僕の変性期


 

 

第4話


 通学のバスに揺られながら音楽を聴いていた安達若葉は、曲が途切れた数秒の間、自分と同年代ぐらいの男女がモメている声に気がついた。いや、モメているというよりも・・・、一方的に女の子が叱りつけてる?

「アンタもう、いい加減にしなさいよ!こんなバカなこと、何の意味があんの?」

 叱られている男の子は、まったく懲りていないようで、クスクス笑っている。あの制服は上院学園?だとすると、方角もバスの路線も違うような・・・。そのカップルだけをジロジロと見ないように、若葉は自然に視線を周囲にめぐらせた。・・・妙な違和感がある。

 バスに乗り合わせたOLさん・・・、端正な目鼻立ちの、かっこいいお姉さんが、吊革に掴まって立っている。しかし、真顔で窓の外の景色を見ている彼女の左手は、なんと全く隠す素振りもなく、人差し指を自分の鼻の穴に押し込んでいた。キリっとした立ち姿に似合わない、デリカシーのかけらもない手つきで、鼻の穴をグリグリと穿っている。思わず若葉は、口をポカンと開けてその姿を凝視してしまった。

 人目を全然気にする様子もなく、鼻をほじり続ける美人OLと、それを見てクスクス笑っている男子中学生。横の彼女らしい可愛い女の子がそれをキツめの口調でたしなめているのだが、彼がモゴモゴと口を動かすような仕草をした瞬間に、女の子に悲劇が訪れた。

 バフッ!

 男の子の隣に腰掛けていた彼女の顔に向かって、いきなり正面の若奥様らしいいでたちの女性が、お尻を向けて放屁したのだ。

 絶句する女の子。爆笑する男の子。チャコール色のブーツカットパンツに包まれたお尻を突き出したポーズのまま、うっとりとした表情を見せる人妻。その右に立っているOLはまだ無表情で黙々と鼻の穴をほじっている。

「ほら、エチケットなんてみんな気にしてないじゃん。僕らも遠慮なくチューとかしてて大丈夫だよ。」

 男の子が嬉しそうに周りを指差す。そこで若葉は気がついた。周囲の女子高生やOLさんたち、ほとんどの女性が、当たり前のような表情で人差し指を鼻の穴に遠慮なく突っ込んでいた。椅子に座って、寝顔のまま鼻をほじっている女子大生までいる・・・。一体、どうなってるの?

 若葉が驚きのあまり立ち上がると、さっきの男の子が一瞬、「ヤベッ」という顔をして、口を動かした。シャリシャリシャリッと、安達若葉の後頭部の辺りで金属のこすれるような音が聞こえて、若葉の意識が遠のいた。急に周りから現実感がなくなったような、不思議な脱力感に包まれる。自分の鼻に違和感を覚えて、ようやく若葉は、自分が両手の親指を両方の鼻の穴に突っ込んで、グリグリと回していることに気がついた。恐怖も疑問も湧き上がってこない。自分は今、誰かの大事な指示にちゃんと従っているというような、安心感だけがあった。

「ふぅっ、危ない危ない。
 イヤホンつけて音楽に熱中してる人には、聞こえにくいこともあるわけね・・・。気をつけるね。
 ・・・でも、慌てたせいで、力の配分間違ったかな?この子、ホジりすぎかも。
 鼻の中、傷つけないように、気をつけてお手入れしてください。
 特に爪伸ばしてるお姉さんとかは・・・、ね。」

 立ち上がったまま、力まかせに両手の親指をねじこんでいた若葉は、新しい声がシャリシャリと聞こえたような気がして、今度は指よりも、顔の方を目一杯変形させて、ハナクソほじりに熱中し始める。上を見上げながら口をあけると、鼻の下を限界まで伸ばして穴を広げてお掃除。近づいてきていた男の子が、呆れたような笑い声を出しながら、携帯電話を掲げた。

