鬼畜建設株式会社


 

 

−後編−


 可憐な唇をうねる触手のように舐め回す舌、柔らかな乳房をカサコソと這い回る虫のように陵辱する指先。
 嘔吐と鳥肌をもって感じ取る筈のそれらは理美にとって、未だ喜びこそ湧き出しはしないが命がけで縋り付くべき物であり、精一杯の演技で中山の性欲を刺激していく。
 倉庫の地面に押し倒され土にまみれた体さえ汚されているという感覚は、もうなくなっていた。

「ああっ、あんっ、かっ、課長さぁん...嬉しいですぅ、気持ちイイですぅ。もっと、強く抱いて、もっと、課長のおいしい唾を..もっと体中に...お口にも、おっぱいにも、ああん..理美のいやらしい、アソコにも、もっと、いっぱい、いっぱい、塗りつけて、くださいぃっ!」

「へへっ...へっ、へへへへへ....ど、どうしよっかな〜、ま〜たセクハラだなんて言われちゃかなわんからな〜....」

「そ、そんなこと言いません!ホラ、ホラ、こっ、ここ、どうですか?理美のお、おまんこ、こんなにいやらしいんです...ホラ、もっと、見て下さい!お気に召しませんか?」

 理性など元からあったのか疑わしい程の虚ろな瞳を彷徨わせ、中山はその裂け目に吸い込まれるように顔を寄せていった。

「きっ、きっ、気に入るかどうか....なっ、舐めてみようかな〜...」

 ズズッ!

「ああ〜ん」

 いかにも演技臭い理美の喘ぎだったが、それでも中山の股間はしっかりと直撃された。

 引き締まった両足首を持ち上げ、裏返った太腿の間に顔を埋めながらズズズッと溢れる汁を啜りあげる中山の頭からはもう、ここが職場である事など吹き飛んでいた。


 ....その時


「か、か、かちょ...?...なっ、何してやがるっ!!くそっ、こ、の、やろぉぉぉっ!!」

 ”信じられない”といった表情でいつの間にか立っていた加藤が怒声と共に一気に駆け寄り、中山の腹につま先を叩き込んだ。

「ぐぁっ!!....ぐっ、ぐぇぇっ.....ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!」

 声も出せない程悶絶した中山にもう一発、トドメの蹴りを叩き込んだ加藤が理美を抱き起こし叫んだ。

「理美ちゃん?理美ちゃん!大丈夫?くぅっ、なんてコトを...まさか会社の中でこんな事までするなんて....くそぉっ!」

 加藤の叫び声を聞きつけ所内から飛び出て来た部長や社員達も、理美のはだけた制服を見て事の始終を察したのか、思い思いに中山に蹴りを入れている。

「コイツ、なんて野郎だ。いつかこんな事が起こると思ってたんだよ。オイ加藤、理美ちゃんを早く連れてけ。ちゃんとフォロー入れとけよ」

「はっ、はい、じゃちょっと今日は失礼します」

 部長の指示に従い、ザワザワと広がる喧噪を後目に理美を抱きかかえるようにして加藤は自分の乗用車に乗り込んだ。





「ごめんなさい...ごめんなさい...ゆるして...もう、ゆるして.....」

 理美の自宅に着いた後も、呆然と謝罪を続ける理美を加藤が抱きかかえ、何時間も背中をさすり続けた甲斐があって、ようやく少しずつ我を取り戻した。

「気が付いた?理美ちゃん、もう大丈夫だからね。あれだけのコトをしたんだ、課長はもうお終いだよ。もう明日からアイツの顔を見なくてもいいんだ。だから、今日はゆっくりとお休み...僕がずっとここに居るから...どこにも行かないから...」

「加藤、さん?....ヒッ、ヒック、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん....」

 さっきの事は現実だったのだ。自分が勝手に夢と勘違いして....あんな恥ずかしい事を...加藤の目の前で...
 羞恥と後悔と疑念の渦の中で、理美の泣き声が止む事は無いかのようだった。




 泣き疲れ、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。ふと目が覚めた理美の横では加藤がベッドに頭だけを乗せて居眠りしている。だが右手だけはしっかりと理美の手を握ったままだ。

(よかった....約束守ってくれたんだ、加藤さん。そのお陰かなぁ、いつもの夢、見なかったよ。本当によかった....)

 優しさの佇むその頬にそっと触れてみた。

 温もりを伝えるその手にそっと力を込めてみた。

 そしてその手を胸に抱きしめ、彼の待つだろう夢の中へ、理美は再び戻っていった。





 翌日、加藤の腕にしがみつくように家を出た理美は、そのまま一緒に出勤した。

「お、ぉはようございま〜す....」

「おっ、理美ちゃん、もう大丈夫なの?昨日は大変だっ....」

 心配そうな表情で振り返った社員達は、その二人の姿を見て凍り付いた。

「かっ、加藤....おまえまで..俺たちを裏切るのかぁぁぁぁぁっ!」

「そっ、そんな大げさな...いやちょっと成り行き上こうなっただけで....」

「なにぃー、成り行きでそんなんなるなら今日は俺が理美ちゃんを送るぞっ!」

「だ、ダメですよ。昨日言ったじゃないですか。『ちゃんとフォローしとけ』って。だから俺ちゃ〜んと最後まで責任取んないと」

「くそぉっ...課長ならいくら近づいてもそっちの心配はしなかったが、真っ先に排除しなきゃならんのはお前の方だったか...」

「そ、そんな物騒な事言わないでくださいよぉ...別に昨日はなんにも無かったんすから、ねっ...」

 と、突然そんな話を振られても『有った』とか『無かった』とか平然と答えられる程理美はあけすけでも無かった。
 だが真っ赤な顔で俯く理美を見た社員達は、完全に誤解しているようだ。

「か〜と〜お〜.....お前もし理美ちゃんを独り占めしたら、この会社に居られなくしてやるからな〜」

 ジリジリと後ずさりしながら加藤は首を大きく縦に振る。
 そんな様子を可笑しそうに眺めながらも、加藤のその返事に若干不満も募らせる理美だった。




「あ、あの〜...加藤さん?」

「ん、何?」

 午後6時、終業後の事務所内で珍しく社内に残っている加藤に理美がそっと囁いた。

「あ、え〜と、今日は珍しいわね?こんな時間に事務所に居るなんて。お客様との約束は無いの?」

「ああ、なんか急に時間を遅らせてくれってさっき連絡が入ってさ、9時からなんだよ。まいるよな〜、そんな時間からなんて。あ、どうかした?」

「え、あ、ううん、別に...なんでもないの。ちょっと聞いてみただけ。遅くまでご苦労様です」

「う、うん。ありがとう。...ね、理美ちゃん...大丈夫?」

「へへっ、だいじょぶ...かな?たぶん....」

「あ、あのさ、今日は多分11時過ぎくらいになると思うんだけど、その後だったら俺、空いてるんだよね。どうせヒマだし、もしよかったら今日も、その...」

「そんな、いい、いい、疲れてるのに。加藤さん昨日だってあんまり寝てなかったでしょ?それに多分今日は大丈夫だと思うの。その...加藤さんのお陰で...」

「そう?...でもホントに遠慮しないでね。その...下心は...無いから...はは」

「うん、ありがとう。あの...あのね、加藤さんこの間の約束、憶えてる?」

「約束?う〜ん、やくそくやくそく...ごめん、なんか俺約束してたっけ?」

「あ、違うの。約束したのは私。その、今度は私が食事おごるって、ほら」

「あっ、そうそう、昨日返事くれるって言ってたんだよね。でもゴタゴタしちゃってたから仕方ないけど、スケジュール、決まったの?」

「う、うん、もしよかったら、明日はどうかな..って思ったんだけど...ダメ?」

「あっ、いいよ。理美ちゃんのお誘いを断ったりしたら他のみんなから袋だたきに合う...って、断らなくても合いそうだけど、ま、オッケー。行こう行こう。どこに連れてってくれんの?」

