お洗濯しましょ!


 

 

アイロン


「沙紀、だよな?」
「うん、そうだよ。兼一クン」
 大きく開いた目を潤ませて沙紀が頷く。

 その沙紀は昨日元に戻したはずだ。しかも、その状態だったのはほんの少しの間だけだし。
 それに、なんか雰囲気が昨日と違う。
「あの、兼一クン?」
 昨日はカタカナだったのに、今日は漢字とかそういう違いじゃない。両手を口許に添えて頬を真っ赤に染め、瞳を潤ませて恥ずかしげに俺の方を見ている沙紀の姿。
 なんか、大学生じゃなくて、もっと小さな女の子みたいな仕草だ。

「わたし、兼一クンとえっちしちゃったんだよね?」
 な、なんだ?そんなのいつもの事じゃないか。
「お、おう」
「わたし、う、うれしいけど、やっぱり、ちょっと恥ずかしいな」
 確かに俺は昨日、元の沙紀に戻したよな。そして、夜はそのままエッチしたし。
 でも、これはいったい?
 柔軟剤の効果がぶり返したのか?

「恥ずかしいって、おまえ、いっつもしてるじゃんか。ほら、こういう風に」
「ええっ、やっ、ひゃんっ!」
 俺が手を伸ばして沙紀の胸を掴むと、沙紀は大きな声をあげて後ろに逃げようとする。
「だっ、ダメだよ兼一クン!そ、そんなっ、朝から!」
 ん?柔軟剤をキャップ3杯使った時でも、朝のご奉仕とか言ってたのに。
「ダメだって言っても、いつもやってるし」
 俺は、にじりながら後ずさる沙紀をベッドの壁際に追いつめる。
「そんなっ、いつもって!?んっ、んん!」
 沙紀の顔を抱えて、俺は沙紀にキスをし、そのまま舌を沙紀の口にねじ込む。
「んんんっ!んにゅ、くちゅ、んむ!」
 自分の舌を沙紀の舌に絡ませ、また、舌先を尖らせて沙紀の口の中を刺激する。
 俺のキスは、トップ10ランキングに入ったという沙紀自身の保証つきだ。
「ちゅ、んむう、んふ!んん、ぷふぁあ」
 俺が舌を抜くと、沙紀と俺の舌の間に唾液が糸を引いた。

「ん、やぁ、そんなぁ、兼一クン」
 沙紀は、相変わらず顔を赤らめたままだが、その目はトロンとしてきている。
「えっ?きゃあっ!」
 俺が、沙紀の股間に手を伸ばすと、蕩けていた沙紀の目が大きく見開かれた。
「やっ、兼一クンッ!そこはダメだって!」
 俺の腕を引っ張って止めようとする沙紀にかまわず、俺は指をアソコの中に突っ込む。
「きゃうんっ、ひああっ、ああっ、あっ、ふあっ、ああっ、だめぇっ、兼一クン!そんなのいけないよぉ!」
 一昨日の晩、沙紀が優紀にやっていた感じで指を小刻みに出し入れすると、沙紀もそれに合わせて短く声をあげる。
 いけないとか言いながら、沙紀のアソコからはクチュクチュと湿った音が聞こえ始めているじゃないか。
「んっ、ひゃっ、ああっ、あっ、それだめぇっ、なんかっ、頭の中がジンジンして来ちゃうっ!」
 そう言う沙紀は真っ赤な顔で、目には涙をいっぱいに溜めている。

 うーん、なんか、柔軟剤の効果にしては感じが違う気もするけど。まあ、俺も、あれの効果をちゃんと知ってるわけでもないしな。

「きゃっ、あっ、ひゃっ、あんっ、ああっ、ああああああーッ!」
 沙紀の手がシーツを握りしめ、壁により掛かった上半身が反り返る。そして、ピクンッ、と大きく体を震わせると、沙紀はグッタリとベッドの上に横になった。

「どうだ、沙紀。俺も少しは巧くなっただろ?」
「んん、あふ、ふあぁ。そ、そんなの、よくわからないよぉ」
 そう言うと、涙目で俺の方を見ている沙紀。
 よくわからないって、また記憶に何か影響でも出てるのかな?

「もう、兼一クンったら、えっちなんだからぁ。あっ、きゃっ!」
 沙紀が俺の下半身に視線を移したかと思うと、叫び声を上げて顔を手で覆う。
「ん、どうした?沙紀?」
「兼一クンのおちんちん、そんなに大きくなってる!」
「ん、ああ、いつものことじゃないか」
「いつもって、沙紀はよくおぼえてないけど、そんなに大きいのが私の中に入ったの?」
 やっぱり、沙紀の記憶になんかあったみたいだ。
「本当に憶えてないのか、沙紀?」
「うん」
 小さく頷く沙紀。そのまま、何か考えている様子だ。

「ねぇ、兼一クン」
 少し経って、沙紀がやっと口を開く。
「どうした、沙紀?」
「もう一度、わたしとえっちして」
「な、なんだ?」
 いきなり何言い出すんだ?ひょっとして、これって俺を誘うための演技?昨日、元に戻った後もちらっとメイドの演技してたしな。
「わたし、兼一クンと優紀ねぇのことしかおぼえてないみたい。兼一クンとえっちしたのは何となくわかるけど、どうやってしたのかはおぼえてないの。だ、だから、もう一度兼一クンに、え、えっちしてもらったら、思い出すかなと思って」

 どういう理屈だ、それ?
 やっぱり単にエッチしたいだけの演技なんじゃないのか?