「あちゃー・・・。清楚なお嬢様風の美少女ちゃんも、こんな顔しちゃ、台無しだね。・・・でも自分の身が綺麗になるんだから、嬉しいよね?」

 携帯カメラのフラッシュが、顔中の筋肉を酷使して変な顔を見せながら鼻をホジる若葉の間近で光る。男の子に言われてから、彼女の表情に喜びが加わった。

「ウフッ・・・。エヘへへへへ。」

 緩んだ笑い声を、だらしなく開いた口から漏らしながら、若葉が鼻をほじっている。バスの車内のあらゆる方向から、同じように女性たちの、知能指数の低そうな笑い声が上がる。

「あぁ・・・・、皆さん、すみません。私の幼馴染は大バカヤローです。皆さんのせいじゃないですよ・・・。」

 男の子と一緒にいた、女の子が、申しわけなさそうにペコペコしている。バスの中の女性たちはそれでもそんなことを気にせずに、嬉々とした表情で自分のハナクソを、自分の持ち物になすりつけ始めた。若葉もやってみて初めて気がついた。自分の大切にしている持ち物ほど、自分の鼻にわずかに残っていたカスがつくと、宝石のように輝いて見える。嬉しくなってカバンを開くと、大事な手帳やお気に入りの文房具、携帯に遠慮がちにつけられた可愛いストラップに、頑張って掘り起こした鼻の垢を次々となすりつけていく。バスの女性たちは、頭を抱えている一人の女の子を除いて、みんな幸せの絶頂だ。自分の宝物を一つずつ再確認するかのようにマーキングしていく。高そうなバッグに指を当てている、さっきのOLのお姉さん。カッコいいビジネススーツに汚れをつけて自慢げな女性。最後部席でラブラブだった高校生カップルは、今やちょっとだけトラブっているようだ。ドン引きしている彼氏に、セーラー服の彼女がのしかかって顔に彼女のちっちゃなハナクソを何度もつけてくる。チャーミングな彼女は、最大限の愛情表現をしているつもりのようだ。幸せ一杯の笑顔で、泣き顔の彼氏に熱烈な愛情表現。手入れの行き届いているレディーたちほど、苦心してカスを穿り出す。なかなか大変な作業のようだ。

「それじゃあ、皆さん、サヨーナラー。」

 バスが停車して、中学生カップルが降りていく。さっきの男の子はドアが閉まる直前、手を振りながら。口を動かした。

 笑顔が固まるバスの中の女性たち。車内は赤面してうろたえる女性たちで、小さなパニックが起こった。

(ひっ・・・私、人前で、なんてこと・・・・。)

 まだ指先を突っ込んだままの姿で、お互いの姿を呆然と見つめあっている同級生同士・・・。後部座席の女子高生はボーイフレンドにのしかかったまま、小さくなってベソをかきながらペコペコ謝っている。綺麗なOLさんは青ざめた顔で指を抜くと、背中に手を回して隠した。指を抜いた瞬間、スポンッといい音が聞こえたような気にさえなる勢いだった。

(固まってる場合じゃないわ・・・。い、急いで戻さなきゃっ!)

 若葉が慌てて自分の持ち物についた汚れを、指でぬぐって、また自分の鼻の穴に押し込む。人目なんか気にしてはいられない。早くこの恥ずかしい状態を、元に戻さないと・・・。若葉の行動に従うように、バスの中の美女、美少女たちは、せっせと自分の身の回りから、恥ずかしい汚れを自分の鼻に押し込んでいく。彼女たちの頭の中には、「原状回復」という思いがなぜか張りついていた。

 妙に無関心な運転手と、その他多くの男たち、はしたない仕種で下品な行動を取る女性たちを乗せて、バスが次の停留所へと向かう。実は車内の彼女たちは、次の停車ブザーを聞くと、先ほどまでの行動をエスカレートさせて繰り返すように、アソコの垢をほじくってはなすりつけ始めることになるのだが、バスから降りてしまっている澪はそんなことは知らない。澪に出来ることは、ただ彼女たちの平穏な一日を祈って、バスの後姿を見送るだけだった。


