんがクスクスと楽しそうに笑う。
 私も、嬉しくてすっかりはしゃいでいた。
 去年の夏はお互い忙しくて都合がつかんかったから、1年ぶりに恋ちゃんに会うのを私は心待ちにしていたんやから。

「でもね、今回は行く直前になってお母さんが急に心配しだしてね」
「え?なんで?」
「ほら、この間こっちの方で殺人事件があったじゃない。なんか、暴力団の抗争じゃないかって。それでね」
「ああ、あれは大阪のミナミの方やから神戸からはだいぶ離れとるよ。あそこら辺は私も恐くてよう行かんわ」
「そうだったんだ」
「そうそう。こっちの方は平和だから……あ、そうでもないか」
「どうしたの、詩穂ちゃん?」
「うーん、それが、最近この近くで女の子が行方不明になる事件が2件あってね」
「ええっ、そうなの?」
「夜になっても家に帰ってこなくて、それっきり見つからへんって話やけど」
「へえぇ、恐いなぁ」
「でも、東京の方かて、駅で切りつけられたとか、物騒なニュースばっかりやんか。どこも同じやないの?危ないところに近づかんかったら大丈夫やって」
「まあ、それもそうよね」

 そんな話をしながら、地下鉄の乗り場の方へと降りていく。

「で、今日はうちでゆっくりするとして、明日はどうするの?どこか行きたいところある?」
「うーん……異人館?」
「あれ?行ったことなかったっけ?」
「うん。私が前にこっち来たのは一昨年の夏休みだったでしょ。あの時はおじさんおばさんが六甲山に連れて行ってくれたじゃない」
「あーっ、そうやったそうやった!じゃあ、明日は異人館通りに行こか!私、あのあたりは結構詳しいで!」
「へぇ、そうなんだ。詩穂ちゃんはもうすっかり神戸の子だね」
「ええー、そうかなぁ!?そうでもないと思うんやけど」
「ほら、イントネーションだって標準語と違うじゃない」
「うーん、でも、東京も懐かしいんやけどね。1年前に恋ちゃんの家に行ったときに会ったけど、みんな元気かなぁ……」
「元気だってば。チサちゃんやユミは同じ高校だからよく会うけど、みんな元気だよ」
「そっかぁ」
「でも、4月になったらみんな大学生だもん。学校もばらばらだし、なかなか会えなくなるよね」
「大学生になったらみんなでいっぺん旅行とか行きたいなぁ」
「そうよねぇ」

 恋ちゃんと話をしていると、中学の時の友達を思い出して胸がきゅんとなる。
 地下鉄に揺られながら、私の心はちょっとだけ東京で過ごしていた頃に飛んで行ってしまっていた。






* * *







「ただいまー!」
「お邪魔しまーす」

 家に着くと、母さんが笑顔で出迎えてきた。

「いらっしゃい、恋ちゃん。よく来たわね」
「はい!お久しぶりです、おばさん」
「どうぞ上がって上がって」
「ありがとうございます」
「恋ちゃん、こっちこっち」

 中に入ると、私は恋ちゃんをまず自分の部屋に連れて行く。

「荷物、重かったやろ」
「ううん、大丈夫」
「あ、コートはこっちに掛けとくね」
「うん、ありがとう」
「他に掛けとかなあかん服とかある?」
「うーん……」

 部屋の隅にトランクを置いて、恋ちゃんは荷解きを始める。
 着替えを取り出して丁寧に畳んでいる恋ちゃんをベッドに座って眺めていると、ノックの音がして母さんが入ってきた。

「詩穂、なんだったら床に布団敷いてあげるけど、本当にいいの?」
「うん、大丈夫大丈夫。今夜はベッドで一緒に寝るんやから」
「狭くない?」
「いいのいいの!」
「まったく……詩穂ったらいつまで経っても中学生気分なんだから」
「いいんですよ、おばさん。私も楽しみにしてましたから」
「まあ、恋ちゃんまで」
「あっ、それよりこれ、お土産です。母さんからですけど」
「あら、そんなに気を遣わなくてもいいのに。ありがとう。お母さんによろしく言っておいてちょうだいね」
「はい!」

 恋ちゃんの、弾けるような笑顔がすごく眩しく見える。
 今日会ってから、ずっと恋ちゃんはニコニコしていて、本当に嬉しそうだ。

 それはきっと、私も一緒なんだろうな。
 私もすごく嬉しくて、テンションが上がりっぱなしなんだもん。






* * *







「へえ、恋ちゃんはK大学か」
「はい、私はずっと東京だし、家から通えるところに行こうと思って」
「それなら私も同じやって。そう思ってこっちの大学に行くことにしたんやから」

 夜、父さんが仕事から帰ってきて、私と恋ちゃん、そして母さんの4人で晩ご飯を囲んでいた。

「でも、私たちは東京の学校に行ってもいいって言ったのよ。ほら、この人もまたいつ転勤があるかわからないでしょう。そうなったらひとり暮らししなくちゃいけなくなるじゃない」
「うーん、私も東京の学校受けるかどうか迷ったんやけどな」
「まあ、そんなに関西弁になってしまったら詩穂はもう関西人だよな」
「もうっ、父さんったら!そんなことあらへんって!」
「おかしいでしょ。うちの中でこの子だけ関西弁になっちゃって」
「まあ、詩穂の場合、関西弁と標準語が微妙に混じってて中途半端だけどな」
「ああっ、それ、学校の友達にも言われるんやから!」

 私が口を尖らせると、みんな一斉に声を上げて笑う。

「で、明日はどこに行くんだい?」
「うん、恋ちゃんを異人館に連れてってあげようと思うとるんやけど」
「そうか。最近、変なニュースが多いから気をつけるんだぞ」
「わかっとるよ。あの辺は観光客も多いし、暗くなる前に帰ってくるから大丈夫やって。……ごちそうさま」
「ごちそうさまです、おじさん、おばさん」

 私と恋ちゃんは、ごちそうさまをして茶碗とお皿を下げる。

「詩穂、お風呂はどうするの?」
「もちろん恋ちゃんと一緒に入るに決まっとるやんか!」
「まあっ、本当に子供みたいなんだから!」



 母さんは声を上げて笑ったけど、その後、当然私は恋ちゃんと一緒にお風呂に入った。



 そして、私のベッドで体を寄り添うようにして寝る。
 掛け布団の中で手をつないで、互いの近況を話し合う。
 久しぶりで話すことがいっぱいあって、なかなか眠れそうにない。



「明日もあるし、そろそろ寝ようか」
「そうだね」

 話は尽きないけど、どちらからともなくそう声を掛ける。

「じゃあ、おやすみ、恋ちゃん」
「おやすみ、詩穂ちゃん」

 目を瞑ると、私と恋ちゃんの呼吸する音と、自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえる。



 明日は異人館を案内しないと。
 どうか、いい天気になりますように……。






* * *







 翌朝。

 目を覚ますと、すぐ目の前に恋ちゃんの寝顔があって思わずドキリとしてしまった。
 長い睫毛に小さくてしゅっとした鼻筋、ほんのりピンク色の唇。
 まるでお人形さんみたいな寝顔につい見とれてしまう。

 いや、私にはそんな趣味はないんだけど。

 そりゃ、子供の頃から恋ちゃんは可愛らしかったけど、あの頃はこんな風に思ったことはなかった。
 お化粧もしてないのにこんなにきれいやなんて、ちょっとズルいと思う。

 あ、右目の下にこんな小っちゃいホクロがあるんだ……。



「ん……あ、おはよ、詩穂ちゃん」
「おはよ、恋ちゃん」

 恋ちゃんの目がゆっくりと開いて、ニコッと微笑みかけてきた。

 私がずっと見てたの気づかれたかな?

