黄金の日々


 

 

第1部 第5話 リディア


 部屋のドアをノックする音が聞こえた。

 わたしは、読んでいた魔導書から顔を上げる。
 誰が来たのかわからないけれど、やっぱり人と顔を合わせるのは気が重い。でも、そう言ってもいられない。

 わたしは、指を鳴らして、魔法でドアを開ける。
 ドアの向こうからおずおずと顔を出したのは、ピュラ様の秘書官だ。

「リディア様。ピュラ様がお呼びです。頼みたいことがあるので、執務室まで来るようにとのことです」

 秘書官の言葉に、わたしは黙って頷く。そして、読んでいた魔導書を閉じると立ち上がった。




 本当は、今のままじゃいけないのに。

 ピュラ様の部屋に向かいながら、わたしはそんなことを考えていた。
 さっきの秘書官も、いつも顔を合わせているのに、どうしてもあんな態度になってしまう
 ピュラ様やクラウディア様に接するように、他のみんなと接することができたら。
 本当は、自分から打ち解けなくてはいけない。そんなことはわかっていた。
 昔と比べたら、今の生活は本当に幸せなのに。もっとたくさんの人と仲良くできたらいいのに。

 でも、やっぱり怖い……。




* * *






 ピュラ様の部屋の前に立ちドアをノックする。
 しかし、中からの返事はない。

 どうしたのかしら?

 いつもなら、すぐにピュラ様の声が聞こえるのに。

 席を外しているのかしら?でも、わたしを呼んだのはピュラ様の方だし。

 わたしは、ドアを開けた。

 中に入って目に飛び込んできたのは、見知らぬ男の姿。わたしは思わず立ちすくむ。自分の顔が強ばっているのが自分でもわかった。

 そして。あっ!

 男の足下に倒れているのは、ピュラ様!そして、最近使い魔にした、エミリアという名の黒猫も!
 そのとき、ピュラ様が弱々しく頭を上げた。

「だめ、早く逃げなさい、リディア。きゃああっ!」
「黙れ」

 わたしに向かってそう言ったピュラ様の頭を、男が踏みつける。

「!!」

 その瞬間、わたしの全身の血が沸騰したような気がした。




* * *






 気付くと、ここはわたしの精神世界。

 わたし、無意識のうちに力を発動させたんだ。そして、わたしの目の前にはきょろきょろと周囲を見回すひとりの男。

 この男は!
 ピュラ様を傷つけた男。この男は、赦せない!

 わたしの中にさっきの怒りが再び燃え上がる。

「貴様!」

 わたしが叫ぶと、ようやくわたしに気付いた男が、こちらに歩み寄ろうとする。

「動くな!」

 わたしの声に、男の動きがぴたりと止まる。そうだ、ここではすべてがわたしの思うままになる。

「な、これは!?」

 うろたえている男に向かって、わたしは高らかに宣言する。

「ここは、わたしの心の中の世界、わたしだけの王国。だから、ここではすべてがわたしの思うままなのよ!」

 まずは、この男の体の自由を奪わないと。

 わたしは、蔓を呼びだして男を縛り上げる。

「う、うわっ!」

 無様に吊り下げられる男。蔓を解こうともがいているが、そんなことができるわけがない。

「ピュラ様を襲うなんて、赦さないわ!」

 そうよ。この男は絶対に赦せない。ピュラ様を襲い、わたしの幸せを奪おうとしたこの男は。
 そう考えると、体中の血が煮えたぎるように熱くなる。
 だから、この男はここでわたしが処刑してやる。

「さあ、どうしてくれようかしら。こうして、このまま絞め殺して欲しい?」
「ぐああああっ!」

 蔓を操って首を絞めあげると、男の顔が苦しみに歪む。

 ふふふ、いいザマね。でも、こんなものでは済まさないわ。

「それとも」

 わたしは、もう1本蔓を呼び出す。そして、それを真っ直ぐに男の肩に突き刺した。

「ぐふっ!」

 男の肩から血が流れ出し、痛みに悶える。

「こうして、1本ずつ体を串刺しにされるのがいいかしら?」

 そう。この男はそのぐらいされて当然。

「それとも、そのままわたしの魔法の的にしてあげましょうか?」

 わたしは男に指を突きつけ、死刑宣告を行う。

「いいこと。ここにいるのはあなたの精神体だけど、この世界で精神体が死ねば、現実のあなたの体も死ぬことになるのよ」

 この男にはもう何もできない。ただ、わたしの処刑を待つだけ。だけど、その前にもっと苦しめてやらないとわたしの気が済まない。

「ピュラ様に害をなす者は、このわたしが決して赦さないわ!」

 そうよ。決して赦さない、赦すものか!
 わたしは、蔓を操って男を打ち据える。

「くうっ!」

 男の顔が苦痛に歪む。
 その表情を見ると、気持ちが高ぶってくる。

「さあ、自分のしたことの愚かさを思い知りなさい!」

 わたしは、もう一度男を蔓で打つ。そして、続けてもう一度。

 赦さない、赦さない、赦さない。この男は決して赦さない。

 何度も何度も、わたしは男を蔓で打ち据え続けた。
 次第に、怒りに混じって、ぞくぞくと喜びがわき上がってくる。

 喜び?そうだわ。ピュラ様を傷つけたこの男を罰する。それはこの以上ない喜び。
 でも、この男を殺す前に、その目的くらいは聞いておかなくては。

「さあ、どうしてピュラ様を襲ったの?おまえの狙いは何なの?」

 だが、男はそれには答えず、むしろ、この状況で笑みすら浮かべる。

 なに?この期に及んでまだわたしを馬鹿にする気?

「くっ、くっくっくっ。ぐふっ!」

 わたしがもう1本蔓を男に突き刺す。苦しげに呻きながらも、その口許の笑いは消えない。

 こいつ、どこまで馬鹿にする気なの!?

「な、何がおかしいの!?」
「ふ、ふふふ。ぐはっ!」

 こいつ!こいつ!こいつ!こいつ!

 わたしは、怒りにまかせて男を蔓で打ち続ける。並の人間なら、とうに参っているはずなのに、それでも男の顔から笑みは消えない。

「そ、その、気味の悪い笑いを止めなさい!でないと本当に殺すわよ!」
「がはっ!ぐふっ!ぐっ!」

 こんなやつ!どうせどうすることもできないくせに!

 わたしは、ひたすら男を打ち据え続ける。

 さすがにこのままでは本当に死んでしまうわね。

 わたしは、蔓で打つのを緩め、もう一度問い質す。

「答えなさい!おまえは何者なの!?」
「いや失礼。そういえば、自己紹介がまだだったね。僕の名はシトリー。悪魔だよ」

 ボロボロの状態で、平然と言い放ったその言葉に、わたしは自分の耳を疑った。

「あ、悪魔ですって!?」
「ああ、そうだ。もっとも、きみたち魔導師に召喚されるようなちゃちな奴らとは違って、僕は上級悪魔だ。だから、この程度のことで死ぬとでも思うのか?」

 そうだった。こいつは、ピュラ様を倒したやつだ。ただ者であるはずがない。
 まさか、悪魔だったとは。

 しかし。

 こんなに簡単に正体を明かすとは、やはりそんなに大したやつじゃない。だいいち、こうして体を縛られた状態で何ができる?
 上級悪魔かどうかはともかく、相手が人間でないならないで、対処のしようはある。

「そうか、上級悪魔か。だったら、その存在ごと滅してやる」
「なんだと!?」
「言っただろう。この世界はわたしの王国。すべてはわたしの思い通りになる、と。それは時の流れとて同じこと。この世界では、現実世界で10分経つ間に、おまえだけ100年の時を進めることができる。いくら上級悪魔といえども、5000年も時間を進めれば滅してしまうのではないか?それとも、同じだけ時間を遡らせると、おまえの存在自体がなかったことになるかもしれないな」

 そう。この世界はわたしの思うままになる。任意の対象の時間を操ることすらも。
 ただ、それではこいつが苦しんで死ぬところを見ることができないのが残念だけど、相手が悪魔なのではしょうがない。

 そんなことをわたしが考えていると、目の前で、悪魔を縛っていた蔓が解けた。

「なに!?なぜ勝手に蔓が?」

 わたしは何もしていない。この世界で、わたしの意志に反したことが起こるなんて?

「動くな!」

 呆然としていたわたしに、悪魔が気合いと共に言い放つ。

「なっ、どうして?」

 体が動かない。こんな、こんなことあり得ないのに。

 身動きがとれずにいるわたしの姿を眺めながら、悪魔は余裕の表情を浮かべた。

 そして、悪魔の周囲から、蔓がゆっくりと立ち上がり、ゆらゆらと揺れる。
 それを見て、満足そうに頷く悪魔。そして、蔓が一斉に襲いかかってきてわたしを縛り上げ、吊り下げた。

「ど、どういうことなの!?」

 この世界が、わたしの王国が、悪魔に意志に従って動いている。そんなこと信じられない。信じられるわけがない。

「言っただろう。僕は上級悪魔だって。ましてや、おまえの師匠の魔導長を倒したんだからな。おまえなんかの術が通じるわけがないだろう」

 それは関係ない!わたしのこの力は、魔法ではなく特殊能力みたいなものだってピュラ様が言っていた。だから、わたしにしか使えないって。だから、それが通じないなんてあるわけがない。

「そ、そんなはずは!?」
「だったら、きみの力で、今の状況をなんとかしてみたらどうなんだい?」

 そんなことはさっきからやっている。しかし、蔓は私の言うことを聞いてくれない。
 蔓を解こうと必死にもがくわたしの前で、さらに信じがたいことが起こる。

 さっき、わたしに傷つけられ、ボロボロになった悪魔の体の傷がみるみる癒え、ローブが元通りになっていく。

「さあ、これで形勢逆転だ」

 悪魔が、にやつきながら一歩踏み出した。

 さっきの復讐をされる!

 そう考えると、恐怖がこみ上げてくる。

「なっ、何をする気なの!?」
「おやおや、さっきまでの元気はどこに行ったのかな?心配しなくても、僕はきみみたいに暴力的な行為は好きじゃないからね。なに、こういうことをするのさ」

 下から、新たに数本の蔓が伸びてきて、わたしのローブを引き裂く。

「くっ、なんて卑劣な真似を!」

 ローブをすべて引き裂かれ、肌をさらけ出すわたし。
 それでも、悪魔を睨み付けてそう罵る。

「うん?きみがさっきまでしていたことは卑劣ではないのかい?」

 そう言って肩をすくめる悪魔。
 その態度のわざとらしさに、わたしが悪魔を睨み続けていると。

 え?

