made in heaven


 

 

第二話


 街に出てみて初めて気づいたんだけど、女の子に近づくというのは意外と難しい。

 メモを持って目をぎらぎら、きょろきょろしているような挙動不審の男が近寄ってくれば、普通は警戒する、ということさえわからないほど僕は舞い上がっていたのだ。

 ただ人の波に流されて、女の子に近づくことも出来ずうろうろするだけで時間が過ぎてしまう。

 結局何の成果も上げられないまま意気消沈して僕は帰ってきた。

 期待していた人ごめんなさい。


 ヤル気満々で飛び出しただけに、そのへこみ具合は半端ではない。

 僕はもうダメなのだろうか。

 一度盛り上がったこの気持ちをどこに持って行けばいいのだろう。

 
 いや。

 何も無理して街へ繰り出すこともなかったのではないか。

 考えてみれば学校にだって女の子はたくさんいる−どころではない。

 学校ほど絶好の狩り場はないといってもいいだろう。僕の通う学校はかわいいコが多いことでも実は評判なのだ。

 なんでそこに気がつかなかったんだろう。

 思いつくとわくわくしてきた。明日、学校でとりあえず一人、僕の言いなりになる女の子を手に入れる。まず、そこから始めて行くのだ。


 翌日。

 授業中も気もそぞろ状態だ。ただ、ぼーっと前を見ていて先生の言うことも何も耳に入らない。

 まあ、国語はやさしい高安先生だから、おこられることはまずないので安心なのだけど、でも高安先生もかわいいしなあ、そうか、先生だってかまわないのか、いやいや、ここはまず同世代の女の子から…などと妄想を広げる。

