五色髪

〜 姉妹の呪法 〜


 

 

妹 編


 おっ、今、目があった・・・?
 あ、すぐ逸らされちゃった。

 更紗はまるで拒絶するみたいに首を振って、教科書につっ伏しちゃう。
 駄目か・・・、絶望的。

 僕もうなだれるように机につっ伏して、大きなため息をついた。

「駄目だー。終わった・・・」

 バシンッ!

 突然背中が強く叩かれて、聞きなれた声が投げつけられる。

「よっ、どうした? 純愛少年!悩んでるかね? 青春真っ只中かい?」

 デリカシーのない声に僕は、視線も合わせず無愛想に答える。

「ほっといてくれよ・・。俺の青春はもう、終わっちまったんだ。は〜。短い春だった。さよならだけが人生さ」

 実際には、更紗に言われたのは、『ちょっと距離を置きたい。しばらく自分一人で考える時間を持ちたい』
 ってことだけ。別に完全にふられちゃったわけじゃない。
 でも、自分のやったこと、あの時の更紗の拒み方を思い出すたびに、僕にはもう、ノーチャンスって感じがしてしまう。
 さっきの視線の逸らし方、やっぱり怒ってるとしか思えないよ。
 もともと僕みたいなパッとしない男子が、高倉更紗みたいな人気の高い美少女とお付き合い出来てただけでも、ミラクルだったのかも。
 それなのに有頂天になっちゃって、高校生なのにキスより先を求めちゃったのは、俺の完全ミス。嫌われちゃったんだろうな・・・。

「何をため息ばっかりついてんの、純情青年。猪突猛進だけが、あんたの魅力でしょうが。そんなに弱気になってちゃ、すぐに更紗を、他の男にとらえちゃうぞ。知ってんでしょ? あの子、すごく人気あるの」

「あ・の・な、ユキエ。お前に言われなくったって、そんなことぐらいわかってんの。だけど、今回は俺のその、猪突猛進のせいで、清純な更紗に嫌がられちゃったの。もうどうすりゃいいのか、わかんないよ。だからもう、放っといて」

 机に頬をつけて、僕はまた大きくため息をつく。
 僕のその様子に呆れたユキエは、鼻から息を出して腕を組んだ。

「ここ2ヶ月ぐらいは毎日スキップしてたのに、あんたってホントわかりやすい性格ね。まぁ・・・、確かにここらへんで二人は行き詰るんじゃないかって思ってたんだけどね。性に好奇心ビンビンのエロ男子であるあんたは、いつか行動を起こすと思ってた。でも更紗はすっごいガード固いでしょ。あの子、奥手な性格だけど、ちゃんと普通の女子並みには、そっちの方にも好奇心はあるみたいね。だけど、それを悪いことだって押さえつけちゃってるから、そこの板ばさみになって苦しんでる。ブレークスルーがないと、あの子とあんたがこれ以上お付き合いを続けるのは、難しそうね」

 全部、お見通しですか・・・。
 僕はまた、空気の抜けてく浮き輪みたいに、プシューって机に体を預ける。
 この藤宮幸恵っていう女子は、僕の近所に住んでる、幼馴染みたいな存在なんだけど、小学校と高校で一緒のクラスになったという、なんというか、腐れ縁。
 僕のこともよく知ってるんだけど、それ以上にこいつの恋愛占いが、物凄い的中率なんだ。
 もはや、こいつに対して隠しごとをしようとするのは、諦めてしまいました。

「はぁ〜。もう無理っす。更紗と駄目なら、俺は残りの学生時代、修行僧みたいに清貧の道を歩むよ。砂を噛むような毎日だ・・・。あと、1年半。長いなぁ〜」

「だ・か・ら、ブレークスルーが必要だって言ってるでしょ! 幼馴染の間柄だ、私が一仕事してやろうって言ってんじゃないの。ほら、男のくせに、メソメソしてないで、ついてきなさいよっ」

「いっイテテテ。名にすんだよ」

 ユキエが僕の耳を引っ張って、ズンズン歩いていく、こっちの方向は・・・、わわっ、マズいってば。
 ユキエと僕は、放課後、みんなが帰宅や部活の準備をしている、騒がしい教室の中を歩いて、更紗の机の横まで来ちゃった。

「宮ちゃん・・・、哲也君。どうしたの?」

 更紗が怪訝そうな視線を僕に向ける。
 ほら見ろ、ユキエ!
 恥かしがり屋の更紗は、二人の付き合ってる話とかが、おおっぴらになるのさえ嫌がる性格なんだぞ。
 こんな、ケンカの後の仲直りを女友達に仲介頼んでるみたいな状況、絶対嫌がるってば。
 逆効果なんだって。

