友達以上、兄弟未満


 

 

友達以上、兄弟未満


「晃(こう)、催眠術でHな事ってできるの?」
「ふぇ?」

 聞いたのは私、宮咲 茜(みやさき あかね)。今は、勉強の休憩タイム。晃のベットに寝そべりながら、少年向け週刊マンガ(少しアダルト向け?)を読んでいる。そのマンガに喫茶店でたまたま出会った女の子に催眠術をかけて、Hなイタズラをしているのがあったのだ。
 驚いたのか、ちょっとマヌケな声で答えたのは、親戚で幼馴染の御子神 晃(みこがみ こう)。名前は「アキラ」じゃなくて、音読みで「コウ」。こちらは、一人真面目にローテーブルに向かい勉強に勤しんでいる。
 私と晃は恋人ではない。まして、夫婦でもない。二人とも、今年高校受験を控えた中学3年生。

 父親同士が従兄弟で兄弟のように仲が良く、母親同士も結婚前から親友だった。しかも、家が隣り合わせと言う、只の親類とか只の幼馴染とは言えない関係。「親友だった」と言うのは、晃のお母さんが私達が小学生の時に事故で亡くなっているから。
 私には四歳上に暁(さとる)と言う兄がいるけど、今年から家を出て少し離れた大学に通っている。晃は一人っ子だ。
 晃の家に女手がいないと言う事で、小学生の頃はよく私の家でご飯を食べたり、うちの母親が家事の手伝いに行っていた。
 中学に入ってからは私が夕食を作ってあげて、ついでに晃と一緒に食べるのが日課になっている。時間が合えば、掃除や洗濯までしている。学校のお弁当も、朝から晃の家に上がりこんで毎日作っている。私は元来、料理を作るのが好きだし、母親の目が光っている自宅に比べ、晃の家では好き勝手できるのもその理由だ。私の食費は、御子神家持ちだ。

 私と晃の関係を聞かれれば、『従兄弟です(親同士が従兄弟だと説明するのが面倒だから)』とか、『公園デビューからの幼馴染です』と答える。
 夕食やお弁当を作っているのを知っている友達からは、「通い妻でしょ?」とか「友達以上、恋人未満じゃないの?」と聞かれるけど、その時は『友達以上、兄弟未満』と笑って答えている。

・・・私と晃の関係は『友達以上、兄弟未満』の言葉が一番相応しい。

 私達は『友達以上、兄弟未満』だから、二人っきりの家で長い時間一緒にいても、どちらの親も何も言わない。私が晃のベットでくつろいでても、妙な雰囲気にならない。そんな良い関係をずっと続けているし、これからも続けていきたい。

「だ〜か〜ら〜、ここにあるようなHな暗示って使えるの?」
 私は手にしたマンガのページを指し示しながら、もう一回、晃に聞いてみた。

「あぁ、それ? そんなの無理無理。街で出会っただけの人に、ラポールの形成もしないで一瞬で催眠術かけるなんて無理。もし、かかったとしても、Hじゃない・・・普通の暗示までは出来てもHな暗示なんて、ぜーったい無理・・・。それより、もう休憩終わりにして、勉強しないと高校受からないよ」
 晃は一瞬、私の手元を見てから、ため息をつきながら答えてくれた。でも、後半は少しイヤミが入っているような気がするのは、私の被害妄想?

 私達は同じ公立高校を目指している。目指す高校は県内で三番目くらいのランク。
 成績は晃の方がずっと上で、本来なら県内一の高校も合格圏内の秀才。片や私は、この一年努力すれば合格できるレベル。逆に言えば、努力しなければ不合格の憂き目に遭う可能性もある。
 晃は「レベルの高い高校にぎりぎり受かって苦労するより、家から近い高校の方が楽だ」と言って私の目指す高校に目標を切り替えた。県下一の高校は少し遠いし、私立で学費が高いので有名だ。二番目の高校は公立だけど、とても遠い。そして、目指している高校は公立だから学費も安い上に、とても近い。歩いて行ける距離だ。

「じゃ、ラポール形成できてたらできるの?」
 後半の晃の忠告を敢えて無視して、私はしつこく聞いてみる。ラポールとは、互いの信頼関係の事だ。私でも、それくらいの用語は何度も聞いているから知っている。

「・・・もしかして、茜。『そんなの』かけて欲しいの?」

・・・身もフタもない言い様。もうちょっと言い方考えて欲しいなぁ。でも、言い換え様がないか。

「うん、ちょこっと・・・だけ・・・」
 興味があるのはホント。女の子だってHに興味がある。『友達以上、兄弟未満』の晃が相手だから言える話だ。
「・・・他の人だったら、怖いけど。晃だったら、無茶しないの分かってから『安全』だし・・・」
 晃の特技は催眠術。晃は中学に入る頃からナゼか催眠術に興味を持ちだしたらしい。
 かける相手・・・練習する相手がいなくて、なかなか実行できなかったそうで、私が最初の実験台になってあげた。晃いわく、私の被暗示性は高いらしい。最初に試した時から、晃が驚くくらい一気にトランス状態まで進んだ。
 私は、晃相手なら全然怖くないし、催眠術にかかる事自体気持ち良いと思っている。催眠状態になったときの「ふわっと」した感覚は、なんとも言えず気持ち良い。

「それに、晃も兄弟だから変な気にならないでしょ?」
 昔はお互いに「兄弟だったら良かったのに」と言い合っていたのが、去年、二年生の春ころから「兄弟だよね」と、変わってきている。

・・・晃は、私にとっては兄弟そのもの。晃にとっても、私は兄弟そのもの。これ以上安心できる関係はない。

 もしも、かけてくれるのが晃でなく、他のクラスメートなら・・・例えば、工藤君や新橋君でも・・・願い下げだと思う。工藤君、新橋君というのは、野球と陸上短距離でスポーツ特待生として有名校から指名を受けて進学先が決まっているエリート。この二人のファンは多く、願わくば恋人になりたいと思っている女の子は数多い。私は今のところ、この二人に限らず男の子には、ときめかない。もちろん、女の子相手にも、ときめかないけど・・・。

「晃も、私みたいな美少女にHな催眠かけてみたいでしょ?」
 自分で美少女なんて言うのは、あくまでHな話題を振ったことの照れ隠し。外見上は自分では十人並と思う。うぬぼれて言うなら十人並より少し上?
 顔が赤くなっていないか少し不安だけど、なんとか誤魔化せたと思う。相手が『友達以上兄弟未満』の晃でも、Hな事が話題になるだけでも恥ずかしいのだ。

「・・・茜がそんなに言うなら、かけても良いけど・・・後で、怒らないでよ」
 うーん、なんか私だけが一方的にHに興味があるような言いまわし。晃はあまり乗り気でない?
 晃だって、美少女かどうかは別にして、女の子にHな事できるの嬉しくないのかな? そんなに、私って魅力ないの?って聞いてみたい気分だ。
「いや、僕だって、Hな事に興味あるし、茜が許してくれるなら、かけてみたいって思ってるよ」
 私がむーっと口を尖らせて不機嫌さを醸し出したら、晃が慌てて言い方を変えた。さすがは兄弟、阿吽(あうん)の呼吸・・・座布団一枚だ。

「じゃ、かけて」
 私はいそいそとベットから降りて、机の横の椅子に座りなおした。晃の部屋の椅子はパソコンチェア。家庭向けと言うよりオフィス用で、少し高価な部類に入るらしい。油圧式のリクライニングで、背もたれが後ろに45度近く倒れるし、高さ調整もボタン一つでできる。スムーズかつ、無音で動くのが面白い。
 晃いわく、催眠術の『座位後倒法』に使うために買ったらしい。催眠状態で後ろに倒れこむのは意識がスーっと遠のく感じで気持ちが良い。

「・・・いや、その前に・・・」
 晃は何か困ったような顔をしている。何か問題でも??
「具体的に、どこまで?」
「・・・『どこまで』って?」
「どこまで『触ったり』『Hな表現使う』の許してくれるの?」
 晃が何を考えているのかようやく分かった。顔から、ボッと火がでる思いだった。

・・・そっか、Hな催眠術だったら、それなりの事は覚悟しないと・・・。

 具体的に、答えられない私に代わって、晃が尋ね、私が頷いて答える。
「ひじから先・・・主に手だね。それと顔は、触ってOKかな?」
・・・コクン・・・。これは全然OK。
「じゃあ、表現だけど・・・オナニーって言葉はOK?」
・・・コクン・・・。えっと、言葉がOKって事は、「私オナニーしてます!」って言ってるのと一緒!? すっごく恥ずかしい。
「おっぱいって表現は?」
・・・コクン・・・。
「・・・クリちゃんは・・・?」
・・・コクン・・・。聞く方も恥ずかしいのか、声が小さい。私の頷きも小さいけど。
「まぁ、後はそれほど『どぎつい』表現は使わないよ。それと、催眠を深化させる時は、いつもみたいに肩とか触るけど、これ問題ないよね?」
「・・・うん・・・」
 すっかり晃のペースになってるけど、仕方ないか。

「じゃあ、これからかけるから、まず、しん・・・」
「待って」
 たぶん「深呼吸して」と続けたかったんだろうけど、私は待ったをかけた。確認したい事がある。

「えっとねぇ・・・。服脱がさないでね」
『今日は、勝負下着じゃないの!!』じゃなくって、一応の確認ね。一応の。
「晃が触らないのは分かったけど、私にも触らせないでね」
 さっき見てたマンガでは、女の子にオナニーさせてた・・・さすがに今日、晃の目の前でするのは恥ずかしすぎる。「今日じゃなくて明日なら良い」って事でもないけど。オナニーって言わなかったけど通じてるよね?
「あと、後催眠はかけないでね。これ絶対ね! 健忘催眠もダメだから」
 たまに後催眠のつもりじゃないのに、催眠から覚めた後も暗示が残る事がある。まあ、そっちは許してあげよう。でも、わざと後催眠をかけられるのは勘弁して欲しい。後催眠で晃のことを好きにさせられるのは、ちょっと悲しいから・・・。

「うん、分かってる。茜がいやがる事はしないよ。ただ・・・」
 私が一方的にまくし立てた後、晃が微笑みながら答える。でも「ただ」って何?
「・・・僕の感性で暗示与えるから、もし、嫌だと思ったら『これ』で自分で催眠から覚めてね」
 晃は親指を中にした握りこぶしを見せながら続けた。『これ』は、最初の頃、晃からかけてもらった後催眠。自分で嫌だと感じたら『親指を中にして手を握ると催眠から解ける』と、繰り返しかけてもらっている。
 もちろん、嫌と感じることが出来ないほど深い催眠状態・・・トランス状態って言うんだっけ?・・・なら、効き目がないのは分かっているけど。
 でも『これ』がなくても、晃は私が嫌がる事をしないと言うのは分かっている。だからいつも安心している。『これ』をわざわざ言ったのは、晃らしい気遣いだと思う。
「うん。分かった。じゃあ、深呼吸して気分を落ち着けるね」
 晃の気遣いを感じて、一気にリラックスできた。目を軽く閉じて、深呼吸を始めた。

