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第二章の13




「そろそろ出発の時間ですよ」
 いつものカーテンの開ける音と共にそんな声で眼が覚めた。

「ふあぁ…朝メシは?」

 上半身を起こしながら呟く。それほど寝てないが疲れはとれている。

「こちらに」

 そう言うとエプロン姿の華南は小さく盛られたサンドイッチの皿とコーヒーの乗っかったトレイを差し出してきた。
 身体を起こしさんきゅ、と言ってそれを受け取ると華南に状況を訪ねる。

「準備は?」
「皆さん早起きしてめかしこんでます」

 昨日の今日でよく調達できたもんだな。
 まぁ最悪、ウチの学園の制服は礼服―――ドレスと同様の扱いになる。

「せっかの具合は?」
「ちょっと熱っぽいですけど行く分には問題ないと思います。というより、少し無理をしてでも行きたがっています。
 とりあえず、佐乃ちゃんが付き添っていてくれますんでそちらで対応できると思います」
「…そっか。特に問題は起きてないならいい。ペアは?」

 聞くと千歳と俺、ひかりとみなぎ、雪花と佐乃、くいなと千鳥。後者が男装することになったらしい。

「―――ん、オマエは?」

 今、聞いた中に華南の名前は入っていなかった。
 雪花の世話をする話の時にも気になったがもし、華南が行くなら佐乃ではなく、自分の名前を挙げたハズだ。

「ペアになる相手がいませんから」

 苦笑してくる。
 どうやら留守番するつもりらしい。…ったく。

「…夜鷹に声をかけてくる。無理でもどうとにでもなる。だから着替えて来い」
「え、でもご主人様のお着替えを…それに化粧だって時間がかかりますし…」
「着替えなんて一人でできる。それにオマエなら化粧なんかいらない。薄化粧くらいなら良いがあまり濃いのはオレ自身、好きじゃない」

 そんなのは勘違いした成り金バーサンにでも任せておけば良い。

「要は行きたいか行きたくないかだ。どっちなんだ?」
「それはっ、その…ぃ…ぃきたいです…」
「じゃあ準備しろ」

「…っ! はいっ!ありがとうございます、ご主人さまっっ!」

 俺の言葉に破顔すると元気よく返事すると部屋を出て行った。
 同居して間もないが本人も洒落っ気が出て来ていたのか相当我慢していた。

「さて、と…」

 パクついていたサンドイッチをコーヒーと共に一気に飲み込むと俺は壁にかけられた新品のタキシードに手をかけた。


「…なんかすっげぇ、並んでんな」
「なんせ、直営店ができるのは国内ではここが初めてですから」 

 隣から声がかけられる。
 声の主…千歳は初めて乗るリムジンに落ち着かない様子でほぇーとなって見回していた。
 ちなみに大人バージョンだ。

 今の千歳と年恰好が似ているという祖母から急遽借りて来たという純白のドレスを手に持っていた。今は諸事情によりタキシードだがもちろん中でドレスに着替える事になる。
 ドレスは未だに祖父母の素性を知らない千歳が友人に貸すという名目で借り受けたそうだ。
 まぁ、本人達も成長した自分達の孫が着る事を見越したらしい。ドレスは素人目の俺が一見しただけで上等なモノだと分かるシロモノだった。

 そして、もう片隣には華南が、背後の仕切りの入った運転席と助手席にはみなぎパパと夜鷹が鎮座していた。…正直、代わって貰いたい。

 まぁ、幸い他の面子は目の前で今から行くパーティーのことで有頂天になっている。
 というより、今の俺を見て視線を合わせようともしない。
 まぁ、当然か。俺も普段の俺のことを知っていれば今の俺には話しかけたいとも思わない。

「…あれ、全員入れないんだよな」

 そう言ってスモークガラスの向こうの沿道に集まった群集を指さす。多分、500mはある。
 その中に学校の、いくつか見知った顔が見えた気がしないでもないが気にしないでおこう。

「半分は今日やってくる有名人見たさに来てますからね」

 そう言うのは華南。
 こっちはワザとだろう。豊満な乳がオレに当たるように…というか腕を埋もれさせてこっちに寄りかかってきている。
 それを見て、むー、と千歳が華奢な身体を押し付けてくる。こっちは男装のため、半分しか埋まらない。

 これはこれで心地が言い、いいのだが―――気が重い。

「…2人とも勘弁してくれ」

 そう、何故、千歳がタキシードを着ているのか。なぜなら今の俺は―――


 女、なのだから。


 ……出発する直前になって夜鷹の説得…というよりも普通に頼んだらOKをくれたのは良かったが夜鷹サイズのタキシードは俺のサイズ一着しか無く、俺のを差し出すことになった。
 そして困ったのは俺。なんせ着て行く服がない。
 制服があると言えばあるがマスコミや多くの人間が集まるであろう場でなるべく自分の所属と身分は明かしたくない。

 そんな折、千歳を大人にする為に指に嵌まったままのオリアクスの指輪がふと、目に留まった。
 自分のサイズを変更―――大人か子供になろうと思ったのだが、俺と認識されないための大人か子供サイズのタキシードは用意されていなかった。

 この時間では洋服店が空いていない上に華南の用意を待ち、千歳を大人にし、夜鷹を説得していた為、時間が押している。
 俺が行かないという選択肢もあるが…いや、多分それは通らないだろう。

 ……これしか、ないのか。
 ……あの時、俺は覚悟して溜息と何か大事なモノを捨てる決意を、した。

 かくして俺は女となり、その煽りを食った千歳が入場用のタキシードを着る事になった、というワケだ。
 俺が憮然とする中、華南がくすりと微笑みかけてくる。

「それにしても…御主人様、とても綺麗ですねぇ」
「…そんな世辞を言われても、うれしくない」

 ウソ偽りない100%の気持ちだ。

「お世辞なんかじゃないですよ。肌もこんなにつやつやで…」

 そう言ってつぅっとこれまた白磁のようなすべすべした白い指を俺の腕に走らせる華南。
 …ヤバイ、イタチの目だ。
 冗談じゃない。いや、マジでマジで。

「でも、ご主人様、本当にモデルみたいですよ」
 もう片方の美女からの天然で無垢な感想は俺を傷つける。
 
 …にしても女達はいつだってこんなカッコしてるってのか。
 まずは足元、今は座っているからいいが立つとヒールが痛い。ハンパなく痛い。
 つま先の細い靴で常時、爪先だちをして背伸びをさせられているのだ。痛くないワケがない。

 次にストッキングだが―――もう何も言うまい、というかストックを伝線させたため、既に素足だ。ちなみに華南が自分のを使わせようと脱ごうとしたが止めさせたことを付け加えておく。

 次に下着だが―――これが一番屈辱だ。
 両サイドにリボンでアクセントをつけた

紐パン

 が、何故か俺の股間に収まっていた。
 仕方ないといえば仕方がない。俺が女性化することが急に決まったものだからドレスに用意がない。

 なので華南からチャイナドレスを借りたのだが残っていたものはスリットが際どく、コレじゃなければ履かないしかない、というシロモノだった。

 ちなみに下着は勝負仕様。なお、コレも華南の物だが中古つーか穿かれた物ではない。あくまで新品を下ろした。

 俺はエロいかもしれないが変態じゃ、ない。と思う。うん、思いたい。
 …まぁ、コレを穿いてる最中から半ばヤケになってきたのは事実だが。

 ちなみにその上―――胸は今の千歳と同じくらいか。いや、下手するともっとあるかもしれない。なんせ、オリアクスがオロバスと相談の上、爆笑しながら女性化させやがった。おかげさまで服の上から谷間が作れる。
 …それによってさっきから時折、実妹の視線が突き刺さっているのだが、コレも気にしないで、おく。

