key


 

 

第二章の7



「もしもし、僕です、2―B、出席番号6番のカラス―――烏十字です。
 学園祭の件で担任の海鵜先生に…はい、そうです…
 …
 ……
 ………あぁ、千歳か?俺だ。白鷺はもう学校にきてるか?そうだ。[漆黒の王の命令](ブラック=オーダー)白鷺の周辺に俺の従僕達が近づいて会話をしようとしたら何とかして引き離せ。同様にお前もできる限り近づくな」

 そう言って電話を切る。が、バックミラー越しにこちらを見るタクシードライバーの怪訝な視線を誤魔化す為にそのまま切れた携帯に向かって話し掛ける。
 精神操作は使えない。使える魔力はせいぜいあと3回。3回指環を本格的に起動させるのが関の山だ。だからこうなった以上、こんな所で使うわけには行かない。

「…で、いいんですよね?この台詞で台本を印刷しちゃいましたからね!とにかく時間が無いんですからこのまま練習に向かいます」

 そう言って携帯を仕舞い、わざとらしいため息をつく。
 運転手も会話の流れから今の携帯の会話に対する警戒感をなくした。これで大丈夫だ。
 学校にしてもそう、これで大丈夫なはずだ。
 従僕達の中に白鷺に恨みを買うような事をしていたのはさっきまで一緒にいたくいなくらいだ。
 ひかりや千鳥は白鷺イジメに荷担していなかったし、千歳に関しても言った所でどうにもならないと本人が言っていたから問題は無い…と思いたいのが現状だ。
 とはいえ、現実には問題がある。

 アイツは肉の味を、女の味を覚えてる。
 既に相対した指環使いを一度犯してからは何人も―――…

「お館様…」

 ……透き通って凛と響く佐乃の声が耳障りに思える。

「…遼燕寺、ここで劇の練習をする必要は無い」
「はぃ……おや…か…カラス先輩」

 そう、それでいい。

「カラス先輩…その、勝手なことをして申し訳ありませんでした」
「気にすんな。返って好都合だったかもしれない」

 佐乃がいたら指環に気付かれただろう。その場合、予備知識をもっていない佐乃に対抗できたかどうか分からない。
 佐乃の能力が剛速球だとすればアイツの能力は俺と同じ搦め手、変化球だ。
 アイツの知能を持ってすればその搦め手は常人では当に解決できない領域に達している。

「それよりも…朝、話したことだけどな。早速、仕事をしてもらうことになりそうだ」
「っ!はい!」
「いいか?」

 俺は劇の内容を伝えるように、今後の指示を伝えだした―――



 タクシーが学園に到着したのは午後になり昼休みが始まる頃だった。
 車から降りるとすぐさま昇降口に向かう。
 下駄箱には白鷺の靴は………無かった。
 代わりに上履きがある。まだ登校していないらしい。
 一息つく。

「ふぅ…ん?」

 周りがざわついているのを感じる。
 学園に到着してからというもの、周囲の視線がこちらに投げられているのは分かってはいた。
 ちなみに俺に向かって、ではなく佐乃への視線だ。なので俺も無視をしていた。
 当の本人はと言えば慣れているのかそれとも無視しているのか気にも留めずこちらを心配そうに見上げて寄り添ってくる。
 次の瞬間、佐乃への好奇の視線が俺への殺気の視線に変わった。
 ヤバい。
 なんつーか、これは、けっこう、やヴぁい。

「…佐乃、離れろ。目立つのは好きじゃない」
「あ…はぃ…」

 俺の命令にしゅん、としてすんなり従う。

「あくまで、ここでオマエはせっかとは友達、でオレはそのお兄さん、だ」
「は、はい…ですが姫にはその…」

 俺を斬った件でだいぶ怒ってるからな…
 華南とは違って丸二日生死を彷徨って以来、あまり気にしないように、としか言ってない。というか華南と戦ったことは一切話していない。
 朝の千歳の車中でも千歳としか話してなかったらしい。さっきタクシーに乗ってる最中、そんな思考が佐乃から流れてきていた。
 思考を変えようにも身体の内側がボロボロな今ではそれほど自由に使えるわけではないし、何より他人事、佐乃当人の問題だ。

「耐えろ。これも修行の一環だ」
「は、はいっ!」

 修行、と聞いて条件反射で返事をする。
 が、依然としてその顔は浮かばない。
 まぁ、仕方ない。修行は自分を鍛えれば事足りるがコミュニケーションは不得手であれば不得手であるほど好きな相手だろうが嫌いな相手だろうが容赦なく傷つける。
 ましてや告白した相手に邪見にされるのだ。たまったモンじゃない、と思う。

「〜〜〜………」
「…ふぅ、しゃーない、ちょっとついて来い」
「は、はいっ」

 ふぅ、俺はため息をつくと佐乃についてくるよう指図し、飢えた学生達でごった返す購買まで連れ立っていくと人だかりとは離れた飲み物売り場まで行き、夏場で冷たい飲み物が売れているにも関わらず、大量に残っていた紙パックの飲料を買って佐乃に手渡した。

「お館様…これは?」
「せっかの大好物。これを持ってくと大抵機嫌が良くなる」
「…これが、ですか?」
「あぁ、コレが…だ」

 佐乃が戸惑いの声をあげる。
 わかる。すごく、わかる。

[MAXIMUM COFFEE]

 黒色と黄色のストライプの紙パックに入ってるコーヒーなのでもちろん無糖ブラックではなく、加糖され、クリームが入れられている。
 だけなら良いのだがその上、練乳が入れられている。のが元々、地方限定のこの飲料の前身だった。
 そしてこれはその最上位、なんとコーヒーよりも練乳の方が多い。一説によるとこの紙パック500mlで糖尿病患者が必要とする一週間分の糖分がまかなえるらしい。非常にドロドロ、ある意味マキシマム。とりあえず開発者、出て来い。 
 とはいえ、購買に置いてあるのもそれなりに売れているからだが、専ら罰ゲームや運動部が何倍も稀釈して飲んだりしている、と聞いている。
 要は真っ当な人間の飲む液体じゃない、にも関わらず俺の妹はそれを1日1パック以上飲む。
 なのに、あんなにも小さくて身体にも異常が無い。謎だ。

「…飲んだことあるか?」
「…はい、剣道部に入った際、一口だけ戴きました。
 出された食べ物は残さないように、と躾られていたのですが…」

 思い出すだけでもツラいのか端正な顔の眉間にシワが寄っている。

「まぁ、オマエが飲むわけじゃないしな。効果のほどは持ってけば分かる。あとはオマエの頑張り次第だ」
「っ、はい、ありがとうございます!
 …それにしても…これ、飲めるようになった方がいいんでしょうか?こちらなら飲めるんですが…」

 そう言って佐乃はマキシマムコーヒーの隣の紙パックを手にとった。
 
[Death Scoll]

「………」

 今度はこちらがこめかみに手を当てて俯く。
 本気で売る気があるのかすら疑わしい黒地に白のドクロマークの印刷されたそれは隣のコーヒーと双璧を成す二大奇天烈飲料の内の一つだったりする。
 一言でいえば[ジンジャエールをベースにした激辛飲料]なのだが、一般人にはあまり関係ない。
 何故なら、

 一舐めしただけで数時間、味覚がブッ飛んで麻痺する。

 味覚だけなら良い、半数に及ぶ人間は意識までブッ飛ぶ。
 どうして辛いのが分かるかというと翌日のトイレで新たな感覚に目覚めるからだそうだ。が、幸い飲んだことはないのでどんな感覚なのか、俺には分からない。つーか分かりたくもない。
 ちなみにどうでもいい、ホントにどうでも良いのだが一部生徒の間ではその名前の発音から死を呼ぶ飲料[デス・コール]として気に入らない相手に気付かせずに飲ませるという悪辣非道な行為がまかり通っている。
 
 …それを平気で飲むというのか、コイツは。

「…あー、やっぱお似合いだよ、オマエ等」
「え、あ、はい!ありがとうございます…?」

 なぜそう言われたのか分からず、いまいち要領を得ない変事を返してくる。

「とりあえずちゃんと機嫌はとってくれ。じゃないとオレが苦労するハメになるし、さっき説明した事態になればイヤでも近くにいてもらわなきゃいけなくなるしな」
「はい、努力します」
「んじゃな。肩の力を入れ過ぎないようにしろ」

 そう言って佐乃と別れ、購買から高等部錬に入ろうとすると横から声がかけられた。



「せんぱい」
「ん」

 なんの抑揚も無い声をかけられ、それがみなぎの声だとすぐに分かった。
 だが、姿は見えない。
 それもそのはず、声の主は畳まれた大ダンボールの5枚束を見知らぬもう一人と持ち、その影でこちらからは姿が見えなかった。