 クラスを見回して獲物をさがすハンター気分の僕。
 
 僕の目は一点に止まる。純和風正統派美少女であるところの佐伯さんだ。

 そうだ、佐伯さんのことを忘れていた。清楚で容姿端麗。そのうつくしき長髪の美女に僕はあこがれていたのだった。

 あの佐伯さんを彼女に出来るなら、これ以上のことはない。

 いままで思いもしなかったが今の僕はあの可憐でしとやかで上品な佐伯さんをエロエロにしてしまうことも出来るのだ。

 僕はポケットの中のメモを握りしめて興奮する。

 使わなかった「僕とセフレになる」メモが10枚ほどある。

 「私は桐原君のセックスフレンド。桐原君に求められたらいつでもどこでも何でもしてあげる。それが私の喜び」って書いたやつだ。


 昼休みになる。佐伯さんは、お弁当を広げて仲のいい山西さんと一緒に食べ始めた。

 まだだ、この状態では近づけない。一人になるのをまつのだ。


 お弁当を食べ終わった佐伯さんは席を立つ。

 トイレにでも行くのだろう。チャンスだ。僕は素知らぬ顔で佐伯さんのあとをつける。

 尾行なんてしたことはないけど、学校の中で尾行されるなんて、まあ普通は思わないので気づかれることもないだろう。

 気づかれたとしても僕だってトイレに行きたかったといえばそれまでだ。

 こういうのは初めてでちょっと興奮するな。ポケットの中の「セフレメモ」を取り出して1枚剥がす。

 佐伯さんに少しずつ近づいていく。後ろ姿も華麗で長い髪が美しい。

 どこに貼りつけてやろうか、とスキを狙いながらさらに近づく。

 よし、今だ!!とメモを持った手を佐伯さんに伸ばしたその瞬間。

「うげ!!」僕はいきなり背中にけりを入れられて吹っ飛んでいた。

「おーら、なにやってんだ、桐原ぁ!!」

 なんだ?なにが起こったんだ。廊下に倒れこんだ僕を佐伯さんはびっくりして見ている。

 一瞬置いて僕は状況を理解した。あいつだ。

 こんな時に、いやなやつに見つかってしまった。園田香織という隣のクラスの女である。

 「佐伯にいたずらかぁ?なんだぁ、その手に持ってんの」

 渡辺同様、幼稚園時代からの知り合いではあるが、幼なじみと言うより常にいじめられてきた天敵である。

 園田のセリフを聞いてか佐伯さんは僕を何か汚いものでも見たかのように一瞥して向こうへ行ってしまった。

「あ、あ…」せっかくの好機が…園田のせいで。

 園田香織―昔っから体がでかくて荒っぽい性格だったが、それは今も変わらない。

 なにかというと因縁をつけて僕を傷めつけるのが趣味というとんでもない女だ。

 外面はいいし、顔もかわいくないこともなくプロポーションも、まあまあイケてるところからか一部の男子には人気があるようだが、僕は女とすら認めたくない。

「おら、なんだ。言い訳してみろ。このぉ!!」

 僕にヘッドロックを決めて、ぐいぐい締め上げてくる。うう。苦しい…。

「う、ぐ、ぐ、園田…。やめろォ…」

「やめないね。お前がなにしようとしてたか白状するまでは。お前が告白とか女襲うとかできるはずもねえからな。なんの悪だくみだ。とっとといえ。この」

「ぐわあああああ…」

 園田のたくましい腕がさらに僕を締め上げる。

 このままでは、死ぬ…。

 もう、やけくそでこいつにメモを貼り付けてやろうか。

 そうすればこの事態からは逃れることができる。

 しかし、いくらなんでもこいつをセフレにするのはなあ、と僕は逡巡する。

 あたまが朦朧としてきた。もうそんなことも言ってられない。

 メモを貼ってやる―と思ったその時。


「いったい何の騒ぎですか!!!」

 鋭い声が飛んできた。

「やべ」園田が顔色を変えた。

 黒い影が目の端に映る。

「黒鬼だ〜!!」いままで僕を攻撃していた園田が腕を解いたかと思うと一目散に逃げ出した。

 天敵にもまた天敵がいる。

 生活指導の黒澤恭子先生である。

 園田香織が叫んだように「黒鬼」の異名を取る、学校で一番恐ろしい教師だ。

 立ち姿が美しい。実家は由緒ある武家の家系だということを聞いたことがある。

 本人は合気道の師範でもあり、この学校で生徒、教師を含め彼女にかなうものはいないという。

 噂では今年30歳になるということだけど、それより若いと言われても年上だと言われてもそれなりに納得出来る、若々しくはあるがとてもしっかりした印象をあたえる人だ。

 潔癖を絵に書いたような白いブラウスと黒のぴったりとしたスーツを身にまとって、すっくと立ったその凛々しい姿に誰もが気圧される。

 顔は綺麗なのだけど化粧っけもあまりなく、髪をアップにして黒縁メガネといういかにも固いルックスにあまり色気は感じられない。