「ダメ?」
「いや、いいけど。だったらいつもみたいに自分からやればいいじゃないか」
「そんなっ、だって、どうやっていいのかわからないよぉ」
 耳の先まで真っ赤にして首を横に振る沙紀。
「ほ、本当にか?あんなにいっつもエッチしてたのにか?」
「うん、おぼえてない。ゴメンね、兼一クン」
 そう言う沙紀の目からは、涙が溢れそうになっている。

 うん、やっぱり何か変だ。

「だから、兼一クンにえっちしてもらったら思い出すかもしれないの」

 ほ、本当だろうか?いや、演技の可能性もあるよな。
 とにかく、やってみたらわかるかもしれない。

「ほら、沙紀、こっちに寝ろ」
「うん」
 俺の言うとおりに、沙紀は俺の方に近寄って仰向けになる。
 その沙紀の上に被さるようにして俺が沙紀に顔を近づけると、涙で潤んだ瞳が揺れているのがアップになる。
「じゃあ、いいか、行くぞ」
「うん、いいよ」
 俺が片手を相棒に添えて沙紀のアソコに宛って、声をかけると、沙紀は赤い顔のまま頷く。
「んっ、んんんんっ!やああああっ!」
 俺がゆっくりと沙紀の中に相棒を入れていくと、最初は歯を食いしばっていた沙紀が、たまらずに大声を上げる。
「はあっ、はあっ!んっ、ああっ、ホントに兼一クンのが沙紀の中に入っているぅ!」

 挿れただけで大きく喘いでいる沙紀の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「大丈夫か、沙紀?」
 いつもと違う雰囲気に呑まれて、俺はいつになく優しく沙紀に声をかける。
「うん」
「じゃあ、動くぞ、いいな」
「んっ、お、お願いっ。あっ、ああああっ!」
 俺がゆっくりと腰を動かしていくと、沙紀は、固く目を閉じて大きく喘ぐ。
「ああっ、兼一クンのおちんちんがっ、わたしの中を出たり入ったりしてるっ!」
 沙紀の腕が俺の体に巻きついて抱きしめる。
「あついいぃっ、兼一クンのっ、こっ、こんなに大きくてあついのっ!?あふっ、ふああっ!」
 目をつむって、大きく頭を振る沙紀。
「んっ、ふあっ、あっ、あついぃっ、ふわぁ、うんっ、ふっ、んっ」
 いつもと違う沙紀の反応に、俺は同い年の相手ではなく、もっと小さな女の子とやっているような錯覚に陥る。
「やっ、らめぇっ!わたしっ、おかしくなっちゃうよぉっ!あふっ、ふわぁ!」
 俺の腰の動きが大きくなると、突くたびに沙紀の体が小さく跳ねる。
「んっ、ふっ、ふっ、ふあっ!やあっ、なにっ!?兼一クンのおちんちんが、今、ビクビクって!?」
「俺、もう出そうだ、沙紀。いいか?もし嫌なら外に…」
「だめぇ!よくわからないけど、外はダメなのっ!」

 ぎゅっと目を閉じたまま、ぶるんぶるんと頭を横に振り、強い調子で、きっぱりと言い切る沙紀。
 まあ、今まであれだけやっといて、今さら外に出すもへったくれもないんだけど。

「じゃあ、出すぞっ、沙紀!」
「いいよっ、兼一クン!んんんっ、ああっ、ふわぁっ!何かくるよっ、兼一クンのおちんちんから何かくるのがわかるよぉ!ふああああああっ!あついっ、あついいいいいっ!」
 俺が射精すると、沙紀の体がビクンと跳ね上がる。頭を大きく反らした沙紀の、喉元がビクビクと震えているのが見える。

「んんん、あふ、ふああぁ」
「どうだ、思い出したか、沙紀?やっぱり俺のは他のどの男のより大きいだろう?」
 焦点が合っていない涙目で喘いでいる、沙紀の頭を撫でながら俺は訊ねる。
「んん、そんなぁ、わからないよぉ。だって、わたし、兼一クンとしかえっちしたことないんだもん」
 俺の言葉に、肩で大きく息をしながら、トロンとした目で答える沙紀。

 おかしい!これは絶対に何かがおかしい!
 いったい沙紀に何が起きているのか。それがわかるのは?

 そうだ、ジジィだ!




* * *




 で、ここはジジィの店。

「おお、よく来たなナカモトよ。なんか、やつれてはおらぬか、おぬし?」
「そんなことはどうでもいい!ジジィ、これはいったいどういう事だ!?」

 俺と一緒に来た沙紀は、俺の背後に隠れて、顔だけをおそるおそる覗かせている。

「ほら、沙紀も隠れてないで。ここには前にも来たことがあるだろうが」
「ええっ、知らないよ、わたし。ここに来るのは初めてだよぅ」

 プルプルと頭を振って、沙紀は俺の後ろから出てこようとはしない。

 そんな沙紀の様子を見ていたジジィがおもむろに口を開く。
「ふむ、その娘、どうやら縮んでしまったようじゃの」
「縮んだ!?いったいどういう事なんだ、ジジィ!?」
「心を洗いすぎて縮んでしまったんじゃ。まあ、一種の精神退行じゃな。おぬしには言っていたはずじゃが」
「聞いてねぇ!」
「言ったはずじゃぞ、気を付けろとな」
「ああっ!つうか、俺が聞いたのは純毛は縮むって冗談で、精神退行とか聞いてねぇ!」
「縮むことには代わりはないじゃろうが」
「屁理屈言うな!だいいち、昨日元に戻して、今朝起きたらこうなってたんだぞ」
「うむ、寝てるうちに心が縮んだんじゃな」
「そんな事あんのかよ!で、どうするんだよ、沙紀の奴、こんなになっちまって!」
「まあ、しかし、おぬしのエロライフには支障はあるまいに」
「そういう問題じゃないだろうが!」
「何を言うておるかナカモトよ!そんな事で怯んでおってエロ道が究められると思うのか!」
 そう、ジジィが俺を一喝する。
「そ、そうか!」

 俺は、愕然として膝をつく。
 エロ道を突き進む者として、たかが相手の精神が退行したくらいで怯んでどうする。
 むしろ、そこにこそ新たなシチュエーションの地平が開ける……ん?