 ふとももに、何かが当たる感触。
 気付くと、1本の蔓が、わたしのアソコを覆う布を引き剥がそうとしていた。

「いやああっ、そこはっ、だめえっ!」

 しかし、わたしの必死の抵抗も虚しく、あっさりと布を剥ぎ取られてしまう。

 わたしは、あられもない姿で悪魔の前に吊り下げられる。

 こんな、こんな屈辱!

 わたしは、精一杯悪魔を睨み付ける。

「こ、こんなことをして、ただで済むと!ああっ!いやああああっ!」

 だが、次の瞬間蔓が一斉に襲いかかってきた。 

「いやあっ、こんなの、気持ちわるいっ!やめて、やめてえっ!」

 たくさんの蔓がわたしの体に巻き付いてくる。
 わたしの胸に、ふとももに、腰に、蔓が巻き付いて蠢く、その、おぞましい感触。

 悪魔はわたしを見上げながらにやついていた。
 体中を蔓が這い回る感触が、吐き気がするほどに気持ち悪い。

「いやああっ、やめてええっ!気持ちわるいっ!こんなの、いやああああっ!」

 あまりのおぞましさに、髪を振り乱しながら喚く。
 しかし、その時。

「えっ?いやっ、なに?」

 なにか、ぞくぞくとする感覚がわき上がってきた。

「いやっ、なにっ、この感じは?いったい、どういうことなのっ?ああっ、いあああああっ!」

 体中を這いずる蔓の動きが激しくなり、その感触が、このぞくぞくする感じを膨れ上がらせていく。

 こんなのいやっ!いやだけど、この感じ、いやじゃない。こんなことされて、そんなわけないのに。
 さっきまでのおぞましさは全く感じない。でも、この感覚のことを口にしてはだめ。

 だけど。

「はああああっ!こんなのっ、絶対におかしいのにっ!なんでっ!?ああっ、気持ちっ、気持ちいいよううっ!」

 そう。気持ちいい。そんなはずないのに。

 でも、この気持ちいい感覚が、どんどん膨れ上がっていく。

 んっ!

 胸に巻き付いていた蔓が、乳首をきゅっと絞る。

 あうっ!

 腰に、お腹に、ふとももに巻き付いた蔓が肌と擦れて気持ちいい。
 もう、気持ちよすぎて、何がなんだかわからなくなる。でもだめ。気持ちいいのに飲まれてはだめ。

「いやああっ!らめえっ、もうっ、やめれえええっ!」

 わたしは、必死に抵抗する。もう、舌がうまく動かない。
 なんだか、アソコのあたりが生温かい。わたし、おもらししちゃってる……。
 悔しくて、恥ずかしくて、涙がこぼれてくる。それでも、気持ちいいのが止まらない。

「らめええっ、こんなの、らめなのに、きもち、いいいいぃっ!」

 そうじゃない。感じちゃだめ。抵抗しないと、こんなのに負けたらいけないのに。

「あああああっ!いあああああっ、らめええええっ!」

 自分の体がビクビクッ、て跳ねてる。
 全身が痺れて、自分の体じゃないみたい。
 気持ちいいのが当たり前になって、気持ちいいのかそうでないのかもわからない。

 あ、何かがわたしのアソコのあたりを這ってる……。

「ひぐうっ!あがああああああっ!」

 頭の中で何かが弾けた。今何をされたのか、それもわからない。

「あ、がっ、が、あああぁ」

 これは、わたしの声?

 頭の中が真っ白になって、何もわからない。
 体中がふわふわしてる。

 そうか、気持ちいいのが振り切れてしまったんだ。

 あの悪魔のせいで。
 わたしは、戦わないといけないのに。あの悪魔に負けたらだめなのに……。




「きゃあああ!」

 いきなり、目の前で火花が散る。強い衝撃が頭に響く。
 でも、そのショックでいっぺんに目が覚める。

 気が付けば、吊り下げられていた体が降ろされ、すぐ目の前に驚いたような悪魔の顔があった。

「なにっ!?いったい、なにを、したのっ!?」

 わたしは、悪魔を睨みつける。
 激しい運動をした後のように息苦しい。でも、頭ははっきりしている。
 しかし悪魔は吃驚したようにわたしを見つめるだけで、答えようとしない。

 これは、チャンスかもしれない。

「離しなさい!離しなさいったら!この卑劣な悪魔が!」

 蔓を操ろうとしても、やっぱり反応がない。
 仕方なく、なんとかいましめを解こうともがく。それでも蔓は解けない。

 そうこうしているうちに、余裕を取り戻した悪魔がにやつく。

「えっ?」

 突然、蔓がすべて解けた。

 どうして?ひょっとして、元に戻ったの?

 さっき、悪魔の身に同じようなことが起こったのを思い出した。
 もしかしたら、この世界を支配する力がわたしに戻ったのかもしれない。
 しかし、そんなことを考えていられたのも僅かな間のことだった。

「ええっ!?いやっ、なんなの!?」

 わたしの手が勝手に動き、左手が胸に、右手がアソコに伸びる。

「やっ、どうして?やめっ、やめなさいっ!あ、あああっ!」

 こんなことをしてはだめ。お願い止まって、わたしの手。

 そんなわたしの思いも虚しく、右手の指がアソコの中に入っていく。

 いやだ、こんなにぐしょぐしょになってる。
 さっき、おもらししちゃったからだ。

 にやつきながらわたしを見ている悪魔の視線に耐えきれず、わたしは目を瞑る。

「うあああっ!だめっ、そんなのっ!ああでもっ、気持ちいいっ!あふううっ!」

 突然、あの気持ちよさが再び襲いかかってきた。

「ふうん、こうやって人に見られている前でそんなことをして感じるとはよほどいやらしいんだな」

 悪魔の楽しそうな声が聞こえる。

 ちがう。こんなのわたしの意志じゃない。こいつが、この悪魔がさせているのに。

「ち、違うっ!これはっ、おまえがやらせて!ああっ、くうううっ!」

 言い返そうとしても、両手が言うことを聞いてくれないので、途中から言葉にならなくなる。
 わたしは、足を内股にして必死に堪えようとする。

「あっ、あああっ!ふああああああっ!」

 アソコの中に入った右手の指が、ずぶっと奥まで入ってきて、一瞬意識が飛びそうになった。

 だめ、もう足に力が入らない。

 膝をつき、体を伏せる。しかし、両手は胸とアソコを弄ったままだから、頭でなんとか上体を支える。

「いい格好じゃないか。どうだい、僕の下僕にならないか?おまえみたいないやらしい女なら大歓迎なんだがな」
「だ、誰がおまえなんかの下僕に!ああっ、うああああっ!」

 それに、わたしはそんないやらしい女じゃない。
 そう反論したくても、敏感な場所を弄る自分の両手がそれを許してくれない。
 だめ、こんなので感じちゃだめ。

「わかっただろう。もう、ここではおまえの力は通じない。全ては僕の思いのままだ」
「だからといって、おまえの下僕になんかっ!あっ、うああああっ!」

 そう。悪魔の下僕になるわけにはいかない。そんなことをしたら、わたしが本当に悪魔の子だって認めることになる。そんなこと、そんなこと!

「やれやれ、強情だな。それじゃ仕方ない。もっと気持ちよくなってもらおうか」
「な!?いやっ、やめてっ!もうこれ以上はっ!うああああああああっ!」

 強烈な刺激が全身を襲う。むかし、雷撃の呪文の練習に失敗したときのような、痺れるような感覚が体中を駆け抜けていく。でもそのときよりもずっと気持ちいい。気持ちよくて、両手と両足がぎゅっと固まって、体が横倒しになった。

 そんなわたしに追い討ちをかける悪魔の言葉が、わたしをおののかせる。

「ほら、強くクリトリスをつまんでごらん。すごく気持ちいいから。そして、もう片方の手で乳首もつまんで。クリトリスと乳首の両方をコリコリと弄るんだ。」

 いや、そんなことできない。そんなことしたら、きっとおかしくなってしまう。しかし、わたしの手は。

「ひぎいいいいっ!あうっ!もうっ、やめれええええっ!おっ、おねらいっ!あううっ、ふああああっ!」

 また、頭の中で何かがフラッシュした。無意識のうちに、必死で懇願するが、舌が動かない。
 体の中にバネがあるみたいにピクンピクンと跳ねる。弄っているのはたった2ヶ所だけなのに、全身が痺れに犯されていく。

「どうだい?そろそろ僕に屈する気になったか?」

 楽しそうに、悪魔が言う声が聞こえる。
 いや。屈するわけにはいかない。そうよ、返事をしないと。

「あぐうっ、ぐううっ、ひぐあああああっ!」

 だめ。もう言葉が出ない。舌まで痺れて、まともに動かない。
 それでも、なんとか頭をばたばたと振って拒絶の意志を示す。

「本当に強情なやつだな。とりあえず、もう一度イってもらおうか」
「んぐ!?あふうううっ!いぎあああああっ!」

 もう限界だと思っていたのに、さらにビリビリした刺激が全身を走り回る。
 気持ちいいのか苦しいのか、それすらもわからずにわたしはのたうち回って悶える。

 そして、本当の限界が来た。目の前が真っ白になり、体が反り返ったまま動かない。

「あううっ、うっ、あっ、あああっ」

 どのくらいそうしていたのか。5分か、10分か、それとも、5秒くらいしか経っていないのか。
 このまま、ずっと体が固まったままなんじゃないかと思った。

 そして、ようやく全身の力が抜ける。

 しかし、動きが鈍くなりながらも、両手は乳首とアソコを弄り続けて、そのせいで気を失うこともできない。

 いっそ、意識を失ったら楽になれるのに。

 そして、やっと両手の動きが止まった。
 わたしは、だらしなく手足を投げ出す。もう、体に力が入らない。


「そろそろ屈してくれないかな。いい加減にしないと壊れてしまうよ」

 悪魔の声が、どこか遠くで聞こえるようだ。

 壊れる?うん。きっと、これ以上されたら、わたしは壊れてしまうだろう。

 わたしが黙っていると、再び男の声が聞こえた。

「それとも、もう壊れてしまったのかな?」

 いや、まだ壊れてはいない。もうすぐ壊れそうなだけ。

 え?壊れる?
 そうか……。

「ク、クククク」

 わたしの口から、思わず笑い声が漏れる。
 まだひとつ手がある。たったひとつだが、この悪魔を勝たせない方法が。

 しっかりしなさい、わたし。こんなところで負けてなんかいられないわ。


「くっ、くはははっ!どうぞ。壊したいのならやってみなさいよ!」

 もう、ふらふらで体に力は入らないけど、最後の力を振り絞って悪魔を睨みつける。

「なんだと?」

 悪魔が、怪訝そうに聞き返してきた。

「ここからの出方はわたししか知らないはずよ。いくらおまえが力のある悪魔でも、自力でここから出ることはできないでしょう。だから、わたしを壊してしまえば、おまえがここから出る術は失われる。そうなれば、おまえはずっとここに閉じ込められたまま。精神を失ってしまえば、いくら悪魔でもその体は朽ちていくことになる。いいえ。その前に誰かがおまえの体を発見して適切に処理するでしょうけど」