 廊下に座り込んで呆然としている僕に黒澤先生がカツカツと靴音を鳴らしながら近づいてきた。

「君は…。2年の桐原裕也くんね。今逃げたのは園田香織。間違いない?」

「は…はい…」

 黒澤先生のオーラというかその迫力に圧倒されて僕はまともに受け答えも出来ない。

「いったい何をしていたのですか。あなたは園田香織とどういう関係なの?」

 園田香織は人気はあるとはいえ、いわゆる問題児の一人なので「黒鬼」―黒澤先生には常に目をつけられている。

 問題児と言っても、陰湿ないじめをしているとか犯罪的なことをしているわけではない。

 喧嘩っ早いのと正義感が強すぎるためか、学校問わず男女も問わずやたらと決闘やら乱闘騒ぎが多いのだ。

 僕が、絡まれているのはそういう事とはまったく関係なく、ほんとに園田の趣味のようだけど実のところなんでなのか僕にもあまりよくわからない。

 僕は常に目立たぬよう生きてきたので、先生にとってはやや意外だったのだろう。

 あわあわ言っているだけの僕を不審そうな目で見ている。

「まあ、いいわ。とりあえず起きなさい。怪我はない?じゃ、いっしょに生徒指導室まで来なさい。わかった?」

 うへえ、生徒指導室で黒鬼の尋問かよ。とんでもないことになっちゃったなあ。

 姿勢よくカツカツと歩いて行く黒澤先生の後ろをしょんぼりと付いて行く僕。

 遠くの物陰から園田が顔を出してアッカンベーしてる。くそう。あいつにはいつか復讐してやる。

 
「で?」

 机を挟んで目の前に黒澤先生がいる。

 こまっちゃったなあ。佐伯さんをセフレにするために後を付けましたなんて言えるわけもないし、言ったところで信用されるはずもなし。

 僕と園田の関係なんて僕のほうが聞きたいくらいなのだけど、黒澤先生は僕が何かを隠していることを、その鋭い直感で見抜いているみたいだ。

 ホントのことを言うまでは決して開放してはくれないだろう。かといって…。

「えー、そのー、あのー」

「なんなの。はっきりいいなさい。後ろめたいことがないのなら言えるはずでしょう?」

「はあ、その…」僕が言葉に困って腕を上げると先生が少し表情を変える。

「あなたが手に持ってるのは何?」

「え?」

 しまった。メモのことをわすれていた。園田につけてやろうと手に持っていたメモを僕はそのまま握り締めていたのだ。

 僕はとっさに隠そうとしたんだけど。

「見せなさい」

 だめだ、だめだ、こんなモノ見られたら僕は厳しく処分されてしまう。下手すると退学だ。

 僕は腕を振り回してメモを取ろうとする先生を避ける。

 それでも武術の達人の先生に動きで勝てるわけがない、自然にもみ合いのような形になる。

「何を隠してるの。早くこちらに渡しなさい」

 うわー、だめだー!!僕はもう腕を無茶苦茶に振り回していた。

 ふと気がつくと僕の持っていたメモがどこかへ行っている。

「あれ、どこに…」

 前に目をやって僕は凍りついた。

 メモはしっかりと先生のスーツに貼りついていたのだ。

「あ、あ、あ…」手を伸ばして剥がそうとしたが一瞬遅くメモはスーっとその姿を消した。

 その瞬間、部屋の空気がサッと変わる。

 先生の表情も変わっている。

「うふ」

 ああ、もうだめだ…人生オワタ。

「桐原くん…」さっきとはうってかわったソフトな調子で先生が僕に呼びかける。

 顔はうっすらとほほえみすら浮かべている。普通の笑顔さえ滅多に見せないというのに、こんな先生の笑い顔を見た人はこの学校で僕が初めてに違いない。

「だめじゃない。わたしの立場もあるんだから。あまり目立たないようにしてよね。それでなくても私たちの関係がバレないように必死なんだからぁ」

 信じられないほどの甘ったるい声で先生がささやく。

 改めて先生を見る。表情が緩むと、その化粧っけのなさもあってか何だかとても幼く見えてしまう。

 とってもあどけなくわらうんだなあ、黒澤先生。意外とかわいいな。

 などと呑気なことを考えている場合ではない。黒澤先生は目をうるませながらこっち側に来て僕の横にちょん、と座る。

「あの、先生、それじゃ僕、これで失礼してもよろしいで…」

「だーめ。なにいってんの。せっかく二人っきりになるチャンスが出来たっていうのにぃ」

 甘え声で僕に擦り寄ってくる。指を僕の膝の上でくねくねさせている。

 先生は素早い動きで後ろ手で部屋の鍵を掛けた。

「うふ。これで邪魔は入らないわ」

 黒鬼の取り調べということがわかっていれば、そんなことしなくても誰も来ない。

 むしろ僕の逃げ道をふさいだといっていいだろう。