「て、そうじゃねえだろ!だいたい、俺はエロ道を究めるなんて自分から言った覚えはない!」
「じゃあ、なんでこの娘がこんなになるまで洗濯したんじゃ?」
「ぐ、そ、それはっ!」
「やはり、おぬしにはエロ道を究める素質があるんじゃ」
「でも、このままじゃ可哀想だろうが!」
「何を言うか!妹に遭えば妹を犯し、姉に遭えば姉を犯す!雌即姦!これぞエロ道の極意じゃ!」
「どさくさにまぎれてとんでもないこと言ってねえか、ジジィ。だいたい、雌即姦って、そんなんすぐ捕まるわっ!」
「ワシの言葉に間違いはない!エロの世界からエロを広めに来た男!それがこのワシ、『魅惑の店 ムラタ』の主人、その名もジジィ!」
「おい、何となくわかってきたけどよ、あんたがそんな風に芝居がかった言い方するときは話をはぐらかそうとしている時だ!」
「むむ、そんなことはないぞ、ナカモト」

 と、その時、俺の背後に隠れていた沙紀が、俺の服の裾をクイクイと引っ張った。

「ん、どうした、沙紀?」
「ねえ、兼一クン、この人、悪い人なの?」
「ん〜、悪い人っつうか、そうだな、良い人でもないんだろうけど、まあ、なんというか、変な人だな」
「変な人?」
「まあ、悪い人じゃないから心配するな」
「うん」
 沙紀は、俺の言葉にコクリと頷く。

「そうじゃ、心配するな、ナカモトよ」
 そんな、沙紀と俺のやり取りに、いきなりジジィが口を挟む。

「なにがだ!?」
「少し小さめの服でも、着ているうちに伸びてくることがあるじゃろう。大きな体に小さな心というのも無理があるからの。時間が経てば伸びてくるやもしれぬ」
「ほ、本当か!?どのくらいで伸びるんだ!?」
「それはわからん」
「くうっ、ホントに使えねぇな、くそ!」
「まあ、体は大人じゃし、やる分には支障はないぞ」
「だからあんたはそれしか言えんのか!」
「とにかく、しばらく様子を見てみることじゃの。まあ、ワシの方でも治す方法を考えてみるわい」
「本当だな!」
「うむ、ワシは嘘は言わん」
「いや、あんたの言うことは結構テキトーだからな」
「そう言うな。まあ、今日のところは帰るがよい」
「ち、仕方ないな」

 なんか、また適当にあしらわれたような気もするが。
 どのみち、これ以上ここにいてもラチがあかなさそうだしな。

「さあ、帰るぞ、沙紀」
「うん」

 俺は、沙紀を連れて店から出ていく。



* * *




 俺の部屋に戻ると、俺と沙紀は、前からいつもやっていたように差し向かいで座る。
 見るとはなしに点けているテレビの音声がBGM代わりに流れる中、帰りがけに買ってやった缶ジュースをこくこくと飲んでいる沙紀。

「ごめんな、沙紀」
 ジュースを飲み干して、空き缶をテーブルの上に置いた沙紀に、俺は謝る。
「ん?どうしたの、兼一クン?」
「今朝はいきなりあんな事しちまって」
 いや、本当に謝りたいのは、こんなになるまで沙紀を洗濯機にかけてしまったことなんだけど。
「え?でも、ちょっと恥ずかしかったけど、うれしかったし」
 恥ずかしげに顔を赤らめて椅子の上でもじもじとしている沙紀。

 うん?見た目は変わっていないはずなのに。沙紀って、表情や仕草でこんなに幼げに見える奴だったのか。
 思わず、可愛いと思ってしまったじゃないか。いや、もとから美人なんだけど。

「ホントに他の事は憶えてないのか?」
「うん、でも、兼一クンのことと、優紀ねぇのことはわかるよ。で、一緒にここに住んでるの」

 うーん、それはあれだ。沙紀の心に赤ペンで俺の名前と優紀の名前を書いたからだな。

「自分の家に帰りたいとか思わないのか?」
 とは言ってもなぁ、まさかこの状態で帰すわけにはいかないしな。
「うん、優紀ねぇもいるから大丈夫。それにわたし、兼一クンと一緒にいたいし」

 なんか、単なる家出娘じゃないか。まあ、最初に沙紀がここに来たときはそれに近いものがあったけど。

「そうか」
 俺は、手を伸ばして、沙紀の頭をくしゃくしゃっと撫でてやる。
「へへっ」
 くすぐったげに首をすくめて沙紀は微笑む。

 うーむ、俺には決して幼女趣味はないはずなんだが。
 つうか、俺の目の前にいるのは決して幼女なんかじゃなくて、俺と同い年の、大人の体を持った奴のはずだ。

 でも、なんだろう。妙にそそられる。
 くそ、ジジィの術中にはまったみたいでいい気分はしないが。

「んっ、ひゃん!」
 沙紀の頭を撫でていた手で、耳の後ろあたりを触ると、沙紀が甘ったるい叫び声を上げる。
「ん、どうした?」
「なっ、なんかね、兼一クンにさわられると、電気が走ったみたいになって、すごく気持ちよくなっちゃうの」

