神崎くんの能力


 

 

〜生徒会長を嗅がせてみる〜


 音楽室を後にした僕は廊下で立川瞳とすれ違った。彼女は僕よりも年上で生徒会長だ。彼女は僕のことを知らないだろうが、僕から見れば彼女は有名人で、眉目秀麗、成績優秀、学園のマドンナ的存在である。

 ちょうど生徒会室に入っていったので、生徒会の仕事で残っているに違いない。僕は生徒会室の前で立ち止まり、室内の様子を覗ってみる。すると瞳の他に副会長の相沢恵子、会計の相馬達也がいた。

 恵子は瞳と同じ年で言うなれば瞳の取り巻きの一人だ。この二人は僕が見る限り、いっしょにいる事が多い。瞳が生徒会長に立候補したから、自分も生徒会副会長に立候補したようで、彼女も容姿はともかく、頭脳の方は瞳に負けていないし、人当たりが良いために人気も高い。瞳がお高くとまっているので、余計に彼女の人の好さが目だっているような状態だ。

 達也は僕と同じ年で、クラスも同じだった。彼とはけっこう気があい、何回か彼の家に遊びに行った事がある。そんな事を考えていると、最近、彼と話をしてて生徒会室に遊びに来いと言われていた事を思い出した。

 学園のマドンナである先輩とお近づきになるには、ちょうど良い機会だ。まぁ、別に僕の能力を使えば簡単なんだけど、何でも能力に頼るのはおもしろくない。だけど、突然入っていって、邪魔者扱いされるのは僕の自尊心が許さないから、室内にいる人みんなの心に(そろそろ仕事に飽きてきて、ちょっと気分転換がしたい)と植え込んだ。そして、僕は控えめな仕草でドアを開ける。

 ちょうど三人は書類の整理をしていた。僕が入っていくとみんな一斉に僕に視線をあわせる。そしてすぐに達也が笑顔を浮かべると、

「よぉ、神崎、遊びに来たのか?ちょうど良かった、今、ちょっと休憩しようって話してたんだ。会長、紹介します、こいつ神崎って言って、俺の友達です」

 と早口だが活舌の良い大きい声が響く。達也は男の癖によく喋り、しかもよく通る大きい声をしている。そして僕と話していても一人で喋っている事が多いが、僕はあまり喋る事は好きじゃないから、ちょうど良い。

「そう、神崎くんと言ったかしら?タイミングがよろしくてよ、今、クッキーを出そうと思っていたところなの。ごいっしょに如何?」
「はい、喜んで」
「神崎、お前良かったな、先輩の手作りのクッキーだぞ、全校生徒の憧れの」
「相馬くん、お世辞なんか言っても、何も出なくてよ」

――相馬くん、わかってるわね。そうよ、全校生徒みんな欲しがるわたしの手作りのクッキーなんだからね。この子も全く運が良いわ――

 ちょっと瞳の心を読んだら、そんな事を思っていた。今回のクッキーにしても単に自己顕示欲を満足させるために作ってきたらしい。

――この子、そのクッキーを食べて、友達とかに生徒会長のクッキーはとても美味しく、だって今回のはちょっと自信作なんだから、とっても優しい先輩だって事を言いふらさないかしら。そうしたら、またわたしの下級生の間での人気が高まるわ――

 僕はたぶん、そんな事は言いふらしたりしないだろうけど、達也は言いふらすかも知れない。いや、言いふらすに違いない。何故なら僕は彼から何回も、いかに瞳が後輩に優しい先輩であるかを聞かされているからだ。

 さて、で、そのクッキーの味だが、さすがに自信作だけあって美味しい。チョコチップの入ったクッキーで、味も外見も売り物にしてもおかしくない出来映えだ。彼女の過去の記憶を引っ張り出してみたが、小学生の頃から相当何回も作っているらしい。数え切れないほどの失敗の上に、このクッキーがあるようだった。

 僕がクッキーをパクついていると、恵子がお湯を沸かしながら声をかけてくる。

「神崎くんは紅茶で良いかな?コーヒーもあるんだけど、会長も相馬くんも紅茶だから」

――私、本当はコーヒーが良いんだけど、みんなと違うのを飲むのは嫌だし。彼、コーヒーが良いって言わないかな?そうしたら、私もコーヒーを飲むのに――

 僕は生憎コーヒーは嫌いなんだ。かと言って紅茶もそんなに好きではない。やっぱり白湯が一番だ。何せ味が無いから、後に残らない。でも、だいたい白湯が好きと言うと、怪訝そうな目で見られるので、その事は誰にも言っていない。だから、今回も、