 先生は更ににじり寄ってくる。メガネを外して机の上にそっと置く。

 顔が近づく。10センチ、3センチ、1センチ…。

 先生は軽く目を閉じて僕の頭を抱えながらキスをした。

 最初は軽く、2度目は少しずつ舌が侵入してくる。あの固い黒鬼にそういう知識があったのかというのが意外だった。

 知らぬ間に部屋は先生のいい匂いでむせかえるようになっている。

 いままで少しもそんな匂いはしなかったのに、香水のビンのふたをいきなり開け放ったように女の香りでいっぱいだ。

 先生の濃厚なキスと匂いでぼくはボーッとなってしまった。

「うふふ、しばらくぶりだからちょっと激しくなっちゃった。エヘ」

 ああ、先生、かわいいよ。先生。たまらないよ。

 もうどうなってもいい。頭に血がのぼった僕は先生を押し倒していた……と思ったのだが気がつくと僕は床に這いつくばっている。

「あせっちゃダメよ。桐原くん。ゆっくり楽しみましょう」

 さすが合気道の師範だ。僕は体に殆ど触れないまま投げ飛ばされていたのだ。

 にしても、ずいぶんと妖艶にほほえむんだなあ。先生がこんなにエロい笑みをうかべるなんて…。僕も興奮してきた。

「じゃあ、ちん○舐めてア・ゲ・ル」

 あの黒鬼がちん○とか言ってるし…。

「へえええ!?先生もそんなことするんですかぁ?」

「あら、バカにしないで。桐原くんが喜ぶならなんだってするのよ。ほらズボン脱ぎなさい」

 先生はてきぱきと僕のズボンとパンツを脱がせて下半身裸にする。

 恥ずかしながらさっきのキスで僕のイチモツは完全勃起状態でブルンブルンとゆれている。

 先生はそれをサッと手でつかみ、二三度しごいてから舌先をつける。

「う」声が出てしまった。それだけのことなのに体に電気が走った。

「じゃ、舐めちゃうわね」

「は、はい」

 焦らすように、ほんとうにゆっくりとじっくりと先生の舌が僕の亀頭のまわりを這い回っていく。

 僕は目を半眼にして気持よさを味わう。

「あ、あ、あ…いい…」

 先生の規則正しい鼻息が竿に当たるのが気持よさを倍増させる。

 夢のような気分に浸っているといつのまにか、ちん○の半分以上が先生の口の中に入ってしまっていた。

 舌の動きは速くない。にもかかわらず舌がネトっネトっと動くたび僕は気持よさでビクンビクンとなってしまう。

 なんだ?先生はこれが異常に上手いではないか。

「先生、気持ちいいよう…」と僕が言うと先生は咥えながら僕を嬉しそうに見つめた。

 その目を見た時、僕はとてもとても先生が愛しくてたまらなくなってしまって、もう、がまんできずに絶頂に達してしまった。

「どぴゅ…。あ、あ、ああああ〜」とても情けない声が出てしまう。

 先生はそれでも口を離さない。僕の精液が黒澤先生の口の中へドクンドクンと吐き出されていくのがわかる。

 先生は、目を閉じてそれをあじわっている。

 僕は…あまりの気持よさに涙を流している。幸せだあ。


 僕は体を細かく震わせながら、しみじみと気持ちよさを味わっている。

 そんな僕を先生は口から精子をたらしながらうっとりとみている。

 このわずか10分ほどの間に、僕はすっかり先生に夢中になってしまった。

 こんなにエロくてかわいい人を僕のものにできたら…。

 僕はどうも目の前にあるものに弱いようだ。なんというか余裕がなくなってしまう。

 冷静に考えれば、学校には僕と同世代で綺麗な子、可愛い子はいくらだっている。

 今の僕ならよりどりみどりでだれだってセックスフレンドにできる。

 でも、僕は今、黒澤先生がほしい。自分のものにしたくて仕方がない。


「先生…」今度は僕が攻める番だ。

 ところが先生はすでに立ち上がって身なりを整えている。

「あれ?」

「桐原くん、ごめんね。残念だけどもう授業の時間なの。あまりここに長くいても怪しまれるだけだし。私はほんとにもっと一緒にいたいのだけど…ほんとよ」

「はい」

 今まで以上に目をうるませて僕を見ている先生。発情しているようにしか見えないのだけど、それを抑える意志の強さはさすがというべきか。

「今晩、ヒマ?私の家に来ない?夜ならタップリと楽しむことができるわ」

 ニヤリとエロい微笑みをこぼす先生。うう、ぞくりとしてしまった。

「は、はい」

「じゃ、約束ね」

 と先生は言って、また僕にキスをした。

 なんてキスだろう。軽く一回舌をからませただけなのに、全身がしびれて、またイきそうになってしまった。

「ああん…」色っぽい声。先生も同様らしい。

 机の上のメガネをかけて、もういちど服装を整えると、もういつもの黒鬼にもどっている。