「深呼吸すると・・・だんだん、気分が落ち着いてくる。気分が楽になる」
 落ち着いた晃の声を聞くだけで、軽い催眠状態・・・類催眠?・・・になるのが分かる。私は何度も晃にかけられているせいか、晃が催眠術の時に使う独特の落ち着いた声を聞くと、すぐ反応する。ラポールが完全だから?
「ゆっくり目を開けて、この光をじっと見て」
 今日はペンライトを使った『凝視法』。いつもは、目を見詰める凝視法だけど、今日に限っては助かった。今、晃の目を見詰めれば、また顔が赤くなってしまいそう。
「じっと見ていると、まぶたが重たくなってくる。見詰めているのが辛くなってくる」
 自分でも瞬きが多くなってくるのが分かる。目を開けているのが辛い。
「まぶたが重い。目を開けていられない・・・はい。もう、目が開きません」
・・・・かかった。かかっている最中は「かかった」って分からないけど、催眠から覚めれば、あの瞬間にかかったんだなと思い出す。

「茜はもう、深い催眠に入りました。体から力が抜けていく。雲の上を歩いているような気分です。催眠術にかかると、この気持ち良さをずっと感じます。茜は『僕の催眠術』にかかる事が好き。もっと深く催眠をかけて欲しいと感じています」
 この『僕の催眠術』と言うのは、私がリクエスト。ただ『催眠術にかかるのが好き』だと、晃以外の人の催眠術にもかかりやすくなりそうで不安だから。私は晃の催眠術だから安心して何度でもかかりたいと思っている。

「今から、三つ数えると、体が後ろに倒れます。体がスーっと倒れます。体が倒れると、意識はスーっと遠のいていきます。もっと深く催眠がかかります・・・一つ・・・二つ・・三つ、はい!・・・とっても気持ちが良くなりました。深く催眠がかかると気持ち良いです」
 椅子のリクライニングを操作してるだけって、頭の隅っこでは分かっているんだけど、とっても気持ちが良い。
「次に三つ数えると、今度は体が下に沈みます。体が沈むと一気に催眠も深くなります。もっともっと深く催眠がかかります。催眠が深くなると、気持ち良くなります・・・一つ・・・二つ・・・三つ、はい!」
・・・。体が一瞬、沈む。意識がスーっと遠のく。気持ちが良い。

「今、茜は深い催眠状態です。心も体も、ふか〜い、ふか〜い催眠状態です。どう、とっても気持ちが良いでしょう?」
・・・コクン・・・。体がふわふわした気分で、とても気持ちが良い。晃の声を聞いているだけで、とても気持ちが落ち着く。
「茜は、いつまでも、この気持ち良さを感じていたいと考えてます。そうですね?」
・・・コクン・・・。いつまでも、この心地よさを感じていたい。
「僕の言う事を聞いていれば、いつまでもこの気持ち良さを感じます。茜は僕の言う通りにしていれば、とても気持ち良くなります。僕の言葉に逆らえません。茜は僕の言う通りに動いてしまいます。僕の言う通りに感じてしまいます」
・・・私の心の中で、晃がとても大きな存在に感じる。

「でも、茜が絶対嫌だと思った時は、親指を中にして握りこぶしを作れば、すぐに催眠が解くことができます。これは絶対です。茜が嫌だと思ったら、すぐに催眠を『茜の意思』で解く事が出来ます。だから安全です・・・。安全だと分かったら、安心して僕の言葉に従う事が出来ます」
・・・晃の優しさを感じて、ますます晃が好きになる。晃の言うことに従いたくなる。

「茜、ゆっくり目を開けて。僕の指を見詰めて」
 ゆっくり目を開けると、晃の指が二本、目の前にあった。右手の人差し指と中指が揃えられている。
「ほら、僕の指先が光って見えてくるよ。僕の指先が、暖かそうな優しい光に包まれているよ。暖かくて優しい光。ほら、指先が光ってるのが分かるでしょ?」
・・・コクン・・・。晃の言葉の通り、徐々に光が見えてきた。
「何色に光ってるか、教えて」
「・・・あか・・・」
 見えたままの色を答える。
「そう赤だね。僕の指が赤く光っている時は、熱を持っている証拠だよ。ほら、茜のほっぺに触ると、熱を持ってるのが分かる。火傷はしないけど、お風呂のお湯よりも熱いよ・・・。ほら、どう?」
「・・・うん、暖かい・・・」
 晃が私の頬に触ると、その熱が伝わってくる。

「じゃあ、今度は色を変えてみよう。僕が指を鳴らすと、今度は黄色くなる・・・(パチン)・・・ほら、黄色い光りに変わった」
 晃が左手で指を鳴らしたら、今度は黄色の光に変わった。
「ね、面白いでしょ」
 晃が笑顔で言う。私も面白くて、笑みがこぼれてくる。
「黄色の光の時はね、この指で触ったところが、くすぐったくなるんだよ。これから触るところがとってもくすぐったくなる。思わず身をよじっちゃうほど、くすぐったいよ。でも嫌じゃない。もっとくすぐって欲しいって思うよ」
「(つん)や、(つん)きゃ、(つん)だめ、(つん)くすぐったいってば」
 晃が、私の手の甲や、腕をつんつん突つき出した。指先でつついているだけで、こちょこちょとくすぐっているわけじゃないのに、くすぐったい。私は小さな笑い声を上げながら身をよじる。身をよじって逃げているのに、また触って欲しくなってくる。
 結構長い間、晃は私の体を突つきまわした。たまに、服の上から、わき腹やおへその辺りも突つくけど、晃だからぜんぜん嫌じゃない。
「くすぐったいのも、気持ち良いでしょ。僕に触られるのは、ぜんぜん嫌じゃない」
・・・コクン・・・。ようやく突つくのを止めてくれた時、私は身をよじっているのと、笑い続けてたので少し息が荒くなっていた。

「また、光の色を変えるよ。今度は、ピンク色に変わる。僕が指を鳴らせば、ピンク色の光になる・・・(パチン)・・・ほら、ピンク色の光に変わった」
・・・コクン・・・。
「ピンク色の光の時は、僕の指は魔法の指になるんだ。ほら、こうやって擦っていると、そこが温かくなってくる・・・ほら、擦っているところが温かくなって気持ち良い」
 晃は左手で私の右手を軽く掴み、私の手の甲をピンク色の指で軽く擦り始めた。擦られているところが徐々に温かくなって気持ち良くなってくる。
「これから、だんだん魔法が効いてくるよ。今日の魔法はHな魔法。僕が擦っているところが、茜の性感帯になるんだ・・・魔法が効いたきた・・・ほら、完全に魔法が効いた。茜の手の甲が性感帯に変わっちゃったよ。ほら、自分で触ってごらん。『おっぱい』よりも感じる性感帯に変わったよ」
・・・ひゃう・・・。晃に促されて、左手で右手の甲を触った瞬間、思わず声を上げそうになった。

「ほら、とっても感じる。オナニーでおっぱいを触るよりも、気持ちが良い。もう、手が止まらない。気持ち良い。とっても感じる。オナニーよりも気持ち良い」
 本当に・・・Hな意味で・・・気持ちが良い。私は不思議な思いで、自分の手を撫でつづける。気分も高揚してくる。
「気持ち良いでしょ。でもね。女の子の体は自分で触るより、好きな男の子に触られる方が気持ち良くなるんだよ。今日は僕が触ってあげる。僕が触ると、自分で触るより、何倍も気持ち良くなるよ・・・ほ〜ら、さっきより何倍も感じる。とっても気持ち良くなる」
 気持ち良い。さっき自分で触ってたより、二倍も三倍も気持ち良い。『今日は』なんてイジワルを言わず『毎日』触って欲しい。だって、私が好きなのは・・・。

「気持ち良いでしょ。気持ち良いって声に出せば、もっともっと気持ち良くなるよ。ほら、気持ち良いって言って」
「・・・気持ち良い・・・ひゃう・・・やっ、すごい・・・」
 声を出した瞬間、気持ち良さがレベルアップした。
「茜はオナニーで逝った事ある?」
「・・・ひゃ・・・やっ・・・うん、ある・・・」
 普段なら晃相手でも言えない・・・ううん、晃だからこそ言えない事まで、しゃべってしまう。
「今から、三つ数えると、茜は逝ってしまうよ。オナニーよりも気持ち良く感じて、逝っちゃうよ・・・ひとーつ・・・ふたーーつ・・・みーーっつ、はい!!」
「・・・ひゃ・・・ひゃ・・・ひゃん、うぅん・・・」
 今まで優しく擦っていたのに、数が増えるたびに強く擦られて、私は逝かされてしまった。体がピクピクするのが分かる。恥ずかしいけど、嫌じゃない。

「茜、気持ち良かった?」
・・・コクン・・・。とっても良かった。オナニーより気持ち良かった。
「もっと、気持ち良くなりたい? 僕の言葉に従ってたら、もっと気持ち良くなれるよ」
・・・コクン・・・。もっと気持ち良くなれるんだったら、何でも言う事聞くよ。晃に気持ち良くして欲しい。
「これから五つ数えると、意識がハッキリしてくる。いつものようにしゃべれて、いつものように考えられる。でも催眠が解けるわけじゃない。催眠が解けてないから、茜は僕の言う通りになる・・・一つ・・・二つ・・・三つ・・・四つ・・・五つ(パチン)」
 晃が指を鳴らすのと同時に、気持ち良く目が覚めた。目を何度かぱちぱちしたら、意識がハッキリしてくる。でも、まだ少しだけど頭はボーっとしている。

「椅子戻すから、ゆっくり体を起こして」
「うん」
 肘掛に力をかけて体を起こすと、晃が椅子のリクライニングを戻してくれる。
「どう、気分悪いとか、どこか痛いところない?」
「・・・うん、大丈夫。えっと、まだ催眠術かかってるのよね?」
 首や肩を左右に軽く動かして、どこにも異常ないか確かめる。晃の催眠術だから、異常があるわけないんだけどね。
 体を軽く動かしていると、頭がスッキリしてくるのと一緒に、さっきまでの記憶が曖昧だけど蘇ってくる。

・・・えっと、さっき逝っちゃった・・・と言うより、逝かされちゃったんだ。

 自分で言い出した事だけど、こんなに簡単に逝かされちゃうとは思ってなかった。せいぜい気持ち良くなる程度だと思っていた。顔が赤くなっているのが分かる。

「うん、かかったまま。だから、茜の体は、僕の言う通りに動いちゃうし、暗示も効いちゃうよ」
「・・・うん、わかってる・・・」
 顔は俯いたまま、とてもじゃないけど晃の顔を見れない。

