魔女のいない放課後


 

 



 トントントントン、キャベツを刻むリズミカルな音。
 ことことことこと、味噌汁が煮立つ鍋の音。
 ジュージュージュー、フライパンの油が魔法のようにスクランブルエッグを作る音。
 朝の台所は結構騒がしい。

 俺はフライパンの火を止め、刻んだキャベツをボウルに移す。

 四堂 京弥(しどう きょうや)16歳。まもなく17歳になる高校2年生だ。
 体がでかいことだけが自慢といえる俺だが、自炊暦は割と長い。
 両親は前から殆ど家に寄り付かなかったため食事は自分で用意した。

 ドレッシングをかけて軽くかきまぜる。

 高校生になったのをきっかけに一人暮らしをはじめた。

 刻んであったネギを鍋に落とす。
 軽く回して火を止めた。

 両親とはめったに会わないが、息子に2LDKのマンションを買い与えるとは結構儲かってるようだ。

 昨日の残りの煮物に火を通し始めたところで俺の寝室になっている部屋の扉が開かれた。
 まだ、眠っているのか目を閉じたままよろよろと冷蔵庫に歩み寄るそれは、絶世の美少女の成れの果てだ。
 せっかくの美貌はざんばらな髪にほとんど隠され、普段は快活な動きをみせるその身体はだらしなく動き、まるでゾンビのよう。
 しかし、パジャマの上だけを着ているのでスラリと伸びたきれいな生脚は見放題のサービスタイムだ。
 そう、彼女は朝が弱い。低血圧なのだ。

 ソレは冷蔵庫から豆乳(紀文の調整豆乳)を取り出し、グラスにそそぐ。腰に手をあてて一気にぐびぐびと飲んだ。
「ぷはー」
 ガタンとテーブルに空のグラスを置いた彼女は、まだけむる瞳を俺に向けてこういった。
「おはよう。ダーリン」



 彼女の名前は高木小夜子(たかぎ さよこ)。俺より3ヶ月年上の17歳。
 黒い流れるような腰まで届くストレートな髪が特徴の美女である。
 身長は168p。頭が小さく、手足が細長い彼女はスラリとしたモデル体型で同性も羨むスタイルを有していた。

 そして恐ろしいことに俺の彼女さんなのだった。

 1年生になりたての頃に起こったある事件がきっかけで彼女と付き合い始めたのだが、もう6月だから1年以上がたつ。去年の夏休みに殆ど俺の家に入り浸っていちゃいちゃ過ごしていたが、9月に入って、めんどくさいの一言で同居しはじめた。それ以来、食事は俺。そうじ洗濯は半分交代。といった微妙な配分のまま今に至る。
  実は彼女にはちょっとした秘密があって、そのせいで退屈したり、ましてや飽きてしまったりするような事はまったくなかった。
 
 テレビをみながら朝食を食べ、さて学校の準備をしようかなといったときに小夜子は口を開いた。

「ねえ、京弥君」彼女は気分で俺の呼び方を変える。
「うちのクラスの緋之森と古賀塚だけど・・・」
「ん?」
 その二人は我がクラスの3大美少女の二人だ。無論もう一人は小夜子なんだが。

 緋之森 晶(ひのもり あきら)
 陸上部がほこるスプリンターで、性格も明るくて人気がある。
 長い髪をポニーテールにしていつも白いリボンを巻いているのが特徴である。
 胸がでかく尻もきゅっとキレ上がっている。スタイルの良さはクラス一だ。
 鍛え上げた肉体は引き締まって(特に脚)男共の妄想を煽るに十二分の爆発力があった。

 古賀塚 祈(こがつか いのり)
 いまどきめずらしい「深窓の令嬢」といったキャッチフレーズが似合いそうなお嬢様である。
 実際、家も金持ちらしいが、なんでこんな共学の高校にいるのかよくわからない。
 髪はやや長いおかっぱで緋之森とは対照的に大人しい少女だった。
 どうにも男性に興味がないのか、はたまた怖れているのかいつも女友達に囲まれてひっそり笑っている。
 いまどき天然記念物的な照れたり、はにかんだりする姿が保護欲を刺激されるのか狂信的なファンが多いらしい。

 この3人のおかげで我がクラス2−Bは鳴朝学園(めいちょうがくえん)でもっともうらやましいクラスと影で呼ばれていたりする。

 さて、そんな美少女’Sを思い描いた俺に小夜子は続けた。
「京弥ちゃんが抱くならどっちがいい?」
「はい?」 思わず声が裏返る。
「抱くならどっちがいい?」
 わざわざ繰り返してくれた。ありがとう。

「いや、俺は君の彼氏だし」そう、別に女には困っていない。
 小夜子はセックスを嫌わないしめったなことでは断らない。だいたい昨夜もベットで・・・げふんげふん。
「そ〜れ〜は〜いいんだけど、それでもあえてセックスするならどっちかな?」
 これって何かのいじめですか?3日続けて納豆はまずかったですか?
 聞いてる本人は質問の内容とはまったく異なる純真無垢な笑顔で小首をかわいらしく傾けていらっしゃった。
「お・し・え・て」

 俺は頭を押さえながら、二人のシルエットを思い浮かべた。
 贔屓というわけではないが、二人には悪いと思うが、二人の魅力を足したところで目の前のミステリアスな少女には届かない。

