アクマは堕ちるとなんになる!?


 

 



前編

悪魔が家にやってきた



「ふむ……この輝き、実にいいな……」

 大きな金属製の丸盾を銀磨き用の磨きクロスで丁寧に表面を拭ってやると、まるで鏡面のように滑らかな輝きを放ち自分の顔がそこに映る。
 いや、鏡面のようにというのは正しくないな。
 この盾の表面は文字通り鏡になっているのだから。
 なにしろ、この盾はかのペルセウスがメドゥーサを退治したときに使っていたものなのだ。

 ……おまえたち、信じておらぬな。
 これは高かったんだぞ!
 ネットオークションで15万8000円もしたのだからな!

 うむ、いささか興奮してしまった。
 我が名は黒井類(くろい るい)。
 いや、大魔術師ルイ・ノワールとでも名乗っておこうか。
 なにしろ齢30にして古今東西のあらゆる魔術、呪術に通じているのだから。

 そしてここに並んでいるのが我がコレクションだ。
 さっき紹介したのが先日購入したばかりの鏡の盾。

 そして、これは乾燥させたマンドラゴラの根だ。
 見事な人型をしているのがわかるだろう。
 マンドラゴラは様々な魔術やマジックポーション作成に欠かせない貴重品なのだぞ。
 これもネット通販で3万円もしたのだ。

 そして……おお、これも高かったのだぞ。
 かの有名な三蔵法師が孫悟空に使ったという緊箍だ。
 ちゃんと、これを締めるための緊箍呪も付録として付いていた。
 危険だからまだ使ったことはないのだがな。

 ああ、そこにある白い石も貴重なものだぞ。
 ストラングリアというもので、ユニコーンの体内で生成され、万病を治す薬の材料となるものだ。
 ただ……それはもしかしたら偽物かもしれぬ。
 なにしろ1000円だったからな。

 ……む、貴様ら、まだ信じておらぬな。
 私はただネットオークションで古物を買い漁るだけの男ではない。
 先ほども言ったようにあらゆる魔術に通じた今世紀最大の魔術師なのだ。

 まだ信じぬと言うのであれば証拠を見せてやろう。
 今日はこれからちょっとした実験を行うことにしているのだ。
 これを使ってな。
 これは一見ボロボロの本のように見えるが、悪魔を召喚する術が書いてある魔術書なのだ。
 ネットオークションでの謳い文句によると、ここに書いてある方法を使えば魔王すら呼び出して使役することができるというなかなかにすごい本なのだぞ。
 これには20万円以上も金をかけたのだからな。
 ただ、問題は内容がかなり難解なことだ。
 なにしろ何が書いてあるのか全然わから…………い、いや、ふははははっ!
 今世紀最大の魔術師であるこのルイ・ノワールにわからないことなどないのだ。

 そ、そうだっ、こ、こういった魔術書は読んで理解するものではない、感じるのだ。
 私ほどの魔術師になればこうやって見ただけでその内容が伝わってくるのだ。
 だからわかる! この魔術書にある魔法陣を使い、そこに書いてある呪文を唱えれば魔王を召喚して下僕として使役することができるのだ。

 魔法陣はすでに本にあるとおりのものを床に描いてある。
 呪文の方はネットで調べてみても意味すらわからなかったが、といよりも魔術書自体は見たこともない文字を使って書いてあった。
 ただ、おそらく前の所有者が英訳したらしいメモが数ページ分付いていた。
 さいわいこの魔法陣に続く、呪文と思しきページのメモもあったので、読み方はそれらしいものをカタカナ書きにしたものを用意した。

 おそらくこれで大丈夫なはずだ。
 そう、私の直感が言っている。
 これで魔王を呼び出せると。

 さてと、ではさっそく取りかかるとするか。

 魔法陣の前に立つと、魔術書を広げて咳払いをする。
 そこにはちゃんとカタカナで呪文を書いたメモが挟んであった。
 私のすることに抜かりはないのだ。

「う゛ぇ、う゛ぇ、う゛ぇるっ……痛たたたっ!」

 いかんいかん。
 いきなり舌を噛んでしまった。
 私としたことが情けないことだ。
 やはり緊張しているのであろうか?
 いや、これは少しばかり気持ちの昂ぶりを抑えられていないだけだ。
 今世紀最大の魔術師たる私が緊張などするはずないのだから。
 さて、気持ちを落ち着けてもう一度。

「ヴェルム アスヌム ドゥア キビャノーク ブラトレ ディ オブゼリアンティーレ ディア エーレン ウプ サラ マスガメイン ガレーアノール イ ディオラ キュイ ウニヴェルサム アプ セヴェリン イクス ゲリ ウェラフッティ!」

 呪文を唱え終えるのと同時に魔術書を高々と掲げる。
 しかし、部屋の中はしんと静まりかえったまま何も起きる気配はない。

 むう……失敗したか。

 そう思った次の瞬間、床に描いた魔法陣が禍々しい光を放ち、辺りに薄紫の煙が立ち上った。

「なっ、なんだっ!?」

 なんと形容したらよいのだろうか。
 いささか矛盾しているが、輝きを帯びた闇とでもいうべきものが魔法陣から湧き上がってくる。
 その、宙に浮かぶように漂う闇の塊が次第に集まって、人型のシルエットを形作っていく。

"ふーん、この時代にあたしを人間界に呼び出す者がいるなんてね"

 これは……声か?
 いや、頭の中に直接響くような……。

 それは、若い女を思わせる声のような何か。
 それが耳から聞こえるのではなく頭の中に直に入ってきているような感覚を覚えた。

"……って、なによ? あんたがあたしを召喚したっていうの?"

