快楽のMC店


 

 



尾形明美の場合


 その店は都会のビル群の中、ひっそりと営業している。
 少し裏町に入った繁華街、何の変哲もないビルの3階を借り、パッと見ただけでは何かわからない『MC』という文字にハートのマークが入った、黒と紫の怪しげな看板だけが目印。

 だが不思議なことに今日もその店には客が訪れる。
 客は自分の意思でこの店を知り、この店にやってきて、そして堕ちていく。
 今夜もまた1人の女性が、吸い込まれるようにビルの中に入っていった――



 尾形明美は何度も住所を確かめたビルの、ろくな照明もない階段をゆっくりと登る。色んな不安が頭によぎるが、それ以上の期待が彼女の足を動かした。
 やがて現れた真っ黒なドア。そこを開けたらもう引き返せない、そんな予感がして唾を呑み込む。
 迷ったあげく明美はドアに手を掛け、ゆっくりと押し開き、中へと入っていった。

「いらっしゃいませ」

 薄暗く狭い店内で、受付と思しきスーツ姿の女性が挨拶する。女性が出てくるとは少し予想外だった明美はど、どうもと控えめに挨拶を返した。受付の女性はただ真っ黒いだけの台に向かっており、レジなどは一切ない。座っているようだが下半身は見えなかった。

「尾形明美さんですね、お待ちしておりました。まず、アプリを確認させていただいてもよろしいですか?」
「は、はいっ!」

 明美はすぐにスマホを取り出すとすでに起動してあったアプリ画面を受付の女性に見せた。そのアプリはこの店専用のアプリであり、裏の世界への鍵のようなもの。女性はそれを見て頷いた。

「はい、間違いありませんね。注意事項にはよく目をお通しになられましたか?」
「は、はい、もちろん……」
「そう緊張なさらなくても大丈夫ですよ、悪いことをしているわけではないんですから」

 女性はくすりと笑い、明美も少し気が緩んだ気持ちになった。そうだ、自分はここに楽しみに来たんだ、緊張してばかりもいられない。

「怪しいお店だと思ったでしょう? これ、実はわざとそう見えるようにしてあるんですよ。その『覚悟』がない人が近寄らないように……入店した時点で、ほとんどの人はもう資格がありますよ」
「そ、そうなん、ですか?」
「とはいえ嫌になったらいつでもおやめになって構いませんからね、当店は自由意思が第一なので。では、覚悟をお決めになったら奥の方へどうぞ」

 女性はにっこりと笑って奥の闇へと明美を促す。この先に、違う世界が待っている。
 催眠という世界が。
 しばらくためらいはしたものの、やがて意を決して明美はその奥へと向かっていった。


 『催眠プレイ』。尾形明美がその存在を知ったのは少し前のことだ。
 元々、明美はオナニーが好きだった。女性としては異常な性欲を恥じつつも、快楽を得ることに夢中になっていた。
 だが快楽を求めるあまり彼氏ができてもセックスよりもオナニーの方が気持ちいいと思うようになり、やがて彼氏も友人も作らなくなりオナニーに没頭するようになった。

 しかしやがて明美は快楽の追及に行き詰った。様々な道具、様々なシチュエーションをためしてみたがどうも求める快楽に届かない。
 欲求不満を抱えながら過ごしていた時……インターネットでふと、この店の存在を知ったのだ。どうやって辿り着いたのかもよくわからないが、店側が明美のような快楽を求める人間が自然と導かれるようにしているらしかった。

 その店の紹介文に明美は取り付かれた。『催眠術』を謳うその店にうさんくささはあったものの、プレイ内容、利用者の声などには、夢のような快楽の世界が広がっていた。もしこれが事実ならば全てを投げ打ってでも体験したい……そう思えるほどの世界だった。

 店へ行くにはいくつものステップが必要だった。サイトに辿り着くのが第一関門、次にサイトからアプリをインストールし、そこに個人情報を入力する。そうしてやっと届く注意事項全てに目を通し、全てを受容する旨のメールを送信し、やっと店の住所と行き方が届く。