「あ、考えてなかったです、すみません。でも明日までにはちゃんと考えておきますから。う〜んと良いところ」

「あっ、あっ、さては下心があるんじゃないだろうねぇ....へへっ」

 加藤はいつもの調子で手ひどいツッコミが返ってくるのをじっと待っていたが、理美は恥ずかしそうに真っ赤な顔で俯く事しか出来ないで居た。
 その時、落とした視線の先にある加藤の大きな手をじっと見つめながら理美は、彼への淡い気持ちが本物だったのだとようやく確信できたのだった。




(ん〜、今日は残念だったけど、明日はきっと大丈夫、一緒に居てくれるわよ。彼、優しいからな〜。ふふっ、私、男の人のコトこんなに好きになったの初めてじゃないかな〜。ああ、まちどおしいな〜彼とのデート...そうだ、もう課長は居ないんだし、今日はきっと彼の夢を見るに違いないわ。ふふっ、早く寝よっと....)

 理美は一抹の不安を振り払うように、枕に祈るような仕草の後、にこやかに眠りについた。




(ああ、ここは..いつもの夢の中...でももう課長は居ないのよ。そのかわりにきっと、彼が....)

キョロキョロと辺りを見回すが、所内には誰も居ない。

「加藤さ〜ん♪...どこですかぁ〜...」

 仕方なく事務所の外にまで人影を探して廻る理美。
 廊下...休憩室...受付...駐車場...資材置場....

「!!居たっ!加藤さ〜ん....」

 資材置場の足場の影、先日はあれ程嫌な事が有った場所だというのに、理美は嬉々としてそこへと駆け寄った。
 
「もうっ、かとうさ...............」

 だがそこで理美をじっと待ち受けていたのは.......中山...。
 もう会社には居ない筈の彼が恨めしそうな顔でじとっと見上げている。

「か、かかかか、かっ、かっ、かっ、かっ、かちょ.....」

 まるで大蛇の前で逃げ場を失った小動物のように理美は、全身をカタカタと震わせはしても逃げ出す場所も気力も失い、只々大きく見開いた眼で捕食者の動向を窺っていTた。

「り〜み〜ちゃ〜ん...昨日は随分と酷い目に遭わせてくれたね〜ぇ。君から誘っといて、君からおまんこ晒しといて...会社をクビになったのは僕だけなんて..ひ〜ど〜い〜じゃ〜な〜い〜か〜ぁ...」

「ご、ごごごごごご、ごめんなさいっ!私、私、そんなつもりじゃ.....」

「それに、俺の事を加藤なんかと間違えちゃって...そんなにアイツが好きなら、アイツに守って貰うといいよ〜...この子達からもねぇっ!!」

 中山のズボンの裾、背広の襟口、股間の空いた部分...そんな至る所から湧きだした虫達が無数に地面に広がり、理美の半径1m以外の部分を真っ黒に染め上げた。

「ヒッ、おっ、おねがい...もう、やめて.....虫なんかに食べられる位なら、いっそ..殺して....」
 
「ククッ..ダ〜メだよ〜、理美ちゃ〜ん...この子達に食われてもね〜、死ねないんだよ〜...ほら、今理美ちゃんのお腹におっきな穴が開いてるのに、死んでないじゃないか〜ぁ...脚を食われても、心臓を食われても、理美ちゃんは死ねないんだよ〜....それでね、頭までぜ〜んぶ食われちゃったら...理美ちゃんは、こいつらと同じ...虫になっちゃうんだよ〜..よかったねぇ〜...今度は食べる側に成れるんだよ〜....」

「そ、そ、そんな....私が..むむ、虫に....」

 ビシャァァァァー...

 理美の股間から熱い小水がほとばしり、太腿をつたって地面に流れ、広がってゆく。その薄黄色い液体が作る道の上を黒い虫達が行進を始めた。

「ヒッ!!」

 太腿を流れ落ちる生暖かい液体と足元を這い上がる虫の感触に頭のヒューズが飛びかけた時、ようやく身体が動くようになった理美が、脚を交互に振り払いながら飛び跳ねる。

「そ、そんな..いやよっ!こんな醜い物になるなんて...お願い、課長さん...助けて下さい..私を、課長さんの物にして。一生理美のまま可愛がって下さい.....お願いしますっ!!」

「そうだねぇ、理美ちゃんはす〜ぐに裏切るから...一度試してみようかな〜。僕の好きな女の子になれるかどうか...」

「はっ、はいっ、お願いします!がんばります。なんでもしますから。お願いします!」

 パンッ!

 中山の掌が一つ叩かれると、潮が引くように虫達が理美から引き下がっていった。だが未だに1メートル先で、獲物を狙うように待ちかまえている。

「僕の好きな女の子はねぇ〜、と〜ってもいやらしくって、積極的で、誰よりも僕の事を愛してくれる娘なんだよ〜...
 いつでもおまんこを濡らしててねぇ、いつでも僕のおちんちんを欲しがってねぇ、いつでも僕の傍に居てくれなきゃいけないんだよ〜....
 君にできるのかな〜....?ちょっと肩に触られた位で喚き立てるような娘に、出来るのかな〜...」

「出来ますっ、必ず、必ず課長さんの気に入られるような、い、いやらしい女に、なってみせますから。お側に、置いて下さいっ...」

「ヒッヒッヒッヒッヒッ...それじゃぁね〜、まずはストリップから見せて貰おうかな〜..う〜んといやらしいヤツを...」

「で、でも私...一人で脱げないの....どうすれば...」

「そ〜んなコト、自分で考えるんだねぇ..僕の物になりたければ、だけど...」

 中山の出した理不尽な条件にも必死で答えようと理美は頭を振り絞る。

 やがて側に積み上げられた足場材の隅にブラウスの前を引っかけると、身体を揺すり、引きちぎった。
 続いてスカートも同じ方法で破ろうとしたが、その腰の部分はなかなか破れてはくれず、ふいに外れたホックのせいで理美は激しくひっくり返ってしまう。そのまま地面にゴロゴロと転がりながらスカートを少しずつずり下げ、泥と潰れた虫を身体中にこびり付かせながら膝立ちの姿勢になると、蔑んだ目で見下げる中山に心底から媚びた視線を投げかける。
 
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ....課長さん...どうですか?あんまりいやらしく脱げませんでしたけど、私の体、もっと見て下さい」

「ふん...相変わらずきったない身体だねぇ...そんな身体を舐めろって言われてもね〜ぇ」

「ご、ごめんなさい...理美の身体が汚くって。でも、でも、どうか...この虫をなんとかして...」

「ま、いいや。最後の一枚は特別に僕が脱がして上げるよ。こっちに来な」

 たったそれだけの事が理美には余程嬉しかったのか、彼女の顔には安堵の色が浮かんでいる。
 
「あっ、ありがとうございますぅっ!」

 立上り、一歩前に進み出ると、出来るだけ脱がし易いように脚を少し広げ、腰を突き出す理美。
 
 クルクルと丸めながら降ろされていったそのパンティの裏地には、今や理美の感謝の印がはっきりと残っていた。
 食い破られた下腹とは裏腹に、その官能の入口は今もまだ美しい形と色を保っている。
 
 クチュッ...
 