 うわー、なんて甘々な事言ってるんだ、こいつは。

「あっ、ううんっ!」
 俺が、手を首筋のあたりまで下げると、沙紀は顔を真っ赤にして、大声を出すのをこらえている風だ。
「ねぇ、これが感じちゃうって言うのかな?兼一クンにわたしの体が反応しちゃうの」

 いやー、そんな大甘なセリフ、今どき恋愛小説でもなかなかお目にかかれんぞ。

「あふん。ん、え?兼一クン?」
 俺が、沙紀の首筋を撫でていた手を離すと、沙紀は怪訝そうに首を傾げる。
「ま、朝もやってるしな。この続きは優紀が帰ってきてからだ」
「う、うん」
 素直に頷きながらも、少し残念そうな表情を見せる沙紀。

 そういうところに、精神退行する前の片鱗が窺えるよな。

「いいか、エッチのしすぎは体に悪いんだぞ、沙紀」
「そうなの!?」
 俺の言葉に、目を丸くする沙紀。つうか、やりすぎは俺の体に良くなさそうだ。

「そうだぞ。て、ん?」
 言っている端から、俺の目の前で、沙紀は大きなあくびをする。
「ほら、おまえもエッチしすぎで疲れてるんだろ」
「ふあ、そ、そうなのかな?」
「きっとそうだって。あ、そうだ、沙紀、これから一緒に昼寝でもするか!」
 実際、俺もここしばらくハードな夜が続いてるから真剣に眠たい。
「うん!」
「よし、じゃ、ちょっと昼寝だ!」
 俺が、ベッドの方に向かうと、沙紀も後からついて来る。

「あふ」
 横になると、沙紀はまた大きくあくびをする。
「よっぽど眠いんだな。ほら」
 俺が腕を伸ばすと、その上に沙紀はちょこんと頭を乗せてくる。
 そして、沙紀はすぐにすやすやと寝息を立て始めた。

 元の沙紀に戻らないのはちょっとショックだけど、これも悪くないなと思い始めている俺は、ジジィの思うツボなんだろうか。
 でも、やっぱり可愛いよな、今の沙紀は。それに、あまりいやらしくないのも楽だ。

 沙紀の寝顔を眺めながらそんなことを考えるうちに、いつしか俺も眠っていたのだった。




* * *




「おーい!いつまで寝てるの、あんたたち!」

 えーと、この声は、優紀だな。
 俺が目を開けると、腰に手を当てて優紀が俺たちを見下ろしていた。
 ああそうか。いつの間にか本格的に寝入ってたんだな。

「ん、ああ、お帰り、優紀」
「お帰りじゃないでしょ、このナマケモノが!まったく、近頃の若者は怠惰よねぇ」
「いや、優紀もそんなに年変わらないじゃん」
「はいはい、生意気言わない。さ、起きた起きた」
「あふ、あ、おはよ優紀ねぇ」
「おはよ、じゃなくてお帰りなさいでしょ。まったく、あんたたちときたら。さあ、沙紀、晩ご飯作るから沙紀も手伝って」
「うん!」
「どうしたの?やけに今日は素直じゃない」

 あ、やっぱり沙紀の様子がおかしいのに気付いたかな?

「え、そうかな?そんなことないと思うよ、優紀ねぇ」
「ふーん。ま、いいか」

 て、おい、それだけかよ!

「さあ、今夜もケンイチに精の付く物食べさせて、夜はいっぱいエッチするわよ、沙紀!」
「うん!」
「じゃあ、今夜も頑張るぞ!エイエイオーッ!」
「おーッ!」

 って、どういうノリですか、それ。

 今夜はいったいどうなる事やら。俺は、そんなことを考えながらキッチンで食事の準備を始めた優紀と沙紀の後ろ姿を眺めていた。






 その晩。

「えっ、やああっ、兼一クンも、優紀ねぇもっ、はげしすぎるよぅ!」
 俺と優紀に集中的に愛撫されて、半べそをかきながら喘ぐ沙紀。
「ふふふ、今日の沙紀はホントに可愛らしいわね」
 そう言いながら、優紀は沙紀のアソコを弄っている。

 優紀の奴も、沙紀の異変に気付いているんだかいないんだか、ほとんど気にする素振りがない。

「なあ、優紀。沙紀の奴、少し変だと思わないか?」
 おそるおそる、俺の方から優紀に切り出してみる。
 さすがにこのまま放っておくわけにもいかないだろうし、いったい、優紀の奴がどう思ってるのか、気付いてるのか気付いてないのか、それだけでも確認しておこう。
「変って、何が?」
「なんか、今日は妙に素直で、可愛らしいと思わないか?こいつ」
「ああ、でもね、ケンイチ。沙紀はもともとこういう子よ。普段はマセたことばっかり言ってるけど、本当は素直で可愛らしい子なんだから」
 何の不思議もないといった様子で答える優紀。

