魔法の指輪


 

 

中編


− 1 −


 俺が今いるラーデック王国は、南北に長いのが特徴の国だ。

 北はモーゼス大森林、南は死の砂漠まで、広がっている。

 これだけ広いと文化も北と南で随分と違う。

 税の取り立てひとつでも各地によって方法が異なってくる。

 そのため、各地の領主はかなりの権力を与えられていた。

 イーサは北よりの街だ。

 あのあと、娘と魔法使いの首を渡してやると、イーサの領主は大喜びで約束より多目の報酬を支払ってくれた。

 しばらく、館に滞在することを勧められたが、俺はそれを固辞しイーサをそのまま南下、バズーサから街道をはずれ、東の山脈のふもと温泉地帯ミータファへとやってきた。





 空があざやかに朱に染まる。夕暮れ。

 なんかこう、山の空気はきりっと締まっていて、空の色も違うような気がする。

 俺達は今、温泉宿に来ていた。

 ぴちょん。

 どこかで、水が落ちる音がする。

「うーーーん。」

 やはり温泉はいいな。殺伐とした心がほぐれていくぜ。

 俺の名はリーン。職業は冒険者。

 少年少女のあこがれの職種だが、実際は儲かることはほとんどない。

 危険というリスクの割に収入が少ないのだ。

 俺はめずらしく、大金を得たので、じっくりと療養することにした。

 俺は、戦うときは戦う。楽しむときは楽しむ。そう決めている。

 普段ならこんな大金が入れば、賭博にでかけたり、女を抱きに行ったりしたものだが

 今回は俺一人ではなかった。

 俺の連れは全部で3人。あの館に囚われていた者たちだ。

 シーフのリュカに、エルフのセラ。そして神官戦士のアリア、この3人だ。

 リュカ以外の二人もすこぶる美形だった。が、二人ともかなり問題があったのだ。

 ふうぅぅ。俺はなにげなく指輪に触れながら、彼女達のことを思い出していた。





 扉を開けて、俺は驚いた。

 ベットの上に天使がいたのだ。

 抜けるような白い肌。白金の流れるような髪。そして、おそろしく整った小さな顔。

 天使のイメージがピッタリと合う。

 彼女の深いグリーンの目が無表情に俺を見つめている。

 はじめの驚愕から立ち直り、よく見ると耳が長い。

 そうか、この娘はエルフなのか。それで、合点が行く。

 エルフは総じて美形ぞろいなのだ。

 俺も何度かエルフを見たことがあるが、みな美しかった。

 しかし、目の前の少女はそのなかでも群を抜いている。

 俺は、しばらくその圧倒的な美にみほれていた。

 いつまでたっても、彼女は無言のまま、俺を見詰めている。

 とりあえず、話しかけてみた。

「えーと、俺の名はリーンっていうんだけど、君は?」

「・・・・・・・・・・」

 無言だ。

 俺を警戒しているのか?