「…ほら、貸せ」

 そう言うと無理やり2人からダンボールを取り上げる。

「あっ」
「ほら、どこに持ってきゃいいんだ。案内しろ」

 みなぎがむー、と不満を漏らす。…どうやら自分の仕事は自分でしたいらしい。
 俺を呼び止めたのも俺に手伝って欲しかった訳ではなく、自分の頑張る姿を見せたかったからだったようだ。
 だが、こちらもそれを譲る気は無いと悟ったのと、実際、二人で持っていくには無理があると感づいていたらしく、心配そうにこちらを見上げるもう一人の後輩に「…だいじょうぶ」と言うとこちらを見上げて口を開いた。

「………こっち」

 そう言って中等部の校舎の方へ歩いていく。

「…………」
「……………………」
「………」

 ……沈黙が重い。

「……オレは烏十字、お前さんは?」
「あ、校倉と言います。先輩、ありがとうございます」
「気にすんな。いらないお世話ってヤツだ。それより普段のコイツのこと教えてくんね?」
「え、タマちゃんの事ですか?それは…」

 そう言って肩口に髪を切り揃え、校倉と名乗った少女はちら、とみなぎを見た。
 本人から許しを得ないことには、ってか。つーかタマちゃんとか呼ばれてるのか。

「珠鴫、いいか?」
「…べつに」

 拗ねたように答える。

「だ、そうだ」
「はい。そうですね…急に言われても思いつくことってあまりないんですが…」

 そう言って首を捻る。

「あ!そうです。タマちゃん、最近、雰囲気が柔らかくなった気がします。…それと今日はそれを」
「これか?」

 そう言って手に持ったダンボールを揺すると校倉はこくりと頷いた。

「はい、今日は自分からこれを取って来るって言ってくれて。いつもは受動的なのに…」
「た、たまたま…っ、たまたま」

 なにか焦ったように答える。

「ま、こんなヤツだけどよろしくしてやってくれ。

 周りにいる連中がみんな年上ばかりで同じ年のヤツがいねぇんだ」

「はい!タマちゃん、気持ちを表すのが不器用ですけどいい子ですから」

 そう言われてみなぎが照れる。
 …イジメと聞いてまず対象になると思ったのがみなぎだったけど心配ないようだ。
 コイツの場合、実力は問題ないが自分に保身が無い。だからイジメを受けてもそのまま放置しとくようなタイプだと思ったのだが―――

「何やってんのよ!玉鴫!」
「ホントホント、校倉までトロいわね」

 あぁほら、こんな感じで…つーか、やっぱいたか。ホント、どこにでもいるな、この手の輩は。
 3人程の大人びた後輩たちが教室の手前でバカにするような口調と態度で威圧してきた。

 一瞬、隣でダンボールを持っている俺を見てビクっとしたが俺が何も言わないのを見て調子付いたようだ。更に罵声を浴びせてくる。
 こうなっては俺が口を出したところで部外者としてピーチクパーチク言ってくるに違いない。
 だが、みなぎが視線に力を入れると3人共、う、と押し黙る。

「…あぜくらはかんけいない」

 声は小さいのに当事者たちには確実に、聞こえた。
 だが、何十秒か経ち、睨んだままで何もしないのを見るとリーダー格の女子がまた囀りだした。

「う…五月蝿いわね!そんなのアンタが決めることじゃないでしょ!」

 そうだ、そうだ、と取り巻き達が追随する。
 正直、鬱陶しい。
 既に俺の中にみなぎがイジメられてどうのこうのとか言う身内びいきな感覚は無い。
 純粋に集団を笠に着て騒ぎ立てるような連中は鬱陶しいから嫌いだ。
 幸い、白鷺はまだ来ていなかったので指環を使う機会は1回、多くて2回あるかないかだろう。1回くらい使っても問題ない。

「…持ってろ」
「あ…」
「安心しろ。少し黙らせるだけだ」

 そう言ってそれまで片手で担いでいたダンボールをバカ共と2人の間に壁になるよう渡す。
 そして―――ふり向きざま、3人の額に当たるか当たらないかの距離で指を触れさせる。

「っ!なにすんのよ!アンタには関係ないでしょ!高等部のオジサンはとっとと帰りなさいよ!」

 その言葉にまたもみなぎから物騒な気が膨れ上がる。
 …だから、オマエは加減しろっての。
 そう思いながら再び2人からダンボールを奪う。すると下級生達の間を遮る物が無くなり、遠慮なくみなぎが3人を睨みつける。すると―――

「んっ!ふあああぁぁぁっ!」

 揃いも揃って立て続けに悩ましく喘いで腰を抜かす。
 周囲にいたみんな何事かとこちらを向いているが一番呆気をとられているのは睨みつけた少女だった。

「ちょっ!貴方なにしっ!?ひううぅぅぅ…っ!」

 みなぎと校倉を見た瞬間、やるせなさそうな表情をしながら腰を抜かしたように再び尻を地面につける。

「…にぃさま…」

 みなぎが呆れた声でジト目で見てくる。俺はそんな視線を右から左に受け流す。
 ―――簡単だ。
 要はこの2人と目を合わせた瞬間、今までで感じたことも無い快感を得るように仕向けた。
 即ち―――

「だ、大丈夫!?」

 校倉が倒れこんだ女子を抱えて心配そうに覗き込む。

「っ!!!!んあぁっ!ひううぅぅぅぅっ!」

 びくびくびくっ!びくびくびくびくビクビクっ!

「ひあああぁぁぁぁぁぁぁ…っ!ひゃめ…ひゃめぇ……」

 とまぁ、こんな無間地獄になる。

 本人は親切をしているのに快楽が無理やり送り込まれる。
 校倉が目を合わせて他人と喋るのに気付いてから何かに使えないかと思ったが案外使えるな、コレ。

「しっかりしてっ!…て、これ…」

 股間からちょろちょろと温かい液体が漏れてきた。いつの間にか強制的に送り込まれる快楽に耐え切れず失禁してしまったらしい。
 辺り一面にアンモニア臭がたちこめ周囲が一斉にざわめきだす。
 これで明日から立場は逆転するかもな。まぁ、この2人がイジメをするとは考えにくいが。

「…にぃ様、やりすぎ」
「…大事な友人だ。大切にな」

 親友という親友がいない自分が言うのではあまりに説得力が無いがダンボールを壁に立てかけるとみなぎの頭にぽん、と置いてそのまま高等部棟に向かい足を踏み出した。



 教室に入ると黒板に書いてあるスケジュールと睨めっこしている千鳥がいた。
「あ、ジュージ、食べて来たには早いけど…お昼は?」
「んにゃ。佐乃が追っかけて来たんでそのまま来ちまった」
「そっか、良かった」
「なにがだ?」
「これ、ちょっと作りすぎたんで、ね」

 千鳥のカバンの中からは見事に二人分の弁当箱が出てきた。

「流石、幼なじみ」
「それって褒め言葉として受け取っていいの?」
「いいんじゃねぇの」

 そう言ってはぐらかすと千鳥の手から自分の分だけ受け取ろうとするが寸での所でひょい、と避けられてしまう。

「…おい」
「じゃ、みんなあとお願い。ちょっと休憩してくるねー」
「ちょっと、まて。俺は仕事―――」
「違わない。今のジュージの仕事はアタシの相手をすることですー」

 そう言ってぐいぐいと俺を引っ張っていく。

「いいのか?あんま人手も無いってのに」
「いいのいいの。今日一日分の各員の作業分担は朝の内に確認し終わってるから。何かあったらメールが来るようになってるし」

 流石、この幼なじみとひかりが組んで仕切ると仕事に隙が無くなる。
 おかげで俺は自由に動けるし、千歳も使える。
 なにより、幼なじみという事で俺はかなり甘えている、というか放置しっ放しだったからこう、強引に誘って来た時は逆らわない方が身の為だったりするのだろう。
 で、屋上の日陰にきた俺たちの目の前には弁当箱が広げられている。
 いつもと違う所は妹たちがいない所と完全に中身が俺の為に作られていた、というところだろう。

「…進捗状況はどうなってる?」

 差し出された箸を使って和風ハンバーグに箸をつける。

「せっかくの二人きりなのに色気が無いなぁ…
 ま、あんまり芳しくないかな。アタシもひかりもジュージが連れて来てくれる人員を期待してたから」
「物の見事に全滅だったからな。外乃宮は?」
「無理。部活の方が忙しいっぽい。それにもう1人で3人分の仕事終わらせてるから。言えばやってくれるんだろうけど、ジュージ、甘えられるからって甘えるのキライでしょ」
「…あぁ」

 確かに。甘えられるからといって甘えて依存しようとする輩には反吐が出る。
 頑張った上で手伝ってもらうならまだいい。だが、この場合は違う。
 いくら非常識な原因があったとしてもまず、彼女と同じくらいに他の連中が動いてから頼むのが筋だ。