 普通の人間はその面倒なステップを経る内に、「こんなことまでする必要があるのか」「書かれてることが本当とは限らない」「なにもかも怪しすぎる」といった具合に諦めてしまうだろう。そうして選別しているのだ。

 快楽をどこまでも貪る『本物』を――尾形明美もまたその1人だった。



 店の奥には病院の診察室のような部屋があった。机とベッドが置いてあり、広さも診療室程度。違うのは窓がなく密室であること、淡いライトのみで照らされて薄暗いこと、置いてある客用の椅子が背もたれのついたソファであること、そして机に向かい客を待つのは医者ではなく、催眠術師ということだ。

「いらっしゃいませ、尾形明美さん」

 催眠術師は思ったよりも普通の顔をした男だった。スーツを着た30代くらいの中肉中背の男は微笑を浮かべて明美を迎え、座り心地のよさそうなソファを進める。きっとこれも催眠に関係するのだと思いつつ、明美は腰を下ろした。やはり座り心地がよかった。

「さて……改めて、ここでやることは、よくご承知の上ですね?」

 男が尋ねると、明美は頷き確認した。

「さ、催眠術を掛けてもらって……その上で、とっても気持ちよくしてもらう、です」

 催眠術師は頷き、明美と向かい合う。もう催眠をかけられているのではないか、と明美は思ったが、どうやらそういうことではなさそうだった。

「私たちの店では、お客様が催眠術にかかっていることを自覚された状態で楽しんでいただくことをモットーにしております。なぜかと言われるとまあ、僕の趣味ですね。催眠術に呑まれて身を委ね、操られる女性の姿を見るのが僕の楽しみなんです」
「は、はあ」

 突然性癖の暴露を受けて明美は気の抜けた声を出してしまった。この人こんなことを言って恥ずかしくないのだろうか……そう思ったがはたと気付く。よく考えたら私の方こそ、この店の来た時点で『催眠使って気持ちよくなりたい変態です』と教えているようなものではないか。
 気付いた明美は急に恥ずかしくなり顔を赤くして俯いた。すると明美の心情を察したのか催眠術師は軽く笑った。

「逆にいえばお客様の悦ぶ姿を見ることこそが僕の最高の報酬。お互いwin-winで気持ちよくなりましょう、というのがこの店のスタンスなんです。恥ずかしいのはお互い様ですよ」
「そ、そう、ですよね。はい」
「直接の性交なども行いませんので妊娠等のリスクもありませんしね。もっともそれをお望みのお客様にはその限りではないですが、今回は初回なのでやめておきましょう」

 まるで雑談のように性交や妊娠という単語を口にする催眠術師、ここが非日常の世界だと明美は改めて思った。そして軽やかに話しつつ催眠術師は棚から紙を取り出し机に置いた。

「では最後の確認として、こちらの書類に署名をお願い致します」

 催眠術師が書類とペンを差し出す。そこにはこれから行うことが全て合意の上であること、それに伴って何か問題が起きてもそれぞれ自己責任で解決することなど、注意事項が何条にもわたって記されていた。中には『サービスの内容を公平に確かめるべく、サービス中は室内の撮影に同意する』なんて項目もある。もちろんプライバシー保護も項目にあったが。
 明美は時間をかけてそれらの項目全てに目を通し、何度も確認した後、自らの名前を記入した。これでもう後戻りはできない。

「はい、ありがとうございます。それでは早速始めたいと思いますが……よろしいですか?」

 書類を受け取り確認した催眠術師が問いかける。もう? という気持ちはあったが、たしかにここまで来てうだうだ話しているのもおかしい。自分で求めてここに来たのだ、ためらうことはない。明美は覚悟を決めた。

「は、はいっ! お願い、します……!」

 いよいよ催眠が始まるのだ。明美は思わず身構える。何かライターとか使うのだろうか、意外とステロタイプに振り子を使ったり? それとも何かアロマとか音楽とか……
 だが実際はもっと簡単だった。

