黄金の日々


 

 



第2部 第2話 中編 囚われの巫女






「ん……んん……んふ……ん……」

 演説を終えて、世界樹の洞に戻ったフィオナを出迎えたのは、くぐもった呻き声だった。
 もちろん、あの悪魔の声ではない。
 もっとか細く、高い声。

「ちょっと、何をしているの!?」

 そこでは、悪魔がニナを背後から抱きかかえて立っていた。
 ニナは服を脱がされて裸になり、その胸の小さなふくらみや、股間を悪魔の手が這い回っている。

「何って、おまえが外にいる間暇だから、この娘の体で楽しもうと思ってね」
「なっ!」

 ふたりの姿に顔色を変えたフィオナを見てニヤリと笑うと、悪魔はニナの乳首を弾き、秘裂に沿って指を滑らせた。

「んん……ふ……んん……ん……」

 悪魔の手の動きに合わせて、ニナが鼻にかかった鈍い声を上げる。
 だが、その顔は無表情なままだ。
 目にも、意志の光は感じられない。

「で、終わったのか?」
「……ええ」
「そうか。じゃあ、少しの間自由にしてていいぞ。ただし、ここから出て行くことと、僕に危害を加えることは禁止だ」

 手短にそう言うと、悪魔はニナの股間をまさぐり、小刻みに指を動かしていく。

「ん、ん、ん……んん……ん……」

 ぼんやりと前を見詰めたままでニナが上げている声には、まったく感情が感じられない。
 端正な顔を虚ろに強ばらせたまま、悪魔に愛撫されて壊れた人形のようにくぐもった声を上げ続けている。

 ニナは、数いるフィオナの弟子の中では、巫女としての資質には欠けているところがあった。
 だが、彼女が薬草に関する該博な知識を身につけていたこともあり、また、その優しい性格を愛していたフィオナは、彼女に治療担当の責任者を任せていたのだ。
 だから、あの悪魔が重傷のエルフを装って森に運び込まれた時に、その治療をさせた。
 それが、裏目に出てしまった。
 巫女としての力の弱いニナは、簡単に心まで悪魔に絡め取られてしまった。

 全部、私の責任だわ……。

 フィオナは、悪魔の為すがままにされる弟子の姿を、暗澹として見ていることしかできなかった。





 と、その時のことだった。





(アレガ、アノ悪魔ノ手ダ)

 フィオナの頭に、聞き慣れた重々しい声が響いてきた。

「……!世界樹様……なのですか?」

 フィオナは、信じられない思いで聞き返していた。
 自分はあの悪魔にこの身を穢され、世界樹の巫女としての資格を失った。
 だから、もう世界樹の言葉を聞くことはできないと思っていたのに。

(アア。ドウシタノダ、巫女ヨ?)
「私のことを、まだ巫女と呼んでくださるのですか?」
(ソナタ以外ニ、我ノ巫女ハオラヌ)
「……ありがとうございます、世界樹様」

 世界樹様が……自分のことをまだ巫女と認めてくださっている……。

 フィオナは、あまりの嬉しさに泣き出しそうな思いだった。
 だが、感動に浸る間もなく世界樹の言葉は続いた。

(ソレヨリモマズ、アノ悪魔ヲ倒ス事ガ先決ダ)
「あの悪魔を?……でも、どうやって?」
(アレハ、淫魔ノ一種ダ。アアヤッテ女ヲ籠絡シ、自分ノモノニスルノヲ得意トシテイル)
「はい……」
(アノ悪魔ノ手二カカレバ、並ノ女ハアノ娘ノヨウニナリ、ジキニ、完全ニアノ悪魔ノ手ニ堕チルダロウ)
「そんなっ……」
(ダガ、アノ悪魔ヲ倒ス手ハアル)
「それは?」
(心正シク強靱ナ精神ヲ持ッタ巫女ガ、アノ悪魔ノ限界ヲ超エル精気ヲ搾リ取レバ良イノダ)
「精気を搾り取る?どうやってですか?」
(女トシテノ体ヲ使ッテダ。アノ悪魔ト交ワリ、限界マデ精液ヲ搾リ取ッテヤルノダ)
「そんな……」

 世界樹の言葉を聞いて、フィオナは少し戸惑っていた。
 悪魔と交わる、ということは、昨夜のあの思いをまたしなければならないということだ。
 いくら世界樹の言葉といえども、それはやはり躊躇われた。

(ドウシタノダ、巫女ヨ?)
「いえ……他に方法はないのですか?」
(ソウダ。デキナケレバ我等ノ負ケ。全テハ終ワリダ)
「でも、淫魔の精気を搾り尽くすなんて、そんなことが私にできるのでしょうか?」
(ソナタニデキナケレバ、誰ニモデキヌ。我ガ巫女ト認メタソナタ以外ニ、ソレガデキル者ナドオラヌ)
「……わかりました」

 世界樹の言葉に、フィオナはゆっくりと頷いていた。

 太古の昔から生きてきて、この森のエルフを導いてくれた世界樹の言うことが間違っているはずがなかった。
 たとえどんなに嫌なことでも、それしか手がないのならば、自分がやるしかない。
 いや、あの悪魔を倒せるのなら、この身はいくら穢されてもかまわない。
 それで、森の皆が救われるのなら……。

(ダガ、クレグレモ気ヲツケロ。悪魔ハアラユル手段ヲ使ッテソナタヲ快楽ノ虜ニシヨウトスルダロウ)
「……はい」
(巫女ヲ失エバ、我モ霊力ノ大半ヲ失ウ。ソウナレバ、コノ森ヲ救ウ手立テハ永遠ニ失ワレル)
「はい」
(忘レルナ。ソナタガ快楽ニ溺レテシマエバ、全テハ悪魔ノ手ニ堕チルデアロウ)
「わかりました」

 フィオナは、緊張した面持ちで世界樹の言葉に頷く。
 その顔には、世界樹の巫女としての固い決意が浮かんでいた。




「んんっ!んんんっ……んふううぅ……」




 その時、不意に大きな喘ぎ声が聞こえた。

 見ると、ニナが悪魔の指の動きに合わせて、もぞもぞと腰をくねらせていた。
 さっきまで無表情だった顔も、その体もほのかに赤く染まり、いまだどんよりとしているその瞳も、僅かに潤んできていた。

 ……このままでは、ニナが完全に悪魔の手に堕ちてしまう。
 その前に、私がどうにかしないと!

 愛する弟子を救うため、フィオナは躊躇なく世界樹との誓いを行動に移した。



「待ちなさい!」
「ん?どうした?」

 フィオナが叫ぶと、悪魔は驚いたように顔を上げた。
 そっちに向かって、フィオナは歩み寄っていく。

「私にしなさいよ!」
「なんだって?」
「だから、私にやりなさいって言ってるのよ」

 そう言うと、フィオナは自ら長衣を脱ぎ捨てた。

「なんだ?ずいぶんと積極的だな?」
「いいじゃないの。私は、おまえ……いや、あなたに、し……して欲しいのよ」
「何を?」
「……くっ!」

 裸のフィオナを前にしてわかっているはずなのに、悪魔はにやにやと笑みを浮かべて訊いてくる。
 フィオナの方でも、自分がからかわれているのはわかっていた。
 それでも、そんなことを自分から口にするのは、やはり躊躇われた。
 たった今したばかりの決意が挫けそうになる。
 だが、こんな事で心が揺らいでしまう自分が腹立たしくもあった。