 容易く飲み込まれた中山の図太い指が、理美の官能を少しだけ刺激する。
 
 クッチャ、クッチャ、クッチャ、クッチャ....
 
「あんっ、あ、ああああんっ...かちょうさん、気持ち...イイ、ですぅ...」

 胸の奥底から官能の燻りを掘り起こし、よがる素振りを懸命に作りあげていた理美がふとその部分に目をやると、なんと目一杯まで差し込まれた中山の指先が破れた下腹から覗いているではないか。
 
 そのおぞましい光景に目を背け、理美はなんとか快感に心を明け渡そうと、中山の首筋に顔を埋め、フルフルと震える肩を胸に預ける。彼の酸い汗の匂いから..虫達を遠ざけてくれるこの香りから、なんとか安心を引きずり出そうと懸命に意識を集中する。
 
「す〜っ..はぁ、はぁ、はぁ...課長さんの汗の匂い、いい匂いです。どうかずっとお傍でこの匂いを嗅がせて下さい....」

「へへへへへっ..汗の匂いなんて言わないで、もっとくっさ〜い所を嗅がせてあげるよ」

 そう言った中山はベルトを外し、チャックを降ろすとズボンをストンと地面に落とした。

「ど〜ぉだ〜い...理美ちゃんのだ〜いすきなモノがここにあるよ〜...欲しかったら嘗めてもいいんだよ〜...」

 何かに突き動かされるように理美はふらふらとしゃがみ込み、薄汚れたパンツの上からその盛り上がりを舌でなぞる。

「ああっ、課長さんの匂い、理美の大好きなおちんぽの匂いがします。ねぇ、もっと嗅ぎたいの。舐めたいの。パンツ下ろしてもいいですか?」

 それらのいやらしい言葉は決して理美の心から発している訳では無いのだろうが、中山に気に入られる為に彼女の思考は総動員され、そこから生まれた物は最早自分の想いなのではないかと錯覚する程に没頭していた。

「ったく、しょ〜うがないな〜..り〜みちゃんはホンットにいやらしいんだから〜。でも君が虫に食べられちゃうのも可哀想だから舐めさせて上げるよ〜」

「ごめんなさい、理美はホントにいやらしくて、汚らしい女です。でも一生懸命課長さんに気持ちよくなって貰えるように頑張りますから....」

 卑屈に垂れ下がった目で見上げながらそう言うと、その可憐な唇にそっとパンツの端をくわえ、ずりずりと降ろしていく。

「す〜〜っ、はぁ〜〜っ....イイ匂い..理美の大好きな課長さんのおちんぽの匂い...酸っぱくて、苦くて....」

 うっとりとした表情でそれに頬ずりした後、真っ赤な舌先でチロチロと嘗め回し、やがてずっぽりと一気にくわえ込んだ。
 
 ズリュッ、ズリュッ、ズリュッ..ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ...チュパッ、チュパッ、チュパッ、チュパッ....

 頭を激しく上下させたかと思うと、横にくわえて嘗め回す。先っぽを吸い上げたかと思うと、その勢いで喉の奥まで流し込む。
 誰に教えられるでもなく、ましてや誰かに施したことすら無いその献身的な奉仕は、正に理美の命がけの工夫の賜であった。

「ん〜...いいねえ〜、理美ちゃん。上手だよ〜...これならずっと傍に置いてあげてもいいかなぁ〜。うん、これから理美ちゃんは一日中僕のそれをくわえてるちんぽなめ人形にしてあげる。片時も離しちゃダメだよ。もし離したらす〜ぐに虫達に食われちゃうからね〜...」

 中山のその悪魔のような提案にクラクラと目眩を起こした理美だったが、思わず口が離れてしまいそうになるのをなんとか押し留めた。
 ”もう二度とあんな目に遭いたくない”そう強く心に誓い、再びその醜い肉棒にむしゃぶりつくのだった。

「あ〜、いい、いいよ〜、イきそうだ...そうそう、もっと強く吸って、激しく頭を振るんだ。ホラホラホラ、一生懸命やらないともうしゃぶらせてやらないぞ〜」

 そうなっては堪らないと、理美は中山の指示通りの奉仕へ必死にのめり込む。

「あ、あ、あああっ....イ、イクッ、イクぞぉっ....」

 ドピュッ、ドピュッ...ドクドク...

 口の中が一杯になる程の大量の白濁液を受け入れ、理美はその生臭い匂いに吐き気をもよおしながらもその思いが決して中山に悟られぬよう、にこやかな笑みをなんとか作り出し、自分の支配者をそっと見上げる。
 その嫌悪感一杯のご褒美を、出来るだけ嬉しそうに大きく開いた口の中で見せびらかす理美。そこでは粘つく白い液体を真っ赤な舌が弄び、クチュクチュと卑猥な音で喜びをアピールしている。

 口を閉じ、再びくわえ込んだ力無い肉棒と共に今度は口内全体でそれらを攪拌していた時、舌の感覚がふいに無くなったかと思うと、理美の顔の半分、顎から下が..ドロリと...落ちた。

「あがっ、がっ、がっ、がっ、がっ、がっ、がごお....」

 驚き、真っ赤な目を見開きながらも、それ以外の音はもう発する事も出来ず、尚も喉から下を浸食し続けるその液体を払う事も出来ないまま理美は、地面に倒れ伏した。

「あ〜あ、離しちゃった〜...ダ〜メじゃないか〜、理美ちゃん、約束を破っちゃ〜...理美ちゃんが悪いんだからね〜。僕のちんぽ、離すから、ホラ....来ちゃったよ〜....」

 ゴロリと地面に転がった理美の視界を、蠢く真っ黒な地面がモゾモゾと迫り来る光景が、支配していった。





「がっ.....がっ.....かはっ........」

 飛び起き、全身からダラダラと脂汗を流し続ける理美は、声すら失い恐怖に引きつった表情のまま、只真正面の壁に虚ろな瞳を向けるのみだった。







「おい、加藤、今日は理美ちゃん休みなのか?」

 ”ったく”といった表情で、まるで睨み付けるように桐山が言った。

「えっ、俺、聞いてないっすけど....連絡、無いんですか?」

「あったらお前なんかにいちいち聞くかよ。お前昨日『最後まで責任取る』って言ってたじゃねぇか。課長とあんなコトが有ったばかりなんだ、なんか有ったら新聞沙汰だぞ。しっかりしろよ」

「あ、はい、すみません...俺ちょっと様子、見てきます」

「そうだな、今朝はどうせワケのワカラン戦略会議だ。お前なんか居なくてもど〜ってコトないだろ。ちょっと行ってこい」

「ど〜ってコト無いってコトも無いと思うんですけど...ま、後よろしくお願いします」

 そうは言いつつも、脱兎の如く駆け出す加藤であった。



 ピーンポーン....ピーンポーン..ピーンポーンピーンポーン
 コンコンッ...コンコンッ....ドンドンッ.......ドンドンドンドンドンッ!