 ああそうか。
 初めて見た俺は面食らっているけど、一緒に育ってきた優紀にとっては、こんな沙紀も見たことのある姿なんだな。

 ていうか、こんな素直で可愛い子が、いったい何があったらあんな性格になるんだ、おい。
 沙紀の成長過程で何が起こったのか、考えるとちょっと恐い気もする。

「ひぃっ、ひぐぅ!優紀ねぇったら、沙紀のアソコ、そんなにびろびろってしちゃダメぇ!」
 大きな声で喘いでいる沙紀は、もう完全にべそをかいて、涙をぽろぽろこぼしている。
「そんなこと言って、沙紀のここ、もうこんなにグッショリしてるじゃない」
「いやあっ、そんなぁ!恥ずかしいよぅ!」
「さあ、今日こそリベンジだからね、沙紀」
「リベンジって、何のことかわからないよっ、優紀ねぇっ!あうっ」
「またまた、とぼけちゃって」
「だ、だって!ああっ、きゃ、きゃん!こ、今度は兼一クンがぁ!」
 沙紀の乳首に俺が吸いつくと、大きく首を振る。
「だっ、ダメぇ!兼一クン、それ、しげき強すぎるよぉ!」
 俺の手が触れるたびに、沙紀の体がビクビクと震える。もう、感じやすいところとか関係ない。どこを触っても沙紀は甘ったるい声をあげる。
「ふあああっ、兼一クンに触られると、ビリビリッってして、頭の中が真っ白になるよっ!」
「すっごい、沙紀のアソコからこんなに溢れてきてるわよ、ケンイチ」
「いやああっ、優紀ねぇ!恥ずかしいからっ、そんなこと言わないでよぉっ!」
「ね、もうそろそろいいんじゃない、ケンイチ」

 こんなにいやらしくなっても、優紀は沙紀に負けている間は、一番にやるのは沙紀に譲る。なんだかんだ言っても律儀というか、結局は妹思いというか。

「そろそろって?あっ、兼一クンっ!」
 優紀に仕切られるのは少し癪だけど、俺の相棒はもう準備完了だ。

 だって、やっぱり可愛いんだもん。
 口許に手を当て、涙目で俺の相棒を見つめて、プルプルと小刻みに体を震わせている沙紀を見ていると、そのままむしゃぶりつきたくなるじゃないか。

「じゃあ行くぞ、いいか、沙紀?」
 俺の言葉に、黙ったままコクリと頷く沙紀。

 う、今、それだけで相棒がピクンと震えたぞ。

 辛抱堪らなくて、早速始めようと沙紀を抱き寄せると、体がこわばって、小さく震えているのが伝わってくる。
 いや、俺は、元の沙紀に戻って欲しくってあんなに苦労したってのに、もう、沙紀は元に戻らないかもしれないってのに。

 くそう、可愛いじゃないか。
 初体験以来、ずっとモンスター状態の奴らを相手にしてきたから、ものすごく新鮮に感じる。そうか、こんな良さもあったんだなぁ。

「あっ、けっ、兼一クン!」
 俺が、相棒に手を添えて沙紀のアソコに宛い、ゆっくりと挿し込んでいくと、沙紀は歯を食いしばり、涙をこぼしてこらえる表情を見せる。
「ひあああっ、大きいよっ、兼一クン!ふああっ、朝よりもっ、大きいみたいっ!」
「朝より?ふうん、あなたたち、人が仕事してる間にエッチして、それで夕方まで昼寝?ちょっとひどいんじゃないの?」

 こら、沙紀。そういうことを暴露するんじゃない。

「いや、あの、優紀、それはだな」
「ふわあっ、あっ、ご、ごめんなさいっ、優紀ねぇ!ふああっ、あうううっ、大きくて、あついようっ、兼一クン!」
「まあ、沙紀はケンイチの彼女だから仕方ないんだけど。やっぱり、私は面白くないのよね」
「きゃ、きゃん、優紀ねぇ!」
 優紀が、かぷ、と沙紀の首筋を軽く噛み、乳房を強く握る。

 なに、それって、腹いせ?

「ひゃあっ、ダメッ、だめええぇ!優紀ねぇったら、今そんなことしたらダメだよぅ!」
「さあ、さっさとイっちゃいなさい、沙紀。そしたら、今度は私がケンイチとする番なんだからね」
「あっ、あぐうっ、ふわぁっ!ひああっ、けっ、兼一クン!優紀ねぇ!んぐううううっ!」
 沙紀が俺を強く抱きしめてくる。それと一緒に沙紀のアソコがぎゅうぎゅう締め付けてきてきついくらいだ。いや、体の大きさは変わってないんだから、沙紀の締め付けがきつくなってるのか。
「ふあああっ、らめぇ、わらし、もうらめぇ!んああぁ!」
 沙紀の表情は蕩けきってボーッとなり、目が泳いでいる。
「あら、沙紀ったらメロメロじゃない。もうイキそうなのね?」
「い、イク?イクの、わらし?」
 焦点の合わない目で、優紀の方を見ようとする沙紀。
「もう、今にもイキそうな顔して。ホント、今日の沙紀は可愛らしいわね」
「んん、優紀ねえぇぇ。ひあっ、んぐうっ、ああ、兼一クンっ!そっ、そんなぁっ!きゃ、兼一クンのおちんちんがっ、ゴツンって当たって、びっ、ビクビクしててっ、きゃふんんっ!」
「んふ、ケンイチももう出そうなのね?」
「ふああああっ!くるよぅ!あのあついのがっ、わらしの中にぃ!ひあああっ、いぐっ、わらしっ、いぐのおおおおおぉっ!」
 涙と涎でグシャグシャになった顔をそらして、沙紀は、爪が食い込むくらいに俺の腕を握りしめる。体は大人だから力はあるし、結構痛いんだけどな、それ。