「ま、オレの理屈だ。間に合わなかったら元も子もないだろ」
「あのね、ジュージが嫌いな事はアタシもほとんど嫌いなの。

 ひのっちは部活の手伝いが終わって時間が余ってこっちが人手が足りなかったら手伝ってもらうつもり。それまではこっちで1.5人分みんなで動くわよ」
 胸を張る。その挙動でワザとだろうが乳が揺れる。
 ちなみにひのっちとは外乃宮の名前、確か…ひのと、を文字ったアダ名のハズだ。
 …まったく、こんなんだから俺が手伝わざるを得なくなる。

「でも…これで、いいのかな」
「なんだ藪から棒に」
「そりゃアタシだってこんな状況じゃ弱音だって吐きたくなるわよ。
 肝心のご主人様はアタシの事なんか全然相手にしてくださりませんし…その、アタシだって…たまには、その…甘えたい」

 拗ねた表情で控えめに自分の要望を伝えてくる。

「今すぐはムリだ。近い内に甘えさせる。

 そんなことより、とっとと食って準備始めるぞ。メンドくさいが5人分働いてやる」

「ジュージ…」
「あと安心しろ。
 お前はなんら間違っちゃいねーよ幼馴染。オマエがそんなオマエである限り、オレも出来る限り手伝ってやる」

「ん、ありがと。ジュージ」
「代わりといってはなんだけど以前渡した指環、アレを今日、俺の所に持ってきてくれ。ちょっと使わなきゃいけない用ができた」
「はいはい。分かったわよ。それじゃたーんと召し上がれ」

 なぜか二人分くらいしかないと思っていた弁当箱には膨大な量を伴って俺の目の前に拡げられていた。

「…全部はムリだな、この量は」
「分量の多さは愛情の多さよ?」
「…それは料理の美味さに比例させてくれ。つーかオレが食わなかったらどうするつもりだったんだ」
「そこはそれ、これはこれ」

 ワケの分からないはぐらかされ方で腹を満たした後、俺達はそのまま屋上で別々に別れた。
 千鳥は一度、自分の部活の準備状況を確認に、俺はもう一人の準備委員、ひかりの元へ向かう事にした。



 資材倉庫に行くとひかりがこちらに背を向けて使用資材を吟味しながらチェックしていた。

「こんな所に一人でいると襲われるぞ」
「…さっき告白はされましたけど…まぁ、それも含めて貴方には関係ないことです。
 あと、相良さんから連絡は受けています。お疲れ様でした」

 ここは俺たち以外は誰もいない。それ故に俺以外のもう一人は慇懃にして無礼に言葉を吐いてきた。
 俺の方もそれに気を害することなく近くの壁に背をもたれると本題を切り出した。

「白鷺の件、どうやって気付いた」
「…何のことか知りませんが。この忙しい時期に大量に欠員が出るようでは原因だって知りたくなります。先生の監督責任も問われかねないですし。だからみなぎちゃんに調べていてもらったんですがなにか?」

 やべ、ヤブヘビだった。

「んな目くじら立てんでも手伝ってるっての」
「どうだか…」
「…で、ヤツに、白鷺に対するイジメに関してはどれくらい知ってた?」
「…見かけたら注意する程度には。貴方のように暴力に訴えるだなんて出来ませんから」

 ま、[朱鷺乃さん]に注意されれば大抵の連中は黙って従うしな。

「んじゃ、みなぎへのイジメに関しては?」
「―――っ!!みなぎがイジメられてるんですかっ!?」

 がたんっ、と音を立てて立ち上がり、チェックしていた資材が音を立てて転がった。

「ま、解決してきたけどな。それにしても白鷺とはエラい違いだな」
「し、仕方ないじゃないですか。その、たった一人の妹なんですから…」

 それを付き人にしてるオマエはどうなんだとツッコミを入れたくなったが大人がそう仕向けたことである以上、当時のコイツ等には変えることは出来なかったのだろう。

「こほん…で、白鷺君についてですが、もし、白鷺君かその周囲の人間が非常識な方法で過度な仕返しをしていて、これからも続くようであれば同じ非常識な行為で止めざるを得ないでしょう?」
「ほっときゃいいんじゃねぇの?被害者も加害者もどうせ痛い目に遭わなきゃ分からないコトしてたならそうならないと分からないしな」
 他人を傷つけていいのは傷つけられる覚悟のあるヤツだけだ。

 それが分からなかったってんならそいつらは知らなきゃいけない。
 他人にしていいコトと、してはいけないコトを。

「…そんなの偽善です。それに自分のことを棚にあげてよく言いますね」
「心外だな。
 しっかり覚悟してるぜ。だから頭カチ割られようが腹かっ捌かれようが文句一つなく受け入れてるじゃねーか」
「……」
「あぁ、あとな、オレがしてるのは偽善なんかじゃない」
「……じゃあ、なんだって言うんですか、貴方のそれは。まさか本物の善行だとでも?」
「…さてな」
「この偽善者…っ!」

 だから、ちがうっての。
 明後日の方を向いて笑うと俺はそのまま埃っぽいその部屋を後にした。



 資材倉庫を出ると、後ろから声があった。

「あ、からす君っ」

 とてとてと金髪をゆらしながら人気の無い廊下を走ってくるのは我等が担任だった。

「…先生、廊下は走っちゃダメでしょう」
「子ども扱いしないの!その…っ、わたしも立派なレディーなんだから…その…」
「はいはい、すいませんでしたレディ」

 そう言って仰々しくお辞儀をするとちびっ子は納得したのか腰に手を当てて偉そうに腰に手を当てた。

「うんっ!それでよろしい」

 だからそれがガキだっての、とは言わなかった。
 偉そうにふんぞり返っていても子供っぽく笑っていてもなんだかんだ言って求められるのは他の大人と同じ行動、同じ仕事だ。
 今もアイツのとった行動の結果―――休んでいる連中の相次ぐ怪我を監督不行き届きとして学年主任から怒られてきたところだ。
 仕方がない。実際、イジメを見抜けなかったのだから。
 だが、今回の一件がその報復だと教師の中の誰が知ることが出来るだろうか。
 …そんなの無理に決まってる。結局、貧乏クジを引いてしまった。それだけだ。
 なのに笑ってる。
 内心、本当は落ち込んで俺なら誰かに当たり散らしてもおかしくなさそうなのに今もコイツは笑ってる。
 それだけで十分だ。
 俺は周りに誰も見ていないのを確認すると千歳の前髪をかきあげて額にキスをした。

「えっ、わっ!きゃ!」
「ま、頑張れ。怒られた原因はそのうち無くなる」
「…へっ?」

 引き続き、間の抜けた声。
 …そう、オマエは知らなくていい。
 まったく…どいつもこいつも手を焼かせてくれる。
 ほんの少しずつ、そう、ほんの少しずつ、自分の内の何かが温度を上げている。
 あぁ、そうだ。
 ひかりの台詞じゃないが身内に甘くなっちまう…といってもウチは奴隷達だが。
 手を焼かせてくれた張本人にはそれなりの礼をしなければ失礼になると言うものだろう―――



 階段を上がって行くと鍵の閉まった第二図書館の入り口に見知った顔がいた。

「どうしたんだこんな所で。自分のクラスの手伝いはいいのか?」
「お兄ちゃん…」

 どことなく所在なさげに妹がこちらを見てきた。

「…わたし、イヤな子になってる」
「そうか」

 うつむいて眉をひそめて話す妹の言葉をただただ聞いてやる。
 雪花は時々、激甘党だったり腹黒だったりするが素はこんな感じで内罰的なところが多い。
 体が弱く、よく体調を崩しては友達との約束をすっぽかして看病する俺にこんな感じで謝っていた。

「佐乃ちゃんにコーヒーのこと教えたのお兄ちゃんだよね?」

 佐乃ちゃん、か、とりあえず佐乃を受け入れたらしいな…。ただ、お兄ちゃんアレをコーヒーだと思ってるお前が、怖い。

「あ、あぁ」
「…っ、なんでお兄ちゃんは自分を斬った相手を許せるの?」
「別に?オレも同じかそれ以上ひどい目に合わせることを前提に戦ったからだよ。
 実際、斬られて当たり前の事をしていた」
「…それってエッチなこと?」
「…いや、佐乃の場合は成り行きでそうなっただけだな。
 どっちかってーと譲れないものが在ったってトコだ」

 今回は目の前のオマエだった訳だが。とは言わない。必要以上に気を病ませる必要は無い。

「ゆずれないもの…」

 反芻する。

「あぁ、だから白黒をつけた。そして、ああしなきゃどちらも引かなかった。
 千鳥とオマエの時もオレがどちらしか選ばなかったら同じような感じになってただろ」
「…うん」