「じゃ」目だけは名残惜しそうに、先生は部屋を出て行った。


 
 学校が終わってから僕は誰にも見られぬようこっそりと黒澤先生を帰り道で待っている。

 部屋を出てからの黒澤先生は別段いつもと変りなかったようだ。

 園田のバカはうまいこと逃げおおせたようだ。あのヤロウは許せん。絶対に復讐してやる。

 でも、まあ園田のおかげで黒澤先生といいことができたのでそれはそれでよしとしようか。

 
 そうこうするうちに先生が歩いて来るのが見えた。

 まわりにだれもいないことを確かめて、僕は物陰から先生に声をかける。

「せーんせ」

「あら」

 いままで一部のスキもなく怖い顔して歩いてた先生の表情がパッと緩む。

「桐原くん…」

 ちょっと赤い顔をしてもじもじするのが可愛い。

「じゃ、行きましょうか」

「はい」

 誰も見ていないのを確かめながらそっと手を握る。

「うふふ」

 先生は実家を出てひとりでマンション暮らしをしているという。

 おそらく男でここに入るのは僕が初めてじゃないのだろうか。

「おじゃましまーす」

「どうぞ、いらっしゃい」

 先生が先に入って僕を迎え入れる形になる。

「なにもないけど…、お茶でも入れるわね」

 三部屋ほどしかない、それほど広いマンションではないが女性の部屋にしては物がなさすぎる。

 リビングに、ぽつんとソファーだけがあってテレビすらない。

 そのソファーに座って先生がお茶を入れてくれるのを、ぼやっと待っている。

 やがて先生がやってきてテーブルの上に二つ、湯のみをおいた。

 二人でお茶をすする。改まると何だか気まずい。

「おいしい、ですね…」とりあえず言ってみる。

「ありがと」なんとなく気のない返事が帰ってくる。

 お茶を飲みながら何か話があるわけでもない。

 どちらからということもなく見つめ合ってしまう。

「あ、」「え?」

 この雰囲気、なんかヤバい。どきどきする。

 でも、いま、ナニに至ってしまうのは、ちょっと早過ぎる。

 僕には僕なりの計画があるので、少し間を置く必要があるのだ。

「せ、先生…」

「なあに?」

「あの、何でしたら、僕に遠慮無くお風呂に入っていただいてもいいですよ」

 先生はまだ着替えもしていない。黒のスーツのままだ。

「そうねえ…」

 黒澤先生は水をさされてちょっとシラけた表情をみせる。

「じゃ、お先にシャワー浴びさせてもらうわ」

 といって潤んだ目で僕を見ながら立ち上がりバスルームへ向かおうとする

「先生。ちょっと待って」

 
 黒澤先生を僕のものにしたい。

 セフレというだけでは、物足りない気がする。

 というわけで僕は昼間からずっと考えていたのだ。

「なあに?」

 僕が昼間に貼りつけたメモが見えている。そう、これを僕は今剥がそうとしているからだ。

 僕はそのメモを素早く剥がす、と同時に隠し持っていたメモを改めて先生の顔にペタンと貼りつけた。

 メモには、こう書いてある。

「桐原裕也は黒澤恭子の最愛の恋人。黒澤恭子は僕と二人きりになるととてもエロエロになってしまう」
 
 それからさらに付け足した一文。

「そして黒澤恭子の体は10代の女の子のようにピチピチしていて、男なら誰もが奮い立つような理想の女体」

 
 メモを貼り替えた瞬間、僕を熱く見つめていた目がより一層トロンとする。

 僕のことがもう好きで好きでたまらなくなっているはずだ。

 外見の方は一見何も変わってないようだが、すこし雰囲気がさっきと違うかな。

 よく見るとスーツ姿の先生の胸がはちきれそうになっているし、腰のあたりのクビレも何だかエロいし、長めのスカートの下のほんの少しだけ見えている足首やくるぶしまでが、とても色っぽい。

 脱いだらきっとすごいことになっているのだろうと期待に胸が膨らむ。

 
「じゃ、先にシャワー浴びるわね」といって先生はバスルームへ入っていった。

 
 
 黒澤先生がバスルームから出てくる。

 髪はおろしている。肩の下まで届いているきれいなロングヘア。

 普段の黒澤先生から想像も出来ないほど「女」に変わっている。

 バスタオルで髪を拭きながらこっちへ来る。

 その体を全く隠そうとはしてない。

 その裸体を正面からもろに見た僕は、思わず鼻血をふきだしてしまっていた。

 ピンととんがった形のよい魅力的なおっぱい、ピンク色の乳首。見事な曲線を描く腰のくびれ、キュッと上がったボリュームのあるヒップ、細からず太からず絶妙のムチムチかげんのまっすぐに伸びた美脚。白く浮かび上がるようなその裸体は張りがあって10代といっても通用するぐらいだ。