「俺は小夜子ひとりで手一杯だってば」
「ありがと。でどっち?」
 どうやら質問に答えないうちは先に進めないらしい。出来の悪いロープレのようだ。
「ん〜〜〜〜じゃあ古賀塚かな」正直適当だ。
「へ〜あ〜いう大人し目なのがいいんだ」
 ハイ。うるさいのは間に合ってます。

「わかった」何がわかったのか莞爾と笑うと、彼女は着替えに自室に向かった。


 それから3日ほどは、上級生に絡まれることもなく、階段でラップ音が鳴ることもなく無事に日々が過ぎた。
 今思うと嵐の前の静けさというヤツだったかもしれん。
 その日、俺がバイトから帰ってくると玄関に見知らぬ靴があった。
 小さな、女物だ。

 おや?お客様のようだ、めずらしい。
 居間から小夜子の声がした。「おかえり〜」
 彼女は友達を連れてきたことがない。
 そもそも俺の家だし、学校では交際はオープンにしているが、同棲は無論ないしょなのでここに客を呼ぶはずがないのだが。

 そこにいたのは、かのお嬢様ofお嬢様「古賀塚 祈」であった。
 学校帰りらしく制服のセーラーのままである。
 彼女は俺をみてぺこりとお辞儀をした。
「だ〜めでしょイノリ!ちゃんとあいさつなさい」と小夜子。
「すみませんお姉さま。おかえりなさいませ京弥様」
 お?なにやら妙な単語が2つ。古賀塚さんがおかしい。

「フフ、よくできました」そういいつつ、ニッと笑うと小夜子は古賀塚さんを強引に抱き寄せ、その唇にキスをした。
 んな!?訂正おかしいのは小夜子だ。
 しかも、古賀塚さんは嫌がるどころか恍惚の表情を浮かべて抱きついている。
 一体何しやがった?

 呆然とする俺の前でふたりはたっぷりと唾液を絡ませた舌を互いにつぐみあいディープキスをしているのだ。
 エロイ。これはエロイ。
 片や見慣れた美貌と片やクラスメイトの美少女。ぴちゃぴちゃと音をたてて互いを貪り合うキスのなんといやらしいことか!
 いや、見とれている場合じゃないだろ。

「小夜子さ〜ん!な、何してるんですか〜?」
 二人はまだ離れない。
「お〜い小夜子!小夜子ったら!いい加減にしろ!!」
 その言葉で小夜子はようやく古賀塚さんから唇を離した。
 そしてしたたる唾を拭きながらのたまった。

「あのね、紹介するわ。古賀塚 祈さん。今度彼女をあたしの使い魔にしたから」

 

 高木小夜子は魔女である。

 それは彼女が自分でそう言っているのだから多分間違いないのだろう。
 あいにく俺は彼女が箒に乗って空を飛んでいるところとか、黒いマントに山高帽で杖を持って怪しげな呪文を唱えているところとか、はたまたステッキを持って変身しているシーンを見たことはない。

 しかし、微妙にどこかが常人とは違うのだ。
 女はみんな魔女である。とかそういった意味合いではない。
 確かに目の前で魔法を使うことはない。
 それでも彼女は自分は魔女であると主張しているし、俺も多分信じている。
 とはいえ、普通に考えるととっても微妙で、なんというか彼女が魔法といいはるものは「偶然」ですますことができるような物が多いのだ。
 例えば微妙によくあたる占いとか、あるいは彼女に敵対すると偶然不幸が起こるとかそんな感じである。

 彼女にどこらへんが魔法なのかと聞くと
「ん〜と、あたしと付き合って随分たつよね〜。京弥くんには散々胸揉まれたけど、あたしの乳首ってまだきれいなピンクでしょ」
「いや、それ体質じゃあ?」
「魔法です」

 とか
「いっつもHのとき、中だしさせてるでしょ?でも、いまだに妊娠しないじゃん」
「それって、避妊してるんじゃ?」
「魔法です」

 といった感じでどうにも煙にまかれてしまうのだ。
 そのくせ、あたしが致命的に料理が下手なのは魔女だからなのよ!
 魔女はみんな料理が下手なの!
 (絶対うそだ)
 とか

 じゃあ、その体型をずっと維持してるのも魔法なのか?と聞くと
「それは努力のたまもの」
 とか

 なんだか煙に巻かれてしまうような状態であった。

 それでも、彼女はたまに「魔女の仕事なの」といって1日2日いなくなることがある。
 果たして魔女にも仕事があるのだろうか?

 それはさておき、俺はあまり詮索好きではないし、彼女が自称魔法使いでも特に困ることはなかったので今までそのことは棚上げしていたのだがまさか「使い魔」などという直球が来るとは思わなかった。
 いやびっくり。



 話は戻る。

「使い魔ってえ〜と、ふくろうとか黒猫とかそんなんじゃなかったっけ?」
 乏しい記憶を総動員して答える。
 魔法使い系の本はいくつか調べてみたことがある。
 どれもイマイチまゆつばなものばかりだったけどさ。

「昨今のトレンドは人なのよ」と小夜子がいう。
 トレンドで使い魔作るなよ。つーかうそ臭い。
「で、古賀塚さんはどうなったんだ?」
 彼女はまだぽ〜としていて妙に色っぽい。 
「んふ〜。かわいいでしょ。あたしの命令は何でも聞くのよ。ね〜」
 最後のね〜は古賀塚さんに向けたもので彼女は律儀に
「はい、お姉さま。私はお姉さまのしもべであり、お姉さまの所有物です。お姉さまの命令には喜んで従います」と答えた。