「うーんとね、ちょっと話があるんだけどね・・・、その前に、更紗、頭になんかついてるよ。ホコリかな? 取ってあげるから、ちょっと動かないで」

 ユキエが更紗の頭に手をやると、素直な更紗は、言われた通りに、動きを止める。
 目を上にあげて、ちょっと困ったみたいにユキエにされるがままになる更紗の表情も、やっぱり可愛いなぁ〜。
 肩にかからないぐらいのショートカット。
 目はちょっと垂れ気味だけどクリっと大きくて、鼻は高くて通ってて、アゴはシュっとしてて、典型的な美少女。
 でも頬っぺたが柔らかそうで、色が白くて、守ってあげたくなるタイプ。
 綺麗と可愛いの絶妙なバランス。
 うーん、やっぱり、諦めきれないよ〜。

「あっ、見つけた。・・・ほら取れた」

「ふぁっ・・・」

 髪の毛の中を探していたユキエが、ツムジのあたりから何かを摘み上げた瞬間、更紗が力のない声を出した。
 見ると更紗は、目にすっかり生気がなくなって、ボンヤリと前を見てる。
 ユキエの手を見ると、なにか、キラキラとした、糸みたいなものの先端を摘まんでいた。
 その糸みたいなものは、いろんな色の光を反射させながら、更紗の頭からユキエの手まで、切れずに繋がってる。

「哲也、ちょっと手を出しなさいよ。・・・藤代国造壬生浜玉岬姫神大祝・・・」

 ユキエは有無も言わせず、僕の右手の小指、第2関節のあたりに、このキラキラした糸を器用に結びつけた。

「ほら、上代藤乃宮流古式呪術、五色髪の完成よ。日野哲也君、オマジナイの出来る幼馴染を味方に持ってて、本当にラッキーね。今度ラーメンおごりなさいよ」

 そうだ・・・、藤宮って、占いが得意なだけじゃなかった。
 なんか小さい頃から、変なオマジナイとか色々凝ってるんだった。
 こいつだけじゃなくて、こいつのお姉さんと一緒に、色んな本とか読んでるのを、小学生の頃よく、遊びに行って見たことがある。
 こいつの家自体に、伝わってる色んな本があるらしいんだ。

「指に巻きついてる、この五色髪っていう毛は、更紗の魂にまで繋がってるの。この毛を強く意識しながら、『更紗と、仲直りしたい。一緒に下校しよう』って念じてみなさい」

 僕は、半信半疑にも、自分の本心を素直に言葉にして、頭の中で念じてみた。
 なんだか、気持ちを心の声にすると同時に、キラキラする毛が微妙に震えた気がする。

「テッちゃん、仲直りしよう・・・。一緒に帰ろう・・」

 更紗が、ボンヤリとした表情のまま、ゆっくりと立ち上がる。
 まさか・・・、こんな簡単に、オマジナイって効くの?

 パンッ

 ユキエが両手を叩くと、はっとした更紗の目に生気が戻った。
 急に眠りから覚めたみたいに、周りをキョロキョロ見てる。
 今の、ユキエの変なオマジナイの効果が切れちゃったのかな?

「更紗、あなた哲也とケンカしてたんじゃなかったの? 無理にコイツと一緒に帰る必要ないよ。今日は私と、ストレス解消のカラオケ合戦でもしにいかない?」

「う、うんん。ゴメンね、宮ちゃん。今日は私、哲也君と・・・、その、仲直りデートしないと。行こっ、テッちゃん」

 更紗が自分から手を握ってきて、僕を誘う。
 人前でデートとか口に出したり、自分から誘うような仕草をしたり・・・。
 目が覚めているようでも、更紗がいつもと違う様子だっていうのが、僕にはわかった。
 更紗が、ユキエの変なオマジナイのせいで、ちょっと変わっちゃってる。
 こんなのは、正攻法じゃないって、僕の良心が渋い顔をしてる。
 でもこれを逃したら、僕にはもう、仲直りのチャンスはないかもしれない・・・。
 そう思うと僕はユキエに、更紗のこの状態を戻してくれって、毅然と言うことが出来なかった。
 ただ曖昧に頷いて、帰宅の準備をする更紗に従うことしかできなかった。
 背中がポンっと叩かれる。

「ブレークスルー。今日出来なかったら、難しいかもよ。彼女の気持ちは哲也にあるみたいだから、一線越えちゃったら、後は何とかなりそうな感じ。男になってきなさい」

 ユキエが僕の背中を押した。
 僕は乾いた喉に、無理やり唾を飲み込んで、誰にともなく頷いた。

 。。。

「テッちゃん。昨日はあんなこと言っちゃってゴメンね。私、最近、自分でもあんまりちゃんと考えられないの。テッちゃんが嫌いなわけじゃないんだけど、私たち、まだ高校生だし。・・・一方的に、私が子供なだけね。でも、とにかく、怖かったの。テッちゃんが怖かったっていうより、私自身のことが」