「あ、僕も紅茶で良いです」

 とサラリと答えていた。別にコーヒーでも良かったが、恵子にあわせてやる必要は感じない。

――やっぱりね、仕方ないか。でも、普通、紅茶よりコーヒーだと思うんだけどな――

 恵子はそう思いながら、表面上はニコやかに、内面で渋々と紅茶を煎れてくれた。

 僕たち四人はクッキーと紅茶を前に、のどかな夕暮れのお茶会を催しているわけだが、たぶん、そんなのほほんとした光景を誰も望んではいないと思うし、僕も望んでいない。と、言うわけで、僕は三人の心をイジることにした。今回も少し高度な技術を使うことにしよう。

 目の前に紅茶がある。何の変哲のない紅茶で、別に良い物でも何でもなく、生徒会費を使って近所のスーパーで購入したオリジナルブレンドお徳用紅茶に、水道水を沸かして作った物だ。で、この成分をアルコールと身体が間違えるように神経伝達系に細工する。味も香りも普通の紅茶だが、胃腸で吸収するとそれはアルコールであると判断するようにしたわけ。すると、どうなるか。

 先ず、それを飲んだ三人の血行が良くなる。みんな顔がほのかに紅潮してきた。そして、だんだん思考能力が低下して、理性が無くなってくる。だから、達也の声は益々大きくなってきたし、瞳の口数も多くなってきた。恵子は瞳をとろーんとさせて少し眠そうだ。

「と、言うわけで、俺、親父に言ったんですよ、それはカモノハシだろ?って」
「えー、あははは、何それ、おかしいよ、あはははは」

 瞳は笑い上戸らしく、紅茶を飲む度に笑う回数が多くなってくる。それも大きく口を開けて、あははは、あははは、と笑い、いつも上品ぶってる姿とは大違いだ。恵子に目を向けると、眼を潤ませてそんな瞳をジっと見てる。あれ?何か様子が変だな、思考を読んでみよう。

――あぁ、瞳さま、何て美しいの・・・私は瞳さまといっしょにいられて幸せよ――

 恵子って、もしかして・・・

――あのピンクで瑞々しい唇・・・絹のように繊細で柔らかい長い髪・・・なめらかで眩しく輝いてる白い肌・・・私だけの物にしたいわぁ――

 恵子ってレズなんだ。へぇー、だからいつも瞳といっしょにいるのかぁ。酔ってきて理性が無くなってきたから、凄い目で瞳の事を見てるよ。でも達也も瞳もやっぱり酔ってて、訳わかんなくなってるから、その事に気づいてないみたい。

――あぁ、瞳さま、恵子は瞳さまのお傍にいられるだけで幸せです――

 眺めているだけで満足って言う恋か、世間知らずのお嬢さまっぽいよね。でも、それじゃ、おもしろくないね。

――(瞳さまの匂いを嗅いでみたい)・・・あぁ、瞳さま、どんな香水を使っていらっしゃるのかしら(どうしても、今すぐ嗅いでみたい)――

 恵子はうっとりとした眼差しで、ゆっくりと少しずつ瞳に身体を寄せていく。

――あぁ、何て良い香り・・・(恵子、この匂いを嗅いでいると、もうどうでも良くなっちゃう。もっとよく嗅いでみたい)――

 荒い息を吐きながら、恵子は瞳にピッタリと寄り添った。

「何よ、恵子、あなたも聞いたでしょ?この子のお父さまったら、クレープをお作りになるのよ、六八歳で。それも最初に作ったのはお好み焼きみたいな味がしたんですって」

 瞳は恵子の変化に気づいていないし、恵子も瞳の話なんか耳に届いてない。

――あぁ、瞳さま、何て良い香りなのかしら・・・(おマ○コの匂いはどんな香りなのかしら?)きっと瞳さまの事ですから、高原を吹く風のような爽やかな物に違いありませんわ――

 それがどんな匂いなのか、僕にはよくわかんないけど、たぶん違うと思うな。でも、それは違うと言われても、きっと彼女は信じないだろうから、本人に確かめさせてあげよう。

(瞳さまのおマ○コの匂いってどんな匂いなのかしら?とても気になってきましたわ、確かめないと気がすみませんわ)