 ちなみに背中が大きくはだけているタイプなので上は然るべき下着には収めていない。といってもトップが自己主張するようなマネはしていない。ちゃんとニップレスで隠してあるが収納スペースのない豊乳は俺の顔の動きから少し遅れて俺の向いた方に揺れる。
 ちなみにロクに動いてないのにすっげー肩が疲れてきてる。巨乳が疲れるって本当だった。

 胸はそれまでにして―――バックミラーに映った顔を見る。
 アゴと頬が若干細くなり、まつげが若干長くなった。
 いらないと思ったが薄く化粧もしてある。

 そして髪の毛は金と黒が絶妙のバランスで混じった髪の毛が腰まで垂れ下がっていた。
 仏壇の祖母さんの写真をカラーにした上で、髪の毛の色を変えたらこんな感じになるかもしれない。

「あくまで仮初めだ。中身まで女になったワケじゃ、ない」

 と、思う。いや、思いたい。

「…で?オレらみたいな一般人でも楽しめんのか?」

 マスコミは嫌いだ。 

「それは大丈夫かと思います。ファッションショーではなく簡単な立食形式のパーティーですし、ブランドの方もマスコミに関しては専門のスタッフと会見場を用意しているんであえてそちらに行かない限りは一般人である私たちが衆目を浴びるようなことは無いと思います」
「ふぅん」

 自分の伝手で案内状を得ているひかりが内容を伝えてくる。
 まぁ、なんにしても俺には関係なさそうだ。が、ここに来なければならない理由は二つほどあった。

 一つは、昨日クリスの言っていたヤツがここに来た理由の一つを知る為。
 そしてもう一つが―――…

「あ、着いたよ!」

 妹の声に思考が中断する。
 女性の守衛がやや上気した面持ちで夜鷹から封書を受け取るとそのままリムジンが建物の中に入っていく。
 どうやらまだしばらく続くらしい、螺旋状に車は降りていく。

「…………」

 ここでこういった事には疎い俺にもなんとなくこの異常性が感じられた。
 かじった程度の知識だがこういったファッションブランドは専門の工房を持ち、そこで出来た製品を街中にある販売専門のショップで売る。

 が、この螺旋の規模からいうとここはそうではないようだ。
 おそらく、この円錐形の地下構造そのものがこのサンドステージの工房に違いない。
 しかも規模からいって工房、ではなく工場、と言っていいほどの規模。それを地下に造っている。

 ここにクリス―――あの魔女が絡んでいるとなるとロクなモンじゃないだろう。
 まぁ、所詮は憶測、アイツは今日、ここに来れば分かると言った。ならばそれ以上の詮索はムダだ。
 地下の降車場につくとすぐスタッフによってエレベーターまで誘導された、大型のエレベーターは一度に全員乗り込んでもまだ余裕があった。

「うわぁ…」
 妹だけじゃなく、その場にいた全員がやや赤みがかったガラス越しに見える光景に感嘆の声を上げる。

 そこあったのは溶鉱炉。

 15×15×20メートル位の釜の形をした炉の中に赤く液体になった金属が泡を起てて掻き混ぜられていた。

 ―――まるで魔女の釜だ。

 こちらの上昇する室内は冷房が効いているというのに思わず汗が流れ落ちた。
 …なるほど、これがサンドステージたる所以、砂場の砂はただの砂ではなく、砂鉄だったということか。
 製鉄所ならば釜から定期的に型に中身が流され、ベルトコンベアに乗って鉄板がローリングされるのだろうがここにはそれが、ない。
 代わりに小口の射出口があり、そこからお抱えの職人(マイスター)たちだろう、が自分たちの作業に必要な分を鋳型に流し込んでいた。

「たしかに―――欲しくなるな」
 こんなモノを魅せられては確かに欲しくなる。

 それから地上2Fのモデルルームにつくまでエレベーターは無言になった。



「ようこそいらっしゃいました」
 鼻下に白髭を蓄えた老執事風の受付係に招待状を渡すと俺達はそのまま会場に通された。
 なお、タキシードを着ていた千歳、みなぎ、千鳥と佐乃はドレッサールームで着替えている。

 ドレッサールームから出てきた面子と合流し、会場に着くと案の定、白手袋の下に隠した指輪が俺に知らせてくる。

 ……やはり、思ったとおりだ。

 そう、ここに来たもう一つの理由―――それは指環使い。
 あのオカマが招待状をオレのところにだけおいていくか。

 否。

 おそらく、他の何人かの指環使いにはバラ撒いているハズだ。

 だが、ここは非戦闘地帯。ここで騒ぎを起こそうものなら瞬く間にこちら側の、より上位のモノに鎮圧されるだろう。
 それを踏まえてここに来る。
 それはここまで来るのに不思議ではなく、自信があり、そして勝ち残った人間。

 俺以外にもに配下の何名かが気付いて他の面々を回収しつつ、こちらに集まってくる。
 それは相手も同じ、俺の嵌めている指輪を感じ取ったのだろう。
 だんだんと近付いてくるのが分かった。

 現われたのは女性のペアだった。
 2人とも大きく胸をはだけた赤いドレスを着ていた。

「あらあら、やっぱこういう所には来るものですね…それにしてもまだ子供たちだなんて…」
「…そう、ですね」
「あぁ、貴方がリーダーですね。
 わたくし、九頭インダストリー支社長代理を任されております。高坂 真由美と申します」

「そりゃまた…お偉いさんがロクでもないモン持ってますね」
「私の持っている指輪なんて別段、役に立たない代物、お近づきの印に差し上げましょうか?」
「遠慮しますよ。タダより高いものもないんでね」
「ふふ、それもそうですね。では弊社に近々ご招待したいのですがよろしいでしょうか?」
「悪いが断るよ。行きたくなったらこちらから出向くとします」
「分かりました。それでは皆様のお越しをお待ち申し上げております」

 そう言って慇懃に頭を下げてくると用がなくなったとばかりに今度は男装した俺たちと同じくらいの歳の少女の元へ歩いていき、自分よりも年下のそいつを「会長」と言うとそのままと話し出した。
 その相手からは指輪の反応はない。

 というかどこかで見たことある気もしたが俺はソイツよりその隣にいた相手に目が行った。

「センパイ」

 思ったとおり、この会場では警戒する必要もなさそうだったので各員に散開を命じてかrあセンパイに声かけした。
 
 …あ、やべ。そういや今、女だった。

「あら、からす君、こんにちは、ごきげんようです」

 …気にするまでもなかったか。声をかけた途端、女性化した俺を一目で看破して高坂と話をしていたその男装のパートナーらしき女子に一言二言話すとそのままこちらに歩いてきた。

「これまた予想だにしない所で会いましたね」
「そうですか?高い確率で合えると思ってましたよ」

 さすがにその姿は予想外でしたけどねーと呟く。

「そういえば先日は図書館が開いてないようでしたけど…しかもその格好」
「あー…スイマセン。生死の境を彷徨ってマシタ。
 この格好も…なりゆきってヤツです、察してクダサイ」

 というか、パッと見別人なのにもかかわらず、それを見抜いて断言してくるこのヒトは本当、得体が知れない。

「あらあら、大変だったんですねぇ」

 俺にとっての生死をかけた一大事をこの人は小首をかしげてまるで醤油が切れてどうしよう、といった程度に困ったような声をあげた。
 …実際、この人にとって俺が死のうが生きていよう女になろうがどうでもいいことなのだろう。

「それよりセンパイ、今日は誰と来たんですか?」

 そう、ここはペアで来る場所でおそらく、この人も例外ではない。
 このヒトのペアになる人間……すげー気になる。とはいえ、この人の場合、どこでもフリーパスで入っていける気がするのだが。

