コンピューター室のリンク


 

 



「ちょっとあんた! 何やってるのよ!」

 桜 貴美子(さくら きみこ)は目の前の男子生徒を怒鳴りつけていた。
 季節は初夏。とうの昔に仮入部期間は過ぎていて、各部ともに新入部員の教育に追われている。しかし、コンピューター部は新入部員は入らず、目の前の男子生徒を貴美子は見た事も無かった。

「何って、見ての通りゲームですよ?」

 男子生徒はしれっと答える。しかし、画面に映っているのはどう見てもX指定。そもそも、コンピューター部で使っているのは学校の備品なので、ゲームを入れるのは禁止されていた。

「『ゲームですよ?』じゃない! ってか、あんた! そもそも部員じゃないでしょ!」
「仮入部をしようと思いまして」
「仮入部期間はとっくに終わってる!」

 貴美子はどしどしと音を立てるように男子生徒の近くまで歩いていき、ギロリと男子生徒を見下ろした。

「部外者は出てけっ! そのゲームも削除してね!」

 ぴっと入口を指して貴美子は言う。そんな貴美子を見上げ、男子生徒はにやにやと下卑た笑みを浮かべる。

「何よ? 気持ち悪いわね」
「いえ、先輩みたいな人はどんな風に泣くのかなぁなんて」
「はぁ? 何言って――きゃぁっ!?」

 唐突に胸を揉まれ、貴美子はびくっと体を縮こませる。その瞬間を見逃さず、男子生徒は声を滑り込ませた。

「はい、もう動けない」

 その言葉はするりと貴美子の耳へと入り、その身体を支配する。

「ちょっ、あんた何すんのよっ!」

 突然胸を揉まれて、怒り心頭の貴美子。しかし、男子生徒はそんな貴美子を嘲るようににやにやと笑い、立ち上がった。貴美子は男子生徒に危険を感じ、距離を取ろうとして、自分の体が動かないことに気がついた。

「なっ、んでっ!?」
「催眠術ですよ。先輩に催眠術をかけたんです」

 戸惑う貴美子に男子生徒はにやにやと笑いながら告げる。そんな男子生徒を貴美子は馬鹿にするような目で見た。

「はぁ? 何言ってるのよ。あんなのやらせでしょ? あんな風に人が簡単に操られるわけないじゃない! そもそも私は別に寝てもいないわよ」
「でも、先輩は動けませんよね? ほら、こうされても」

 男子生徒はそう言うと立ち上がり、そっと貴美子の頬に触れる。それを嫌そうな顔で見ながら、しかし、なすがままに受け入れる。

「ちょっ、やっ」
「ほら、動けませんよね? 先輩が催眠術にかかってることはわかって頂けましたか?」
「くぅ・・・このっ、こんなことして、どうなるかわかってんのっ!」
「先輩こそ、これからどうなるかわかってるんですか?」

 にやにやと笑いながら男子生徒は貴美子の後ろへと回り、その胸をもみ上げる。胸から伝わってくる刺激に貴美子は嫌悪感丸出しで体を僅かに身動ぎさせた。

「ほら、どうなるかわかってるんですか? こんな事されても逆らえないんですよ?」
「・・・っ」

 ギリと歯を食いしばり、貴美子はギロリと男子生徒を睨み付ける。その瞳には烈火の如き怒りが滲み出ていた。

「先輩、そんなに睨まないで下さいよ。怖いじゃないですか。ほら、そんな怖い顔しないで、これでも見て下さいよ」

 にやにやとおどけるように言いながら、男子生徒はパソコンの画面に渦巻きの画像を映し出す。それは動画になっていて、渦巻きは内に向かってグルグルと動いていた。

「ほら、これをじっと見てしまいますよ。どうしても目をそらせない。だって、先輩は催眠術にかかってるんですから」
「やぁ・・・」

 男子生徒の言葉に導かれ、貴美子は画面一杯に映し出された渦巻きを見てしまう。

「さあ、目をそらせない。じっと見てしまう。じーっと、じーっと見てしまう。どうしても目がそらせない。あなたは画面を見てしまいますよ」
「くぅ・・・」
「そして、この画面をじーっと見ていると、あなたの意識はこの渦に囚われてしまいます。どんどんどんどん、底なし沼のようにこの渦の中に吸い込まれてしまいます。どんなに嫌だと思っても必ずそうなってしまいますよ。だって、あなたは既に催眠術にかかっているのだから」