 ちょっとドキドキしながらおはようの挨拶を交わす。

「ん?どうしたの、詩穂ちゃん」
「いや、恋ちゃん美人でええなって思って。羨ましいわ」
「ええっ、なにそれ?詩穂ちゃんも可愛いよ。お肌だってきれいだし、目もぱっちりしててチャーミングじゃない」
「うーん、可愛いときれいは少しちゃうような気がするんやけど」
「私って、ほら、ちょっと目尻が切れてるでしょ。だから時々きつい顔って言われることがあるのよね」
「ええ〜!いっつもニコニコしてる恋ちゃんのこときついって言う人がおんの?」
「それは、私だっていっつも笑ってるわけじゃないもん」
「そ、そう?」

 うーん、私にはニコニコ微笑んでる姿しか思い浮かばないんやけど。

「そうよ。あたりまえじゃん」

 そう言って、恋ちゃんはクスクスと楽しそうに笑う。
 こうやって、同じベッドの中で睫毛が触れるくらいの距離でじゃれるように話していると、子供の頃に互いの家に何度もお泊まりしていた頃を思い出す。

「ね、そろそろ起きようか」
「うん、そうやね」

 ようやく私たちは起き上がると、ベッドから降りてパジャマを脱ぐ。

「3月だけど、今年はまだまだ寒いから暖かくしといた方がええよ」
「うん」








「おはよ!」
「おはようございます」

 服を着替えてダイニングに行くと、出勤前の父さんが新聞を読んでいた。

「なんだ、ずいぶんと早いんだな」
「あら、ふたりとももう起きたの?」
「うん、北野の異人館は早いとこは9時から開いとるし、早く行けば明るいうちに帰ってこれるやろ」
「そうか。でも、気をつけて行ってくるんだぞ」
「わかってるよ。お父さんは心配性なんやから。私だってもう子供じゃないんやからね!」

 私がぷいっと頬を膨らませると、キッチンの方から母さんの声が聞こえた。

「はいはい、それくらいにして。それよりも詩穂、ご飯をよそっててちょうだい。今、卵を焼いてるから手が離せないの」
「はーい!」
「あ、おばさん、私も手伝います」
「そう?じゃあ、恋ちゃんはお味噌汁をいれてくれる?」
「はい!」
「じゃあ、こっちはそろそろ行くとするか」

 私たちが席を立つと、父さんも立ち上がった。

「あ、いってらっしゃい!」
「いってらっしゃい、おじさん」

 私たちの声に軽く手を振ってお父さんは仕事に出かける。

「さ、私たちもご飯食べたら出かけるで、恋ちゃん」
「うん!いただきます」
「いただきます!」

 朝ご飯の準備ができると、私たちは席について手を合わせた。






* * *







「恋ちゃん、こっちやで!」

 三宮で地下鉄を降りると、私は北野坂を登っていく。
 そしてまず、異人館のあるエリアの入り口にあるチケット売り場に向かう。

「ここで異人館のチケットをまとめて買えるんや」
「ふーん。ここでチケット買うんだ」
「セットになったチケットを買うと割安になるしね。……これでよし、と。さ、行こか、恋ちゃん」
「うん……ねえ、詩穂ちゃん、この通りが異人館通りなの?なんか、煉瓦造りの雰囲気のある建物が多いけど」
「ううん、異人館通りはこの坂をもっと登ったところやで。でも、古い洋館はここら辺からもういっぱいあるんや」
「へえ……」

 恋ちゃんは、物珍しそうに周囲を見回している。

 たしかにこの辺りから、車道こそアスファルトやけど石畳の歩道沿いに石造りや煉瓦造り、木造の洋館がちらほら増えてきて通りの雰囲気が変わってくる。

「なんか、いい感じの通りだね。でも、あれってお店じゃない?」
「うん。別に観光客向けに公開しとる異人館だけじゃないんやで。古い洋館がそのまま喫茶店やレストランになってるところもいっぱいあるんや」
「へえ、そうなんだ」
「一軒、すごい雰囲気が良くて季節のフルーツを使ったタルトがすっごいおいしい喫茶店があるから後で行ってみる?」
「うん!」

 そんな話をしながら、ぶらぶらと北野坂を登っていく。

「あ、ちょっと待って、恋ちゃん」
「えっ、なに?」

 恋ちゃんに一声かけると、私は一軒の店に入っていく。

「あのな、ここのパンがめっちゃおいしいねん」

 私が入ったのは、この辺で一番お気に入りのパン屋さんだった。

「もう、詩穂ちゃんったら食べることばっかり!」
「ええのええの。私にいい考えがあるんだから」

 手早くパンを選んでいる私に、呆れたように恋ちゃんが言う。

「これくらいかな?じゃあ、今度こそ異人館見に行こか!」

 店員さんにお金を払うと、恋ちゃんの手を引いて店を出た。

















 午前中に4軒の異人館を見て回った後、異人館街の真ん中にある広場のベンチにふたりで腰掛けて朝買ったパンを食べる。
 目の前には、とんがり屋根に風見鶏の乗った赤茶けた洋館、左手には淡いミントグリーンの木造の洋館が見える。
 どっちも、さっき見たばっかりの異人館だ。

「どうやった?」
「うん、すごい良かったよ。どこも建物の中も家具とか飾りとか、すごいクラシックな感じで。本当に外人さんが住んでそうだね」
「でも、一般公開してないところには本当に人が住んでるところもあるみたいやで」
「そうなんだ」
「外人さんもたくさんいてるし。あ、でも異人館やから異人さん、か」
「なんか、異人さん、て言うと変な感じだね」
「異人さんに連れられて行っちゃった、て歌にあるしなぁ」
「あ、でもあの歌は横浜の歌だよ」
「え、そうなん?」
「うん、私、学校でそんな話聞いたことあるから知ってるもん」
「へえぇ。まあ、神戸も横浜も似てるよね、なんかおしゃれな感じやし」
「うん、日本史の授業でも出てくるしね」



 穏やかな日差しの中、のんびりとおしゃべりしながら軽い昼食をとる。



「さてと、腹ごしらえも済んだし、ちょっと気張ろうか」
「え?え?なに?」

 パンを食べ終えると、私は広場からすぐの角に恋ちゃんを連れて行く。
 そこには、勾配の急な長い石段があった。

「さ、ここを登るで」
「ええっ!?て、鳥居があるけど、ここって神社じゃないの?」
「そうやで」
「異人館街なのに、神社にお参り?」
「ええからええから。さ、行くで!」
「あっ、ちょっと待ってよ、詩穂ちゃん!」



 私が石段を駆け上がると、恋ちゃんも慌ててついてくる。



「ふうぅ……しんど」
「はぁ、はぁ……本当に、何があるの、詩穂ちゃん?」
「うん、あたしが見せたかったのはな…………これや!」

 石段を登り切ると、私は神社の建物とは反対の方向に恋ちゃんを連れて行く。

「……わぁ、すごい!」

 さっきまで息を切らせていた恋ちゃんは、そう言ったきり目を丸くしてその場に立ち尽くした。

 私たちの目の前にはすぐ下にある洋館のとんがり屋根や広場の緑だけじゃなくて、ずっと向こうの街の光景が広がっていた。
 異人館街の色とりどりの屋根の並ぶはるか向こうに三宮のビル街が見えて、そのさらに向こう、ビルとビルの間に海が見える。