 俺は近寄ってもう一度聞いた。

「名前を教えてくれるかな」

「・・・・・・・・・・・セラ」

 少女はようやくぽつりと答えた。

 美しい声だ。

「セラっていうのか。俺は君を救いに来たんだけど。わかる?」

 セラは少し考えてからこくりとうなずいた。

 なんかだかぎこちない・・・。

 セラは俺の指輪に目を止め、じーっとみつめた。

「あ、これ、そのー、魔法使いを倒したんでぶんどってきたんだけど・・・」
 なぜか、あせってしまう。

「この指輪の力って知ってる?」

 セラは心まで見透かされそうな瞳で俺をじぃーっとみてから、ようやくこくりとうなずいた。

・・・・・・。

 それからが、また大変だった。

 ようやく、彼女に俺の女であることを認めさせ、セラを抱いたのだが、終始、無言、無表情なのだ。

 性器をいじれば、少しは濡れる。

 が、それ以外に何の反応もみせなかった。

 唯一、耳を触ったときだけは抵抗したが、強くいいきかせると、押し黙った。

 そういえば、耳はエルフにとってタブーだと何かで聞いたことがあったけ。

 苦労の末、彼女の中に入っていったときも、痛そうに眉根を寄せたが、結局声は出なかった。

 まるで、人形を抱いてるかのような、子供を無理やり犯しているような、そんな気分だった。

 俺は妙に重くなった心を抱えてその部屋を出た。



− 2 −


 俺は傍においてあった酒を一気にあおる。

「ふうううぅぅぅぅ」

 気分が滅入る。

 広い温泉を見まわし、気分転換をはかるが上手く行かない。

 まあ、はじめての女性ってのはあんなものだ。

 いきなり、快感を得られる事などそうそうない。

 セラの場合、普段も無口なのだからしょうがない事だ。

 しかし、セラの場合はまだいい。

 彼女は少しづつだが慣れてきている。

 次こそは、彼女の口から快楽の言葉を引き出そう。そう考えている。

 しかし、もう一人のアリアのことを考えると、酔いがすっかり抜けそうになった。

「ふううう。」

 アリアはほんとにひどかったのだ。

 かぽーーん。

 どこかで軽やかな音がなった。





 部屋の中で、一人の女が腕立てふせをしていた。

 俺は軽いめまいを覚えた。

 部屋を間違えたか?一瞬本気で考えた。

「おい」俺は声をかけた。

「おい、何をやってる」

 彼女が顔をあげる。

「ここで、大人しくしていろと云われたが、体がなまってしまう。だから、鍛えている」

 彼女の声は柔らかいアルトだったが、ぶっきらぼうだ。

 黙々と作業をこなすように運動を続ける。

「魔法使いなら俺が殺したぞ」

 俺がそういうと彼女はようやく立ちあがった。

 女にしてはでかい。

 俺の身長よりやや低い程度だ。

 美人だ。きりっとしまった顔が今は上気して朱に染まっている。

 黒い長い髪がはらりと流れる。

 彼女はシャツにパンツだけといういでたちで俺の前に立っていた。

「では、わたしは自由ということか?」

 つりあがった深い紫の目が挑むように俺を見る。

「いや、残念だが指輪は俺が受けついたよ」

 彼女に指輪を見せる。

「そうか、・・・。仕方がないな」

「わかった、しかしどうせなら待機なんて命令はやめてくれ、これでもわたしは剣士だ。お前の剣として使って欲しい」

・・・・。

 こいつは、自分がいかに女として魅力があるのかわかっていないのか?

 これほどいい女を支配した男はやることは決まっている。

 彼女の体をもう一度見る。

 胸は大きく、腰はくびれ、すらりと脚が長い。

 抜群のプロポーションだ。

 視線を顔に向けると、まっすぐ見つめ返してくる。

 普段は白いだろう肌が今の運動で赤らいでいる、そして、うっすらとした汗。

 いい女だ。

 少女の魅力とは違った磁力がある。

 そのとき、彼女の耳飾の意匠に気づいた。

「お前その耳飾は・・・」

「ああ、わたしはシムレースの聖騎士だ」

 なに!?