 そう言って、男子生徒は貴美子の体を軽く揺らす。大袈裟にならないほどの数センチの振れ幅で。

「ほら、だんだんと意識が吸い込まれて、体に力が入らなくなってきた。しっかりと立っているのが難しくなって、徐々に体が揺れてきた。でもあなたは画面から目を逸らすことは出来ない。なぜなら、あなたは既に渦に意識を囚われてしまったから。後は渦に沈んでいくだけ。もうあなたは逃れることは出来ません。ほら、体の力が抜けて、ゆらゆらと揺れていきますよ」
「や・・・ぁ・・・」

 貴美子の体は男子生徒に揺らされなくても自分から揺れていた。その姿は風に揺れる柳のように力なく、すぐにでも崩れ落ちそうなくらいだった。

「さあ、渦に沈んでいってしまいます。渦に沈んでいくのは意識だけではありません。体の力も沈んでいきます。ほら、体から力が抜けていく。目も開けていられない。何も考えられない。ほら、もう立ってもいられない。体中の力が抜けていきます」

 そう言って、男子生徒は貴美子を椅子に座らせる。貴美子は軽く脱力し、半分開かれた瞼はそれでも画面を見ていた。

「さあ、今から三つ数えると、あなたは完全に渦に囚われてしまいます。完全に力が抜け、何も考えられなくなる。瞼が完全に閉じて、何も見えなくなりますが、それでも頭の中では渦がグルグルと回っていて、大きな渦に完全に支配されてしまいますよ」
「ぁ・・・・ぁぁ・・・・」

 男子生徒は三つ数えると、そっと貴美子の瞼を閉じる。それを合図に貴美子の体は完全に脱力し、ぐったりと椅子にもたれかかった。男子生徒はそれを確認すると、動画を閉じて貴美子へと向かう。そして、貴美子の頭を押さえると、そっと回し始めた。

「さあ、あなたは渦に囚われてしまいました。何も考えることが出来ません。ですが、それはとても気持ちいいことです。グルグルと渦に流されて回っていることがとても気持ちいい。だから、あなたはいつでも渦に支配されたがってしまいます」
「きもち・・・いい・・・・」

 グルグルと頭を回され、半開きの口から譫言の様に声を漏らす貴美子。そんな貴美子の反応を見ながら、男子生徒は更に言葉を重ねていく。

「そう、とても気持ちいい。何も考えないでただグルグルと渦に流されて同じ場所を回っているのがとても気持ちいい。あなたはいつでもこの気持ちいい世界に、渦の支配する世界にいたいと心の底で思うようになります。あなたはいつでも渦に支配されたい」
「しはい・・・されたい・・」
「そう、あなたは渦に支配されたい。あなたは渦に支配されているのだから、今、この渦の支配する世界で指示されたことは元の世界に戻っても、必ず実行してしまいます。あなたはもう心の底から渦に支配されてしまっていますので、渦の中で命令された事は必ず実行してしまいますよ。わかりましたか?」
「じっこう・・・する・・・」
「そう、元の世界に戻った時、今から言う事を必ず実行してしまいます。渦に支配されてしまっているので、あなたがどんなに嫌だと思っても必ずそうなる。そしてもう一つ。あなたは渦に支配されているので、この渦の世界にいなくても、あなたが渦を見ている時に命令された事は必ずそうなる。実行してしまいます」
「かならず・・・そう・・・なる」
「そうです。必ずそうなります。いいですか? あなたは今から三つ数えると目を覚ましますが、その後、私がこの部屋を出るまで、あなたの体は画面に映っている女の子とリンクしてしまいます。体勢も感度も画面に映っている女の子と同じになる。どんなに嫌だと思っても、必ずそうなる。なぜなら、あなたは渦に支配されているから、あなたの全ては渦に支配されているから必ずそうなりますよ」
「リンク・・・する・・おなじ・・・なる」
「そう、そしてもう一つ。重要なことを教えます。私はこの渦の世界への鍵を持っています。だから、私があなたの前で鍵を開けると、いつでもどこでもあなたはこの渦に支配され、この世界へと呑まれていきます。わかりましたか?」
「いつでも・・・しはい・・・」
「では、今から三つ数えるとあなたはすっきりとした気持ちで目を覚まします。そして、今、この世界であったことはなにも憶えていませんが、あなたは心の奥底から渦に支配されているので、この世界で言われたことは必ずそうなります」