 まただ!
 明らかに少し甲高い女の声が頭の中に響く。

「……なっ!?」

 立ち込めていた煙が薄れ、目の前の人型の影がはっきりと見えるようになる。
 なんと、そこにいるのは黒髪の若い女だった。
 レザーのビキニスーツに同じく黒光りするレザーのニーソックスという姿で、やけに露出が高くて目のやり場に困る。
 というか、何という大きな胸をしてるんだ……。
 いやいや、コホン……。
 その割に顔つきは目がクリッと大きくて子供っぽい。
 どう見ても女子高生くらいに見える。
 ただ、その頭からは渦を巻くようにねじ曲がった角が2本生えていた。

「お、おまえが魔王なのか?」
"ああん? なんですって?"
「だから、おまえが魔王なのか?」
"だから、なんて言ってるのかわからないってば!"

 そう言うと、そいつの手がこっちに伸びてきて私の頭に触れる。

「……ううっ!?」

 一瞬、全身がカッと熱くなって痺れるような感覚に襲われるが、それもすぐに治まった。

「ふうん、日本っていうのね。人間界に呼び出されるの自体けっこうひさしぶりだけど、この国は初めてだわ」

 と、そいつが今度は声に出して、たしかに日本語でしゃべった。

「お、おまえ、さっきなにをしたのだ?」
「ん? あんたの知識を読み取らせてもらったのよ。あたしは思念を直接送り込むことができるけど、あんたが何を言ってるのか全然わからなかったからね。あんたのしゃべってる言葉と、この国に関することを読み取ったの」
「そ、そんなことができるのか?」
「ええ、人間の記憶や知識を読み取るくらい朝飯前ね」

 と、そいつは当然だと言わんばかりの表情をする。

「そうか。で、おまえは魔王なのか?」
「は? なに言ってんの? あたしはティミリア。魔王の第883王女よ」
「第883王女……なんだ、魔王の娘なのか……」
「なによ? なにシケた顔してんのよ?」
「私は魔王を呼び出したつもりなのに間違ってこんな小娘を召喚してしまうとは……情けない……」
「あんたケンカ売ってんの? たしかにあたしは1000人いる親父の子供たちの中じゃ下から数えた方が早いけどさ、それでもあんたの200倍長く生きてるんだからね! だいたい、あんたみたいなただの人間が魔王を下僕にしようなんざ6000年早いわ!」

 そう言うと、ティミリアと名乗ったその悪魔はグイッと親指を下向きに突き出す。

「なななっ、なぜ私が魔王を下僕にしようとしていたことがわかる!? それに、なんて品のないジェスチャーなんだ」
「あたりまえでしょ。さっきあんたの頭の中を覗いたんだから。で、この国ではムカつく相手にはこうするんでしょ? 誰があんたみたいに本当の魔法のことなんかろくに知らない中身スカスカな人間の下僕になるっていうのよ!」
「ししし、失礼な! 私は今世紀最大の魔術師ルイ・ノワールだぞ!」
「いや、あんた黒井類でしょ」
「大魔術師ルイ・ノワールだ!」
「いやだからあんた黒井類でしょ」
「ルイ・ノワールだと何度言えばわかるんだ!?」
「だからあたしはそっちの記憶を読み取ってんだから名前くらいわかってんだっつってるだろうがぁっ! はぁ……馬鹿の相手は疲れるわ。こんな奴に召喚されたのかと思うと自分が情けないわよ」

 くそっ……生意気なやつだ。
 魔王本人ならともかく、たかだかその娘のくせに。

 大袈裟にため息をついて肩を竦めているのがやたらとむかつく。

「可愛げのない小娘だな、まったく。でもまあしかたがない、おまえでいいから我が下僕になれ」
「いやよ」
「なんだと!? この魔導書で召喚されたのだから私の下僕になるはずじゃないのか?」
「はぁ? そもそもあたしを召喚できただけでも奇跡みたいなものなのよ。あんたみたいなただの人間の下僕になるはずないでしょ」
「なにを言うか! 私は大魔術師……」
「あー、それもう聞き飽きたから。なにが大魔術師よ、ど素人がたまたままぐれ当たりしただけのくせに」

 そう言って、また大袈裟に肩を竦めてみせる。
 本当に憎たらしい態度。
 なんと腹立たしいやつなんだ。

「おのれ……下僕になる気がないのならさっさと魔界に帰るがいい」
「いやよ。せっかく人間界に来たんだからしばらくの間楽しませてもらうわ。どうしても帰って欲しいんだったら強制送還の魔法でも使ったらどうなの? あんた大魔術師なんだからそれくらい簡単でしょ」
「ぐむむむむ……」

 全く、本当に腹の立つ小娘だな。
 呼び出されておきながら私の言うことを全く聞かないとは……。

 だいいち、送還のやり方なんか知っているわけがないではないか。
 召喚して使役することしか考えてなかったんだからな。
 私を言い負かした気でいるのか、その勝ち誇ったような態度も癇に障る。

 すると、腕組みをしながら蔑むような視線をしていた小娘がとんでもないことを言い出した。

「そうだ、いいこと考えたわ。あたしがこっちにいる間ここを拠点にさせてもらうから、あんたがあたしの下僕になりなさいよ」
「なんだと!? 貴様、この大魔術師ルイ・ノワールに下僕になれというのか!」
「だからもうそれ面白くないってば。まあ、あんたじゃ大した役には立ちそうにないけど、あたしの身の回りの世話くらいはできるでしょ」
「ふざけるな! 誰が貴様なんかの下僕になるものか!」
「あらそう? 残念ねぇ」