「どうした?何をして欲しいんだ?」

 唇を噛んでフィオナが言い淀んでいると、悪魔はさらに意地悪く訊ねてきた。

 フィオナにとって、その言葉を口にするのは屈辱以外の何ものでもなかった。
 だが、いくら言いたくなくても、それを言わなければニナを悪魔の手から守ることはできない。

「……せっ、セックスよ!私とセックスして欲しいの!」
「ふうん。それはいいけど、おまえ、僕に屈しないんじゃなかったのか」
「それはっ!……その子を守るためよ」
「へえぇ?」
「その子を……ニナを悪魔の玩具なんかにさせるわけにはいかない。この森の指導者として」
「でも、おまえはもう巫女ではいられないんだろ?」
「たとえ世界樹の巫女でいられなくなっても、私には森の皆を守り、導かねばならない責任があるわ」
「で、おまえがこいつの代わりに自分の体を犠牲にすると?」
「そうよ。私の体はもう穢れてしまった。だから、私はもういくら穢されても構わないの。だけど、その子は違う……」
「なるほど……。なかなか麗しい同族愛だな。よし、いいだろう、それに免じて、今はおまえの相手をしてやる。その代わり、今回はおまえの方からやってみせろ」
「……えっ?」
「当然だろ?おまえの方から僕とセックスしたいって言ってきたんだから、おまえがリードしてみせろよ」

 そういうと、悪魔はニナの体を退かせた。
 悪魔のするままに脇に寄って、ニナはふらりと突っ立ったままで虚ろな瞳をこちらに向けていた。

「そんなことっ、できるわけないじゃない!」
「おいおい、おまえから言い出したんだぞ。できないはないだろう」
「しかしっ!」
「どうしたんだ?やり方がわからないのなら僕が教えてやるよ」
「きゃあ!?」

 そう言って悪魔が服を脱ぎ捨てたので、フィオナは思わず悲鳴を上げた。
 目の前には、あのグロテスクな肉の棒があった。
 ただ、昨夜のようにそそり立ってはいない。心なしか萎れて、少し下を向いていた。

「別に大声を上げるほどのものじゃないだろう?なにしろ、昨日これがおまえの中に入ってたんだからな」
「……っ!」

 昨夜、この悪魔に陵辱された時のことが鮮明に頭に浮かんできて、フィオナの表情が引き攣る。
 そんな彼女を見て、悪魔はいかにも楽しそうににやついた。

「ほら、これをまた入れて欲しいんだろ?」
「そんなこと!」
「ふーん、でも、さっき自分でセックスして欲しいって言ったじゃないか」
「くっ……!」
「ほら、見てみろよ。僕のはまだ準備ができてないだろ?」
「そんなのっ、知らないわ!」
「なんだい、つれないことを言うじゃないか。本当に僕とセックスしたいのか?」
「わ、私はニナを穢されたくないから……だから私が代わりになろうとしただけでっ」
「まあ、僕は別にいいんだけどね。おまえがやりたくないならやりたくないで、この娘で遊ぶだけだから」
「だめ!それだけはだめよ!」
「じゃあ、さっさとやれよ」
「そんな……どうしたらいいって言うのよ?」
「そうだな。とりあえず、手で握ってみろ」
「これをっ?」
「ああ、そうだ」

 おずおずと、フィオナは肉棒に目を遣る。
 それを手で握ることなど、想像しただけで気持ち悪い。

「どうした、やらないのか?だったら……」
「……やるわよ。これを、手で握ればいいのね」

 フィオナは、おずおずと目の前のものに手を伸ばす。

「う……ううぅ……」

 少しくにゃっとした、生暖かい感触が気持ち悪くて、フィオナは顔を顰めた。

「これで、どうしたら……きゃあっ?なによっ、これ?」

 自分の手の中のそれがビクンと震え、少し堅くなったような気がして、フィオナは驚きの声を上げる。

「ふん、本当に何も知らないんだな。昨日見ただろうが。それはそういうもんだよ。ほら、それを扱くように手を動かしてみろ」
「わかったわよ……やっ!……いやぁっ!?」

 悪魔に促されて動かすと、手の中でまたビクビクとそれが震える。
 そのたびに顔を顰め、悲鳴を上げるフィオナ。

 握った手を前後に動かすと伝わってくる、ぐにゅっとした感触。
 そして、ときどき勝手にビクンと動く。
 それが動くと、手の中で少しずつそれが堅さを増していっているような気がした。

「どうだ?」
「やだ……気持ち悪いわ……」
「ふん、そのうち、それがやみつきになるさ」
「そっ、そんなことあるはずがないわ!」

 フィオナは、悪魔の言葉をムキになって否定する。
 こんな気味の悪いものを、とてもではないが好きになれるとは思えない。

「まあ、昨日まで処女だったくらいだからな。まだそいつの良さがわからないのさ」
「くだらないことを言わないで。うぅ……こ、こんなに……」

 悪魔のおしゃべりに素っ気ない返事を返しているうちに、フィオナの手の中で肉棒はガチガチに堅くなって、手で押さえられないくらいに上向いていた。
 しかも、その先からはヌルヌルとした透明な汁が出てきている。

 その、黒光りして屹立したものは、まさに昨日見たのと同じ姿だった。
 昨夜、これに陵辱されたのかと思うと、嫌悪感がこみ上げてくる。

「どうした?」
「う……やっぱり気持ち悪いわ……」
「でも、おまえはそれが目的だったんだろうが」
「はぁっ?誰がこんなっ!」
「なに言ってるんだ、おまえ?なんか勘違いしてないか?」
「なにがよ?」
「おまえは、僕とセックスをするためにそうしてたんじゃないのか?」
「……あっ!」
「ほら、僕の方はもう準備万端だぞ。おまえはどうなんだ?」
「わたしだって……いつでも大丈夫よ……」

 少し口ごもりながら、フィオナは答える。
 本当は、こんなことはしたくはなかった。
 しかし、全てはこの悪魔を倒すためなのだ。
 この悪魔の精気を搾り尽くして、皆を守るため。
 後は、自分の覚悟次第だと思っていた。

 だが、そういうことに関して、彼女は何も知らなかった。
 そして、あまりにも経験がなさ過ぎた。

「ふーん、いつでも大丈夫ねぇ……」
「なによ?何が言いたいの?」
「いや、なんでもないさ。まあ、そういうことなら始めてくれ」

 そう言って、悪魔はその場に寝転んで仰向けになる。

「ちょっと、どういうつもりなのよ?」
「何度も言わせるな。今日はおまえからリードしろって言っただろ」
「なっ!私に、自分からこんなのを入れろって言うの!?」
「当たり前じゃないか。おまえ、何がしたいんだよ?僕とセックスしたいって言ってきたのはおまえの方だろ?」
「そ、そうだけど……」
「じゃあ、さっさとやれよ」
「……わかったわよ」

 覚悟を決めると、フィオナは悪魔の腰を跨ぐようにして立つ。
 どのみち、そうしないとこの悪魔は倒せない。
 どんなに嫌でも、自分がやるしかないのだから。

 だが、ゆっくりと腰を下ろし始めた時、不意に悪魔が話題を変えた。

「そういえば、さっき、おまえは誰かと話をしてなかったか?」
「そんなことないわ!き、きっと、気のせいよ」

 さっきの世界樹との会話を感づかれたのかと思って、フィオナは慌てて誤魔化そうとする。

「そうか?」
「そうよっ!なによ、せっかく始めようとしてたのに邪魔をして」
「ふーん……。まあいい、ほら、さっさと来いよ」
「なによ、そっちから水を差すようなことを言ったくせに」
「悪かったな。ほら」
「言われなくてもやるわよ」