「今日は会長さんと来たんですよ。わざわざ誘ってもらいましたので」
「会長って…九頭インダストリーのですか?」

 あの社長代理の女も彼女をそう呼んでいた。だが、先輩は首を横に振った。

「いえいえ、ウチの学園の学生会長さんですよ。もう、からす君、自分の通ってる学園の学生会長さんくらい覚えておいてくださいね?」
「…はぁ、すいません」

 アレが…心を読んではいけない相手、だったか。道理で近付こうとも思わなかったワケだ。

「で?センパイはココに何か用があったのか?」
「私も女の子なんですからオシャレの一つや二つしてもおかしくないですよ」
 どこまでも客観的な物言いだな。

「逆に聞きますけどからす君は何のようでどなたといらっしゃったんですか?何も手に入れてないようですけど…」
「人数分の招待券を貰ったのと命の恩人達にせがまれましてね。で、結局その連れ達もアクセサリーに取られましてこんな状態になってるってトコですよ」

 肩をすくめるとくすくすと先輩が笑う。

「あらあら、からす君もオシャレの前には霞んでしまいますか」
「えぇ、まぁ一人も悪くないものですよ」

 そう言って苦笑する。

「またまた、肝心な所でからす君も彼にそっくりですねぇ。女心が分かってる様で分かってない。
 心が読めても女心まで分からない様ではまだまだですよ?」
「はぁ…」
「彼女達はアクセサリーに夢中なんじゃないです。一人になった自分だけの所にからす君にきて欲しいからそういう態度を取ってるんですよ?
 なのに私の所に来ちゃったらヤキモチ焼かれちゃいますよ?」

 周りを見る―――と、確かに。それぞれが一人だけになっている。そしてそれを遠巻きに囲むように野郎共が集まってきている。

「あぁ、そうなんですか…ってか、彼って誰ですか」

 少なくとも俺に心当たりはない。

「ふふふ、内緒です♪」
 茶目っ気たっぷりに言ってくる。が、俺には何か悪巧みをしているようにしか見えない。
「それじゃ、あんまり自分を慕ってくれている女の子に冷たくしちゃダメですよ?センパイからの忠告です」
「…肝に銘じておきます」

「素直でよろしい♪では失礼しますね。
 ―――あぁ、そうそう、本当に会長だって分かりませんでした?」


10年前に会ってる筈なんですけど


 俺の反応を楽しみに待つような問いと眼鏡の奥で一瞬だけ光った好奇とも取れる深い視線。
 ……あぁ、アイツにも、貴女のその笑みにも覚えがある。

 つい先日、打倒した雁屋 柳也の過去のイメージの中。
 その微笑みはその森の中で木の枝の上で佇んでいた少女の―――……

 だが、俺はそのまま、澄ましてアイツに関してのみ 笑顔で 答える。

「学生会長だとは思いませんでした」

 そう、会長だとは思わなかった。だが、そう、確かにアイツが誰だかは知っていた。見間違えるハズもない。だからこそ近付こうとも思わなかったのだから。

―――森の少女。

 10年前、オレ達が一時収容された保護施設で俺とアイツともう1人は出会った。
 俺とは一言も言葉を交わす事はなかったが忘れる事はなかった。

「………」

「―――…らす君、からす君?」
「あぁ、すいません、ぼぅっとしてました。
 じゃ、センパイなんか掘り出し物があったら教えてください」

 すこし不自然になったが向こうもそれ以上の興味を失ったらしい。
 わかりました〜と、のほほんとした返答を貰って少女から遠ざかる。
 


 …さて、誰の所に行ったモンだかな…と思ったら全員が開場の関係者用のドアからぞろぞろと出てきた。
 どうやら大神隠し関係の話をしていてだいぶ気が動転していたらしい。

「どうした?そこ、関係者用の部屋だろ」

「ご主人さまっ。
 それが…オーナーさんに呼ばれて着いて行ったらみんなプレゼント貰っちゃいました」

 千歳がそう言うとみんなで俺を囲んできた。

「ん…顔見知りだったのか?」
「私は初めて知ったんですが…お爺ちゃんのお弟子さんだそうです。
 お爺ちゃん、デザイナーもしてるんですよ」

 何も知らないからか、千歳が自慢気にえっへん、と口にする。

「………」

 おそらく、何も知らないのはこの孫だけだろう、おそらく、デザイナーとしての師事は表向き、師事を受けたのは魔術かそれとも魔女術か、…ま、あのオカマが関わっている時点でマトモじゃないと踏んでいたがな。
 あと、成長したその格好でそんな事をしても似合わない。
 まぁ、口にする必要もないだろう。貰った袋を嬉しそうに抱える姿を見るとそんな気がした。

「どれどれっ…と」

 大きく印象が代わったのが佐乃とくいなか。佐乃は長い髪をほとんど収めるような髪留めが、くいなはヘアバンドにくろがね――――何か文字のような模様、ブランドロゴだろうか、制服の裾にもついている模様が刻まれている鉄板がスタイリッシュに付いている。
 ぶっちゃけ、鉢金といっても過言じゃない。それまでのものよりも随分と大きくなったのに様になっている。

「佐乃、その手に持ってるものは?」
 髪留めは一目瞭然で分かったがそれ以上に手に持った棒状の包みに目がいった。
「あ、はい、樹齢2000年を越えるヤドリギの枝を削って木刀にしたものだそうです」
「…いや、オレが聞きたいのはなんでこんな所でそんな物騒なモンをおまえが持ってるかってコトなんだが―――」

 入り口のボディチェックの時点では持っていなかったハズだ。
「先日の戦いで前まで使用していた木刀が折れてしまいましたのでお祖父様に都合していただいた所、あらかじめ自身の仕込み杖と一緒にこちらの刀匠に頼んでくれていました」
「…ここ、ファッションブランドだよ…なぁ?」
 それに木刀って…刀匠と関係あんのか?

「オーナーの連れ合いが元々、刀鍛冶だったんです。そのつながりで一部遼燕寺の家のものだったこの土地を都合したそうです」
「ここ、オマエのウチの土地だったのか?」
「聞いた限りでは。興味がなかったので詳しい話はあまり…」

 だんだん、ワケがわからなくなってくるな。
 まぁ、あれだけの貴金属細工を施せる錬金集団だ。顧客が多岐にわたっていても不思議じゃないし、遼燕寺の家に関しても代々続く家柄ならいい砂鉄の取れる土地を有していてもおかしくない。

 一方、逆に何も変わっていないように見えたのは―――
「…せっか、オマエもなんか貰ったのか?」
「うんっ!」

 そう言って上機嫌に制服をつまんでみせる。が、俺には何が変わったか分からない。

「…てか、いつの間に制服に?」
「学園の制服のプロトモデルだそうです」
「…それ、なんかいい事あるのか?」

 見た目は何も変わっていないが。

「素材と着衣した際の着心地等でしょうか…あと、ダブルシンボルが入ってます」
「ダブルシンボル?なんだそれ」
「SandStageのSSを捩ったデザインなんですけど普通、市販されているものは重ねられているんですけど何か特別な依頼があったときにのみ、ブランドシンボルのSが交差するように刻まれているんです」

 確かに。よく見ると雪花の制服の裾に刻まれているブランドシンボルがSが重なったものから鍵十字、分かりやすく言うと大戦期のおヒゲのオジサン軍のあの形のようになっている。

「各国の王家とか神事に使用される時にしか付けられないらしいんだけどこんなの貰っちゃって良かったのかなぁ…」
 自信なさそうな、信じられなさそうな顔で問いかけてくる。
「本当は別の人からの依頼で準備していたんだけどそっちは諸事情で他の物を準備する事になったんですって。それで制服に手を加えていないって話をしたらせっかちゃんが選ばれて」

 成る程、ね。
 ウチの制服は身元が分かるよう、私服が許されていない分、ある程度の原形を留めてさえいれば制服に手を加える事を許されており、多くの生徒がどこかしら手を加えている。その典型がくいなのミニスカだったりひかりのフリルだったりする。