 なんだろ、これ。強力な催眠術みたいなものだろうか?自ら喜んで従うような暗示力ってなんだ?
「一種の契約よ。いろいろ準備は大変だったんだからね」
 俺の胡散臭そうな視線を読み取ったのか小夜子が答える。先程のキスの件からして古賀塚さんが演技しているとは考えにくい。
 ・・・・とあることに気が付いた。

「おい、小夜子。契約って彼女の意思は確認したんだろうな?」
「え?・・・・・・・・・・もちろんしたわよ」
 なんだよその間は?
「それウソだろ。そんな契約、解約しなさい」
「え〜!なんで!?ってかムリだし」
「まだ一週間たってないからクーリングオフが効くだろ?」
「あのね〜通販じゃないんだから」
 と頬をふくらませて怒ってる。

「というか、そもそもなんで使い魔なんだよ?」
 俺の詰問に口を「ああ」と開けてポンと手を打った。
「あ〜それそれ、そうよ、肝心なこと話すの忘れてたわ。あたし、来週一週間、例の魔女の仕事ででかけるから」
「へ?」
 俺は軽く驚いたね。小夜子が「魔女のお仕事」でいなくなるのはままあることなのだが、
 1週間というのは例を見ない。大概が1日2日なのだ。
「そっか、そりゃ大変だな。まあがんばってきなさい」
 と適当に励ますが、何が大変なのかよくわからない。魔女の仕事っていうのが何なんだか知らないからだ。
「で、それと古賀塚さんとどういう関係があるんだ?」
 それを聞いた小夜子は待ってましたとばかりにニヤリと笑うとびしっと俺を指差した。
「浮気よ!」

「は?」
 一体何がなにやら
「妻が一週間も留守にするといったら夫は必ず浮気をするわ!!」
 断定かよ・・・。
「いや、我慢するよ」
「だめよ!だめなのよ!いくら我慢しても浮気は統計学的に言っても必然なのよ!」
 わざとだろうか、小夜子は頭を振り、髪を振り乱している。
 信じていた夫に裏切られた妻の演技なのか?
 何このテンション?w

 最近の小夜子ってちょっと壊れ気味かも、以前は大人しかったのになあ・・・。
「む、何その遠い目は?」
 ジトりと俺を睨んだ後
「まあ、いいわ。浮気の防止策の話よ」
 俺の浮気は確定らしい。
「つまり、あれか古賀塚さんに見張らせようってことか」
「ふ、甘いわ。大江戸亭の3段あんみつより甘いわ!」
 比喩がよくわからんが
「ふふ、教えてあげるわ。留守の間に浮気をさせない最善の方法はね、こちらから女をあてがってやることよ!」

 みなさん。開いた口がふさがらないって、あれ本当でした。俺は今口をぽかんと開けて固まっています。
「いや〜驚いた。驚くと人間びっくりするなあ」自分で何言ってるかわかんねえよ。
 俺は体感時間で1時間ほど(実際は1分も経ってないだろうが)固まった後、そう口走った。

「え〜と、小夜子さん?それってつまり、するかしないかもわからない俺の浮気のために、代わりの枕をあてがうってことですか?」
「そうよ」
 腰に手をあててなんだか偉そうである。
「世の中ではそれを本末転倒っていうんだぜ?」
「黙れ!」
 黙れキター

「いい、あたしがいない一週間はイノリがあなたの面倒を見るの。これ決定事項だから」
 俺の意見は無視らしい。いや、彼女の横暴は今に始まったことじゃないけどね・・・。
 
 そんなこんながあって、ついに小夜子がいない1週間がはじまった。



 月曜日。バイトを終えて家に帰ってくる。
 梅雨が始まったせいでどんよりして蒸し暑い。
 早く帰ってビールを一杯、じゃなくて冷たいお茶を飲みたいもんだ。
 体力を使うバイトのせいで、疲れてはいたが明日は創立記念日とかで学校は休みである。俺は久しぶりにひとりでゆっくりできると思ってドアを開けた。

 部屋に入ると台所から調理をする音が聞こえる。
 おや?・・・そうか、今日から古賀塚さんが来てるんだっけ・・・。不覚にも忘れていた。
「ただいま」
 声をかけると、ばたばたと廊下を走る音が聞こえ、古賀塚さんが・・・・。

「な!?」

「おかえりなさいませ」
 ななな!!?
 そこには満面の笑顔を浮かべたメイドさんがいた。
 俺は衝撃に声も出ない。
 め、メイドさんですよ、ほらあのメイド喫茶とかにいるあのメイドさんですよ。
 ちょっと混乱中。

「なんか変ですか?」
 ともじもじしながら聞いてくるそのメイドさんはやばいくらいかわいかった。
 メイド服なので決して露出は高くない。
 しかし、モデルがいいことと、デザインが結構アレンジされていること、なぜかカチューシャの代わりにネコミミなこと。

 ギリギリなのですよ、あざといくらいにやりすぎな部分が目立ちすぎないようさりげなく演出されモデルの控えめな性格までが服として完成している。
 などと、ヘタな料理評論家のような感想を浮かべつつ。

「いや、よく似合ってるよ」とそれだけが精一杯。
 自宅にメイドさんというのはかなり浮いているような気がする。
 いや、あえて言おう。だからなんだ!!
 クラスで3指に入る美少女の、しかも「かわいらしい」という表現なら小夜子さえもしのぐ古賀塚祈のメイド姿だ。
 まさに水を得た魚。鬼に金棒。ポパイにほうれん草だ(古!)
 このまま床の間に飾っておきたい一品である。