「理美ちゃん?理美ちゃん!加藤です、どうしたの?居ないの?」

 だが一向に返らない返事を待ちきれず、マンションのエントランスまで戻ると管理人に事情を話し、連れだって部屋の鍵を開けて貰った。

 真っ暗なままの部屋の中をそっと探るように入って行くと、ベッドの上で半身を起こしたまま、正面の壁を虚ろな瞳で見つめ続けている理美が居た。
 汗で濡れたパジャマはべったりと肌に張り付き、手は布団の端を堅く握り締め、唇は僅かに動いていたがそこから音はなにも発されていない。

「理美ちゃんっ!!」

 加藤が慌てて駆け寄り肩を抱えてガクガクと揺すぶったが、なんの反応も返っては来なかった。

「ちょっと、救急車でも呼んだ方が....」

 管理人が迷惑そうに理美の顔を覗きこんできたが、加藤はそれをなんとか押し留め引取ってもらった。



「理美ちゃん...かわいそうに...ごめんね、一緒に居てあげられなくて」

 加藤は理美を横たえ焦点を定めていない目をそっと閉じさせる。
 軽く湿らせたタオルで額と首筋だけを拭き取ってやった後、そっと横に腰掛け、彼女の手を握ったまま何時間も過ごした。



 夕刻、加藤は握りしめた理美の手に自分の頭をもたせかけ、うとうとと眠りかけていた。
 理美もいつの間にか眠っていたのだろう...やがて加藤の胸元からウンウンという唸り声が聞こえ始めた。

「理美ちゃん?理美ちゃんっ!!起きて、起きるんだ!僕はここだ、ここに居る、ずっと居るよっ!」

 バサッ!!

「がぁぁぁぁぁぁっ!.........ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」

「理美ちゃんっ!こっちを見て!僕を見るんだ!ねえ!理美ちゃんっ!」

 ようやく理美が、機械仕掛けのようにゆっくりと首だけを横に向けた。

「かとう...さん..?....ホントに?ここは、夢?それとも.....」

「夢じゃない!ここは君の部屋で、現実だ。しっかりして、理美ちゃん!」

 自分の溶け落ちた筈の部分を順にさすりながら、見る見る内に溢れた大粒の涙が瞳から流れ、落ちた。

「う、う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ.....加藤さん、加藤さん、お願い、ずっと一緒に居て、どこにも行かないで。もう二度と離さないで。おねがい、おねがいします.....」

 加藤の胸でありったけの涙を流す理美の頭を、加藤はあくまでも優しく、丁寧に撫で、抱きしめている。

「行かない、行かないよ、約束する。もう絶対一人にはしないから...安心して...よほど怖い目に遭ったんだね。でもそれは夢だから、誰も理美ちゃんを傷つけたりはできないから、大丈夫なんだよ....」

「うん、うん、そうだね。加藤さんと居ると安心できる。でもやっぱり一人にしないで....おねがい...」

 必死の思いで加藤を見つめながら、理美はその逞しい腕を決して離すまいとしがみつく。


 そして、優しく見つめ返す加藤との距離が徐々に縮まり、二人の唇が触れあうまでさほど時間は掛からなかった。


 理美の口の中を駆けめぐる舌の感触のなんと甘美な事か。
 今もはっきりと残る中山の臭くおぞましい接吻と比べ、どこまでも優しく、どこまでも官能的な加藤の口付けが理美の心までもを震わせる。

「加藤さん...だ、抱いて下さい。理美の全てを加藤さんの物にして....そして..ずっと離さないで...」

「理美ちゃん...好きだよ..愛してる...愛してた..ずっと前から...」

「嬉しい...ああっ!」

 加藤の指先が理美の首筋をなぞり、少しはだけたパジャマのボタンにかかる。
 一つ...二つ...三つ.....ボタンが弾ける度毎に理美の身体が恥ずかしげに震え、今は心から湧き出でる官能に染められた美しい乳房が露わになっていく。
 だが理美の激しい想いを見透かしたかのようなその指先は、いつまでもその頂には触れようとはせず、クルクルと円を描くように柔らかい丘を弄んでいる。

「あん、あぁん..んんっ..加藤さん、加藤さんっ!...あん、あああっ、好きッ....」

 理美に食らいつくように吸い込まれていた加藤の舌がようやく解放されると、それは首筋から耳へ、そして徐々に下がって行き、彼女が望んでやまなかった頂にそっと触れた。

「あっ、ああああああああああああああああっ!」

 ただそれだけで、中山とでは決して辿り着けなかった所に理美の心は飛ばされた。
 理美の高ぶる情欲に気を良くした加藤のそこへの愛撫が、今度は激しく、執拗になっていく。

「あっ、あっ、あっ、ああああああああああっ、まっ、またっ...あっ、ああああああああああああっ」

 安堵感も手伝ったのだろう、胸への口付けだけで、一度は無くなってしまったそこへの感触だけで、もう止めどなく喘ぎ続ける理身は、尚も愛しい男の愛撫を求め続ける。

「ああっ、加藤さん、もっと、もっと、理美を愛して。もっと理美を加藤さんの物にしてぇっ....」

「うん、うん、理美ちゃんはもう僕の物だ。絶対に離さない。この唇も、この乳房も、そして...大事なここも.....」

 加藤の指が理美のパンティの中に滑り込み、しとどに濡れそぼった割れ目をヌルッと撫で上げた。

「っ!!あぁっ!んふっ....はぁっ、はぁっ、はぁっ、あんっ、あっ、あああああああああああっ」

 喉の奥から掠れた音しか発せない程感じてしまった理美は、代わりに彼の手首までをも濡らし尽くす愛液で喜びを伝えようとしている。
 やがて加藤の指の動きが激しくなるにつれ彼女の頭の中は真っ白に惚け、意識の全てを合わせた肌に込めてゆく。
 
 呼吸すらもままならなくなった彼女に少し休息を与えようとでもいうのか、加藤の身体がそっと理美から離れた。
 一時でも離れたくはないと言いたげに、理美は目の前の身体に腕を一杯に延ばし、追いすがる。
 心配そうな顔で見つめる自分に優しい微笑みを返しながら服を脱ぎ始めた加藤を見て、ようやく離れた意味を理解した理美は、ほっとした表情で腕を下ろし、逞しいその身体を物欲しそうに眺めている。

 全ての服が床に落とされ、再び加藤が理美の上に覆いかぶさると、嬉しそうな笑顔で加藤の首に手を回し、また口付けをねだる。
 舌をねっとりと絡み合わせながら理美のはだけていたパジャマを肩から外し、少しずり下がっていたズボンとパンティを一緒に降ろしていく。
 その為に離れそうになった舌を顔を起こして追いかけながら、腰を浮かして協力する理美。
 
 互いに全裸になった後、加藤はまた少し身体を離し、横たわる理美の美しい肢体を目を細めてじっと眺めている。

「理美ちゃん、綺麗だよ...」

 理美は羞恥に顔を真っ赤にしながらもその白い裸身を隠そうともせず、愛しい男の期待に応えようと手と脚を少しだけ開いた。

「加藤さん...これは、この身体は..あなたの物よ。全部あなたの物....大事にしてね」

「うん、ありがとう、理美ちゃん...大事にするよ。だから...いい?」

「来て....好きにしていいのよ...」

 理美の肩口に両手を置き、優しく唇を重ねながら、加藤の腰がそっと理美の脚の間に割り込んだ。

「理美ちゃん....」

 ヌルッ

 心地よい感触に包まれて、加藤のそれが理美の中に呑み込まれていく。

「ん、ん、あ、あ、あ、ああああっ!はぁぁぁっ..う、れしい....あ、あ、あ、あああああん....」

 最高の心地よさの中で、理美は自分の中を駆けめぐるあらゆる感覚に酔いしれている。

「あ、あ、あん、あん、あん、あん、あん、ああああああん、はぁっ、んんっ....くふぅっ.....」

「理美ちゃん、理美ちゃん。ああっ、欲しい、理美ちゃんが欲しい...もっと、もっと...」

「ああんっ..どうして?どうしてそんなコト言うの?...あげたのに..理美の全部は、あっ、あなたの、物なのに...」

「ダメだ...まだ..全部じゃない...もっと欲しい、身も心も全部欲しい...」

「ああああっ..ん..あげる、あげるわ...理美の身も、心も...あああっ..好きにしてっ、ん、くぅぅぅん...そのかわり、守ってね..理美の事...ずっと、ずっと...守ってね....」

「理美ちゃん、理美っ....守るとも。俺の物なんだから、絶対離さない。理美っ!んんっ、くぅっ、イク、よ...」

「ああっ、来て、早く!私の中をあなたで一杯にして...もう何も入り込めないように..もう何も無くさないように...あっ、ああああんっ....わ、わたしも....一緒に....あっ、イ、クゥ...あんっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああああああああああっ!...」

 荒い息の中で交わす愛の言葉に酔いしれた二人の官能は、やがてこの世の物とも思えない程の高みで溶け合うように昇華していった。







(ここは..どっち....?)