 ……ん? なにをするつもりだ?
 小娘の口許がきゅっと吊り上がり、文字通り悪魔じみた笑みを浮かべた。

「でも、あんたの気持ちは関係ないのよねぇ」

 そう言って振り上げた小娘の指先に光が集まりはじめる。
 それも、ただの光ではない。
 こうやって近くにいるだけで総毛立ってくるような、異様なエネルギーがそこに集中していくのを感じるようだ。

 ただならぬ気配に思わず後ずさりしてしまう。
 だが、それもわずか数歩のこと。
 我がコレクションを陳列してある棚にぶつかってしまった。

「貴様、な、なにをする気だ?」
「だから言ったでしょ。あんたに下僕になってもらうって。この魔法はね、チャームの魔法の変形版といったところかしら。チャームをかけられた者がその相手の姿に魅了されてしまうように、この魔法をかけられたら、最初に見た相手のいいなりになってしまうのよ。それこそ本人の意志は関係なく、命令したとおりになるの。つまり下僕確定ってわけ」
「なんだとっ!?」

 こやつ、なんという素晴らしい魔法を使えるのだ!?
 その魔法、是非とも我が物にしたい。

 ……いや、その前にこのままではこやつの下僕にされてしまう。
 それだけはなんとしても避けなければ。
 ……ん? そういえばこやつの言っていたとおりなら。

「ふははははっ! さっきおまえはこの魔法をかけられて最初に見た相手の言いなりになると言ったな! ならば、こうして目を瞑っていればよいのだ!」
「あんたホントに馬鹿でしょ。敵の前でそうやって目を瞑ってたら殺されちゃうわよ、普通」
「なんと! しっ、しかしっ、だからと言って目を開けていては貴様の魔法の餌食にっ……」
「いやもう、なんか馬鹿すぎてあんたと話してるの疲れるわ。残念だけど目を瞑ってても無駄だからね。この魔法をくらうと雷に打たれたような衝撃が走って思わず目を見開いちゃうのよね」
「うぬぬっ! なんと狡猾なっ!」
 
 小娘の言葉に目を開くと、子供っぽい外見に似合わない、背筋が寒くなるような薄笑いを浮かべながらこっちに一歩踏み出してくるところだった。
 その指先に浮かぶ光の球が妖しい輝きを増した。

「さあ、あたしの下僕になりなさい!」
「ひぃいいいいいいっ!」

 小娘が叫んだ瞬間に再びぎゅっと目を閉じて、咄嗟に後ろの棚から掴んだものを前にかざして防ごうとする。
 すると……。

「きゃあああああっ!」

 ……ん?
 これは小娘の悲鳴?
 いったいなにがどうなったんだ?
 雷に打たれたような衝撃があると言っていたのになんともないようであるし……。

 どうやら自分に魔法がかけられたわけではないと思って目を開くと、小娘がその場に座り込んでこちらを見上げていた。

 これは……?
 それに、この両手にずっしりくる感じは……。

 事態がよくわからないままに手にしていたものを見る。

「おおっ! これはっ!」

 無我夢中で掴んでいたのは、買ったばかりの鏡の盾ではないか。
 なんと、メドゥーサの石化の視線からペルセウスを守ったように私を悪魔の魔法から守ってくれたのか!
 うむうむ、やはりこの鏡の盾は本物だったのだな。

 それにしても、この小娘の様子は?

 状況が飲み込めずにいると、小娘が慌てふためいて出口の方に這いずりはじめた。

「おい、待て」
「きゃっ!」

 何気なく声をかけただけなのに小娘がその場に尻餅をついた。

「どこに行くつもりだ?」
「はっ、ははは、早くここから逃げようとしたの……って、やっ、だめっ! 口が勝手にっ!」

 なんだ?
 さっきまであんなに余裕綽々だったのに、なにをそんなに狼狽えているのだ?

「少しはおとなしくしろ」
「ひぃっ!」

 ワタシの言葉に、じたばたしていた小娘の動きが止まる。

 ん?
 これはまさか……?

 もしやと思って、試しに命令してみる。

「両手を上に挙げろ」
「やっ! いやぁああっ!」

 おおっ、これはやはり!

 命令したとおりに、小娘がその場に座り込んだまま両手を挙げてバンザイをする。

 うむ、間違いない。
 跳ね返った自分の魔法を自分でくらったのだな。

 ということは……。
 こいつはもう私の言いなりということか。
 だったら。

「よーし、魔法を使うのは禁止だ。逃げるのもだめだぞ」
「くっ……!」
「それじゃ、こっちに来て土下座してもらおうか。私の頭の中を覗いてたんだから土下座くらい知ってるだろう?」
「あんたっ、覚えてなさいよっ! ……くうううっ!」

 いったんこちらを睨んですごんだその言葉とは裏腹に、体の方はその場に両手をついて土下座をする。

 ふふん、これはおもしろい。
 期せずして悪魔を下僕にするチャンスを得たというわけだ。
 私の魔法によるものではないのが少し癪だが。

「とりあえず、さっきの無礼の数々を詫びてもらおうか。そのまま床に額をつけて『偉大なる魔術師ルイ様に失礼なことを言って申しわけありませんでした』と言うんだ」
「なっ……!? くっ……い、偉大なる魔術師ルイ様に失礼なことを言って申しわけありませんでした」

 小娘が額を床に擦りつけながら、言ったとおりの詫びの言葉を言う。

 ふふん、いいザマだな。
 こうやって悪魔を思いのままにできるというのは実に気持ちがいい。

 しかし、せっかく魔術師としての高揚感に浸っていたというのにすぐに小娘が顔を上げて睨みつけてきた。

「殺してやる! あんた絶対に殺してやるんだから!」
「ふふん。そんなことが言える立場なのか? おまえは魔法によって私の言いなりなんだぞ」

 なんと言われようと絶対的優位はこちらにあるのだから余裕だ。
 今のこいつに私を殺せるわけがない。

 しかし、次に小娘が口にした言葉に思わず顔が引き攣るのを感じた。

「なに偉そうにしてるのよ! あんたの魔法じゃないくせに!」
「くっ……小娘っ!」

 こいつ!
 私が一番気にしていたことを!