「今回かける催眠はひとつだけです。明美さん、この店のアプリを起動してください」
「え、あ、はいっ」

 明美は慌ててスマホを取り出し、この店専用のアプリを起動した。紫色の怪しげな画面とメニューが浮かび上がる。

「メニューから店内モードを選び、催眠モードを選択してください」
「はい、えっと……はい、できました」
「ではその画面をよく見てくださいね」

 アプリを操作すると言われた通りのモードとなり、紫色のハートマークが浮かぶだけの画面となる。明美は言われた通りそのハートマークをじっと見た。
 すると催眠術師の声が明美の脳に響き渡った。

「尾形明美さん。あなたは今から、『私の命令に絶対に従うようになる。たとえ意識しなくても命令されればその通りになる』。ハイッ!」

 声と同時に催眠術師が手を叩く、さらに同じくしてアプリの画面が光を放った。目と耳に同時に刺激を受けた明美は思わずびくりと体を震わせた。

「はい、これで催眠が入りましたよ。スマホはもうしまってくださって構いません、防水でないならこちらの袋にお入れください」
「あ、は、はい……」

 何が何やらわからなかったが、明美は言われるまま差し出された袋にスマホをしまいとりあえず机に置いた。まさか催眠とはあれだけなのだろうか、訝しがっているとそれを察したのか催眠術師が笑って言った。

「僕の催眠はとても強力で、今の一瞬だけで絶大な効力を発揮します。ですがその代わり、『本人が望むような催眠しか効かない』という制約があるんですね。でもその制約があるからこそ、望まれた方への催眠の効果はすばらしいものがあるんですよ。あなたのように、快感を条件に催眠を望まれた方には、ね」

 明美はまだよくわからないが、催眠にはあまり詳しくないので適当に頷いた。少し、この店への疑念も沸き上がっていたところだった。
 だが次の瞬間にはそんな疑念は綺麗に消え去ることとなる。

「では明美さん。『服を脱いで全裸になりなさい』」
「はい。えっ?」

 反射的に頷いた明美が言葉の意味を理解した時には、すでに体は動き始めていた。

「な、なんで、体が勝手に……!」

 明美の体が意思に反して動き出し、次々に身に纏う服を脱いでいく。催眠術師の、男の前だというのに、一切の羞恥もためらいもなく裸になっていった。

「服を汚す可能性がありますからね、まずは脱いでもらうことにしているんです」

 催眠術師は明美が脱ぎ捨てた洋服を慣れた手つきでてきぱきと畳み、部屋の隅にあるカゴに入れていった。シワもつかないよう完璧に畳んでくれているので心配はないが、男なのに女物の服の畳み方を熟知しているのは慣れなのだろうか。
 やがて明美は全裸になり体が自由になる。困惑していたがとりあえず元のようにソファに座った。地肌に直接ソファが触れなんだか変な感覚だった。

「これが催眠術です。最初の書類に裸体を見せることは織り込み済みでしたからね。でも体が勝手に動いたでしょう?」
「は、はい。すごいですね、まさかここまでとは……」
「ここから本格的にサービスを始めますよ。望まないことはたとえ命令でも効かないので、安心して身を委ねてくださいね」
「は、はい! お願いします!」

 明美の不安は完全に高揚感と期待に変わった。ここは本物だ、ならきっとここに来る前に期待した通りのものが待っている。信じられないほどの快感が。
 催眠術師は次の命令を下した。

「初回ですからね、快感を得られるように……『どんな被虐でも感じるドMになれ』」
「はい。あっ……!?」

 命令された途端、明美の体が熱くなる。命令により一瞬で性的嗜好を捻じ曲げられ、男の前で全裸を晒していることに興奮し始めたのだ。

「どうですか明美さん、催眠で好き勝手される気分は。僕はちゃんと服を着ているのにあなたは全裸というのも、まるで奴隷と主人みたいですね。あるいは家畜と人ですか」
「んっ……そ、そんなこと、言わないでぇ……」