 シムレース皇国は、ここラーデックのとなりの国だ。

 フェリア教の総本山があることで知られている。

 絶対神フェリアをあがめるこの宗教はシムレースの国教であり、

 皇帝から主だった貴族までがみな、この神に帰依している。

 聖騎士というのは、役職ではなく名誉職だが、毎年数人しか選ばれない。

 選ぶのも、現役を退いた聖騎士で作られる、選抜委員会とかいうやつだ。

 騎士の中から、信仰心に優れ、腕に優れ、人望の厚い者だけが選ばれる。

 名誉職ではあるが、将来は約束されたようなものだし、国王に話しかけることすら許されるという。

 シムレースの子供達のあこがれの的だった。





「女の聖騎士ってーのは初めて聞いたが・・・」

「そんなことはないぞ、記録によればこれまで3人の女性が聖騎士となっている。わたしは4人目だ」
 少し誇らしげに言う。

 その耳飾は聖騎士であることを示すもので、シムレースの紋章が入っている。
 ちなみに男の場合はメダルであるが。

 女王が自ら与えてくれたものだ。と嬉しそうに語った。

「いくつだお前?」

「19になる。それからお前ではない、わたしの名はアリアだ。アリア・ラト・ミゼール」

 げ、セカンドネームまで持ってやがる。お貴族様かよ。

 俺の思いが顔に出たのかアリアは言う。

「なに、うちは貧乏貴族だ。それより、貴公の名はなんという」

「俺か、俺はリーンだ。しがない冒険者だよ」

「そんない卑下することはあるまい、貴公一人であの魔法使いを倒したとあれば、大した物だ」

 そして、物騒なことをぽつりと言った。

「貴公、強そうだな。できれば、一度お相手して頂きたい」
 
 俺もお相手したかったが、俺と彼女の意味合いは大きくづれていた。





 アリアは休暇でこちらの方に来ていたそうだ。

 たまたま、この事件を聞き、魔法使いを捕らえに来たのだが、術にかけられ逆に捕まってしまったらしい。

 まあ、彼女の直情的な性格をみればよくわかる。暗示にかかりやすそうだ。





 その後、どうにか俺に抱かれる事を納得させようとしたが

「わたしは神に仕えている。心は神のものだ。悪いが貴公に添う事はできない」

 万事この調子だった。

 この指輪不良品か?そうも思ったが、剣士としてなら俺に従うというのだからある程度は、効いているらしい。

 どうやら個人の精神力に大きく左右されるようだった。

 俺は、とうとう彼女を抱くのをあきらめ、その日はリュカのベットで眠った。

 セラとアリアはたっぷり時間をかけて陥としていかねばならない。

 いや、必ず陥としてやる!

 リュカを抱きながらも、心に深く誓った。





− 3 −


 とうとう陽が落ちた。

 俺は風呂からあがり部屋に戻る。

 丁度夕食がはじまるところだった。

 他の3人は既にそろっている。

 リュカが嬉しそうに俺の隣にやってきて勺をする。

 セラは無言。

 アリアは既に酒をちびちびやっていた。

「おい、アリアあんまり飲むなよ」

 俺は注意する。

「ああ」

 めんどくさそうにアリアは答えた。

 アリアは酒癖が悪いのだ。ここに来てはじめてわかったのだが、絡むうえに泣き喚く。

 普段神に仕えて、うっぷんが溜まっているのか知らないが、俺はひどい被害を被った。

 しかも、翌日は何も覚えていないと来ている。

 アリアはただの実直騎士かと思ったが、そうでもないようだ。

 酒も飲むし、けんかもする。ただ、性的なものに関しては全くの乙女だった。

 俺は彼女の両親のことを恨んだり、同情したりと忙しかった。





 おや?今日は妙に豪華な晩飯だ。

 今日で5日目だがこんな立派な食卓ははじめてだ。

 さて、なにかあるのか?と思っていると、宿のおかみが現れた。

 俺はこのおかみに嫌われているらしい。

 まあ、若い男が、3人の若い女を連れ込んで働きもせず、毎晩よろしくやっているのだ。

 いい気はしないだろう。

 それでも、10日分の料金は前渡ししてあるんだけどな・・・。

 あらわれたおかみは、丁寧におじぎをすると、お願いがあります。

 そう切り出した。

 事務的に話すおかみの話しはこうだった。

 最近、村の畑が荒らされると。はじめは、野犬か何かと思っていたが、どうにも違う。

 見張りを立てて様子を見ていると、現れたのはオークだったということ。

 できれば、オークどもを退治して欲しいということ。

 村長の意を受けてお願いしているということ。

 ふん、オークか。

 オークはモンスターの中ではしたっぱだ。

 人間の子供のような体躯と猪の頭を持っている。

 スライムやゴブリンと並ぶ雑魚である。

 俺達パーティであれば、負けることはまずない。

 しかし、集団で行動することや、人間の子供なみの知恵があること、武器を使うことなどを考えれば、村人達の手には負えまい。

 俺は考えてこう答えた。

「まず、報酬を用意してくれ。俺達は冒険者だ、ただでは動かない。それから、情報だ。まちがいなくオークなのか、何匹ほどいるのか、巣はどこにあるのかこれらを調べて欲しい」