「まず、座る場所を変えようか。茜にとっての特等席。茜が一番くつろげる場所だよ」
 そう言って晃はベットに腰掛けた。
「男の子はねぇ、膝の上には、好きな女の子しか座らせないんだ。だから、ココに座るのは茜だけ。僕の膝の上は、茜しか座らせない。ココは茜だけの特等席・・・。女の子も好きな男の子の膝の上が大好き。座ってごらん、とっても落ち着いた気分になるよ」
 晃が、自分の膝・・・ももの当たりを二回叩きながら説明してくれる。それを聞いたら、晃の膝の上がとても魅力的に思えてくる。
「ほら、膝の上に横から座って、上半身は僕に抱きつくように・・・軽く僕に持たれかかる・・・ほら、気分が落ち着いてくる」
 ふらふら立ちあがって晃のそばに行くと、私の手を取って膝の上に導いてくれる。晃の左側に足を流すようにし、晃の右手に背中を抱かれるように座る。
 私は左手を晃の背中に回し、右手を晃の胸に当てるように抱きつく。晃も左手を私の背中に回し、軽く引き寄せるようにしている。左手は私を包むように抱きかかえている。
 自分では見れないけど、どこから誰が見ても、恋人同士の抱擁だと思う。

「こうしてると、茜は僕の膝の上に座るために生まれてきたのが実感できる。僕も茜を膝の上に座らせるために生まれてきたんだから・・・。こうしてると、とっても落ち着いて、幸せな気分になる」
 晃の口が私の耳元に来ている。晃の声をこんなに身近で感じた事はない。晃の声が私の心の隅々まで行き渡る。
 晃が体を軽く左右に・・・私からすれば前後に、揺らせている。ゆりかごに入っているような甘い感覚が全身を支配して、この上ない幸福を感じる。
「ココに座ってると、悲しい事やイヤな事は忘れる事が出来る。ココに座っていると、いつまでも幸せな気分になっていられる」
 晃が体を揺らせながら、繰り返し私の耳元で話し続ける。私は晃に言われたわけじゃないけど、右手を晃の脇の下に伸ばして、左右の腕でぎゅっと抱きついた。晃の体温を体全体で感じたい。

「ちょっと体の向き、変えて」
 そう言われて、体の向きを変えさせられた。横座りをやめ、晃に背中を預けてもたれ掛かるように。足を揃えて座っていると安定しないので、膝を少し緩め晃の膝を軽く挟むようにする。晃の上に深く座った状態になった。
 晃が後ろから手を私の前に回し、軽く抱きしめてくる。背中に晃の体温を感る。体全体を晃に包まれているようでとても気持ちが良い。
「僕の膝の上はとても気持ちが良い。ココは茜の特等席。ここに座っていると何も悪い事は起こらない。茜はココに座るとリラックスした良い気分になる」
 晃は体を左右に揺らしながら、私の耳元で暗示を与えつづける。再び、私の心が幸福感で満たされる。

・・・幸せ・・・。時間がこのまま止まったら良いのに・・・。

『世界は、私たちの為にある』・・・この言葉は、まさに今の私たちの心境だと思う。

「・・・さっきの続きしようか?」
「『さっきの』ってなに?」
 かなり長い時間、幸せに浸っていたので、『さっきの』の意味が分からない。
「Hの続き。ココに座ったままHしたら、もっと気持ち良くて、もっと幸せになれるよ」
「・・・うん、お願い・・・」
 さっきのHも良かったけど、今の幸せの方がもっと良い。でも、晃が望むなら、どちらも歓迎したい。

「ほら、僕の指をじっと見て、だんだん、ピンク色に光ってくるよ」
 晃が左手の人差し指と中指を私の目の間にかざしている。
「光ってくる。さっきより、強く光ってるよ」
「・・・うん・・・」
「ピンク色の指は魔法の指なんだよ。今度は、耳を気持ち良くしようか」
 晃は魔法の指で、私の左耳をなでだした。耳だけでなく、耳の後ろも撫でる。
「女の子の耳はね。元々性感帯なんだよ。知ってた?」
「・・・うん・・・」
「その性感帯に、魔法かけてるから、もっともっと感じやすくなるよ。僕が触っているところが暖かくなってきた。これから、だんだん魔法が効いてくるよ。今日の魔法はHな魔法。僕が擦っているところが、茜の性感帯になるんだ・・・魔法が効いたきた・・・ほら、完全に魔法が効いた・・・ほら、こうやって触ると、おっぱいよりもクリトリスよりも、感じてくるよ」
「・・・はぁー・・・」
 指先だけでなく手のひら全体を使って、私の耳をマッサージする。私の耳から、甘ったるい快感が広がってくる。甘いため息が漏れる。
「ほら、気持ち良いでしょ? これで、茜の耳はクリトリスよりも感じる性感帯になった」
「・・・きゃ・・・」
 晃がいきなり耳にキスをしたのだ。強烈な快感が背中を走った。体が一瞬はねたのが自分でも分かる。もし、晃の右腕で体を抱えられていなかったら、転んでいたかもしれない。
「(はむ、はむ、はむ)」
「・・・やっ、はん・・・ん・・・」
 たぶん唇だと思うけど、指とは違った感触で耳たぶが挟まれる。これが噂に聞く甘噛? 耳全体にかかる晃の息も気持ちが良い。
「これで、茜の左耳は、完全に性感帯になった。おっぱいよりも、感じる性感帯になった」
「・・・はぅん・・・」
 左の耳元で暗示の声が囁かれる。耳元に息がかかるだけで感じてしまう。
「右耳も性感帯にしようね。ほら見て、僕の右手もピンクの光に包まれるよ」
 晃は素早く、左右の腕を入れ替えた。今私は晃の左腕で抱えられ、晃の右手は目の前にかざされている。
「ほら、光ってるでしょ? 右手も魔法の指に変わった」
・・・コクン・・・。
「茜は魔法にかかりやすくなってるから、魔法の指で触るとすぐに感じるようになるよ」
「・・・あん・・・」
 晃に優しく触れられただけで、声がでてしまった。体の前に回っている晃の左手が、私のわき腹からおっぱいにかけて悪さをしているのに気付いたけど、黙っててあげよう。だって、気持ち良いから。
「ほら、もう右耳も性感帯に変わったよ。右も左も同じだけ感じる」
「・・・あっ・・・」
 また耳にキスをされた。今度は右耳に。
「(はむ、はむ、はむ)」
「・・・はーん・・・ん・・・」
 キスに続いて、甘噛される。いつの間にか、左耳も晃の左手で愛撫されている。晃の右腕は、私を体を抱きしめて、私が倒れないようにしている。でもその手のひらは、左のおっぱいの下辺りにあって、こっそりとイタズラしている。

・・・もっと、触って・・・。

 私は行き所のない自分の手を晃の右手に添えて、上に押しやった。ちゃんと、おっぱいを触って欲しいから。
 まだ遠慮しているのか弱々しいが、おっぱい全体を優しく触ってくれるのが嬉しい。

「ほら、耳だけでなく、ココも感じてくる。僕の唇が触れるところは、どこも感じやすくなる」
「・・・あっ、あっ・・・」
 晃の唇が耳たぶだけでなく、耳の後ろやうなじの辺りまで滑っていく。時々、舌を押し当てているのか、ぬるっと湿った感触がする。
 晃以外の人にされたら、嫌悪の鳥肌が立つと思う。でも、晃にされていると思うと体がゾクゾクするほど気持ち良い。
「ほら、気持ち良いでしょ?」
「・・・うん・・・」
 右耳の回りを舐めていたはずなのに、気が付けば左耳の回りも舐められていた。晃の左手は、私の頬や顎、唇の回りを優しく撫でている。

「女の子はね、口の中にも性感帯があるんだよ。ほら、口、アーンして」
「・・・」
 耳元で囁かれる暗示の言葉に逆らえず、私は口を少しだけ開ける。晃の指が私の口の中、頬の内側や舌の表面を撫でる。甘美な快感が口から頭にかけて広がっていく。
「口の中、触られるの気持ち良いでしょ・・・自分から動かすともっと気持ち良くなれるよ。逝っちゃうくらい気持ち良いよ・・・さあ、僕の指に舌絡ませて」
「・・・(ウッ)・・・」
 晃の指に舌を絡ませた瞬間、頭の中で光がはじけた。口の中がこんなに感じるとは・・・、予想外の快感。
 体から力が抜け、完全に晃にもたれ掛かる。顎が上がり、力なく後ろにのけぞっている。腕からも力が抜け、だらんと下に落ちる。
「ほら、こうすると気持ち良いでしょ」
「・・・」
 晃の指が私の舌を挟んだり、舌の裏側に潜ったりする。私も負けずに、晃の指に舌を押しつける。
 晃の唇や左手も休んでいない。私の耳やうなじを舐めたり撫でまわしている。右手はもう遠慮していない。左のおっぱいを愛撫している。
 足もゆっくりと上下し、私の体を上げ下げしている・・・これって、セックスをイメージした動きかも・・・。

「フェラチオって知ってるでしょ。今、茜が咥えているのは、僕のおちんちん。茜は今、僕のおちんちんをフェラチオしている」
 今まで指先を曲げたりして私の口を蹂躙していた晃の指が、今度は真っ直ぐ伸ばしたまま、ゆっくりと抜き差しされる。
「噛んだらダメだよ。舌で撫でつけるように、おちんちんを舐めて」
 言われるまま、晃のおちんちんを舐める。
「ほら、フェラチオしてると、ここにもおちんちんが入っているような気がするよ。僕のおちんちんが入ったり、抜けたりしている。とっても気持ちが良い」
 ここと言うのと同時に、スカートの上からおへその下当たりを軽く二回叩かれる。場所はそれなりに違うが、どこを指しているのかは分かる。
 体の中に何かが入ってくる。今までオナニーで、入り口に少しだけ入れたこともある。その時の快感が何倍にもなって蘇る。
「茜の中で、僕のおちんちんが動いてる。おなかの中で、僕のおちんちんが暴れている。今、僕と茜はセックスしている」
 アソコから頭にかけて、快感が稲妻のように駆け上る。

・・・晃のおちんちんが入っている・・・晃とセックスしている。

 そう考えるだけで、体がキューっとしびれる。逝っちゃった。逝かされちゃった。体、特に下半身がビクビクと小さく痙攣を繰り返す。
 晃にも私が逝ったのが分かってるはずなのに・・・、まだ許してくれない。

「女の子は、何度でも逝けるんだよ。ほら、また気持ち良くなってきた」
 少し、ほんの少し休ませてくれただけで、指・・・おちんちんが抜き差しされる。
 右手は左右のおっぱいや、鎖骨、おへその辺りなど、体のいたるところを撫で回す。それがまた、気持ち良い。
 服越しなのがもどかしい。ブラウスの上にトレーナを着ている自分が恨めしい。力を振り絞り、晃の腕を掴む。
「・・・あっ・・・」
 晃が小さな声を上げ、全ての動きを止めた。
「・・・(そうじゃないの)・・・」
 私はしゃべれないので、動作で示す。晃の腕をトレーナの中に入れる。そして、動きの止まった晃のおちんちんに舌をはわす。
「・・・いいの?・・・」
「・・・(コクン)・・・」
 私が頷くと、晃の動きが再開した。トレーナの下には薄手のブラウスを着ているが、トレーナ越しより遥に強く晃を感じる。
 私は晃の腕を掴んでいるが、これは拒絶の意味じゃない。何かを掴んでいないと、どこかに飛ばされそうな不安があったからだ。