「よかった。お姉さまがこれなら絶対にイチコロだって揃えてくれたんです」
 小夜子の差し金かよ。
「いけない、火をかけたままでした」
 唖然とした俺を残したままそういって彼女は台所に引っ込んだ。


「正直驚いたよ。古賀塚さんてお嬢様だと聞いていたからね。料理も上手いんだ」
 食卓は結構な賑わいである。
 魚に牛肉、卵に豆。とヘルシーかつボリュームのある料理が並べられていた。
「祖母が女の子は料理くらいできないとだめだって言って教えてくれたんです」

「へ〜いいおばあさんだね」
「普段はこわいんですよ。でも私の前だとすごく優しいんです」くすっと笑う。

 とまあ、メイドさんを鑑賞しながらの食事というものは非常に有意義だ。
 小夜子はもっぱらアダルト系の服しか着ないのでかわいらしい感じにはまた新しい世界があっていいなあとニマニマしてしまった。

 楽しい時間はあっという間に過ぎるもので気付けばあっという間に10時を廻ったので
「そろそろ送っていこうか?」
 と提案をしたところ
「え?私帰りませんよ。お姉さまから聞いてませんか?京弥様のお世話をするように言われています」
 それとなく聞いてるけど本気にしてないし・・・。
「いや、家の人も心配してるだろうし」
「大丈夫です。そこはお姉さまが手配済みなので」
 一体何をしたんだ小夜子・・・。

「そうだ、お姉さまから手紙を預かっています」
 白い実用的な封筒をエプロンのポケットから取り出すと俺に差し出す。
「あ、お風呂見てきますね」そういって席をたった。

 俺はおそるおそる封を切る。
  そこには小夜子らしいきれいな文字でこう書かれていた。
「親愛なるダーリンへ
  あたしがいない間寂しくないよう純潔の乙女を用意しました。
  帰るまでは彼女で寂しさをまぎらわしてください。
  なお、彼女にはダーリンに奉仕すると楽しくなり、命令されると嬉しくなるように調整しておきました。
  また、裸や恥ずかしいところを見られると快感を生じ、中出しされると幸せになる様にしてあります。
  あたしが戻るまでにたっぷりと調教しておいてください。
                                                   あなたのシモベより」

 どうにも、絶対に俺に彼女を抱かせるつもりのようだ。
 しかも、服従を装ってセックスを教唆しているが、固有名詞がひとつもない。
 いざというときは言い逃れができるようにしてあるのだ。この確信犯め!

「お風呂いい湯加減ですよ」
 古賀塚さんが手をふきつつ戻ってきた。

 見た目はどこまでも愛らしい少女だが異常なのだ。
「一応聞くけど、変だと思わないか?」
「え?何がですか?」
 きょとんと見上げる彼女。
「俺は小夜子という彼女がいるし、その〜俺とHをしろって言われてるんだろ?」
「それが小夜子お姉さまの命令ですから何もおかしくありませんよ」
「いや、俺のほうが変な気分なんだよ」
「ああ、それは私を普通の女の子だと思うからいけないんですよ」
 彼女はさもなんでもないという風に話す。
「私はおもちゃかペットだと思ってください」
 無茶をいう。
「では、こういうのは如何ですか?そもそも使い魔たる私はお姉さまの一部なんです。ですから私を抱くのはお姉さまを抱くのとなんら替わりはありませんよ」
 はあ。
「ですが、この身体は男を知りません。私もセックスには非常に興味があるのですよ。これは古賀塚祈としての意思なんです」
 とにこやかに笑う。

 ふ〜まいった。ここまで完璧だとは、小夜子おそるべし。
 そういえば、先週ずっと部屋でふたりっきりでなんかやってたなあ・・・。
 
 
 湯船に使って息をはいたところで
「お背中お流しします」
 う、まあ、予想はしていたがやはりそう来たか。
 彼女は、ごく普通に入ってくる。
 なんかこう、俺に奉仕するのが当たり前、いや私の権利ですくらいな感じだ。

 風呂に入ってきた古賀塚さんはあたりまえだが全裸だった。何ももっていないし、隠そうともしていない。
 小夜子の身体は見慣れていたが、同じ女性でも随分違う。
 おかっぱの髪がしっとりと濡れやや柔らかくウェーブしていた。

 全体的に小柄な彼女は、胸も小夜子より小さめで手足も細い。ウエストなんかもやたら細くてなんだか作り物みたいだ。さすがにお尻当たりはふくよかで女性らしい丸みを帯びていた。
 少女らしい、控えめな胸は先端に向けてやや張り出しており、その頂点はきれいなピンク色だ。軽く足を開いて立っている為性器も丸見えで、意外というか当たり前というか毛が生えていた。ただ、かなり薄くて全然隠す役目に立っていない。やや幼い感じがする、どこか神々しい裸体だった。
 
 俺はかなり見つめていたらしい。いつのまにか彼女の目がトロ〜ンとなっている。
 やばい、そういえば裸を見られると感じるんだっけ?
 とはいえ、目をそらす気は毛頭無い。
 続けて性器の辺りを見ていると
「はあ・・・・・」
 となまめかしい吐息をついた。
 脚がぶるぶる震えている。