 そんなぴちぴちした体がティーンエイジャーでは決してかもしだせない何ともいえないクネクネ具合で歩いてくる。

 エロい。なんというエロさだ。僕はこんなにいやらしいものを生まれてからこのかた見たことがない。

 
「先生…きれいだ…」

 鼻血を流しながら、先生の体から目が離せない。

「うふ、ありがと」

 先生はそう言って裸のまま僕とキスを交わした。

「あああん、桐原くん、かわいい…」舌を口の中に滑り込ませながら僕の髪の毛をグシャグシャにかきまわす。

「ムムムウ…ぷは。先生、僕まだシャワー浴びてない…」

「…いいの。もう先生、桐原くんが欲しくて、たまらない…」

 次の瞬間、僕は押し倒されていた。

「あ、あ、せんせい、せめてベッドで…、うあ、ううう」

 すでにち○ぽは先生の手の中に、そして舌は僕の乳首へと。

「ちゅ、ちゅ、ちゅぱ…シコシコシコ」

「あ、あ、あ」

 そのやわらかい巨乳が腹部に触れている、すべすべで真っ白な先生の足が僕の足にしっかりと絡み付いている。

「はう、うう…」

 先生が足を絡ませつつ、もう一方の足の膝の裏で僕のち○ぽを挟んでしごいている。

「な、なんだこの感じ…」

 ソフトだがつぼをついた刺激が同時に襲ってくるこんな感覚は初めてだ。

 武道を極めている先生は体のこなしに無駄がない。

 僕はどんどんと快感の渦に引きこまれていく。

 AVの単体女優をはるかに凌ぐエロいボディが僕の体に絡みつく。

 この肉体の弾力と吸いつくような瑞々しい肌。五感すべてが最高にエロ気持ちいい。

 とか、思ってるうちにどんどん高まる僕のちん○。

「え、あ、だめ、ちょっと待って、あ、あ、あ」

 このままでは一方的にイかされるばかりになってしまう。

 
 というわけで。

「今度は僕からだよ」

 そういって僕は体制を立て直し先生のツンととんがった乳首に舌を這わせる。

「アキュゥン…」黒鬼がなんだかすごくかわいい声を出す。

「そんな、ああ、なんでぇ、こんなにぃ、キモチイイ、ああん」

 僕は勃起しきった乳首を甘噛みしながらチュウチュウと吸いだした。

「ああ、そんなこと、いやぁん、ああん、もうぅ…」

 先生が体をくねらせてよがる。

 僕もたまらなくなって、先生の大きな胸の谷間に顔を埋める。

 先生の強烈なフェロモンが僕を襲う。

 ああ、いい匂いだ…。そんな僕を先生は抱きしめる。

「ううん、かわいい。桐原くん、かわいい…」

 僕の股間はもうはちきれそうになっている。

 そして再び先生の乳首を口に含んだ瞬間、舌先にビリビリと電気が走ったような感覚があって、僕は射精してしまっていた。

「あ、ああ。先生、ごめんなさい」

「いいのよ…。先生がキレイにしてあげるからね」

 先生は自分の太ももにかかった僕の精子を指ですくって口の中に入れて嬉しそうに笑った。

「うふ、おいし…」

 そして僕のちん○をパクっと口に含んで先っぽを舌でキレイにし始める。

「あ、センセ、そんなことしたら、もっと出ちゃう、でちゃうぅ」

「チュポン。いいわよ、絞りつくしてあげる」

「あ、あ、そこは…」

「ちゅいちゅいちゅるるる……」

「あ、ああああ〜!!!」

 撃沈してしまった。このまま僕はたちなおれないのだろうか、こんな魅力的な女体を目の前にして。

「あら、ちょっとやりすぎたかしら。桐原くんにはもっとがんばってもらわなきゃならないのに」

「すいません、僕…」

「大丈夫よ。桐原くん若いんだから。ちょっとお休みしてて。そうだな、ぼーっとしてるのも何だから私のオナニーでも見てて」

 そう言って先生は僕のちん○の先にチュッとくちづけしてからベッドの上に座りなおしM字に開脚した。

「うふーん、くぅぅーん」

 先生は胸と股間に手をやり、ゆっくりと揉みしだき始める。

 それは今までに見たこともないほど美しく、また淫らな光景だった。

 完璧な肉体がくねくねといやらしく悶える。口から漏れる声がまた、いやらしくも、かわいい。

「あはーん、あはーん、桐原くん。好き、好きィ!!」

 目をつぶっている先生は僕とのセックスをイメージしながらオナニーしているのだろう。

 そう思うとムラムラとした興奮が腹の奥から徐々に沸き上がってくる。

「う、う、ううう」

 股間に血液が再び集まり始める。そんな時に先生が薄く目をあけた。

「桐原…君…」