 悪魔はまだ、狼狽えているフィオナを怪訝そうに見ているが、どうにか誤魔化せたらしい。
 ひとまずは安心して、フィオナはもう一度腰を下ろしていく。

「……くっ!」

 自分の秘部に堅いものが当たる感触に、息を飲んで体を強ばらせる。
 昨夜のあの悪夢を思い出して、それを体の中に入れるのを躊躇した。

 しかし、そんなことではだめだと、意を決してさらに腰を沈めていく。
 何か、引っかかるみたいで、なかなかうまく入っていかない。
 それでも、体重をかけて無理矢理に体を沈めた。

「くぅうううううっ!つぅっ、痛いぃいいいいっ!」

 まず感じたのは、焼けるような痛み。
 昨日と同じ、アソコから体が裂かれていくかのような激痛が走る。
 次いで、自分の肉を掻き分けて堅いものが入って来る異物感。
 それは、昨日よりも窮屈に感じられて、より強烈に思えた。

「はうっ、あああっ!痛いっ、痛いのっ!」

 痛みを堪えるため、体がきゅうっと緊張する。
 そうすると、さらに痛みと違和感がひどくなって、呼吸困難になりそうだ。

「おまえ、バカだろう?」

 必死に痛みに耐えながら、口をパクパクさせて喘いでいるフィオナを嘲笑うような悪魔の言葉。

「なっ、なによっ?くっ、つぅうううううううっ!」

 バカにされて、口答えしようとしただけでまたズキズキと痛みが走って悲鳴を上げる。

「だから準備はいいのかって訊いただろうが。昨日処女をなくしたばっかりなのに、その細い体で、ろくに濡れてもないのに無理矢理入れたら痛いに決まってるだろうが」
「えっ?えええっ?……くぅうううううっ!」

 フィオナの脳裏に、悪魔に感覚を操られて、その指でさんざんにイカされた昨夜の記憶が甦ってくる。
 悪魔の愛撫で、たしかに自分のそこはぐっしょりと濡れていた。
 あまりに忌まわしくて、思い出すのも嫌だったあの感覚。 

「しかも、そんなにガチガチに緊張してたらますます痛いだけだ。どうだ?また僕がその痛みを消してやろうか?」
「けっ、結構よ!……くぅぅぅぅうっ!あぅっ、つぅうううううううっ!」

 今、感じている、昨日も感じた、いや、それ以上の痛み。
 あの時は、悪魔によって痛みを消された後に……。

 昨夜の、悪魔に操られて感じてしまっていたおぞましさを思い出して、咄嗟にその申し出を撥ね付けた。
 そして、自分で動こうとしたが、痛みでそのまま腰が落ち、その時の衝撃がもたらした激痛にまた悶え苦しむ。

「だから言っただろうが。無理するなよ」
「余計なお世話だわっ!くっ……はくぅううううううっ!」

 無理に腰を動かそうとしても、痛みしか感じない。
 それでも歯を食いしばって動こうとするフィオナを見て、悪魔が呆れたような声を上げた。

「おまえなぁ、いい加減にしろよな。そんなに体を固くしてたらこっちも気持ちよくないだろうが。きつすぎなんだよ、そんなにぎちぎちに締めつけてきやがって、こっちも痛いくらいじゃないか」
「だからっ、くぅっ……どうしたっていうのよ!?」
「バカ、こっちも迷惑なんだよ。おまえから誘ってきたってのに、これじゃあ出るものも出やしないだろ」
「……えっ!?」

 その言葉に、思わずフィオナの動きが止まった。

 自分は、悪魔の精気を搾り尽くすためにこんな事をしているというのに。
 そのために耐えがたい屈辱にも、いまのこの痛みにも耐えているというのに、向こうがそれを出せないのでは本末転倒もいいところだった。

「ほら、無理するなよ。僕がその痛みを消してやるって」
「う……」

 自分の目的は、この悪魔に精気を出させる事なのだから、その言葉に従うしかなかった。
 不本意だが、相手がそれで気持ちよくなって精気を出すというのなら仕方がない。

「……わかったわよ」
「じゃあ、やるぞ」

 フィオナが同意すると、悪魔の瞳が輝いたように感じた。
 そして、その視線が真っ直ぐにフィオナの瞳を捉える。

「ううっ!」

 一瞬、全身が痺れて息が詰まる。
 そして、次の瞬間にはさっきまでの激痛が嘘のように消えていた。

 だが、それだけではなかった。

「むふぅ!?んんっ、んふぅぅぅぅううん!?」

 体から力が抜けた弾みで腰を沈めると、膣に入ってくるその堅いものが内側の壁を擦りつけてビリビリと痺れる感覚が駆け抜けていく。
 あまりの刺激の強さに、背筋がピンと反り返った。

 その刺激には覚えがあった。
 昨夜、悪魔に感覚を操られたフィオナが、さんざん感じさせられ続けた、あの感覚だ。
 しかし、昨日よりもずっと強く感じる。
 まるで、ガツンと殴られた時のように、頭がくらくらしてくる。

「はううううっ!やっ、なによっ、これ!?」
「ただ痛みを消すだけじゃなんだしな。サービスで普通よりも強い快感を感じるようにしてやったぞ」

 戸惑いを隠せないフィオナに向かってそう言うと、悪魔はにっと白い歯を見せた。

「ちょっ……なに勝手なことしてるのよ!?そんなサービスなんかっ……はううううううんっ!」

 抗議しようとしたフィオナの腰の下で悪魔が体を揺すったものだから、また背筋をゾクゾクと痺れが走って喘ぎ声が洩れてしまう。

「ちょっと!勝手に動かないで!」
「いいじゃないか。ほら、いい感じに解れて、こっちも気持ちよくなってきたし。僕も気持ちよくて、おまえも気持ちいいにこしたことはないだろ?」
「なによっ、こんなのっ、気持ちよくなんかっ!……あうっ、やぁあああああん!」
「でも、感じてるんだろ?」
「それとこれとは話が別よっ!んんんんんっ!」

 ありえない!こんなのって、絶対にありえないわ!

 悪魔が下から体を揺らすたびに、自分の中に入っている肉棒がゴリゴリ擦れる。
 そのたびに、全身が震えるほどの刺激が駆け巡っていく。
 その強烈さは、昨夜のそれの比ではなかった。
 自分の体が、異常なほどに敏感になっているのを感じる。

 膣の中を突かれ、擦られて走る痺れるほどの刺激。

 それはきっと、快感なのだろう。
 それでも、フィオナには決して気持ちよくは思えなかった。
 好きでもない相手と、それも悪魔などと交わって感じても、そんなのは心地よくは思えない。
 そんな、好意とか愛情といった自分の感情とは関係なしに、快感だけを送り込まれてもむしろ不快なだけだ。

 と、頭ではそう思っていても体はそうではない。

「あんっ、ああっ、やっ、激しっ、んふぅうううううううっ!」

 下から突き上げられて、腰が勝手にくねる。
 アソコ全体が麻痺したようにジンジンとしているのに、そのくせ、やたら敏感になっているようにも思える。
 自分の中に入った堅い肉棒が出たり入ったりするたびに、座り疲れて痺れた足をさすられた時のようなビリビリする刺激が全身を冒していく。
 昨日は不快でたまらなかった、内臓ごと持ち上げられて、喉元まで突き上げられているかのような異物感すらも、気持ち悪いのか、それとも気持ちいいのか自分ではわからなくなってくる。
 それに、自分の中の肉棒がやたらと熱く感じる。
 それが広がっていくみたいに、自分の体も芯から熱くなっていく。