「あんんんんっ、ふわあぁ、ああっ、まだびゅってしてる。んああぁ、あづいよぅ」
 うわごとのようにそう言いながら、朦朧とした様子でときどき体を震わせる沙紀。



 その晩、初めて沙紀が優紀よりも早く意識を失ったのだった。





* * *





 それから何日経っても、沙紀の心が伸びる気配は見えなかった。

 夜は優紀と3人でエッチして、日中、優紀が仕事に行っている間は、沙紀とふたりでグダグダと喋ったり、テレビを見たり、昼寝をしたり。
 そして、ときどき昼間から沙紀とふたりだけでエッチする。

「ふわっ、んっ、ふっ、ふっ、ふっ、ひゃっ!」
 縮んだばかりの頃は、俺にされるがままだった沙紀も、近頃は、俺に合わせ、頑張って自分から動こうとしている。
「ふあっ、あふうっ、ああっ、きそうだよ、兼一クン!あついのが、またびゅびゅってっ!あっ、ふわああああああっ!」
 いつものように、沙紀は目に涙をいっぱいに溜め、顔を真っ赤にして、それでもどこかしら嬉しそうにイってしまう。

「ふああぁ。私がこんなにえっちになったのは、兼一クンのせいなんだからね。んああぁ」
 エッチした後、潤んだ目で俺の方を見てそんなことを言う沙紀。

 いや、それは違うって。

 俺は、幸せそうに表情を蕩けさせている沙紀の頭を撫でながら思う。
 おまえが成長したときのいやらしさときたら、俺なんか足下にも及ばないだから。







 そんな日が一ヶ月過ぎ、二ヶ月が過ぎようとしても、沙紀が元に戻る気配はない。

 もう、大学では試験が始まっているはずだし、提出しなくてはいけないレポートなんかもあるんだろうけど、とてもじゃないが今の沙紀を学校には連れていけない。





 そうして、今の沙紀もいいけど、やっぱり元の沙紀が恋しくなってきた、そんなある朝。

「ん?」
 俺は、下半身に快感を感じて目が覚める。
「沙紀?」
「あふ、ん、おはよ、けんいひふん」
 見ると、沙紀が俺のチンポを咥えこんでしゃぶっていた。
「沙紀、おまえ?」
「んふ、あ、あのね。なんかわたしね、前にもこんなことをしたことがあるような気がするの。だから、ちょっとやってみようかなと思って」
 沙紀は、いったん俺のチンポから口を離すとそう言った。

 そう、沙紀は縮んでから一度もフェラをしたことがない。
 たまに、優紀がしてるのを見ると、コワイとか汚いとか言ってたのに。
「あ、兼一クンのだからかな。やってみたら汚いとか気持ち悪いとか思わないよ。ん、あむ」
 そう言うと、沙紀はまたチンポをしゃぶり始める。
「んむ、んふ、ちゅ、ん」

 まさか、心が伸び始めているのか?

「ん、んっ、んにゅ、くちゅ、ちゅる」
 しかも、なにげに巧いし。
「んっ、んふ、あふっ、ふうっ、じゅるる、ふっ」
 どんどん大きくなっていく俺のチンポを持て余しているのか、沙紀はときどき苦しげな息が漏らす。

 それにしても、元に戻る気配がフェラだなんて、なんていやらしい奴。
 ま、沙紀らしいっていえば沙紀らしんだけど。

「んっ、んふっ、あっ、けんいひふんのっ、びくびくって!ちゅる、じゅる、んむ」
 大きくなった俺のチンポを舌ですくい、沙紀は先走りを巧みに舐め取る。こういうのは体が憶えてるんだろうなぁ。
「あむ、あふっ、んんっ、な、なんかくるぅ!んっ、ごほっ」
 さすがに、縮む前みたいにうまくはいかず、沙紀はむせて精液を受け損ね、ほとんどを顔面で受けてしまう。

「んあああっ、あづいよぉ」
 俺の精液で顔がベタベタなのに、沙紀の目はトロンとしてきている。
「んん、こんなにいっぱい。あふぅ、でも、気持ち悪くないし、臭くもないよ。わたし、きっと前にもこういうことしたことあるんだよね?」
 そう言いながら、沙紀は顔に付いた俺の精液を指ですくうと、ペロリと舌を出して舐める。

 う、なんて、いやらしくて、しかも可愛らしい仕草なんだ。

「うん、絶対そうだよ。わたし、この味におぼえがあるもん」
 そう言って、大きく頷きながら、俺の精液を指ですくっては舐め取っていく沙紀。



 エロゲーの中から出てきたような沙紀のその姿に、俺が思わず見とれていたその時。

「あっ、こ、これは!?」
 部屋の外から聞こえてきたのは、軍艦マーチだ!