 僕がそう恵子の思考に送ると、彼女ったら食い入るように瞳の股間の辺りを見つめだした。さすがにこれは瞳も気づいたらしく、

「恵子さん、どうかして?私のスカートに何かついているの?」
「いえ、瞳さま、私・・・」
「え?何とおっしゃって?」

 そんな状況に気づかず、達也は一人で喋り続けている。今から学園のマドンナのレズショーがはじまるというのに、呑気な奴だ。まぁ、君のような呑気者には、この光景を見せてあげない。僕は先ず達也の声を、彼には気づかないように出せなくして、そして瞳と恵子の行動も普通に、いや、とても興味深く自分の話を聞いているように思わせる。こうしておけば、達也は永遠に一人で喋り続けるだろう。または酔いつぶれて寝てしまうに違いない。

 そうこうしている内に、明らかに恵子の様子が変わってきた。酔いも手伝って妖しく潤んだ瞳で、レズ特有のネットリとした視線をからませる。瞳はそれで恵子の様子がおかしな事に気づいたらしい。

「ち、ちょっと、恵子さん、いったい、どうしたって言うの?」
「瞳さま、私、瞳さまの香りが嗅ぎたいんです、お願いします、どうか恵子に嗅がせて・・・」

 恵子はそう言いながら、乱暴に瞳の股間に顔を押し付ける。さすがの瞳もこれにはビックリしたみたいで、悲鳴をあげそうになった。が、そんな事は僕がさせず、彼女は蚊の鳴くような嗚咽を漏らしただけだった。

「や、やめて!恵子さん、あなた、おかしいわ!ちょっと、やめてったら!!」
「あぁ・・・イィ・・・何て香ばしいんでしょう・・・もっと、もっと嗅がせて・・・もっといっぱい・・・」

 恵子は瞳のスカートの中に顔を入れようと、姿勢を低くして這いつくばるような格好になった。

(おマ○コを嗅ぎたい、瞳のおマ○コをいっぱい嗅ぎたい、恵子はそれがいちばん興奮することで、いちばん気持ちいいこと)

「あぁ、瞳さまのおマ○コ、もっと、もっとぉ〜」
「へ、変態!やめて、変態!!」

――変態?私、変態なんかじゃない・・・あれ、でも、私のしてることって――

 あ、まずい、恵子は正気に戻り始めてる。書き換えなきゃ。

――やだ、私、何してるの、瞳さまの股間に顔をうずめて(それがとっても気持ちいいんだけど)だからと言って、そんなことをしちゃ瞳さまに嫌わ(瞳さまだって、本当はそうされたいに違いないわ)瞳さまは上品な方だからそんなことは(きっとお恥ずかしいから、そう言っているだけよ、私がしてあげれば瞳さまだって喜ぶはずよ)こんなに気持ちいいんだもの、瞳さまだってそうに決まってる(もっと激しくしてあげなきゃね)――

「や、やだ!!恵子、放して!そんなに顔をすりつけないで、そんな事すると、わたし(感じちゃう)・・・あ・・・ダメ・・・イヤぁ(凄く感じる)ンふぅ・・・はぁ・・・や・・・やめてったらぁ・・・(身体から力が抜けちゃう)・・・も・・・もう、ダメよ・・・恵子・・・」

――どうしたって言うの、恵子はわたしの友達で、何でもわたしの言う事は聞いてくれて、言わばわたしの召使いみたいなものでしょ?どうして、そんな恵子がわたしの嫌がることをするの――

 召使いだって?全く酷い女だね、友達の事をそんなふうに見てるなんてさ。おしおき、してあげなきゃ。このまま感じさせて気持ち良くしてあげようと思ったけど、凄い嫌悪感を感じさせてやろう。恵子を見れば見るほど、恵子を感じれば感じるほど、恵子の事が嫌いになっていくようにね。恵子は逆に瞳の事をどんどん好きに、愛するようにしてあげる。

 そうすれば、ほら、恵子はどんどん激しく顔をすりつけて瞳の股間の匂いを嗅ごうとするし、瞳はそうなればなるほど嫌で嫌でたまらなくなる。そして、瞳はそれに抵抗する力が全く出ないようにして、そして、お約束だけど性感だけは物凄い良くしよう。