「ああんっ!やあっ、だめっ、んっ、こっ、こんなのっ」
「だめなことなんてないだろ?随分と溢れさせて、だいぶ滑りも良くなってきてるってのに」

 その言葉通り、さっきから悪魔に突かれるたびに、肉棒を咥え込んだ場所から湿った音が響いていた。
 さっきは、引っかかるような痛みを堪えて無理して入れたのが信じられないくらいに、滑らかに入って来る。
 しかし、自分の体のそんな反応が、さらに自己嫌悪を催させる。

「やああぁっ、こんなのっ、違うううぅ!」
「何が違うんだ?こんなにいやらしい音させて、僕のに吸いついてきてるじゃないか」

 悪魔の言うとおりに、グチュッ、グチュッといやらしい音を立てている自分のアソコが、肉棒に吸いつくようにまとわりついているのが自分でもわかった。
 肉棒が出て行く時に、そのままめくれてしまうのではないかとすら思う。
 それすらも快感に感じて、全身がうち震える。
 だが、彼女にとっては間断なく快感を感じさせられていることが忌まわしい。

「いやぁっ!そんな音っ、聞かせないで!んっ、はぅん!」
「聞かせないでって、こうする時はそういう音が出るもんだぞ。女が感じてると特にな」
「違うっ!私はっ、この森の指導者として、ニナを守るために義務でやってるんだから!」
「それにしては随分と感じてるんじゃないか?」
「それはっ!おまえが無理矢理感じさせてるんでしょ!あっ、はぁんっ!」
「ひどいな。せっかくサービスしてやったっていうのに」
「だからっ!そんなサービスなんか要らないって言ってるのよ!んんっ、やあっ、そんなにされたらっ!あぁうううん!」
「でも、おまえの中、すごく気持ちいいぞ。さっきの、ただきつかっただけの時とは大違いだな。おまえも気持ちいいんだろ?よかったな、僕のおかげで気持ちよくなれて」
「なっ、なに自分の手柄みたいに言ってるのよ!」
「じゃあ、おまえが自分で感じてるだけなのか?」
「そっ、そんなこと言ってないでしょ!はうっ、うぁああああっ!」
「おっ、今、締め付けがきつくなったぞ。ひょっとして、図星なのか?」
「そんなことっ!あぅうんっ、んんんんっ!」

 悪魔にからかわれてムキになると、変に力が入ってしまって肉棒を自分から締めつけてしまう。
 その時に走る刺激に、フィオナは顔を真っ赤にして身を悶えさせる。

「でも、おまえの中、熱くなっていい感じに締めてきて……くっ、僕も、そろそろ出そうだ!」
「……ええっ!?出るの?」

 出そう、という言葉に、フィオナは敏感に反応した。

「どうした?中に出されるのは嫌か?」

 ……嫌。
 中に出されるのは、やっぱり嫌。

 フィオナの頭の中で、悪魔の言葉がぐるぐると回る。

 本当は、中になんか出されたくない。
 昨夜みたいなあんな思いは、もう二度としたくない。

 しかし、自分はこの悪魔から精気を絞り出さなくてはいけない。
 それが、今の自分の使命。
 嫌だからといって、拒むわけにはいかない。

 そうだ……そのためには、何だってするとさっき誓ったはずなのに。
 何を自分はムキになっていたのか。

 まだ、自分を守ろうとしていた。
 一度穢されたこの体は、何度犯されても失うものは何もないというのに。
 悪魔への嫌悪感を隠せない自分がいた。
 そんなことでは、使命を果たせない。

 己の意志を殺してでもこの悪魔を欺いて、精気を搾り取らなければ……。

「……いいわよ。んっ、くうっ!」
「なんだ?嫌じゃないのか?」

 フィオナの返事に、悪魔がさも意外そうに驚く。

「嫌じゃないわ。ううん、むしろ、出して欲しい。私の中に出して欲しいの。……はうっ、くううううううぅぅうん!」

 無理に作り笑いを浮かべて自分から腰をくねらせると、中で肉棒が擦れて全身に刺激が響く。

「本当におかしな奴だな?自分からセックスしたいと言ってきた割には全然その気じゃなさそうだし、かと思ったら中に出して欲しいなんて」
「なに言ってるの!私をおかしくさせたのはあなたでしょ。こんなっ、こんなに気持ちよくさせてっ!んっ、はううううううううっ!」

 もちろん、それは本心で言ってるわけではない。
 本当は、こんなことで快感を感じている自分が嫌。そうさせているこの悪魔も嫌。
 望んでもいない快感を感じれば感じるほど、不愉快さは増していく。

 それでも、悪魔に怪しまれないように精一杯の笑顔を作って、捻るように腰を揺する。
 そうすると、奥の特に敏感な部分に堅いものが当たって、目の前でチカチカと火花が散る。
 体が快感で満たされていくのに対して、心は嫌悪感でいっぱいになっていく。
 しかし、それを覚られてはならない。

「なんだ?義務だとか、感じてないとか言ってたのに、やっぱり感じてたんじゃないか?」
「だからっ、そうさせたのはあなたじゃないの!……やぁっ!?中でビクビクッて!はんんんんっ!」

 中に入っている肉棒が、ビクッと震えるのを感じた。
 それに呼応するように、膣全体もヒクヒクと痙攣しているように感じる。
 自分の中から、何か、それまで感じていたものよりももっと大きなうねりがこみ上げてこようとしていた。

「ふふん、おまえも、もうイキそうなんだな」
「イキそう?」

 その言葉は、昨日も聞いた。
 あの時は、頭が沸騰したみたいになっていて、意味がよくわからなかった。
 そして、昨夜はその直後にもの凄い快感の波がやってきて、その衝撃でわけがわからなくなった。

 今もそう。
 のぼせたように頭の中がぼんやりとしてきて、さっきから、目の前で火花が弾けっぱなしになっていた。
 とにかく全身が熱くて、ジンジンと痺れて、自分の体ではないみたいに自由が利かない。

「ああ。快感が極まって、絶頂に達しようとしてるのさ」
「そんなっ……はふっ、あふぅうううううううううっ!」

 その、熱くて堅いので突かれ、中を擦り上げられるたびに理性がこそげ取られていくように思える。
 感覚が剥き出しになって、快感のうねりがさらに膨れあがっていく。
 じわり、じわりと頭の中が白くなっていって、何も考えられなくなっていく。

 そんな状態でも、これだけはわかった。 
 今日のそのうねりは、昨日のそれよりも遙かに大きい。
 恐怖すら感じるほどに。
 もし、そんな大きな快感の波が襲ってきたら、自分は……。

 と、次の瞬間、悪魔がひときわ力強く腰を突き上げた。

「そらっ、出すぞっ!」
「はんっ!あっ、ああっ、はぁあああああああああああっ!」

 お腹の中で、何かが爆ぜた。
 子宮の入り口に、熱いものが叩き付けられたと感じた瞬間、フィオナの体が弓なりに反って顎が跳ね上がる。

「あぁあああああああああっ!あうっ……あっ、うぁああああああっ!」

 そのまま、全身をひくひくと痙攣させながら、喉を震わせて絶叫していた。
 さらに何度か、熱湯のようなものが注がれ、そのたびに頭の中が真白になって、プツッ、プツッと、意識が途切れる。
 何度も何度も快感のうねりが襲ってきて、そのたびに体が跳ねるように震えていた。

「はぅっ……ううっ……はああぁ……はんっ!……はぁっ……はぁっ」

 体から力が抜けて腰を落とした拍子にまた小さく喘ぎ、悪魔の腹に両手を突いて、大きく肩で息をするフィオナ。
 涙で潤んだその瞳は、まだ意識が飛んだままなのか、ドロリと曇って、焦点が定まっていない。






「はぁ、はぁ……う……ううん?」

 少しすると、ぐったりと喘いでいたフィオナの目に、ようやく光が戻ってきた。

 私……私は?……んくっ!