 理解はしてる。だが、納得はしてない、そんな表情だ。
 まぁ、無理もない。もともと争いを好まない性格だ。争う、という行為そのものに疑問を抱いてる。

「いいんだよ。俺はなんとも思ってない。あとな、佐乃は騙されてたんだよ」
「騙されて…た?」
「あぁ、オマエに近づくにはあぁするしかないと騙されてたんだ。だからどうしたら友達になれるか教えてやれ」
「お兄ちゃんはそれでいいの?」
「俺はもともと気にしちゃいない。家が厳しくてそんなに友達がいなかったんだ。
 友達付き合いとか教えてやれることがあれば教えてやれ」
「…うんっ」

 少しだけ微笑む。
 それでいい。なんでもかんでもすぐに悟るようなヤツにロクな奴はいない。
 だから悩めばいい。あとは時間が解決してくれる。

「……めっ、ひめっ!」

 ウワサをすれば―――

「ひめっ!あ…っ!」

 階段を駆け上り、図書館の前にいた俺達を見つけて心配そうな顔から安堵の表情に変わる。

「ほら、行ってやれ、あと少し準備の手伝いしたらここの司書代行をしなきゃいけないからな。
 お前達も学園祭の準備、あるんだろ?」
「うんっ!」
「あと、放課後にでもオレの教室にでも来い。一緒に帰ろう」
「いいのっ!?」

 沈んでいた顔を輝かせる。

「あぁ、たまには家族サービスしないとな」
「んと、ね?佐乃ちゃんも一緒でいいかな?あと千鳥お姉ちゃんも」
「―――。あぁ、別に構わないぞ。千鳥は…忙しくなかったら良いんじゃないかな」

 現状を理解しながらいけしゃあしゃあと言ってのける。

「うんっ!楽しみ!」

 はにかんで笑うとそのまま佐乃の方に向かって歩いていく。

「あっ…」

 そんな雪花を見て佐乃に怯えが走り、思わずこっちを見る。だが、俺は雪花を見ろ、とアイコンタクトを返す。

「―――…っ」

 ごくり、と佐乃がつばを飲んだ後、雪花がおもむろに口を開いた。

「あのね、佐乃ちゃん、ここでは姫じゃなくてせっかって呼んで」
「は…はぃ…で、ではせ…せっちゃん、で…」
「うん!行こ!佐乃ちゃん」
「は…はぃ…せ、せっちゃん」

 雪花に手をつながれ、顔を真っ赤にして引きずられて行く佐乃。
 おそらく、他の連中も雪花が許せばそれに追随するだろう。
 これで一件落着、と。

「……っ!」

 こちらを見てくる佐乃。それにオレは頷く。

 さて、と。メンドくさいがいっちょ終わらせるか―――
 俺は腕を回すと諸悪の根源と対峙すべく教室に向かった。



 その後、放課後になり、やってきた雪花達に30分だけ司書をするから待つように告げるとそのまま俺は調べ物に没頭していた。

………
………………
………………………
 調べ物が終わるのと同時に、マルコシアスの指環が覚醒するのを感じた。
 …アイツの手口はさっき読んだ。
 佐乃にはタクシーの中で指示を出し、さっき雪花に引きずられて去っていく時に互いに確認しあった。
 逃走経路もそう、アイツがよく使っていたあそこを使うだろう。
 ………にしても手、出しちまった、か。
 俺は読んでいた本を元あった場所に返すとため息をついてあそこに向かった―――

………
……………
……………………
 案の定、諸悪の根源は俺の姿をして俺が待っていた場所にやってきた。
 そして呪いの言葉を残して去っていく。
 もう一人の俺の後ろ姿を見送りながら独白する。

「―――やってみせろ、苦労人。今までの悲しみを―――オレにぶつけて見せろ」

 残念なモンだ。
 ひかりでもなく、千鳥でもなく、同じ教室であいつは、アイツだけは認めていたのに。
 決して自分を貫く事ができずにイラついた事があったがそれはアイツが弱いからじゃなかった。
 優しいからだ。
 生まれて此の方、打たれ続けてきたアイツは痛みを知っているからこそ人に痛みを与えることができなかった。
 だが―――そこから抜け出したい誰だってのは同じだ。
 誰が好き好んでそこに居たがるのものか。
 ただ―――そこから抜け出す為には本当に大事なそれを捨てなければならないから。

 ―――聖人は、むくわれないものだから。
 
 そんな人間にこの指輪の持つ力はとても強い誘導灯になったのだろう。
 
 ―――むくわれないセイジンのいきかたよりも、ニンゲンらしいいきかたを

 醜い姿を失ったお前はきっと醜い生き方しかできなくなるのだろう。
 
「だけど……今のオマエもオレは嫌いじゃ、ない」

 誰もが普通にそうしているように、欲望を剥き出しにして向かって来い。
 俺は唇を歪める。
 俺も全力で―――叩き潰してやる。



 そこに佐乃が雪花を伴って現れた。

「お館さま」

 何を言いたいのかは分かったので短く、

「あぁ」

 と言って答えた。

「では……」
「悪いな。逃がした」
「…はっ」

 雪花はともかく、コイツは全部聞いていたというのに口を挟んでこなかった。
 ただ、返事に間をおいて全ての不満を現した。

 ったく、

「渡せたり、奪わせられるモンじゃねーな、ホント」
「?」

 2人ともがワケのわからないといった顔をする。

「さ、いくぞ。二人にも少し手伝ってもらう。それが終わったら遊んでやるよ」

 ぱあっと顔を明るくする雪花と顔を赤くする佐乃。
 どうやら遊ぶ場所は2人の内で決定されているようだ。
 俺も裏門を後にする。

 さて、と。 
 今日はこの2人とあと千歳も相手にしなきゃいけなくなるかな―――。
 それを考えると俺は少しだけ、げんなりした。

 それからというと、千歳に車を回させ、小一時間ほどで白鷺の転校手続きを終わらせた。
 いっそ男子校に転校させてやろうかとも思ったが恨みを買わないに越したことは無い。
 なによりヤツは俺に憧れていた。ヘンな趣味に目覚められて俺が標的になろうものなら目も当てられない。
 ま、あの調子ならしばらくは自分の城作りに専念することだろうが。
 ちなみに白鷺のモノになったという少女は保健室で休んでいたが今日遭ったことを忘れていた。
 …おそらく、神楽坂になにか処方されたと考える方が妥当だろう。保険医も飄々とした表情ですっとぼけていた上にオロバスの女に対する魔力感知も完全に反応しなかったので問題ないだろう。

 あぁ、あとそれと蛇足。
 移動の際、案の定、車内のヌイグルミにチョップしまくって千歳を泣かせた。オレ、外道。



 夜も更け、俺はベッドの横で指環を嵌め、目を閉じていた。

「―――……ふぅっ」

 ストラスの指輪が輝きを失い、心なしか軽くなった。
 全身を少し動かす、よし、大分皮膚に張りつきがあるものの、痛みも違和感も全くない。
 これで戦線復帰できる。
 …にしても―――

「…なんだ、それ」
「お気にに召しませんでしたか?」
「いや、そういうことじゃなくてなんつーか…」

 そう言って困惑の声をあげるオレの前には白い旧スク水姿の雪花たちがいた。
 サポーターはついていないのか水着は伸縮性を得る代償に機密性を失い、少し小さめのそれはそれぞれのタテスジに密着し、その両脇に在る媚肉の盛り上がりを目立たせていた。
 一部を除く控えめな胸もこれから行われることに期待してかその頂がぷっくりと自己主張している。

「…つーかこの面子は、なぁ」

 と疑問の眼で雪花、千歳、佐乃、そして―――みなぎを見る。
 幼い女の子にイケナイ事をするようでなんか…
 つい先日、華南を抱いただけに特にそれが顕著に感じる。
 ロリーな大きいお友達が見たら泣いて喜ぶんだろうが俺はそんな特殊な趣味はしていない。
 守備範囲が広いだけだ。そう、守備範囲が広いだけだ。
 そもそも―――

「なんでみなぎがいるんだ?」
「……がきんちょ扱いされた」
「はぁ…だれに?」

 じっと佐乃を睨み、うっと後ろにのけぞらせる。
 …なるほどな。
 大方、ひかりの護衛を任せろとでも言ったのだろう。昼の事もそうだが、みなぎはみなぎで自分の領分に感してはプライドを持って仕事している。

「だから、ここでびしっと」
「ここは関係ないだろ…そーゆー発想がガキだっての。まぁ、いいや。佐乃も、みなぎならお前の寝首を掻くくらいできるからひかりとみなぎのガードは解いておいていいぞ」
「そんなっ…」