 そう、ここからは、異人館はもちろん神戸の街が海まで一望できる絶好のスポットなんや。
 六甲の展望台から見えるスケールの大きな景色もいいけど、今さっき見てきた異人館街をすぐ下に見下ろせるここからの眺めも私は気に入っていた。

「ね、いい景色やろ?」
「うん……」

 息を飲んで景色を見つめている恋ちゃんの反応に、私はすっかり気をよくしてしまう。
 きつい石段を登ってきた甲斐があるっていうもんや。

「でも、本当に晴れてて良かったぁ。お天気悪かったらせっかくの景色が台無しやもんね」
「うん。あの風見鶏のある建物がさっき行ったところで、その向こうがさっきの広場だよね?」
「うん、そうやで」
「じゃあ、あっちに見える屋根の所も行ったよね」
「うん」
「すごいなぁ。こんな場所知ってるなんて、さすが詩穂ちゃんだね」
「へへへ、まあ、私も友達に教えてもらったんやけどね」
「で、この後はどうするの?」
「もう少し異人館を回ってから、朝言った喫茶店行こか」
「うん、いいね、それ」
「でも、その前にちょっと拝んで行こうよ」

 振り返ると、私は神社の建物の方に向かう。

「え?やっぱりお参りして行くの?」
「まあ、せっかくやし、いちおう学問の神様やしね」
「そうなの?」
「ほら、京都に北野天満宮ってあるやん。昔な、平清盛さんがあそこの神さんをここに祀ったらしいんや」
「あっ!だからここも北野なんだ!すごいね、詩穂ちゃん。よくそんなの知ってるね」
「へへっ、まあね」

 まあ、これも人から聞いた話をそのまま言ってるだけなんやけど。

「さてと、お参りもしたし、次行こうか」
「そうだね」

 簡単にお参りを済ませると、私と恋ちゃんは登りは駆け上がった石段を、今度はゆっくりと降りていった。














「あれ、こんな所にも異人館があるよ、詩穂ちゃん」

 天満宮の石段を降りて、異人館街の中の細い路地を歩いていたら不意に恋ちゃんが立ち止まった。
 その指さしている先、石造りの壁の向こうに白塗りの洋館の尖った屋根が見える。

 だけど……こんな所に異人館あったかな?

「ここらへんには一般公開してる異人館はないはずなんやけど……」
「でも、門は開いてるよ」

 恋ちゃんの言うとおり、高い石壁に囲まれた中で鉄柵の門が開いていた。
 そこから見えるその洋館は、全体が白塗りの華奢な造りで、今まで見たどの異人館にも負けないくらいきれいだった。

「うーん、門が開いてるからって公開してるとはかぎらへんし、もしそうなら看板とか出てるはずだし……」

 首を傾げながらも、私の視線はその洋館に釘付けになっていた。

 この建物……本当にきれいや。

 でも、なんでやろ?
 この角度なら、あの天満宮から見えるはずなのに、何度も来てる私がなんで今までこんなきれいな建物に気づいてなかったんやろか?

「ねえ詩穂ちゃん、ちょっと入ってみようよ。こんなにきれいなんだから、ちょっとだけ。ね?」
「うん、そうやね……」

 恋ちゃんの言葉に、無意識のうちに私は頷いていた。
 視線はじっとその建物を見つめたままで、その時の私はまるで心を奪われたみたいだった。



 そして、恋ちゃんとふたりでそっと門の中に入る。



 近寄ってよく見ると、右手にバルコニーがあって、その前が小さな庭になっているみたいだった。
 そして、左手の方に入り口があるみたいや。

 それにしても、近くで見るとやっぱりこの家、ため息が出そうなくらいにきれい。
 まるで、真っ白なドレスを着た大人の女の人みたいな雰囲気がある。

 私たちが、その洋館に見とれていたその時だった。





「おや、お客さんですか?」





 不意にかけられた声に、心臓が止まりそうになった。

 声のした方を見ると、そこには男の人が立っていた。

 ……この人、外人さんや。

 その顔を見たらすぐにわかった。
 少し白髪の交じったグレーの髪。
 だけど、見た感じにはそこまで歳をとっているようには見えない。
 青い瞳に、口髭のあるすごく高い鼻。

「あなた方も異人館を見て回っていたのですか?」

 柔らかな笑みを浮かべて、すごく流暢な日本語で話しかけてきた。

「あ、ご、ごめんなさい。門が開いていたから、見学できるのかと勘違いしてしまったんです」
「いえいえ、いいんですよ」

 私が慌てて謝っても、ニコニコしている。

「まあ、こういう所に住んでいるとよくあることですから」
「今でもここに住んではるんですか?」
「ええ、そうですよ。……そうだ、せっかく来られたんですし、この館を私が案内してあげましょう」
「いいんですか!?」
「もちろんですとも。さあ、こちらへどうぞ」

 その外人さんは、玄関の方に私たちを案内する。
 思いがけない展開に、私も恋ちゃんも胸を高鳴らせて外人さんの後についていったのだった。






* * *







「へえ、日本にもう20年も住んでらっしゃるんですか?」

 洋館の中を案内された後で、私たちは庭の見えるバルコニーでのお茶会に誘われたのだった。
 外から見てもすごくきれいだったけど、この館の中は午前中に見たどの異人館にも負けず劣らず素敵で異国情緒に溢れていた。

 その外人さん、クロード・コンスタンさんは、若い頃はパリとロンドンを拠点に貿易をしていたそうだ。
 世界各国を巡るうちに日本を気に入り、この洋館の前の持ち主と取り引きがあった関係で、ここを譲ってもらったらしい。
 今では、貿易の仕事は息子さんに譲ってクロードさんはこの神戸で悠々自適の隠居生活をしているのだそうだ。

「若い頃に商売で何度も日本に来ていて、すごく気に入ってしまったんですよ。どこに行っても美しい風景があるし、住んでいる人はいい人ばかりだし。それに、お嬢さんたちみたいなきれいな女性も多いしね」

 そう言ってクロードさんはウィンクをした。
 その時の表情が、お孫さんがいる歳とは思えないくらいに若々しく見える。

 こんな素敵な外人さんにそんなことを言われると、お世辞だとわかっていても嬉しくなってしまう。

「さあ、お茶が入りましたよ」

 クロードさんが、ティー・ポットを持ち上げて私たちの前のカップに紅茶を淹れてくれる。
 ポットもカップもおそろいの、キイチゴの絵が描かれた可愛らしい柄だ。

「あ、いい香り」

 恋ちゃんがカップを持ち上げてクンクンと香りをかぐ。

 たしかに、なんの香りかはよくわからないけど、その紅茶はすごくいい匂いがしていた。
 花のような、フルーツのような、甘くてさわやかな香りがする。

「本当、すごくいい香りや」
「ありがとう。これはフランスから取り寄せたものでね。日本では手に入らないんだよ」

 私たちの反応に、クロードさんは相好を崩す。
 この人の笑った顔は、まるで子供みたいに可愛らしいところがある。

「それじゃあ、いただきます」
「いただきます、クロードさん」

 私は、軽く頭を下げてカップに口をつける。

「……うん、おいしいね、詩穂ちゃん」
「本当。こんなおいしい紅茶、私、初めてやわ」

 おいしいねと言い合う私たちの様子を、クロードさんはニコニコとして眺めている。

 でも、その時ごちそうになった紅茶は本当においしかった。
 ひとくち口に含むと、甘い香りが口いっぱいに広がって、渋みも苦みも全然ない。
 でも、香りは甘いのに味は甘くなくてすっと喉を通っていく。
 で、飲んだ後にはまるでミントのようにすっきり爽やかな香りが残って、またカップに口をつけてしまう。