「・・・茜、気持ち良い・・・?」
「・・・(コクン)・・・」
 晃はトレーナの中で、器用にブラウスのボタンを外すと、直接私の肌に触れてきた。おっぱいの下を撫でまわされた。
 口には親指も入っていて、三本の指で舌を挟んで揉んだり撫でたりしている。
「僕の指は魔法の指、触っているところから、快感が広がる。僕が撫でるたびに気持ち良くなる。快感が体中に広がる」
 晃の指がとうとうブラを押し上げる。乳房全体を優しく揉みしだく。時々、硬くなったおっぱいの先っぽも指の腹でなでる。手のひら全体で乳房を揉みながら、指先で先っぽを挟んだり撫でたりする。
「今から、五つ数えると、茜は逝ってしまう。今まで感じた事がないほど気持ち良く逝ってしまう。一つ・・・二つ・・・三つ・・・」
 数が増えるたび、おっぱいの先っぽにかかる力が強くなる。舌を挟んでいる指にも力が入ってくる。
「・・・四つ・・・五つ。はい!」
「・・・(あーーー)・・・」
 おっぱいの先っぽと、舌が今までになく強くつままれた。体が弓なりにのけぞり、フラッシュが焚かれたように目の前に火花が散った。晃の腕を掴んでいる手に力が入る。口に晃の指が入っていなければ、大声で叫んでいただろう。





★★★★★★★★★★★★




 もしかしたら失神していたのかもしれない。気が付けば、晃の膝の上でなくベットに横たわっていた。ティッシュで口の周りがぬぐわれている。

「今から10数えると、茜は催眠から覚めます。催眠から気持ち良く目覚めます。一つ・・・二つ・・・三つ・・・意識が少しハッキリしてきた・・・四つ・・・五つ・・・徐々に手足に力が戻ってきた・・・六つ・・・七つ・・・意識はもうハッキリしてます・・・八つ・・・手足に力が行き渡っている・・・九つ・・・次で完全に催眠が解ける・・・十。はい(パン)。茜は催眠から覚めました」
 手を叩いた大きな音で、催眠から覚めた。

「・・・気分、どう・・・?」
「・・・」
「・・・どこか痛いところある・・・?」
「・・・」
「・・・怒ってる・・・よね・・・?」
「・・・」
 横を見ると、晃は正座して、申し訳なさそうな顔をしている。

「・・・ちっちゅ・・・」
 ティッシュと言ったつもりだけど、思ったより発音が良くない。でも通じたようで、ティッシュが差し出される。そのまま黙って、口の中にたまった唾を吐き出し、口の周りを拭きなおした。
「・・・ウェットティッシュ・・・」
 上半身を起こして、次の貢物を要求する。ブラがずれたままだけど、後で直す事にする。ウェットティッシュで耳やうなじとか、晃が舐めたところを拭う。
 立ち上がろうとして、ちょっと膝に力を入れたトコロで、下着の異常に気がついた。私がよろけたと思ったのか、晃が手を貸そうとするがそれを無視する。
「・・・あっち、向いてて・・・こっち絶対見たらダメ・・・」
 晃が部屋の隅っこを向いたのを確認して、ブラを手早く直す。ブラウスのボタンも掛ける。手早くスカートの中に手を入れ、状態を確認する。ティッシュで拭いたぐらいでは、ショーツは本来の役目を果たさなそうなので着替える事にした。
「・・・こっち、見ちゃダメ・・・そのまま、私が戻るまで待ってって・・・」
 濡れたショーツを庇って歩く姿を見られたくなくて、捨て台詞を残して隣の部屋に逃げ込む。

 隣りの部屋、本来は空き部屋だけど、ここのタンスには季節外れの服に紛れて、私の服や下着、生理用品も隠してある。一応、鍵付きの引き出しに。
 これは、今日みたいなHな目的でなく、掃除で汚れたり汗をかき過ぎた時に着替えるためだ。御子神家の衣替えは私が行なっているから、見付かっていないと思う。

「・・・こりゃ、すごい・・・」
 他人事のように独り言をごちる。ショーツはおしっこを漏らしたように濡れている。スカートも気になったので見てみたら、ショーツほどじゃないけど濡れている。ブラウスやトレーナも汗を吸って、湿った感じが気持ち悪い。
 思い切って、ブラも含め全て着替えることにした。部屋には鍵をかけているし、晃の部屋の開く音もしないから大丈夫だろう。
 服を脱いで・・・部屋の姿見に全身を映した。他人の家・・・晃の家でも、お風呂以外で全裸になったことはない。
 体全体が桜色に染まってエッチィ感じだ。頬も朱色で色っぽい。おっぱいの先っぽがまだ硬いのが鏡越しでも分かる。乳房はまだ硬い感じがするが、全体としては形が良いと自分では思っている。胸を上げて寄せてしてみる。
 よしよし・・・何を誉めているのか分からないが、なんとなく笑みが浮かんでくる。
 自分が意味もない事をしているのに気付いた。手早くタオルで全身の汗を拭いて、出してきた服を着る。念の為に、ナプキンも付けておく。鏡の前で、服におかしいところがないか確認して、部屋を出る。そのまま晃の部屋に戻らず、一階の洗面所に向かう。着替えた服と下着を洗濯機に放りこみ、全自動のボタンを押す。
 冷たい水で手と顔を洗う。ほっぺを叩き、顔を引き締める。

・・・さあ、目指すは決戦の場所!





★★★★★★★★★★★★




 晃の部屋の入る前に、深呼吸をして緊張を解く。
・・・とんとん・・・。
「はい」
 一応、ノックしてから入る。晃は私が出ていく前のまま・・・部屋の隅っこを向いて正座した待っていた。
「晃、ココに座って・・・」
 私はベットに腰掛け、その横に座るように晃に声を掛ける。晃はうなだれたまま、私の横に座る。
「・・・ばか・・・」
「ごめん」
 まずは私が怒っている事を伝える。晃は素直に謝る。どっちも、顔を合わせられなくて、下を向いている。

「・・・手、だして・・・ソッチじゃない、左手」
 差し出された晃の左手を、ウェットティッシュで拭く。私がこの手を舐めまわしていたのだから、自分できれいにしないと気が済まない。既にティッシュか何かで拭いたのか、濡れてはいなかったけど。
「・・・こんなの舐めさせられるって、聞いてない・・・」
「ごめん」
「今度、右手・・・」
 別に汚れてないけど、晃の右手もウェットティッシュで拭いておく。
「・・・おっぱい、触って良いなんて、言ってない・・・」
「ごめんなさい」
 ホントは私が触って欲しくて、押しつけたんだけど・・・。それを言い訳にしない晃が可愛かった。もしそれを言い出せば、こっそりわき腹の方からおずおずと触っていたことを責めるつもりだったけど。

「・・・怒ってるんじゃない。先に言って欲しかった」
「・・・」
「次から、触る前に断ってね」
「・・・あ・・・」
 今、拭き終わったばかりの指にキスをしたら、晃が短い声を上げた。なんか、それもおかしくて自然と笑みがこぼれる。
「もっかい、座らせて・・・」
「??」
 晃が何を言われたのか分からないって顔をしている。私はそれ以上説明せず、黙って立ち上がり晃の膝の上に腰を下ろす。
「さっきみたいに、だっこして・・・」
「・・・」
 始めに座らされた姿勢・・・横座りになり晃の体に抱きつく。晃も優しく、でも少し遠慮がちに抱きしめてくれる。

・・・やっぱり、気持ち良い・・・。

 さっきから、晃の膝を見ていると座りたくてたまらなかったのだ。座ってみたら、全身が幸福感で満たされる。ここは、私の・・・私だけの特等席。

「ごめん、後催眠のつもりじゃなかったけど、暗示残ってたら・・・」
「やだ!」
 たぶん『残ってたら解く』と言いたかったのだろうけど、間髪入れず拒否した。こんな幸福をわざわざなくすなんて、もったいない。
「でも・・・」
「や〜だ。晃は黙って、私を座らせてたら良いの!」
 まだ何か言いそうなので、ぎゅって抱きついた。
「髪、撫でて・・・、背中ポンポンして・・・」
「・・・」
 晃は黙って私の言う通りにしてくれる。とっても落ち着いた気分で、気持ち良い。おでこを晃の胸に押しつけて、ぐりぐりする。
「・・・めいわく・・・?」
「ううん」
 晃の気持ちを無視してる事に気付いて、念の為に聞いてみる。迷惑と言われても、立ちあがる気はなかったけど。

「・・・さっき、可愛い下着じゃなかったから・・・」
「・・・」
 さっきまでスポーツブラだった。生地も厚いし、デザインセンスも悪い。どこまで晃に意味が通じたかわからないけど、どうせ触るなら可愛いブラを触って欲しかった。
 ブラウスのボタンを上から、三つほど外した。晃が見ているのか、うつむいている私には分からないけど、もし下を見ていたら、ブラウスの隙間から、ブラが覗けたと思う。
「・・・ちょっとだけね。指動かしちゃダメだから・・・」
「・・・」
 晃の腕を掴んで、ブラウスの中に導いた。晃は約束通り、指を動かさない。晃の指をブラ越しに感じたら、一瞬体が震えるような快感が走った。こちらの暗示も残っているみたい。
「はい。今日は、お・し・ま・い!」
 これ以上やってたら、もっと触って欲しくなりそうだったから、わざとおどけた調子で言い、立ちあがった。
 晃に見えないように後ろを向いたまま、急いでブラウスのボタンをかける。
「今日は、てんぷらだから・・・30分くらいしたら呼びに来る」
 捨て台詞のようにして、そのまま部屋を飛び出し、キッチンへと向かう。赤くなった顔を見られるのが嫌だから、振り向かない。





★★★★★★★★★★★★





「はい、もうこれ揚がってるよ。次、エビね、エビ」
「ほらウインナーって、焼くのと揚げるので味が全然違うでしょ」
「紫蘇(しそ)って香り良いでしょ。これで、油にも香り移って良い感じになるんだよ」
 いつもよりハイテンションの私。だってしゃべってないと恥ずかしいから。いつもより、晃は無口だけど気にしない。
 テーブルの上には、電気式のてんぷら鍋。パーティなどで揚げながら食べる為の鍋だ。我が家四人で囲むには小さいが、二人で食べるにはピッタリ。