 本心を包み隠さずに僕に打ち明けて欲しい、って指に力を込めて念じてからは、更紗はいつもよりもずいぶんとお喋りになっていた。
 僕の家に帰る道。更紗はずっと僕に語りかける。
 いつもは、僕の、あんまり面白くない話を、微笑んで聞いてくれてる更紗だけど、今日は堰を切ったみたいに自分の思いを話してくれる。

 自分自身がこれまで、どれだけ自分の思いでイッパイイッパイで、更紗の言いたいことに気を使っていなかったか、痛感した。
 僕って本当、駄目だな〜。
 でも、更紗に色々と聞いても、いつもの彼女は遠慮がちに「楽しいよ」って言ってくれるだけ。
 結局こんな、ユキエのオマジナイなしには、どうやって彼女の本心を聞き出せばいいんだよ?
 僕は心が締めつけられるような思いになって、ついついもっと更紗との距離を縮めようと、オマジナイの力に頼ってしまう。

『更紗、君は僕の、日野哲也と腕を組んで歩きたい。いつもは恥かしがってそんなことしないけど、今日は特別。腕を組むんだ。』

 僕が何度目かの念をキラキラした毛に乗せる。
 だんだん慣れてきつつある僕の念に操られて、更紗の反応も早くなってきてるような気がする。
 更紗の腕が、ちょっと躊躇いがちに僕の腕に絡みつく。

「仲直りのシルシね・・・。ちょっと恥かしいけど、・・・いい?」

 色白の肌が、パステル調に赤らんで、更紗が僕の顔を見上げる。
 恥かしさを隠すように、もう片方の手で、しきりに髪を指でいじってる。
 すべすべした更紗の肌が、僕の腕の内側と触れ合うと、僕の心臓は高鳴った。
 石鹸とシャンプーの柔らかな香りが、僕の鼻もとをくすぐる。
 清純な、更紗の匂い。

 目を合わせると、僕も真っ赤に照れてるのがばれそうで、僕は目をまっすぐ進行方向に向けたまま、出来るだけ自然に返事をしようとした。

「う、うん。別にいいよ」

 ヤバイ。今の声、上ずってた。
 僕の緊張が、更紗に感ずかれちゃったかもしれない。
 更紗も体を強張らせてるのが、触れあってる彼女の腕の腱の緊張からわかった。
 二人とも、ガチガチに硬くなりながら、歩いてる。
 せっかくの熱愛カップルみたいなシチュエーションなんだから、もうちょっとラブラブになってもいいかな?
 僕の中の悪魔が囁く。その悪魔の台詞を、僕は忠実に指先の糸に伝えちゃった。

『更紗、胸を押しつけなさい。オッパイの感触を哲也に与えてあげよう。』

 更紗の組んでいた手が、ゆっくりと、スルスルと僕の腕の下の方に動く。
 二の腕の、肘の少し上の辺りに、ムギュっと丸くて柔らかい感触が来た。
 僕と更紗が同時に息を飲む。
 更紗が、こんなことしてきたのは初めて。
 キスから先、軽いペッティングも恥かしがって逃げてきた更紗が、自分から、小ぶりの胸を押しつけてきてる。

『もっと、もっと、強くオッパイを哲也に押しつけよう。』

「ふっ」と、更紗の、抵抗するような息が漏れる。
 見ると彼女は、苦しそうに目をギュッとつむってる。
 でも彼女の体はその声とは裏腹に、さらに胸を僕の左腕にギュウギュウと押し付けてくるんだ。
 ブラジャーのワイヤーの感触がはっきりと伝わってきた。
 白い夏服のセーラー服の上から、更紗が小さな胸を、目一杯僕に感じさせてくる。

 すれ違ったオバサンが、僕らをみて、ケシカランという表情をする。
 更紗はその咎めるような視線から逃げるように、さらに僕の腕に身を寄せて、胸を擦りつけてきた。

『もっと、もっとだよ、更紗。人目も気にせずに、もっと胸の感触を、大切な哲也に与えてよ」

 ところが・・・。

「あぁっ、やんっ、もうっ!」

 更紗が、急に声を上げて、僕の体を押しはがした。
 ヤバイっ、ユキエのオマジナイが、効力を失ったのかな?
 更紗の心に無理を押しつけすぎて、ついに切れちゃったのかな?
 僕がパニック状態にあるあいだに、更紗は僕に背を向けて、脇道に逃げていってしまう。
 引きとめようと思うんだけど、あせっちゃって、何て言って良いのかもわからない。

「テッちゃん、こっちに来ちゃ駄目!そこで待ってて」

 更紗が脇道に入って、自動販売機の裏、僕から見た反対側に身を隠すと、そこから出てこなくなった。
 指先の髪の毛に、更紗が落ち着くように念じるべきかな?
 でももし今、更紗の心が僕の念に拒絶反応を示していたら、新しい思いを送ることが、事態をさらに深刻な状況にするのかも・・・。