 わたしが、一気にそうまくし立てると、悪魔が一瞬顔をしかめた。

 やっぱり。こいつは自力でここから出ることはできないんだわ。

「ふん。どうして僕がここから出られないと思う?このくらいいつでも出られるさ」

 平静を装ってはいるが、わたしにはわかる。これははったりだ。

「だったら、どうして今顔をしかめたの?どうやら、切り札は私の手にあるみたいね」
「仕方ないな。だったらお望み通り壊してやろうじゃないか」

 悪魔が、やれやれという風に肩をすくめた。
 すると、再び蔓がわたしを縛り、吊り下げる。

「ふふん。また同じことをする気?案外芸がないのね」

 この悪魔は本気でわたしを壊すことはできない。
 それが、少しだけど心に余裕を持たせていた。

「さて、それはどうかな?」

 悪魔が、ポリポリと頭を掻く。
 そして、おもむろに1本の蔓を動かすと、それが、わたしの目の前でグン、と太くなった。

「そ、それで何を!?」

 ゆっくりと近づいてくる蔓に、わたしは少し怯む。

「そんなの決まっているだろう。こうするのさ」

 まるで、蛇のように蔓がこちらに狙いを定めて動きを止める。次の瞬間、一気にわたしのアソコに向かって襲いかかってきた。

「ああっ!うはあああっ!」

 蔓がわたしのアソコの中に潜り込んできた、その異様な苦しさにわたしは呻く。

「困ったな。もっと気持ちよくなってもらわないと」

 悪魔が、また頭をポリ、と掻く。

「あうう!ああっ!?ふあああああっ!」

 いきなり、わたしの中の異物感が快感に変わった。
 それが、この悪魔がそうさせているのはわかっている。
 でも、もうこの快感に慣らされてしまっている。それが悲しく、悔しい。

「あっ、あんっ、んああああっ!」

 わたしのアソコを貫く蔓が、ゆっくりと動き始めた。
 気持ちよくて、思わずいやらしい声が出てしまう。

「くっくっくっ。いい声を出すじゃないか」

 こんな卑劣な手段で感じちゃだめ。それはわかっているのに。
 蔓が出たり入ったりするたび、アソコと擦れて、すごく気持ちがいい。
 この気持ちよさをもっと味わいたくて、つい体をよじってしまう。

 あ、わたし、またおもらししてる……。

「どうだい?僕の下僕になればこの快感をいつでも与えてあげようじゃないか」

 悪魔の言葉が、わたしを正気に戻らせる。

「なっ、何度も言わせないでっ!だ、誰がおまえの下僕になんかっ!あっ、あああっ!」

 そうだ。わたしを壊してしまうとこいつの負け。
 だから、こうしてわたしを屈服させようとしてくる。でも、その誘いに乗ってはいけない。

「そうかい。どうやら、まだ快感が足りないようだね。じゃあ、そいつをもっと太くしてあげようか」

 と、悪魔がとんでもないことを言った。

「そっ、そんな!あう!?きっ、きついっ!苦しいいいっ!ひぐあああああっ!」

 わたしの中で、蔓が太くなるのを感じた。
 お腹の中を圧迫されて、とてもきつくて息がうまくできない。

「苦しくなんかないだろう?ほら、太くなった分、さっきよりも気持ちいいはずだよ」
「そんなわけっ、あるはずが!ふあ!?ひあああああっ!」

 こんなに苦しいのに、気持ちよくなるわけがない。
 そんなわたしの考えは、あっさりと覆された。

「いああああっ!おかしいよっ!こんなのが気持ちいいなんてっ、おかしいのにいいいいっ!」

 もう、わたしの体に起こっていることは、想像の範囲を完全に越えていた。

 こんなに太いもので犯されているのに、こんなに気持ちいい。

 一回蔓が動くたびに、わたしは頭を振り、身をよじらせる。

 本当にわたしを壊してしまうつもりなの?

 そんな不安と恐怖がわたしを襲う。でも。

「だ、だめよ!こんなのに負けたらだめっ!ああっ、んくううううっ!」

 必死で自分を励ます。

「ふーん、まだ余裕があるみたいだね。じゃあ、もっと太くしてみようか」

 悪魔の言葉が、わたしを凍りつかせる。

「だめえっ!そんなの無理っ!お願いっ、やめてええええっ!」
「無理じゃないさ。だって、それが太くなればなるほど気持ちよくなれるんだから」

 そして、わたしの中のものが、さらに太さを増した。

「あっ、ぐっ、がああっ!」

 わたしの口から、まるで獣のような叫び声があがった。
 わたしの中いっぱいに、それが膨れ上がって蠢いている。
 なのに、すごく気持ちいい。いや、気持ちいいなんて生やさしいものではない。
 それが動くたびに気が遠くなりそうだ。

「きみはその太いのでお腹の中をかき回されるのが気持ちいいんだろう?」
「あぐっ、かはっ!ぎっ、ぎもぢいいっ!おなかのなかっ、ぐちゃぐちゃにかきまわされて、ぎもぢいいいいいっ!」

 お腹の中、掻き回されて、とても熱い。そして、とっても気持ちいい。

 ああ、きもちいい、きもちいい、きもちいい……。

「あ゛っ、やっ、らめっ!もうらめえええっ!ぎもぢいいのっ、とまらないいいいいっ!ふっ、ふああああっ!」

 あ、わたし、何をしていたんだっけ?

 何か、大切なことを忘れているような気がする。でも、思い出せない。
 もう、気持ちいいことしか考えられない。わたしの中の、太くて固いそれのことしか。

「あへ、ふああ、らめええぇ……もう、わらし、おかしくなっちゃう。あ、ふあああぁ」

 もう、気持ちよすぎて、わたし、おかしくなりそう。
 気持ちいいことだけ考えて、そして、そして……。

 ああ、もうだめ。きっと、壊れちゃうんだわ、わたし。
 わたしが壊れたら。……あ!

「これれ、わらしの、かち、よ」

 最後の、本当に最後に残った意識の欠片が、悪魔に向かってそのひと言を言わせる。

 勝った、この悪魔に。

 その満足感と共に、わたしは意識を手放したのだった。





* * *






 あれ、わたし?

 そうか、きょうもいじめられて……。

 わたしは、しゃがみこんでなきはじめる。

 いつものことだけど、むらのこたちにいじめられて。
 みんなそう。わたしのことをいじめるか、むしするか。

 いちどなきはじめると、どんどんなみだがでてきて、とまらない。

「どうして泣いているんだい?お嬢ちゃん?」

 おとこのひとのこえがした。
 みあげると、しらないひとがわたしをみている。

 いや、こわい。このひとも、きっとわたしのことをいじめるんだ。

 わたしはたちあがると、すこしずつうしろにさがる。

「そんなに怖がらないで。僕は怪しい者じゃないから」

 どうしてこのひとはわらってるの?やだ、こわい。

 わたしにわらいかけるひとなんていなかった。
 なんでこのひとがわらっているのか、わからない。
 でも、わかっていることは、みんなわたしをいじめるってことだけ。

「困ったな。あ、そうだ!」

 おとこのひとが、わたしにむかって、てをだしてくる。

 あれれっ!?

 いつのまにだしたんだろう?そこには、おいしそうなおかしがあった。

「ほら、お腹は空いていないかい?」

 おとこのひとが、わらいながらそのおかしを、わたしのほうにだしてくる。

 なんで、このひとはわたしにおかしをくれるの?それに、なんでそんなにわらってるの?
 そんなことしてきたひとはいない。なにがなんだかわからない。

 でも、きっとこわいひと。だって、わたしはみんなにいじめられる。

 あ、おなかがぐーっ、ていってる。
 きょうも、ごはんすこししかもらえなかったから……。

 いいかな?おかし、おいしそうだし。このひとが、くれるっていうんだし。

 わたしは、おとこのひとのてから、おかしをつかみとる。
 そして、パクリとかぶりつく。

 おいしい……。

「どうだい、おいしいかい?」

 うん、おいしい。
 わたしが、こくりとあたまをふると、おとこのひとがまたわらった。

「そうか、それは良かった。僕の名はシトリー。君の名前は?」

 え?わたしのなまえ?

「ああ、別に答えたくなかったら言わなくてもいいから」

 あわてたようにおとこのひとがいう。
 でも、このひと、いいひとそうだし。
 むらのひとは、だれもこんなふうにはなしてくれなかった。

 だから。

「……リディア」

 せいっぱいのゆうきをだして、わたしはなまえをいう。

「そうか。リディアちゃんか」

 あ、またわらった。そんなにやさしそうにわらうひと、はじめてみた。
 もうすこし、このおじちゃんとおはなししたいな。

 おじちゃんていったらしつれいかな?でも、いいや。

 わたしは、にこにこしながらすわりこんだおじちゃんのとなりにすわる。



「ふーん、村の子供たちにいじめられたのか。可哀想に」

 おじちゃんは、わたしのはなしを、ずっときいてくれた。

「うん。でも、こどもだけじゃなくて、おとなもそう」
「ひどい。どうしてなんだい?」

 おじちゃんが、かなしそうなかおをする。

「……いっちゃうと、きっとおじちゃんもわたしのこときらいになるから」
「そんなことないよ」
「でも」

 だって、いままで、わたしにこんなにやさしくしてくれたひとはいなかった。みんなわたしをいじめてくる。それは、わたしがとくべつだから。
 おじちゃんは、わたしのことをしらないだけ。そのことをしったら、きっと。

「大丈夫だよ。僕はリディアちゃんのことを嫌ったりしないから」
「ほんとうに?」
「本当だよ」

 おじちゃんは、やさしくわらっている。
 そんなこといってるけど、わたしのはなしをきいたら、きっときらわれる。

 でも、このおじちゃんには、ほんとうのことをいいたい。

「あのね、わたしは”とりかえこ”だってむらのみんながいうの。むらのなかでわたしだけこんな、はいいろのかみで、あおいめだから。だから、わたしはまもののこどもなんだって」

 そう。わたしはまもののこどもなんだ。だから、おじちゃんにもきらわれる。

「なんだ。そんなことはないよ。リディアちゃんは普通の子供じゃないか」

 でも、おじちゃんはそういってわらった。

「そうなの?」

 わたしが、ふつうのこども?