「気に入っていただけたみたいですね。おかわりはどうですか?」

 そう言って、クロードさんがティーポットを持ち上げる。

「あ、いただきま…す……」

 ソーサーを手で押してカップを差し出した恋ちゃんが、そのまま前のめりにテーブルに突っ伏した。

「ちょっと!どうしたの、恋ちゃん!?……え?」

 びっくりして恋ちゃんの体を揺さぶっていた私の視界がぐにゃりと歪んだ。

「あ……れ……?」

 頭がくらくらして、気が遠くなる……。
 そのまま、私の目の前は真っ暗になっていった。






* * *







 目が覚めたとき、私の周りが揺れているように感じた。

「……これは、蝋燭?」

 ゆらゆらと揺れているのは蝋燭の炎だとすぐにわかった。

 私、さっき洋館でお茶をごちそうになってて……。

「ここは?……っ!なんや、これは!?」

 体を動かそうとして、両手両足が動かないことに気づいた。
 両手を横に伸ばして、足を広げて大の字になった格好のまま、両の手首足首が輪っかみたいなもので固定されている。
 どうにか動かすことができる首を巡らして見ると、手足の先と頭の上とその反対側、広げた足の間の向こうの、計6カ所に蝋燭が立っているがわかる。

「いったいどこやの、ここ!?」

 だんだんと目が慣れてくると、かなり広い場所にいることがわかった。
 薄暗い空間を、天井から吊り下げられたランプがぼんやりと照らしている。

 ここは?地下なんかな?

 この部屋には、窓はひとつも見当たらない。
 部屋を照らしているのは、蝋燭とランプの淡い灯りだけ。

 あの洋館の地下にこんな広い空間があるの?
 それとも、どこか他の場所に連れてこられたの?





「きゃああっ!なにっ、ここっ!?」





 その時、恋ちゃん悲鳴が聞こえた。

「恋ちゃん!?どこっ!?」

 悲鳴のした方に顔を向けると、蝋燭の炎の向こうに恋ちゃんの姿があった。
 私と同じように大きな台の上に仰向けに寝かされて、その体を囲むように蝋燭が立っている。

「詩穂ちゃん!?ここ、どこなの!?」
「私にもわからへん!なんでこんなことになっとんのか全然わからへんよ!」

 恋ちゃんが私の方を見て怯えた様子で聞いてくるけど、私にも何がどうなっているのかわからない。

「何がどうなってるの!?クロードさんは!?」
「それが、本当にわからへんのや!」



「おふたりとも、目が覚めましたか?」



 私たちの言葉を、低い声が遮った。

「クロードさん!?」

 そこに立っていたのは、クロードさんだった。
 でも、さっきまでとは着ている服が違う。
 まるで、教会の神父さんみたいな格好だけど、全身黒ずくめで、薄暗い部屋の中で顔だけが白く浮かび上がっているように見える。

「ちょっとクロードさん、これ、どういうことなん!?」

 私が訊ねると、クロードさんはこっちに顔を向ける。
 でも、その顔は笑ってなかった。

「ねえっ、なんの冗談なん!?離してや!」
「あなたには少し静かにしていてもらいましょうか」

 そう言うと、クロードさんは喚いている私に近づいてきた。

「なっ、なにすんの!?ちょっ、やめっ……んぐっ、ぐぐぐっ!」

 クロードさんのてが伸びて、私の口に布を噛ませた。

「んぐっ、んぐぐぐ!」

 猿轡をされて、私は呻き声しか上げることができない。

「ちょっと!詩穂ちゃんに何するつもりなの!?」
「いえ、この子にはまだ何もしませんよ。まずはあなたの方からです」

 恋ちゃんの言葉にそう答えると、クロードさんはくるりと背を向けて恋ちゃんの方へと近寄っていく。

 れ、恋ちゃん!

「ぐむっ、ぐむむむむっ!」

 いくらもがいても体は自由にならないし、猿轡をされた喉からは呻き声しか出てこない。

 私がもがいている間に、クロードさんは恋ちゃんの足下の方に立って振り向いた。
 蝋燭の炎に照らされて、その顔だけが不気味なくらいに白く見える。
 いつの間にか、クロードさんはものすごく分厚い本を手に持っていた。
 学校で使っている辞書よりももっと分厚くて大きな本で、ここからは表紙も真っ黒に見えてなんの本かわからない。

「ちょっ、ちょっと、何するつもりなの!?」

 恋ちゃんが、怯えた様子でクロードさんを見上げている。

 それには返事をすることなく、クロードさんがゆっくりと本を開いた。
 そして、低い声で何か唱え始めた。
 もちろん、日本語じゃない。
 でも、英語でもなさそう。
 今まで聞いたことのない言葉を、歌うような不思議なリズムで詠んでいく。



 すると……。



「きゃあっ、蛇!」

 恋ちゃんの悲鳴が響き渡った。

 蛇って?
 なに言っとんの、恋ちゃん?
 どこに蛇がおるの?

 蛇、と叫んだ恋ちゃんの言葉。
 だけど、私には蛇なんて見えない。

 でも、恋ちゃんは怯えたように悲鳴を上げ続けている。

「やだっ、こっち来ないで!いやあああっ!」

 不思議な言葉を唱え続けながら、クロードさんがさっと手を振って恋ちゃんの右足の先にある蝋燭の炎を消した。

「いやあああっ!服の中に入ってこないでええええ!」

 すると、恋ちゃんの悲鳴が一段と大きくなった。
 自由にならない体をばたつかせ、頭を大きく振って嫌がっているけど、私の目にはどこにも蛇は見えなかった。

「いやああっ、やめてえぇ、ひぐっ、いや、気持ち悪いよううううぅ!」

 恋ちゃんの悲鳴に泣き声が混じり始める。
 でも、見えない蛇が何をしているのか、私にはわからない。

 その間も、クロードさんは低い声で何か唱え続けていた。
 そして、恋ちゃんの乗せられている台に沿って数歩進むと、今度はその右手の先の蝋燭を消した。

「えっ?ええええっ!?やっ、そっ、そこはあああっ!?」

 恋ちゃんの怯えた声がした。

「いやあっ、そんなとこっ、入ってこないでえええええええっ!」

 ものすごい悲鳴を上げたかと思うと、私の位置からでもそれとわかるくらい恋ちゃんの腰が浮いた。
 私と同じように、両手両足を固定されたままの恋ちゃんの体がいっぱいに反って震えている。

「いやっ、だめっ、アソコの中っ、入っちゃダメええっ!ああっ、痛いっ!いやああっ!」

 恋ちゃんの腰が、何かに動かされているようにビクンビクンと跳ね始める。

「そんなあぁっ!だめえぇっ、痛いようっ、アソコの中、出たり入ったりしないでえぇ……」

 バサバサと髪を振って嫌がっている恋ちゃん。

 ブツブツと何か唱えながらその傍らに立っている、黒ずくめのクロードさんの姿がお化けかなにかのようだった。



 そして、クロードさんが恋ちゃんの頭の先にある蝋燭を消した。



「え?えええっ!?あっ、ああぁん!」

 不意に、恋ちゃんの悲鳴の雰囲気が変わった。

「やっ、なんで!?アソコの中に蛇が入ってるのに、どうして気持ちいいの!?」

 気持ちいい……て、なに言ってんの、恋ちゃん?