 そう言って、男子生徒はゲームをタイトル画面に戻し、回想モードへと移行する。そうしてから、今度は貴美子の後ろへと回り込んだ。

「さあ、三つ数えたら目を覚ましますよ。一、二、三はいっ!」

 軽いかけ声と共に貴美子の肩をぐっと揺らす。その衝撃にビクッと体を震わせて、貴美子は目を覚ました。ぱちぱちと何度か瞬きをし、何故か変わっている視界に自分の位置を確認する。そして、貴美子は先程男子生徒が座っていた椅子に自分が座っていることに気がついた。

「おはようございます、先輩」
「えっ!?」

 突然、後ろから声を掛けられて、貴美子は跳ね上がり、慌てて後ろを振り返る。その視線の先ではにこにこと先程とは違う笑みを浮かべる男子生徒の姿があった。

「あ、あんた・・・っ」

 男子生徒はわなわなと肩を震わせる貴美子を尻目にもう一度椅子に座る。そして、貴美子と向き直った。右手でマウスを動かし、サムネイルをクリックする。それに反応して画面が変わり、女の子の姿が映し出された。

「あんた――」

 男子生徒に怒声を浴びせようとして、貴美子は目の端で画面を捕らえてしまった。びくっと貴美子の体が震え、画面に映る少女と同じように跪く。

「ちょっ、何よこれっ」

 勝手に動く体に貴美子は戸惑いの声を上げる。だがしかし、体は貴美子の意志に反して徐々に男子生徒へと寄っていった。
 男子生徒は貴美子にも画面が見やすいように椅子を机からやや離す。貴美子はそれを追いながらも視界から画面を外すことが出来ない。

「やっ、あっ!」

 画面に映っている少女と同じように口を開き、男子生徒のズボンを下ろしていく。そして、中からまだ力のこもっていない肉棒を取りだし、ぺろりと舐め上げた。口に広がる味に貴美子は顔を蹙める。しかし、口は勝手に動き、何度も男子生徒の肉棒を舐め上げていった。

「ふふ、先輩。いいですよ」
「くっ、あんっ、なにしぃっ」
「先輩は今、彼女とリンクしているんです。だから、彼女と同じ行動しかとれないんですよ。言ったでしょう? 先輩は催眠術にかかったんだって」

 肉棒を舐め上げているため、まともに喋れない貴美子の台詞を汲み取り、男子生徒は答える。そして、先程まで自分で使っていたワイヤレスヘッドホンを貴美子へと取り付けた。
 ヘッドホンから少女の喘ぎ声が響き渡り、貴美子は体が瞬間的におかしくなるのを感じた。

「ひぅぅっ!」

 突然、舌から伝わる快感が飛躍的に増大し、貴美子は瞬間的にイキかけた。肉棒を舐めている。ただそれだけのはずなのに、自慰――それも絶頂寸前なのと変わらないレベルの快感が伝わってくる。普段なら動くのもままならない快感を前に、しかし体はやはり勝手に動いていく。

「あぁぁぁぁっ、あぁぁぁぁっ」

 袋から肉棒。下から上へと舌を滑らせていく貴美子。ぞくぞくとした快感が舌から、そして肉棒から貴美子と男子生徒へと振り分けられていく。貴美子は舐るように舌を動かし、男子生徒の肉棒を包み込むように口に含む。
 貴美子の口内でジュブジュブと唾液が混ざり、水っぽい音とてらてらと光る肉棒を作り上げていく。

「んんんんぅっ!」

 耳から聞こえる嬌声が絶叫に変わり、それと連動して貴美子も絶頂へと達する。快感でかき混ぜられた頭は真っ白になり、体をぶるぶると震わせた。
 男子生徒はズルリと貴美子の口から肉棒を取りだし、軽く椅子を引く。肉棒を引き抜かれた貴美子はその場に項垂れた。