 しかし、無個性というかおとなしめだったこの実妹は手を加えることなく、素のままの制服を着ていた。それがデザイナーのお気に召したのだろう。とんだ棚ボタだ。
 そしてもう一つの事にも納得。

「ある程度仕立て直してくれたんだけど少しぶかぶか」
 そう言って少し生地の余っている制服をなんとなく持て余したような声をあげる。

 確かに、本来、渡す相手が千鳥と同じくらいだったのか手足の先は詰めてあるのだがそれが無理な部位の生地が少し垂れている。
 特に胸の部分が。とは言わない。俺は素で地雷を踏むような真似はしない。
「まぁ、卒業する頃には丁度いい具合になってるだろ」
 オマエはどこの男子学生のオカンだとか思ったが脳内スルーする。

「にぃさま、たぶん、その服の人、あそこ」
 そう言ってモノクロのゴシック調のドレスを着たみなぎが指差した先には―――
「あ、ひのっち」
 くいなが声をあげた。

 そう、そこには休学中の級友、外乃宮 丁がそこにいた。
 仲のいい千鳥と担任である千歳が即座に彼女の元に近付いていく。
 俺はというとそのまま簡単に手を上げて挨拶するとむこうはどこか無理のある顔で微笑み返してきた。
 …なんかいつもと様子が違うが…まぁ、いいか。そんなに親しくもなかったし。

「…オマエ等は行かなくていいのか?」
 いつもだったら真っ先に飛んでいくであろう隣にいたくいなと親しかったひかりに話しかける。

「えと、はい…」
 彼女を見た途端、少し元気が無さそうになって応える。
 それを見て怪訝な表情をした俺にひかりが解説をいれてくる。

「…彼女、休学中ということですが本当は喪中…両親を失ったんです」

 ――――!
「! 本当か?」
「はい、どういうわけか警察の上層部に圧力がかかっているんで公表はされていませんが何かしら事件に巻き込まれた可能性が高いようです。
 先日、みなぎに例の御菜雨さんの捜査資料を頼んだ際、分かりました」
「それにあの子、こんな所に来るような性格じゃないから気晴らしにでも連れてこられたんだと思いますよ。だから今はそっとしておかないと」

「あの2人はほっといていいのか?」
「なにも事情を知らないならそんな事感じさせないでしょう。丁さんは敏いからその事を知っている人間が近くにいるだけで思い出しかねません」

 くいなも同意したように首を少し頷かせる。どうやら右に同じらしい。

「さっきから気付いてました。本当は何があったか聞きたいんですけど…彼女の連れ、例の御菜雨さんの妹さんですし」

 くいなの視線の先にいた男装の麗人がヤケに高圧的な態度で外乃宮に話しかけたかと思ったら説明を受けて千歳にお辞儀をした。
 アイドルをしている双子の妹の世話になっている相手だからか。

 …ん、待てよ。

「双子ならなんで学園に入っていないんだ?」
 この地域の教育機関はウチの学園だけだ。そして双子なだけあって本人も胸が貧相なことを除けばアイドルをしていても不思議じゃない容貌をしている、というかあまりムネ、関係ない。

 いくら俺が他人に興味がないといってもあれだけの容姿をしていれば嫌でも覚えているはずだ。

「あ、やっぱりご存じありませんでしたか。
 有名な話でみんな知ってるんですが…彼女、極度のブラコンらしくてお兄さんと同じ学年になるために海外留学して1年で高校卒業の資格を取って帰国、力技で特例を貰って大学検定の受験資格を取得して合格。今じゃ彼女のお兄さんや今度、3Fに入居してきたお姉さんと同じく学院の方に通っているそうです」
「…それなんてエロゲ?」

 そんなツッコミを俺がしていいのか分からんが口に出た。

「…自分はそれ以上だって自覚はないんですか?」

 すかさずひかりから呆れたようなツッコミがやってくる。

「………」

 ……ない、と思いたい。

「ところでご主人様は何か欲しいモノってないんですか?新しいアクセサリーとか」
「特にはないな。あっても嵩張るだけだし」

 サンドステージといえばアクセサリーで有名らしいが生憎とネックレスもイヤリングも趣味じゃない。
 指輪は嵌めきれないほどにある。
 何か欲しいとは思ったものの、明確な何かかを思いつかない以上、手にすることもなかった。

「そーいやひかり、オマエは何を貰ったんだ?」
「これです」
 そう言って手を掲げる。すっと俺の前に差し出されたひかりの腕にはそれまで嵌めていた白色とは異なる朱鷺色の長手袋が収まっていた。二の腕全体に細かいレースが施されている。
 みなぎもそれに合わせてこちらに同じように黒色の長手袋を見せてきた。

「この子も同じ物を貰いました。12色ある内の2つだそうです。ダブルシンボルなのでそれなりのモノなのでしょう」
 そう言ってサンドステージのダブルシンボルを手に入れたことで機嫌が良くなったのか珍しく微笑んできた。

「千鳥は?」
「これよ。制服にも和服にも使える帯止め。限りなく細くした銅糸で編み上げられているんだって。神社で使うって言ったらお姉ちゃんの分まで貰っちゃった」
 
 そう言って絹よりも光沢の増した朱色の帯を見せ付ける。
「なんか重そうだなぁ」
「最初はそう思ったんだけどねぇ、かなり軽いわよ。サンドステージは実用性重視のブランドだからねー」
 そう言うと大事そうに帯の入った袋を大事そうに抱え込む。

「華南は?」
「靴です。佐乃さんと同様の…その、実用品です。正直、助かりました」
 そう言って華南がスリットに隠れていた素足を丸々見せてくる。
 やけに色っぽい足のその先は以前よりも鋭さを増したようなヒールを称えた宝石と金属によって彩られた靴に収まっていた。
「これでまた御主人様の役に立てます…っ」
 本当に嬉しそうだ。

 にしても…やけに用意が周到だな。
 というより、用意されていたのか。なんせ、佐乃の実家とクリスの野郎が裏で一枚かんでいるのだから誰が何を欲しているかなどなんら不思議じゃない。
 もしかすると朱鷺乃家も絡んでいるのかもしれない。ダブルシンボルを貰っていたこともそう考えると納得できる。
 まぁ、害があったわけじゃない。これはこれでよしとしよう。


「―――………」
 そこでふと、ある光景が目に入った。
「…悪い、少し一人になる―――付いてくるな」
 はっきりと命令し、その場を後にした。



 会場の片隅、そこから会場にいる人間を値踏みするように見ていた男女の片割れに声をかけた。

「久しぶりだな。白鷺」
「………何て格好をしているんだ、キミは」

 苦虫を潰したような顔での問いに俺は笑って答える。

「成り行きでな。それよりどうだ、新しい生活は」
「概ね良好だよ。城作りも、指輪狩りも、ね」
「そりゃ結構」

 言ってる事にウソはない。そしてしばらくしない内に中身もそれなりに変わったようだ。
 芯が据わって多少の事には動じなくなっている。
 …こいつぁ、めんどくさいのを見逃しちまったなかな。

「学園祭の準備は良いのか?」
「あぁ、9割方終わってる」
「…そうか、事を構えるのはその後の方がいいか」
「いいのか?」
「少なくともボクは、ね。他の連中に関しては知らないが…たとえ騒ぎが起こったところであの学園なら問題ないだろうがね」
「恩に着る」
「別に。相手なら他にもいる。やっかいな相手が動かないという確定情報はあって困る事じゃない」

 すげなく言うとそのまま通路の先へ行く。話し終えた、ということだろう。

「……あの魔女が何を考えているのかは知らないがボクはボクの為すべき事を為す。
 その為には邪魔する者は全て粉砕する」
「…上等。でだ」
「?」
「オマエ、誰と来たんだ?」
「あぁ……くろがね」