 わかりました。村長に伝えます。そう言い残し、おかみは出ていった。

 アリアはそれくらい受けても良かろうといった目つきで俺をみていた。




− 4 −


 俺達は部屋を2つ取ってある。一つは俺+もうひとりで、もうひとつは3−1人だ。

 今日はセラを呼んである。

 セラは不思議な少女だ。

 とにかく無口で、無表情。彼女の声を聞いたことは数えるほどしかない。

 会話は全て「ふるふる」「こくん」そして目線でする。

 年の頃は外見は17〜18。まあ、エルフだから実際はわからないが、俺がベットで見る限り、その雪のような白い肌には染みひとつない。

 そして、肌の張りはまちがいなく10代のものだ。

 華奢な身体だが、胸とおしりには肉がのっていて丸みを帯びている。

 顔は神の手が作り出した、生きた彫刻といえる程美しい。

 気品があり、姫と呼んでしまいたい雰囲気があった。

 また、驚いた事に彼女は魔法、それも精霊魔法ではなく、物理魔法、一般に黒魔法と呼ばれている魔法を使う。

 一度ひなびた宿屋に泊まった時のことだ、ランプの芯が無くなっていて灯りがつかず

 宿屋に文句を言おうとしたら、いきなり部屋が明るくなった。

 俺達の中で、魔法を行使できるのはセラとアリアだけだ。しかも、アリアの魔法は

 回復専門でこのようなコンティニューライトは使えない。魔法の系統が違うのだ。

 俺はセラを見ると、彼女はこくんとうなずいた。

 エルフはそのほとんどが精霊を呼び出して使役させる精霊魔法を使う。

 だから、セラも精霊魔法使いと決め付けていたが、それだけではないようだ。

 しかも、彼女は叡智の杖もなく、呪文もとなえずにそれを行ったのだ。

 人間の魔法使いではありえない事だ。

 どんな、小さな魔法でも呪文は必要だ。まして、大きな魔法となると必ず杖が必要となる。

 リュカなんかは何もわからずはしゃいでいたが、アリアは驚いた顔でセラを見つめていた。





 セラを抱くのは今日で・・・5回目だ。

 セラは少しづつだが俺に心を開いてきている。

 その証拠に抱きしめると嬉しそうにする。ようだ。

 あいかわらずの無表情だが、眉の角度が微妙に違う。

 最近ようやく彼女の微妙な表情の違いがわかるようになってきた。

 まだ、旅をしているときにこんなことがあった。

 平気な顔をして歩いていたセラが宿についた途端に倒れたのだ。

 熱がある。

 俺達は、慌ててベットを借り彼女を寝かせた。

 彼女は、自分自身に無頓着な傾向にある。

 苦しくてもがまんしたのだろう。

 夜半になり俺は彼女の部屋を見舞った。

「セラの様子はどうだ?」

 看病を続けていたリュカが振り向く。

「うん、軽い日射病だと思うよ。ほら今日、日差しが強かったから」

 リュカは小さい子供の面倒をよくみていたため、意外とこういうことに詳しい。

「大丈夫だよ。もう熱は下がってるから」

「わかった。リュカももう休め。後は俺が見るから」

 そういって俺はリュカと交代した。

 月明かりの中に浮かぶセラの顔は儚げに見える。

 そのまま消え入りそうな気がして俺は彼女の頬に手を当てた。

 セラの目が開く。

「リーン・・・」

 セラが俺の名を呼ぶ。

 彼女は布団の中から手を出し、俺の手に添える。

 そして、じっと俺を見つめた。

 そのとき、俺は気がついた。彼女は今喜んでいる。

 表情は凍りついたままだが、喜んでいる。

 俺はがぜん嬉しくなってきた。

 俺がそっと手を離すと、セラは悲しそうな表情に変わる。

「リーン・・。いかないで・・」

 やはりそうだ。