 今度はその言葉に佐乃が傷つく。

「それこそ領分の違いだ。オマエは指環持ちだし、戦闘に特化しちゃいるがみなぎは勝つ事と相手を無力化することに長けてる」

 どちらにしろ被害を受けたのは俺なのだが。
 戦いあった所で勝負にならないのは目に見えている。
 正攻法で闘えば佐乃、手段を選ばなければみなぎの勝ちだ。
 だが、所詮は自分と次元の違う思考を持つモノ同士。相手を邪道と罵り決して認めようとはしない。なら、俺の都合の良いように白黒つけさせるしかない、か。

「もし白黒つけたいってならオレを満足させたほうが勝ちだ。

 ま、そんなにいがみ合ってる内にコイツ等に負けるかもな」
 そう言って二人を諭してる内に股間に群がり奉仕を始めた雪花の蒼髪と千歳の金髪を撫でるとふたりともんっ、と鼻を鳴らして喜ぶと。より激しく舌と口を動かし奉仕してくる。
 唯一、どうやったら奉仕していいか分かっている肉棒奉仕ができず、どうしたらいいかまごまごしているとフッと横目で佐乃を見下しながら横を通過し、俺の背後に回って肛門に指を伝わせながら首筋に唇を降らせてくる。

 だが、肝心の俺の視線は唯一、胸に谷間がある、というか自分の苗字の真ん中[燕]の漢字を完全に谷間に埋めた目の前でまごまごしている佐乃の谷間に行ってしまう。
 隣からうーとかむーとか聞こえるが二人ともいかんせん分が悪い。
 だが、みなぎはそれを意に介す事なく二人が顔を上げて不満を表した隙に素早く回りこみ、肉棒を奪取、独占し、そのままぴちゃぴちゃと音を立てて俺のモノをしゃぶり、これは自分のモノだと自己主張しながら佐乃にいらない野次を飛ばす。

「そんなえろ乳があっても使えないんじゃむだもいいとこ」
「…っ!」

 まず真っ先にその胸で挟むべき肉棒を差し押さえておいて良く言う。というか計算ずくでやってる。

「んっ、ぐっ!んぅんっ。んんんっ!」

 喉の奥にまで飲み込み、そのショックを受けてただ呆然とする佐乃に勝ち誇り、淫蕩な微笑を浮かべ、肉棒に意識を集中し、吸い付きながら抽挿を繰り返す。
 
「ぬりゅう、ぐにぅ、ぬちっ…ちゅぬぅっ…ぬりゅう…」

 隙間のないハズの口内を舌がうねり、今までの経験を通して把握した俺の感じる部分をポイントを突いてなぞりあげる。

「んんっ、んんんんっんふぅっ、んっ!」

 鼻を鳴らして自分のだ液と俺のモノの絡み合った匂いを嗅いで更に自分から興奮す。
 一方、みなぎに肉棒を奪られた雪花と千歳は俺の手を水着の股間のスリット内に導いて潤んだ自分の秘所を慰めるよう指の触れた淫唇をヒクつかせて俺の指を誘ってくる。
 そこで初めてただ傍観していた剣術少女が声をあげる。

「うぅぅ…おっ、お館さまっ、そっそそそそのっ、立ち膝になっていただけませんでしょうかっ!?」
「お、おう」

 意を決したように息巻く佐乃に気圧され、思わず言われた通りに反射的に立ち膝になってしまう。
 すると足音もなく俺の背後に回りこんで腰に手を回し、背後から俺の尻に顔を押し付け、舌を伸ばしてきた。

「っ!まて、佐乃、オマエなにするつもり……っ」

 だ。そう言う前にそれ、が俺の菊門を這いまわり―――中へ侵入してくる!

「こ…こちらは男も女も関係ないと聞きました…っ!」

 …っ!どこでそんなこと…っ!
「…っ」

 ここぞとばかりにみなぎが股間から玉袋下に伸びる皮膚下の裏筋をマッサージしてくる。
 止めさせようにも立ち膝になった今、上半身は雪花と千歳に押さえられ、腕はさっきと同様、だが、両方違うスリット―――千歳と雪花の白水着の内に入っている。
 腕に水着の生地特有の目の粗いザラつきが這い回り、次第に軽いぬめりを帯びてくる。

「ん…っ、ふぅぅんっ…っ!ふぁあああ…っ」
「んくっ!ふぅうっ」

 ステレオの喘ぎが俺の耳朶を振るわせ、二人の整髪料とミルクっぽさの残った匂いが熱を帯びた空気に混じって濃度を濃くしつつ匂ってくる。
 それぞれの剥き出しになった淫核を引っかくと両方ともがくがくと足を震わせてヒザを着くと今度は届かなくなった耳への奉仕の代わりに胸板に顔を擦り付け、深い呼吸をした後、乳首に口付けをし、舌先で乳首をなぶってくる。

 なんとか片腕だけでも動かせれば良いのだが…ダメだ。手は離してもらえそうにない。
 なので俺の下半身は―――

「ぐっ!ふぅ…っ、あっ、ぐっぐぅ…っ!」

 歯を食いしばる。情けない声をあげてたまるか…っ。
 だが、そんな思いとは裏腹に娼婦顔負けのテクニックを駆使して翻弄するみなぎとそんなみなぎに対して勝てるのは真剣さと誠実さとして丹念に俺の菊門を舌で舐り愛撫してくる佐乃が与えてくる快感の波はいつもの比ではない。
 悔しいがおそらく、こんな屈辱的な目に遭っていなければ果てている。

「お、まえ…ら…っ!」

 なんだかんだ言って反目しているのにも関わらず得心を得たのかコンビネーションが一致してくる。
 慣れない感覚に肥大化した肉棒は既にみなぎの口内に入りきることが出来なくなり、竿部分を激しく擦りあげながら亀頭、特にカリ裏を重点的にザラついた舌で丹念になぞり上げてくる。

「はぁっ、は、ン……ちゅく、れろっ、は、ふぅ、ふ、んんん、オチンポ…っ、にぃ様オチンポっ、んっ、はぶ、ちゅっ」

 射精させる為だけに与えてくる快感に次第に抗いきれなくなってくる。

「…っ、ぐ、が…っ」

 少しずつ、だが確実にいつも通り遠慮なく吐き出しているモノがこみ上がってくる。

「んっ、ちゅぷぅっ、んんむっ、ちゅぱっ、にちゅうっ!」

ちゅっ、にゅるっ、ちゅぷっ、にゅるるっ、ちゅぱっ、ぬりゅうっ!

 2人の責めが遠慮のないものに変わり、ガマンしてなんとか激しく噴出すことはないものの、既に白濁液がにじみ出てきている。
 ダメだっ!これ以上ガマンできないっ!

「あっ、ぐっ、ふああぁぁぁぁぁあああっ!」

びゅっびゅるっ!びゅるびゅるびゅる!びゅるっびゅるびゅるっびゅるるるっ!

 今までガマンして留めていた欲望が容赦なく吹き出ていく。
 びちゃびちゃと白い生地は前と横にいた3人の髪や素肌を所かまわず白くしていく。

「ふぁっ、あつっっ、ふあぁぁっ!はぁっ、んっ……!あぁっ!くふぅっ!」
「ひぁっ、ふあぁぁぁぁっ!あっ、ああぁぁ!?いっ、イっちゃう……イっちゃいますぅぅっ…っ!」

 びくっ!びくびくびくっ!びくんっ!

 ちょうど絶頂した瞬間にオレの指先が左右にいた2人の淫核を強く引っかいたらしい、そのまま2人が俺にしがみついて絶頂する。
 そんなぜぇぜぇと肩で息をする俺を含めた3人を他所に俺を前後に責めていた2人が俺の前で熱の篭った眼で自信有り気に上目遣いに聞いてくる。

「「…ど、どう(でしたかっ)!?」」
「………オマエラ、そろって失格」

 えー、と不満そうな声が上がる。が、どうするかは既にもう考えている。

「とりあえず、罰としてオマエ等は後回しだ―――せっか」
「うんっ!」

 そう言うと弾んだ声をあげて実妹が俺のヒザの上に乗ってくるといつも俺がしているようにこちらに背を向け、前傾の背面座位になるようにすると上目遣いでこちらを見上げてくる。
 水着の股布をずらしてくちゅり、と音をたてて妹の狭い膣内の中に一度射精して敏感になった俺の怒張が割って入って行く。

「あ、は、お兄ちゃんオチンポ入ってきっ、く、うあぁ…っ♪」
「ひ…ひめ…」

 佐乃が何とも情けない声をあげて兄妹の性交を物欲しげに見つめてくる。

「ふふっ、佐乃ちゃん、こっちにきて?可愛がってあげる」
「あ…は、はいぃ…」

 唯々諾々と言葉を受け入れて騎士少女が女主人に辱められていく。
 どうやら雪花は千鳥にだけではなく、俺以外の人間には攻めに転じるらしい。流石、我が妹。
 でも兄はこんな事実あんま知りたくなかったかも。
 だが、そんな兄の思惑とは裏腹に雪花は的確に俺の肉棒を受け入れながら初めて肌を合わせる佐乃の肢体を的確に攻め上げていく。