「あん、んんっ!……こんなの、おかしいのに、でもっ、気持ちいいよう!」

 跳ねるように浮かび上がっていた恋ちゃんの腰ががくんと落ちたかと思うと、くねくねとした動きに変わっていく。

 今度は、クロードさんが台の向こう側に回って恋ちゃんの左手の先の蝋燭の炎を消す。

「ひくうううっ、んっふううううぅ!いいっ、いいのっ!蛇にアソコの中突かれてっ、すごく気持ちいいっ!」

 首を反らせて叫んでいる恋ちゃんの顔は、まるで笑っているようにも思えた。

 そんな……恋ちゃん……?

 呆然としている私の見ている前で、クロードさんが恋ちゃんの左足の先にある5本目の蝋燭を消した。

「はううううううんっ!ああっ、イイッ、蛇イイのっ!」

 もう、どこから見ても恋ちゃんは喜んでいるようにしか見えなかった。

「ああっ、そこがイイのっ!もっと、もっと来て!もっと激しくしてえええっ!」

 くねくねと腰をくねらせる恋ちゃんの動きが激しくなっていって、叫ぶ声がどんどん切なそうになっていく。

 クロードさんはゆっくりと恋ちゃんの足下、最初に立っていた位置に戻って、手に持っていた本をゆっくりと閉じる。
 そして、目の前に残っていた最後の蝋燭の炎を吹き消した。

「ふあああああっ!!入ってくるっ、奥まで入ってくるっ!だめっ、もうだめっ!ひあああっ、わたしっ、いっくううううううううううう!」

 絶叫を上げて恋ちゃんがまた腰を浮かせる。
 そのまま、全身をビクビクと震わせた後、がくりと体を落として動かなくなった。

 恋ちゃん!?

 気を失ったみたいにピクリともしない恋ちゃん。
 その周りを囲う蝋燭をひとつずつ片付けると、クロードさんは恋ちゃんの両手両足の金具を外していく。

 そして、恋ちゃんの頭側に立つ。

「さあ、起きなさい」

 クロードさんがそう言うと、恋ちゃんがゆっくりと体を起こした。
 台の上に座り込んで、ぼんやりとクロードさんを見上げている。

「ほら、これを見てごらん」

 その言葉に、恋ちゃんが今度は視線を落とす。

 いつの間に服をめくり上げていたのか、そこにはおちんちんが剥き出しになっていた。

 と、それに向かって恋ちゃんの手がゆっくりと伸びた。
 そして、そっと握った手をゆっくりと動かし始める。

 ちょっと、なにしとんの、恋ちゃん!?

 びっくりしている私の目の前で、恋ちゃんはおちんちんをじっと見つめたまま撫でさすっている。
 その顔には、うっすらと笑みすら浮かんでいた。

 ときどきチロッと唇を舐める恋ちゃんの舌が、まるで蛇の舌みたいだ。

「これが欲しいかい?」
「……はい、欲しいです」
「なら、服を脱ぎなさい」
「……はい」

 恋ちゃん!

 驚いた私が大声を上げようとしても、猿轡を噛まされていてはそれもできない。

 その目の前で、恋ちゃんはゆっくりと服を脱いでいき、スカートを足から抜いた。
 下着だけの姿になると、まずブラを外し、続けて膝を立てるとショーツを脱いでいく。

「さあ、こっちに来なさい」
「……はい」

 裸になった恋ちゃんは、クロードさんの方に体を寄せると、後ろ手に手を突き、両膝を立てて足を開いた。
 その両足を抱え上げると、クロードさんも恋ちゃんの方に体を寄せる。

「いいかい?いくよ」
「はい……ください」

 うっとりとした笑みを浮かべて、恋ちゃんが頷く。
 薄暗い灯りの中に浮かぶ恋ちゃんの顔は、私が今までに見たことがない表情を浮かべていて、そしてドキッとするくらいきれいだった。

 そして、クロードさんの腰がぐっと動いた。

「あっ、ふああああああああああっ!」

 まるで、弾かれたみたいに恋ちゃんの上半身が台の上に倒れ込む。
 腰がきゅっと反って、ひくひくと震えていた。

「あふっ、ふああっ、あうっ、ああんっ!」

 クロードさんが腰を揺するように動かし始めると、恋ちゃんが苦しそうな声を上げる。

 ……いや、苦しそうなんやない。
 切なそうな、なんていやらしい声なの?

「ああんっ、んふうっ、ああっ、ああんっ!」
「どうだい?気持ちいいかい?」
「はいっ、気持ちいいですうぅ!あん、はあんっ、ああっ、そこっ、イイのっ!ああっ、いいいいいいいいっ!」

 また、恋ちゃんの腰がビクンと跳ね上がった。

 恋ちゃん……。

 薄暗い部屋の中に、恋ちゃんの声が響く。
 恋ちゃんの周りを照らしていた蝋燭もなくなり、ランプの淡い灯りだけの中で、恋ちゃんの体が踊るように何度も跳ねていた。
 裸になった恋ちゃんの白い肌だけが浮かび上がるようにはっきりと見える。

「あんっ、はあっ、あっ、イイッ、すごくイイッ!」
「もっと気持ちよくなりたいかい?」
「はっ、はいぃっ!もっとっ、気持ちよくっ、なりたいですうううぅ!」
「だったら、私の言うことはなんでも聞くんだよ」
「聞きますっ!なんでも言うこと聞きますうううっ!」

 クロードさんの動きに合わせるように激しく体をくねらせながら、恋ちゃんが必死にせがむ声が聞こえる。

 とても聞いていられないようないやらしい喘ぎ声が響いて、耳をふさぎたくなるのに、両手が固定されていてそれもできない。

「うん、いい子だ。これからずっと私の言うことを聞いていれば、いっぱい気持ちよくなれるからね」
「はいいいっ、言うこと聞きますからっ、気持ちよくしてくださいぃ!」
「よしよし、じゃあ、まずはそのご褒美をあげようかね」
「はいっ、くださいっ!ご褒美ください!あっ、ふああああっ!」

 クロードさんの手が伸びて恋ちゃんの体を抱え起こした。

「ふああああっ、あっ、激しいっ!奥まで来てっ、ああっ、イイッ、すごくイイですっ!」

 恋ちゃんはクロードのさんの首に腕を回してしっかりと抱きつき、自分から腰を動かしているみたいだった。
 両足もクロードさんの腰に絡みつき、白いおっぱいがゆさゆさと揺れている。

「すごいっ、気持ちいいですっ!ああっ、ふああああんっ!……あっ!?今、中でおちんちんっ、びくびくって!?」
「さあ、ご褒美だ」
「あああああああっ!熱いいいぃ!熱いご褒美っ、奥にっ、いっぱいいいいいいいいいっ!またっ、いくうううううううぅっ!」