 う〜む、そろそろ理性が限界を超えそうだ。
 俺の頭上でアクマがささやく。
 (本人が求めてるんだから犯っちゃえよ)
 もう一匹のアクマがささやく
 (小夜子のお墨付きなんだぜ。何の問題もないだろ)
 ってアクマしかいないのかよ。
 よくみるとアクマは箒にまたがって飛んでいる。アクマのしっぽを生やした小夜子だった。

 小夜子に乗せられるのは癪だが、いい加減湯船に使っているのも限界だ。
 俺は立ち上がった。
 ちなみにやたらと広い風呂場は洗い場だけでも十分寝そべることができる。

 俺の身長は180を越えているし鍛え上げているのでかなりがっちりしている。
 比べて古賀塚さんは160以下で優に頭ひとつ小さかった。

 俺の愚息は彼女の前でいきり立っており、古賀塚さんの視線を独り占めしていた。
 俺は床に胡坐で座ると
「それじゃ、頼む」と声をかける。
「え?」
 かなりぼんやりしてる声が返ってきた。
「背中流してくれるんだろ?」
「あ、はい!」

「京弥さまの背中すごく広いですね」
 とりあえず泡立てたスポンジで擦ってくれる。
 かなり興奮している古賀塚さんの荒い息が耳にかかる。
「そうか?」
「はい、ほら」
 というと後ろから抱き付いてきた。背中に柔らかい肢体が押し付けられる。
「は〜〜〜〜・・・」
 ポッチが2つあった。乳首たってやがる。
 俺の肩にあごを乗せて手を前に回して組む。
「指がぎりぎりです」
「まあ、小さい頃から空手で鍛えてるからなあ」

 彼女はそのまま身体を上下に動かし乳首を擦りつける様にした。
 泡が潤滑油となってぬるぬると滑る。
 古賀塚さんは興奮していることを隠そうともせずに息を荒げる。
「はあ〜〜、はあ〜〜、はあ〜〜、ん・・・、はあぁぁ・・・・・」
「ぬるぬるしてて気持ちいいですぅ」

 すでに背中を洗う行為ではなく、俺の背中を使ったオナニーになっているような気がする。
「古賀塚さん。もう後ろはいいよ」
「へ?あ、はい。すみません」

 彼女は前に周ると腹にぴったりとくっついた俺のイチモツを眺めて
「さっきより大きくなってます」
 となぜか嬉しそうに告げた。
 そして俺の肩に腕をのせて身体を支えると
「よいしょ」と声を掛けて俺の体にまたがってくる。
 いわゆる対面座位の形である。
 小柄な彼女がやるとお父さんに抱っこされている娘さんという感じだが互いに全裸。しかも泡付だとやはりほのぼのとはしなかった。

 俺は必然的に腕を彼女の尻に回して支えることにする。
 うむ柔らか!しかし芯はまだ固い。
 女としてはまだ発展途上の彼女の尻肉を堪能していると
「そういうことすると私も奪っちゃいます」
 と、唇を奪われた。
 舌が進入してくる。唾液を交換しながら相手の舌をなぶりあう。
 反撃の反撃に俺は彼女を抱き寄せる。股間と股間がさらに密着して彼女のクリトリスを擦るように刺激した。
「かはぁぁぁぁぁぁ・・・」
 喉の奥から押さえきれない快楽が漏れ出す。しかし俺は口を離さなかった。
 両手で彼女の体を引き上げ落とす。それをくりかえし断続的に刺激を続ける。
「はあ、ぁぁ・・・・ふわ・・・ああぁぁ・・・・」
 まるで、俺の舌にすがりつけばその快楽から逃げられると思い込んでいるように彼女は夢中に吸い付いてきた。
 俺は彼女の柔肉を使ってペニスを刺激する。今度は俺が彼女の身体を使ってオナニーしているような感じだ。
「ふあ!あ!あ!あ!あ!あーーー!!」
 声がだんだん高くなったかと思うとやがて身体をぶるっと震わせ、全身から力が抜けた。
 どうやらイッたらしい。

 腕の中で、快楽の余韻にまつげをぴくぴくさせて顔を上気させている彼女はとてつもなくエロかわいい。
 このまま押し倒して突っ込んでしまいたくなる。

 が、その前にせっかくのバージンだからよく見ておこう。彼女をマットの上に横たえるとシャワーを弱にして軽く洗う。だらしなく開いている脚の間に身体を入れ、よく見えるように持ち上げる。
 しげしげと彼女の性器をみていると、その延長上から視線があった。
「何をしてるんですか?」
「いや、保健体育のお勉強。今度、古賀塚祈のおまんこについてレポートだすんだ」
「やめてください」といって暴れる彼女。顔が真っ赤だ。
 ああ、いいな純情って。こういう反応がいいんだよ。な?