「んっ、ちゅぷっ、んふぅっ!んむっ、んんっ!」

 俺に見せるように舌と舌を口の外に出して舐め合いながら時折、佐乃に降りかかったオレのザーメンを舐めながら腰を捻り、浮き沈みさせる。
 雪花の上半身が佐乃の相手に費やされているおかげで下半身の少し動きが鈍いがいつも以上に射精した後の挿入としてはこれ位が丁度いい。
 一方、千歳は年上らしくガマンしているがその代わり、さっきと同様、俺の右腕を独占するように抱きついて、キスの雨を肩に降らしながら時折、吸い付いてキスマークをつけては俺の指を自分が敏感な部分に擦り付けるように前後させて喘いでいる。
 時折、こちらが意に沿わない動きをする度にそれを快感として受け取る。

「んくっ、んんっ!」

 千歳の幼い膣口が俺の腕に吸い付くように離れず、更にその奥にある子宮口への刺激を求めるように強くしがみつき、それらの口から溢れてくる淫蜜が強く擦れる肌と肌の圧迫感を密着感に変えては千歳の幼体に痺れるような刺激を走らせ、びくびくっと体を震えさせる。
 千歳の膣温を伴なった泡立つ粘液のおかげで俺の右肘下で滑っていない部分はなかった。


「ん…っ、んんん…っ!ぷはっ。
 佐乃ちゃんのキス、お兄ちゃんの味がするぅ…っ」
「はぅっ!ふああぁぁぁぁ…っ」

 ごくん、と佐乃の口から舐めとった唾液を音を立てて飲むと実妹は口と口との粘膜接触だけで恍惚状態にしてしまった相手の残った羞恥心を煽ろうとする。

「ねぇ、どうだった?お兄ちゃんのお尻、美味しかった?」
「ふ…ふぁい…おいひかったれすぅ…」
「そう?じゃあ、ここも―――お願いできる?」

 そう言って自分と俺の結合部を自分の指で淫核を弱く押しつぶしながら突き出す。

「んっ!どぅ…?ここ…お兄ちゃんと繋がってるオマンコ…舐めてみたくない…っ?」
「あ…は…っ、はひぃ…っ!」

 うわ言のようにため息をつくと吸い寄せられるように自分の主達の最も穢れた部分に紅く、綺麗に整った舌を這わせ出す。

「ひぅんっ!ふぁっ!んんっ!そぅ…その調子ぃ…っ」

 昼の大人しい顔とは違う。女の悦びを顔に称えて自分の従者に淀みなく奉仕させ、その行為自体に一舐めさせる毎に相性の良すぎる膣穴を出入りするオレの陰茎を俺が最も快感を得る強さをポイントでもって締め上げてくる。

「…っ!ふぁっあ!おまんこ…おまんこいいよぅ…っ
 おにいちゃんのオチンポッ、オチンポぉ…っ!」
 
 相性の良すぎて快感を感じているのは淫妹も同じ、自分を犯す肉茎の感触に細い体が折れるんじゃないかと思うくらいにのけぞってあられもなく喘ぎ声を上げる。
[淫らな方が良い]と言った俺の言葉を見事なまでに体現している。
 ―――だが、これじゃ、このままじゃ普通だろう?
 オマエにも俺が味わったのと同じ気分を味あわせてやる。

「…佐乃、前の方はもういい。せっかの尻を…ケツマンコの奉仕してやれ」
「―――っ、はぃっ!」

 思わず良いんですかっ!?と聞いてくるかと思うくらいにそれまで惚けていた顔の目が光る。
 事実、佐乃はさっきからちらちらっと俺たちの結合部を舐めながら見えそうで見えない雪花のアナルの方に視線をやっていた。
 一つ言っておくが佐乃のアナルは開発したが肛虐嗜好そのものは何もセットしていない。
 だが、今の奉仕で主人に対する奉仕と排泄器官に対する奉仕というこれ以上ない自虐的な行為がマゾ剣士にはこの上なくかみ合ってしまったらしい。
 が、当の奉仕される側は―――

「えっ?だめぇっ!」

 女主人は拒否してくる。
 だが、俺はそれまで雪花が奉仕していた腕を使って背面座位から向かい合いなるよう抱きしめ、佐乃が奉仕しやすいよう結合部を上に押し上げる。
 佐乃はこの時ばかりはお館様の命令だからと優先順位を自分の都合のいいように誤魔化し、やや強引に白色の水着を引き伸ばして女主人の肛門を部屋の空気に晒すとそのまま愛でるように撫で回し、つぷ、と白魚のような人差し指の腹を埋め込んだ。

「ひぅんっ!」

 既に慣れた感覚とは違い、通常、挿れるという行為には使用しない器官への初めての感覚に意識を持っていかれ、それまでの淫蕩さはなりを潜めて未知への恐怖に身体を竦ませる。
 だが、その恐怖を与えている主は―――

「はっ…はぁ…っ、ひ…姫さま…っ」

 雪花の声など既に聞いちゃいない。息を荒げて自分の恋焦がれた相手の性器を目の前にして興奮するばかりか排泄器官への奉仕を命じられ、これ以上ない情欲と己への被虐心に身を焦がして自分の欲求を満たそうとする。

 俺は水着の上からも分かるくらいにしこった妹の胸の頂を生地の上から吸い付いて口内で嬲る。

「ひぁんっ、らっらめぇ!」

 この奴隷達の白い水着にはサポーターは入っていない。
 その為、今までにないザラついた刺激に淫らになった乳頭が敏感に反応してしまい、その結果―――

「ひっ!?あ、ふぁっ!ふぁっ!ひぃああああぁぁぁ〜〜〜っ!」

 雪花が余裕のない声をあげて絶頂するとそのまま挿入している膣内が俺を射精させるためだけに造られたような構造と動きでシゴきあげ、それに促されるように俺の中を甘い痺れが駆け巡りそのまま我慢することなく実妹の膣内に射精する!

びゅるるるっ!びゅるっ!びゅるびゅるびゅる!びゅるるるるっ!

「うはぁっ、きてるっ、あ、は、入ってぇ…♪きっ、く、うあぁ、んんっ」

 甘い声でこの上なく幸せそうな声をあげるとそのまま余韻を楽しむように仰向けになってベッドに埋もれ、素早く避けていた佐乃がそれに追随するように雪花の奉仕と介抱を始めた。

 そして、ようやく右腕に繋がった幼教師に声をかける。

「よく我慢したなちとせ」
「御主人さま…っ」

 待ち焦がれた幼教師がそれまでしがみついていた腕から体を離し、千歳に向かって正面を向いたオレの胴へ飛び込んでくる。
 普通ならその衝撃にのけぞったのだろうが今日の相手達はなりも小さければ体重も少ないので難無く受け止められる。

「御主人さまっ、その…っ」

 指環から言わんとしていることが伝わって来る。
 どうやら雪華と佐乃を思いの他、気持ち良くさせ過ぎたらしい。

「オマエも尻穴を嬲って欲しいのか」
「は…はぃ」

 ブロンドのツインテールがこくんと上下に揺れる。

「じゃあ、もっとはっきりいえ、どこを、何でどう嬲って欲しいんだ?」
「…っ、そ…そのっ…」

 どうやら自分から尻穴を弄れ、と口に出すことも出来ないらしい。

「じゃあ、こっちだな」

 そう言うとまごつく千歳の尻肉を持ち上げ、そのまま千歳の媚肉に肉棒をあてがい、そのまま貫く!

「ひゃあん…っ!あ、あ……っ、お、おっきぃのっ、ご主人様ちんぽ入ってくるぅ…っ!」
 
 有無を言わさずに始まってから俺に弄られつづけた千歳の肉壷は完全に出来上がり、愛液が潤滑油となって本来入らないはずの俺のペニスが抵抗無く押し広げて分け入っていく。

じゅぼっ、ちゅぶっ、ぐちゅぅっ、ぬちゅんっ!