 体を動かすと感じた異物感に、まだ、アソコの中に肉棒が挿入されたままなのを感じて短く呻く。
 自分の中のそれは、まだ忌まわしいくらいに堅さを保っていた。

 そうだわ……私……うまくこの悪魔から精気を搾り取ることができたのね……。

 全身を包み込む倦怠感と、まだ、軽く痙攣している下腹部に溜まっている熱が、自分の中に注がれたものの存在を感じさせる。

 く……悪魔の精液が……私の中に……。
 こんな思いを、あと何回したらいいっていうの……。

 とりあえずの目的を果たすことができたというのに、達成感よりも、不快感の方が大きい。
 自分の中に、悪魔の精液が溜まっている。そう思うだけで、おぞましさがこみ上げてくる。




「なかなか良かったぞ、おまえ」
「……え?」

 そこに聞こえてきた声。
 見ると、こちらを見上げながら悪魔は平然としていた。
 まるで、何事もなかったかのように、にやついた笑みを浮かべて。

 ……そうよね、こいつは淫魔なんですもの。
 こいつにとっては、ただ、ひとりの女を犯しただけ。
 たった1回程度で、精気を搾り尽くすなんてできるわけがないわ。

 もとより、フィオナもこれしきで悪魔の精気を全て搾り取れるとは思っていなかった。
 まだ、もっと搾り取らないとこの悪魔は倒せない。

「……まだまだ。もっと、してちょうだい」
「ん?なんだって?」
「もっと……あなたとセックスしたいのよ」

 できる限り、媚びを売るような口調でせがむ。
 本人は男を誘う笑顔を作っているつもりなのだが、もとより、それまで男性経験がなかったのだからその笑みもぎこちない。

「なんだ、そんなに気に入ったのか?」
「……まあ、そういうことよ」

 フィオナの思惑に気付いていないのか、悪魔は満足げな笑みを浮かべたままだった。

「ふん、純潔で誇り高いやつかと思ったら、こいつはとんだ淫乱だな、おい」
「なによ。昨日まではそうだったわ。それをこんなにしたのはあなたじゃないの」

 内心、悪魔の言葉にカチンときていたが、そこは堪えて笑顔を絶やさない。

「だから、ね?いいでしょ?」
「仕方のないやつだな。いいだろう。じゃあ、またおまえからやってみせろよ」
「ありがとう!…………くうんっ!?」

 ゆっくりと腰を持ち上げただけで、背骨が震えるほどの快感が走った。
 踏ん張りが利かなくなって、そのまま腰を落とす。

 次の瞬間、強く中を擦られて、奥にゴツッと当たる感触に、頭の中が真っ白になった。

「あうっ!はううううううううううううううっ!?」

 そのまま、フィオナはビクッと背中を反らせて体を硬直させた。
 さっき、絶頂したのと同じ、大きな快感のうねりが何度も襲ってくる。

「はうぅんっ!?あんっ、どっ、どうしてっ!」
「どうした?」
「さっきよりも感じるっ!なんで!?またっ、私に何かしたの!?」
「ああ?僕は何もしてないぞ」
「だったら、どうして!?」
「やっぱり何も知らないんだな。女の体ってのは、一度イクとさらに敏感になって感じやすくなるんだよ」

 体を悶えさせ、戸惑いの色を隠せないフィオナに対して、悪魔はいかにも楽しそうだった。

「そんなっ!」
「そうなんだよ。でも、このほうが楽しめるだろ」
「でもっ、これっ、激しすぎっ!」
「それがいいんじゃないか。ほら、おまえの中だってすごく熱くなってるぞ。それに、腰を動かしてもないのに、うねりながら僕のにまとわりついて、こんなに欲しがってるじゃないか」
「やだっ!そんなことっ、言わないで!」
「ほら、もっと動けよ」
「わっ、わかったわよ!……くぅうっ!んはぁああああああああああんっ!」

 なんとか体を持ち上げて、もう一度降ろす。
 それだけで、また目の前が真っ白になって、全身を震わせて絶叫する。
 何度も連続で絶頂させられて、息が詰まりそうになる。
 腰がガクガク震えて、力が入らない。

「なんだよ、まさか、動かすたびにイッてるのか?」
「んんっ!んふうぅ……そうみたい……」
「なんだ、随分といやらしい体だな」
「はぁ……はぁ……。それは、あなたがそうさせてるから……」
「おいおい、自分のいやらしさを僕のせいにするのか?まあ、それはいいから、もっと腰を動かせよ」
「……んっ!だめ……体に、力が入らなくて……」
「仕方のないやつだな。じゃあ、僕がやってやるよ。……っと……そらっ」
「くぅんっ!……きゃあっ!?」

 悪魔が体を起こして、反対にフィオナを仰向けに寝かせた。
 その衝撃だけで、フィオナは短く喘いでいた。

「そら、行くぞ」
「んふぅうううううううううっ!?」 

 フィオナの両足をぐいと抱えて、悪魔が力強く腰を打ちつけてきた。
 それまで届かなかった深いところを思い切り突かれて、その体がまた弓なりになった。

 そして、そのまま悪魔は激しく腰を動かし始める。

「あうっ、あああっ、あうぅうん!ふぁああっ!だめっ、それっ、激しっ!あんんんっ、んくうううんっ!」
「もう自分ではできないみたいだからな。これからは僕のペースでやらせてもらうよ」
「そんなっ!?……やっ、あんっ、くくぅううううっ!はうっ、あっ、あはぁっ、はうんっ、あっ、ああああああぁっ!」

 フィオナのことなど構わずに、悪魔はズンズンと早いペースで抽送を繰り返していく。
 しかも、突き入れる動きに合わせて、フィオナの体を引き寄せるようにその両足を抱え込むので、肉棒が奥深くまで一気に入って来る。
 膣の内側を勢いよく擦られて、火がついたように体が熱くなる。

「はううっ、あがっ、んくぅうううううううっ!んっ、はぁっ、あうっ、んふぅううううううっ!あ゛あ゛っ!らめぇっ、私っ、おかしくなるぅうううううううっ!」

 激しい抽送に何度も絶頂して、フィオナは体を弓なりにさせたままガクガクと体を震わせ続ける。
 さっきから、頭の中で火花が弾けっぱなしだった。

 悪魔が腰を捻るような動きを加えると、そのたびにアソコの奥にぶつかる角度が変わる。
 それを繰り返されて、アソコの中をぐちゃぐちゃに掻き回される。
 それだけでなく、頭の中まで掻き回されるような気がして、何も考えられなくなっていく。

 ただただ、体が熱い。
 アソコを擦られて、奥まで突かれて、熱い痺れが全身を支配していく。

「おかしくなってもいいじゃないか。その方がきっと気持ちいいぞ」
「そんなっ!でもっ、それはっ……ああっ、ふぁっ、あっ、ひぃぐぅううううううううううううううううっ!」

 勢いよく突き入れられた肉棒の先が、子宮の入り口近くの敏感な部分を突いた瞬間、目の前の全てが真っ白に染まった。
 仰け反ったまま体が硬直し、そのまま、意識が遠のいていく。

 それでも、悪魔は抽送を止めない。

「はがっ、あ゛う゛っ、あ゛あ゛っ!んっ、ん゛ふぅっ、う゛ぁあっ……!」

 完全に光を失い、焦点の合わない目を見開いたままで、濁った呻き声を上げるフィオナ。
 体は弛緩し、悪魔に犯されるままになっていた。

 そんな姿を、冷ややかな笑みを浮かべて見下ろしながら、悪魔はなおもフィオナを犯し続けたのだった。






* * *







「……う……うう」

 小さく呻いて、フィオナの目が開いた。

 ……私?……くううっ!