 そう言うと隣の大人しい…というよりは少し翳りのある整った顔の少女が出てきた。
 年頃は俺たちと同じ位か、それとも少し年下か、いや、大事なのはそんな所じゃない。

「―――…能力を使っていないのか」

 それは即ち俺達のしていたことを指す。
 その上、指環使いでもない。

「…力ずくで何もかも手にいれられるワケじゃない」

 思う所でも会ったのか蔑むような目で俺の方を見る。

「違いないな」

 皮肉に鼻先で笑って返答する。

「キミは…本当に変わらないな。不思議で仕方ないよ」
「そんなこと言われてもな。まぁ、なんにせよ元気でな」
「殺しあうかもしれない相手に元気でな…とはね。まぁ、そちらも息災で」

 そう言って背を向ける。もうここに用はない、ということか。

「………」

 気がつくとくろがね…とか呼ばれていた白鷺のパートナーがこちらを見つめていた。

「ん?なんだ?」
「…しろがね…」
「しろ、がね?」
「しろがねをよろしく」
「はぁ?」

 ワケが分からないことを言って白鷺と共に去っていく少女。


「なんだかな…」
「からすセンパイ」

 背後からめったに聞かない呼び方をしてきたのは佐乃…か。少し慌てた感で近寄ってきた。

「せっちゃんが…ちょっと具合が悪くなったらしくて…」
「すぐ行く」



 ひらけた通路に設置してあったソファの上で雪花が華南に介抱されていた。

「あ、ご主人様」
「ここでそれはマズいだろ」
「大丈夫、私達以外いませんから」

 確認済みです。と言って華南がこちら微笑みかける。

「せっか、どうだ?」
「ん、かなんさんのフトモモ気持ちいぃ…」
 …そうとう、キてるっぽいな。

「―――あちゃあ、ダメだろ。完全に相性が反対だ。そのままだとその娘、もたないぜ?」
「…へ?」

 それまで誰もいなかったハズの空間に二つの影が現われる。

「あ、貴方は…っ」

 華南が思わず戦慄し、声を震わせる。無理もない。背後では佐乃も臨戦態勢に入っている。
 一人が先日、俺の城に現われた魔女にしてかつて華南に指輪を与えた張本人。

 そしてもう一人が―――
「あー…悪ィ。アンタのコト知ってんだが名前が出てこない」

 たしか隣のクラスのヤツで有名な作家の……

「あぁ、名前なんてこの際どうでもいいだろ。ま、オレ様はオマエさんのことを知っていたがな―――カラス。まさか女になってるとは思わなかったけどな」
「まぁ、そうだな」
 なんせ知りたければ隣のクラスに行けばいい。

「……で?オレの妹がもたないってのはどういうことだ?急ぐのか?」
「うんにゃ、俺は指環使いじゃないし、専門じゃないから分からんがコイツから聞いてる争奪戦とやらの間はもつんじゃね?」

 あまり関心がなさそうにいう。
 ―――いや、事実、関心がないのだろう。おそらく、コイツもセンパイと同様、自分の身内以外は路傍の石と変わらないに違いない。

「……原因は?」
「属性が反発してんだよ。
 元々、水…いや、氷の気が強いのに火の魔神と契約してどうすんだ」
「契約には関係なかったぞ?」
「それはコイツの造ったモンで強制力が高いからだ。オマエさんみたいなこのオカマが選んだポテンシャルが高いヤツならともかく、今まで一般人の生活をして回路の閉じていた連中にはまず、回路を使用することが負担につながる。
 相性が悪いとなると最悪、命に関わる。普通なら最初から無理なモンだが…
 元々の先天資質さえあれば無理矢理抑えこめるのがタチが悪い。
 嬢ちゃんがいい例だ。かなりムリしてただろ」

 射すくめるような視線。それはまずオレに突き刺さり、そして華南の膝枕の上に横たわる妹に突き刺さった。

「…っ!そうなのか?せっか」
「…うん、でも、もうだいじょうぶ、だよ、ほら」
「帰ったらすぐに契約を解除するぞ」
「…いや」
「せっか」
 頑なに拒否する―――が、こればかりは聞き入れられない。

 このままでは埒が明かないと思ったのかメガネが再び口を開いた。

「―――それ、ウチの制服のプロトタイプだろ。何故、ダブルシンボルなのか知ってるか?」
「…いや、知らない」

 だが、今はそんな事、関係ない。

「嬢ちゃん、もし、ソイツの力になりたいんだったら普段からその制服を着ているんだな」
「だから、なんの関係がある。服なんか着たところで……」
「変わるわ。劇的に」
「なんだ、それ」
「言ったでしょう?補助次第だと。
 ダブルシンボルはこちら側の細工が施してある特別製なのよ。だからある程度融通が利くようにはなるわ」
「ある程度?」
「えぇ、無理が我慢になる程度には、ね」
「そんなの許容できるか」
「それを決めるのは本人だろ。まぁ、お前にもできるんだろうが―――な」
「礼は言っておく、が…言いなりになる気はない」

「さて、な。アニキなら妹は大事にしないと、な。
 あと、礼なら今度の体育、合同だからな。同じチームになった時くらい実力出してくれりゃそれでいい」
「そんな事ぁない、オレにとっちゃアレが全力だ」

 間違いない。コイツのこの匂いはあのヒトと―――センパイと同じ匂いだ。

「ま、それがオマエさんの処世術ならそう言うことにしておこう」
 メガネの奥に食えない笑みを称える。

「それよりこのオカマとどういう関係なんだ、アンタ。
 オレの見識で言えばロクでもないってのが大方の予想なんだが」
「まぁ、ロクでもないのは当たりだな。つってもこのオカマとはただのダチだよ。ホントは他のダチと来るつもりが強引にパートナーにされちまった。知り合いは多いが友達すくないんだ、コイツ」
「あぁ成程」

「なによう、失礼ね。友達なんて…えーとえーと…」

 そう呟きながら両肘両膝を着いて挫折する。

「ま、こんな感じだ。もし良かったらよろしくやってくれ」
「冗談。コイツのおかげで死にかけてるんだ」
「ま、それもそうか―――だが、後悔しちゃいないだろ?」
「今のところは、な」

 なら結構、といってそのままクリスに先に言っている、と告げて会場に戻っていく。

「……で、オマエは行かないのか?」
「んもぅ、いけずねぇ…で?アタシがここにいるワケが分かった?」
「なんとなく、な」

 正確な事はわからない。
 だが、卓抜した錬金の技術に絡まりあった交友関係、そして、新たに姿を現した過去と指環使い。
 …ある意味、ここは始まりの場所だったのか。

 ここで指輪は鋳造された―――

「……オマエはオレに何をさせるつもりなんだ」
「……なにも。なにもする必要なんかないわよ」

 …それは、きっと、特別なことをしなくとも望みに進むからか。もしくはもうされたあと、ということか。

「そうか、なら、オレはオレのしたいようにするだけだ」
「僥倖ね、それじゃ、アタシもそろそろお暇するわ。
 今度は…指輪が全部揃ったときかしらねぇ?また、会えるといいわね」
「冗談。こちらはこれが最後にしたいくらいだ」

 だが、戦いの渦中にいる限りそれは無理な話だ。

「じゃあ、またな」
「えぇ、またね」

 そう言って魔女は去っていく。


「…華南、大丈夫だ。警戒を解け。佐乃もだ」
「は…はいっ」

 そこまで殺気立つ必要もないのだが…ふと、いつの間にか握られた俺の手のひらを見ると汗が滲んでいた。…案外、人のことは言えないな。


 そう自虐的に微笑むと雪花に顔を向ける。

「せっか」
 びくっと身体を震わせて上目遣いでもちらを見てくる。
「ごめんなさいお兄ちゃんっ、フェニックスさんもごめんなさいって言ってくれるの。
 だけど私、お兄ちゃんの…っ」