。。。



 市民にも開かれている、大学の芝生。駅に向かう近道で、市民公園と学生の憩いの場が一体になっているこの場所は、キャンパスベルトと呼ばれている。駅前広場の喧騒に近づいていくのが嘘のように、この一角だけは自然に囲まれてのんびりとした空間だ。憧れの大学の敷地でもあり、本当だったらここを歩いている澪の心は躍るように軽やかになるはずなのだが、今は最悪にウンザリモードだ。澪が大事そうに腕を組んで(しまって)いる相手。蜂屋拓海のしょうもない悪戯と異常に強力で不思議な力のせいで、澪の街が次々と改悪されていくのを、最前列で見物しなければならない・・・。そう思うと、彼女の足取りは重かった。

(声変わりの間だけって、陸にぃが言ってたけど、これって、いつまで続くの?早く終われ〜っ!拓海、アンタもこの変な力がなくなったあとでどうなるか・・・、覚悟しておきなさいよっ!)

 澪が怒ったときの癖で、小さくアヒル口をつくる。拓海はそれに気づいたのか気づいていないのか、遠慮なく口をパクパクと動かしていく。

「1、2、1、2、」

 花壇の脇を列を作ってランニングしていく、女子大生の一団。ユニフォームからすると、ラクロス部か何かのようだ。

「ハイみんな、一旦止まって〜。」

 キャプテンらしき、先頭のお姉さんが元気よく声をかける。

「せっかく綺麗なお花が一杯さいているから、お水をあげようか?」

「ハイッ」

 何の疑問も持たずに、後輩たちが可愛らしい声を上げる。全員がビシッと揃った動きで、おもむろにタータン・チェックのスカートに手を入れると、思いきりよく下着をおろした。アンダー・スコートをはいていた子は、ショーツと同時に足首まで落として、下着を元気よく蹴り上げる。お嬢様私大の評判を落としかねない蛮行だ。

「水やりー。ファイ、オー、ファイ、オー、ファイ、オー。」

 花壇に踏み入った女子大生たちが、爽やかな掛け声を上げながら、「腿上げ」や「サイドステップ」といった動作で器用に放尿を始める。キャプテンはなんと、右足を高々と上げながら、スプリンクラーのように回転してオシッコを撒き散らしている。

 ・・・澪の憧れのキャンパスライフを、先輩たちが陽気にぶち壊していってしまう。

「澪が将来行きたい大学なんでしょ?オープン・カレッジばりに、中も見てく?」

 拓海が無神経な声をかける。

「もういいよ・・・。早く行こうってば。」

 これ以上、自分たちがここにいるだけで、花の女子大生のお姉さんたちに酷い迷惑がかかってしまう。澪はそう思って、拓海の手を引いて先に進もうとする。

「はーい、ラストーッ! みんな、調子いいね。じゃあ、このままお花に肥料をあげよっかーっ」

「ハーイッ!」

 快活な声が響き渡る。澪は頭を左右に振りながら、後ろを振り返らないように先を急いだ。


。。。



 朝香学院大学のすぐ西にある、駅前の大通り。会社へと急ぐ途中で、水川梨紗はふとシャリシャリと頭の奥に違和感が生じるのを感じた。

(会社・・・急がないといけないけど・・・、ん?定期・・・、どこだっけ?)

 大事な定期券がなければ、改札口まで走って辿り着いても、電車には乗れない。梨沙は青くなった。

(あれっ?なんで・・・。定期、どこ行ったんだろう?)

 バタバタとポケットや鞄を漁る水川梨沙。自分のことに必死の彼女に周りを気遣う余裕はなかったが、彼女の周囲でも同じように女性たちが立ち止まって自分の持ち物を確認していた。

(あっ、あった〜。よかったよ〜。)

 嬉し泣きのような表情で、鞄から定期を取り出す。安心はすぐに、自分への怒りに変わった。

(もうっ、なんで今日に限って、定期を鞄の中の定期入れなんかに入れちゃってたの?梨沙のオッチョコチョイ!ちゃんと、いつもの場所に入れないから・・・。)

 自分をしかるようにテキパキとパンストを下ろした彼女は、タイトスカートを腹立たしげに放り捨て、朝っぱらの路上でパンツまで下ろしてしまう。シルク地のライトブルーのパンツを足から抜き取って口にくわえると、プリプリと張りのあるヒップを開いて、谷間にグッと定期券を挟み込んだ。