「もう容赦ならん! 貴様に下僕の心構えを一からたたき込んでやる!」
「なっ、なにをするつもりよっ!?」
「なにをするもなにも、貴様は私の下僕で、私は貴様の主人なんだからな」
「だからっ、あたしはあんたの下僕になんかなるつもりはっ……」
「うるさい! 貴様は私の下僕だ。そして、下僕である貴様は主人である私に対して敬愛の念を持つんだ!」
「なななっ、なにをっ! だっ、誰があなた様の……やっ、違う違う違うっ!」

 小娘がブルンブルンと頭を振って抵抗する。
 こいつ、これ以上魔法が効かない?
 いや、精神力で耐えているのか?

「いいか、貴様は私を心から慕い、真心を持って仕えるのだ」
「や……そんなの違う……。あたしがそんな気持ちに……やっ、いやぁ……」
「私に対して愛情を持ち、私のために尽くす。それが貴様の全てであり喜びなのだ」
「いや、やめて……そ、それ以上言わないで……それ以上言ったら、あたし、あたし……」

 言葉で畳みかけていくと、小娘の態度が明らかに変わっていく。
 さっきまでのぎらついた光が瞳から失せ、怯えたように唇を震わせながら小娘が力なく首を横に振る。
 そのしゃべり方も弱々しくなっているように思える。

 ふむ、やはり効いているみたいだな。
 では、最後の一押しといくか。

「さあ、身も心も、全てを私に捧げて私の下僕となれ!」
「ああああああっ!」

 叫び声を上げた小娘が、雷にでも打たれたようにガクリと両手を突く。
 項垂れたその肩がブルブルと小刻みに震えていた。

 かと思ったら……。

「ルイ様ーーっ!」
「わっ!?」

 いきなり小娘が私に縋りついてきた。

「なっ、なんだ!?」
「申しわけありませんでした、ルイ様! あたしが全て間違っていました! ルイ様に対する無礼の数々、どうかお許しくださいませぇっ!」
「お、おお……わかればいいのだ。では、私の下僕になるということでいいのだな?」
「もちろんです! ティミリアはルイ様の下僕です! あたしの全てを懸けてルイ様にお仕えしますぅううううっ!」

 おお、これは……。
 どうやらこいつを下僕にするのに成功したようだ。
 涙目になって必死に訴えてくる姿を見ると、まんざら悪い気はしない。

 ふむ、悪魔もこうなったら可愛いものだな。
 実際、顔だけ見ると子供っぽい雰囲気もあるしな。
 そのくせ、顔立ちは整っていて美人でもある。

「よし、心を入れ替えて私に仕えるというのなら今までのことを許してやろう、ティミリア」
「はいっ! はいっ! 今から誠心誠意ルイ様にお仕えいたしますぅううっ!」

 うむ、ここまで従順になるとますます可愛く思えてくる。
 それにこの娘、ただ顔がいいだけではないし……。
 その体も……ぬおおおっ!

「……ふおおっ! こっ、これはっ」

 なななっ、なんとこっちに押しつけられた胸がプニプニと揺らめいているではないか!
 ただでさえ小さめのレザービキニからはち切れんばかりの大きさだというのに、それが私の体に当たってゴムボールのようにぐにゃりと形を変えている!

「どうかなさったのですか、ルイ様? え? これは? …………あっ」

 不思議そうに首を傾げたティミリアが、視線を下に落とす。
 そして、私のズボンの股間がもこっと膨らんでいるのに気がついた。

「あっ、いやっ、これは……」
「なーんだ、ルイ様ったらそうだったんですね」

 慌ててごまかそうとする私を見上げて、ティミリアが満面の笑みを浮かべた。
 そして、いきなりベルトを外して私のズボンをずり下ろした。

「わわわっ、こらっ!」
「こんなに大きくして、素敵です……それにすごく熱い……」
「おっ、おおおおっ!」

 引っ張り出した私のペニスをティミリアが嬉しそうに掴む。
 そして、そのままクイッっと扱いた。

「ふぉおおおおっ!」
「ホントに大きい。でも、ガチガチになりすぎて苦しそう。だから、あたしが気持ちよくしてあげますね。……ふふっ、ん〜、ぺろっ、んふ、えろっ」
「おほっ、おほおおおっ!」

 ペニスを握ったまま、ティミリアがその先を舐める。
 温かく柔らかいのに妙にざらつく舌が這い回る感触は、腰が抜けそうになるくらい気持ちいい。

「ぺろろっ、んっ、れる、ん〜、えろろ……んふ、もうおチンポぴくぴくしてきましたよ、そんなに気持ちいいんですか? だったら、ん〜、はむっ」
「ほおおっ!」

 今度はペニスが熱く湿った感触に包まれた。

「んふ……どうれふか? きもひいいれふか? ん、あふ、ちゅぽ……」
「ほっ、ほうっ……おほおおおっ!」

 ペニスの先っぽを咥えて舌先で弄りつつ、根元に添えた手を小刻みに動かして扱く。
 あまりの快感に膝がガクガク震え、今にも射精してしまいそうだ。
 それがわかるのかティミリアが上目遣いに見上げてきて嬉しそうに微笑んだ。