 手を頭に近づけると再び身体を震わせてガードするように頭を覆う。


 ふぅ…嘆息すると手袋を取り、指輪を外して雪花の頭に手を乗せて撫でる。

「もう止めろとは言わない。
 その代わり、ムリはするな。辛くなったりしたら回りの連中を頼れ。それくらいはできるな?」
「お兄ちゃん…っ」

 半べそをかいて頷く。
 ったく、命を助けてもらって言うのもなんだが強情な妹だ。

「じゃあ、そろそろ帰るとするか」
「え?」
「もうオレの用も済んだしな。まだ用とか済んでないようだったら手伝うぞ」

 それに今週で学園も1学期を終えると同時に学園祭に入る。
 なるべく休める時に休んでおいた方がいい。

「そう、そうだよね…」

 なんだか雪花が思いつめたように言う。


 …センパイには悪いがやっぱ女心は分からないんでダンタリオンに頼ることにする。

「………」

 うわぁ…甘ったるすぎる…読まなかったことにしよう。


「あー…悪い、今日は帰る。また今度な。買い物は夏休みに付き合ってやるから」
 一番嫌いな大人の対応だが、今回ばかりはこれに頼らざるを得ない。
「うん…」
 悪い、妹よ。
 お兄ちゃん、そんな歯が浮きすぎて入れ歯になりそうな台詞、とてもじゃないけど言えません。


 挨拶がまだ半分も済んでいないので、ということでひかりとみなぎは会場に残したままマンションに帰ってきた。

 一緒に帰ってきた面々は目当てのものが手に入ったのか、それとも思いがけないサプライズがあったことに喜んでいるのか満面の笑顔だったりする。
 ちなみに姿が見えないと思った夜鷹はパーティー会場に入った後、パーティーが始まる前には車に戻ってきて待機していたようだ。なんて賢い真似をしてくれたんだ。

 マンションに帰ってきた今では夜鷹は自分の部屋へ戻り、他の面々は何故か俺の部屋にやってきて華南の入れたお茶を飲んでいた。
 ちなみにみなぎパパはひかりとみなぎの送迎があるのでそのままリムジンで会場まで戻っている。

 一息ついて華南がみんなを代表するように俺に問いかけてきた。

「それでご主人様、誰が一番綺麗になりましたか?」
「……なんだ、それ」

 怪訝な顔でうめく。…なんか嫌な予感がする。

「いえ、今晩の―――」

「ストップ。やっぱりか。たまにはオレの股間休養日……」

 と言いかける。が、待て、そんなのはオレのキャラじゃない。

「…ふぅ、でもいいのか?今のオレは女だぞ」
「ご主人様こそ、良いんですか?女の子のままで。女の子のことなら―――」

 私たちの方が一枚上手ですよ?
 周囲の目が一斉に俺を貫く。

「―――」

 ぞくり、とするような笑み。
 そうだった。少し考えれば分かる事。
 このままではこちらが不利なのは明白だ。
 だが、責められっぱなしは性に合わない。

「―――ふん、女のままで不満なのはお前達の方だろう」

 そう言って指輪を起動して身体の一部を元に戻す。

「まぁ、ご主人様…っ」

 ごくり、と華南が好色な目で俺の股間―――女性ものの下着からはみ出ている屹立した亀頭を見て喜びの声をあげた。

「ほら、相手をして欲しかったら服を脱いで隣の部屋に来い」

 そう言って自分はチャイナドレスを脱ぎ、女の身体のままガウンを羽織って隣の部屋に去っていく。
 誰を抱きたいか、ではなく誰が綺麗か、なんて問いかけをされて誰かを選ぶよりもこうした方がよっぽど楽だ。


 裸体の少女達が時間をかけてドレスを脱いだ順に入ってきていた。

「今度は女の子になるなんて節操無さ過ぎですっ

 せっかくまた…シて欲しかったのに…っっっっ!!!」

 そう言って何故か怒ったような声を上げて千歳が俺の乳房を愛撫しながら頂きに舌を這わせてくる。

「…ちゅぶっ、れろっ、ちぅううっ…ふぁっっっっ!!」

「んっ…!仕方ないだろう、できればオレだって避けたかったんだ」

 大きい方が感じないって話は聞くんだが、なんだかんだ言って男の時よりも性感帯としての感覚は上がっている。
 ちなみに今回は昨日の千歳の時のようにリミッターは忘れていない。
 どんなにイッたとしてもギリギリの所で意識を保っていられるだろう。

「お兄ちゃん…?でいいのかな…おっぱい、おおきぃ…」

 さっきまで親の敵を見るように見ていたのだが、絡み合う事になって今度は羨望の対象になったらしい。
 そう言うと妹が片方の頂きに吸い付いてくる。

「んくぅっ!おまえら…っ」

 悔しい…っ!でも感じちゃうぅ…っ!じゃない!

 バカなことを考えそうになって正気に戻るが2人の舌先が再び悦楽の壷に引き戻そうとしてくる。

「ふうぅ…っ、くそっ!」

 このままじゃ本当にコイツ等のオモチャになりかねない。
 それだけはお断りといわんばかりに俺は指輪を起動させる。
 すると―――

「きゃっ!」
「ふぅん…っ!」

 一斉にに呻いて股間を押さえ、身体を震わせ出す。

「い…いったい…て、きゃっあぁぁっっっ!!!?」
「こ…これ…お館様…っっっ!!?」

 そういう従僕達の股間には勃起した男根と同じサイズのクリトリスが存在していた。

「オレばっか責められても困るんでとりあえずオマエらのソコを肥大化させただけだ。
 コトが終わったら元に戻す。じゃないと―――」

 手近に在ったくいなの肉茎を乱暴に掴んで2、3回シゴく。それだけで―――

「ひぁッ!ああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!!」

 身体を大きくビクつかせ、擬似根の根元から潮を噴き出してベッドに沈む。

「あくまでオレのコレと違って大きくしただけだからな。

 空気に触れるだけでもかなり感じてるだろ」
 竿のように感覚が鈍い場所はなく、全体が亀頭のように敏感な器官になっているようなモノだ。
 その証拠にそれまで俺を這っていた手が空気に触れるのもキツいとばかりに各々の股間に納まっている。

 ようやく人心地ついたところで俺は思いついて口にする。

「そうだな…今日組んだコンビで絡まりあえ、千歳は華南とだな。残った連中と遊んでやる」

 そう言うと恥ずかしそうに前屈みになった牝たちの狂乱の宴が開始された。

「佐乃ちゃん…四つん這いになって…ううん、なりなさい」
「あぅ…はいぃ…っっ」

 久々に女主人のスイッチが入ったのか雪花が佐乃に命令をする。
 佐乃もこれからされることを想像して身体を奮わせて主人の言うことに服従して雪花に向けてとろとろになった自分の秘裂をくちゅり…と拡げて見せる。

 その拍子に佐乃の蜜壺から垂れた淫液が佐乃のクリトリスを伝って腰をビクつかせる。
 一方、雪花も敏感になった自分の淫核を少し撫で上げて身体を奮わせたかと思うとそのまま佐乃の淫裂に宛がって耳元でささやきかける。

「じゃ、いくね?佐乃ちゃん…んっんふぅぅぅぅ…っ」

ぬっ…ちゅぅっ…ちゅぶっ、ぐちゅぅっ!!

「ひっ!ひめぇぇぇぇぇっっっっ!!!…ふああぁぁっっっっっ!!!!」
「うぁはっ!? きてるっ、あ、あっあっ、あああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

 二重の喘ぎ声が響き、どんどん高くなっていく。

にゅるっ、ちゅぷっ、にゅるるっ、ちゅぱっ、ぬりゅうっ!