 身体を起こすと、顔を赤らめながら聞いてきた。
「それで、どうでした?私のあそこ」
「いや、まだ中まで確認してないんだ」
 彼女は目を細め顔を赤らめながら、
「じゃあ、よく見てください」と自分でそこを開いた。

 ごくり。喉がなる。
 すごく小さい。俺の入るのかね?
 (どうせあたしはがばがばですよ!)
 脳内で小夜子が突っ込む。いや、比べちゃ悪いな。

 俺は、心を落ち着けてじっと観察する。
 後から聞いたところによると古賀塚さんいわく「3日も何も食べていない野良犬が目の前にエサをちらつかされたかのような目」だったらしい。
 中からじわりと水と違う液体が染み出てきた。
 指にとって舐めてみる。ややしょっぱい。
 美処女の愛液だと思うととても特別なものに思える。
 これヤフオクにだしたら1cc何万つくかな・・・。
 いや、くだらない思考でごまかしているのは興奮を隠すためなんです、いきり立つ雄の熱いパトスがもう抑え切れません。

 俺は彼女の小陰唇のヒダをさすりはじめた。
 漏れ出た愛液をまぶすようにゆるりとしかし確実に。
「んんん・・・あん・・・」
 2本の指ではさみながら上下にゆっくりと動かす。
 柔らかい媚肉の感触がみだらだ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
 イノリの息がどんどん荒くなる。
「どんなかんじ?」
「え?あ、なんかしびれるような変な感じです」

 擦るのは左手にまかせて右手の親指と人差し指でクリトリスを上からはさんだ。
「ひあ!?」
「今びくって電気が走ったみたいに・・・」
「やっぱこっち感じるんだ」
 俺は左手の中指を彼女の中にそっと侵入させた。
 くちゅりといやらしい音が聞こえるようだ。
 入れた指で中を確認する。ひどくせまい。しばらくそうやって中を泳がせていたが、その指を下から、上からは先程の右手の指でクリトリスを挟むように押さえる。
「きゃ!だめ!それすごいです!」
 かまわず続ける。押さえた指でごりごりと動かす。
 皮はむいてないので、いくらかクッションになっているだろうがおそらくはじめての感覚のはずだ。
「や、だめ!だめ!やだ!変になっちゃいます!だめです!だめ!」
 俺は上の指をはずす。
「あ」
 彼女はほっとしたような残念のような声をあげた。
 イノリのおまんこはさっきよりひどく濡れていた。
 そこはすでに神々しさはなくただの雌のみだらな花弁だった。

 俺はシャンプーの並ぶ棚から円筒形のビンをひとつ取った。
 中身を手に取る。透明なゼリーがぬるりと零れ落ちる。
 それを彼女のおまんこに塗りこめる。あまった分を俺のペニスに塗った。

「あの、それ何ですか?」
「ん?潤滑剤。ローションってやつだな」
「えっと何で?」
「ああ、はじめてだとつらいだろ?」
「いえ、何でここにあるんですか?」
 俺は当然とばかりに答えた。
「小夜子と使うから」
「・・・・・・・・・」
 そりゃ1年以上エッチしてればいろいろあるんですよ。

「それじゃ、入れるぞ」
 俺は先端をあてがう。
「はい、あ、あの〜先にキスしてくれますか」
「ん?」
 やや矛先をそらされたような気がしたが、まあこれから処女を裂こうというのだから落ち着かないのだろう。
 彼女に覆いかぶさって唇を併せる。
 イノリは夢中になって吸い付いてきた。
 たっぷり1分ほど互いの口腔をまさぐっただろうか、彼女から離れた。
「もう、大丈夫です」
 俺は再度しきりなおして、そして先端を入れた。
 ローションのせいかすんなりと入る。が、数センチ入ったところで止まる。
 いよいよ除幕式ですか
「いくぞ」
「・・・・はい」
 俺は先端がずれないように右手で固定して体重をかけていった。
「ん〜〜〜ぐ、ふぅ、ふぅ」
「少し力抜いて」
「は、はい」
 さらに侵入する。やがて堅牢な扉は観念したように開いた。
 先端がぬるりと中に入った。
「かは!い、いたい!いたいです」
 俺は痛くないし、すごく熱い。
「うん、痛いだろうね。処女膜破ったから。まあ、もう少し我慢して」
「く〜〜〜〜〜〜」
 俺は少なからず感激していた。
 女子高生
 クラスメイト
 美少女
 の処女を頂いたのだ。
 小夜子の時はちょっと特殊だったからなあ・・・。
 まあ、これも特殊か。
 いずれにしろ古賀塚祈というお嬢様のはじめてを頂いた俺は彼女を支配したようなそんな気分だった。
 男って単純だよね。
 早く動きたがっているペニスに我慢をさせて、つながったままキスをした。
 痛みを忘れようとするかのように激しく食いついてくる。

「はあ、はあ、少し落ち着いて来ました」
「じゃ、動くよ」
「は、はい。ゆっくりお願いします」
 俺は腰をぐいっと押し進める。
「ぐ、あ!あぁぁぁぁ・・・い、痛い」
「まあ、すぐに全部気持ちよくなるだろうから、はじめての痛みを堪能してくれ」
「そ!ん・・な信じられません・・・」
 それからは痛がる彼女の顔をみながら強引に推し進めた。
 必死に我慢しているが合間に声が漏れる。
「くっ!・・・・いっ・・・・ひぃ・・・」
 とりあえず一度出してしまおう。
 締め付けがきついのですぐに高まってきた。
「だすぞ!」
「ひ!」
 俺はスパートをかける。彼女の奥をえぐるように数回グラインドさせ、最奥で止まった。
「ん・・・・つっ・・・・・」
 数瞬体が硬直し、・・・・・緩んだ。