(ちゃんと忘れないように、いつもの場所に定期や切符を入れて、後は・・・、オッパイも丸出しにしちゃって・・・そうそう。自分でオッパイ持って、進行方向に向けて、そう、ヘッドライトみたいにね・・・ウンウン。)

 誰かに至極もっともな指示をいちいち与えられているように、水川梨沙は何度も頷きながら23歳の溌剌としたボディを剥き出していく。シャツをはだけてブラからバストを出すと、突き出すように両手で下から二つの塊を持ち上げて、歩き始めた。通行人の男性たちは立ち止まって彼女を凝視しているが、梨沙は気にせず先を急ぐことにした。お尻をギュッと閉めていないと定期が落ちてしまうので、あまり足を開けない。彼女はロボットが歩くように、体を右に向けながら右足を出し、左を向きながら左足を出す。方向転換する時には先にゆっくりと乳首の向きを進行方向に変えてから、体の向きを変える。エロロボットの出勤だ。

 ロボットたちは一団となって、ガシーン、ガシーンと駅に向かって進んでいく。全員、真顔でパンツをくわえながら、オッパイを進行方向に向けて両手で標準を合わすように乳首を摘んで捻っている。頭の中には、全員、往年の宇宙SFアニメのテーマが流れていた。

(企業〜、戦士〜、パイダムー、パイダム!)

 鼻歌のように歌いながら、前を行くキャリアウーマン。「ガシーン、ガシーン」と口を動かしてはくわえたショーツを震わせているOL。改札口に半裸姿の女子社員たちが終結していく。全員、使命感に燃え上がって、肩をいからせて出社するのだが、大幅遅刻とドレスコード違反で、上司にド叱られるというかたちで今日の戦いを終えることになるのだった。


。。。



 デザイナー専門学校の授業を休んで、滝川詩乃がクラスメイトの由良絢奈と見に来た映画は、この街では駅前のミニシアターでしか公開されていない、単館系のお洒落なヨーロッパ映画。ラブストーリーとしてもなかなかの出来栄えらしく、朝一番の公開なのに、映画館内はハイセンスな若い女性やオシャレ感度の高いカップルたちで賑わっていた。服の合わせ方や物腰で、観客たちの洗練度がわかる。詩乃だって、デザイナーの卵だ。雰囲気に合っていないお客といったら・・・、今チラリと中を覗いていた、中学生カップルぐらい?

 平日に中学生が映画館にいたら、補導されてもおかしくない。特にさっきの女の子はとても可愛かったからまだしも・・・、男の子の方は・・・、こういう映画には、可哀想だけど似合わないわね。彼女が可愛いからって、背伸びしすぎたって気づいて、早々に退散したっていうところかな?

 館内がゆっくりと暗くなる時に、滝川詩乃の頭の中に、変な違和感と、ある思いが浮かび上がってきた。

「ね・・・、詩乃。私・・・、これから見る映画の、登場人物になりきって、実生活で再現する。誰が止めたって、無駄だらね・・。」

 急に、親友の絢奈が横で、決意表明のように宣言する。

「それは私の台詞だってば。私なんか、3ヶ月はこの映画そのものになってやるんだから、あんたが真似したって無駄かもよ・・・。」

 ジャジャーンと、妙にけたたましい、通俗的な煽り音が流れて、スクリーンには、彼女たちのお目当てには余りにも似つかわしくないタイトルがケバケバしく踊った。
 『淫獣クイーン[ 肉弾バトルロワイヤル』。まるで駅裏の、成人映画館で細々と流されるような、お下劣ムービーが始まってしまった。映画館側のありえないようなミス?それでも滝川詩乃と由良絢奈はもう、止まることなんて出来ない。スクリーンに現れた宇宙アマゾネスそっくりの太い叫び声を上げると、オシャレをつくした自分たちの服を、ビリビリに引きちぎり。レスラーのようにファイティングポーズをきめる。オスの味を求めて舌なめずりしながら映画館内を全裸で駆けまわるのだった。1時間半後、スクリーンを飛び出したような淫獣たちが更なる精液を求めて咆哮しながら映画館から飛び出していく。館内には、男たちのすすり泣く声だけが細く響いていた。