・・・えへへ、新婚さんみたい。

 今日は・・・今日「も」だけど・・・晃のお父さんは、残業で遅いので二人で食卓を囲む。
 お皿に盛られた食事をするよりも、鍋や焼肉なんか作りながら食べてると、家族って感じがする。
 私の友達もたまに食材を持ち寄ってきて、四人でわいわい囲むのも楽しいけど、晃と二人っきりで食事するのが好き。今まで誰にも言ってないけど。
 いつもよりたっぷり食べて、おじさんの夕食分、それに明日お弁当に詰める分(朝から揚げるのは問題ないけど、油が冷めるのを待つ時間がない)を最後に揚げて、今日のてんぷらはおしまい。

 皿洗いを晃と一緒にし終えた頃、さっきの洗濯が終わった。御子神家の洗濯機は乾燥機能付きの最新式だから、こんなとき便利だと実感できる。
 晃をリビングに置いたまま、洗濯物を畳む。お母さんの追及を逃れるため、洗いあがった服に着替えなおして、今着てたのはまた鍵つきの引き出しに戻しておく。
 主人のいない晃の部屋に戻り、勉強道具をかき集め帰り支度をする。

「じゃあ、今日、これで帰る。明日も朝から来るからね。鍵、外から掛けとくから」
「・・・おー・・・」
 二階から降り、リビングの外から晃に声を掛けて、玄関に向かう。ちょっと晃の声が上ずっているように思えるけど、気にしない。
 食事を作る事もあって、御子神家の玄関の鍵は私も預かっている。だから、晃がいなくても自由に出入りできる。
 時間は、夜の八時。いつもとそれほど変わらない。我が家では、晃のところに九時くらいまでいても、何も言われない。それだけ、信用されている。





★★★★★★★★★★★★





「・・・最後は、ちょっとはじけ過ぎちゃったかもぉ・・・」
 素面(しらふ)の状態で、胸を触らせたのは、今から考えるとかなり恥ずかしい。今は自分のベットの中。時間は11時過ぎ。

・・・あれって、告白だよねぇ。

 晃が言った『男の子はねぇ、膝の上には、好きな女の子しか座らせないんだ』『だから、ココに座るのは茜だけ』『僕の膝の上は、茜しか座らせない』『ココは茜だけの特等席』。
 これだけ繰り返してるのに、告白じゃないんだったら、ショックかもォ。

・・・でも、暗示を与える為だけの言葉だったかも?

 女の子と違って、男は《狼》。好きでもない子とHなこと出来ちゃう《狼》。

・・・でも、晃は違う。《狼》なんかじゃない! 今までだって催眠術かけられてる時、何度でも襲うチャンスはあったはず! なのに、今まで襲う素振り(そぶり)すらなかった!

・・・晃は謝ってた。もしかして、好きでもない私に手をだしたのを反省して?

・・・あれは、素面の時に告白せず、催眠状態のときにしたのを反省してたんだ!

・・・でも、私って、一回、晃に振られてるしぃ・・・。

 どよーん。あの時のことを思い出したら、一気に落ち込んだ。

 私の初恋は、晃だ。小さい頃は、兄弟になりたいと思っていた。でも、男の子と女の子の違いを意識しだした頃には、私には晃しかいないと分かった。兄弟でなくて、良かったと実感していた。
 私は去年、中学一年のバレンタインの時、告白して断られた。勇気をだして、チョコに『恋人にしてください』って書いて贈ったのに無視された。一応、ホワイトデーまで待ったけど、何も返答はなかった。
 晃は私とそう言う関係になるより、今までの兄弟のような関係を望んでいる。そう考えたから、ホワイトデーの翌日からは、友達には『晃は友達以上、兄弟未満』と公言し、晃には何かにつけ『私たち、兄弟だよね』と言っていた。
 そして、私は自分の思いにフタをした。もう一度告白して、今の関係すらなくすのが怖かったから。他人を騙したように、自分も騙し続けてきた。

・・・でも、一時の気の迷いだったとしても、私に手を出したんだから・・・責任取ってもらう。付き合ってもらう!!

 晃がどう考えているのか想像しても分からない。だから、自分の好きって言う思いと、晃が手をだした『既成事実』だけを考えて、そう結論づけた。

・・・でも、でも・・・、きちんと言って欲しい。きちんと「好き」だって。きちんと「付き合ってください」って!

 付き合うのには、絶対、晃から告白させる。私は一回振られたんだから、私から「好き」とか「付き合って」なんて言いたくない。固い決意をして、私は眠りについた。





★★★★★★★★★★★★





 朝、いつもより30分も早く目が覚めた。まだ六時だ。ちょっと早いけど、朝食とお弁当を作りに晃のところに行く事にした。今までだって、この時間にお邪魔したことは何度もある。別にお母さんや、おじさんや怪しまれる事はない。
 いつものように、パジャマの上からジャージを着る。ズボンもパジャマの上から重ね着だ。色っぽくないけど、これで良い。パジャマとカーディガンだと万一、通行人に見られたら恥ずかしい。中学の制服だと油っぽい匂いが移るのが嫌だ。

・・・とん、とん、とん・・・じゅーじゅー・・・ちーん。

 今日は包丁運びも順調だ。お弁当が完成した。いつもより見栄え良く出来て95点。満足の良く出来だ。お弁当は、私が持って歩く。いつも昼食時に、晃の机に持っていくのが私の役目。二人分のお弁当を巾着に入れて、朝食の用意。
 御子神家の朝は、パン食。パン食でも飲むのは味噌汁。コーヒーは食後に飲む。これが御子神家のルール。
 味噌汁が出来たトコロで、晃を起こしに行く。おじさんはフレックス(時差出勤)。夜遅い代りに、朝はゆっくり。家を出る前に晃が声を掛けるらしい。目覚ましもあるから、晃が起こし忘れても問題ない。だから私が起こすのは晃だけ。

「晃、起きてる?」
「・・・」
 一応、部屋の外から声を掛ける。でも返事がないのはいつもの事だ。一応、もう一度声を掛けてからドアを開ける。
「・・・zzz・・・」
 やっぱり寝ている。晃は寝起きが悪い。揺さぶってもなかなか起きない日が多い。起きてもそのまま二度寝しちゃうこともある。
 寝顔を少し眺めてから、イタズラ心が湧きあがった。ジャージを脱ぎ、パジャマ姿で晃のベットに潜り込む。
「・・・えへへ・・・」
 自然と笑ってしまう。晃に向かい合う。私は眠る時はブラをしない主義。育ち盛りはブラをしないほうが、夜に胸が育つと噂で聞いたから。

・・・えへへ、サービス、サービス・・・。

 ぎゅっと抱き着いて晃を起こそう。晃が目覚めた時、どんな顔をするか・・・考えただけで笑えてくる。いざ、晃を起こすため抱きついた時、思わず叫びそうになった。

・・・たっ、立ってるぅ・・・。立ってる。

 男の生理をすっかり忘れていた。男の人って、アサダチしちゃうんだった。晃の元気な「男の子」が私のおなかに当っている。
 晃を起こさないように、ゆっくり、ゆっくりベットからでると、急いでジャージを着る。
 顔を近づけてまだ晃が起きていないのを確認して、改めて晃を起こす。
「晃、朝だよ。朝。おはよー」
 何度か揺さぶって、声を掛けて・・・最後に布団を胸までめくったら、ようやく目覚めた。
「ごはんできてるから、早く降りてきてね」
「・・・うん・・・」
 晃の顔を見るのが怖くて、急いでキッチンに向かう。顔が赤くなっているのを見られていないことを、神さまに祈る。
 キッチンに戻り深呼吸を繰り返す。顔に手を当て、ほてりが静まるのを待つ。

「おはよう。あのー昨日の事なんだけど・・・」
「・・・嬉しかった・・・」
 晃が何を言うつもりか分からないけど、先に私の気持ちを伝える。もちろん「嬉しい」のは「あれ」が晃からの告白で、その告白への返事のつもり。
「・・・いや・・・その・・・」
「でも、順番は守って欲しい」
 そう、きちんと「好きです」「付き合ってください」の言葉が欲しい。
 私の頭には、「昨日の事は一時の気の迷いでした」なんて、悲しい結末は用意されていない。晃には、そんなことは絶対言わせない。
「さ、ちゃっちゃと食べちゃって。話しはまた放課後でね」
「・・・」
 朝の慌しいときに、告白なんて聞きたくない。晃の返事を待たず、先に食べ終わった私は、制服に着替えるため、一度家に戻る。





★★★★★★★★★★★★





 登校はいつも一緒。先に着替え終わった方が、相手の家の前で待ってそのまま学校に向かう。
 道すがら、私はまたハイテンションになってきた。気恥ずかしさを隠すために。しゃべってないと恥ずかしさがこみ上げてくるからだ。
 TVの事や勉強の事とか、取り止めのない話しをする。今日も晃は少し無口。でも気にしない。
 教室に入っても、ハイテンションは変わらない。しゃべる相手が、トッコや霞ちゃんに替わっただけだ。
 トッコと言うのは「佐伯 塔子(さえき とうこ)」さんのニックネーム。進んで学級委員をするほど面倒見が良いが、その一方でイタズラ好き。私を「通い妻」と言い出したのも彼女。彼女のイタズラは、人を傷つけない。被害者?でさえ明るく笑うので、彼女を悪く言う人はいない。
 霞ちゃんは「井上 霞(いのうえ かすみ)」さん。霞ちゃんは天然少女。その天然のボケで、いつも回りを明るくする。去年と一昨年は、上級生女子の「妹にしたい女の子」と「ペットにしたい女の子」投票で、ダントツトップだったのは有名な話し。
 どちらも私の大事な親友。

「・・・茜ぇ、なんか良い事あったの? あっ、もしかして・・・『誰か』・・・から、告られた?」
 ハイテンションな私に、トッコが鋭い質問をする。『誰か』と言うときには、晃の方に顔を向ける。視線を向けるなんて生易しいものでなく、遠くから見ても分かるように顔ごと向ける。これがトッコ流のイタズラ。私たち三人のほかに、誰にも聞こえないように声をひそめているのも、トッコ流の心遣い。
 私の顔が一気に赤くなったのを見て、ニヤリと笑う。100%ばれただろう。
「茜チン、ホント? 誰? だれ?」
 霞ちゃんは、トッコのイタズラに心底気付いていない。これが天然少女たる由縁だ。トッコのみならずクラスの女子全員・・・たぶん男子も・・・私と晃の関係を怪しんでいるのは周知の事実なのに、それさえ想像できないようだ。私の顔が赤いのに気が付いているかどうかも、怪しい。
「誰って、あんたねぇ、茜に御子くん以外の誰が告るの?」
 トッコはさっきより小さな声で、霞ちゃんのボケに突っ込む。
 晃を「御子神くん」でなく「御子くん」と呼ぶのは、トッコと霞ちゃんくらい。二人は私と一緒のときに、何度も晃の家に遊びに行っている仲だ。
「・・・なんで、そんなの嬉しいの・・・?」
「「??」」
 トッコは、わけの分からない顔をする。もちろん、私もわけが分からない。
「だって、茜チンと御子くん、夫婦なんでしょ。夫婦なのに、告白されて嬉しいの? 夫婦なのに、また付き合いだすの? 恋人に戻るの?」
 トッコと私の時間が止まる。