 振りかざそうとしても叶わない失ってしまった腕の感覚に、理美は大きな不安に苛まれた。

 身体は...動く。と言う事は....。
 微かな期待を胸に振り返ったそこに居たのは、理美の最愛の人..ではなく..またしても....。

(ああ、ダメなの?ここでは加藤さんは守ってくれないの?..もう、私は...虫に....なるしかないの?)

「り〜み〜ちゃ〜ん...もうその身体じゃ、僕を楽しませる事は出来ないねぇ〜...それじゃそろそろ、こいつらの餌にでもなって貰おうかなぁ〜....」

 虫と触手を身体中に纏わらせた中山が理美の頬に手を伸ばしてきた。

 理美の心を絶望がヒタヒタと浸食する。

(あ、ああ、お願い....殺して...)

 その時、地面に転がったままの理美の目の端に、一条の光が、強い、眩しいほどのそれが、届いた。

「こ、の、やろぉぉぉっ!!」

 理美の絶望に差し込んだ光...昨日と同じ声、同じように彼方から掛けてきた加藤が、その勢いのまま中山の腹を蹴り上げた!

 グシャァァァァァァァァァァッ!!

 血飛沫の代わりに真っ黒な破片を飛び散らせ、中山の腹が破裂するように四散する。
 その後の数発の蹴りで細かく粉砕された中山は、悟ったように逃げ去る虫達と共に瞬く間に視界から消え去ってしまった。

(加藤さん、加藤さん...やっつけてくれたの?守ってくれたの?課長は、虫達は...もう居ないの?)

 真っ黒だった部屋の床や壁が徐々に姿を現すと、花柄の壁紙、木肌色のフローリング、見慣れた絵画、.....そこは、理美の部屋だった。
 いつの間にか横たわっているここは、さっきまで加藤と愛を交わし合っていたベッド?。

「がごぉがん....」

 最愛の人の名前すら口にだせない悲しさが、理美の瞳を濡らす。
 いつまでも見つめ合っていたい。だが、自分の醜い姿を見られたくない。そんな相反する思いに揺らめきながら理美は、残った顔の部分を加藤の胸に擦りつけた。

「理美ちゃん...こんなになっちゃって...怖かったろうね、辛かったろうね...でも、もう大丈夫。課長はもう二度と来ないよ。もう僕がずっと一緒に居るから、夢でも、現実でも....。だから、安心して僕の所においで...」

 顎のない醜い顔を大きく縦に振りながら理美は全身の力を抜き、身体と心の、全てを委ねた。

 加藤の舌が優しく涙を舐め上げ、理美の上だけになってしまった唇をなぞる。今も腐食し続けドロドロとしている肉の断面を嫌がる素振りも見せず丹念に舐め取り、吸い上げる。
 すると、加藤の唾液の付いた所から順に皮膚を腐らせ続けていた液体がシューシューと白い煙と共に蒸発し始め、やがて腐っていた肉がモコモコと盛り上がったかと思うと、瞬く間に元の美しい顎のラインを創り上げていった。

「ガッ..アガッ....!!あっ、顎が、舌も....戻った!戻ったわ。加藤さん、見て!私の顎、どう?いつもの私?おかしくない?ねぇ、加藤さん」

「ああ、いつもの理美ちゃんだ。とっても綺麗だよ」

 そう言うと加藤は、抉れた乳房、両の腕...それらを優しく、暖かく、官能的な愛撫でなぞり美しい身体を復元していく。
 そして最後に入口から愛の証を分泌し続ける裂け目に堅くなった自分のモノを突き入れ、擦り上げる。

「ああっ、加藤さん、加藤さん...もっと、もっと私を...創り上げて...加藤さんの好きな形に...加藤さんに愛して貰える女に....」

「ああ、理美ちゃん.....二人で創ろう...僕たちの幸せと、安らぎを...」

 やがて向かえた最後の時、視覚でも捉える事のできた射精により真っ白に染め上がった膣が、内部から徐々に蘇り、その後には元の白くやわらい下腹が切なげに波打っていた。

「ありがとう、ありがとう...加藤さん。嬉しい..私、ホントに加藤さんの物になれたわね。だって加藤さんが創ってくれたんだもの....」

「そうだね。やっと僕もそう思えてきたよ、理美...ありがとう、僕の物になってくれて...」

「うん、うん....」

 涙でくしゃくしゃになってはいたものの、それでも愛らしく嬉しそうな笑顔を浮かべながらもう一度加藤の首に腕を巻き付けた理美は、蘇った腕を確認するかのように精一杯の力を込めた。







 清々しい...本当に安らかな、気持ちのいい朝だ。

 もう恐れる事など何もない。彼の傍にいれば、彼の腕に抱かれていれば...怖い物など何もないのだ。
 今までよりも...あの夢を見始める以前よりも増して心を満たしてくれるこの人に、私は一生付いていこう。この人の為に私の全てを捧げよう。
 
 そんな決意にも似た感傷を、隣で寝息を立てている男の胸の中でそっと呟いてみた。

「加藤さん、ありがとう。こんなに私を救ってくれて。愛してます、心から。ううん、私の愛も感謝の気持ちも、それが生まれて来る私の心ごと、もう既にあなたの物ね。どうか私の全てがあなたのお役に立てますように....」

「ん...ん〜....りみ....」

 にやけた笑顔を浮かべたままこぼれ出た軽い寝言に自分の名前を見つけた理美の心は、より一層高く舞い上がるのだった。





「おっっはようございまぁぁぁぁっす!!」

「おっ、今日はいつもより多く元気がいいね〜。まっ、まさか、理美ちゃん...加藤と...」

 朝、家を出た時からしがみついて離さない加藤の腕に真っ赤な顔を隠しながら理美は、無言で桐山を見上げた。

 皆の突き刺さる視線にたじろぎながら、加藤はごまかすように机の上の書類を取り上げ、目の前に掲げる。
 
「ん〜、今日は朝から外回りか〜....」

「か〜と〜お〜.....」

「そうだな〜まずは田中さんトコ行って、昼までに江原マンションにも顔を出さなきゃいけないしなぁ...」

「が〜ど〜お〜〜っ!」

「なっ、なんすか...俺ちょっと今日は忙しくって。あっ、そうだ!田中さんトコにアポ入れなくっちゃ」

 一昨日とは違い、あえてそれを否定しない二人に、部屋の空気がどんどんと殺気立ってくる。

 その殺気を一手に加藤にまかせ、理美は抜け出すように自分の席に駆け寄った。

 パチッ、ウィィィィィィン、カリカリカリカリカリカリカリカリカリ.....
 
 パチパチと切り替わるパソコンの起動画面を見ながら理美は嬉しそうに昨日の余韻に浸っている。
 
(あ〜、加藤さんと一緒の職場でよかった〜。昼間ずっと別々だったら気が狂っちゃう。でも彼が営業に出ちゃったら一人か...寂しいなぁ...ずっとずっと一緒に居たいのに...でもそんなの彼には迷惑だろうし...はぁ...)