「そうだとも。きっと、この村の人は外のことは良く知らないんだな。この国には、きみみたいな人はいっぱいいるよ」
「ほんとう?」

 そんなの、はじめてきいた。そんなはなしをしてくれるひとは、いままでいなかった。

「ああ。だって、僕もほら、目はこうやって金色だろ。こんな目の人は村にいるかい?」

 ほんとうに、おじちゃんのめ、きんいろで、とってもきれい。

「ううん。いない」
「そうだろ。それだったら、僕も悪魔の子供になるじゃないか」
「でも、むらのひとは、わたしがいるとわるいことがおこるって。むらでなにかわるいことがあると、わたしのせいだっていうの」
「なんてひどいことを言うんだろう。そんなことあるわけないじゃないか」
「だって」
「それとも、本当にきみが何かしたのかい?」

 ちがう。なんにもしていない!
 わたしは、おもいっきりあたまをふる。

「じゃあ何も心配要らないよ。きみは何も悪くないから」

 あ……。

 おじちゃんが、にっこりわらって、わたしのあたまをなでてくれた。
 ほんとうにやさしいひと。

「ありがとう、シトリーのおじちゃん」
「うれしいな。僕の名前を呼んでくれるんだね」

 あ、またわらった。とってもうれしそうなかお。わたしまで、うれしくなってくる。
 もっと、おじちゃんとおはなししていたい。



 いっしょにすわって、おじちゃんとおはなしする。
 それが、とってもたのしい。

 でも、おうちにかえるじかんがくる。

「あ、そろそろおうちにかえらなくちゃ」

 ほんとうはかえりたくない。かえっても、またみんなにいじめられる。
 でも、わたしのかえるところは、あそこだけ。

「ねえ。おじちゃんはどこにすんでいるの?」
「うーん。僕はこの国のあっちこっちを旅しているからねぇ」

 おじちゃんが、ちょっとこまったようにわらう。

「じゃあ、もうあえないの?」
「いや、またきっときみに会いに来るよ」
「ほんとうに?」
「ああ、約束するよ」

 そういっておじちゃんはわらった。
 またおじちゃんにあえる。わたしも、うれしくなった。

 それが、シトリーのおじちゃんにあったさいしょ。

 わたしは、きっときょうのことはわすれない。
 そうすることにきめた。





 またきょうもいじめられた。
 いつものように、ひとりでないているわたし。

「リディアちゃん」

 え?このこえは?
 かおをあげると、シトリーのおじちゃんのわらいがおがあった。

「あっ、シトリーのおじちゃん!」

 わたしは、たちあがっておじちゃんにだきつく。

「おじちゃん!あいたかったよう!」
「どうしたんだい?またいじめられたのかい?」
「うん。うん。」

 ほんとうは、おじちゃんにあえて、とってもうれしいの。
 でも、なみだがとまらない。
 そんなわたしを、おじちゃんはやさしくだきしめてくれた。




 シトリーのおじちゃんは、ときどきわたしにあいにきてくれる。
 いつも、おじちゃんはわたしをなぐさめてくれて、おかしをくれる。
 そして、わたしのおはなしをきいてくれて、しらないくにのはなしをしてくれる。

 わたし、シトリーのおじちゃんがだいすき。
 だって、せかいでたったひとりだけ、わたしにやさしくしてくれるから。
 いつも、わたしはひとりぼっちだった。
 でも、いまは、シトリーのおじちゃんがいてくれる。






 そして、そのひ。

 きがついたら、わたしのめのまえで、こどもがかわにながされていた。
 あれは、いつもわたしをいじめていたこだ。

 わたしには、なにがおきたのかわからなかった。なにがあったのかぜんぜんわからない。
 おぼえているのは、おぼれているあのこがながされていくのを、ぼんやりとながめていたことだけ。

 でも、むらのひとたちは、わたしがわるいっていった。わたしがなにかしたんだって。
 みんな、わたしのことをあくまだっていった。
 ころしてしまえってさけぶひともいた。

 でも、わからない。わたしはなにもおぼえていない。ほんとうに、なにがあったかわからない。

 おねがい、たすけて!シトリーのおじちゃん!


「リディアちゃん?」

 ああ!おじちゃんだ!

「ああっ!シトリーのおじちゃああん!」

 わたしは、おじちゃんにとびついてなきじゃくる。

「なんだい!?何があったんだい?」
「むらのこが、わたしをいじめていたこが、かわでおぼれちゃったの!」
「なんだって!?」
「それで、むらのみんながわたしのせいだって!」
「そんな!?どうして?」
「わからない!なにもおぼえていないの!でも、きがついたらめのまえでそのこがながされてて!」

 ほんとうにおぼえてない。なにがあったのか、わたしにはわからない。
 わたしは、ただただなきじゃくる。

「落ち着くんだ、リディア。よく考えてごらん。きみがそんなことするはずないだろ?」
「わからない!わからないのっ!」
「大丈夫。僕は信じてるよ。きみがやったんじゃないって」

 おじちゃんの、やさしくてあたたかいこえ。

「おじちゃん!おじちゃああああん!」

 わたしは、なきじゃくることしかできなかった。





 わたしのおうちに、むらのひとたちがきた。
 おとうさん、おかあさんと、なにかはなしている。
 すこしだけ、わたしにもきこえてきた。

 みやこの、まどういん、ていうところに、わたしをあずけるとか、そんなことをいっていた。



 そして、また、シトリーのおじちゃんがきてくれた。

「シトリーのおじちゃん!こんなにすぐにあいきにてくれるなんて!」
「ああ。この前あんなことがあったから心配になってね」

 おじちゃんだけが、わたしのことをしんぱいしてくれる。おじちゃんだけがわたしのみかた。

「ううっ!あ、ありがとう、おじちゃん!」

 わたしは、おじちゃんにだきつく。
 いつものことだけど、なみだがとまらない。


「それでね。わたし、みやこの、まどういん、ていうところにつれていかれるみたいなの」

 わたしは、むらのひとたちがはなしていたことを、おじちゃんにいう。

「きっと、みやこでもまたいじめられるのかな、わたし」
「そんなことはないよ」

 わたしをあんしんさせようとしてるの?

「どうして?」
「初めて会ったときに言っただろう。この国にはきみみたいな人はいっぱいいるって。都は、人が沢山いるところだから、髪や目の色が違うだけでいじめられたりしないよ」
「そうか。そうなんだ」
「それに、魔導院ていうところにはきみをいじめたりなんかする人はいないはずだよ」
「ほんとうに?」
「本当だとも。それとも、僕の言うことが信じられないのかい?」

 そんなことない。おじちゃんのことがしんじられなかったら、わたし、なにもしんじられなくなる。

「ううん」
「だから、安心して都に行くといいよ」
「うん。ありがとう、おじちゃん」

 だいじょうぶ。おじちゃんがそういうんだから、きっとだいじょうぶ。





 シトリーのおじちゃんのいったとおり、みやこにはいろんなひとがいた。
 そして、まどういんには、わたしをいじめるようなひとはいなかった。
 とくに、ここのいちばんえらいひと、まどうちょうのピュラさまは、わたしにとてもやさしくしてくれる。

 でも、やっぱりこわい。しらないひとばかりで。
 それに、シトリーのおじちゃんとも、ずっとあっていない。

 さびしいよう……。





「リディアちゃん」

 このこえは!?

「あっ!シトリーのおじちゃん!すごいひさしぶり!わたし、とってもあいたかったんだから!」

 ふりむくと、おじちゃんがいつもとおなじように、やさしくわらっていた。
 わたしは、おじちゃんにかけよってだきつく。

「ごめんごめん。ちょっと忙しくてね。どうだい?こっちには慣れたかい?」
「うん……」
「どうしたんだい?またいじめられてるの?」

 それは。こっちにきてからはいじめれてない。

「ううん」
「そうだろう。ここには、きみをいじめるような人はいないはずだから。あ、でも、だったらどうして?」

 おじちゃんが、くびをかしげる。

「わたし、こわいの」
「怖い?何が?」
「ここのひとたちはみんなとってもしんせつにしてくれる。まどうちょうのピュラさまはほんとうにやさしいひと。でも、わたしやっぱりこわい。またいじめられるんじゃないかって。シトリーのおじちゃんじゃないひととおはなしするのがこわいの」
「もう、本当に心配性だな、リディアちゃんは」

 そういって、おじちゃんがわたしのあたまを、ぽんぽんってたたく。

「でも」

 わたし、おじちゃんいがいのひととなかよくなったことないから、どうしていいのかわからない。

「ここにはきみをいじめる人はいない。だから、安心していいんだよ」
「でも」

 いままで、ずっといじめられてきたわたしには、いまのいじめられないほうがしんじられない。

「きみも言ってたじゃないか。ここの人はみんな親切だって。それにピュラ様だ。あの人は本当に優しい人で、あの人の言うことを聞いていれば間違いはないから」
「でも」

 わたしにしんせつにしてくれたひとは、おじちゃんだけ。あとはみんなこわいひとだった。だから。

「さっきから、でも、ばっかりじゃないか。いいかい。今まで僕が言ったことで、間違っていたことがあるかい?」
「ううん」

 おじちゃんは、いままでほんとうのことしかいったことがない。だけど。

「そうだろう。だから、安心するんだよ。僕も、もう少しいっぱい会いに来るようにするから」
「ほんとう!?」

 それが、いちばんうれしかった。

「ああ。本当だとも。だから、きみはピュラ様の言うことをよく聞くんだよ」
「うん!」

 まだすこしふあんだけど、シトリーのおじちゃんがそういうんだから……。





 おじちゃんのいったとおり、ピュラさまは、ほんとうにいいひとだ。
 とてもやさしくしてくれて、なんだか、おじちゃんにはじめてあったときのことをおもいだした。
 まだ、ほかのひととはなしをすることはできないけど、ピュラさまはおこったりしない。
 ゆっくりと、あせらずに、ってわらってくれる。