 情けないことに僕は、その場で立ち尽くして、成り行きを見守ることしか出来なかった。
 こんなこと、しなければよかったのかも・・・。
 また僕、調子に乗って、欲張りすぎたのかな・・・。
 自分の性格が憎い。勇み足ばっかりする、自分の性欲が憎い。
 あーもう、結局、変なオマジナイの力を借りても、結果は同じか。
 実際よりも凄く長く感じられた、1、2分のあいだ、僕はすっかり自己嫌悪に陥ってた。

 それでも、更紗は、意外と普通の表情を装いながら、僕のもとに戻ってきたんだ。自動販売機の裏でゴソゴソ動いていた彼女は、最後にパチンって鞄を開け閉めするような音がした後で、驚くほどとすんなりと僕の腕に戻ってきた。
 オマジナイは、効力を失ってはいないみたいだった。

 でもなんで急に?

 僕の疑問は、すぐに嬉しい興奮に変わっていた。
 更紗・・・、もしかして?
 彼女がさっきみたいに僕の腕に胸を押しつけると、ついさっきよりもずっと柔らかい、あったかいものが僕の腕にひっついた。
 白いセーラー服の下、今まであったはずの、布のガードがなくなってる?

 更紗が胸の真ん中、谷間のあたりで僕の左腕を包み込むと、生のムニュっとした感触が、僕を確信させた。
 オマジナイは切れてなんかいない。
 更紗はもっと胸の感触を僕に与えるようにっていう念に操られて、今、ブラを外してきたんだ。

 僕の頭は血管が切れそうになるぐらい昂ぶった。
 懸命に全身の神経を、左腕に集中させようとする。
 更紗は熱に侵されたみたいに荒く呼吸して、困った表情をしながらも、僕に胸の感触を与え続けようと、谷間に挟んだ僕の腕に、大切なオッパイをすりつけているんだ。
 汗ばむ彼女の肌に、張りついたセーラー服の布地がちょっと透ける。
 変形した丸いオッパイの先端に、遠慮がちなポッチがうっすら浮き出て見えてるような気もする。

 更紗、下校途中にノーブラで歩いてる。
 僕に顔色を悟られないようにうつむき加減で歩く彼女を、僕はこのまま家に帰すわけにはいかないと思った。
『恥かしがり屋で奥手な更紗のブレークスルー・・・』
 ユキエの言葉を思い出す僕。
 覚悟を決めようと思った。

 今日を逃したら、チャンスはないかもしれない。
 強引なやり方でも、卑怯なやり方でも、僕はとにかく彼女を手に入れたいと思った。
 まともな考え方じゃないかもしれない。
 でも、みんなの憧れの美少女、更紗。
 彼女の胸の感触をこんなふうに与えられて、まともでいられる男子なんていないと思う。
 認めるしかない。僕は今、まともな考えが出来ない。
 そして更紗だけまともになって、帰ってもらうことなんて、出来ないと思った。


 。。。


「ふぅっ、結局、テッちゃんのおうちまで来ちゃったね。本当にご迷惑じゃない? ご家族が誰もいない間に、おうちに上がり込んじゃうなんて、私、失礼じゃないかな?」

 更紗が気まずそうに僕に尋ねる。
 家に入るまで体を密着させあってきた僕らは、僕の部屋の中でもまだ、火照った顔に手で仰いで風を送っていた。
 僕の部屋で、テレビの前の小さな卓袱台を囲むみたいに、座布団をしいて正座する二人。
 重めの沈黙が二人の間にさしこんだ。

『二人っきりなんだから、もっと大胆になろう。更紗は、哲也に、自分の裸を見てもらいたい。もっと恥かしい自分の姿を、哲也に見せたくて我慢できない。』

 僕は興奮でボンヤリとしそうになる頭を懸命に集中させて、指先の五色髪に念じる。
 更紗の表情を見ていると、さらに赤みがさして、目が潤んできてるのがわかる。
 抵抗しているのか、更紗の動きは止まったままだ。
 僕は同じ言葉を、何度も何度も頭で念じて、キラキラする糸に送り込む。

 ようやく更紗が、口を開いた。

「つい・・・。・・・この部屋、暑くない? ・・・テッちゃんは、平気?」

 更紗が、制服の胸元を引っ張って、上から手で仰いで風を送る。
 彼女が白い上着をちょっと下に引っ張ってかがむと、胸元の谷間がチラッと見えた。
 瑞々しくて優しい曲線・・・。僕の目は簡単に釘づけになった。

「そ・・・そうかな。そんなに暑い? 更紗って、暑がりだったっけ・・?」

 口が渇いている。舌がもつれて上手く喋れなかったけど、なんとか返事をした。

「うん・・・。私もあんまり自分ではそう思ってなかったけど、実は、すっごく暑がりなのかもしれない。ふぅ・・・。暑い・・」

 おもむろに立ち上がった彼女は、制服のスカーフの裾に手をやって、仰ぐみたいに裾をバタバタとさせた。
 座っていた僕の視線からは、白い太腿が、かなりきわどいところまで見えちゃう。
 僕は顔をそむけて咳払いをする素振りをした。
 でも目はまだはっきりと、スカートの裾からチラチラと見え隠れする、彼女の華奢な脚を凝視しちゃってた。