。。。



 月末が近い、駅前の銀行窓口は、開店時間から大勢人が入っている。外回りの営業をしている広山裕斗は、引いた番号札から見て、16人も先客がいることを知ると、長椅子にウンザリと座りこんだ。窓口のお姉さんたちが綺麗どころ揃いなので、わざわざ駅前支店を選んだのだが、こんなことだったら、郊外の小さな支店(おばさん2人だが作業が早い)を利用したほうが良かっただろうか?ブツブツいいながら、ゴルフ雑誌を手に取ろうとした広山を、可愛らしい手が引き止めた。

「失礼します。いつも当行をご利用頂き、ありがとうございます。只今、待ち時間が長くなっており、お客様には大変ご迷惑をおかけしております。よろしければ、待ち時間の間に私どもの体をご利用頂いて、気を紛らわせて頂ければと思います。」

 両手を前で重ねてうやうやしく頭を下げる銀行員の女の子。安心感を醸し出すべく堅めの雰囲気をまとった紺の制服だが、顔はハーフのようにはっきりとした美人だ。

「え・・・?どういうことですか?」

 広山は突然浮かんできた自分の妄想をかき消すように、ドギマギしながら、若い女子行員に聞いた。

「急に、今日からなんですが・・・、こういうスペシャルサービスがしたくて・・・。あの、お願いします。」

 少し首を傾げて、照れ笑いを浮かべながら、銀行員の久住百香は制服のベストを脱ぎ捨て、ブルーのブラウスのボタンを外していって、豪華な刺繍の入った高級ブラを見せた。さっき入店された男子中学生ぐらいのお客様に、取っ払いで10万円渡してから、百香はこうすることばかり考えていたのだ。自分の仕事場で自分の体でお客様たちを楽しませたい。待ち時間に退屈しているお客様がいらっしゃったら、肉体関係を結んでしまってもいいから、少しの間、気を紛らわせてあげたい。百香はもう、さっきまでの、子供が大金を下ろしに来るのに対して怪訝な表情で質問するような、お高くとまった銀行員ではない。24時間、誰からの操作も文句一つ受け入れる、ATMのように優秀な、セクシャルサービススタッフに生まれ変わったのだ。

「うふふ、緊張しなくていいですよ。お客様。・・・・待ち時間は30分ぐらいでしょうか?それだけあったら、2発だして頂けるかもしれませんね。私、精一杯、頑張りますので・・・。」

 スルスルとブラウスもスカートも落として、ゴージャスなランジェリー姿になると、彼女のメリハリのある、若くてセクシーな体つきが際立つ。上目遣いでお客様に目一杯媚びながら、百香は悪戯っぽく笑うと、広山の体にすがりついて、濃厚なキスを始めた。ギュッと体を押しつけながら、左手で彼の乳首のあたりを刺激して、右手で同時にズボンのチャックを下ろしていく。彼女の見事な仕事振りに、職場の上司も満足していることだろう。

 ブラジャーがはらりと落ちると、制服から見えた以上にダイナミックな隆起が、ディープキスを終えたばかりの広山のボーっとした顔を挟み込む。

「一応、Dカップございますので、どうぞご自由にお楽しみ下さい。」

 カプっと大き目に口を開けて、広山祐斗が百香のオッパイに吸いつき、乳首を舌で転がす。弾力性のあるゴムの一部のように、舌で弾かれた乳首は勢いよく跳ね返ってくる。久住百香は職場で見知らぬ男に乳首を弄ばれて、快感にこらえながら、自らショーツを下ろし、名前も知らない男の手をうやうやしく自分の秘部に招き入れた。広山は、ジョリジョリと指先に手応えを返す銀行員さんのアンダーヘアをいじりながら、奥にある口に指を這わせる。温かく湿った谷間から、唇のような粘膜が、少し飛び出して火照っていた。