 クロードさんにしがみついた恋ちゃんの体がブルブルと震える。
 抱きついた手が、その黒い服をぎゅっと掴んでいる。

「ふわあああっ……ああっ、ありがとう、ございます……ご褒美……気持ち……いい……ですうううぅ……」

 クロードさんにしがみついていた恋ちゃんの体から力が抜けたように、その体がドサリと台の上に落ちる。

 そのまま気を失ってしまったのか、ひくひくと小さく体を震わせるだけで、恋ちゃんは動こうとしない。







 れ、恋ちゃん……。

 ぐったりしている恋ちゃんをそのままにして、クロードさんが呆然としている私の方を向いた。

 その顔に浮かんでいた悪魔のような笑顔に、背筋が凍りつく。

 そして、カツカツと靴の音を響かせて、こっちに近づいてくる。

「……ぶはっ!あ、あんた、恋ちゃんになにを……っ!」

 ようやく猿轡を外され、怒鳴りつけようとした私の言葉が途中で途切れる。
 その冷たい視線に射竦められると、舌が震えて言葉が続かない。

 クロードさんは、ふっ、と鼻で笑うと反対側の方に歩いて行く。
 いつの間にか、手にあの黒ずくめの本を持っていた。

 その手が、ゆっくりと動いて本を開く。
 そして、あの、旋律のような不思議な呪文が聞こえ始めた。
 低く、歌うような声が響く。
 その言葉の意味は全然わからないのに、頭の中にすっと入ってくるような気がする。



「……ひっ!」



 頭を持ち上げてクロードさんの方を見ていた私の視界に、鎌首をもたげた蛇が飛び込んできた。
 優に1mを超える大きな蛇だ。

「なんで蛇が!?」

 そんな、いったいどこから!?
 あっ、さっき恋ちゃんも!

 さっき、恋ちゃんも蛇がいるって言ってた。
 でも、私には蛇なんて見えんかった。
 きっと、これは幻や。
 本当は蛇なんておらんのや。

 見たらあかん。
 あの蛇を見たら私も恋ちゃんみたいになってまう。
 本当は蛇なんかおらんのやから騙されたらあかん。



「ひっ!ひいいいいっ!」



 何かが服の中に潜り込んできた。
 ざらざらと乾いた感触がお腹を這っている、この、細長い感じ。

「ひいいっ!な、なんでやの!?」

 目を開くと、あの大きな蛇が私の体に絡みついていた。

 な、なんで?
 この蛇は、幻のはずやのに?

「いや……気持ち悪い……」

 聞けてくる旋律のような呪文に合わせるように蛇がうねうねと動く。
 鱗の、ざらっとした感触が体中を這い回っている。

「えっ!?やっ、どこ入ってきとるの!」

 蛇がスカートの中に入ってきたのを感じて、思わず悲鳴を上げる。

 でも、蛇は動きを止めるどころか、ショーツの中に潜り込んできた。

「やっ、だめっ、そこはだめえっ!いやあああああああっ!」

 蛇の頭が、アソコの中に潜り込んでくる。

「いやあっ、だめっ、痛いっ、痛いいいいいっ!」

 太い蛇の頭が、アソコの中を押し広げるように入ってきて、硬い鱗が中を擦ってものすごく痛い。

「いやあっ、痛いっ!もうやめてっ!こんなのっ、気持ち悪いようっ!」

 蛇の頭がアソコを出たり入ったりし始めて、痛さと気持ち悪さが倍増する。

「いやあぁ……もう、入ってこないでえぇ……」

 こんなに気持ち悪いのに、呪文を唱える低い声ははっきりと聞こえてくる。




 その声が、頭の真上まで来た直後のことだった。




「ええっ?あっ、ふああん!?」

 急に、感覚が変わった。
 いや、アソコの中を擦るざらざらとした感触には変わりがないのに、痛みと気持ち悪さが嘘のように消えた。
 それに、なんだか気持ちいい……。

「う、うそ……なんで?あんっ、ううん!」

 そんなはずない。
 こんな、蛇がアソコの中に入ってきて、気持ちいいなんて。
 さっきまで、あんなに痛くて気持ち悪かったのに。

「あっ、はああぁん!」

 膨らんだ蛇の頭がアソコの中を押し広げて擦るたびにいやらしい声が出てきてしまう。
 どんどん体が熱くなっていく。

「はうううううんっ!ああっ、気持ちええっ、蛇っ、気持ちいいようっ!」

 気持ちよすぎて、もう、我慢できへん。
 体が熱くて熱くて、頭がぼんやりしてくる。

 そこに、クロードさんの唱える低い旋律が頭の中に染みこんでくる。
 この声を聞いていると、どんどん気持ちいいのが高まっていくような気がする。

 アソコの中を蛇に掻き回されて、頭の中をクロードさんの声に掻き回されて、全身が蕩けるように気持ちいい。

「ああっ、イイッ、気持ちいいよう!きてっ、もっと奥まで掻き回してっ!ああっ、あううんっ!」

 いつしか私は、夢中になって快感を求めていた。
 もっと気持ちよくなりたいのに、自由に動かない体がもどかしい。

「もっと、もっとだようっ!もっと気持ちよくしてっ、あんっ、ふあああああっ!?」

 低く流れるように続いていたクロードさんの声が、不意に途切れた。

 その、次の瞬間だった。

「ひああっ!?ああああああああああっ!」

 さっきまで出たり入ったりしていた蛇が、ズルズルと中に入ってきた。

「ひああああああっ、奥までっ、奥まで来てるうううううっ!」

 アソコの奥に蛇の頭がコツンと当たったような気がした。
 蛇の体が、どんどん奥まで入ってくる。
 あんな大きな蛇が全部入ってきたら、私のお腹どうなってしまうんやろ?

「入ってるっ、奥に入ってるっ!ふあああっ、だめっ、これっ、すごすぎっ、ああっ、もう、いっっくうううううううぅっ!」

 すっぽりと中に入った蛇が暴れたかと思うと、一瞬火花が散って、そのまま目の前が真っ白になった。











 ドウダ、キモチヨカッタダロ?

 ……え?誰?
 気持ちよくてぼんやりしてる頭の中で、変な声が響いた。

 オマエヲ、キモチヨクシテヤッタヤツダヨ。

 もしかして、あの蛇?

 キモチヨカッタダロ?

 ……うん。

 ソレガ、ホントウノオマエダ。イヤラシクテ、キモチイイノガスキナノガ、オマエノホントウノスガタナンダヨ。
 サア、ホントウノジブンヲミトメルンダ。ソウスレバ、モットキモチヨクナレル。

 いやらしくて、気持ちいいのが好き。
 それが、本当の私……。








「さあ、起きなさい」

 声がする……。

 オキロ。カラダヲオコスンダ。

 ……うん。

 目を開いて体を起こす。
 私の目の前に、黒い服を着た人がいる。

 あ、クロードさんだ……。

 なんでだろう?
 クロードさんを見ていると胸がドキドキする。

「さあ、これを見るんだ」

 そう言って、クロードさんが視線を落とす。

「あ……」

 つられて視線を落とした私の目に飛び込んできたのは、クロードさんのおちんちんだった。

 ホラ、ニギッテミロヨ。

 ……うん。

 頭の中に響く声に導かれるように、私はおちんちんに向かって手を伸ばす。

 どくんどくんと、私の手に熱い鼓動が伝わってくる。

 ドウダ?アツクテカタイダロウ?