「やだっ・・・テッちゃん。恥かしい・・・。今、見た?」

「いやっ、見てないよ。っていうか、急に更紗がそんなことしだすから・・・」

「だって・・・、暑いもん。テッちゃん。エッチな目でみてたでしょう。恥かしい格好してたから、見ないでほしいの」

 更紗の眉が怪訝そうにハの字になる。
 あまり人に強く出ることのない彼女の、精一杯の抗議だ。

「う・・ん、更紗が、嫌なら、見ない。エッチな目じゃなかったと思うんだけど・・。約束するよ」

「ホントに? テッちゃん、我慢出来るの? エッチな思いよりも、更紗との約束の方を、大事にしてくれるの?」

 更紗は、口をすぼめて、僕を見つめる。
 目はちょっと泣きそう、ちょっと怒ってる。
 ひょっとして、昨日と同じような、拒絶への助走のパターンかも。

 って心配した僕の思いとは、違う方向に更紗の話は進んだ。

「信頼・・・出来ないなぁ。だって、テッちゃん、昨日だって・・・。・・・じゃ、テッちゃん。向こうを向いてくれる? 私がこっちで、どんな恥かしいことしてても、振り向かないでいられる?」

 僕は喋るのも息苦しくなっちゃって、ただ目を見開いて、強く何度も頷いた。


 更紗よりも、僕の方が体温が上がってるかもしれない。
 僕は今度は体中の全神経を、両耳に集中させていた。
 衣の擦れる音がして、スカーフが抜き取られていく気配がする。
 ファスナーが下ろされる摩擦音。
 ファサッとじゅうたんの上に、空気の抵抗を受けてゆっくりとスカートが落ちる音がする。
 しばらくの沈黙。
 少し大きな、衣擦れの音。髪の毛が擦れる音がして、僕は更紗が今、制服の上を脱ぎ捨てようとしていることに気がつく。
 僕の後ろ、卓袱台を挟んで2メートルも離れていないところで、更紗がオッパイを晒している。
 僕が何度も何度も想像の中で思い浮かべた更紗の裸が、手に届くところにある。
 直立不動でドアの方を向いている僕は、必死に拳を握り締めた。

 ちょっと振り返ったら、それだけで、僕が憧れに憧れて、やっと付き合うことが出来たクラスのアイドルの、裸を生で、この目で見ることが出来る。
 どんな裸をしているの? オッパイのかたちは、じかに見るとどうなってるの?
 どんなパンツをはいているの? 見たい、見たい、見たい。

 でも僕は、懸命に我慢した。
 僕はオマジナイの力で更紗を裸にしたいだけじゃないんだ。
 今回限りの、夢の実現が目的じゃない。
 僕は怖がりの更紗に、僕を信用して欲しい。
 更紗が一番恥かしい状態になった時にも信頼できるような僕の姿をみて、これから心底、僕に更紗の体も心も委ねてもらえるような、そんな関係に進みたい。
 そのためのブレークスルーじゃなかったら、嬉しくない。
 自分に懸命にそう言い聞かせながら、僕は自分を懸命に抑えていた。
 一瞬でもいいから振り返りたいという衝動と、戦っていた。

「ねぇ、・・・今、私・・、何してるかわかる? ・・・こんな・・・、恥かしい・・・。はしたないこと・・、しちゃってる・・・。絶対に見ないでね」

 熱にうなされるような心細げな更紗の声。
 荒い呼吸と、何かを噛み締め、押し殺すような声がしてる間は僕もよくわからないでいたけれど、・・チャって音が下からして、確信しちゃった。
 更紗が、あんなに清楚で大人しいお嬢様が、僕のすぐ後ろで、オナニーをしてる?
 いくら五色髪の不思議な力に縛られているからって、いくら僕の下心に操られているからって、いくらなんでも、あの更紗が、そんなこと・・・?
 更紗が、僕の真後ろで、裸になって自分の体を弄くってる気配がする。
 彼女が、その状況に興奮してる気配がする。
 更紗の体が、卓袱台に乗りあがって、僕の背中にさらに近づいて、不埒な手の動きをより強めてる音が聞こえる。
 熱い息が僕のうなじにまで当たる。