 表情が微妙に違う。

「ばか、どこにもいかないよ、俺も眠くなってきた。今日はここで寝かせてもらう」

 俺はそういうと、セラの隣に滑り込む。

 セラは身を寄せてくる。

 俺は彼女に腕枕をしてやり、そのまま抱き寄せた。

「リーン。セラのレファー」

 セラが嬉しそうにそうつぶやいた。

 ん?なんだ?レファ?まいいか、俺は軽いあくびをしてそのまま寝ることにした。

 セラの柔らかな肌の重みを感じたが、妙に幸せな気分の俺はそのまま眠りについた。

 そして翌朝起こしにきたリュカにどつかれた。


− 5 −


 セラを抱きしめる。

 背中に手をまわし、少しきついくらいに。

 彼女は抱き返してくる。

 相変わらず無表情だが、よく見ると嬉しそうだ。

 セラは温もりに飢えているのだと思う。

 そして、自分ではそれに気づいていない。

 だったら俺がたっぷりと与えてやろう、俺はそう思っている。

 キスをする。

 セラのお気に入りだ。

 たっぷりと、時間をかけてのキス。

 俺はついと唇を離し、彼女に問い掛けた。

「なあ、セラ。気になっていたんだけど、レファだかレファーってなんの事だ?」

 意外なことに彼女の顔がさっと赤くなる。

 おお?恥ずかしがってる。セラが。

「あの・・・」

 ぽつりぽつりとセラが話しはじめた。





 エルフは人間と違って寿命が長い。

 そのため、結婚という習慣が無い。

 死ぬまで、二人で暮らすという事はありえないそうだ。

 とはいえ、恋はするし、恋人という関係もある。

 そして発展すれば、パートナーとなる。

 互いに互いを認め、ともに暮らすとなれば恋人以上という関係が必要となる。

 それがレファー。いや、レファールというらしい。

 エルフの古い言葉で「契約」という意味なのだ。

 森の一番古い樹の前で誓いを立てるそうだ。

 まあ、言ってみれば「最上の恋人」といえる。

 レファーというのはレファールの関係になったものがお互いをそう呼ぶもので強引に約せば「愛しいあなた」ってかんじだ。

 ちなみに、この関係になれば、耳に触れることも許される。

 耳はエルフにとってやはり重要な器官であり性感帯でもある。

 他人には絶対に触れさせないところなのだ。

 俺に説明するにつれて、セラの顔はさらに真っ赤になっていった。

 レファーの意味を俺が知るってことは、つまり彼女の愛の告白に異ならない。

 かわいいなあ、あまりかわいいのでいじめてみたくなる。

 俺はセラを抱き寄せ耳元でささやいた。

「セラ、俺のレファ」

 途端にセラはぐったりとしてしまった。

「お、おいセラ!大丈夫か!?」

 まさか、ここまで劇的に反応するとは思わなかった俺のほうが慌ててしまう。

 どうも、あまりの嬉しさと恥ずかしさにオーバーヒートしてしまった。という感じだ。

 俺はセラをベットに寝かせると、自分の服を脱いだ。

 それから、セラの夜着も脱がす。

 風呂上りのセラは下着をつけていなかった。





 セラはむしろ本番よりその前後のやさしい雰囲気が好きなようだが、男である俺は

 やはり出すものを出してしまわないと落ち着かない。

 セラに添い寝をして唇の周りにキスをする。

 キスをしながら彼女の目覚めを待つ。

 そのまま鼻の頭にちょんとキスをし、つむった目にキスをする。

 少し顔を離して見る。

 うーん、本当に妖精のようだ。まあ、エルフは森の妖精と呼ばれてはいるが。

 俺は耳にキスをしながら、ささやいた。

「セラ、起きてるだろ」

 びくっと身体が震え、顔を朱に染めたセラが目を開けた。