 もう理美の頭には加藤以外の何者も入り込めそうになかった。




「ん〜〜〜っ、つっかれた〜。昨日休んじゃったから仕事が山積みだよ。加藤さん早く帰って来ないかなぁ」

 そう呟きながら時計をみると、午後7時。特に変更が無ければ間もなく帰社する予定になっているが...。

 パチパチッ

 幸福を満面に浮かべていた理美の前で、またしてもディスプレイの中の光が弾けた。

 (ん、何?...あれ?まただ...おかしい...また...股間が....熱い)

「んんっ..んくっ...ぁん..くぅぅん...」

 必死で押し殺してはいるものの、昨日散々開かされた理美の官能は容易く広がってゆく。
 先日と同じように腰を円く椅子に擦り付けながら、キョロキョロと辺りを見回す。

(あああっ..ダメ、ダメよ、こんな所で....誰かに見つかったりしたら、こんないやらしい女だなんて思われたら、加藤さんに嫌われちゃう....)

 そうは思いながらも理美の腰は止まってはくれない。それどころか女の芯を溶ろかせるそれはやがて身体全体に広がり、乳房や首筋へも快感の嵐を吹き込み始めた。

「あっ、あああああああん...んくっ、くぅぅぅっ...あ、はぁぁぁぁん...ああっ、加藤さん...加藤さんっ!」

 彼女の理性はいつの間にか消え去ってしまったようだ。今居る場所がどこなのかも忘れ、左手をブラジャーの中に、右手をパンティの中に入れ、狂ったようにオナニーを続けながら加藤の名前を呼び続けている。
 だが、傍に加藤の居ない所でいくら敏感な部分を擦り続けても、いやそれに没頭すればする程に愛する人が傍に居ない現実を思い知らされるのだ。
 そしてその事実が徐々に、やがては明確に、昨日までの不安を蘇らせる。
 今も背後に中山の視線が突き刺さっているのではないか、物影から恨めしそうな視線が絡み付きはしないか、そんな不安が次から次へと頭をよぎる。

 不安と恐怖と中途半端な快感の渦に巻き込まれ、理美の心は際限なく加藤を渇望してやまなかった。

「ああっ...加藤さん、早く帰ってきて....早く、理美を助けて..でなきゃ、壊れちゃう....」

 ”もう気が狂うのではないか”そんな気さえし始めた頃、後ろから延びる手に理美の乳房が鷲掴まれた。
 
「きゃぁぁぁぁっ!」

 中山か?今まで何度も味わってきた恐怖が理美の髪を逆立て、大きく見開いた眼で振り返った。
 だがそこには...心から望んでいた、その男無しでは自らが存在しえないとも思える、男の微笑みがあった。

「かっかっかとう..さん」

「理美ちゃん、こんな所でダ〜メじゃないか。昨日あれだけしてあげたのに」

 安堵の溜息も終わらない内に、自分の状況を思い出した理美は羞恥に耳まで染め上げながら必死の弁解を叫んだ。

「ちっ、違うの!そんなんじゃなくて...なんか急に身体がおかしくなって、頭がボーッてしてきて....ごっ、ごめんなさい、ごめんなさい、お願い、嫌いにならないで、私ホントはこんな女じゃないの。だから、だから...捨てないで、離さないで、加藤さんっ!」

 理美の必死の哀願を意にも介していないかのように加藤は鷲掴んだ右手をやわやわと揉み込み始めた。
 それだけで血の気の引いていた理美の頭が再びカーッと熱くなってくる。
 それは、さっきまで心の底から渇望していた感触...。

「いいんだ、いいんだよ、理美ちゃん。そんないやらしい理美ちゃんも僕は大好きなんだ。ほら、もっとして欲しいんだろ?いくらでも可愛がってあげるよ....さ、服を脱いで、ここに上がってごらん。僕に触って欲しいところ、見せてごらん...」

「え?..でもこんな所で....裸になるなんて...」

 はだけたブラウスとスカートを直しながら、ようやく理美の羞恥心が頭をもたげだしてきた。
 
「え?恥ずかしいの?”こんな所”であんなに激しくオナニーしてたのに?あ、そうか!僕が居るから恥ずかしいんだ。僕に触られるよりも一人でする方がイイんだね?...そう、そうだったのか......」

 加藤の肩ががっくりと落ち、ふいに零れた悲しげな溜息が理美の罪悪感を刺激する。

「残念だよ...理美ちゃん....この身体を僕にくれるって言ったのは嘘だったんだ....ああ、まさか君に裏切られるとは思ってなかった...愛してたのに...もう僕は君を、いや、もう誰も信じられない!もう僕は君の傍には居られない.....悲しいけど」

 理美の頭から再び血の気が抜け始めた。
 加藤が傍から居なくなる。
 これは、自分が、彼を....裏切ったから?
 自分が彼の物じゃ、無くなる....

 そんな思いが頭をよぎった時、再び理美の全身を虫達が這いずるような感触に包まれた。

 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ

 背後から、今まで仕事をしていたパソコンの方から、それの這い廻る音が聞こえてくるような気さえする。

(食われる!)

 その確信にも近い思いが頭を占め、今は確かにある筈の腕や、乳房や、子宮、顎がズキズキと痛み、どんどんと腐っていく。ような感覚が纏わりついた時......理美の心から...夢と現実の境が、消え去った。

(こ、この人に、捨てられたら、もう、生きてけない...いや、死ねればいい...でも、でも、もし、食われたら...身体を少しずつ食われて、溶かされて、そして最後には...あの醜い虫に、私が、私が、虫に......なる!)

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!いやよ、いやっ!お願い行かないで!捨てないで!嘘じゃない、嘘じゃないの。本当にこの身体は加藤さんの物よ。どうにでもしていいの。ごめんなさい、もう二度と加藤さんの言いつけに背いたりしません。もう二度と裏切ったりしません!だから、だから.......」

 全身をガクガクと震わせ、涙をとめどなく流しながら、理美は大急ぎで服を全て脱ぎ捨て、机に飛び上がると脚を大きく開いた。
 
「こっ、ここっ、ここを見て。加藤さんに見て欲しいの。いやらしい理美のおまんこを加藤さんにもっと触って欲しいのっ!恥ずかしいんじゃない。見られたく無いんじゃないの。ホントよ!信じて!」

 両手の指で淫唇を割り開き、加藤の欲情を誘い込もうとグニャグニャとこね回す。
 媚びる為に自分で服を脱げる。男を誘う為にいやらしい所を割り広げる事が出来る。謝罪と哀願の言葉を紡ぎ出せる。
 ただそれだけの事が、理美にはひどく自由に思えた。
 
「いやらしい、いやらしいよ、理美。そんな理美が僕は大好きだよ。もうこれからはいつでも、どんな事でも僕の望みを叶えてくれるんだね。嬉しいよ、愛してる、理美....」

 許された!一度はどん底に落ちかけた理美の心が再び安らかな雲に包まれ、浮遊していく。
 
「ああ、加藤さん..ごめんなさい。私、こんなに加藤さんに愛して貰ってるのに、こんなに守って貰っているのに..言いつけを聞かなくって、本当にごめんなさい。もう私、迷いません。加藤さんに愛される為ならなんでも出来ますから。言ってください、どんな事でも....」