 うっとり、ねっとりとした先生の視線が僕の視線とからみあう。

 僕はもう完全勃起してしまっている。

「ああん、だめ、だめええん、い、いくぅぅ…」

 目と目を合わせたまま先生がイく。ガクガクとかわいく痙攣する。もう愛おしくてたまらない。

 見てるだけで僕はまた出そうになってしまっている。
 
「はあ、はあ、はあ、うふ、桐原くん。もうそんなに元気になって…」

「先生。挿入します。よろしくおねがいします」

「きて……」

 先生に誘導されるまま僕は正常位でゆっくりと挿入した。

「ふわあ」

 あまりの気持よさに頭の中が白くなる。

「あああ、先生、先生、センセイー!!!」

「あん、桐原くん、その“センセイ”っていうの、やめない?なんだか私がむりやり若い子を犯してるみたいで、いやなの。桐原くんに可愛がってもらいたいの、わたし」

「はあ、はあ、じゃ、なんて呼んだらいいですか。はあ、はあ」

「わたし、恭子だから…キョコタン。桐原くんはユーヤ。いい?」

「は、はい、分かりました。キョコタン、いいよう、気持ちいいよう」

「ああん、ユゥヤァー、私も感じちゃうー」

 先生はキョコタンという呼び方に、すごく反応した。その反応は僕のちん○にまで伝わってくる。

「うほほう」

 たまらなくなって腰を夢中で動かす。

「カク、カク、カク、カク…。はあ、キョコタン。好きだ。大好きだあああ。気持いいいい」

「あん、あん、あん、あん」

「ああ、でるよ、でるよ、出すよ、出すよ、キョコタン、キョコタ〜ン!!!」

「あん、いいわあ、出して、だして、いっぱいだしてえええ!!!」

「あぐ。うう…」

「はああああああああ…」

 僕は黒鬼の中にいっぱい出した。キョコタンの中にいっぱい出した。

 
 僕ははげしい一戦を終えて、くたくたになってしまった。でも気持ちいい。こんなに充実した感じは味わったことがない。

 終わっても僕はキョコタンと手をつないで、愛を確かめ合っている。

 しばらくの沈黙の後キョコタンがぽつりという。

 
「ねえ、一緒に住もうか」
 

 思いもよらぬ提案に僕は跳ね起きてしまった。

「えええ?」

「いっしょに、住んだらぁ、毎日、イイことできるよ」

 なるほど。悪くない。というかとってもいい。

 こんな可愛いヒトと同棲するって考えただけでも頭の中が花畑だ。
 

 
 翌日の学校では黒澤先生に対する世間の評価が少し変わっているようだった。

「聞いたぜ。黒鬼に尋問されるなんて…。うらやましいな、桐原」

 渡辺が声をかけてくる。

「そう…かあ?」

 僕は注意深く探りを入れる。

「たしかに怖いけど、あのおっぱいみてたら、たまらんもんなあ…。先生、結構男にいいよられてるらしいぜ。まあ、一人残らず投げ飛ばしてるらしいけど」

 貴重な情報をありがとう渡辺。またそのうち抱いてやるよ…。

 どうもその強さだけでなくセクシーさでも敵なし状態らしい。

 僕はそんな黒鬼の恋人なのだ。自分まで何だか偉くなったような気がする。
 

  
 まあ、ともかくもその日から僕達の同棲が始まった。

 ぼくの家の人間は、メモをつかって気にしないようにしておいたので特に問題はない。

 学校が終わると僕は黒鬼―キョコタンのマンションに帰る。

 今日は僕のほうが早く帰ってキョコタンの帰りを待つ。

「ただいまぁ〜ユーヤァ〜」

「お帰り、キョコタン」

 そうして、お帰りのキス。

「今日は牛肉買ってきたの。すき焼きでもしようか」

「うん」

 キョコタンは実は料理がとても上手い。晩ご飯も僕の毎日の楽しみになっている。
 

「食べさせてあげる」

 新妻のように初々しく頬を染めながら、料理を僕の口に運んでくれるキョコタンが可愛くてたまらなくなる。

「キョコタン……」

 食事の途中であることも忘れて僕は先生の手をぐっと握ってしまう。

「あん、ユーヤったらぁ…」

 同棲のいいところは、こんな何気ないシチュエーションからそのままエロモードに突入してしまえるところだ。

 当然のごとく僕たちはそのままセックスへとなだれこんでしまう。


 4ヶ月が経った。

 僕とキョコタンの同棲生活はその後も続いてしまっている。

 毎日、毎晩、僕はキョコタンを犯し続けた、いや犯され続けたというべきか。

 僕達は飽きるどころか、むしろどんどん新しい快感を開発しつづけている。