 俺はセラの胸をやさしくやさしく揉んでやる。そう、壊れ物を扱うようにだ。

 うっとりと目を細めたセラの耳元で俺は爆弾を落とした。

「セラ、昨日俺とリュカの行為を見てただろう」





 途端にセラは首をぶんぶん振った。

 見ていたことを認めているようなものだ。

「いけない子だなぁ。セラは」

 セラがびくんと震える。

「いけない子にはお仕置が必要だな」

 俺はセラの両足首を掴むと、大きく開く。

 彼女の女性自身をじっくりと見つめた。

「セラ、明かりだ。暗くてよくみえない」

 セラ自身を見せるための明かりをセラに作らせようというのだ。

 俺も意地が悪い。

 暗がりだというのに、はっきりわかる程赤面したセラがぶんぶん首を振る。

「セラ。これは、覗きの罰だ。明かりを作れ」

 強く言い聞かせるとようやくしぶしぶうなずいた。

 部屋の中に明かりが生まれる。

 いつもはもっと明るい光球が、薄暗い。精一杯の抵抗だろう。

 薄暗い明かりだがセラの身体を見るためには充分だった。

 セラは手で顔を覆っている。

 セラの丘に生えている毛は、髪と同じでプラチナブロンドだ。

 彼女のそれは薄く。ほとんどないといってもいいようなものだ。

 軽くなで、視線を下に移す。

 エルフとはいえ、そこは人間の女性と変わらない。

 人形の身体の唯一なまめかしい肉。

 指でそっと開くとピンク色の肉が濡れて光っていた。

「セラ、もう濡れてるぞ」

 セラは答えない。

 俺はそこに顔をうずめ、舌を這わせる。

 すでに指や舌でいかせたことがあるセラの身体は敏感だ。

 震えている。

 俺がクリトリスに集中しだすと、セラの両足が頭を挟んできた。

 ペースを変えずにゆっくり続けていると、彼女の手が俺の頭を押さえる。

 催促しているのだ。

 セラの腰は無意識に動き快感を深めようとする。

 俺はセラの要望に答え、性器に指を1本入れと舌の動きを早めた。

 指1本でそこはいっぱいだ。

 セラは無言だが、時折荒い息が漏れる。

 やがて、びくびくと震え、俺の指を絞めつけながらセラは昇りつめた。



− 6 −


 セラが落ち着くのを待ってから問い掛けた。

「リュカはどうだった?嬉しそうにしていたか?」

 まだ、顔はぼぉーっとしていたが、こくんとうなずく。

「だめだ、いつもいってるだろ、声に出して答えろって」

「は、はい・・・」

「リュカは声をだしてただろ。なんていってた?」

「あ・・、あああって・・・」

 抑揚の無い声で恥ずかしそうに答える。

「セラも声を出すんだ」

 え?という顔になる。

「俺は愛しいセラのかわいい声が聞きたいの」

 顔を真っ赤にしたセラがやがてぽつりと言った。

「はい・・・」





 はじめはおずおずと、やがては大胆に声をあげはじめた。

 彼女が黙ると俺が怒るからだ。

 セラは言葉による責めに弱いらしい。

 俺は何度もセラの耳元で愛の言葉をささやき、セラもかわいい喘ぎ声をあげた。

 やはりセラの声はかわいい。声を上げることによってセラ自身も高ぶるようで以前のセラでは考えられないくらい乱れていった。

 セラの性器を指で掻き回す。すでに処女の痛みがない彼女はかなり感じているようだ。

 彼女の夜露がシーツまで濡らしている。

「はあ、・・・・はあ、リーン。リーン」

 せっぱつまった彼女の声が聞こえる。

 俺がさらに親指で彼女の真珠を軽くつぶすと、セラが俺の首にしがみついてきた。

「セラ、どうして欲しい?いってごらん」

「欲しい、欲しいの、リーンが・・・」