 ほんとうにおじちゃんのいったとおりだ。
 つぎにおじちゃんとあうときには、げんきなわたしをみせてあげたいな。





「あっ、きてくれたんだね、シトリーのおじさま!」
「どうしたんだい、おじさまだなんて?」

 おじちゃん、じゃなかった、おじさまはびっくりしたかおをする。

「ピュラさまがいっていたの。めうえのひとには、けいしょうをつけなさい、って」
「そうかそうか。偉いなリディアちゃんは。そうやってピュラ様の言うことをちゃんと聞くんだよ」

 そういって、おじさまがわらう。わたしも、なんだかおかしくってわらう。

「ふふふ!おじさまって、ピュラさまのことをよくしってるのね!」
「うん、まあね」

 やっぱり。そうじゃないかっておもってたんだ。

「わかった!おじさまもまどうしなんでしょ?」

 あのころはわからなかったけど、いまならわかる。

「どうして?」
「だって、むかし、わたしがもっとちっちゃかったころ、おじさまはよくおかしをだしてくれてたじゃない。それも、なにもないところから。あれって、ぜったいにまほうだっておもうの!それに、おじさまのそのふく、まどうしのローブですもの!」

 そういって、わたしがおじさまのふくをゆびさすと、おじさまはおかしそうにわらう。

「はははっ、そうかそうか。そうだね。じゃあ、リディア、きみには言っておこうか」
「なあに、おじさま?」
「実はね、僕はピュラのご主人様なんだよ」

 え?ピュラさまは、まどういんでいちばんえらいひとで、ピュラさまよりえらいひとは?

「えええ!でも、ピュラさまのごしゅじんさまは、おうさまじゃないの?」
「それは、それが仕事だからだよ。でも、ピュラの本当のご主人様は僕なんだ」

 おしごと?そういうことがあるの?わたしはほんとうにびっくりしたんだもん。

「そうだったの?だったら、もっとはやくいってくれてたら、わたし、あんなにふあんなきもちにならなかったのに!」

 わたしが、ぷくっとほおをふくらませると、おじさまは、わらいながらゆびをたてた。

「ごめんごめん。でもね、このことは誰にも言っちゃいけないよ。僕がピュラのご主人様だっていうことは、内緒にしておかなくちゃいけないんだ。そう。ピュラにも言ってはいけないよ」
「ピュラさまにも?」
「ああ。だけど、いつかきっと、ピュラの方から話してくれると思うから。その時まで、このことは僕ときみだけの秘密ってことにしておいてくれないかな」

 そうなんだ。おじさまが、そういうのなら。

「うん!」

 えがおでこたえると、おじさまが、うれしそうにあたまをなでてくれる。

 わたしもすこしあんしんした。
 シトリーのおじさまがピュラさまのごしゅじんさまなら、なんのしんぱいもいらないんだ。





 わたしが魔導院に来て、もう7年になる。

 その間に、わたしには友だちがひとりできた。
 7年でたったひとりだなんて、おじさまにはきっと笑われてしまう。
 でも、わたしの友だち、クラウディアさまはすごい人なの。
 だって、この国の王女さまで、いずれは国王になるんだから。
 それなのに、ぜんぜんえらそうなところがなくて、気さくな人。もちろん、わたしをじめたりしない。
 わたしなんかの友だちになりたいって言ってくれたのは、クラウディアさまの方からなんだから。
 いま、わたしはクラウディアさまと一緒に、ピュラさまのもとで魔法を学んでいる。

 ピュラさまは、わたしに才能があると言ってくれる。
 わたしにしてみれば、クラウディアさまの方がよっぽど才能があると思う。
 まだ、ピュラさまは、シトリーのおじさまが自分のご主人さまだってうちあけてくれない。
 それだけがちょっと寂しいけど。

 シトリーのおじさまも、ときどき会いに来てくれる。
 おじさまとすごす時間は、わたしにとって一番すてきな時間。

 この3人は、わたしにとって特別な人。
 まだまだ、他の人とは仲良くなれないけど。
 いま、わたしはとっても幸せ。そう、むかしと比べたら。

 でも……。
 わたしには、気になっていることがある。

 シトリーのおじさまにはじめて会ってから、もう10年くらいになるのに、おじさまは、ちっとも変わらない。
 ぜんぜん年を取らないように見える。わたしが、おじさまって呼ぶのは悪いくらいに若々しい。
 
 それに、おじさまのあの金色の瞳。
 おじさまの言ったとおり、都にはいろんな髪や目の色をした人がいるけど、おじさまみたいに金色の瞳の人は見たことがない。
 そういえば、本で読んだことがある、金色の目をした魔物の話を。
 もしかして……。





「あ、おじさま!」

 シトリーのおじさまの姿を見て、わたしは駆けよる。
 やっぱり、おじさまに会うのはうれしい。でも……。

「どうしたんだい、リディア?」

 首をかしげるおじさまに、わたしは勇気を出して切り出した。

「ねえ。おじさまって、いったい何者なの?」
「ん、どういうことだい?」
「だって、おじさま、わたしとはじめて会ったときからぜんぜん変わらないし、年もとらないんですもの。わたし、思うの。おじさまはふつうの人じゃないんだって」

 そこまで言って、いったん言葉を切る。そして、おじさまの目を見つめる。

「ねえ。教えて、おじさま。わたし、なにを言われてもおどろかないから」

 おじさまは、一度目を背ける。そして、もう一度わたしに向き直った、その真剣な顔。
 おじさまのそんな顔、見たことがない。

「そうだね。そろそろ、本当のことを言わないといけない時だろうね」

 いつもとは違うその口調に、わたしは固唾を呑む。
 おじさまが言葉を続けるまでの間が、とても長く感じられた。

「じつは、僕は悪魔なんだ」
「おじさまが、悪魔?」

 おどろきながらも、わたしは、心のどこかでやっぱり、と思っていた。

「今まで隠していてごめん。でも、昔の、いつもいじめられて泣いていたきみにこのことを話すわけにはいかなかったんだ」
「わたしに、いつも優しくしてくれたおじさまが、悪魔だなんて。じゃあ、わたし、やっぱり悪魔の子だったの?」
「ああ」

 おじさまは、はっきりと頷く。

「そうか。そうだったんだ……」

 やっぱり、わたしは悪魔の子だったんだ。

「今まで嘘をついていてごめん。でも、きみは僕にとって大切な仲間だから放っておくわけにはいかなかったんだ」

 そう言って、おじさまは頭を下げる。
 そうじゃないかと思っていたけど、わたしもショックを隠せない。でも、いま、わたしのことを?

「大切な、仲間……。あっ、でも、おじさまはピュラさまのご主人さまだって!だったら、ピュラさまも悪魔なの?」
「いや、ピュラはただの人間だ。魔力は図抜けてるけどね。あいつはいわば、僕の下僕、いや、使い魔といったところかな」
「ピュラさまが、使い魔?」
「ああ。だから、きみをここに連れてこさせたのも、僕がピュラに命じたんだ。あのままあの村にいたのではきみのためにならない。だから、ピュラに命令してここに保護させたんだ」

 そうだったんだ。あれは、村の人たちがそうしたんじゃなくて、おじさまが、わたしのために。

「そうか。わたしが悪魔の子だから。だからわたしはいじめられたんだ。やっぱり、悪いのはわたしだったんだ」
「いいや。それは違う」

 おじさまが珍しくきつい口調で言った。

「え、おじさま?」
「きみが悪いんじゃない。きみをいじめたやつが悪いんだ」
「でも、わたしは悪魔の子で、だから、いじめられて当然で」
「それは、人間たちの理屈だろう、リディア」
「そ、それは」
「だいいち、なんで悪魔の子だからといって、きみがいじめられなくちゃいけないんだ?」
「それは、やっぱり悪魔は人間にとって良くない者だから」

 そう。悪魔は人に害をなす存在。だから、ふつう人は悪魔を怖れる。

「じゃあ、きみは何か悪いことをしたのかい?それが原因でいじめられていたのかい?」

 わたしは何もしていない。あっ、あの、子供が川で溺れたのは?
 でも、その前からわたしはいじめられていた。

「ううん」
「だろ。悪魔の子だからって、何もしていないのに酷い目に遭わされるのは理不尽だと思わないか?」

 それはそう。わたしもそう思う。

「うん」
「だから、悪いのはきみじゃない。人間の方なんだよ」

 そうだったんだ。わたしが悪いからいじめられたんじゃなくて、人間たちが悪くて、わたしをいじめていたんだ。

「そう、なの?」
「そうさ。そもそも、人間は悪魔に仕えるべきなんだよ。だから、ピュラのように賢くて、真実のわかる人間は悪魔の僕に仕えているんだ」

 そうか、ピュラさまはあんなにえらい人なのに、悪魔であるおじさまに仕えているんですもの。わたしをいじめていたのは、おろかな人間だったんだ。

「そうだったんだ」
「いいかいリディア。悪魔としての誇りを持つんだ」

 その言葉が、わたしの心に突き刺さる。

「悪魔としての、誇り……」

 そんなこと、いままで考えたこともなかった。でも、なんて心地よく聞こえる言葉。

「僕たちは、人間を本来あるべき姿、悪魔に仕えるものに変えていかなければならない。そうすれば、もう誰もきみをいじめなくなる」
「だれも、わたしを、いじめない」

 そうだわ。わたしをいじめる人間が悪くておろかな存在なのだから、そんな人間たちを変えてしまえばいいんだ。

「だからリディア。きみの力を僕のために使ってくれないか?僕は、これからこの世界を僕たち悪魔のための世界に変えようと思う。そのために、きみの力が必要なんだよ」
「悪魔のための、世界。そのために、わたしの、力が、必要」

 おじさまは、この世界を変えてくれる。わたしたち、悪魔のための世界に。そして、わたしはそれを手伝うことができるんだ。

「もうわかったかい、リディア。悪いのはきみではなく、周囲の人間なんだよ。だから、きみをいじめたような悪い人間には制裁を加え、この世界を変えなきゃいけないんだ。だから、僕についてきてくれ」
「あ!はい!」

 そうよ。悪い人間には制裁を。そして、この世界を変える。そのために、わたしはおじさまについていく。おじさまのために働くんだ。

「うん、いい返事だ。ありがとう、リディア」
「あ……」

 おじさまが、わたしを抱きしめたので、思わず体がすくんでしまった。
 すぐ近くでおじさまの金色の瞳がわたしを見つめている。
 ゆっくりと、おじさまの顔が近づいてきて、わたしは目を閉じる。

「ん、んふ」

 わたしのくちびるに、柔らかい感触が当たった。
 ああ、わたし、おじさまとキスしてる。
 人生ではじめてのキスを、おじさまと。うれしい……。

「んっ、んむっ!?」

 わたしの口の中に、何かが入ってきた。これは?舌?
 