「じゅぷ……いつでも好きなときにピュピュってしてくださいね。ん、あふ、じゅぷ、ちゅる、ん、ぬぽ……」
「はうっ、あっ、あああっ、もっ、もうっ……おおおおおっ!」
「……んんっ! んくっ……きゅっ、ごきゅ」
「おおぅ……ふぉおおお……」

 私がその口にぶちまけたものをティミリアが喉を鳴らして飲み込んでいく。
 なんというか、吸い取られるような強烈な感覚。
 もう、出るものは全て出してしまったかと思えたのに。

「ふうぅ、すごい……いっぱい出ましたね、ルイ様」
「うっ!」

 唇をドロリと白い液体で汚しながらニッコリ微笑むティミリアの姿を見ると、またもや下腹部に血が集まっていくように感じた。

 それも当然だろう。
 なにしろ、今までの人生で女の子にこんなことをされるのは初めてなのだから。
 それも、こんなに可愛らしい子とだ。
 最初こそ口の悪い小娘だと思ったが、今や従順な下僕になったとあればこれほど興奮するものはない。

「うわぁ、すごい。またこんなにガチガチになって。うふふ、いいですよ」

 そう言うと、ティミリアはその場で大きく足を開き、レザーのパンツの股間をずらして見せた。

「ティミリアの体は全部ルイ様のモノなんですから。もちろん、ここも」
「おおおっ!」

 これまた人生で初めて見る女の子のそこを、指先でくぱぁと広げてティミリアが誘ってくる。
 赤く爛れようになった肉襞がひくつきながら、トロトロと汁を溢れさせているのが丸見えだった。

 これはなんと……なんといやらしい……。

「さあどうぞ。ルイ様専用のこのおまんこを思う存分使ってくださいませ」
「おおお……おうっ!」

 ティミリアの言葉に頷くと、急いでその両足を抱え込む。
 大魔術師としてはいささか品性に欠けるとは思うが、私は魔術師である以前に男だ。
 据え膳食わぬは男の恥と言うではないか。
 ならば心ゆくまで楽しむまでと洪水状態のティミリアの秘裂にペニスを宛がい、そのまま押し込んだ。

「あんっ……ルイ様のがっ、入ってきてるぅうううううっ!」
「おおっ! うぉおおおおおおっ!」

 一気に奥までペニスを挿し込むと、ティミリアが甲高い声を上げて体をのけ反らせる。

 なんと……これが女の中の感触というものなのか……。
 一瞬柔らかく感じたかと思うときつく締めつけてきて、こうやってただ入れただけでもペニスを絞るような快感が背筋を駆け抜けていく。
 それに、なんと熱くうねっていることか。
 このような気持ちのいいものがこの世にあるとは想像もしていなかった。
 こんなもの、もっと楽しみたくなるではないか。

「おおっ、うおっ、はっ、はんっ!」
「あっ、やんっ、いきなりっ、激しっ!」

 ティミリアの中の感触をもっと味わいたい衝動に駆られるままに腰を動かす。

「おうっ、これはっ、いいっ、いいぞっ、ティミリアッ!」
「はんっ、はっ、はいっ、あたしもっ、ルイ様のおチンポがずぶずぶ擦れてっ、気持ちいいですっ! ふああっ、もっと! もっときてくださいいいっ!」
「ああっ、いくぞっ、ふんっ、ふおおっ!」

 言われるまでもなく無我夢中で腰を振る。

 まったく、なんと気持ちのいいものなんだ。
 柔らかく押し返してくるような秘肉を掻き分けながら奥に突き入れる時の、ペニスをぎゅっと締めつけるような感覚。
 そして、腰を引くときにペニスを逃がすまいと吸いついてくるような感触も、なにもかもが初めての体験だった。

「ふんっ、ふうっ、おおっ、ふぅんっ!」
「ああんっ、すごいいいいっ! ルイ様のおチンポで突かれてっ、あんっ、こんなにいいなんてっ! あふううううっ!」

 ティミリアの甘い喘ぎ声がBGMになって、さらに興奮を掻き立てる。

「おおおっ、いいぞっ、ティミリア! さすがは私の下僕だっ! 何という気持ちよさなんだっ! おおっ、ふぅうんっ!」
「ふああっ! あっ、ありがとうございますっ! あっ、あたしも気持ちよすぎてっ! ああっ、ふぁあああああっ!」
「はうっ!? ふぉおおっ!」

 ティミリアが軽く絶頂したのか、ペニスの締め付けがいっそうキツくなる。
 それがもたらす快感が脳天まで駆け上がってきて頭の中が痺れてくるようだ。

 さすがに、一度出しているとはいえもう保ちそうにない。
 それほどまでに初めてのセックスは気持ちよかった。

「おおおっ! ティミリアッ、もうっ、もうっ!」
「出そうなんですねっ!? ああんっ! どっ、どうぞ中に出してください! あたしの体はもう全部ルイ様のモノなんですからっ! どうぞあたしの中にルイ様の精液でマーキングしてくださいいいいっ!」
「おおっ! いくぞっ、出すぞっ、ティミリアッ!」
「どうぞきてくださいっ、ルイ様の精液であたしの中を満たしてくださいっ! ああっ、ふぁあああああああああっ!」

 ティミリアの声に導かれるように射精感に身を任せる。

「ふやぁああああ……あんっ、出てる……ルイ様の熱いのがいっぱいあたしの中に……んんっ、あふぅうううううう……」
「おっ、おおおっ、ふぉおおおおっ……」

 両足を私の体に絡ませて、ティミリアの体がヒクヒク震える。
 その度にペニスをきゅうっと締めつけてきて最後の一滴まで精液を搾り取られるようだ。
 実際、今まで経験したことがないほどに射精した自信がある。