「理美...分かってる、分かってるよ。もう理美は僕の為にならなんだってしてくれるんだ。本当に僕の為に生きてくれるんだね」

 その優しく抱きしめた腕とは裏腹に、理美の頭の後ろでは真っ直ぐに前を向いた加藤の笑みが不気味に吊り上がった...。
 
「もうそろそろいいんじゃねぇのか...」

 理美の背後、加藤の正面で二人をじっとを眺めていた桐山が、苛つくように呟いた。
 
 加藤の指が這いずる股間に意識を奪われていた理美がふと気付き振り返ると、そこに立つ男を見上げながら不安そうに加藤にしがみついた。

「大丈夫、心配ないよ...桐山さんは僕達の味方なんだ。一緒に君を守ってくれるんだよ。だってそうじゃないか。僕が一晩離れただけで君はあんなになっちゃうってのに、僕一人じゃとても守りきれないだろ?だから理美ちゃんは僕だけじゃ無くって桐山さんの物にもならなくっちゃ」

「桐山さん?桐山さんも私を守ってくれるの?」

 理美は今も不安そうではあるが、加藤の言葉を無条件に、強制的に信じ込み、さっきまでと同じように自分のいやらしい姿を見て貰おうとのそのそと向きを変え始めた。

「おいおい、お前と桐山だけかよ?」

 桐山の背後のドアが ガチャッ と開き、部長、常務、専務、社長までもがぞろぞろと入って来た。
 
「あっ、そうそう、そうでした。理美ちゃん、ここに居るみんなが君を守ってくれるからね。みんな僕と同じように君を愛してもくれる。中山課長なんかとは違う、優しい人達ばかりだ。すごいよ!よかったね〜」

「そうそう、俺達は君を虫に食わせたりはしないからね」

 専務が一人良い人を気取って笑いかける。

「虫、ねぇ....桐山君も酷い台本を作ったもんだ。よくこの子が壊れなかったと思うよ」

 常務がさも可哀想と言いたげにあきれた仕草を取った。

「ええっ、そんな、僕は部長の言うとおりに...」

 不満そうに唇を尖らせ、桐山が呟く。

「おいおい、俺のせいかよ。確かにアイツの出演を依頼したのは俺だが、ストーリーを考えたのは桐山だろ?」

 威圧するように分厚い胸を張り、部長が桐山にずいっと詰め寄る。

「はいはい、どうせ僕は鬼畜野郎ですよ。でも僕は課長を夢に入れるのは反対だったんですけどね。お陰で予定より一週間も余計に掛かったじゃないですか」

「しょうが無いだろうが、アイツあんな気持ちの悪りぃ顔してるくせに『部長、賄賂はいけません。告発します』なぁんて言いやがるんだぜ。悪いのはアイツだよ」

「顔と賄賂は別物だと思いますけどね...」

 口々に交わされる会話の意味は全く理解できはしなかったが、加藤に後ろから乳房を揉みしだかれながら理美は、脚をM字に開き、その裂け目を奥まで晒すようにくつろげながら、ニコニコと媚びた笑みを皆に向けている。

「まぁまぁ、終わり良ければ全て吉。中山君の家族は少し可哀想にも思えるが、私はそんな事よりコッチの方がもうタマランのだがね」

 そう言って社長の長澤が股間を押さえながら回り込むと、理美の自分の方に向け、脚の間に顔を埋めた。

「ああ、やっぱり綺麗だね〜、思った通りだ」

 理美の股間を覗き込む長澤に無理矢理押しのけられた加藤は、頭をポリポリと掻きながら脇に避けると、

「んじゃ僕達は隣にいますから」

 そう言って他の者達と連れだって部屋の出口へと向かう。

 その加藤の背中を呆然と見入っていた理美が突然に叫び声を上げた。
 
「あああっ、いやぁぁぁっ!加藤さん、行かないで、一人にしないでっ、ほら、課長がそこに、ああっ、虫が、虫が来るよ、私を食べに来るよ...お願い、行かないで、なんでもするから、もうわがまま言わないからぁぁぁぁっ!!」

「おっと...」そう言いながら桐山が慌てて理美のパソコンを操作すると、ザワザワという音が止み、パチパチと忙しなく切り替わっていた画面がデスクトップに落ち着いた。

 その操作が一段落するのを見届けた加藤が、そっと理美の髪をかき上げながら頬に口付け、もう一度優しく囁く。

「理美ちゃん...もう大丈夫。ほら、後ろを見てごらん。今は社長が守ってくれるよ。次は専務が、ほかのみんなも僕よりもずっと強いんだ。きっと虫も課長もやっつけてくれる。君がこの人達の物になればね....」

 涙で化粧をグチャグチャにした理美が振り返ると、にやけた笑みを浮かべた長澤が立っている。

「あっ、あの、社長...どうか、理美を守ってください。どうか、理美を貰ってください。なんでもしますから、なんにでも使えますから、お願いします。ほっ、ほら、見て下さい、理美のココ、こんなにいやらしいの。社長さんのおちんぽを挿れて欲しくてヒクヒク動いてるの。きっと、きっと、気持ち良くなって頂けます。だから、どうか、...理美を飼ってください。おねがいします....」

「んふふふふっ....り〜みちゃ〜ん....心配しなくていいんだよ〜。虫達なんか僕の一舐めでみ〜んな消えて無くなっちゃうからね〜。僕のザーメンをお腹に一杯溜めておけば、もう二度とやって来ないからね〜.....ほ〜ら、りみちゃんのいやらしい所、もっとよ〜く見せてごら〜ん....僕に舐めて欲しい所、広げてごら〜ん」

 長澤が”もうタマラン”といった風に目の前でクチャクチャと粘液の撹拌されている割れ目に食らいつくと、デロ〜ンと舐め上げ、その先の蕾を口に含みチュウチュウと吸い上げる。すると今まで理美を苛んでいた、不安と恐怖と全身を這いずるおぞましさがそこから徐々に吸い取られていくかのようだった。その代わりに生まれ出た快感と安心が波の様に押し寄せ、その満ち引きに心がゆらゆらと揺れ動く。

 ひとしきり理美の淫汁の味を堪能した長澤は、今にも漏れそうだと言わんばかりにズボンを引き下ろし、何度も引っかかりながらパンツを脱ぎ捨てた。

「よ〜し、理美ちゃん、今からすっご〜い殺虫剤を入れてあげるから、しっかりそこを広げておくんだ」

 理美は心底嬉しそうな顔で太腿の裏から腕を廻すと、自らの性器を最大限に広げた。

「ああっ、社長、嬉しいですぅ....ここです、ここに、いっぱい入れてください。白いお薬タップリかけてくださいぃっ!」

「よ、よし!いくぞっ!!」

 ぬるっ、じゅぶじゅぶぅっ....にゅっちゃにゅっちゃにゅっちゃ....じゅぼっ、じゅぼっ、じゅぼっ....