 理不尽な言葉を受けた明美の体が一層興奮する。目の前の男と自分の立場を見比べて、言われた通りの現実に身をよじらせていた。だんだんと乳首はピンと固く立ち、股間は湿り気を帯び始め、その事実にまた興奮した。

「では一気にいきますか。明美さん、『絶頂しなさい』」
「はい。え、ひぐっ!?」

 突然、明美の体を快感が貫いた。何が起こったのかもわからず目を白黒させ体を仰け反らせる。それが絶頂であると気付いた時にはすべて終わり、火照った体と荒い息遣いだけが残っていた。
 すごい、絶頂すら言葉ひとつで起こせるなんて。そう思うと同時に、そんな簡単に己の絶頂を管理されているという現状に、ドMとなった心がさらに疼いた。
 直後。

「『絶頂しなさい』」
「はい。えぅっ!?」

 同じ感覚が襲った。明美は絶頂に身をよじらせ快感に悶える。明美の体と意思を無視して突然与えられた快感に抗議するがごとく股間が潮を吹いた。

「次からは返事はいりませんよ。『絶頂しなさい』」
「ひいっ!?」
「『もう一度』」
「んおっ」
「『もう一度』」
「んほおおっ!」
「『3回連続で絶頂しなさい』」
「ん、ひい、ほほおっ!?」

 催眠術師が命令を下す。動きにすれば口と舌がわずかに動くのみ。だがその度に、明美の体はびくんびくんと跳ね上げられるように悶えて震え、顔はだらしなく緩んで唾液を漏らし、股からは愛液をまき散らした。

「はーっ、はへーっ、はーっ……」

 一通り絶頂を終えてぐったりとソファに身を預け、だらしなく脚を広げて舌を出し荒い息を続ける明美。下半身は愛液でびしょびしょ、唾液も漏れっぱなしだ。

「ここまでの催眠が効くとは、相当快感に飢えていらしたのですね。初回なので限界を確かめようと思いましたが、これは際限がないかもしれません」

 一方の催眠術師は冷静な目で明美を観察し、カルテのような紙に情報を記入していた。まさしく操るものと操られるもの、両者の関係には天と地ほどもの差があるように思えた。

「試してみましょうか。明美さん、『5秒おきに絶頂しながら、全力でオナニーをしてください』」
「え、あっ……ひぐううっ!?」

 全力で、と言われた通り明美の両手は急激に力を取り戻すと自らの胸を愛撫し、股間をいじり始めた。そしてきっかり5秒後。

「んぐっほおおっ!?」

 命令通り明美の体が絶頂する。だがオナニーをやめていいとは命令されていないので、絶頂しながら両手は快感を与え続ける。

「こ、これ、イきながらイっちゃ、んひぃ! な、何度も、連続でえええっ!?」
「ふむ、5秒おきというのも守れていますね。すごいでしょう、本来なら快感で5秒なんて数えられないのにちゃんと5秒でイクんです。これは意識とは別の無意識に催眠が働きかけているからなんですよ。もちろん時計で計ったように5秒きっかりというのは人間の能力を越えるので無理なんですけどね」

 冗談めかして長々と解説する催眠術師の前で、明美は絶頂し続けていた。両手は意思に反した容赦のない自慰を続け、その快感に上乗せするように等間隔の強制絶頂が襲う。もはや声も発せず狂ったように絶頂し続けたが、命令が取り下げられない限り快感から逃れる術はない。
 その後、5分ほどで明美は手を止めた。白目をむき絶頂の快感を貪った顔のまま失神していた。

「すごいですね、ご自身が『もう嫌だ』と強く思われたら催眠は解けるのに、失神するまで嫌とも思わず5分も続けるとは。5秒おきですからえーと、命令だけで60回の絶頂。自慰のを加えればその数倍を発情しきった体で受け容れるとは……これは逸材だ」