 僕はついに我慢が出来なくなって後ろを振り返っちゃった。

「やだっ、テッちゃん! 見ないでっていったのに・・・」

 卓袱台の上には、ほとんど裸になっちゃった、更紗がいた。
 純白のパンツ以外には何も身につけない無防備な姿で、片手をパンツに入れてモゾモゾと動かして、もう片方の手で乳首を摘まみさすってる高倉更紗の信じられない姿があった。
 汗ばんで、白い素肌をピンク色に染めて、時々ビクビクと肩を震わせながら、オナニーに興じる、更紗。
 昨日はキスより先に進もうと手を胸元に伸ばした僕に、必死に抵抗して拒絶した僕のウブな彼女が今、僕の部屋で卓袱台の上で、こんなことをしてたんだ。

「駄目だってば・・、もう、約束したのにぃ・・」

 更紗は口では抗議するけれど、手の動きは止めない。
 オッパイを弄る手を少し動かして、桃色の乳輪を腕で隠そうとするけど、体を完全に隠そうとはしない。
 素振りだけ・・・。
 五色髪の力に縛られちゃってる彼女は、『自分の裸を』、『恥かしい姿を』、僕に見られたくてしょうがなかったんだね。
 口では抵抗したり、ちょっとだけ嫌がるポーズをとるけど、細い腰のうねりが、可愛い乳首の隆起が、イヤラしい股間の音が、僕を誘っている。僕に更紗の破廉恥な秘密すべてを、晒したがって疼いてる。

「なんで、こんなことしてるの? ・・・更紗。こういうの、嫌じゃなかったの?」

「わかんないっ、わかんないようっ。私、変になっちゃうっ! あんっ・・・・ふぁああっ。テッちゃん、こんなイヤラしい私を見て、嫌いになったでしょ?」

 更紗が、小さな声をだして顔を背ける。
 僕は、ここが正念場だとばかりに、強く指先に念じた。

『どんな更紗も、哲也は受け入れる。更紗は全部哲也に委ねて大丈夫。だから更紗も、哲也の言葉を受け入れよう。恥ずかしさや、怖さからは、抵抗しない。拒まない。哲也の言葉を受け入れて、更紗も哲也に受け入れられる。』

「あっ・・・、ぁぁぁぁぁ・・」

 更紗の口がぽっかりと開いて、首をかしげる。
 不思議そうに僕を見る。
 うまくいったんだろうか?

「更紗、手を止めて。立ち上がって、パンツを脱いで」

 短い沈黙の後で、彼女は口を開いた。

「ん・・っと、はい」

 更紗が僕の言葉のままに立ち上がって、パンツのゴムに指を入れる。
 5センチほどパンツを下ろすと、淡い陰毛がスルリと顔を出した。
 そこで更紗の指が止まる。
 ちょっと困ったみたいに、首をかしげている。

「どうしたの? パンツを脱ぐのはいや?」

「うんん・・っと、嫌・・じゃ、ないよ。・・・テッちゃんが、そうしてほしいなら、いいよ」

 自分で自分に言い聞かせるように答えながら、更紗は意を決してパンツを足元まで下ろした。

 細くて柔らかそうな陰毛が、うっすらと更紗の女の部分を隠してる。
 僕はそのまま更紗の体を抱き上げて、勉強机の上に座らせる。
 片足をパンツから抜き取ると、白い布切れはもう片方の足首に垂れ下がった。

「更紗、両足を広げてよ」

「えっ・・・うん。いいけどでも・・・でも、そんなことしたら・・・」

 まだ少し、目に迷いが見える。
 更紗が心の中で葛藤してるのが、はっきりと見てとれる。

「駄目なの? 更紗は僕にアソコが丸見えになっちゃったら駄目なの?」

「ん・・・駄目じゃない。・・いいよ」

 更紗と僕の目が合うと、彼女は僕の言葉に拒めずに従った。
 両足が、ゆっくりと離れていく。
 駄目押しに、僕は更紗本人の口から、はっきりと宣言させることにした。

「ちゃんと言葉にして答えてね。更紗は僕にアソコが丸見えになっちゃったら駄目なの?」

「うんん、駄目じゃないよ。テッちゃんの前で、アソコが丸見えになってもいいよ」

「アソコの中がどうなってるのかじっくり見ちゃって、匂いもかいで、指で弄くっちゃってもいいの?」

「うん。アソコの中がどうなってるのか、じっくり見ちゃっていいです。匂いも好きなだけかいでいいよ。貴方がそうしたかったら、指で弄くっちゃってもいいよ」

 口にするたびに、更紗の迷いは消えて、僕の目を優しく真っ直ぐ見つめる。
 ちょっとその視線に罪悪感は感じるけど、僕はもう、一切躊躇するつもりはなかった。
 せめて更紗にも、ポジティブな気持ちをどんどん送ってあげる。

『痛くない、気持ちいい。怖くない、嬉しい。恥かしくない、興奮する。セックスがしたい。哲也の全てを受け入れて愛したい。哲也に全てを曝け出して、受け入れてもらいたい。哲也に愛されたい。哲也の愛を受け止めたい。そのためには一切躊躇しない。』