 大きくあえぎながら恥ずかしい言葉を口にする。

 俺はさらにたたみかけた。

「どうして欲しいか言うんだ」

 セラはしばらくあえぎつづけていたが、とうとう陥ちた。

「挿れて・・・、挿れて欲しいの!セラの中にリーンのが欲しいの!」

 天使の失楽。

 俺は大いなる征服感を味わっていた。

 セラを抱き寄せ、口付けを交わす。激しい情熱的な奴をだ。

 それからセラの脚を開かせ、俺はセラを組み敷いて犯した。

 俺は狂いそうな自分をどうにか押さえる。

 ここが肝心だ。ここで、セラを快楽の虜にしてしまえば完全に征服したことになる。

 せまいセラの中でともすれば、いきそうになる自分をこらえ、

 セラに快楽を与えることだけを考え、動いた。

 セラはもう喘ぎ声を押さえることができない。

「はあ、はあ、ひあ・・・。くう、ふぅーふー」

「あふ、あぁリーン!リーン」

 可愛い顔は涙とよだれで濡れている。

 セラの細い脚が俺の腰に絡む。

 俺はピッチを早めた、早くセラを楽にしてやりたい、俺も楽になりたかった。

「ん、ん、ねえ、リーン、セラ変なの、なんか変なの!」

 どうやらセラも終わりが近いようだ。はじめての絶頂感に戸惑ってる。

「セラ!いくんだ!いってしまえ!」

 俺は全身から汗が吹き出し、叫んだ。

「いく?いくの?」

 セラが戸惑いながら言い返す。

「俺が見ている。俺の前でいけ!」

 セラの中に激しく突き入れる。

「はあ、はい。い・・・、いく!いくの、セラいくの!いっちゃうの!!」

 もうだめだ、もう押さえきれない!

「リーン。リーン。セラのリーン!好き!好きなの!セラもうだめ!いく!いくうぅぅぅ!!!」

 セラの膣がぎゅっと締まる。

 びくびくっと震え、俺のものを絞めつける。

 背中にセラの爪が食い込む。

 そしてセラの中で俺は果てた。

 セラは全身全霊で俺を受け止める。

 セラの中に全てを注ぎ込みこんだ俺は、ぐったりと落ちていった。

 いい気分だ。

 最高にたまらない気分だ。





 セラは夢を見ていた。

 彼女が思い出す母親の顔はいつも怒っていた。

 彼女はなにかにつけ文句をいい、セラに八当たりをした。

 その母親がにっこりと笑っていた。

 母親が笑っている。だからこれは夢なんだ。セラはそう思う。

「おや、セラお前もいい男を見つけたんだね。離すんじゃないよ。あたしみたいになるんじゃないよ」

 そういって子供のセラの頭をなで幸せそうな笑顔を見せた。






 まぶしさに、俺が目覚めると目の前が光っている。

「ん?」

 セラのプラチナブロンドの髪が光に踊っていた。

 セラが俺の上に乗り、俺の顔をじっとみつめていたため長い髪が俺を包んでいたのだ。

 俺はセラの顔に釘付けになった。

 セラが笑ってる。

 いつものあの表情のない笑いではない。

 眉が軽くカーブし、目が細められ、頬が隆起し、いやつまり心の底から嬉しそうに微笑んでいたのだ。

 極上の笑顔だった。天使の微笑み。

 俺は、セラに釣られて微笑んだ。

 セラがそのかわいい唇をよせ、俺の口をついばむ。

 俺は彼女を抱き寄せた。

 妙に照れてしまって、顔を見られたくなかった。

 彼女の重みが心地よい。

 俺はなんだか幸せな気分でもう一度眠りについた。

 まぶしい朝日の差し込む部屋でセラはずっとリーンを見ていた。

 嬉しそうな、とても嬉しそうな笑顔を浮かべながら。

 
 


 

 

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