「ん、ああっ、ど、どうしたの、兼一クン!?」
 俺が慌てて立ち上がり、服を着ると、沙紀も慌てた表情で立ち上がる。
「ちょっと出かけてくる!おまえはここで待ってろ!」
「そ、そんなのイヤだよぅ!わたしも一緒に行くよっ!ああっ、顔を洗わなくちゃ!やだぁ、髪にも付いてる!」
「わ、わかったわかった!連れていってやるから落ち着け!」
 泣きそうな顔で慌てふためいている沙紀を俺はなだめてやる。



* * *




「おお、遅かったではないか、ナカモトよ。それに、なんじゃ、またその娘を連れてきてしもうたのか?」
「しかたねえだろ!ひとりで留守番するの嫌だってんだから!」
「うむ、しようのない奴じゃのう」
「とにかく、この曲が鳴ってるって事は、新製品が入ったんだよな!?沙紀を元に戻せるものか?」
「うむ…」
「なんだ、いつになく歯切れが悪いじゃないか」
 ジジィが、相変わらず俺の背後に隠れている沙紀の方を、チラッと見たような気がした。

「はーい!お嬢ちゃんはこちらへ〜!女の子同士楽しく遊びましょうね!くるみが正しいひとりエッチのやり方を教えてあげるのです〜!」
「やめんかっ!」
 俺は、沙紀の手を引いて連れて行こうとしたくるみの頭をはたく。
「痛たたた〜!何をするのですか、ナカモトは!」
「おまえの存在は教育上よろしくない!」
「じゃあ、ナカモトがやってきたことは教育上よろしいとでもいうのですか!?痛い痛い痛い!痛いのです〜!頭をゲンコツでぐりぐりしたらダメなのです〜!」
「くるみのクセに正論を吐くなーッ!」

「まあ、ほどほどにしておけ、くるみ。ナカモトもこっちへ来い」
 くるみにヘッドロックを決めてゲンコツを押しつけている俺にジジィが声をかける。
「ハイなのです、店長!」
「とりあえず、おとなしくその娘と遊んでやれ」
「大丈夫なんだろうな、ジジィ」
「くるみを信用するのですよ、ナカモト!」
「おのれの信用は限りなくゼロに近いわっ!」
「まあ、ナカモトも落ち着くんじゃ。大丈夫じゃて、ワシが言ったことは守るでな、くるみは」
「ああ、まあ、そう言うんなら」
「じゃあ、こっちに来るのです〜!ジュースでも飲みますか!?」

 くるみに手を引かれ、不安げにこっちを見ながら沙紀が向こうに行く。

「で、なんだ、ジジィ?」
「まあ、あまり本人の前でこんな話をするのはなんじゃからの、デリカシーの問題じゃ」
「ほほう、あんたにデリカシーがあるとは知らんかったが。で、沙紀は元に戻るのか戻らないのか、どっちなんだ、ジジィ?」
「それはまだわからん」
「ナメてんのか、ジジィ!?」
「まあ、落ち着け、ほれ、これじゃ」
「これは、アイロン?」
「そうじゃ。もちろんただのアイロンではないがの」
「これで、沙紀が元に戻るってのか?」
「本当はそういうのとは別の目的の道具じゃがの。まあ、ひょっとしたら役に立つかもしれん」
「で、どうやって?」
「それはもちろん、分離剤を飲まして布状にした心にかけるアイロンじゃよ、これは」
「布状にした、心に?」
「ああ、実は、あの赤ペンと青ペンを使って、洗濯機にかけずに暗示を定着させられんものかとおもっての。あのペンを使って、布状にした心に、このアイロンをあてるとそのまま書いたことが定着する、という物なんじゃ」
「で、それでどうやって沙紀を元に戻すと?」
「まあ、アイロンの本来の役目はシワを伸ばすことじゃからの。もしかしたら、布状の心を伸ばすことができるかもしれん。そう思っただけじゃ。それであの娘の縮んだ心が本当に元に戻るかはわからん、もともと、そういうための物ではないからの。しかし、その可能性はある、ということじゃ」
「可能性、か」
「どうじゃ、あの娘の心は伸びてきた気配はあるのか?」
「ああ。実は、今朝な」
「ふむ、それなら、元に戻る可能性は高いかもしれんのう」
「よしっ!じゃあ、早速帰ってやってみる!」

「待て待て、ほれ、これも持って行け」
 ジジィの手から奪い取るようにしてアイロンを受け取る俺をジジィが止める。
「ん?なんだ、これは?」
 ジジィが差し出したのは、黒い粒が入った瓶。
「特製の精力剤じゃ。これを一粒飲めば、二日は徹夜でできるくらい精が付くぞ」
「なんか、鼻血噴いて倒れそうだな。つうか、なんでこんな時にそんな物を!」
「いらんのか?」
「……もらっとく」
「ふぉふぉふぉ、それじゃ、頑張る事じゃな」
「沙紀を戻すのと、夜やるのとどっちをだよ、まったく。おーい!帰るぞ沙紀」
「ああっ!待ってよ!兼一クン!」

 俺は、沙紀に声をかけ、ジジィの店を後にする。



* * *




「これはっ!?」
 部屋に戻り、縮んで以来、初めて分離剤を飲ませて布状にした沙紀の心を見て俺は立ちすくむ。

 なんだ、この俺好みの可愛らしい女の子は!?
 じゃなかった。沙紀の奴、こんなにあどけない年頃までに縮んでいたのか。

 そこにあったのは、スラッとした沙紀の体よりもだいぶ小さく、いくぶん丸顔の少女。
 たとえ、布状でも、そして目を瞑っていても、その整った顔立ちは充分すぎるくらいに可愛らしい。
 少し薄めの唇と、目元の長い睫毛が印象的だ。

 しかし、可愛らしいという思いもあるが、こんなになるまで縮ませてしまった自責の念の方が大きい。



 頼むから元の沙紀に戻ってくれよな。
 俺は、アイロンのスイッチを入れると、心を込めて布状沙紀にあてていく。

 ん、これはもしかして?
 アイロンをあてると、小さくなっていた布状沙紀の手足や背が伸び、顔つきが少しずつ細面の、見覚えのある顔になっているような気がした。
 目に見えてわかる。うん、これは効いてるぞ!