「はっ・・・ぁ・・・ぅ・・・」

 肩で大きく息をする貴美子の口から溢れた唾液が零れ、床につうっと垂れる。絶頂の快感に漂白された頭は未だに白いままで、貴美子は数秒放心していた。

「先輩、まだですよ」
「ぇ・・・」

 男子生徒の声の意味を理解しないまま呆然と頭を上げた貴美子の視界に新たな絵が映し出された画面が入った。

「あ・・・ゃぁ・・・」

 その意味を理解した瞬間に貴美子の体が動き始める。

「やだ・・・やだぁ・・・」

 力なく首を振りながらショーツを下ろし、にやにやと腕を広げて待っている男子生徒に跨がる。そして、自分で位置を調整して、肉棒を咥え込んだ。

「っ、ぅぁっ・・・・!」

 突き刺さるような痛みが貴美子の体を走り抜ける。貴美子はあまりの痛みに呻くような声しか出せなかった。そして、貴美子の体は画面に映る少女と同じように目の前の体に抱きつく。画面のせいか、それとも痛みのせいか、貴美子は男子生徒を力一杯抱きしめていた。それに連動して、貴美子の中が男子生徒の肉棒をきゅうっと締め付ける。それは男子生徒に強い刺激を与えた。
 男子生徒はその刺激を楽しみながら、ヘッドホンの耳当てを持ち上げて貴美子へと囁く。


「ほら、入れるだけじゃなくて動いて下さいよ、先輩」
「っ!」

 耳元で囁かれる男子生徒の声に目尻に涙を浮かべながらも睨み付ける貴美子。貌は見えなくても隣から湧きあがってくる怒気に男子生徒は愉快そうに笑みを浮かべる。

「そんなに睨んでも、先輩にはどうすることもできませんよ」

 そう言って、男子生徒はマウスを操作する。貴美子の耳へと新たな音声が響き渡り、その腰が上下に動き始めた。

「ゃ・・・ぁ・・・」

 持ち上がっていく腰に貴美子は困惑と絶望の声を上げる。いやいやと首を振るが、貴美子の腰は肉棒が抜ける一歩手前まで持ち上がると、重力に従いストンと落ちた。

「ぅ・・・・・ぁっ!」

 既に濡れてはいるが、メリメリと押し広げられる痛みに貴美子は呻き声を漏らす。それとともにぎゅぅっと男子生徒を抱きしめる力が強くなった。

「先輩、きつくてとても良いですよ。ほら、もっと腰を動かして下さいよ」

 そう言って、男子生徒はゲームをオート進行に切り替える。ヘッドホンから響いてくる少女の声が戸惑い、絶望から主人公の暗示を経て悦び、興奮へと変わっていき、それにあわせて、貴美子の声も徐々に変化していった。

「ひぅっ、はぁっ、ぁぁっ!」

 中から中から溢れ出してくる愛液が肉棒に撹拌されてぐちゅぐちゅと音を立てる。貴美子に伝わってくる腰からの感覚は痛みよりも快感の方が大きくなり、溢れ出る快感に貴美子の頭は真っ白に染まっていく。
 きゅうきゅうと締め付ける秘裂は男子生徒に心地よい快楽を与えていた。

「ははっ、先輩っ、とても気持ちいいですよっ。先輩もやれば出来るじゃないですかっ」
「ああっ、んぅっ、くはぁっ、はぁんっ!」

 男子生徒の声が聞こえているのかいないのか、貴美子はぶんぶんと首を振りながら腰を振る。ヘッドホンから響いてくる少女の声は既に何度も絶頂に達しており、貴美子も何度も絶頂へ持ち上げられて、ビクビクと体を震わせていた。
 そして、ヘッドホンから聞こえる少女の声は主人公に中出しされて、一際大きくなる。その声を聞き、貴美子はこれまでに感じたことのない絶頂へと持ち上げられた。

「ぁ・・・・・・っ、ぅ・・・・・っ!!!!」

 びくびくと体を震わせ、絶頂へと達した貴美子はあまりの快感に声を上げることも出来ない。その秘裂はぎゅうっと男子生徒の肉棒を力一杯締め上げ、そこから寒気にも似た快感が脊髄を通り、男子生徒の脳へと伝わっていく。その快感は男子生徒を絶頂させるのに十分だった。