 日の光がさしたみたいに、パァッと嬉しそうな顔になった更紗が、Mの字みたいに両足を広げて机の上にのせる。
 片手をついて、腰を浮かして、僕の前に股間の大事な部分をつきだした。
 硬そうな若い割れ目をゆっくりこじ開けると、さっきの愛液の残りが、ムッと甘酸っぱい匂いを出して下に垂れた。
 僕が顔を近づけて口で優しく愛撫を始めると、彼女はもっと腰を押しつけてきた。

「ぁああっ、もっとして。何でもして。テッちゃんにみんなあげちゃう。更紗を全部、貴方のものにして・・・」

 僕の舌が肌色のビラビラを舐めるたび、つぼみみたいに堅い膣口の入り口に入るたび、小粒なクリトリスに触れるたび、更紗は首を左右に振り乱してお願いする。

 僕はショッパイような酸っぱいような、彼女のエキスを優しく舐めて、彼女によがってもらう。
 僕がクリトリスをすすりあげた瞬間、彼女の足に力が入って、両足がバネみたいに跳ね上がった。
 お尻がドスンと机の上にのる。
 僕がそのまま容赦なく下の口にベロを押し込んでると、なんと彼女の両足は、僕の後頭部に絡みついちゃった。
 まるでプロレスの技みたいに、更紗は全身で僕の愛撫に喜んでくれてる。
 学校での彼女の姿からは、まったく想像も出来ないような体勢で、股間を舐め回してもらって喜んでる。
 僕はすっかり我慢できなくなって、本番に突入した。

 机から抱き上げた更紗の体を、ベッドにのせる。
 両足を僕の腰の辺りに強く絡めて僕に抱きついている更紗の体をほどこうとせずに、僕は自分の体ごと一緒にベッドに転がった。
 更紗を下にすると、僕は固くそそり立った自分のモノを、ヒクヒクしている更紗のあどけないアソコに、ゆっくりと入れていく。
 彼女の下の口も、ぎこちなく、それでも懸命に僕を咥えこもうとする。
 途中で肉の抵抗があった。
 無垢な彼女を守る最後の砦。女の子の大事なベール。
 僕が体重をのせてその抵抗を破ってしまうと、彼女の目がハッと見開かれた。

「くっ、あっ!」

「大丈夫? 痛い?」

 僕は慌てて更紗に聞く。でも更紗の目はすぐに潤んで、また蕩けたように僕を見上げる。

「うんん、痛くないの。気持ちいいの。怖くないの。嬉しいの。ハァッ、・・・・・・恥ずかしくないの。興奮しちゃってるの」

 更紗が、僕が念じた言葉を、まるで自分の心の底から出て来た言葉のように、噛みしめながら僕に答える。
 僕は、彼女の言葉に焚きつけられるように、強く激しく自分の腰を振りはじめた。

「あぁっ、いぃぃいいっ。更紗、これっ好きっ! もっと、して、もっとっ」

 更紗が快感に打ち震えて、僕の体にしがみつく。
 初めての経験なのに、更紗は激しく悶え狂った。
 しっかりと感じて、よがってくれた。
 五色髪のおかげなのか、僕と相性がよかったのか、更紗の隠されていた一面なのか・・・。

 僕と更紗はお互いの体中の血が止まりそうなぐらいの強さで抱きしめあって、汗を振り乱して腰を振った。
 目が合うたびに、大人のキスをして、イヤラしくベロを吸いあって、二人の唾液を交換した。
 僕が更紗の、小ぶりだけど形のいい、柔らかいオッパイにしゃぶりつく。
 乳首を強く吸い上げると彼女は、首を大きく左右に振って喘いだ。
 そのたびに、左右に彼女の涎が糸をひく。
 乱れきった僕のアイドルの姿は、イヤラしくて、だらしなくて、エッチで、とても綺麗だった。

「あはぁあっ、セックス・・・。テッちゃんとセックス・・、しちゃってる。まだ・・・、高校生なのに・・・、あぁんっ、赤ちゃん・・・、出来ちゃうっ!」

 更紗が、僕の体をいっそう強く抱きしめる。
 僕もさらに奥まで、さらに先まで、懸命に自分のモノをピストンさせた。

「更紗、更紗のアソコが熱いよ。処女じゃなくなったばっかりなのに、更紗はすっごくイヤラしいオンナだよ」

 もう更紗の体は僕に全体重をかけてきてる。
 僕は苦しい体を踏ん張って、更紗と一つになって腰を振り続けた。

「貴方の前だけ・・・。哲也君の前でだけ、更紗はすごくイヤラしいオンナなの。更紗は、テッちゃんには全部を曝け出さないと駄目なの。貴方の愛を全部躊躇わずに受け止めるの。貴方に全部、身も心も捧げて愛してもらうの」

 うわごとのように繰り返す、更紗のあごが上がっていく。
 嬉しそうな、泣き出しそうな、快感によじれた表情で、昇天しはじめようとしてる。
 僕も一緒に、イクことにした。