「んんんっ!んむーっ!」

 わたしの中で、おじさまの舌が動く。
 すると、ビリビリするような感覚が体を貫いた。
 驚いて目を開くと、すぐの目の前におじさまの顔があった。

「んっ、んむむっ!んくっ、んんっ!」

 おじさまの舌が動くだけで、わたしの体が、ぶるぶると震えはじめる。
 どういう仕組みなのか、舌を入れられている、それだけなのに、とっても気持ちいい。

 わたしはうっとりとして、おじさまの舌に自分の舌を絡めていく。

「んくっ!あふううぅ」

 どのくらいの時間、そうやって口づけを交わしていたのだろう。
 ようやく、おじさまの舌がわたしの口から離れる。でも、もう少しキスしていたかった。
 その、満ち足りた気持ちと、少し残念な気持ち。

「キスがこんなに気持ちいいなんて、わたし、知らなかった」

 それは、ほんとうに正直な感想だ。
 キスするだけで、こんなに気持ちよくなれるなんて、思ってもいなかった。

「それは、きみの中の悪魔の血が、僕を求めているからだよ」

 そうだったんだ。わたしの中の悪魔の血が、おじさまを求めているから、だから気持ちよかったんだ。

「わたしが、おじさまを求めて?」
「そうだよ、リディア。きみの心も体も、僕のものになりたがっている。だから気持ちがいいんだ」
「そうなんだ」

 わたしの心と体が、おじさまのものになりたがっている?
 うん、なりたい。わたし、おじさまのものになりたい。

「ああ。そして、僕もきみが欲しい。きみを、僕の下僕にしたいんだ」
「わたしを、おじさまの下僕に?」

 おじさまの下僕……。
 ああそうか。おじさまのものになるって、そういうことなのね。
 それに、ピュラさまですらおじさまの下僕なんですもの。同じ悪魔でも、まだ未熟なわたしは下僕であたりまえよね。

「それとも、僕の下僕になるのは嫌かな?」

 そんなことない。わたしは、おじさまの下僕になりたい。

「ううん、ぜんぜん、いやじゃない」
「ありがとう、リディア。じゃあ、僕と一緒に、愚かな人間たちに制裁を加え、世界を変えていこうじゃないか。悪魔らしくね」
「悪魔らしく……。はい!」

 そうだった。おじさまと一緒に、おろかな人間たちに制裁を加え、世界を変えていく。それが、悪魔としてのわたしの務め。

 おじさまが、微かに笑って頷くと、真剣な顔になる。

「じゃあ、これからきみを僕の下僕にするよ」
「うん」

 わたしがこくりと頷くと、おじさまは手を伸ばして、わたしのローブを脱がせていく。
 そして、生まれたままの姿になっておじさまの前に立つ。

 やっぱり、少しはずかしい。

 おじさまの顔をまともに見ることができずに、顔を伏せる。
 すると、わたしの肩に、おじさまの手が触れた。
 緊張して、ぎゅっと目を閉じると、おじさまは、わたしの体をくるりと回転させて、うしろから抱きしめた。

「んんっ、あああああっ!」

 抱かれただけなのに、体中がぞくぞくして気持ちいい。思わず、声をあげてしまう。
 そして、わたしの胸が温かいものに包まれる。

「あっ、ふわああああっ!おっ、おじさまっ!」

 それが、おじさまの手のひらだということはすぐにわかった。
 それにしても、なんていやらしい声を出してるの?まるで、わたしの声じゃないみたい。

「あふっ、ひあっ、あっ、ああーっ!」

 おじさまの手が動いて、わたしのおっぱいを揉みはじめると、ただでさえいやらしい声が大きくなる。
 気持ちよすぎて、息苦しくなってくる。
 わたしがおじさまを求めていたんだと、実感できる。

「んっ、んふうっ、ああっ!あ?おじさま!?」

 おっぱいを揉まれて、それだけで、なんだかぼんやりとしてくるわたし。
 不意に、おじさまの手がアソコに伸びているのに気付いた。

「ああっ、やだっ、そこはっ、恥ずかしいっ!あああっ!」

 やだ。おじさまの指が、アソコの襞をめくって、中に入ってくる。
 とても恥ずかしいけど、でも、すごく気持ちいい。

「あうんっ、すごいいっ!ああっ、すごくっ、きもちっ、いいのっ!ああっ、おじさまあぁ!」

 声に出して言っちゃった。だって、ほんとうにすごく気持ちいいんだもん。
 おじさまの指が、わたしの中で動くと、んっ、体がビクンッ、てなって、ああっ、頭を思いっきり振ってる。
 そうしないと、変になりそうなくらい気持ちいい。

「あんっ、うふうっ、あ、はあんっ、ああっ!」

 まるで、熱がある時みたいに顔が熱い。なんだか、視界がぐにゃり、となってくる。

「あふ、ううん、あっ、お、おじさまぁ!」

 おじさまにアソコを掻き回されて、体がものすごく熱くなって、わたし、溶けちゃいそう。

 そして、おじさまの手が、わたしの顔を後ろに向けさせる。
 あ、おじさまの顔がすぐ近くに。そして、こっちに近づいてくる。

 欲しい。おじさまの、くちびる、吸いたい。
 
「あふ、んん、んふっ、んっ」

 舌を伸ばして、おじさまの舌と絡める。やっぱり、気持ちいい。
 おじさまが、わたしの頭を抱いて、わたしもおじさまの頭に手を伸ばす。

「んふっ、ちゅ、んんっ!」

 もっと、もっと舌を絡ませたい。
 んっ、おじさまの指が、わたしのアソコの中をぐちゃぐちゃに掻き回して、じんじんとしてくる。

「あふ、んん!?ふあああああっ!」

 いま、目の前が光ったような感じがした。何があったのかよくわからないけど、アソコのあたりがビリッとして、体が勝手にのけ反った。

「あっ、はあああああんっ!おっ、おじさまあああっ!」

 熱い。体中が熱いよ。アソコがどくんどくんってしてる。
 やだ。おしっこしてないのに、何か出てきてる。

「んん、あ、あふうううぅ」

 やっとおじさまの手が止まって、わたしは大きく息を吐く。

 あ、また体を回転させられて、おじさまと向き合う。

 わたしの目の前で、おじさまが服を脱いでいって。



「あ……」

 裸になったおじさまの、これは、男の人のおちんちん?
 すごい。おちんちんって、こんなに大きくなるものなの?
 わたしが、おちんちんに見とれていると、おじさまがゆっくりと口を開いた。

「いいかい、リディア。これがきみの中に入ったら、きみは僕の下僕になるんだよ」
「あ、それが、わたしの、中に?」

 おじさまのおちんちんがわたしの中に入ってくる。そうしたら、わたしはおじさまの下僕になれる。
 考えただけでうっとりとしてくる。


 ダメッ!


 えっ、なに?いま、何か聞こえたような?

「やっぱり、僕の下僕になるのは嫌かな?」
「あ、いや、そんな」

 いや、そうじゃなくて、いま、変な声が。


 そいつはっ!シトリーはピュラ様を傷つけた危険な奴よっ!お願いっ、思い出して!


 まただ。
 でも、もしかして、これはわたしの声?なんで、わたしの声がそんなことを?

 それに、思い出してっていっても、おじさまは悪魔で、わたしをずっと見守ってくれていたし。
 それに、ピュラさまもおじさまの下僕で。それで、どうしておじさまが危険なの?

「そうだよね。誰かの下僕になるのが嬉しいはずはないよね。ごめん」

 そう言ったおじさまの、悲しそうな顔。そんな表情、見たことがない。

「ちがうのっ!」

 わたしは、たまらなくなっておじさまに抱きつく。ちがう、そんなつもりじゃなかったの。

「はじめてのことだからちょっと戸惑っていただけ!ごめんなさい。おじさまを悲しませるつもりはなかったの!」

 涙がこぼれそうになって、視界がぼやけてくる。

「じゃあ、僕の下僕になってくれるのかい?」

 おじさまの言葉に、わたしは黙って頷く。

「ありがとう!リディア」
「あっ、ああっ、おじさまっ!」

 ぎゅっと抱きしめられて、わたしの体がまた熱くなってくる。
 抱きしめられただけでこんなに気持ちいいんですもの。やっぱり、わたしの体がおじさまを求めているんだわ。
 きっと、さっきのは、はじめての不安がちょっと顔を出しただけなのよ。

 そして、おじさまが、抱いていたわたしの体をいったん離す。

「じゃあ、いくよ」

 真剣な顔でおじさまがそう言うので、わたしも緊張して頷く。
 おじさまがもう一度わたしを抱き寄せると、おちんちんをわたしのアソコに当てた。

「んっ、んくうううううっ!」

 緊張に息を止めていたわたしは、おちんちんが入ってくるときの息苦しさに、たまらず息を吐く。

 でも。

「あっ、あああっ!きもちいいっ、きもちいいのっ!」

 おちんちんを入れられるのって、こんなに気持ちいいなんて、想像もしてなかった。
 アソコのあたりから、そして、お腹の中から、どんどん気持ちいいのが広がっていく。
 すると、わたしの中のおちんちんが、動きはじめたのを感じた。

