3種の神器


 

 

プロローグ


 俺の名は鈴木成樹(すずきなるき)、4月からは厨学3年生。身長175センチ体重66キロ。都内の私立学園に通っている。大恋愛の末に駆け落ちした両親の末っ子として両親と歳の離れた姉にひたすら甘やかされて育って来た。
 駆け落ちした一人娘を勘当する!と息巻いていた祖父は姉が生まれて態度を軟化させ、俺が生まれると是非にも跡取りに!と言って来た。
 一人娘が家出同然に嫁に行ってしまった祖父だが、東証一部上場の熊野化学工業を創業し、熊野グループと呼ばれる企業群のオーナーとして未だに経済界に影響力を持つ。
 祖父が40歳の時の子が俺の母であり、母が35歳の時の子が俺なので、祖父は89歳になる。事業の一線からはとうに引退し、それぞれの企業をナンバー2に任せたものの自身が創業した熊野グループの後継者として俺が見込まれている訳だ。年の離れた姉が次男と婚約したこともあり、14歳になると自らの意志で養子に行くことができ、帝王学を仕込むにもちょうど良い年齢であり、いまだに風邪ひとつ引かないとは言え89歳の高齢に焦った祖父は家督相続を迫って来た。
 正月に毎年恒例の多額のお年玉を渡しながら、春休みに家督相続について話し合うためにしばらく祖父の豪邸に滞在するように言われた。
 物心がついてから聞かされていた話なので、とうとう来たか!とは思ったが、春休みの初日に祖父の秘書だという川村さんと言う美人に連れられ祖父の元へ赴いた。
 俺と川村さんを乗せた高級リムジンは滑るように首都高を走り、都内世田谷区の祖父宅へ向かっている。
 初めて会ういかにも美人秘書といった感じのちょっと冷たい感じの美貌、タイトスカートから伸びるスラっとした脚やくびれたウエストからなだらかに盛り上がる胸を眺めていた。
(美人だなー。何歳かな?彼氏いるんだろうなー)
 妄想にふけっている間に祖父の豪邸に到着、初老の運転手が空けたドアから降りると車寄せの前にメイドさんが二人、40すぎのスーツ姿の男性が出迎える。
「いらっしゃいませ」
 メイド達が声を揃え、スーツ男が自己紹介する
「成樹様、私はお爺様の執事の加藤と申します。よろしくお願い致します」
「はい、こちらこそ」
 現実離れしたシチュエーションに戸惑うが、加藤さんは表情を変えずに祖父の元に俺を案内した。
 全身ウニクロはまずかったかな?と思いながらついていくと、相変わらず元気な祖父が出迎える。
 俺も中2で身長175だが、祖父も90近い齢なのに170以上はあり健康そうな体格だ。
「おー、良く来たな。また大きくなったな。ワシよりでかいな」
 熊野グループの総裁も孫の前では好々爺である。俺も毎年もらう多額のお年玉その他の分だけ愛想よく答える。
「こんにちは。お爺さんもお元気そうで」
「まあ、くつろいでくれ」
 祖父はメイドにお茶の用意を命じると、ニコニコしながら中学生活や家族の事を聞いてくる。俺はそれに答える。
 お茶が用意されると、祖父はメイドや加藤さん、川村さんに下がるように言い、(とんでもない)本題に入った。

 話せば長くなるので簡単に言うと、南朝に仕えていた熊野家の先祖は南北朝の争いのどさくさに紛れて3種の神器の魔力を抜き取って隠してしまった。そして魔力を密かに室町時代から平成の現在まで代々伝えて来たというのだ。
 戦後急成長した熊野グループもその力を大いに活用して結果だという。
 唖然とする俺に祖父は小遣いでもやるような口調で3種の神器の魔力も譲ると言い、まるでお茶菓子をわたすように魔力を俺によこした。
 頭の中が?で埋め尽くされた俺に3種の神器の魔力は受け継がれた。
 が、力の詳細も使い方もまだわからない。

 
 


 

 

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