 全身に、異様な倦怠感を感じる。

 そうだわ……私は、悪魔の精気を搾り取るために……。
 私、途中で気を失ってしまったの?

 悪魔の精液を、一度は搾り取ったところまでは覚えている。
 だが、その後、もう一度搾り取ろうとしてからの記憶がほとんどない。

 自分がどのくらい意識を失っていたのかも全くわからない。

 あの悪魔はどこ?
 私は、あいつから精気を搾り取らないと……。

 まだ、自分は正気を失っていない。
 自分の使命も、しっかりと覚えている……。
 あの悪魔の手には、まだ堕ちてない。




「んっ、んむっ、んふ、あふっ、じゅるる……」




 と、フィオナの耳にくぐもった声と湿った音が飛び込んできた。

 その方向に目を遣ると、まず飛び込んできたのはあの悪魔の姿。
 そしてその足元には……。

「……ニナ!?」

 そこには、ニナが跪いて、あろう事か悪魔の肉棒を口に咥えていた。
 その姿に、フィオナは愕然とする。

「どうだ?美味いか?」
「ん、んふ……ふぁいぃ……おいひい……れす……。んむ、んぐ、んっ、ちゅるっ……」

 ニナの瞳は、相変わらず光を失って虚ろなままだ。
 だが、その頬は紅潮し、ボソボソと、抑揚のない声で悪魔に返事を返した時に、僅かだがその目を細めて笑みを浮かべた。

 彼女が、悪魔の手に堕ちようとしているのは、フィオナの目にも明らかだった。



「ちょっと!やめなさいっ!」

 思わず大きな声を上げると、フィオナは悪魔の方に這い寄っていく。
 全身に鉛が入っているかのように重たく感じるが、そんなことには構っていられなかった。

 すると、悪魔がこちらに顔を向けた。

「なんだ?やっと目が覚めたのか?」
「あなたっ!何をしてるのよ!?」
「何って、おまえがなかなか起きないから、その間、この娘で楽しんでいたんじゃないか」
「何を言ってるのよ!あなたの相手は私でしょ!私があなたの相手をするから、その子には手を出さないんじゃないの!?」
「あの時はな。でも、ずっと手を出さないとは言ってないぞ」
「そんなっ!」
「でも、それはおまえが悪いんだぞ。おまえがずっと僕の相手をしていれば、こいつに相手をさせる必要はないんだからな」
「だったら、私が相手をするわ!すぐにこの子と代わりなさいよ!……ニナ、あなたはこんなことしなくていいのよ」
「んっ……ふあ、あ……あう、うー……」

 フィオナがニナの体を抱いて、悪魔の肉棒をしゃぶるのを止めさせる。
 それでも、なおも肉棒に向かって舌を伸ばそうとするニナの上げる声に、どこか名残惜しそうな響きがあるように感じられるのが、フィオナの胸を締めつける。

「ふーん、じゃあ、おまえが代わりに口でやるんだな」
「……えっ?」
「たった今見てただろうが。おまえの口で僕を満足させるんだよ」
「そんなっ!こんなものを……舐めろって言うの!?」
「おいおい、こんなものってのはご挨拶だな。おまえだって、こいつを下の口に入れてさんざんよがってたじゃないか」
「……っ!それはっ……だからって……」
「まあ、おまえができないって言うんなら、やっぱりその娘に……」
「やるわよ!私がするから、ニナには手を出さないで!」
「ふん、まあいいか。……おい、おまえはそっちに退いてろ」
「……はい」

 悪魔が命令すると、ニナは虚ろな表情のまま返事をして素直に従う。
 その姿が、フィオナの胸にいっそう深く突き刺さる。

「じゃあ、始めろよ」
「……くっ」

 目の前に突き出された肉棒を、フィオナは眉をひそめて見つめていた。

「どうした?できないのか?」
「……やるわよ。……ぺろ……うぅ!」

 チロッと舌先で触れて、フィオナは顔を顰めた。
 饐えたような味だし、ひどい臭いも鼻をつく。

「ほら、早くしろよ」
「うっ……わかったわよ。……ちろ、ぺろ」

 促されて、再び醜い肉の竿の先に舌を伸ばす。

「ぺろ、れろ……うぅ……えろ、ちろ……」

 顔を顰めたままで、恐る恐る舌先を這わせていく。

「なんだよ。そんなんじゃ全然気持ちよくないぞ。もうちょっとしっかり舐めろよ」
「……くっ!……ぺろろ、れろぉ」
「そうそう。もっと舌を絡めて」
「わかったわよ……えろろ、ぺろ……んふ……べろぉ、れるっ……」

 こんなものを舐めさせられるなんて、屈辱以外の何ものでもない。
 その味も、臭いも、ヌルッとした感触も、全てが不快だった。
 それでも、悪魔の言葉に従うしかなかった。

「ぺろ、ぴちゃ……ん、ちろろ、べろ、えろっ……」
「うんうん、なかなかいいじゃないか。じゃあ、今度は口の中に咥えてもらおうかな」
「くっ!……ん、んぐっ!?ぐ、ぐむむ……んくっ、えほっ……」

 気が進まないが、言われたとおりに肉棒を口に咥える。
 充満するその臭気に、思わず、小さく噎せた。
 口の中のそれは、熱く脈打っているみたいだった。

「なんだなんだ?ちゃんとやれよ」
「わはっへふわよ。んぐ……ぐ、ぐむむ、ぐふ……」
「違う違う。口の中でも、もっと舌を使うんだよ」
「ぐっ……んふ、んむ、れる、んふ……あふ、じゅる、んむ……」
「うん、まだまだ下手くそだな」
「んぐっ、んむ、れろっ……んふぅ、ぴちゃ、じゅるる……」

 なに勝手なことを言ってるのよ。
 やったことないんだから、下手に決まってるわよ。
 だいいち、本当ならこんなことしたくもないのに。

 肉棒を咥えている自分を、好き勝手に論評している悪魔を上目遣いに睨みつける。
 こんなことをしていても、不快な思いがこみ上げてくるだけだ。
 悪魔を睨みながら、フィオナはたどたどしく舌を動かし続ける。

「口が小さいせいかな?下手は下手なりに、それなりに気持ちよくなってくるもんだな」
「んふ、れるっ、えろろっ……んじゅっ!?」

 口の中の肉棒の先から、なにかドロリとしたものが泌み出てきた気がして、フィオナは目を白黒させる。

「じゅじゅっ?……あふ、じゅむ、ぐむうぅ」

 やはり、気のせいではなかった。
 滑りのある、粘っこい液体が舌に絡みついてくる。
 鼻で息をすると、さっきまでものとはまた違う、青臭い臭いが通り抜けていく。
 その感触と臭いが気持ち悪くて、フィオナはまた顔を顰める。

 と、彼女の頭を悪魔が両手で押さえつけた。

「ぐむむむむっ!?」
「やっぱり、少し刺激が足りないからな。後は僕の方でやらせてもらうよ」
「ぐむっ!?ぐふっ、んぐぐっ、ぐぐっ、ぐふっ!」

 両手でフィオナの頭を抱えて、前後に動かす。
 喉の奥を突かれて、苦しそうな呻き声が上がった。

「ぐふっ、げふっ、んぐっ、ぐぐぐぅっ!」

 喉を突かれるたびに、嘔吐きそうになる。
 あまりの苦しさに、フィオナは涙目になっていた。

「こんな感じで、もう少し口をすぼめて、わかったか?じゃあ、そのまま続けるんだ」
「んぐぐぐっ!?ぐむっ、ぐぐっ、ぐふっ、んっく!?」

 やだっ?どうして!?