「あぁぁぁぁぁぁっ…中でこすれてぇっ!」
 
 千歳が大きい声で喘いだ後、今度は小さな声で俺を呼ぶ声が聞こえた。

「に…さま…っ」
 
 見るとみなぎが股間を押さえて訴えるような目でこちらに声を上げる。
 さっきから反応がなかったが何も自分を慰めていた訳じゃない。

「んくっ!お…御館さま…」

 ほぅ、ようやく佐乃の方にも来たか。効き目が遅いのはこれも佐乃の指環のせいか、それとも―――

「どうした?みなぎ」
「…っ」

 この期に及んで顔を赤くして拗ねたようにそっぽを向く。
 まだもつか。
 ま、以前のアレでみなぎの方は刺激そのものに対して耐性を付けたのだろう。
 なら佐乃は―――

「おいおい、どこに行くつもりなんだ?佐乃」

 後ろを振り向かずに俺の死角からベッドから降りて部屋を出ようとした従僕に声をかける。

「え、あ…そ、そのか、厠に…」
「そうか…」
「申し訳ありません…っ」

 別に謝ることはない。
 そんなことを考えていると佐乃の膝がかくんっ、と曲がった。

「…へ?これ…っ、まさか―――!」

 あぁ、そうだ。オレの仕業に決まってる。

「行かせるワケがないだろう。なんでそこにみなぎが横たわってさっきからガマンしているのか分からないのか?」
「…っ!?」
「オマエ達は後ろの方が好きそうだが…前の方もちゃんと感じるようになって欲しくてなぁ」
「お…おやか、たさま?もしかして―――」
「あぁ、怒ってない、怒ってないぞ。だからしっかりここで―――漏らせ」

 ようやく佐乃も自分に起こっている事がみなぎにも起きていると気付き、みなぎの方を見る。

「あぁ、そうそう。どうしても我慢できないって言うんだったら誰かにさせろ。

 そうすれば拘束が解けて行けるようになるぞ。

「…っ」

 佐乃の顔が青くなる。

「なぁに?佐乃ちゃん、お漏らしするの?」

 壺惑的な笑みを浮かべて佐乃を挑発するように見つめる。

「…ひめ…っ、そ…そんなことは…っ、くぅっ!」

 反射的に立ち膝になって妹姫に格好付けようとするがいかんせん、強制的に促される排尿感に思わず身体をくの字に曲げる。
 必死に絶えようとするが流石に高まっていく排泄感を止める手立てなんか佐乃には用意できない。しかも―――

「―――なっ!?」

 [く]から逆[つ]の字になろうとする佐乃の身体が何かによって強制的に固定される。
 これは―――

「かげ…っ、縫った」

 はーはーと据わった目で冷や汗を流したみなぎが標的を身動きできなくさせる。
 見ればどこに隠し持ってたのか佐乃の影にいくつか針状のもの、もしかすると髪の毛か?が、刺さっていた。

「な…っ、これ…っ!」
「言ったろ。みなぎも腕は立つって。言っても分からないようだから身をもって知ったらどうだ?」

 俺がそう言うとベッドから降りたみなぎが佐乃の下半身に淫らに絡みつき、腕をまるで蛇のように絡ませる。

「や…やめ…っ」
「るワケない―――漏らしちゃえ」

 わずかな熱の篭った無機質な声に今度は佐乃が被虐の声をあげる。
 余裕がないのだろう。スリットをこっちに見えるくらいに開き、これから出そうとしようとしている液体とは違った淫液で塗れた佐乃の秘裂をまさぐるみなぎの指は倍速させたように佐乃の淫核の下、淫唇の上部―――尿道口を触手のようにのたうち回り、その刺激にのけぞることの出来ない佐乃を途切れることなく責め続ける!

「ひ…っひあぁっ!や…ため…っ、ひめも…ぉ、みなひでく…っ、ださいひぃんっ!」

 引くことものけぞることも出来ない佐乃は間断なく責め続けられ、べそをかきながら顔を歪め、悲鳴と懇願をあげることしかできない。
 だが、誰もなに一つ聞き入れることはなかった。
 それどころか―――

「ほら、ここから出しちゃえ、出しちゃえ…っ」

 みなぎが俺に見えるよう佐乃の濡れきったタテスジを開くように両手の中指で左右から押し開き、人差し指で穴の出入り口を愛撫して刺激する。
 ワザとだろう、時折、狙いが外れたようにして佐乃の淫核を押しつぶす。

「だ…めえぇぇ…っ!も…漏れちゃう…っ漏れちゃううぅぅっ」

ぷしゅっ

 それまでみなぎが弄っていた穴からなにか噴出したその瞬間、みなぎの手が佐乃の下半身から一切離れる!

「ふっ…ふああああああああああああぁぁぁぁっ…!!」

 じわぁっ
 それは少しずつ佐乃の水着の股間部を濡らし、純白の水着に淡い黄色の染みを作っていく。
 次第に生地が吸いきれなくなった水滴がぽたっぽたぽたっと垂れだし―――少し高い位置に固定された佐乃の股間からじょぼじょぼと音を大きくして床に落ちていく。
 それと同時に辺りに尿特有のアンモニア臭が立ち込める。

「ひぁっ、とまれ…っ、お願い、とまってぇ…っ」

 だらしなく弛んだ顔に残った理性が失禁少女に悲哀の涙を流させる。が、その顔は明らかに溜まった排泄感から開放されると同時に、剥き出しになった淫核がキツく自分を締め付ける水着に擦られたショックで達してしまったことにより、たまらなく幸せそうな顔になって泣いていた。

「お館さまぁっ、ひめぇっ、先生も…っ、見ないでくださいぃ…っ、オシッコを漏らす佐乃をみないでくださいひぃ…っ!」

 そして今も佐乃のはしたない尿源泉は尽きることなくこんこんと佐乃の奥から生温かい黄金水を湧き出させていく。
 それを見られる度に小さくイキ続けているのだろう「んくうっ」と佐乃が動かない身体を奮わせる。
 そしてそれを見ている俺も―――

「んっ!ご主人様の…っ、おおきくっ!?」

 背徳感に千歳の膣奥に入ったままの俺の肉棒が大きくなり、千歳の狭い蜜壷を押し拡げざらついた膣壁を削っていく。

「…はっ、んうぅ…っ、お…おっき…っ!」

 今度は千歳が幸せな顔をしながら苦しそうな声をあげる。

「む」

 そこへ不満そうな声をあげる小猫が一匹。

「にぃさま…オシッコでオチンポ大きくして…興奮したの?」

 みなぎがトイレにも行かず不満そうな顔でこちらを見てくる。
 …まぁ、そんなトコだが微妙に違う。それじゃ俺はただの排尿専門のスカトロマニアだ。

「人前で喜んでするようならこっちから願い下げだ。だが少しでも恥ずかしいと思うんだったら―――」
「なら…」

 みなぎが拗ねたような顔を紅くしながらこちらに影を触れさせ、思考を読ませてくる。

「―――…あぁ、合格だ」

(恥ずかしい…けど、にぃ様が気持ちよくなるんだったら…っ)

 ふしゅう、と音がするかと思うくらいに顔を紅くすると今度は自分から湿り気を帯びた白スク水の股間部をこちらに見えるようにズリ下げ、んんっ、とお腹に力をこめだす。
 自分からやるといったものの、やはり恥ずかしいのだろうこちらに目を合わせることが出来ない。

「んんん…っ!にぃさまのヘンタイ―――っ!」

 この期に及んで悪態をつく、が、これはワザとだ。みなぎはオレに悪態をつくと―――

「んん…っ!ふぁっ、あっ!」

 ちょろ、ちょろろろろ…じょぼじょぼじょぼ…

 さっきの佐乃とは違い、遮る物が無い為、最初少し生地に引っかかったものの、綺麗な方物線を描いて佐乃の黄金水が床に跳ねていく。

「は…っ、うくぅん…っ、んくっ、やっ、やっぱり見ちゃダメェ…っ」

 俺以外の連中に見られることに抵抗を感じ出したのか小さな声で鳴き声を上げ、昂ぶった身体が震える。だが、決して自分から開いたスリットを閉じようとはしない。
 恥ずかしさを懸命にこらえているんだろう、顔を赤らめ、食いしばった歯がひどく印象的で俺を昂ぶらせた。

「んくぁあっ!オチンポッ、ご主人様のオチンポ大きくなりすぎて…っ!」

 あぁ、分かってる。こちらも千歳のツブツブした膣中が更にキツくなりすぎて痛いくらいになっている。
 狭く、ザラついた蜜壷を自分の欲棒を八分目位まで挿れると亀頭に千歳の最奥である子宮口にぶつかってしまう。
 だが、苦しそうな声を上げながらも千歳は指を噛みながら押し付けられる感覚に悦び、自分から腰をぐりぐり押し付けて快感を貪ろうとする。

「ん…っ、くうっ」

 子宮口を超えてその中に入りかねない…いや、半ば入っているその感覚に征服欲が満たされていくのを感じ、今度は腰を引いて、更に強く打ち付けていく!