・・・さすがは、天然少女。目の付け所がチガイマス。

 トッコは小さな声で、中学生はまだ結婚できないとか、「まだ」二人は付き合っていないとか、いろいろ説明してくれている。
 霞ちゃんは、「へぇ」とか「知らなかったよぉ」とか、一応理解しているようだけど。

 私が固まっているうちにチャイムが鳴った。
「・・・付き合い出したら、きちんと教えてね。みんなに内緒にするんだったら、誰にも言わないから」
「霞ちゃんも、茜がきちんと言うまで、誰にも言っちゃダメよ。もう今日は、この話題はなしね」
 トッコは私と霞ちゃんに声を掛けると、さっさと自分の席に戻る。霞ちゃんは天然だけど、この類の約束は絶対破らない。天然なのに、うっかり口を滑らすようなミスもしない。だから、トッコも霞ちゃんも、みんなに愛されてる。
 私は「ありがとう。その内ね」と答えるのが精一杯だった。

 約束通り、その日はトッコと霞ちゃんから、その類の話題は出なかった。他のクラスメートが恋愛関係の話題・・・どこのクラスの誰と誰が付き合いだしたとか・・・をしたら、それとなく話題を逸らせる二人の心遣いが嬉しかった。
 ただでさえ挙動不審な言動をしているのに、そんな話題が出たら自分でぼろを出すのが目に見えていたから。
 トッコたちのお陰で、無事、帰宅できた。今日は晃が掃除当番なので下校は別々。





★★★★★★★★★★★★





 家に戻って、私は洋服タンスを引っ掻き回す。俗に言う『勝負服』と・・・『勝負下着』を選ぶために。
 あまりにも『勝負服』があからさま過ぎたら、お母さんにばれてしまう。かと言って、昨日みたいなダサダサなのは、晃に失礼だ。
 結局、この間、みんな・・・私たち二人と、トッコ、霞ちゃん・・・で遊園地に行ったときに、晃が可愛いと誉めてくれたブラウスにカーディガン、それに薄ピンクのミニスカート。トッコたちにも、受けが良かった組合せだ。
 『勝負下着』は・・・、今日、必要か分からないけど、万が一って事があるから・・・。「いっそノーブラで!!」と考えたのは、誰にも言えない秘密・・・。
 こちらは、上下ペアのブルーの下着を選んだ。ブラはフロントホック。私が持っている数少ない勝負下着。三年にあがる直前に、親戚のお姉さんがいくつか買ってくれたモノの一つ。黒いレースのショーツもあるけど、これは一生付けないかもしれない。
 部屋を出る時、カレンダーを見て・・・『今日は安全日』・・・と考えて、一人赤くなったのも乙女の秘密・・・。





★★★★★★★★★★★★





 晃の家に着いたら、まだ晃は帰ってきていない。
 晃のベットのシーツを代え、パジャマも洗濯機に入れる。ついでにおじさんのシーツとパジャマも。
 他の汚れ物も一緒に洗濯機にいれて、全自動のボタンを押す。あとは乾燥まで全自動。部屋の掃除は昨日したばかりで、今日はする必要はない。
 夕飯の買出しは、昨日纏め買いしているので問題ない。今日のメニューはリッチに焼肉だ。お米を研いでタイマーを仕掛け、野菜を手ごろな大きさに切っておく。下準備は、これくらいしかない。
 する事がなくなったら・・・元々少なかったけど、一気に不安になる。晃の部屋で意味もなく、うろうろしてみる。

・・・がちゃ・・・とん、とん、とん・・・。

 玄関の鍵を開ける音がした。晃が帰って来た。階段を登ってくる足音がする。
「お帰りなさい」
「・・・ただ今・・・」
 極力平静をよそおう。晃は少し思いつめた顔をしている。
「あっ、着替えるよね。隣りの部屋にいるから」
「・・・うん・・・」
 一先ず、隣りの部屋に逃げ込む。しばらくして、隣りから壁を叩く音が聞こえる。いつもの着替え終わった合図だ。
 晃の部屋に戻ると、晃は正座して私を待っていた。
「茜ちゃん、話しがある」
「・・・」
 晃の向かいに座った。茜ちゃんと呼ばれるのは久しぶり。
「昨日一晩考えたんだけど・・・」
 私は無言のまま。恥ずかしくて、晃の顔を見れなくて俯いた。
「昨日の催眠で、茜ちゃんに・・・あの、悪気はなかったんだけど・・・僕が好きになるような暗示を繰り返し掛けていたんだ・・・。だから、それを解きたい」
 それって『昨日のは一時の血の迷いだった』『なかった事にしてくれ』って事よね?
 私はそれを確認するのが怖くて、別の聞き方をした。

「・・・晃、好きな子いるの・・・?」
「うん、いる」
 間髪を入れない返答。心臓を氷の手で、握りつぶさた思い。そーよね。好きな子がいるなら、私が恋人面するのは迷惑だよね。
「・・・どんな子? 告ったの・・・?」
「とっても可愛い子。仲が良いんだけど、その子、僕の事は友達以上に思ってないって、みんなの前で言ってる・・・。バレンタインだって、義理チョコしかくれない。だから、気まずくなるのが怖くて告れない」
 前半のセリフを聞いて一瞬、私の事かと思ったけど・・・私は本命チョコを贈ってる。晃の思い人は私じゃない・・・。
 晃にそんなに親しい女の子がいるなんて、知らなかった。晃の全てを知ってるつもりだったのに・・・二重の意味で、悲しくなった。
「・・・その子のこと、いつから好きだったの・・・?」
「ずっと前から好きだった。中学に入ってすぐに、友達の好きじゃなくて、男女の好きだって気が付いた」
 それで、一年の時に私が贈った本命チョコ無視したのね。無視して、私との友情を壊さないようにしてくれたのね。

・・・失恋決定・・・今日、着飾ってきた私、バカみたい。

「その子と、うまく行くと良いね」
 そう言うのが精一杯。『既成事実』を盾に、強引に付き合ってとは言い出せない。あまりのショックに、涙もでない。

「茜ちゃんは、好きな子いるの?」
「・・・うん、いる・・・」
 晃は、私の思いを暗示と思い込んでいる。それに合わせないと、惨め過ぎる。私にだってプライドがある。二回も同じ相手に失恋したなんて、知られたくない。
「どんな子?」
「・・・私の片思い。彼には、好きな子がいるから・・・」
「・・・茜ちゃんも、うまく行けば良いね・・・」
 首を強く振る。
「ううん、彼が好きな子と幸せになって欲しい。彼が幸せになって欲しい」
 これは本心。私が『うまく行く』のは、晃が失恋すると言う事。そんなの嫌。晃には幸せになって欲しい。
「・・・茜ちゃん、優しいね・・・」
 私の言いたい事が分かったのか、優しい言葉を掛けてくれる。でも晃は、私の言う『彼』が自分の事だとは気付いていない。

「じゃあ、暗示解くね」
「・・・待って!!」
 私は今、重大な決心をした。一生のうち一度しかできない決心を。
 産まれてから14年、もうすぐ15年になる晃への思いを、断ち切るだけの思い出が欲しい。
「ごめん、もっかい。昨日のHなやつして・・・へへ・・・、ちょっと病み付きになっちゃった。今日で最後にするから。ねっお願い」
「・・・」
 私はできるだけ明るい表情をして、晃にお願いする。Hな子って思われたって構わない。晃を諦めるため『最後のお願い』を聞いて欲しい。叶えて欲しい。でも今、頼んでいるのが『最後のお願い』ではない。『最後のお願い』は、これと別の事。
「ねっ、お願い。お願いしま〜す。誰にも、秘密にするから〜。あっ、晃の好きな人にも秘密にする。お墓に入るまで誰にも言わないから。お願い」
 わざとおどけて晃にお願いする。ここで拒否されたら、救いようがない。
「今の茜ちゃんの気持ち、暗示のせいだって分かってる?」
「・・・うん。昨日の気持ち良かったもん、暗示解く前に、もっかいだけ・・・」
 晃は、私が暗示のせいでおかしくなっていると信じている。それでも良いから、催眠をかけてもらいたい。

「うん、分かった。昨日と・・・同じで良い?」
 晃が折れてくれた。言うなれば晃も《狼》だったわけだけど、それでも構わない。晃が私の事を只の幼馴染って思ってくれているだけでも良い。
 明日から、気まずくなったって構わない。私は一生の記念に残る、思い出が欲しい。
「ううん、違う・・・。感じるような暗示与えたら、すぐに催眠といて欲しいの・・・。暗示かかったまま、Hな事したい・・・。だめ?」
 これって、催眠に関係なく「Hな事したい=ペッティングしたい」ってことなんだけど、晃に分かっただろうか。ホントはペッティングじゃないんだけど・・・。
「・・・ん、分かった・・・」
 晃がちょっと戸惑った顔をしてるけど、了解してくれた。

「でも、催眠解く前に、僕のほうからHなことして良い・・・?」
 驚いた。心底驚いた。さっきまで、晃は私の事を気遣ってか、Hな事に消極的だったのに・・・。
「・・・うん、良いよ。最初から、おっぱい触って良いよ。晃さえ良かったら、キスしても良いよ」
 勇気をだして言ってみた。ホントは『しても良いよ』じゃなくて『して欲しい』なんだけど、あんまり言うと、晃に警戒されそうで怖い。だって、催眠を解いてもらったら・・・『最後のお願い』を聞いてもらうつもりだから、今から警戒されて逃げられたら困る。
「・・・もっと、したい。ダメ・・・?」
 今度こそ、飛びあがりそうなほど驚いた。晃の声も震えている。
「・・・服、脱がせても良いよ・・・最後まではダメだけど、それ以外だったら、何でもして良いよ」
 答える私の声も震えている。最後の最後はダメだけど、それ以外なら・・・。晃なら何をされても許せる。ううん、して欲しい・・・。
 どうして、晃の気が変わったのか分からないけど、また気が変わらないうちに、催眠をかけてもらうことにした。

「晃の膝の上に座らせて、そこでかけて」
「・・・分かった」
 晃はベットに腰掛ける。私は、カーディガンを脱いで、ブラウスのボタンを上の二つ外す。こっそりスカートのホックも外しておく。
 晃の膝の上に座れるのは今日が最後。ううん、明日からは、晃の家に来る事もないかもしれない・・・。
 私が『最後のお願い』をしたら・・・、それに応えてくれても、応えてくれなくとも気まずくなってここには来れなくなる。そう考えると悲しい気分でいっぱいになる。
 悲しい顔を見られないように俯いたまま、私の特等席・・・晃の膝の上に横座りする。晃の体に軽く抱きついて、おでこを晃の胸に擦りつける。私を包むように、晃も抱きしめてくれる。
 するとこんな時でも後催眠が効いて、悲しい気分が薄らいでいく。幸福感が広がってくる。