 悪魔が手を離したのに、フィオナは自分から頭を振って肉棒を扱いていた。
 もちろん、彼女にはそんなつもりはない。
 苦しくてしかたがないのに、動きを止めることができない。

 ……これはっ!?こいつがさせてるのね!

 言うことを聞かない体に、フィオナはそう悟った。
 自分の体は、感覚も含めてこの悪魔の思いのままだ。
 このくらいのことはお手の物のはずだった。

「ぐくっ、ぐむっ、んっく、くふっ、ごふっ!」

 ゴツゴツと、喉の奥に肉棒の先が当たるたびに、苦しさがこみ上げてくる。
 あまりの苦しさと不快感に、フィオナは顔を顰める。
 しかし、どんなに顔を顰めても、自分から頭を振るのは止められない。
 こんなことはやりたくもないのに、口が勝手に肉棒を咥え込んで、規則正しいリズムで扱いていく。

 次第に、熱い肉棒の先から滲み出てくる汁で、口の中がドロドロになってくる。
 それどころか、さっきからビクッと口の中で跳ねるように震えていた。

「ぐふっ、じゅるっ、んぐむむっ、ぐくぅっ、ぐくぅっ!」
「うん、いい感じだよ。じゃあ、そろそろ出させてもらおうかな」
「ぐぐぐっ?」

 降りかかってくる悪魔の言葉に、フィオナは目を見開いた。

 出す?
 出すって、私の口の中に?

「ぐむむむーっ!ぐっ、ぐふっ、んぐぐっ!」

 せめてもの抵抗に呻き声を絞り出すが、肉棒を口で扱く動きは止まらない。
 口いっぱいに膨らんだそれは、さっきからヒクヒクと震えっぱなしだ。

「よしっ、じゃあ、出すぞっ!」
「ぐくっ!ぐむむむふぅうううううううううっ!」

 悪魔が、またフィオナの頭を押さえつけた瞬間、喉の奥に熱く滾る汁が大量に叩き付けられた。
 それまで滲み出ていたものとは、比べものにならない量だった。

「ぐふっ、んっ、んぐっ!?こくっ、んくっ!」

 放出された、固形に近いほどの粘着質の液体を、フィオナは喉を鳴らして嚥下していく。
 もちろん、それも彼女の意志ではない。
 吐き出したいのに、喉が勝手に飲み込んでいく。

「こくっ、くっ、こきゅっ…………えほっ、けほっ、げほっ、ごほごほっ!」

 中に出された精液をあらかた飲み下した後で、ようやく体が自由になってフィオナは激しく咳き込んだ。
 気管に僅かに入り込んでいた精液が、ポタリと床に零れ落ちる。
 息をすると、なんとも言えない青臭い味と臭いが舌に残る。

「ごほっ、こほっ、けほっ、けほっ!」
「どうした?苦しそうだな」
「あっ、当たり前じゃないの!」
「おいおい、そんなに怖い顔するなよ。せっかくなんだから、お互い楽しもうじゃないか」
「こんなのを口に入れられて、中に出されてっ、そんなのが楽しいわけないでしょ!」
「そうか?そのうち、クセになるかもしれないぞ」
「そんなのっ、なるわけがないわ!」
「そうか。まあ、今は上の口でやるよりも下の口でやる方がいいみたいだな」
「誰もそんなことは言ってないじゃない!」
「でも、おまえはそのためにあの娘の代わりをしてるんだろ」
「そ、それはそうだけど……」

 たしかに、ニナをこの悪魔から守るためもある。
 だが、本当はその精気を搾り尽くして倒すため。
 だからといって、あんなものを咥えさせられるのは屈辱以外の何ものでもない。

「だったら、続きをしようじゃないか」
「続き?」
「ああ。口でするのがお気に召さなかったのなら、おまえのお気に入りの、下の方の相手をしてやるよ」
「つまり、私とセックスをしようっていうのね」
「ん?嫌なのか?」
「……くっ」

 唇を噛んで、どうにか自分を落ち着かせようとする。
 いちいち癇に障る言い方をしてくる相手に、ムキになって自分を見失っても何も得なことはない。

 それに、考えようによってはこれでよかったのかもしれないわね……。

 不快な思いはしたが、とりあえず1回は悪魔に精気を出させたことになる。
 あの苦しみを自分が我慢しさえすれば、このやり方は、悪魔から精気を搾り取る手段として使えるかもしれない。
 そう考えると、自分の受けた屈辱も多少は慰められる思いがする。

 ……そうよ。
 私は、自分の果たすべき役割に集中しないと。

「……いいえ。嫌じゃないわよ」

 そう言うと、フィオナは立ち上がって悪魔の首に腕を絡める。
 慣れない仕草で、できる限り媚びを売るような笑みを浮かべて。

「ふ、本当におかしな奴だな、おまえは。嫌がっていたかと思ったら、急に積極的になりやがって」
「それは、さっきのは苦しかったけど、あなたとのセックスは気持ちいいもの」
「じゃあ、準備はできてるんだな?」

 そう言うと、悪魔はフィオナの股間に手を伸ばした。

「きゃあっ!?」
「なんだ?全然濡れてないじゃないか」
「当たり前じゃない!だって、まだ何もしてないし……」
「何もしてないことはないだろう。さっき、その口を犯してやったっていうのにな」
「だって、あんなの苦しいばかりだったから、その気になれるわけないじゃない!」
「そうか?本当に僕とやる気があるのなら、あれで十分その気になれると思うけどな」
「そんなこと……」
「なんだったら、証拠を見せてやろうか?」
「……え?」

 悪魔が、怪訝そうな表情浮かべているフィオナから、脇に座り込んでいたニナに視線を移した。

「おい、足を広げて僕らの方に見せてみろ」
「……はい」

 無表情のままで、ニナがふたりに向けてゆっくりと足を広げていく。

「……あっ!」

 短く叫んだまま、フィオナはショックを隠せないでいた。 

 さらけ出されたニナの秘裂からは、それとわかるほどに蜜が溢れてきているのがはっきりと見えた。

「ほら、あいつなんか、僕のをしゃぶっただけであんなに濡れてるんだぞ。本当に僕とやる気があるんだったら、何もしなくても濡れてるくらいじゃないとな」
「そんな……私にいつも発情してるような女になれというの!?」
「なに、簡単なことさ。身も心も僕のものになってしまえば、僕のことを考えただけで発情するようにしてやる」
「……なっ!」
「おまえ、無理に笑顔を作っているみたいだけど、どうせ僕とやりたいなんてのは本心じゃないんだろ?つまらない意地を張って苦しむくらいなら、僕に屈してしまえよ。そうしたら、心の底から僕とやりたくなるさ。そして、この森の全てを、おまえの仲間たちを僕に差し出せばいい」
「そんなことっ、できるわけないじゃない!」

 それには、さすがにフィオナの血相が変わった。
 本当は嫌なのに、やむを得ず悪魔の相手をしていたことを見透かされていたからではない。
 悪魔の言ったことが神経を逆撫でして、ムキにならざるを得なかった。