「ほらっ、一緒に行くよ。更紗っ、ほらイクよっ。ほらっ。うん・・ん・・んっ」

「ひぁっ・・・はぁっ・・」


 僕がモノを抜くと、更紗のアソコからは、最初ちょっとの血と、あとは白っぽい液がだらだらと出てきた。
 疲れきった僕と更紗は、そのままベッドに体を投げ出して、予想外に激しかった初体験の余韻に身を任せた。
 天井がグルグルと回って見える。
 僕も更紗も、そのままぐったりと眠りについた。


 。。。

「おはよう、テッちゃん」

 体の前の学生鞄を両手で持った、更紗が僕に明るく挨拶をする。
 今日は髪留めで少しオデコが出るように前髪を留めていて、僕はいつものようにドキッとする。
 彼女を見るだけで、ドキドキしてしまう。
 この気持ちには、二人が結ばれてからも変わりはないみたい。

「おっす、昨日は・・・その、どうもありがとう」

「ん・・、私こそ・・」

 更紗が赤くなって目を逸らす。
 片手で髪を弄り始める。彼女が恥かしさをごまかす仕草。

 僕も赤くなって、しばらく沈黙しちゃうけど、咳払いを一つすると、勇気を出して彼女に近づき、耳元で囁いた。

「昨日は、気持ちよかったよ。またやろうね」

 更紗も少し背伸びをして、僕の耳元で囁く。

「あの・・・私も・・・。また・・、その、・・・いいよ」

 彼女の温かい息が、僕の耳元をくすぐる。
 安心した僕は、少しイタズラっぽく囁いた。

「あれっ? ひょっとして、更紗、もう今日、次を期待してる? もしかして今日は、自分が持ってる中で一番セクシーな下着つけてきてたりして・・・。そんでもって今朝は、念入りに下半身洗ってきてたりして・・。なんてね、そんなわけないか」

 更紗が大きく息を吸うと、クリッとした目がまん丸になる。

「な・・・、なんで・・わかったの?」

「カマかけだけだよ。まさかと思ったけど・・・、ふ〜ん、そうなんだ」

 真っ赤に茹で上がった更紗の顔が引きつる。

「もうっ、嫌い! 知らないっ!」

 僕から逃げるように、学校に走り去る更紗。
 今の念が、最後のオマジナイかな・・・。
 笑って謝りながら追いかける僕。
 その二人の間には、キラキラと光る一本の髪の毛が結ばれていた。


 。。。


「で、哲也君、結局上手くいったの?」

「ん・・・。今日ね、もう五色髪は切ってくれって言ってきた。信じられる? 大好きな子を、自由に出来る呪法を手にして、一回結ばれたからって、もうこれから先は自分の力で繋ぎとめたいし、出来ると思うから、このオマジナイは解除してくれだってさ。昨日の夕方までは、打ちひしがれてたってのに、どんな自信よ。どんだけ単純なの? アイツって」

 藤宮幸恵が鏡台の前で、姉の淑恵に愚痴る。
 幸恵の学校で起きた出来事を、姉の部屋で互いの髪を編みながら話し合うのが、藤宮姉妹の夜の習慣だ。

「哲也君らしいわね。単純で、切り替わりが早くて、ストレートで。幸恵も、そういうところが好きだったんでしょ」

「ん・・・、どうかな。五色髪切ってくれなんて、わざわざ言いに来なくたって、いいのにね。これ、操られた相手が心底嫌がってたら、夜明けには勝手に切れちゃうんでしょ」

「そう、嫌がる相手を自由に出来るのなんて、もともと一日だけの効力なの。次の日まで髪の毛が繋がってたってことは、更紗ちゃんも心の底ではどこか、哲也君を拒んではいなかったってことじゃないかしら」

 淑恵が幸恵の髪をとかしながら、諭すように答える。
 幸恵はつまらなそうに、ため息をついた。

「あ〜あ。やっぱし、私の恋には、効きませんでしたってか。何が『ブレークスルー』だか・・、私はブロークンハートですよ。つまんない役回りだね、呪法師なんて。所詮、さよならだけの人生よ」

 幸恵は自分の右手を顔の前に近づけると、小指に結ばれたキラキラとした糸に、小さく糸を吹きかけた。色を変えながら光るその毛は、息に吹かれて簡単に切れていった。

「そんなこと、言わないの。自分の欲望のために古式呪法を使わない、幸恵ちゃんはとっても立派よ。私が見習いたいぐらいだわ」

「そりゃ、気晴らしに使ってるお姉ちゃんと、一緒にされちゃ困るってば」

「あら、OLは色々とストレスが溜まるのよ?」

「どうだか」

 見つめあって、クスクスと笑う姉妹。
 夕食前の、お喋りの一時。
 幸恵の新しい髪形が、もう少しで完成しようとしていた。

 
 


 

 

戻る