「ふおおお……すごかったぞ、ティミリア……」

 搾り取られた精液と一緒に頭の中まで空っぽになったような気怠さに包まれながらティミリアの方に倒れ込む。

「はぃいいいい……あたしも、すごくよかったです。……ちゅっ」

 ティミリアのトロンとした表情がこちらに近づいてきて、唇を吸う。
 悪魔を下僕にしたばかりか、人生初のセックスまでした充足感が私を包み込んでいく。

 こうして、私は魔王の第883王女であるティミリアを下僕にしたのだった。






★   ★   ★







「あっ、おはようございます、ルイ様!」
「お、おう……」

 朝、目が覚めたらキッチンからティミリアの声が聞こえてきた。
 それで、改めて自分が魔王の娘を下僕にしたのだと思い出す。

 というか……。

「なんだ、その格好は?」

 ティミリアの着ている服は昨日のレザービキニではなくて、同じく黒を基調にしたゴシックメイド風の衣装になっていた。

「これですか? せっかくルイ様にお仕えするんですからこの服の方がそれらしいと思って」
「そ、そうか」
「もうすぐ朝ご飯ができますから座って待っててくださいね!」

 メイド服姿のティミリアがてきぱき動き、テーブルにベーコンエッグとトースト、それにサラダと野菜スープを並べていく。

 下僕にしておいてこんなことを言うのもなんだが、意外と家庭的なところのあるやつだな……。
 と、妙に感心してしまう。

 いやいや、こんなことをしている場合ではない。

「……あれ? なにしてるんですか、ルイ様?」
「なにって、着替えているのだ。会社に行かなければならないからな」

 そう。
 昨日は休みだったから悪魔を召喚する魔法の実験をしていたのだが、普段は会社に行っているしがないサラリーマンなのだ。

 すると、それを聞いたティミリアがなにか思い出すように首を傾げる。

「会社……ええっと、会社……ああっ! 昨日ルイ様の頭の中を覗いたときに見えたやつですね! そんなの、行かなくても大丈夫ですよ」
「いやいや、そんなわけにはいかないだろう。会社に行かないと生活が成り立たんのだからな」
「ですから、代わりが会社に行くのでルイ様は行かなくても大丈夫ですよ!」
「代わり? 代わりとはなんだ?」
「それは、こういうことです」

 そう言って、ティミリアは部屋の隅にある箱の中をゴソゴソと探り始めた。

「というか、その箱はなんなのだ?」
「ああ、これはですね、ルイ様のお役に立とうと思って夜のうちに魔界に戻って私物を持ってきたんです」
「そうなのか……って、おまえ、魔界に戻れるのか?」
「戻れますよ。だって、ルイ様からは魔界に戻ったらダメだっていう命令は受けてないですから」
「いやいや、魔界に戻れるんだったらいくらでも逃げられるのにどうしてまたここに来てるのだ?」
「なに言ってるんですか? そうしたのはルイ様じゃないですか。ルイ様のことがこんなに好きになっちゃって、ルイ様にお仕えするのがこんなに幸せに思えるようにさせられちゃったんですから」
「なるほど」

 つまり、それほどあの魔法の効果が絶大だというのだな。
 そう思うほどにあれが私自身の魔法ではないことが口惜しい。

「……あー、あったあった! これですよ、ルイ様」

 そう言って箱の奥を探っていたティミリアが取り出したのは、小さな人形……いや、人形のようなものだった。
 たしかに人のような形はしているが、蝋かなにかでできたような表面は真っ白で顔もなにも描いていない。

「これを、どうするのだ?」
「えっとですね……ちょっとだけ痛いの我慢してくださいね」

 ティミリアが私の手を取り、顔を近づける。

「おまえ、いったいなにを……痛っ!」

 指先に唇の柔らかい感触が当たったかと思うと、すぐに鋭い痛みが走った。

「申しわけありません、でも、あたしの牙は鋭いから傷も簡単に塞がるはずです。それに終わったらすぐに魔法で治しますから」

 見ると、人差し指の先にぷくっと丸い血玉ができていた。

 そのまま私の手の下にさっきの人形を持ってくる。
 そして、人差し指を軽く扱くと人形の上に血が数滴落ちた。

「それでは、少し離れていてくださいね」

 そう言うと、ティミリアは人形を床に置いてなにやら呪文を唱える。
 すると、その人形が光に包まれ、どんどん大きくなっていく。

「おおおっ! これはっ!」

 呪文の詠唱が終わると、そこにはまごう事なき私が立っていた。

「これは、なんという……」
「魔法で作ったルイ様のコピーです。ちゃんとルイ様の記憶や知識を持っていて、自分で考えて行動してくれますよ」
「それは素晴らしい……しかし、どうして裸なのだ?」
「だって、あくまでもルイ様自身のコピーで着ているものまではコピーできませんから。さあ、ルイ様、その服を脱いでください」
「あ、こら……」

 ティミリアがスーツから下着にいたるまで私の服を全て脱がせるとコピーに手渡す。

「それじゃあ、これを着てルイ様の代わりに会社ってとこに行ってきてね」
「うむ、わかった」

 コピーがそう返事をすると、鞄を手に部屋を出ていく。
 さすが私のコピーだけあって受け答えもそっくりだ。

 欲しい。
 この魔法も私のものにしたい……。

 とりあえずさっき脱いだばかりの寝間着を羽織ってコピーを見送った私の中に、むらむらとそんな欲望がこみ上げてきた。

「ティミリア! その魔法を是非とも私に教えてくれ!」
「ええええっ!?」
「なんだ、その反応は?」
「いや、だってこの魔法は悪魔でもそれなりに力がないと使えないんですよ。それを、人間が使うとなるとかなりの修行をしないと……」
「なにを言っている! 私は大魔術師ルイ・ノワールだぞ!」
「いや、まあ、そういう設定ですけど」
「設定とか言うな!」
「でもぉ……」
「でもじゃない! いいか! 私が大魔術師だという証拠を見せてやる!」