 失神した明美は痴態と呼ぶのもおこがましい状態だった。白目をむき、舌を垂らし、口はぽっかりと空き、唾液と涙と鼻水で顔中ぐちゃぐちゃ。もんどりうって悶えたために愛液が顔にまで飛んでいて柔らかな胸も何もかも愛液まみれ。その中心である股間はもう大洪水どころではなく、いじられ続けた性器はびくびくと別の生物のように動いていた。
 だがそんな彼女を前に、催眠術師は椅子から立ち上がることもなく、彼女のカルテに記入を続けていた。

「……よし、と。さて明美さん、『直前の命令を取り消して、起きなさい』」

 やがて命令すると、明美がハッと目を覚ます。そして自らの状態に気付いたようだが、恥ずかしがるどころかうっとりと淫らに微笑んだ。

「どうしますか、お時間はまだありますが続けますか」
「は、はい……!」

 明美は快感を求めて頷いた。すでに何十回いやそれ以上の絶頂をし、失神するほどの快楽を得ているというのに。
 しかしそれも当然だ。極度に快感を求める者がこの店に訪れたのではなく、快感を求める者だけがこの店に招かれているのだから――



 2時間後、明美へのサービスは終わった。

「ではアプリの店内モードから、催眠解除を選択して……はい、OKです。これで明美さんへの催眠は全て解けました、お疲れさまでした」
「は、はい……」

 明美は全裸でソファに座る。正気に返り改めて自らの痴態を振り返って顔は羞恥に染まり、自分の愛液の臭いがべったりとついたソファも彼女の羞恥を煽った。だがあれほどの快感を得たはずの体はすっきりとして、まるで平時そのものだった。

「私の催眠は強力な分抜け方も完璧なんですよ。性器などにはよく効く軟膏をお渡ししますのでお使い下されば炎症なども起きません。奥にシャワーがあるのでよろしければお体を流してからお帰り下さい」
「は、はい……ありがとうございます」

 全裸の明美は羞恥心からか消え入りそうな声で頷く。だが後悔などはしていなかった。

「どうでしたか、初めて当店のサービスをお受けになって」
「す、すごかったです。ほんとに……」

 すごかった。本当にすごかった。想像を絶する快感で、あれが現実だったかどうかまだよくわかってないほどだ。それはまさしく明美が求め続けた、未知なる快楽の世界だった。

「ま、また絶対に来ます! ぜひ来させてください!」
「ありがとうございます、こちらこそぜひ。それで、後催眠はいたしますか?」
「え? 後催眠……?」
「はい、当店では初回以降のお客様には、無料のサービスとして後催眠を受け付けております。日常生活の中で催眠を続けられるというものですよ」
「ど、どんなものがあるんですか?」
「はい、こちらが一覧です」

 催眠術師は慣れた手つきで棚から書類を取り出し明美に提示した。そこにはいくつもの項目が書かれている、『絶頂快感の上昇』『性的嗜好改変』『自慰禁止』……

「この中からひとつお選びください。ちなみに解除は当店アプリの店外モードからいつでもできますよ。逆に深化もできますが」
「じゃ、じゃあ、これを……」

 明美は書類の中からひとつの項目を指差した。それは項目の中でも一際異常なもの。

「はい、『名前を呼ばれたら絶頂』ですね。ではアプリを起動して、催眠画面を……はい、明美さん、あなたは『名前を呼ばれたら絶頂する』。ハイッ!」

 最初と同じように明美に催眠がかかる。これで明美は名前を呼ばれただけで絶頂する変態になってしまった。明美の胸は期待に昂った。

「それでは明美さん、またのご来店をお待ちしております」
「んんっ……!? は、はいぃ……」

 早々に明美は絶頂し、うっとりした顔でこの日のサービスを終えた。
 その後シャワーを浴び次の予約をして帰るまで、受付などの係の人に何度も名前を呼ばれその度に明美は絶頂し、次の来店日までの一週間、家や職場など場所を問わず明美は絶頂することになった――



 その店は今宵も客を待つ。快楽の世界への扉を開けて。

 
 
< 終 >


 

 

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