・・・やっぱり、晃が好き。

「茜ちゃん、僕の目をじっと見て・・・」
「・・・」
 斜め上から晃の声がするのに気付いて顔を上げる。晃が私の目を覗きこんでいる。
 瞳を見詰める凝視法。これは短時間で深くかかるので私は好き。晃の瞳は少し潤んでいるけど、真剣そのもの。晃の瞳から目が離せない。
「目を見詰めていると、僕の目に吸いこまれるような気がするよ・・・僕の目に吸いこまれる」
「・・・」
「どんどん、僕の目に吸いこまれる。ほら、目を開けているのが辛くなってきた。目を開けているのが辛い。まぶたが重くなって、もう目を開けていられない」
 特等席に座っているせいか、効き目が早い。あっと言う間に催眠状態に陥った。体全体から力が抜けるのが分かる。

「今、茜は深い催眠状態になった。こうやって体がゆれると、どんどん体から力が抜けてくる。体の力が抜けると、もっと催眠が深くなる」
 晃にだっこされたまま、体が前後左右にゆっくり揺れる。雲の上を歩いているなんて感じじゃない。天国に登っている気分。今までかかった催眠の中で、最高に気持ちが良い。

「茜、ゆっくり目を開けて。僕の指を見詰めて」
 ゆっくり目を開けると、晃の指が二本、目の前にあった。左手の人差し指と中指がある。
「ほら、僕の指先が光って見えてくるよ。僕の指先が、ピンク色の光に包まれるよ。ほら、指先が光ってるのが分かるでしょ?」
・・・コクン・・・。
「ピンク色の光って、どんなのか覚えてる?」
・・・コクン・・・。
「ピンク色の光は魔法の指、この指で触ったところは、とっても感じやすくなる。触ったところが、茜の性感帯になる」
「・・・あっ・・・」
 晃の指が、私の右耳に触れた。その瞬間、体に電気が走る。
「僕が触れば触るほど、気持ち良くなる・・・。ほら、茜の耳は完全に性感帯になったよ」
「・・・あっ、あっ、あん・・・」
 耳を撫でられるたび、声が漏れる。左耳も撫でられる。右耳は晃が唇で、甘噛みしてくれる。

「女の子は口の中だって、性感帯・・・。ほら、気持ち良いでしょ」
 耳元で囁きながら、晃の指が私の唇を優しく撫でている。私はたまらず、指を咥える。昨日の暗示の言葉が蘇る。今咥えているのは、晃の指でなく、晃のおちんちん・・・。私は夢中で舌を絡ませる。
「服、脱がすね」
 私の口から、指が引きぬかれた。少し惜しい気がして、抜かれた指を追い掛けてしまう。でも、晃の指は再び私の口に戻ることなく、ブラウスのボタンを外しだした。その指の動きをずっと見続ける。
「・・・服、脱いで・・・」
 ボタンが全て外され裾がスカートから引きぬかれる。晃に手伝ってもらいながら、ブラウスを脱いだ。
「可愛いブラだね」
 ブラウスをベットの下に落とすと、最初にブラを誉めてくれる。それだけで、すごく嬉しい。
「キス・・・して良い?」
・・・コクン・・・。
 優しく抱きしめられながらの、触れるだけのキス。私のファーストキスは、幼稚園の時、もちろん相手は晃。でも、年頃になってからのキスはこれが初めて・・・。胸に甘い感動が広がる。
 何度か啄ばむようなキスを繰り返したあと、舌が入ってきた。晃の舌に私の舌を絡ませる。甘い感動が、甘い快感に変わる。キスの最中、晃の左手は私の頭を優しく撫で続ける。

「ここも、感じやすくなる」
 キスをたっぷり楽しんだ後、首筋から鎖骨にかけ優しく撫でられる。ブラの肩紐に沿って、徐々に指が下に降りてくる。ブラの縁をなぞるように、おっぱいの周りを何度も撫でられる。
 ブラのフロントホックが外され、おっぱいが露(あらわ)になる。晃に見られるのは初めて。私は思わず、身を硬くして手で隠してしまう。
「茜のおっぱいは、僕のもの。僕以外の男の子に見せる事は恥ずかしい。でも、僕に見せるのは恥ずかしくない」
 私の心から、隠そうと言う意思はなくなった。体から力が抜け、腕も下に落ちる。
「僕がキスするところが、茜の性感帯になる」
「・・・んっ・・・」
 晃が背中を少し丸め、おっぱいの先っぽにキスをしてくれる。その瞬間、全身に電気が走った。私は何かに掴まりたくて、晃の頭を抱えて胸に押しつける。
「茜のおっぱいは、もっと感じやすくなる。僕に触られると、もっと感じる」
「・・・あっ・・・ん・・・あん・・・」
 晃は私のおっぱい全体を撫でたり、キスしたり甘噛みする。その度に私の口からは快感の声が漏れる。おっぱいの先っぽが、これまで感じた事もないほど硬くなっている。
「今から五つ数えると、茜は逝ってしまう。逝くと茜のおっぱいは、完全に僕のものになる。僕以外の男の子には感じないおっぱいになる」
 それって??
 私が考えをめぐらせる暇もなく、晃は左手と唇で、おっぱいの先っぽを強く刺激してくる。私の背中に回っている晃の右手も、わき腹を越えておっぱいの脇の方に参戦している。
「・・・一つ・・・二つ・・・三つ・・・四つ・・・五つ。はい!」
「・・・あっ、うん・・・あっ、あっ、あーー!!」
 『五つ』の声と共に、おっぱいの先っぽをつねられて、私は逝ってしまった。目の前に昨日よりも強い花火が光った。昨日より高い頂きに登りつめた。でも、昨日で馴れたのか、失神はしない。
「これで、茜のおっぱいは僕のもの。僕以外の男の子には感じない。これから一生、僕以外の男の子には感じない。その代わり、僕が触るといつでも今みたいに感じる事が出来る」
・・・コクン・・・。
 晃は優しく愛撫とキスを続けながら囁く。逝った直後の心地よい倦怠感の中、晃の言葉が心の中に染み渡る。

「腰、上げて」
 私が倦怠感から復活した頃、晃が言う。いつの間にかスカートのファスナーが下ろされ、脱がし始めていた。
 晃の膝の上で、もぞもぞと腰を上げると、晃がスカートを脱がしてくれる。
「可愛い下着。ブラとお揃い?」
・・・コクン・・・。晃が優しく頭を撫でながら囁き、私がうなずく。
「僕の為に付けて来てくれたの?」
・・・コクン・・・。
「ありがとう・・・。とっても似合うよ。可愛い」
 晃が唇や頬にキスをしながら、誉めてくれる。嬉しい・・・。
「茜のここも僕のもの。僕が触れば、とても感じる。とても気持ち良い。でも、僕以外の男の子には絶対感じない」
 始めはショーツ全体。そして、ショーツの上から、大事なところを上下になぞる。既に、昨日と比べ物にならないくらい濡れている。
「ここは僕のものだから、僕に見せるのは恥ずかしくない。僕に見せるだけで、気持ち良くなる」
「・・・あっ・・・はん・・・あん・・・」
 晃の左手がショーツの中に入ってきて、手のひら全体でなでる。割れ目を広げるように、二本の指が上下する。入り口にほんの少し指が挿し込まれ、感じるポッチも指の腹でくすぐられる。

「・・・あっ・・・」
 唐突に手が引きぬかれる。私はもっと触っていて欲しくて、抗議の声を上げるが無視された。
「ベットに座って・・・」
 私だけの『特等席』から降りるのは口惜しいが、体は勝手に動く。ベットに座ると、目の前に晃が立つ。
「脱がせて」
 私の手がゆっくりと、晃の服を脱がせていく。ベルトを外すとき手間取ったが、晃が手伝ってくれた。ジーパンと一緒に、晃の下着、トランクスも脱がす。目の前に、晃のおちんちんが現われる。想像より遥に大きい。朝、パジャマ越しに感じた時よりも大きい。文字通り、おへそにくっ付くほど元気が良い。
「僕のおちんちんは、今は僕のもの。でも、茜がキスすると、茜のものになる。茜は僕のおちんちんを自分のものにしたい。キスしたくなる」
「(ちゅ)」
 ためらう事なく、晃のおちんちんにキスをした。たったこれだけで、晃のおちんちんが私の物になった。喜びでいっぱいになった。
「これで、僕のおちんちんは茜のもの。もう、僕のおちんちんは茜以外の誰にも触れさせない」
 晃は屈んで、私の唇にキスをする。
「もう一度キスすると、茜の唇は僕のものになる。僕の唇は茜のものになる。茜は僕以外の男の子にはキスできない。僕も茜以外の女の子とキスできない」
 もう一度キス。晃が微笑む。私も微笑む。

「茜、立って・・・。僕の肩に掴まって・・・。右足上げて・・・。次、左足・・・」
 私が立ちあがると、晃がショーツを脱がせてくれる。私のアソコは晃のものだから、何も恥ずかしくない。
「ここは、僕のもの。僕以外の男の子には見せてはいけない」
 当たり前の事を言って、晃がアソコにキスをする。
「ここに座って」
 ベットの上を指しながら、私の手を引く。向かい合って、ベットの上に座る。晃は足を伸ばし、おちんちんを誇示するように後ろに手をついている。私は晃の足の間に女の子座りをする。
「フェラチオして・・・歯、立てちゃだめだよ」
 昨日、晃の指で練習したのでそんなミスはしない。晃のおちんちんを口に含むと不思議な味がした。でも嫌じゃない。だって、これは私の物なのだから。
「今、舐めているのは茜のもの。茜だけのもの。僕のおちんちんは、とても美味しい。僕のおちんちんを咥えているだけで、茜は幸せになれる。茜は気持ち良くなれる」
 私の拙い(つたない)テクニックで晃が満足するか分からないけど、精一杯頑張った。以前クラスの女子で回し読みしたレディースコミックのフェラチオ特集を思い出しながら、精一杯頑張った。
「茜、逝くよ。僕の赤ちゃんの素が出る。全部飲んで。僕のを飲むと、茜の体全部が僕のものになる。茜の体は全て僕のものになる・・・んっ・・・」
 口の中に甘露(かんろ)の味でいっぱいになる。頑張って全部飲み干す。
「・・・これで、茜の体は全部僕のもの。細胞一つ残らず全て。髪も、爪の先まで、全て僕のもの。一生、僕だけのもの・・・。茜、愛してる。一生、離さない」
 私の体を起こし、キスを繰り返しながら晃が囁く。髪や指先にもキスをする。
 晃が満足してくれた事、自分の体が晃のものになった事、晃に『愛してる』と初めて言われた事・・・全てが嬉しくて、心が喜びで満たされる。
 体が逝くのと違う・・・『心が逝く』・・・。心が逝かされてしまった。