 佐乃の淫裂に自分の淫核を出し入れしながら、俺にいつもするのと同じ要領で佐乃の擬似チンポをシゴいていく。

「どう…っっ!?キモチいいっ!?んっっっ!!佐乃ちゃんのおチンポこんなにビクビクってしててその度に私のおチンポ締め付けてくるよぉっ!」
「ひぁ、あ、ぁひっ!ひああぁあああっ!ひぁっッ!ふうぅぅん・・・っ!んっ、あぁんっ、しゅっ、姫のオチンポぉっっ、しゅごいれすぅ…っっっっっっ!!!!!」

びくっびくびくびくびくびくびくびくんっっっっっっっ!!!

 互いに立て続けにイっているのだろう。不連続に身体を震わせる度に新たな快感を生み出し、交じり合った淫液で更に絡まりあっていく。

 一方、斬新なのはくいなと千鳥か。

にゅぷっ、くぷんっ、ちゅくっ!ちゅっ、ちゅぽっ、ぬぷっにゅぷんっ!
じゅぼっ、ちゅぶっ、ぐちゅぅっ、ぬちゅんっ!

「ん、はぁっ、あ…うっ、ふあぁんっ!ひぁ…ひあああぁぁぁぁっ!!!」
「きゃふぅっ!ひあぁっ!ひぅぅっ!はぁ…んはぁ…っ!ふぁっ、あああぁぁぁぁっ!!!」

 互いが仰向けとうつ伏せになって下半身を交差させ、相手のクリトリスを自分の淫裂に挿入させている。

ぬちゅぅ…にちゅっ…ぬちっ…ちゅぬぅっ…ぬりゅう…ずっ…ぬぅっ…にちぃっっっ!!

「きゃふっ!くっくいならめぇっっっ!!!!ボッキ…勃起クリトリス…、こっこすちゃああぁぁぁっ!
イく…っ、またひっちゃ…イくッ!!イくッ!!イっちゃあああぁぁぁぁっっ!!!」

「あっ!あはぅっ!んっ、んはぁっ!ひぅっ!くふぅんっ…っ!どっどぉっっ!!?
 ちどりっっ!!これでっっっひっ!!?ひああああぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 最初はぎこちなかったものの、慣れてきたのか積極的に相手の感じる部分を攻め立てるのは良いのだが、同じだけの刺激を自分が受けることになりどちらが優勢か分からなくなってきた。


 そして最後のペアを見る。
 絵的に一番すごいのがこの2人。大人版の千歳と華南だ。

「んっ…んふぅんっ、んむ…あん、ひぁむ!…んむむぅっ!」
「ぷっ、は、んん、ちゅ、ちゅぅ……! ふ、はふ、ん、んぅ」

ちゅっ、ちゅうっ、ちゅるるっ!ちゅぷっ、にゅるるっ、ちゅぱっ、ぬりゅうっ!

 互いにパイズリをしながら肉棒の先を加えている。

「は、ふっ、う……んちゅ、れろ、はふ、ぅ、んん、っちゅ、ちゅぷぅ…っ、んく、ん…っっっっ!!」
「ちゅぶっ、ぬちゃっ、れちゅれりっ、べちゃっ、れろれろれろっ、ん〜〜〜っっっっ!!!」

 さすがに未知の感覚にイキまくっていて互いの巨乳がベタベタになっている。

「あぁ…んっ…ふぅっ…んっ、うぅんっ……っ!ん…んむっ・・んんぅ…ふぅっっっ!!!」

 どうやら乳奉仕に慣れていない千歳に比べて普段からしている華南の方に分がありそうだ。


「………」

 みんながみんな雪花のように犯しあうモンだと思ったが…意外に大人しくまとまったな。
 ちょっとした仕掛けをしたんだが…まぁ、無駄にならなかっただけよしとしよう。

 そう思いながら雪花と佐乃のペアを見ていると佐乃が驚いたように雪花の方を振り向く…が、雪花は相変わらず佐乃の蜜壷を味わうべく腰を振り続けている。
 それどころか段々と身体をビクつかせるペースが上がっている。

 そして、犯されている佐乃は今度は信じられないようなものを見る目でこちらを見てくる。

 あぁ、その通りだよ、佐乃。

 女の膣中に入れた淫核は段々大きく、そして、更に敏感になっていく。
 その証拠にイカせまくって佐乃を気絶させるつもりの雪花の動きがほとんどなくなってきている。もう佐乃の膣中で擦れるだけでも気絶するほどの快楽に襲われているのだろう。

 同様に千鳥とくいなも互いに擦りあわせている淫核と性器の周りはイきすぎてお漏らしをした様に互いの胸元あたりまで淫液の染みが広がっていた。


「らめっまたイっちゃぅぅっっ!!あぁうっっん、ひぃあぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」
「ふあぁぁぁっっ…っ!!!」

 まるで佐乃の膣中に射精するかのようにガクガクと弓なりに痙攣してそのままベッドの中にどさっと倒れこみ、その拍子に雪花のクリトリスの抜けた佐乃の淫裂はぽっかりと穴のあいたように奥がてらてらとぬめっているのが良く分かった。

「とりあえず、佐乃の勝ち抜けだな。さぁ、こっちに来い、佐乃」
「は…はいぃ…」

 息も絶え絶えに近づいてくる。
 このまま各個撃破していった方がこちらとしても楽でいいのでそのまま佐乃に絡みつく。
 じゃないとさっきの二の舞だ。

 むしろ―――

 がっ

 思いにふけっていると突然、両腕を掴まれた。

「な―――!」

 驚いて両脇を見ると顔だけではなく体中が茹で上がった様に火照った華南と千鳥が立っていた。
 くいなと千歳はあられもない姿で気を失ってベッドに撃沈していた。
 眼前には勃ったままの2人の肉棒がやたら毒々しく隆起しており。2人とも息が荒く、すっかり出来上がっていた。

 あ、ヤバい。
 危惧していたことが具現化した。

「はぁ…っ、はぁ…っ、じゅーじぃ…っっ」
「はぁ…っはぁ…っ、ん…っ!ごしゅじんさまぁ…っっ」

「ちょ…ちょっと待てオマエら…っ!」
 慌てて静止しようとするが、2人とも聞く耳を持たない!

 くそっ、くいなと千歳だったらまだいうことも聞いたんだろうがこの2人は多少、暴走しても許される…というよりもお仕置きしてもそれがご褒美になるような2人だ。
 強引に止めようにも佐乃が俺に身体を預けていてうまく動けない。
 どんどん2人のなすがままにされていく。

 華南が俺の後ろに回りこみ、下敷きになる形で自分に身体を預けさせてくる。
 俺だけではなく、佐乃の分の体重も若干かかっているにもかかわらず、そのまま四肢と胴の位置がフィットするように合わせてくる。
 その下半身に這う感触にぞっとするものの、今やまな板の鯉。足を動かそうにも今度は両膝裏を千鳥に持ち上げられている。

「じゅーじ…じゅーじズルいよぅ…っ、いつもこんな気持ち良い思いしてたなんて…っっ」
「ま…待て…ま…まさかオマエら…っっっっ!!!」

 2人とも淫蕩に微笑む。そして―――

んちゅうぅっ…ぐちゅぅっ、ぬちゅうっっっ!

 自分の淫核をこちらの前後の穴に挿入する!

「くっ!ふうぅぅぅっっっ!!?」

 ほとんど前戯もせず挿入されたにもかかわらず、あっさりと愛液まみれの肉棒を飲み込む俺の女性器。
 それどころか―――

ぬちゅりゅぅ…っ、ぬちゃぁっ、ちぅっ
ぬちゅくちぅ…っ、ねちゃっじゅぷ…くちゃ…っ

「くぅっ!はああああぁぁぁぁぁぁ…っっっっ!!!!」

 経験もない俺の前後の淫裂がきっちり2本挿しの挿入を快感として受け入れていやがるっっっ!?
 ちくしょ…ぉ…オロバスとオリアクスめ…こんな所まで面白がって開発していやがった…!