 ……うん。

 コウヤッテニギッテイルダケデ、キモチヨクナルダロ?

 ……うん。

 堅くて熱いおちんちんを握っていると、なんだか気持ちよくなってきて思わず頬が緩んでしまう。

 コレヲナカニイレルト、モットキモチヨクナレルゾ。

 おちんちんを中に入れると……。
 なりたい、もっと気持ちよくなりたい……。

 なんだか気持ちがふわふわしてきて、私は、うっとりとして握っているおちんちんをさすっていた。

「これが欲しいのかい?」

 クロードさんの声がした。

 おちんちんを握ったままで見上げると、クロードさんは笑みを浮かべて私を見下ろしていた。

「はい、欲しいです」

 欲しい、おちんちんを入れて欲しい……。
 もっと気持ちよくなりたい。いやらしいことしたい。

「じゃあ、服を脱ぎなさい」
「はい」

 素直に頷くと、私は服を脱いでいく。

 もう、私には恥ずかしいなんて気持ちはなかった。
 恋ちゃんのことを心配する気持ちも。
 むしろ、私より先に気持ちよくしてもらうなんてズルいとすら思っていた。

 そう、これが本当の私。
 気持ちいいのが大好きな、いやらしい子。
 だから、早く気持ちよくなりたい。

 着ているものを全部脱ぎ捨てると、私は自分から体を寄せて大きく足を開く。
 さっき、恋ちゃんがやっていたみたいに。

「……お願いします。私にも、おちんちんください」

 私がそうおねだりすると、クロードさんがおかしそうに笑った。
 でも、全然嫌な感じはしない。

 さっき、クロードさんの表情が悪魔みたいに思えたのはきっと気のせいや。
 あの時の私は、まだ本当の自分に気づいてなかったから。
 自分の気持ちに素直になった今の私にとって、クロードさんは願いを叶えてくれる素敵な人なんだから。

 そして、いよいよ私の望みを叶えてもらう時がきた。

 熱く脈打っているおちんちんが、アソコに近づいてくる。
 アソコからは、ぐしょぐしょにおツユが溢れてるけど全然恥ずかしくない。
 だって、私はそういう子なんやから。

「じゃあ、行くよ」
「……はい」

 クロードさんの言葉に、期待に胸を膨らませて頷く。

「あっ、んふうううっ!ああっ、熱いいいいっ!」

 アソコをかき分けて入ってきたおちんちんの熱さに、思わず大きな声が出てしまった。
 でも、痛みは全然ない。
 熱くて大きくて堅いおちんちんでお腹の中がいっぱいになって、少し息が苦しいけどすごく気持ちいい。

「どうだい?」
「はいぃ……おちんちん、熱くて大きくて、すごく気持ちいいですぅ……。あっ、はうっ、あああんっ!」

 アソコの中に入ったおちんちんがいきなり動き出した。
 クロードさんが両手で私の腰を支えて、腰を突くように動かし始めたんや。
 堅くて熱いものに思い切りアソコの内側を擦られて、バランスを崩して倒れそうになった私は慌ててクロードさんの両腕を掴む。

「ああっ、これっ、すごいっ!動いてるっ!熱いのがゴリゴリ擦ってっ、すごくイイですっ!」

 それは本当に気持ちよかった。
 さっきの蛇なんか比べものにならへん。
 蛇の冷たくて乾いた感触とは全然違う。
 熱く湿って、私の体まで燃え上がらせる。

「そんなに気持ちいいかい?」
「はいっ、気持ちっ、いいです!」
「もっと気持ちよくなりたいかい?」
「はいぃ!もっともっと、気持ちよくっ、なりたいですうぅ!」

 熱くて熱くてのぼせたような頭に、クロードさんの声が響く。
 私はただただその言葉を受け容れていく。

「じゃあ、これからは私の言うことを聞くんだよ。私の言うことだけを聞くんだ」

 ソウダ。コノヒトノイウコトヲキクンダ。
 ソウスレバ、オマエハモットキモチヨクナレル。
 イヤラシイジブンデイルコトガデキル。

 クロードさんと蛇の声が頭の中でこだまする。

 もちろん、私にはそれを拒絶する理由なんてどこにもない。

「はいっ、聞きますっ!クロードさんの言うことなんでも聞きます!だから、もっと気持ちよくしてえええっ!」
「いいでしょう。もっと気持ちよくしてあげますよ」

 そう言うと、クロードさんは私の両手を引っ張って抱き寄せた。

「きゃふんっ!ふああああああんっ!」

 体が密着すると、おちんちんがもっと奥深くまで入ってきて、堪らず私はクロードさんにしがみついた。
 でも、クロードさんの言うとおりや。さっきよりずっと気持ちええ。
 これ、気持ちよすぎて、勝手に腰が動いてしまう。

「ああっ、深いっ!あんっ、んふうっ、んっ、はあん!」

 クロードさんに抱きついて、夢中になって腰を動かす。
 そうしているとおちんちんが中でどんどん擦れて、アソコ全体がじんじんしてきて、頭の中が気持ちいいのでいっぱいになる。

「ああっ、だめぇっ!これ、気持ちよすぎてっ、腰がどんどん動いてまうっ!ああっ、イクイクッ!私っ、もうイクううううううっ!」

 無我夢中で腰を振っているうちに、頭の中がショートしたみたいになって、なにがなんだかわからなくなった。
 もう、あの蛇の声は聞こえない。
 とにかく気持ちよくて、体が熱くて、全身がじんじん痺れて痙攣している。

「なんだい、もうイってしまったのかい?いやらしい子だね」
「はいいぃ……ごめんなさい、私、こんなにいやらしくて……」
「いいんだよ、いやらしくて。でも残念だね、これからご褒美をあげようと思ってたのに」

 ……ご褒美?

 その言葉に、体がピクンと反応した。
 さっき、恋ちゃんもご褒美もらって、ものすごく気持ちよさそうにしとった。

 欲しい……私も、ご褒美欲しい。

「ください……私にも、ご褒美ください。……んっ……あっ、あんっ!」

 ご褒美が欲しくて、私はまた腰を動かし始める。
 なんだか、さっきよりも体がだるくて重たく感じる。
 だから、感触をじっくり確かめるようにゆっくりと腰を揺すっていく。

 それだけでもすごく気持ちいい。
 だって、私の中のおちんちんはまだこんなに堅くて熱いんやもの。

「んふぅん……あん、ああっ、気持ちいいっ、ですぅ……」
「本当にいやらしいね。うん、いい子だ」
「ありがとう、ございます。私、なんでも言うこと聞きますから、だから……だから、ご褒美、ください……」
「うん、いいでしょう」
「あっ!あくううううっ!」

 いきなり、アソコの奥深くまで力強く突かれて、頭の中で何かが弾けた。

「ひああっ!はんっ、んんっ!ああっ、んくううっ!」

 体が振り飛ばされそうなくらい激しく突かれて、必死にしがみつく。

 これ、中が擦れるとか、そういうレベルやない。アソコがめくれそうや。
 下から突かれるたびに奥にゴツゴツ当たって、目の前に火花が散る。
 でも、それが気持ちよくてアソコがきゅうって締まってるのが自分でもわかる。

「はあっ、はっ、激しいっ!でもっ、気持ちいいっ!あんっ!あっ、あああっ!?」

 お腹の中で、おちんちんがビクンって震えた。
 そして、おちんちんがビクビク震えながらアソコの奥をコツンとノックしたかと思うと、お腹の中で火が点いたかと思ったくらい熱くなった。

「ひぐううううっ、熱いっ、あづいいいいいいっ!」

 一瞬遅れて、その熱いのが、アソコの中に熱いものが注がれているんやと気づいた。

 これが……ご褒美?