「皆様、わたくし、久住百香のヴァギナが問題なく濡れております。これより性交中の騒音をご容赦ください。」

 百香が営業スマイルで、わざわざ周りの客に丁寧に挨拶する。全裸の彼女が男とねっとりとしたペッティング繰り広げながら、口調だけは堅い銀行員のように周りに接しているのが、なんともシュールに聞こえる。

 我慢できなくなった広山が、いきり立った自分のモノを、ヌラヌラと汁を出す久住百香の割れ目に押し込む。

「あぁっ、只今、膣口を入りました。あんっ、中で、お客様のおチンチンが、奥までっ。はぁあんっ、今、お引き出しですっ!今、再度、入金を確認しましたっ!」

 体育会系の広山の体に両足までしがみついた久住百香が駅弁ファックのスタイルで体を上下されるたびに周りのお客に逐一状況を報告している。さすがは優秀な行員さん、彼女はちゃんと、周りの客も楽しませようとしているようだ。快感に悶えながら、一生懸命、みんなの待ち時間の気を紛らわせるべく、サービスを尽くしている。

 そう思って周りを見回すと、広山が唖然とするような光景が広がっていた。窓口で業務をしていたはずの女子行員たちが、次々と制服を脱いで、待っている客に自分の身を差し出していく。カウンターで四つん這いになって、股間を客に、激しく手首まで突っ込まれながらも、笑顔を崩さずに電卓を叩いている行員もいる。

「そちらのお客様―っ。よろしければ、こちらの窓口が空いておりますが如何でしょうかーっ?」

 腰を突き上げて百香を責め立てながらも、声のする方を見てみると、何人もの男性客に持ち上げられているショートカットの女性行員が営業スマイルでいる。頼りなく手首にかかったベスト以外は全裸になっている彼女は、前から男性に挿入され、左右の乳房をそれぞれ違う男性に揉みしだかれながら、新しく店内に入ってきた客に、手のひらで、お尻を提供するようなジェスチャーをした。すごいプロ根性だった。

「わぁっ、あんっ、あんっ、あんっ、はぁぁぁんっ」

 赤ん坊が泣きじゃくるような無防備な喘ぎ声を上げ続けている久住百香は、既に少しずつ、プロの仮面から、プライベートな女の部分を曝け出していた。潤んだ目と緩みきった泣き顔で、口を歪ませたまま、喘ぎ狂う。

「はぁぁぁああぁ・・・おきゃくはまぁ・・・、もうちょっと・・、お待ちいただきますぅううっ」

 声が裏返って、赤ちゃん言葉のような甘えた口調で広山にすがりつく、駅弁ファック佳境の百香。本人は実は、自他共に認める「イイ女」イメージほどには男性経験もないのだった。

 肩に彼女がだらしなくたらした涎が、広山の背中を伝って下りていく。

(待つって言ったって、今ここの窓口、銀行として機能してないじゃん・・・。ま、いっか・・・。)

 広山は自分の幸運をかみ締めるように、美女の柔らかい体内に、容赦なく濃い精を放出した。

「はぁあああっ・・・イイイイーーーーッ」

 あごを一回転するほど反らせて、久住百香も股間から、広山がびっくりするぐらいのラブジュースをスパークさせる。普通の女性よりも愛液が多く出る体質なのか。それとも、例えば誰かに感じまくる体に変えられてしまったのかは、わからないが、熱い汁がとめどもなくダクダク出てくる。体の芯から脱力してしまった久住を、広山はソファーに下ろしてやった。エクスタシーの高波で、まともな思考を全部洗い流されてしまった百香は、広山がモノを抜いた股間から、混ざり合った粘液が、タラタラタラタラといつまでも流れ出るのを感じながら、足を閉じることも出来ないでいる。

「・・ほ・・本日、お一人目の、中出しを頂きました・・・。」

 呆けたような口調で、やっとのこと百香がつぶやくと、先輩らしい美人行員が、カウンターに手をかけてバックでピストンされながら、振り返って声をかけた。

「ありがとうございましたー。またのご利用をお待ちしております。」

 
 


 

 

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