「はあ〜〜〜〜」
 ドクドクと中ででている。俺は容赦なく彼女の膣内に射精した。
「ぐ・・・んんっ!はあああ・・・・あ?ふあ・・・」
 彼女の表情が緩む。
「はあ、あれ?・・・・はあ、はあ、ふう〜〜〜んん」
 ん?なんだ?
「なんか、変です。はあ、お腹の中に・・・いっぱい精液が入ってきて・・・すご・・・く・・・あれ?すごい・・・あふ・・・しあわせ・・・・はああぁぁぁ・・・まだ入って・・・くる。いい・・よう」
 なんだか目の焦点が合ってない。
「大丈夫か?」
「はあ、いい・・・気持ちいい・・・なんで?・・・いい・・・」
 あれ?さっきまであんな痛がってたのに・・・。
 ほんのりと赤らめたその表情は、まさしく快楽を感じている女性のものだ。
 出したばかりなのにペニスがまた大きくなる。
「あぁ・・・・中で大きくなってます・・・」
「まだいけそうかな?」
「変です・・・。なんかすっごく満ち足りた気分なんれす・・・・」
 あ、・・・・そうか。中だしされると幸せになるとか・・・あったな・・・・あれか!
 なら大丈夫か?
「じゃあ、第2ラウンドだ」

 俺はつながったまま彼女の膝の裏に手を入れてM字型にする。
 そのまま、今度は足首を持ってイノリの身体を2つに折った。
「こうすると、繋がってる所がよく見えるだろ?」
「・・・・・はい」
「イノリ。どんな風になってるか説明してくれ。これは命令だ」

「あ、命令・・・あふ・・・。私のおまんこの中に太いお、ちんちんが・・・出たり入ったり、んあああぁぁぁ・・・・ふう、ん、ん・・・して・・・ひますぅ・・・」
「どうだ、俺のチンポは?好きか?」
「ふぁい・・・・ん・・・はあ、はあ、はあ・・・」
 俺は彼女の中にずんと入れる。
「かは、ああああ・・・・ふぁあああぁぁぁぁ・・・・」
 二つ折りの身体がクッションになって反作用でずるりと抜ける。
 もちろん内壁をひっかきながらだ。
「やあ・・・・ダメぇ・・・・ひぃぃ・・・」
 俺はリズミカルにそれを繰り返す。
 どうやらさっきより大分感じているようだ。
「はあん、あん、あん、あん、あん、あん・・・・」
 俺は律動をやめる。
「こら、ちゃんと答えろ」
「ふあ?・・・はい・・・」
「俺のチンポ好きか?」
「・・・・はい・・・太くって、硬くって、逞しくて・・・好きです」
 その目は完全に俺に媚びている。
 こういうのは、口で言わせるに限る。
「どうしてほしい?」
「動いてください。もっと、もっと私を滅茶苦茶にしてください!」
 いいねえ、俺の雄を奮い立たせる。
「じゃあ、ご褒美だ」

 俺は動きを再開した。
「はああ、んん・・・あん、あん、あん、あん、あん、あん、あん、あん・・・」
 やや甲高い少女の声が耳に心地良い。
 俺はイノリの乳首に親指を引っ掛けると、擦り上げた。
「ひゃ!それ感じちゃいます!」
 狭い膣がさらに締め付ける。こりゃすごいな。
 俺は、なるべくランダムに強弱をつけながら乳首をせめる。
「あ!あ!ダメ!そこダメ!ダメです!!」
 イノリの愛らしい声が耳元で響く。
 もっと遊んでいたかったが、こっちも限界のようだ。
 俺も汗だくである。さらにピッチをあげる。
 イノリはまだたまに痛むのか時折顔をしかめている。
 それでも、いまや快楽に歪む時間のほうが圧倒的に多くなっていた。
「あん、あん、いい!いいです!あ、今の!今のこと!あ!そこ!すごい、いい!」
 角度を調整してさらにそこを責める。
 イノリの感度はどんどん上がって、上がりっぱなしだった。

 つか、こっちも限界。
「出すぞ」
「あ!中に!中にください!」
 彼女の腰を追いかけて、こっちもほぼ真上から杭を打ち込んでいるような状態だった。
 深い摩擦感を得るために強く挿入する。
「あ!かは!」
 そして一番深い位置で俺は爆発した。
「ああ!入ってくる!中に入ってくるううぅぅぅぅ・・!いく!いく!いっちゃうううぅぅぅ・・・・」

 最後までたっぷりと中で放ったあと、俺はイノリの中からペニスを抜いた。
 ふう、すんげえ気持ちいかった。
 ちゅるん、てな感じで抜けた後のイノリのおまんこは、まだ俺の形のままに開いていた。
「ん、ふあ、はああ・・・・・」
 トロリと精液がこぼれてきた。なまめかしい。と見てると
「ん、んんんん・・・・」
 イノリの声とともにぱっくり開いたおまんこから、おしっこがでてきた。
 チョロ、チョロチョロ、シャアアアア・・・・
 完全に気をやったらしく身体の力が抜けてしまったようだ。
 まあ、お風呂だからいいけどさ。あとでからかってやろう。
 で、エロいから最後まで見ていた。



 翌日は学校が休みだったので、外出もせずに部屋の中ですごした。
 食事とトイレ以外はいちゃいちゃと過ごす。
 主にノーパンのままメイドの格好をさせて、ひざの上に座らして指とペニスで何度となく逝かせた。
 へとへとになった彼女は
「どうして、女の子たちがメイドの格好に憧れるのか判ったような気がします」
 と言った。
 いや、それ違うから。

 学校ではイノリの何か言いたげな視線を完全に無視していた。
 そうやって焦らしたせいかバイトから帰るとイノリは臆面もなく自分からおねだりをする。
「あの・・・もう、我慢できません」ん〜かわいい。
 セックスを覚えたての頃ってこんな感じだよなあ、とか思いつつイノリを調教していった。