「あんっ、おじさまのっ、おちんちんがっ、わたしのなかに、はいってるううううっ!それがっ、あああっ、すごいっ、きもちいいのおおおおっ!」

 動いている方が、おちんちんをいっぱいに感じられる。
 もう、さっきの、もうひとりのわたしの声は聞こえない。それもそうよね。だって、こんなに気持ちいいんですもの。

「んふうっ、おじさまっ、おじさまあっ!」

 おじさまの首にしがみついて、わたしは自分から腰を動かしはじめる。すると、もっと気持ちよくなれる。
 でも、足ががくがくして力が入らない。

「あ、あんっ!」

 おじさまが、わたしを抱き上げて、何かの上に乗せる。
 そうか、こんなところに台があったんだ。

 そして、おじさまがわたしの足を大きく広げさせる。

「あっ、ああっ、おっ、おくまでっ、ふああああっ!」

 こんなに足を広げた格好、恥ずかしいけど、この方が、おちんちんが奥まで入ってくる。
 おじさまが腰を動かす、その一回一回が、ずんずんと頭のてっぺんまで響く。

「あっ、んっ、きもちっ、いいっ!あっ、はんっ!」

 だめ。激しすぎて、息がうまくできない。
 頭の中が、クラクラしてくる。
 そして、わたしの中で気持ちいいのが振り切れた。

「ああっ、おじさまっ、きもちっ、よすぎてっ、わらしっ、へんになっちゃううっ!あっ、ああああっ!」

 無意識のうちに、足をおじさまの腰に絡ませる。

 もっときもちよくなりたい。もっとおちんちんをかんじていたい。
 
 もう、わたしの頭の中は、おちんちんのことしか考えられない。

「はううううっ!ひあっ、らめえっ!そんなのっ、しゅごしゅぎるうううっ!」

 おちんちんの入ってくる角度が、いきなり変わった。
 いままで当たっていなかったところにごつごつ当たって、気を失いそうなくらい気持ちいい。
 身体が大きく跳ねた拍子に、おじさまに抱きつく。ずんずんと下から突かれて、頭の中で光が弾ける。
 もう、とうのむかしに限界を超えているはずなのに、それでも、さらに気持ちよくなっていく。
 きっと、これ以上気持ちよくなると、ほんとうにおかしくなっちゃうのに、もう止められない。

 その時、おじさまが叫んだ。

「さあっ、リディア!僕の全てを受けとめて、そして、僕の下僕になるんだ!」
「はひいいいいいっ!なりましゅうううっ!わらしっ、おじさまのっ、げぼぐにっ、なりましゅうううううっ!」

 必死で叫んだわたしの中に、何か熱いものが注がれた。

 ふあああっ、あづいいぃ!ぎもぢ、いいいいぃ!

 わたしの体が、おじさまに抱きついたまま固まる。

「あっ、あああっ、んっ、ふあああぁ……」

 もう、自分が何を言っているのかわからない。
 そのまま、すべてが真っ白になった。




「リディア、リディア」

 ……誰かが呼んでる。
 目を開くと、おじさまが心配そうに覗き込んでいた。

「ん、あ、おじさま」
「大丈夫かい、リディア?」
「うん」

 なんか、まだ頭がぼんやりするけど、だいじょうぶ。
 えと、わたし、どうしたんだっけ?

「ええっと、わたし……。あっ」

 そ、そうだ、わたし、おじさまと……いやらしいことして、そして。

「そうか、わたし、おじさまの下僕になったのよね」
「そうだよ、リディア」

 わたしの言葉に、おじさまは笑って頷く。
 そうだ。わたしは、悪魔としての自分に目覚めて、おじさまの下僕になった。
 だから、悪魔としての務めを果たさないと。でも実際にはどうすれば?

「それで、わたしは何をすればいいの?」
「そうだな。人間どもを僕たち悪魔に仕える奴隷にする手伝いをしてもらおうかな」

 そう言って笑ったおじさまの顔。なんて頼もしい、悪魔らしい顔。

「どうだい、すばらしいだろう?」
「はい、おじさま」

 そうよ。人間たちは悪魔に仕えなければいけないのだ。現にピュラさまもおじさまの下僕になっているんだし。
 それがわからないようなおろか者は下僕以下だ。奴隷にしてこき使ってやる。
 そのことを想像すると、思わず顔がにやけてくる。

「でも、その前に僕たちも帰らないとね」
「え?どこに?」

 おじさまの言葉に、わたしは我に返る。

「だって、ここはきみの世界だろう?」

 おじさまに言われて、わたしははじめてそのことに気付く。

「あ、ホントだ。いつの間に?」

 どうして?いつ、わたしは力を使っていたのだろう?それも、おじさまとふたりで。
 考え込んでいると、おじさまが待ちかねたように言った。

「さあ、早く戻ろう。そして、きみが僕の下僕になったことをピュラに教えてあげないとね」
「はい!」

 そうだ。早く戻ってピュラさまに報告しよう。きっと、喜んでくれるはずだから。

 わたしは、目を閉じると、この世界の鍵を開ける。





* * *






「大丈夫ですか、おじさま?あ、ピュラさま」

 目を開けると、おじさまと、そしてピュラさまの姿が目に飛び込んできた。

「ひどいです、ピュラさま!どうしてシトリーのおじさまがピュラさまのご主人さまだって教えてくれなかったんですか!?」
「ご、ごめんなさい。あなたがもっと大きくなってから教えようと思っていたのよ」

 わたしがなじると、ピュラさまはあわてて謝る。

 もう、ほんとにピュラさまったら!

 あ、でも、ここはピュラさまの部屋。
 なんでわたしはおじさまとここにいるんだろう?

 あ!でも、そんなことよりも!

「そうだ!ピュラさま!」
「どうしたの?」
「わたしも、シトリーのおじさまの下僕になったんですよ!」

 そう言って胸を張ると、ピュラさまは嬉しそうな顔をした。

「そう。これであなたも私たちの仲間ね」
「え?わたし、たち?」

 わたしたちって?
 その時、隣の部屋から誰か入ってきた。

「そうよ、リディアちゃん」
「え?アンナさん?」

 そこにいたのは、私が勉強を習いに行っている教会にいるアンナさんだった。
 どうしてアンナさんがここに?

「あ、もしかしてアンナさんも?」
「そうよ、私もシトリー様の下僕なのよ」

 そう言ってアンナさんが笑った。
 そうか、アンナさんもおじさまの下僕だったんだ。
 やっぱり、人間でもかしこい人はたくさんいるんだ。悪魔のわたしも負けてはいられない。

 そんなことを考えていると。

「はーい!あたしもだよっ、リディアちゃん!」

 いきなり、猫耳の女の人が現れたので、すごくびっくりしてしまった。

「きゃ!だれっ!?」

 知らない人だから思わずそう訊くと、その人はひどく傷ついたような様子だ。

「えーっ!エミリアよエミリア。名前は知ってるでしょ。黒猫のエミリア。その姿の時は何度も見てるじゃないの!」

 エミリアさん、エミリアさん。黒猫のエミリアさん?

 やっぱり知らない人だ。

「……だれですか?」
「ちょ、ちょっと、リディアちゃん!?」

 そう言って、エミリアさんは唇を尖らせる。

「おい、エミリアエミリア」

 おじさまが、エミリアさんを向こうに連れていって、何か言ってる。
 すぐに、エミリアさんはこっちに戻ってきた。

「もう、仕方ないわね。じゃあ、改めて自己紹介といきますか。あたしはエミリア。悪魔で、んでもってシトリーの下僕ね」

 なんだ。それならそうと早く言ってくれたらいいのに。
 でも、エミリアさんは悪魔なんだ。だったら、わたしの先輩だ。悪魔はわたしの仲間。はじめて会ったけど信頼できる。

「あっ、はじめまして!よろしくおねがいします!」

 わたしは、ペコリと頭を下げる。

「今ここにいるのは、みんなシトリー様の下僕なのよ。」

 そう言って、ピュラさまがわたしの頭を撫でてくれる。

「まあ、これにもう何人かいるけどな。ところで、ピュラ、どのくらい時間が経ってる?」
「3時間を少し越えたところです」
「そうか。アンナ、まだ時間はあるな?」
「はい」
「よし。じゃあ、リディア。もう一度きみを抱いてやろう」

 え?いま、なんて?

「おじさま?」
「さっきは、おまえの世界だったから、今度は、ここで、現実の体で僕と交わって、それで、晴れて僕の下僕として一人前になるんだ」
「は、はいっ!」

 おじさまったら、みんなの前でそんな……はずかしい。

「良かったわね、リディア」

 うしろから、ピュラさまが抱いてくれる。て、ええっ?

「ピュラさま。ああっ!?ピュラさま?」

 ピュラさまが、わたしのローブを脱がせていく。
 そして、わたしは裸でおじさまの前に立つ。
 はずかしいけど、これからしてもらうことを考えると、うれしくてたまらない。

「可愛らしいわよ。ふふ、それでは準備を始めましょうか」
「あっ、あんっ、ピュラさま!」

 いきなり、ピュラさまがうしろからわたしの首を舐める。
 なんか、ぞくっ、として、でも、いやな感じじゃない。
 でも、準備って?

「ああっ、ピュラさまぁ!」

 ピュラさまの舌が動くと、ぞくぞくとした気持ちが広がっていく。

 あ、気持ちいい。

 わたしは、力が抜けて、ペタンと床に座り込む。

「ふふふっ!それじゃあたしもお手伝いしちゃおうかなっ!」

 今度は、エミリアさんがわたしの足を抱えて、ふとももを舐めはじめた。

「あああっ、ふあっ!」

 エミリアさんの舌、なんか、ざらざらして、ものすごく感じちゃう。

「んふ、れろ、リディアも大きくなったわね。ここに来た頃は、ここなんかぺったんこだったのに」

 今度は、ピュラさまがうしろからわたしのおっぱいを揉みはじめた。

「ああんっ、あっ、ピュラさまぁ!あっ、はああぁ!」

 乳首の先をコリコリッとつままれると、体がビクンッ、てなっちゃう。

 なんだか、体がポカポカしてきた。

 ずるいよ、ふたりでそんな……。

「そっ、そんな、ふたりで、いっぺんにっ!んん!?んむむっ?」

 わたしが抗議しようとしたら、柔らかいものがわたしの口を塞いだ。

 これは、アンナさん?