 安い挑発だということはわかっている。
 しかし、いけしゃあしゃあとそんなことを言われては、平静など保っていられなかった。
 自分がこうやって己の身を穢しているのは、仲間たちを悪魔から守るため。
 そして、この悪魔を倒すために、自分の身を委ねさせているというのに。
 こいつに屈して、仲間を悪魔に差し出すなんて……そんなことは絶対にできない。

 それなのに、悪魔は相変わらずにやついたままだった。
 怒りに唇を震わせているフィオナの表情すら楽しんでいるかのように、余裕の態度を崩そうとしない。

「へぇ、やっぱりね」
「私はっ……皆を守るためにあなたの相手をしているのだからっ!だから……だから私はもういいの。私はもう、どれだけ穢されても構わない。でも、その代わりに森の皆には手を出さないで!」
「ふぅん、なかなか頑張るもんだね。だったら、せいぜい僕を楽しませるんだな。他の奴に手を出そうなんて気を、僕に起こさせないくらいに」
「そんなのっ、わかってるわよ」
「本当にわかってるのか?だったらどうするんだよ?このままやっても、どうせおまえは痛がるだけだろうが」

 そう言われて、一瞬言葉に詰まる。
 だが、どのみち彼女には選択肢はなかった。

「うぅ…………また、私の感覚を操ったらいいじゃない。痛みを感じないように。そして、快感を感じるように」

 本当は、自分からそんなことを言うのすら憚られた。
 だが、現実問題として、そうする以外に方法はない。

 今、目の前にいる悪魔に対して、自分は嫌悪と憎しみ以外の感情を持てない。
 そんな相手に、欲情するはずがなかった。
 ましてや、巫女として、ずっと清いままで生きてきた彼女の純潔を、陵辱によって奪った相手に。

 しかし、精気を搾り取るためにその相手をしないといけない以上、不本意だが、自分が快感を感じるように頼むしかなかった。

「ふん、手のかかる奴だな。でもまあ、いいだろう」
「うぅっ……!」

 悪魔の金色の瞳が輝いて、フィオナの目を捉えた。
 一瞬、手足の先まで痺れて、息が詰まる。

「よし、いいぞ」
「あうっ!?ひゃぅううううん!?」

 腕を掴まれただけでゾクゾクと快感が走って、フィオナは戸惑いの悲鳴を上げる。

「今日は大サービスだ。僕に触られただけで、快感を感じるようにもしてやったぞ」
「だから、余計なことはしなくていいって言ってるでしょ!……きゃああああああああっ!」

 悪魔に抱きすくめられると、一気に快感が弾ける。
 全身が敏感になっていて、訳がわからないくらいに熱くなってくる。

「でも、こうした方が手間が省けていいだろ?……ほら、もうこんなに湿ってきてるじゃないか」
「はうっ!そこはっ、だめぇええええええええええっ!」

 指先で裂け目をなぞられて、ヒクヒクと体を震わせる。
 ただでさえ、全身が性感帯のようになっているところに、もともと敏感なところを触られたのだからひとたまりもなかった。

「なんだ、もうイッたのか?……ん、どうした?足をもぞもぞさせて?」
「あ……あふっ、だめ……体、熱くて……アソコが疼いて……」

 体が熱くて、頭がぼうっとする。
 さっきので軽く絶頂したはずなのに、アソコがじんじんと疼いて、勝手にふとももが動いてしまう。

「ふんふん、体は大分いやらしくなってるみたいだな。じゃあ、僕のを入れて欲しいか?」
「早く……お願い、早く来て……」

 それは、ある意味本心だった。
 触られただけで絶頂していたのでは、自分のイキ損だ。
 中に入れさせて精液を出させないと、自分が今、こうしている意味がない。

「そうだな……じゃあ、こっちへ来るんだ」
「あうっ!?」

 腕を掴んで壁際に連れて行くと、後ろ向きにさせて両手を壁につかせる。
 そうしてから、悪魔は背後からフィオナの腰を掴んだ。

「今日はこの姿勢でやってやるよ」

 そう宣言すると、悪魔はしとどに濡れた裂け目に肉棒を宛がった。

「ううっ、はううううううううううんっ!」

 あの、体を引き裂きそうなほどに堅くて太いものがアソコの中に入ってくる感覚。
 それが、今回は全く痛みを感じなかった。
 そればかりか、背筋がビリビリくる快感に、目の前で光が弾けて、体がきゅうっと固まる。
 肉を掻き分けて入って来るそれに、自分の襞がまとわりついていくのがわかる。

「ふっ、すごい歓迎だな?また、イッたのか?」
「んふうぅうううっ!だってっ、こんなのっ、すごすぎてっ!ふぁああああああっ!」
「いい反応するじゃないか。このまま、僕のものになってくれたら楽なんだけどな」
「誰があなたのものなんかにっ!んんんんっ!」
「でも、そんなにいやらしく腰をくねらせて、相当気持ちよさそうだぞ?」
「今だけよっ!今だけはっ、気持ちよくさせてもいいから!はぅううん!」
「ふっ、今だけね……。じゃあ、もっと気持ちよくさせてやるよ」

 そう言うと、悪魔が腰を動かし始める。
 中を掻き回され、ズンズンと奥を突かれて、あっという間に全身が快感に染め上げられていく。

「あうっ、ああっ、はうんっ、んくうっ……あんっ、ふぁあああっ、そこぉっ!」

 奥の、敏感な部分に当たって、フィオナは顎を仰け反らせて喘ぐ。

 その時、頭の中に声が響いた。

(ソナタ、マサカ快楽ニ溺レテイルノデハナカロウナ?)
「はうううっ!?だっ、大丈夫ですううぅ!?」

 世界樹の言葉に、フィオナは慌てて返事を返していた。

「ん?何が大丈夫なんだ?」

 と、その言葉を、悪魔が聞き咎める。

「それはっ……この分だったらっ、今日は大丈夫そうだって思ったのよっ!もっと、楽しめそうだってね!んんんんっ!」
「なんか、誰か他の奴に向かって言ってるみたいだったけどな」
「くうううっ!気っ、気のせいよ!」
「そうか?まあいいか。まだ大丈夫なんだったら、もっと激しくしてもいいよな」
「ふええええええっ!?あううううっ!あんっ、いぁあああああああああっ!」

 悪魔がグラインドを大きくして、一気に奥まで突き入れる。
 その、ひと突きごとに、絶頂に持って行かれそうなくらいの快感が襲ってくる。

(ウム、ソナタガ喜ンデイルヨウニ見エタガ、我ノ気ノセイデアッタカ)
「くふぅううううっ!ふぁいいっ!まだっ、大丈夫ですっ!」
「んっ、なんか言ったか?」
「だからっ、まだまだこの程度なら大丈夫だって言うのよ!んはぁああああああああんっ!」

 飛びそうになる意識を、歯を食いしばって保ちながら強がりを言って、世界樹への返事をカムフラージュする。

(ソレナラヨイ。ダガ、油断スルナ、巫女ヨ)
「はいいいいいぃ!あうっ、はうぅんんんんんっ!」

 押し寄せる快感の波に、何度も体をひくつかせながらフィオナは世界樹の声に応える。

 大丈夫……私は、快楽には溺れていない。
 この悪魔の手には、堕ちない!

 実際、これだけの快感を与え続けられながら、それを全く楽しいとは感じられない。
 こうされていても、悪魔への嫌悪と屈辱が募っていくばかりで、相手への愛おしさなど微塵も湧いてこない。
 だから、自分は大丈夫。

 バックから犯され続ける快感に、半ば朦朧としながら、フィオナはそんなことを考えていた。

 
 


 

 

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