にゅぷっ、くぷんっ、ちゅくっ!ぬちゅりゅぅ…っ、ぬちゃぁっ、ちぅっぐちゅぅっ!!!

「はぁっ、んっ……!あぁっ!くふぅっ!」

 前後の不連続性の挿入に軽いアクメがさっきから止まず、身体中が敏感になっていくのが分かる。
 だが、まだ。まだだ…この程度ならこの2人が果てる方が―――

「お…やかた…さまぁ…っ」
「―――!」

 マズいっ、佐乃が動き出した!

「ん…っ、んぅうん…っ」

 ふらつきながらもやや前傾視線になりつつ、俺と向き合って中腰で腰を浮かせるとそのまま自分の淫裂の中にそれまでフリーだった肉棒を埋没させていく!
 そして、そのまま俺に挿入した2人の前後運動に連動するように喘ぎだし、胸に置かれた手は倒れないよう、バランスを取るかのように双乳を愛撫していく。


 コレは…やばいッ!
 雪花の膣内に入れていなかったおかげか、最後に残った上の口でしゃぶらされなかったのは良かったものの、無理矢理、男性器から送られてくる快楽信号に目がちかちかして喘ぐ。
 ただでさえ、アナルの挿入で前立腺を刺激されて、絶頂するたびに射精なき絶頂がきているのだ。
 このままの狭い佐乃の肉壺でシゴかれようものなら果てない方が無理だというものだ。

「ひぁ、あ、ぁひっ!ひああぁあああっ!」

 思わず、喘ぐ。
 身体は小さくイキ続け、敏感になっている。
 それに呼応するかのように俺に挿入している2人の異物の大きさが増してきており、肉壁一枚隔てたところで擦り合わせるようにビクビクっと2人の快感も頂点に達して続けている。

「じゅ…じゅーじのオマンコ気持ちよすぎるぅぅぅっっっ!!!
 勃起クリトリスっっ、とま…とまらにゃいよぉぉぉぉぉっっっっっ!!!」

じゅぷっ、じゅぽっ、ちゅぶっ、ぐにゅうぅっ!じゅぽじゅぽじゅぽっっ!!

「ご主人さまぁっっ、気持ちよすぎますぅぅぅぅっっ!!!かなんの淫核オチンポもっと…もっと味わってくださいぃぃぃっっっっ!!!」

じゅぼっ、くぷんっ、ちゅくっ!ちゅぶっ、ぐちゅぅっ、ぬちゅんっ!

 仰向けになった状態で後ろと斜め前から興奮するように自分の女性器を手で慰めながらこちらの前後の穴でクリトリスをシゴく性奴2人のデュオが響く。そして―――

「んっ…んふぅんっ、んむ…あん、ひぁむ!…んむむぅっ!
 おやかたさま…っ、さのの…っ、佐乃のはしたないつるつるのオマンコっっ、おまんこっっ、ひめみたいに…っなぶって…おかしてくださいぃぃぃっっっ!!!」

 目の前では俺の肉棒を肥大化したクリトリスの根元にある無毛の秘裂に招き入れ、子宮口を激しく腰を揺らしている佐乃が、だらしなく涎をたらしながらこちらの乳首を舐っていた。

「ひぁ、あ、ぁひっ!ひああぁあああっ!っっっっっっっ!!!!!!!」

 リミッターをかけているってのにこの絶頂の連続は正直キツいッッ!!

 元々くいなを犯していた千鳥の擬似男根は今やこちらの膣内いっぱいまで大きくなり、華南の肥大クリトリスもより奥へと腸壁を擦ってくる!

「ひあぁぁぁぁぁっっっ!!!?膣内でっっ、中でこすれてぇっ!きもちいいぃぃぃっ!」
「はぁっ!はぁっ!んはぁっ!はぁ…っ!ひぁ、あ、ぁひっ!ひああぁぁぁぁっっっ!!!!」

 まるでオナニーを覚えたばかりの子供のような2人の激しいピストン運動に段々と大きい波が来るのが分かる!

ぬちゅっ、ちゅぱんっ、ちゅぶっ、ぐにゅうぅっ!じゅぷっ、じゅぽっ、じゅぽじゅぽじゅぽっっ!!

「あっ!あはぅっ!んっ、んはぁっ!ひぅっ!くふぅんっ…っ!」

 身体中に走る電流の中でひときわ大きいのが背筋を走り抜け、たちまち限界を迎えてしまう!

ちゅっ、ちゅぽっ、ぐちゅぅっ、ぬちゅんっ!ぬぷっ、にゅぷんっ!じゅぷっ、じゅぽっ、じゅぽじゅぽじゅぽっっ!!

「はぁ…はぁっ!はぁ…はあぁん…っ!はあぁぁんっっっっ!!!」
 
 自分でも信じられないくらいの甘い声を上げて絶頂に導かれていく。
 だが、このままイカされてなるものか。
 なんとか自由になっている手で佐乃の淫核を掴んでシゴきあげる!

「くぁ…っ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!
 お…おやかたしゃまっっ、ひぁうっっッ!!!ひって…っっ、ひってしまいまひゅううっっ!!!」

 っっっ!!!ダメだッ!佐乃の淫核をシゴいた途端、佐乃の膣内が収縮してペニスを締め上げて一気に絶頂に導いていく!

「あぁ…んっ…ふぅっ…んっ!うっ、ううぉっ、あっ、くふううぅぁ〜〜〜っっっっ!!!!」

びゅ―――っ!びゅるっ!びゅくっびゅくんっ!びゅぶっ!どくどくどくどくんっ!びゅくんっ!びゅくっ、どくっ、どくどくっ!どぷうっ!

 聞き慣れない高い声を上げて身体を弓なりにビクつかせて射精するとその身体の振動で3人の快感が極まって絶頂する。

びゅくっびゅくんっ!びゅぶっ!びゅるびゅる…っ!どくどくっ!

 ―――いつもよりも射精が長い…っっっ!!!

「溶けちゃうっ!溶けちゃうっ!じゅーじぃっっ!!気持ちよすぎるよぉぉぉっ!イっちゃうぅぅぅ!」
「イくっ…っ!!ィくっ…ひっちゃいますぅっっ!!!んんん〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」

 あられもなく快感を口にする千鳥と俺の背後で絶叫することを避けてガマンした佐乃の恍惚に満ちた吐息が耳朶をくすぐっていく。

どくんっ!どぴゅっ!びゅるびゅる…っ!

「ひぅんっ!?あ、ふぁっっっ!ふぁっっっっ!ひぃああああぁぁぁ〜〜〜っっっっっっっ!!!!」

 絶頂が引いたにもかかわらず、子宮に灼けつくような白濁液を注ぎ込まれ続けて佐乃が切なそうに悲鳴を上げる。
 イクのが止まらず、精液が出ているのか出ていないのか分からないくらい、佐乃の子宮口にキスをしたままのペニスが蠕動し続け、容量の足りなくなった佐乃の肉壺からすごい勢いであふれ出てきては華南と千鳥に手に掬い取られ、舐めとられている。

びゅるっ!びゅびゅっ!びゅるるっ!どぴゅっ…びゅる……ぴゅっ……

「ひあ…っ、んんんっ…っっ」

 ようやくイくのが終わって4人とも結合を溶いてそのまま崩れ落ちるようにベッドに沈む。

「……はぁっ、はぁ…っ!!ご主人様…っ、これ…っ凄すぎますぅ…っっっ」
「ダメだよぉ…っ、これ…っっ、クセになりそ…っっ」
「はぁ…っはぁっっ……おやかたさまぁっっ!」


 俺の方も気絶こそしなかったがしばらく動けそうにもない。

「はぁっはぁっ……ぜってーもォ…やんねー……」

 そして、ベッドの上で動くものはいなくなった―――



 
 


 

 

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