「んぐっ、んむむ、んふ、むふうううぅ」

 アンナさんのキス、気持ちいい。

 おじさまの、ビリビリくるような気持ちよさとはちがうけど、柔らかくて、温かくて、とろけそうなキス。

「んん、んむ、ん、あふ、ふう。リディアちゃんの唇、おいしい」
「ふああぁ。アンナ、さぁん」
「こっちはどんな味がするのかしら?」

 ようやくアンナさんとのキスを終えると、その余韻に浸る間もなく、アンナさんは、今度はわたしのおっぱいに吸いついてきた。

「あ、ふあああっ!」

 おっぱいを吸われて、舌の先で乳首をチロチロといじられる。
 もう片方のおっぱいをピュラさまが掴むようにして揉んでいる。

 もう、体中が気持ちいいのでいっぱいになってくる。

「ひあっ、んあああああっ!」

 アソコのあたりがいきなりビクッ、てして、首が跳ねた。
 エミリアさんが、わたしのふとももの間に頭をうずめて、アソコを舐めている。

「ぴちゃ、んふ、すごい。リディアちゃんのここ、もうこんなにぐしょぐしょだよ」

 うん、それはわかってる。また、わたしのアソコから、何かいっぱい出てきてる。

「あああっ、だめえっ!こんなのっ、わたしっ、おかしくなっちゃう!」

 もう、体中気持ちよくないところがなくて、気持ちいいのに埋め尽くされて、頭の中が痺れてくる。

「いいのよ、おかしくなっても。シトリー様の下僕になるということはそういうことなんだから」

 そう言って、ピュラさまはさらに激しくおっぱいを揉んで、首のあたりを舐める。

「ふわあぁ、ピュラさまあぁ」

 そうなの?おかしくなってもいいの?わたし、もう、ほんとうにおかしくなっちゃうよ。

「ああっ、らめっ、らめえっ!きもちっ、きもちいいいいいっ!ひああああっ!」

 だめ、気持ちいいのが続いて、元に戻れなくなっちゃう。
 アソコがじんじん熱くなって、なにかいっぱい出てきてる。

「すっご!まるで噴水みたい!」

 エミリアさんの声が、遠くで聞こえるみたい。

 ああっ、それ以上アソコを舐めると、わたし、帰ってこられなくなっちゃうよ!

 ピュラさまも、アンナさんも、そんなにおっぱい弄っちゃだめえっ!

 きもちいい、きもちいいよ、このままじゃ。

「ああっ、らめえっ!わらしっ、もうらめええええっ!」

 頭の中で何かが弾けて、真っ白になる。

「すごい、すごいよぉ、リディアちゃん!」

 だれ?なにをいってるの?

「これで準備は万端ね。リディアちゃん」
「では、いよいよシトリー様にしてもらいましょうね」

 これはだれのこえ?
 なんか、ゆめのなかみたいではっきりしない。

 誰かが、わたしを立ち上がらせた。
 なんだか、雲の上を歩くようにふわふわとする。

「こちらにおいで、リディア」

 あ、あ、このこえはわかる。おじさまだ。

 みえる。おじさまがすわってて、あ、あれは、おじさまのおちんちん。またおおきくなってる。

 わたしは、おじさまの方に歩いていって、その肩に手をかける。

「さっきと違って、今度は少し痛いかもしれないけど、我慢するんだよ」

 ほしい。おじさまのおちんちん、ほしい。

 もう、わたしの頭にあるのはそれだけ。

 わたしは体を沈めると、おじさまのおちんちんをもって、アソコにあてる。
 そして、さらに体を沈めた。

「んぐっ、くうううううっ!」

 いやっ、いたいっ、どうして!?

 あんなに欲しかったおちんちんなのに、何でこんなに痛いの?

「大丈夫かい、リディア?」

 おじさまの声がする。

「はぐっ、くうううっ!らっ、らいりょうぶれすっ!んくううううっ!」

 だ、だいじょうぶ。わたしはしってるんだから。
 おじさまのおちんちんは、すごくきもちいいって。だから、こうしていれば。 

 わたしは、あの、わたしの世界での気持ちよさを求めて、必死に腰を動かす。
 こうしていたら、きっと気持ちよくなるはずだから。

「くうっ、くはあっ、あっ、んくううっ!」

 がんばって、もうすぐ、もうすぐきもちよくなれるから。
 だから、がまんしないいと。

「ぐっ、んくっ、ああっ、あっ!?あああっ、はああああっ!ぎっ、ぎもぢっ、いいっ、れすうううっ!」

 そして、その瞬間が来た。

 これだ、このきもちよさだ。ああ、おちんちんが、アソコをおなかのなかを、でたりはいったりしてる。

 気持ちよくて、さっきよりも滑らかに体を動かすことができる。
 そうすると、どんどん気持ちいいのが大きくなっていく。

「んんっ、しゅ、しゅごいのおおおっ!おじさまのっ、いっふぁいに、かんじれっ、はうっ、ぎもぢいいのっ、どまらないいいいいっ!」

 きもちいいっ!おちんちん、きもちいいっ!

 さっき、ピュラさまたちに気持ちよくしてもらったから、すぐこんなに気持ちよくなって、それがずっと続いてる。
 ほんとうに、気持ちいいのが、もう止まらない。

「あっ、はあっ、あんっ、ひぐっ、んっ、ひあああっ!」

 わたしは、おじさまにぎゅうっと抱きつく。
 おなかのなかで、おちんちんがずんずん動いて、ときどきビクビクッてして、その全部が気持ちいい。

 もっと、もっとちょうだい!

「あっ、はんっ、うんっ、あんっ、あっ、はんんんっ!」

 わたしの体は、大きく跳ねるようにして動いていた。
 そのたびに、つま先から頭のてっぺんまで、気持ちいいのがずしんと響く。

 わたし、知ってるんだ。こうしてると、あの、熱いのがおちんちんから出てきて、いっぱい気持ちよくなれる。
 さっき、向こうの世界で、おじさまにそうやっていっぱい気持ちよくしてもらったから。

 ほしい。おちんちんのあついのがほしい。そして、いっぱいきもちよくなりたい。

 必死で腰を動かしていると、わたしの中でビクビクビクっておちんちんが震えた。

 くる!あのあついのがくる!

「ふあああっ!くらさいっ!おじさまのっ、あのあづいのっ、くらさいいいいいっ!」

 わたしは、すっかりうれしくなって、おじさまを抱きしめる。

 すると、おちんちんから、あついのが、いっぱいいっぱいでてきた。

 わたしの体が、ぎゅうううって反り返る。

「ああああっ、あづいいいいぃ!」

 わたしのなかが、あついのでいっぱいになっていく。
 ああ、おじさまが、わたしのなかにしみこんでくる。
 きもちいいのと、しあわせなので、もうなにもかんがえられない。

 なんだか、めのまえのけしきがきんいろになっていって、まるでおじさまのめみたいだなっておもってから、なにもわからなくなった。







「ん、んん……」

 目を開くと、まず探すのはおじさまの姿。

「あ、おじさまぁ」
「気付いたか、リディア」
「ん、はいいいぃ」

 おじさまの言葉に返事をするけど、まだ気持ちがふわふわして、自分の声じゃないみたい。

「これでおまえも立派な僕の下僕だ」
「はい」

 そういわれて、やっとおじさまの下僕になった実感が湧いてくる。

「良かったわね、リディア。これであなたも本当に私たちの仲間よ」
「ありがとうございます。ピュラさま」

 ピュラさまがそう言って微笑む。
 アンナさん、エミリアさんも微笑んでいる。

 ここにいるのは、ほんとうの仲間。

 わたしは、今日という日を決して忘れない。
 悪魔としての自分に目覚め、おじさまの下僕になり、ほんとうの仲間ができた。

 これが、この温もりがずっと欲しかったんだ。

 笑顔でわたしを見守るみんなを眺めながら、わたしは生まれてはじめての幸せに包まれていた。





* * *





「えええっ!?おじさま!?」

 エミリアさんがおじさまになんかしていると思ったら、おじさまの体がみるみる女の子の姿になっていくので、わたしはビックリして大声をあげる。

「そんな!おじさまが女の子に!?」
「そんなに騒ぐんじゃない」

 おじさまが、わたしを叱った。
 その声まで、かわいい女の子の声になっている。

「だいいち、メタモルフォーゼくらい魔導師でもできるだろうが」
「でもっ」

 そうだけど、どうして!?

「この姿の方が怪しまれなくて済むんだ。だから、都にいる間はこの姿になることにしている」
「そ、そうだったの?」
「それに、悪魔だということがばれたらどういう目に遭うか、おまえならよくわかるだろうが」

 あっ、そうだ。
 悪魔であることが悪い人間たちに知られると、いじめられてしまう。
 おじさまは、そんな世界を変えるために戦おうとしているというのに。
 その前に正体を知られるわけにはいかないんだ。

「あっ!ごめんなさい、おじさま」
「わかればいいんだよ。それと、この姿の時はシトレアって呼ぶんだぞ。おじさまなんてもっての外だからな」
「は、はい」
「ああ、それとリディア」
「なに、おじさ……あ!シ、シトレア、ちゃん?」

 シトレアちゃん、て、何か変な感じ。

「早速だが、おまえにやってもらいたい仕事がある。幻術を使う仕事だ。それを、人間どもを陥れる手始めにする」
「はい!」

 そうだ、叱られてしょげている場合じゃない。わたしにはやらなければいけないことがあるんだ。
 それに、この仕事は、とっても楽しそう。
 いよいよ、おろかな人間たちに制裁を加えることができるのだから。

「少し準備が必要だから、始めるのは、そうだな、5日後にする。エミリア、おまえにも手伝ってもらうからな」
「うん、わかった」
「ピュラには、連絡係を頼む」
「かしこまりました」

 おじさまがみんなにテキパキと指示を出す。
 やっぱり、みんなおじさまの下僕なんだ。
 
 よし、わたしもがんばろう。

「よし、じゃあそろそろ帰るぞ」
「はい」

 おじさま、じゃなかった、シトレアちゃんは、アンナさんに手を引かれて部屋を出ていく。





 この日、わたしは悪魔として生まれ変わった。
 きっと、わたしにとって記念すべき日になるだろう。

 でも、すべてはあの時始まったのだ。

 いじめられて泣いていたわたしの前に、おじさまが現れた。
 いつもひとりぼっちだったわたしの人生を、あの日から、おじさまが変えてくれたのだ。

 
 


 

 

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