「ここに横になって・・・」
 促されるまま、ベットに横たわる。晃が私の足の間に膝を進める。
「茜の体は、全て僕のもの。僕以外の男の子には感じない。でも僕が触れるだけで気持ち良い。こんなに気持ち良くなる・・・」
 唇から始まり・・・、首、胸、おなか、おへそと、キスの嵐を降らしながら、晃の体が下に向かう。
「・・・ここも僕のもの。僕だけのもの。僕が触れれば、それだけで気持ち良くなる」
 私のアソコにもキスをする。あふれ出た雫(しずく)を舐め取ってくれる。体中に快感が走る。
「今から、ここは痛みを感じない。僕が何をしても痛みは感じない。快感だけが支配する」
 大事なところに指を浅く挿し込みながら、晃が囁く。優しく指を抜き差ししながら、体を摺り付けつつずり上がってくる。
 晃の顔が私の顔と向かい合う。アソコに指と違う、燃えるように熱いものが当たっている。
「これから、茜の心も僕のものになる。僕が茜の中に入ると、茜の心も僕のものになる」
 アソコに何か大きなものが入ってくる気配がする。無意識に体に力が入る。
「・・・茜、愛してる。一生、茜を大事にする・・・」
 体から力が抜ける。その瞬間、何かが私の中で叫び声を上げた。痛みはないが何かが弾けた感覚が在った。
「分かる? 今、僕と茜は一つになった。体も心も一つになった」
 おなかの中に焼けるような、巨大な存在を感じる。心が充足感に満たされる。体も充足感に満たされる。

「茜の中、気持ち良いよ。茜は?」
「・・・熱い・・・。何か熱いものが入ってる!」
「こうすると、茜も気持ち良くなる。快感で頭の中がいっぱいになる」
「・・・あっ、あっ、あ・・・」
 晃が腰を動かすたび、おなかの中を何かが出入りする。その度に、例えようのない快感が込みあがる。
「茜は、僕以外の男の子では快感を得られない。でも、僕だとこんなに感じる。いくらでも気持ち良くなれる。何度でも逝ける」
「・・・あっ、あっ、あ・・・」
「茜、愛してる・・・。一生、離さない」
「・・・あっ・・・ふん・・・あん・・・」
 晃が動くたび・・・晃が『愛してる』と言うたび、声が漏れる。
「茜、逝くよ。僕の赤ちゃんの素が茜の中で弾ける。僕が逝くと、茜も逝く。茜の心は完全に僕のものになる・・・ふっ、うん!」
「・・・あっ! あっ! あっ! あーー!!」
 晃の私の中で逝ったのを感じた。何か熱いものが私の中に広がった。今まで感じたことのない快感の中、最高の気分で逝った。
「もう、茜は心も体も僕のもの。僕以外の男の子は好きにならない。僕だけが、茜の心を満たせる。もう僕から離れる事は出来ない」
 私を抱きしめ横になると、優しく背中を撫でながら暗示を与えつづける。

「今から10数えると、茜は催眠から覚めます。催眠から気持ち良く目覚めます。一つ・・・二つ・・・三つ・・・意識が少しハッキリしてきた・・・四つ・・・五つ・・・徐々に手足に力が戻ってきた・・・六つ・・・七つ・・・意識はもうハッキリしてます・・・八つ・・・手足に力が行き渡っている・・・九つ・・・次で完全に催眠が解ける・・・十。はい(パン)。茜は催眠から覚めました」
 手を叩いた大きな音で、催眠から覚めた。同時に強く抱きしめられた。





★★★★★★★★★★★★





「僕は、謝らない!!」
「・・・!!」
「暗示も絶対、解かない!!」
「・・・!!」
「茜は僕のもの。絶対手放さない!! 茜は僕と恋人になるしかない!!」
「・・・」
 晃は怒鳴るように、宣言する。抱きしめる手の力も一向に緩めない。

「・・・ダメ・・・離して・・・」
「・・・」
 私が弱々しく言うと、少しだけ手を緩めてくれた。緩んだ瞬間、私はその隙間に自分の腕を入れ、晃を押し離す。
「・・・晃が望むなら、セックスフレンドになっても良い。でも、恋人にはならない・・・明日からは、ご飯も作りに来ない。学校でもしゃべらない」
「・・・」
 晃の腕の力が、みるみる弱くなる。私は晃から離れ、後ろを向いて座る。
 私のことを心から愛してくれないんだったら、恋人になんかなれない。でも、私が晃を愛してるのも事実。
 晃が私の体を求めてるんだったら、セックスフレンドになっても良い。心が満たされなくても、体だけでも満たされたい。晃の心がなくても良い、晃の体から離れられない。

「茜の意思を無視してるのは分かる。でも、僕は茜が好き、愛してる。付き合って欲しい」
 晃も座りなおすのが気配でわかる。
「・・・ウソついちゃダメ・・・。さっき、晃、好きな人がいるって言ってた。それ、私じゃない・・・。うそうきの晃なんて、大っ嫌い!」
「ウソなんかじゃない。僕はずっと、ずーっと茜のこと好きだった。茜しか見てない!」
 晃の口先だけの告白なんて信じない。私にだってプライドが在る。愛されてないのに、愛してるなんて囁かれたくない。
「ウソ、ウソ、うそつき! 去年、一年の時から好きな子いるって言ってたじゃない!」
「だから、それ茜のこと!」
「うそつき。だって、一年の時、私のこと、振ったじゃない。勇気出して告白したのに、晃、振ったじゃない!」
「・・・!!」
 晃は、ぐうの音も出ない。

「・・・そんなの知らない。告白された覚えない。振った覚えもない」
「私、した。バレンタインで『恋人にして下さい』ってチョコに書いて渡した。でも、晃、返事くれなかった。教室で『好きでもない相手から本命チョコもらっても嬉しくない』って言ってた!!」
 直接渡すの恥ずかしくて、前の日の夕方、晃の机の中に隠しておいた。当日見つけてくれるか怖くて見てたけど、きちんと見つけてくれた。でも私のチョコ片手に、クラスの男子とそう話してたの聞こえてた。
「あれ・・・、茜がくれたの??」
「・・・!! ばっバカにして!! チョコの裏、見てないとでも言うの?」
「チョコの裏、溶けて読めなかった」
「・・・」
 チョコ持って歩く時、お弁当と一緒だったから・・・かな?

「・・・で、でも、晃にチョコ渡すの、私以外誰がいるの・・・?」
「・・・佐伯さんか、霞ちゃん・・・」
「!!」
 そ、そんなの聞いてない。トッコや霞ちゃんが晃に惚れてるなんて初めて聞いた。
「あの頃・・・秋頃から、二人に・・・主犯は佐伯さんだと思うけど・・・毎日のようにイタズラされてたんだ。『今まで友達だったけど、恋人にして下さい。どこそこに来てください』ってラブレター送ってきて・・・、そこに行ったら、佐伯さんと霞ちゃんが隠れてて、『誰が来るって思ってたの?』って・・・。あの二人には僕が茜に惚れてるってばれてたから・・・。だから、あのチョコも二人のうち、どっちかだと思ってた・・・」
「・・・そんな・・・、私からって思わなかったの?」
「あの頃、茜は僕のこと『幼馴染』って言ってたから・・・もしチョコに『幼馴染だったけど恋人にして』って書いてたら、茜だと思っただろうけど、『ともだちだった』って書いてあったから・・・思いつかなかった。それに毎年、手渡しでくれてたから・・・。チョコの裏も、イタズラだから、わざと読めないようにしてると思ってた」
 それは『幼馴染』って画数が多すぎて書けなかったの。それより平仮名で『ともだち』の方が書きやすかったから・・・。

「じゃあ、じゃあ・・・あの時、ちゃんと手渡ししてたらOKしてくれてたの?」
「うん。絶対」
「でも、でも・・・、晃から告白してくれたって良かったじゃない! 私ずっと待ってたのに!」
「・・・チョコも貰えなくて、皆の前で『友達以上、兄弟未満』って何度も言われてたのに・・・、告白して断られるの怖かった。振られて、今の関係が壊れるの怖かったから」
「・・・」
「せめてずっとそばに居たかった。幼馴染のままでも、兄弟でも良いから一緒に居たかった。だから、高校も同じとこ行こうとした」
「・・・高校のランク落としたの、私のため?」
「僕の最高の場所は、茜のそば。ランク落としてない。茜が女子高行かない限り、絶対一緒の高校受ける」
「・・・」
 いつの間にか、私たちは向かい合ってた。キスできるくらい、顔が近くにあった。顔が火照っている。自分でも、満面の笑みになってるのが分かる。

「もっかい、告白して」
「僕は・・・」
「まっ、待って・・・」
「?」
 私は黙った立ちあがった。今、産まれたままの姿だって分かってるけど恥ずかしくない。
「晃の膝の上で聞きたい」
「・・・」
 私の特等席に座って、晃に抱きついた。晃も優しく抱きしめてくれる。
「続き、聞かせて」
「・・・僕は茜の事が好き。愛してる。付き合ってください」
「ヤダ」
 晃の体が硬直するのが分かる。小さな声で「なんで」って呟くのが聞こえる。
「だって、晃、うそつきだから・・・。最後までしないでって言ったのに、しちゃったし」
「・・・ごめん・・・」
 晃がしてくれなかったら、私から強引に迫るつもりだった。私の『最後のお願い』は、『バージンもらって』だった。
「暗示解くなんて言っといて、もっと酷い暗示かけてるし」
「・・・ごめん・・・」
「反省してる?」
「・・・うん」
「一生、私のこと大事にしてくれる?」
「・・・うん」
 ちょっとずつ晃の体の力が抜けていく。でも、こんなもので許してあげない。

「今日、危ない日だから、赤ちゃんできたかも・・・どうしよう?」
 わざと、不安そうな声で尋ねる。
「・・・産んで欲しい。苦労するだろうけど、絶対、幸せにするから」
 御子神家は『苦労』してるけど『幸福』だ。晃のお母さんは亡くなって『悲しい』けど、お母さんが居ないのは『可哀想=不幸』じゃなくて『苦労』してるだけ。御子神家は幸福。だから『苦労してても、幸せな家庭は在る』。これは御子神家と宮咲家の家訓。
 今15、6歳で出産すれば『苦労』するのは目に見えている。だけど『不幸』になるなんて決まっていない。晃が幸せにすると言うのなら、私は幸せになるに決まっている。
「へへ、うっそ・・・。今日、安全日。週明け火曜くらいに『お客さま』来るはず」
「・・・いじわる・・・」
「でも、安全日でも、妊娠する可能性あるよ。もしそうなったら、産んで良いの?」
「もちろん・・・。もし、そうなったら、すぐ学校止めて働く」
 晃が私を、力強く抱きしめる。
「じゃあ、良いよ。付き合ってあげる。今日から『恋人以上、夫婦未満』」
 私も晃を、抱きしめる。
 昨日までは『友達以上、兄弟未満』。でも、今日からは『恋人以上、夫婦未満』。結婚するまでの期間限定。

 
 


 

 

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