「ふあっ、くふぁっ、ひぃうっ!」

 実に苦しそうに甘い声で鳴く。
 感じる部分とかそういうことに関係なく千歳の膣壁が俺を受け入れながら愛撫するように蠕動する。
 その強引な挿入にかなり出しているはずの俺のペニスが奮い立ち、かさが入り切って来たその先端の穴に注ぎ込む熱い奔流が大量に、だが遅いペースでグングンと駆け登ってきている。

「は…っ、ごしゅじんさまのあつぅいすぺるまっ、オチンポ汁っ、でちゃっ、でちゃいそうですねっ!?
 私のキツキツおまんこっ、これ以上拡げられたらぁ…っ♪」

 ザーメンによる輸精管の盛り上がりすら千歳にはきついようだ。
 だが、俺には関係ない。子宮口に亀頭を出し入れし、竿を熱く狭く泥濘んだ千歳の未成熟な身体を貪り尽くすように出し入れる。
 出し入れをする度に俺の精液と千歳の交じった淫液が派手に音を立てて飛び散り、千歳が拡張されて行く自分の膣が発する痛みに甘い悲鳴を上げる。

「っく、イクぞっ!」

 そういうと俺は千歳の最奥に強く侵入させる!

「んくっ!くはぁああああああああああぁぁぁっっ!」

びゅーっ!びゅるっびゅるりゅるっ、びゅるるるるっ!

 千歳の子宮に俺の欲液が容赦なく打ち出される!
 狭く圧迫された管を上って来た子種汁は弛緩と硬直を繰り返す千歳のヴァギナの動きに同調して止まる事なく千歳の胎内を満たそうと射精を続け、時折、限りなく狭い透き間から白濁液が漏れ出しては膣壁に染み込んで行く。

「きてぅ…っ!んんっ、ごしゅじんさまのせーえきぃ…♪」

 舌ったらずになった口で満足げな声を上げる。

 じゅぽんっ

 音を立てて陰液にまみれた肉棒を抜くすかさず雪花と佐乃が群がり、纏わり付いた後尾液をなめ取っていく。
 一方、みなぎはというと激しい挿入後で息をつくしかできない千歳のぽっかり空いた膣からだらし無く垂れ落ちている俺の精液を吸い付くさんと舌をすぼめ、音を立てて吸い付いていた。

「ん…っ!」

 こちらはというと雪花と佐乃が半勃ちになった俺の精液を自分達の股間で挟んで敏感になった肉竿を淡いレモン色に滲んだ白いスクール水着で擦ってくる。
 二人とも自分の淫唇の上方の剥き出しになっているであろう真珠に刺激を与えようとこちらの中腹から亀頭に向けて圧迫してくる。
 まだミルクっぽさの残った尿の匂いと淫液と俺から放たれた匂いの交じった性臭と舌を絡めあって快感を得ようとする二人を見て大量のスペルマを放ったにも関わらず、二人を汚すために再び管に熱い迸りを上らせて行く。

 同じ白。だが、異なる白色を称えて二人の顔にかかり、垂れて水着が穢されると同時に今度は股間のスリットから無色の生暖かい液が吸収しきれずに滲んで淫液まみれの肉棒のぬめりを少しだけ落とし、そのせいで痙攣して細かく擦れてくる生地の感触が更に増し、快感を生み出して行く。

 射精し終わると二人ともくてっと重なり合って倒れて息も絶え絶えに互いにかかったザーメンをなめて飲み込んでいく。
 顔から頬、そして唇から首筋、鎖骨、乳首を甘噛みすると今度はへその窪みと行き、そして互いの自分の分泌した性液の色で変色した股間へと吸い付くように唇を押し付けてしゃぶっていく。

「ん…っ、おにいちゃん…っ、お兄ちゃんオチンポの味が少しだけするよぅ…っ」

 さっき擦り付けていた時にでも付いたのだろう。その味のする場所を重点的に責める。そしてそれは互いにとって容赦なく感じる場所であって―――

「んんん…っ!きゃふぅっ!やぁっ!らめぇえっ!」
「んくっ!あっ、ああぁぁ!?いっ、イっちゃう……イっちゃいまふぅぅっ…っ!」

びくっ!びくびくびくっ!

 同時に痙攣して再び大量の愛液で自分の股布を濡らして水着の湿地帯を拡げていく。
 そんな二人を見ていると横からおもらし少女がこちらにすがるように口を開いた。

「にぃさま…まだ、中に出してもらってない…」
「ん、あぁ…そうだったな。ほら、こっちに来い」
「うん…っ」

 あまり変わらない、が確かに微笑んでこちらの膝の上に乗ってくるとそのまま向かい合った形でこちらの胸板に子猫よろしく顔を擦り付けて心地よさそうにしてくる。

「んっ、んんんっ♪」

 そんなスキンシップを面白くなさそうみる少女が一人―――本物の妹が、剣呑な眼でこちらを咎める。

「むー!お兄ちゃんにそういうコトしていいのは私だけなのー!」
「……ぷい」

 ちら、と怒る実妹を見ると再び俺の胸板にマーキングするかのように強く押し付けてくる。

「………」

 …面倒くさい。これ以上、雪花が起こる前に―――
 俺はみなぎをそのまま抱えるとそのまま火照ったみなぎの膣内に肉棒を強引に挿入する!

「ひあぁっ!くふううっ!はっ、はぁぁっ…っ!」

 多少強引に挿入したにも関わらず、既に出来上がったみなぎの膣内はすんなりと俺を受け入れた。滑り、火傷しそうな位に熱を持ったみなぎの膣内は俺を飲み込んで放そうとしない。
 当のみなぎはと言うと少し苦しそうにして目を閉じながらオレのモノを受け入れた事によってこの上ない嬉しさが俺に伝わってきた。
 だが、それも長く続かない。

「ひぅんっ!」

 突然、みなぎが普段から考えられないような声をあげる。
 そして同時にみなぎの膣内に普段のみなぎとは異なる動きが―――…
 元凶はすぐに分かった。

「ふぅん、こんな所で気持ち良くなっちゃうんだ。ねぇ、もっと入るのかな…?」

 雪花が怪しい目―――まるで佐乃を相手にした時のような眼で今度はみなぎを追い詰めようとする。

「ぃやっ、やめぅ…っ!」
「もうお兄ちゃんにあんな事しないって言うんだったら…にぃ様って言うのを止めるんだったら止めてあげる。どう?止める?」
「や…止めな…きふぅっ!」

じゅぼっ、ちゅぶっ、ぐちゅぅっ、ぬちゅんっ!

 指を2本にして既に性感帯となっているみなぎのアナルを責めたてる。

「あ、おぉうっ!くふぁっ、あふうぅぅっ!」
「もうオマンコにお兄ちゃんにオチンポ入れてもらってるのにこっちで感じちゃってるの?お兄ちゃんオチンポだけじゃ物足りないの?」

 そう言われてみなぎも初めて敵意をあらわにする。

「…っ、にぃ様の分だけで十分…っ、にぃ様チンポっ、にぃ様チンポぉ…っ」
「あー!もう許してあげないんだもん!」

 …まるで姉妹ゲンカだ。止めるのも面倒くさい。
 
「ほらっ、お兄ちゃん見て…これ、みなぎちゃんのオシリのえっちなお汁…」

 そう言って雪花が佐乃のアナルから指を抜いてそれまで入っていたその指をこちらに良く見えるよう、ライトに照らして見せてくる。

「だ…っ、だめ…っ!そんなの見せちゃダメぇ…っ!」

 雪花がそう言って俺に佐乃の腸液でテカった指を見せると涙目になったみなぎの淫裂が今までの中で一番にきゅうきゅうと締め付けてくる!
 そんな中、膣壁を一枚隔てて雪花が余ったもう一方の手の指をすかさず佐乃の尻穴に挿入してこちらを刺激してくる!

「あ、お兄ちゃんのオチンポっ、見ぃつけた…っ、いいもん、みなぎちゃんのオマンコじゃなくてわたしの指でイかせちゃうもん」
「ほふぅっ!らめぇっ!前と後ろでゴリゴリ…っ…ごりごりしちゃらめぇッ!」

 今までにはなかった新鮮な刺激に耐えられず、みなぎの中に大量のザーメンを撒き散らす!

びゅくんっ!びゅる、びゅっ!ぴゅぴゅっ!ぴゅっ…ぴゅくっ。

「にぃ様ザーメン…っ!でてぅ…っ、うっ、くうぅっ…んっ…だ、だめェ…うっ、ううぉっ、あっ、くふううぅぁ〜〜〜っ!」

 兄妹に両穴を責められて派手に悩ましく喘いでぷしゅっ、と今度は潮を吹いてくのいち少女は絶頂を迎える。
 焦点の定まらない眼をして上と下、両方の口からだらしなく涎を垂らして絶頂後の余韻にふけっている。

「お兄ちゃん、今度は私…」
「ご主人様…」
「御館さまぁ…」
「にぃさまぁ…」

 誰もが熱のこもった視線でそれぞれがこちらを誘ってくる。

 …回復したばかりだと言うのにどうやら体力がなくなるかもしれない。そんな洒落にならない事を考えながら俺は手近にあった女の身体を抱き寄せた―――

 
 


 

 

戻る