「あぁ・・・嫌、やめてよ、恵子・・・嫌だったら、わからないの!?ン・・・だめ・・・嫌ぁ・・・ヤメて・・・放してよ!嫌だったら!!」
「瞳さまぁ、瞳さまの香り、瞳さま・・・恵子は・・・恵子は・・・前から瞳さまを・・・お慕い申し上げておりました・・・ンふぁぁぁ、何て良い香り・・・想像してた通りの・・・あ・・・あ・・・恵子、我慢できません!!」

――何よ、この女!今まで友達だと思ってたのに!こんな変態とは思わなかったわ、あぁ・・・嫌!わたし、感じてるの?こんな女に感じさせられているの?嫌よ、嫌!!何よ、ブスな癖に、わたしに触るなんていい気にならないで!!――

――あぁ、瞳さま、何てかぐわしい香り・・・もっと、もっと嗅ぎたい、もっと強い香りが欲しい、もっと、もっと――

 恵子が瞳の股間で激しく首を振ると、クチュクチュって嫌らしい音が鳴り響いた。僕からではよくわからないけど、瞳は愛液でぐちょぐちょみたいだ。恵子が瞳の敏感なところを鼻で刺激すると、瞳の顔が一瞬だけ悦楽に歪んだと思ったら、すぐに嫌悪感丸出しの表情に戻る。しかし、瞳はどうしても抵抗する事ができず、それを何度も繰り返した。

――あ、やめ・・・いい・・・いや・・・だめ・・・はなして・・・もっと・・・あぁ・・・う――

 瞳の思考がおかしくなってきた。嫌悪感と快感が同時に襲ってきて、どうして良いかわからなくなってるみたいだ。焦点のあってない視線が宙を舞い、半開きの唇から涎が垂れている。普段、理知的なだけに、その惚けた表情のギャップがおもしろい。

「瞳さま・・・瞳さまぁ、いい香りぃ〜」

 恵子は完全に壊れている。鼻を瞳の股間に狂ったように擦り付けた。

「あ、あ・・・あ」

 瞳はもう意味のある言葉を発することができなかった。とにかく、イかないように必死で我慢してるみたいだ。思考も意味を持たず、僕としてはそろそろつまらなくなってきた。そこで、瞳の潜在意識にとても強く、「イかされた人の事を心の底から愛する」と植えつける。そして、ちょっとだけ淫乱にすることにした。愛する人に会うと、エッチしたくなるように。

 さて、そういうことで、嫌悪感を取ってやる。そうすると、

――あ、なに、これ、いい、いい、いいぃ、いいいいぃ――

 と瞳には快感しか残らないわけだから、

――ああ、ああぁン、らめ・・・らめぇ、おかひくなっひゃうぅ――

 と心の中で叫びながら、全身をガクガク痙攣させてイってしまった。イってしまっても、快感が続いてるいるから、何回もイってしまう。

「あぁ、ぁあン、・・・ひゃ・・・あぁ!!け・・・いこぉ〜、いいよ・・・いいわぁ〜、くるっひゃう、くるぅのぉ〜、あっあっ、けぇこぉ!!」

 もう瞳は完全に壊れちゃった。このまま続けさせると日常生活に支障が出るほどおかしくなっちゃうので、そろそろ恵子を止めさす。そして、普通の思考に戻してみる。

――あれっ?私、何を・・・そんな瞳さまの・・・匂いを嗅ぐなんて・・・何てことを――

 突然、冷静に戻った恵子はビックリして、瞳から離れた。

「あ、あの、私、何てことを」

 顔を真っ赤にして恵子は自分が信じられないようにオロオロしている。

 それを瞳は艶かしい目つきで見てる。そして、フラフラと恵子に寄っていくと、恵子の形の良い顎をクイって上げた。

「恵子ぉ、好きよぉ」
「え?んん・・・」

 瞳と恵子の唇が重なる。最初は何だかわからなくて、オロオロしてた恵子も、間もなく身を任せるように瞳の唇をまさぐっている。恵子は元々レズで瞳に気があったから、幸せみたい。

 さて、このまま放っておけば、瞳と恵子はエッチするかも知れないけど、僕はもう飽きたので帰ることにした。瞳と恵子には僕のことは忘れさせよう。あ、そう言えば、達也のこと、忘れてた。見ると達也は机に突っ伏して寝てる。面倒なので、このままにしておこう。

 
 


 

 

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