 そう啖呵を切ると、コレクションの陳列棚へと歩み寄る。

 まったく、下僕のくせに主人を馬鹿にしおって。
 そんな下僕には少々躾が必要だな。

 そう胸の内で独りごちながら、緊箍を手にする。
 そう、以前から使ってみたいとは思っていたがついぞその機会を得なかった孫悟空の緊箍だ。
 悪魔のティミリアが相手なら少々の危険は大丈夫だろう。

「さあ、これを頭にかぶるんだ」
「へ? この輪っかをですか?」
「輪っかとか言うな、緊箍だ! いいか、後悔するなよ」

 そう言ってメモを広げると緊箍呪を唱える。

「……ふふふ、どうだ、頭がキリキリと痛むだろう?」
「いいえ、全然」
「なんだと!? この呪を唱えたらその緊箍が頭を締めつけるのだぞ!」
「だって、全然締まってませんもん」
「そっ、そんなはずはない!」
「いや、だってこれ偽物ですよ」
「ななな、なんだと!?」
「ていうか、その棚のコレクションはほとんど偽物ですからね。その魔術書以外は」
「なにを言うか! だいいち、その鏡の盾は昨日おまえの魔法を跳ね返したではないか! それがまがい物であるはずがない! 間違いなくペルセウスの鏡の盾だ!」
「いや……それがペルセウスが使った本物だっていうか……そもそも鏡は呪術に使う道具としてはポピュラーですし、それくらいの大きさの鏡となるとそれ自体が一種の呪具と言ってもいいというか……まあ、そんな鏡で跳ね返せる魔法を使ったあたしが油断しすぎてたといいますか……まあ、もういいんですけどね、こうやってルイ様の下僕になったらすごく幸せだし、他のことはどうでもよくなっちゃいましたし……」
「なにをブツブツ言っておるのだ?」
「いえ……とにかくですね、その棚のものからはこれっぽっちも魔力を感じないんですよね」

 ミもフタもないティミリアの言葉に、目の前が真っ暗になる思いでその場に膝をつく。
 まさか、我がコレクションが全て偽物だったとは……。
 今までつぎ込んだ金も苦労も全部が無駄になったなどと、そんなこと考えたくもない。
 大魔術師としてのプライドもズタズタにされてしまった思いだ。

「そんな……これはみんなネットでかなりの値段がしたんだぞ……」
「そんなものそんじょそこらのネット通販で売ってるわけがないじゃないですか。魔法の品はやっぱり然るべきところで買わないとですよ」
「く……私は大魔術師ルイ・ノワールだぞ……その私がこんな……」
「ルイ様〜、そんなに落ち込まないでくださいよ〜。ルイ様にはあたしがいるじゃないですか〜」

 打ちひしがれている私を慰めるようにティミリアがそっと肩を抱いてくる。

 そのとき、さっきティミリアが言った言葉が甦ってきた。
 コレクションのことは悔しいが、私にはまだ希望があるではないか!

「ティミリア! 人間でも修行をしたらさっきのような魔法を使えるようになるのだな!?」
「えっ? それは……まあ、かなりの修行が必要とは思いますけど……」
「だったら私の修行を頼む! おまえの手で私を大魔術師にしてくれ!」
「えっ? ふぇええええええっ!? そそそ、そんなっ、あたしが!?」
「これは命令だ! 私をこの時代で最高の魔術師にするのだ!」
「そんなぁ……」

 驚いたように目を白黒させていたティミリアが、がっくりと肩を落とす。
 いや、なぜ肩を落とす必要があるのだ?

「でも、ルイ様の命令ならやるしかないですよねぇ……」
「できるのか!?」
「まあ、準備に少し時間はかかりますけど」
「そんなのは全然構わん! 是非ともやってくれ」
「はぁ……わかりました」

 そう言って、ティミリアは大きなため息を吐く。
 だから、なぜため息なのだ。

 かと思うと、今度は急にニヤリと笑みを浮かべて体をすり寄せてきた。

「それはともかくぅ、ルイ様ぁ……」
「わわわっ! なんだ!?」
「せっかくですから、その立派なおチンポにご奉仕させてくださいよぉ」
「なななっ! そ、そういえば!」

 自分が寝間着の上を羽織っただけで、下は丸出しなのをすっかり忘れていた。
 しかも、パンツもさっき私のコピーに渡したままだったし。
 ティミリアに指摘されて慌てて股間を両手で隠すもすでに時遅しだった。

「うふふぅ〜、あたしがこの格好してるのはルイ様にお仕えするのにふさわしいだけじゃないんですよ。ほら……こうすると」

 そう言うと、ティミリアがメイド服の胸元のボタンを外してくいっと布地を下に引く。
 すると、はち切れんばかりの胸がぽろりと剥き出しになった。

「ね、この服ったらご奉仕するのにもぴったりなんですよぉ。……あ、おっぱい見ただけでおチンポ大きくなりましたね」
「なっ、なにを言うかっ!」
「うふふ〜、それじゃあさっそくこの立派なおチンポに……こうっ、と」
「わっ、わわわっ!」