「くっ、ぅぅっ!」

 締め上げられた肉棒から勢いよく白濁液が放出される。白濁液が子宮へと叩きつけられ、貴美子は更に体を震わせた。
 数秒、二人は体を硬直させ、糸が切れたようにガクンと椅子にもたれかかる。二人の耳にハアハアと互いの激しい呼吸音が届いていた。
 そして、男子生徒は貴美子から肉棒を引き抜くと、貴美子はがたんと音を立てて椅子から崩れ落ちた。ひくひくと蠢く秘裂からはピンク色の液体が垂れ、床に小さな染みを作る。
 貴美子は未だ力の入らない体のまま、しかし瞳には溢れ出るほどの怒りを湛えて男子生徒を睨み付けた。

「あ・・・んた・・・ねぇ、何したかわかってるの?」

 大抵の相手はそれで震え上がりそうな怒りの視線を受けて、しかし、男子生徒は平然と返す。

「先輩は何したかわからないんですか?」
「わかってるに決まってるでしょ! あんたがしたことは犯罪よ! 絶対許さないんだから!」

 そんな男子生徒の態度に貴美子は激昂し、感情のままにまくし立てた。

「許さないって、一体どうするんですか?」
「決まってるでしょ! 先生や警察に今あった事、洗いざらいぶちまけてやるんだから! 退学どころか逮捕させてやる! あんたみたいなクズ、死刑になればいいのよ!」
「確かにそれは困りますね。ま、でも、先輩にできるならやってみればいいんじゃないですか?」
「言われなくて、も・・・」

 そう言ったっきり、貴美子の意識は渦に呑まれる。貴美子が呆然と見上げる先には再び画面に渦巻きの動画を映し出されていた。男子生徒は貴美子の頭からヘッドホンを外すと、ゲームを終了させる。そして男子生徒は貴美子へと向き直ると、貴美子の渦の中へと波紋を落とす。

「いいですか。あなたは今あった事を全て忘れてしまいます。何も思い出せない。自分の身に何があったのか、誰がいたのか、何も思い出せません。どうしても思い出せない。絶対に思い出せない。思い出そうとすればするほど何もわからなくなってしまいます。わかりましたね」
「思い・・だせ・・・ない」

 波紋は渦に呑み込まれ、渦へと還元されていく。

「では、あなたは僕がこの部屋を出ると気がつきます。それまであなたは渦に呑み込まれたまま何も考えられません」

 男子生徒は動画を閉じると、軽く貴美子の頭を撫でた。

「じゃ、先輩。また楽しませて下さいよ」

 そう言って、男子生徒はコンピューター室を出て行く。パタンと戸の閉まる音が響き、それを合図に貴美子は渦から解放された。

「あ・・れ・・・? 私・・・」

 ぱちぱちと瞬きをし、辺りを見回す。そして、すぐ近くに放置されていた自分の下着に気がついた。

「え・・・?」

 慌てて、自分の股間を確認した貴美子は秘裂から零れるピンク色の液体に気がついた。瞬間、顔を青くする。
 頭の中に一つの単語が思い浮かぶが、貴美子はそれを理解出来ない。いや、理解したくなかった。なぜなら、貴美子にはそんな記憶が存在しないから。いくら考えても何も思い出せない。何があったのかがわからない。だがしかし、そこにある証拠はある事実を厳然と突きつけてくる。

「何・・・何があったの・・・?」

 貴美子は恐る恐る自分の秘裂へと指を近づけた。これは自分じゃない、自分のではないという逃げ道を確信するために。しかし、秘裂の中からはにちゃあという音が零れ、指にはピンク色の液体が絡みつく。そして、秘裂の奥から刺すような痛みが走り、一つの仮説を組み上げてしまった。

「いや・・・いや・・・いやああああああああああああああああああっ!!」

 その仮説が先程思い浮かんだ単語と結合してしまい、貴美子は絶叫を上げる。

「なんで・・・どうして・・・なんで何も憶えてないの・・・?」

 貴美子は何も憶えていない自分に恐怖し、ぶるぶると体を震わせるだけだった。

 
 
< 了 >


 

 

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