「あっ、あふっ、あぁん、きっ、気持ちイイですっ。社長さんのおちんぽ、おっきくて、おいしいですぅっ!ああっ、もっと、もっと、理美のおまんこをこすって、理美の体で気持ちよくなってぇぇぇっ!!」

 喉の奥から絞り出されたその哀願は、夢の中で無理矢理吐き出してものとは明らかに違い、理美の心底から湧き出したかの熱が籠もっていた。



 現世の感覚で、夢中の感傷。
 それが彼女の理性や羞恥、尊厳までをも覆い隠してゆく。

 そんな中で与えられる絶大なる安心と快感。

 もう既に理美の頭で思考など働いてはいなかった。
 もう今は理美の心に過去など残ってはいなかった。

 今、彼女の行動を縛っているのは

 ただ自分を守ってくれる男の性欲を刺激し続け
 ただそれを満たし続ける。

 それが彼女の思考の全てで
 唯一無二の道だった。

 ただ彼女を包んでいるのが
 雲にでものっているような安らぎと
 さざ波に揺られているかの心地よさである事が
 唯一の救いであり
 それ以上の物はもう....彼女には必要ではなかった。







 毛足の長い絨毯が敷き詰められた、役員専用フロア。
 その廊下の中央を、男が一人歩いている。
 その突き当たりにある多少大仰な扉の前に立ち、赤い明滅を繰り返すタッチパネルに暗唱ナンバーを入力する。

 ガチャッ

 開かれた扉の向こうは、床には御影石、壁は全て大理石が張られた四畳程の部屋。
 扉に貼られていた”役員用便所”の表示とは裏腹に、そこには有るべき器具類...便器や手洗いさえも一切無く、有るのは、ホースの繋がった水栓が壁に一つあるのみだった。
 その他にその部屋に置かれた物はもう一つだけ....片隅で心細そうに膝を抱えている、全裸の女。

 その女はしかしその自分の状況を悲しむ素振りも見せず、それどころか男の入室を見て取ると満面に喜色の笑みを浮かべて迎え入れた。

「あっ!来てくれたんだ、やっぱり優しいなぁ、加藤さんは。私、ずっと待ってたの、加藤さんの事。ずっと会いたかったんだ」

 手を後ろで組み、小首を傾げながら振りまくその愛らしさにも、言葉一つ返す事なく、男は女の前に立つ。

「んふ..加藤さん....愛してる」

 そっと胸に顔を埋め、腰に腕を廻す女。

「背広が汚れる....」

 そう冷たく言った男の言葉に、弾かれたように女が離れた。

「ごご、ごっ、ごめんなさい...もうしませんから、許して、ごめんなさい....」

 無言、無表情ではあるがここから出て行く訳では無い男の振るまいに若干安心したのか、おずおずと近寄った女は男の足下に膝を着き、恐れるように唇だけを股間に寄せ、歯にファスナーをくわえて降ろすと、舌と唇で器用にイチモツを取り出した。

「ああ、加藤さんの匂いだ....私の大好きな匂い...」

 そう言ってくわえ込んだそれを吸い込み、舐めつけ、一気に激しく首を前後する女。
 一心にその行為に没頭する女の頭をしばし見つめていた男が、ふいにその黒髪を掴むと股間から引き離した。
 不安そうな目で見上げた女だったが、男の瞳に宿る情欲を読みとると、いそいそと後ろを向き、磨かれた御影石の床に手を付いた。
 膝をピンと伸ばし掲げられた女の尻は丁度男の股間に合い、棒立ちのまま一向に動く気のない男の肉棒を自らの淫裂に埋め込んでいく。

「あ、あふぅぅっ...ああっ、気持ちいいよ、加藤さんのおちんぽ、すっごくおっきくて理美のおまんこにぴったり填ってるぅ」

 グチャグチャとたっぷり汁の混じった摩擦の音が石張の壁に反響し、増幅される。
 女があんあんと嬉しそうに喘ぎながら、真っ白な尻を懸命に振りたくっている。
 男は自分のイチモツに与えられる感触よりも、その女の痴態の方を楽しんでいるような視線だったが、ふと飽いたようにそれを抜き取ると、心配そうな目で振り返る女を見る事もなく、今度は少し上にあるすぼまりになんの予告もなく突き入れた。

「あああああっ、うぅっ、うれしいっ!そんな、所も、あああん、守って、くれるの?あっ、あっ、ちょ、ちょうだいね、一杯一杯、お薬ちょうだいぃぃぃっ!」

 しばらくはその強烈な締め付けを楽しむと、再び元の蜜壷に戻り絡みつくような質感に酔う。
 数回突き入れる毎に穴を入れ替え、異なる感触を交互に堪能する。それは何度繰り返されただろうか?もはや女には今どちらの穴が使われているのか、どの臓器が男の肉棒を食い締めているのか、理解できていなかった。ただ下腹の辺りで焼け付くような快感が生み出され、男に愛されている幸福がじわじわと全身に広がってゆくのを堪能していた。
 男に弄ばれる程に包まれる安心感、男の性欲がぶつけられる程に広がる安らぎ。
 そして飽きられるのを心底恐れる女が、どこまでも卑屈に、際限なくエロティックに変わり果てるのも当然の結果なのだろう。
 そんな、男の性欲を刺激する為だけに繰り出される痴態と艶のある声にようやく高ぶった男の股間は、より一層激しく揺すぶられ、やがてどちらにか注がれた男の精は女の肉襞に染み渡るように広がっていった。

「あぅぅっ、あっ、ああああっ、はいってくる...どぷどぷとはいってくるよ...加藤さんのおくすり...ああん...わっ、わたしの、きたないからだが、んんっ...きっ、きれいになるぅっ...ああっ、もっと、ちょうだい....おくすり..いっぱいちょうだいぃぃぃぃっ!!」

 男は特に表情を変える事なく女の尻からズボッとそれを抜き取ると、放り投げるように突き放した。
 恍惚の表情を浮かべたまま女は床の上にドサッと転がり、弛緩した体をヒクヒクと痙攣させながら媚びた視線だけを流し、気怠そうに口を開いた。

「はふぅぅっ....あ、ありがとうね、加藤さん....こんな汚い所、使ってくれ...」

 女の謝礼の言葉も終わらない内に再び髪を掴み引き上げた口元に使用済みの肉棒を突きつけると、女はやはり嬉しそうな顔で再び口にふくんだ。
 今度は性感を刺激する奉仕では無く、自らが汚してしまったそれをきれいにするように、隅々まで舌と唇で付着物を舐め取っていく。

 そんな熱心な奉仕の中、ふいに女の頭が両手で固定されると男の股間が一瞬ピクンと震え、女の瞳が驚いたように見開いた。
 そしてすぼまっていた頬が突然膨らんだかと思うと、喉がゴクゴクンと鳴らされ、女の目が再度嬉しそうに細まってゆく。
 食道を通り切らないそれを一滴でも零さないように堅くすぼめられた筈の口元から、黄色い液体が一筋流れた。
 それが少しでも男のズボンを汚したりすれば、すなわちそれは自分の絶望を意味すると、女は細い指で懸命に拭い取っている。
 白くたおやかな喉は10数秒も鳴り続けただろうか?それが終わった後もしばらく肉棒の掃除は続けられたが、やがてチュボンッと放たれたそれは、女の手で元の位置に戻され、ファスナーが上げられた。

「ああ、嬉しい...今日はお口にまで貰えたよ...お腹も一杯だし。もうこれで虫は来ないね?ホントにありがとう、加藤さん」

 そんな言葉に見向きもせず、排泄を終えた男はドアを開け、出て行った。

 すれ違うようにして、別の男が入室した。

「あっ!来てくれたんだ、やっぱり優しいなぁ、桐山さんは。私、ずっと待ってたの、桐山さんの事。ずっと会いたかったんだ」

 その台詞に、初めて加藤の顔から笑いが零れた。








「おっはよーございまーっす!!」

 監督員達が各現場の手配に忙しく動き回る朝の長澤建設に、明るく朗らかな挨拶の声が轟いた。
 いつものようにその良く通る声に喧噪は一瞬奪われ、全員の暖かな視線が注がれる。

 何人かが挨拶の代わりにその声の主に軽く手を挙げた後、再び巻き起こる喧噪の中、紅一点事務員辛島菜穂子が闊歩していった。




 ガガッ..そして......ガガッッ...ザザザザッ....ガッ、ガガ−−−−ッ、ピピッ....ザ−−−−−−−........................プチッ!

 
 
< 了 >


 

 

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