 ティミリアがその大きな胸でペニスを挟み込んできた。

「んっ……ルイ様のおチンポ、ガチガチですっごく熱くて……ぁんっ、これだけで感じちゃうかもっ」

 なんだ、これは……。
 ふにゃっと温かい感触にペニスが包まれて、まるで吸いつくような……。

「どうですか? 気持ちいいですか〜?」
「うほぉ……きっ、気持ちはいい……」
「よかったです。それじゃもっとしますね」
「おおおっ! はううううっ!」

 両手で乳房を押さえたまま、ティミリアが胸を上下させる。
 柔らかく包み込んだ乳房でペニスを扱くようで、絶妙に心地良い。
 昨日のセックスとはまた違った快感だった。

「あんっ……ホントにこれっ、おっぱいも感じちゃうっ! んっ、もっと、もっと気持ちよくしますねっ!」
「はううううっ! ティッ、ティミリアッ、奉仕もいいが、私を大魔術師にするのはっ……!」
「そっちの方はちゃんと準備を進めておきますからぁ。今はおチンポにご奉仕させてください。……んっ、やんっ……あ、おチンポの先っぽから透明なお汁が……ん、あむっ」
「うほぉおおおおっ!」

 胸で挟んで扱きながら、ティミリアがペニスの先に吸いついてきた。

「じゅるる……ん、このネバネバ、おいしっ……ちゅるっ、んっ、はむっ、じゅるっ」
「おほぉおっ!」
「ちゅむっ……んふ、おチンポ、さらに熱くなってる。それに、お汁もこんなに溢れて……じゅるるるっ」
「うあっ、ティミリア! もう、もうっ!」

 胸と口を巧みに使った奉仕に、たちまちペニスが爆発寸前になる。

「うふふ、出そうなんですね。おチンポぴくぴくしてますよ。いつでも出してくださいね。……んっ、んんっ、おチンポ熱いっ、はむっ、ちゅるっ」
「うほぉおおおおっ!」
「あふ、じゅるっ……どうぞ、ティミリアの胸にいっぱい出してください。んっ、はぅんっ、んんっ、じゅむっ」
「だめだっ、出る!」
「ひゃんっ! ふやぁあああああっ!」

 顔面にまともに射精を受けたティミリアが、艶めかしい歓声を上げる。

「ふうううぅ……いっぱい出ましたね、ルイ様。でも、今日はたっぷり時間がありますからまだまだご奉仕させてくださいね」

 顔と胸を白濁液で染めながら、ティミリアは可愛らしくも妖しいまでの笑顔を浮かべたのだった。






★   ★   ★







 そして、1週間後。

「ルイ様! ようやく届きましたよ!」

 その日、興奮した様子のティミリアに呼び出されると、机の上に厚さ20cmはあろうかという本が2冊置いてあった。

「この本はなんだ?」
「こっちが初級魔法語講座で、こっちが日本語−魔法語辞典です。A魔zonで注文したのがやっと届いたんです。探すのに苦労したんですよ、日本語で書いてある魔法語の本はレアなんですから!」
「しょ、初級魔法語講座? ……というか、A魔zonだと?」
「ええ、とっても便利な魔界の通販サイトです。商品は魔界で扱っているものばかりですから内容は間違いありません。それに、魔法を使うもなにもルイ様は魔法語が読めないんですから初級からみっちり勉強してもらいます! それと併せて、一緒に実践魔法詠唱集の入門編、実用編、達人編や、古今の著名な魔導書も購入してありますから、ある程度魔法語を理解したら呪文詠唱の練習もしていきましょうね!」
「……なっ!?」

 よく見ると、先日までコレクションの陳列棚だったところにやはり分厚い本がぎっしりと並んでいた。

「こ……これで勉強するのか……?」
「もちろんですよ! 人間であるルイ様が魔法をマスターするには魔法語から地道に勉強するしかないですから!」
「……ううっ」
「安心してください! あたし、魔法は得意ですからしっかり鍛えてあげます! なにしろ、ルイ様を大魔術師にするのがあたしに課せられた使命なんですから!」
「あ、う、いや、わ、私はそんなつもりで言ったのでは……」

 ティミリアが自信たっぷりに胸を張っているが、突然の展開に私はティミリアと本の山を交互に見つめてあうあうと言葉にならない声を出すしかできないでいた。

「とにかく、魔法の実践練習をしようにも魔法語が読めないと話になりませんからね! すでに中級魔法語講座と上級魔法語講座も買ってますからどんどんスキルアップしていきましょう! 」
「……ひぃいいいいいっ!」

 ズンッ、と重たい音を立ててティミリアが机の上にさらに本を積み上げていく。
 その分量に、かいたことのない量の汗が噴き出してくるのを感じる。

「さあ、座ってください! まずは初級魔法語講座のレッスン1からです。今日中に魔法語に使われる全ての文字を発音も込みで覚えてもらいますからね。そしてこれからずっと、1日10時間はみっちり勉強してもらいますよ!」
「のぉおおおおおおおおおおおっ!」

 すっかり家庭教師モードに入ったティミリアの宣告が、死刑判決かのように思えて思わず悲鳴をあげる。
 だがそのとき、私の隣に腰掛けたティミリアがいきなり顔をぐっと近づけてきた。

「その代わり、頑張ったら夜はたっぷりとご奉仕してあげますからぁ……ね、ルイ様」
「……うっ」

 耳元で囁きながら、ティミリアが思わずドキリとするほどのいやらしい顔で微笑む。
 その動きに合わせて、メイド服の胸元からはち切れそうな乳房がタプタプと揺れていた。




 我が名はルイ・ノワール(本名:黒井類)。
 こうやって、魔王の娘を下僕に従えている。
 私の大魔術師への道は、今まさに始まったばかりなのだ……………………トホホホホ。

 
 


 

 

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