 僕はキョコタンを愛している。彼女も僕をとても愛してくれている。
 

 黒鬼―僕のキョコタンは学校では相変わらず微笑すら顔に浮かべない鬼の生徒指導担当として頑張っている。

 人の見ている前では僕にも決して甘い表情は見せない。

「桐原くん」ある日、そんなキョコタンに僕は廊下で呼び止められた。

 学校での「黒澤先生」に声をかけられると今でも緊張してしまう。

「は、はい」

「ちょっといいかしら」

「は、は、はい。なんでしょうか」

「お話があるの。放課後生徒指導室まで来て下さい。わかりましたか」

「はい。わ、わかりました…」

 黒鬼はそれだけ言うと表情ひとつ変えずそのまま行ってしまった。

 二人っきりになれば変わるのはわかってるけど、それでもなんだかドキドキする。
 

 放課後、僕はおそるおそる生徒指導室まで行く。

 コンコンとノックして中に入るとキョコタンがすでに待っていた。

「待っていました」

 その表情はまだ黒鬼のままだ。

 でも、僕がドアを閉めた瞬間に氷のように冷たかった空間が花びら舞い散る桃源郷の如きふんわりとした空気に変わる。

「ねえ、ユーヤ。今日は大事な話があるの」

「はあ」

 なんだろう。いまさらあらたまって。まさか、別れたいなんて言うはずもないし、先生から僕に話といわれても思い当たるフシが全然ない。

 キョコタンはなかなか話を切り出せずにいる。彼女らしくもなくなんだかもじもじしているのがもどかしい。

「あの、先生―」

「できちゃった…」

「は?」

「だから、その、できちゃったの…赤ちゃん」
 
「はあ……え。ええええええ!!!!!!!!」

 そうだった。当然思い当たるべきことだった。

 あれだけ毎日愛しあいながら、僕たちは避妊などということは一切考えたこともなかったから。

 
 その子の父親は紛れもなく僕だ。正直な気持ちとしてキョコタンとの愛の証ができたことが何だかとても嬉しい。

「ねえ、結婚、してくれる?」

「も、もちろん…」とは言ったものの僕の気持ちは乱れている。

 僕も愛するキョコタンと家庭を持って落ち着いて、これから長い一生をともに歩んでいくことを想像すると、それもいいかなと思ってしまう。

 でも…いや、まて。

 いやいやいや、ぼくはまだまだ若いのだ。あのメモだってまだまだ十分に使いこなしたわけでもない。もっともっといろんな女の子といっぱい楽しいことをしたいのだ。

 キョコタンとはまたいつでも僕が望みさえすればもとに戻れる。

 ここはとりあえずリセットするのだ。

 躊躇してしまってはダメだと思った僕はまっすぐ黒澤先生のほうを向いて、「ごめん」と言ってから、すでに僕の目には見えているメモをさっとはぎ取った。

「?」

 見える景色はなにも変わらない。

 でも、僕がメモを剥がしたことで、すべて何もなかったことになっているはずだ。

 部屋の空気はまた、寒々としたものになっている。

「桐原くん」

 抑揚のない冷たい声が黒鬼から発せられる。

「はい!」

「君はなんでここにいるのかしら」

「は、はあ」

「ごめんなさい。なんで君を呼んだのか忘れてしまったみたい。なにかを聞こうとしていたような気はするのだけど」

「あ、あの、いいえ、その…」

「わたしも、疲れてるのかしらね。まあ、いいわ。思い出したらまた呼びます。行ってよろしい」

「あ、失礼、します。あの、色々と勉強になりました。ありがとうございました」

「?なんのこと?」

「いえ、失礼します」

 
 ポカンとした先生を残したまま僕は退室した。
 
「おい、また黒鬼に呼び出されたって?」

 渡辺が話しかけてくる。

「いや、なんかの間違いだったみたいだよ」

 そう、なにも変わらない。今まで通りの日常が帰ってきた。

 当然、黒澤先生も妊娠なんかしてないし、僕は先生となんの関係もない、ごく目立たない男子生徒。

 でも黒鬼―キョコタンとの生活は本当に楽しかった。

 美しくて可愛くて、しかもエロエロのキョコタンのこと絶対に忘れない。
 

 この4ヶ月で僕はひとまわり成長したのだ。こんどこそガンガンいくぞ。

 手当たり次第に女の子を僕のものにするのだ。

 そしていつかはハーレムを……。

 
 


 

 

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