 そして楽しい時はあっという間に過ぎ、日曜日。
「たっだいま〜!」魔女の帰還である。

 丁度俺は居間でソファに座ってテレビを見てくつろいでおり、その足元でイノリが肉棒をしゃぶっていたときだった。
 ちなみにイノリの格好は裸エプロンでとっても言い訳がしにくい状態であったことを記しておこう。
 小夜子は俺たちを見るなり嬉しそうに
「この浮気者〜〜!!あたしというものがありながらよその女に手を出すなんて!!よよよよよ・・・」と言ったが俺は無言。目線で抗議する。お前がいうな。
 イノリは何事もなかったのように立ち上がると口元をエプロンでぬぐいながら
「おかえりなさいお姉さま」と言った。

「あら〜ん、イノリったらエッチな格好じゃない。たっぷり調教してもらった?」
「はい、それはもう」
「ふ〜んどれどれ?」
 といってイノリを抱き寄せ口付けをする。ぴちゃぴちゃと舌を絡め唾を交換する。
 口元からこぼれた唾液が白い喉元を過ぎる。

「ふふ〜ん。元気みたいね」小夜子の視線は腰の下を見ていた。
「たー!」
 と、唐突に小夜子が殴りかかってきた。
 俺はその拳をあっさり掴み、抱き寄せる。そのままお姫様だっこをして
「おかえり」と言った。

 そして小夜子が突き出す唇をかすめ、その形のいい鼻の頭にキスをしてやった。



 その晩のことは思い出したくない。

 俺は不意打ちをくらい手足をタオルで拘束されていた。
 腹の上にイノリと小夜子がまたがっている。3人とも衣服は一切着けていない状態だ。
「じゃあ、イノリ。この一週間あったこと全部教えなさい。正確にね」
「はい、お姉さま」

 俺の頭上でイノリの報告会がはじまった。
 処女をどんな風に奪われたからスタートし、どんな体位でいかされたか、その時の気分は、はたまた俺がどんなセリフを言ったかなど、克明に報告していくのだ。
 しかも、その都度小夜子が、ほ〜だのは〜だのうなりながらニヤリと笑うのだ。
「よし、今の再現してみよう」といって実際にイノリを抱かせたり、小夜子自身がやってみたりともう好き放題である。
 俺のクサイ攻めゼリフがイノリのかわいらしい声で告げられ、しかもその感想まで付けられる。拷問だ!これはまぎれもない拷問なのだ。
 しかも、俺が腐ると優しさを装ってセックスをはじめる。二人掛かりなのでエロさも2倍だ。それで俺の興が乗ってくるとまた次の報告がはじまるのだ。
 肉体的には気持ちいいが、精神的には地獄という恐ろしい時間は明け方まで続いたのだった。



 それから、古賀塚祈は家に戻り、またいつもの生活がはじまった。

 と思ったのだが、イノリはちょくちょく家に遊びに来る。
 例のメイドスタイルが気に入ったのかその姿で料理を作ってくれるのだ。
 小夜子と遊んだりエロい事をしたりして過ごす(無論、俺もまぜてもらうのだが)とあっというまに10時、11時になる。イノリは
「じゃあ、今日は帰りますね」とそんな時間から帰るのだが特に危険はない。
 なぜなら黒いベンツと黒服の男が送っていくからだ。
 ベンツで送迎されるメイドさんってどうなのよ?
 
 学校でも小夜子のそばでちょろちょろするようになった。
 必然的に俺とも接するわけで、最近回りの男共の視線がさらに厳しい。
 いつだったかみんながいる前で
「古賀塚って呼びにくいでしょ?イノリって呼んでください」と俺にむけて言ったのでようやくつっかえずに名前を呼べるようになったんだが、その分男共の視線の鋭さが明らかに増したのはいうまでもない。

 小夜子はというと・・・。
 その日、イノリに台所を奪われた俺は綺麗な長い脚を組みながら新聞を読む小夜子の横で腕立て伏せを続けていた。腹筋やロードワークといっしょで日課のひとつだ。
「・・・・相変わらず暑苦しいわねぇ」
 200回を超えたあたりでそう言われる。うるさい、体鍛えんのは俺の趣味だ。
「ふ〜ん。でもその調子ならもう一人くらいいけそうね・・・」
 え?
「いや〜この頃あたしもなんかさあ、すっかり女性にも目覚めちゃってさぁ〜ふふ〜ん」
 はい?
「あのさ〜緋之森のお尻って魅力的だと思わない?」
 そりゃ魅力的だが。いや!そうじゃない!そうじゃないだろ!
 体中から滝のような汗を吹き出す俺を尻目に
「できましたよ〜。今日はハッシュドビーフです」
 イノリの明るい声がダイニングに響く。
「ん〜いい娘ね。愛してるわイノリ」抱きしめて頬にキスする小夜子。
 俺の心象風景を無視したほのぼのとした空気が流れる。

 小夜子とイノリはきゃいきゃい騒ぎながら「D組の春原さんもかわいいよね〜」とか
「生徒会長もなかなかです」と怪しい会話を繰り広げる。

 果たしてそれは天国なのか地獄なのか、げんなりして床につっぷす俺を肴に魔女たちの食卓(サバト)は続く。
 床から夜空を見上げると、奇しくも今日は三日月で空がニヤリと笑っている、そんな気がした。

 
 
< 了 >


 

 

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