 熱いのをいっぱいに注がれて、アソコの中、満たされて、ものすごく幸せな気持ちになる。
 気持ちいいのがすごすぎて、アソコがひくひく震えて、もうわけがわからへん。

「イクイクイクッ!私っ、またいっくぅううううううううっ!」

 クロードさんにしがみついたまま、体が勝手にきゅっと反る。
 すると、アソコがまたおちんちんを締めつけて、さらに熱いのが迸り出ていく。

「ふああっ!イクッ、イってるのに、またイクうううううっ!」

 しっかりとクロードさんを抱きしめたまま、全てが真っ白になった。






* * *







 あれから、何日くらい経ったんやろか?

「ん……んん……」

 目を覚ますと、すぐ近くに恋ちゃんの寝顔があった。
 相変わらず、お人形さんのようにきれいな寝顔。

 ただでさえきれいな顔やのに、この何日かでなんというか、色っぽくなったというか大人の女っぽくなった気がする。
 やっぱりズルいよ、と思ってしまう。

「……ん。あ、おはよ、詩穂ちゃん」
「おはよ、恋ちゃん。……ん、ちゅっ」

 恋ちゃんの目がゆっくりと開いて、どちらからともなくキスをする。

「んむ……んふ……」
「ちゅむ……むふ……」

 舌を絡め合いながら、ほとんど裸のお互いの体をまさぐり合う。

 これは、クロードさんが言っとったんや。
 女の子同士でこういうことするのも勉強だから、もっと積極的にやりなさいって。

「んちゅ……あうっ!」
「むふう……んんっ!」

 白くて柔らかくてマシュマロみたいな恋ちゃんのおっぱいを揉むと、恋ちゃんは私のアソコを指先でそっとなぞってくる。





「ああ、起きていたんですか」

 その時、クロードさんが部屋に入ってきた。

「あっ、クロードさん!」
「おはようございます!クロードさん!」

 私たちは体を起こすと、クロードさんの足下に這い寄る。

「うん、おはよう、レン、シホ」

 体をすり寄せて上目遣いに見上げる私たちの頭を、クロードさんは嬉しそうに目を細めて撫でてくれる。

「ねえっ、今日は何をするの、クロードさん!」
「そうだね、じゃあ、今日は私のお友達を紹介しましょうか」
「クロードさんのお友達?」
「そうだよ」

 私たちが首を傾げていると、クロードさんが部屋の外に手招きをした。

 すると、ふたりの外人さんが入ってきた。
 お友達っていうけど、クロードさんよりもずっと若い。
 30歳前後くらいやろか?

「紹介しよう、こちらがジャンでこっちがクリスだ」
「あ、よろしくお願いします。私、生田恋です」
「はじめまして、廣田詩穂です」

 私たちが頭を下げると、赤い縮れ毛のジャンさんと、金髪のクリスさんは軽く笑顔を浮かべる。

「いいかい、レン、シホ、よく聞くんだ。今日から、彼らを相手に男の人を喜ばせる勉強をしてもらうよ」
「男の人を喜ばせる勉強?」
「そうだよ。ふたりとも、求められたやり方で彼らを喜ばせてあげるんだ。そして、何をどういう風にしたら男の人が喜ぶか、よく勉強するんだよ」

 クロードさんの説明に、私たちは静かに耳を傾ける。

 そうか、今日から新しいことを勉強するんや。
 それはええねんえど。
 それやと、クロードさんとエッチできへんのか。

「安心するといい。彼らを充分に喜ばせてあげると、ふたりのこともたっぷりと気持ちよくしてくれるからね。きみたちが彼らを喜ばせれば喜ばせるほど、きみたちも気持ちよくなれるんだよ」

 そうか、気持ちよくなれるんなら私はそれでええんや。
 きっと、恋ちゃんも同じ気持ちやろ。

 それにしても、クロードさんは私たちの考えてることをお見通しや。
 そうや、クロードさんの言うことに間違いはない。
 私たちは、この人の言うことを聞いていればええんやから。

「それでは、早速始めてもらおうか」

 クロードさんの言葉を合図に、ジャンさんとクリスさんがズボンを下ろす。
 すると、クロードさんのにも劣らない大きなおちんちんが出てきた。

 すごい……これならきっとものすごく気持ちよくしてもらえるかも。

「ソレデハ、マズハ舐メルンデス」

 ジャンさんが、クロードさんよりはだいぶたどたどしい日本語で言う。

 おちんちんなら、クロードさんのを何度か舐めたことがあるから、舐めるのに全然躊躇いはない。

「ん……ぺろ……」

 まずは、そっと舌を伸ばして舐めてみる。

 顔を近づけただけで、ムッとする濃い臭いが鼻をつく。
 でも、フェロモンたっぷりみたいな感じで、臭いだけで体が疼いてくるみたいや。

 気持ちが高ぶってきて、私はその大きなおちんちんを口いっぱいに頬張る。

「んふ……あむ……ん、んふ……」
「ソウ。舌ダケジャナクテ口全体ヲ使ッテ」
「ふぁい……んぐ、んむ……あふ……しゅぼ……」
「ホラ、モット奥マデ入レテ」
「んぐぐぐっ!ぐむっ、げほっ……んっ、んぐうっ……ぐむっ!」

 手で頭を押さえつけられて、喉の奥におちんちんが当たってえずきそうになる。
 すごく苦しいけど、それでジャンさんが喜ぶんなら頑張らないと。

「んぐっ、ぐくっ……ぐっ、じゅぼっ……ぐちゅ、ぐきゅっ」

 苦しいのを我慢して、必死に喉の奥までおちんちんを入れていると、不思議と気持ちいいように思えてくる。
 まるで、喉がアソコになったみたいや。
 それに、口の中いっぱいにおちんちんの匂いが充満して、頭がくらくらしてくる。
 鼻で息をするたびにいやらしい匂いがして、体中にエッチな気分が行き渡るようや。



「ふぐぐぐーっ!ふぐっ、んくっ、ぐくっ、んぐぐっ!」



 大きな呻き声に恋ちゃんの方を見ると、激しく頭を振ってクリスさんのおちんちんをしゃぶっていた。
 深く根元まで咥えると、苦しそうな呻き声が喉から漏れる。
 それをいったん浅く咥えてから、勢いをつけてまた深く咥え込んでいる。

 恋ちゃんも頑張ってる。
 私も、負けてられへんで。

「んぐっ、ごきゅっ、んくっ、ぐむっ、ごふっ!」

 私も負けじと頭を大きく振る。
 何度も何度も喉の奥を突かれているうちに、それが気持ちよくて頭がぼんやりしてくる。

 なんだか恍惚としてきて、私は無我夢中でおちんちんをしゃぶり続けた。

 
 


 

 

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