「これでよし、と」
 アイロンをかけ終わった布状沙紀。それは、見慣れた大学生の沙紀の姿だ。
 俺は、それをそっと沙紀の体に戻す



 しばらくして、沙紀の瞼がゆっくりと開く。
「んん、あ、ケンちゃん?私?」

 ケンちゃん!それをどれだけ聞きたかったことか!

「沙紀!」
「あれ、私、どうしてたんだろう?ええっと、昨日ケンちゃんとメイドごっこして……」
「沙紀、それ、二ヶ月前」
「ええええーっ!?それじゃ、私、いったい!?」
「頭でも打ったのか、沙紀?その間普通にすごしてたけどな」

 いや、思いっきり嘘だけど。

「そ、そんなことって!?」
 混乱した様子で考え込んでいる沙紀。
 しかし、縮んでいた間の事は全く思い出せないらしい。
「やっぱり頭打ったんじゃないのか?どれどれ、俺が見てやるよ」
 そう言って、俺が沙紀の頭に手を伸ばすと。
「え?ひゃん!」
「ど、どうした、沙紀!?」
「な、なんなの!?ケンちゃんに触られると、ものすごく気持ちよくて感じちゃうの!」

 そ、それは、縮んでいたときの後遺症か?

「どれどれ?」
 俺は、沙紀の体を抱き寄せる。
「ひゃあああっ!やっぱりヘンだよ、ケンちゃん!」
 沙紀の腕を掴んで引き寄せるだけで、沙紀の体がビクッと震えて甘い声が漏れた。
「ん、そうか?変わりはなさそうだけどな」
「ええっ、そんなぁ!あんっ、んんっ、んむっ」
 俺の言葉に反論しようとする沙紀の口を、俺の唇で塞ぐと、すぐに沙紀の目がトロンとしてくる。
「ぐむっ、ん、ぷふぁあ。もう、ケンちゃんったらホントにスケベなんだから。ああっ、きゃああああっ!」
 俺が強く抱きしめると、それだけで沙紀はイキそうなくらいの声をあげて体を震わせる。
「あふううぅ。あっ、きゃっ、ケンちゃん!」
「沙紀、おまえ、もうこんなに溢れてきてるぞ」
 スカートの中に手を入れると、沙紀のショーツはグショグショになって、そこには収まりきらないくらいに濡れていた。
「ば、バカッ!ケンちゃんのどスケベ!やっ、あふうっ、あんっ、ひああっ!」
 俺が、ショーツをずらしてアソコの中に指を突っ込み、素早く動かすと、沙紀の体が何度も跳ねる。
「あっ、やっ、すごい上手になってる!?いっ、いつの間にっ!ああああんっ!」
 いつの間にって、この二ヶ月の間に。つうか、今の沙紀は、俺の前では全身性感帯みたいなもんだから、たぶん何しても感じるんだろうな。
「ちょ、ちょっと、ケンちゃん!?あっ、ああああああああーっ!」
 沙紀は、訳も分からないままに、手だけでイカされてしまう。

 大きく息をしながら、上気した顔でへたり込んでいる沙紀が俺の方を見る。
「んん、んふぅ。どうしたの、ケンちゃん?こんなにエッチが上手になって?」
 というか、沙紀の方が感じやすくなったというか。
「でも、ずるいよお。私ばっかりイカされちゃって。ケンちゃんも気持ちよくなろうよぉ」
 そう言いながら、俺のズボンをずらし、相棒を引っぱり出そうとする沙紀。

 こういうところが縮んでいたときとは違うよな、やっぱり。

「ほら、ケンちゃんのおちんちん、大きくなってるじゃない」
 沙紀は、そう言うと俺のチンポを手で扱き始める。
「んっ、はあっ、やっ、なんで!?手のひらがすっごく気持ちイイよっ!ケンちゃんを気持ちよくさせようとしてるのに、私も気持ちイイのっ!」
 はぁはぁと喘ぎながら、手扱きを続ける沙紀。
「んはあああっ、私の手にっ、ビクビクッて、熱い振動が伝わってきて、ものすごく気持ちイイよぉっ!」
 俺の相棒を手で扱く動きに熱がこもってきて、沙紀は顔をどんどん俺の股間に近づけてくる。
「んんんっ!ああっ、来るっ!ケンちゃんのおちんちんが震えてる!ひゃっ、ふああああああっ!」
 噴き出した俺の精液を浴びながら、もう一度イってしまう沙紀。

「あふ、ん、あむ」
 俺のチンポを軽く咥て、絡みついた精液を舐め取ると、顔に散った精液を指ですくいながら沙紀は立ち上がる。
「ちゅ、んん、今日のケンちゃん、なんかすごいね」
 指に付いた精液を舐め取ると、沙紀は服を脱いでいく。
「んふ、手でやってこんなに気持ちいいんだったら、私のアソコに挿れたら、どれだけ気持ちいいんだろうね?」

 俺の目の前には、復活したモンスターが一糸まとわぬ姿で妖艶に微笑んでいた。






* * *





 で、俺たちのその後だが。



 とりあえず、俺と沙紀の留年が決まったこと以外には大した変わりはない。

「きいいいいいっ!なんか私、ほとんど学校行ってなかったみたいなんだけど!試験もレポートもすっぽかしてるし!大事な必修科目全部落としちゃってるじゃない!いったいどういうことなの!?」
「まあまあ、落ち着いて、沙紀」
「もうっ!私が留年したのも、こんなにスケベになったのも、全部ケンちゃんのせいなんだからねっ!」

 いや、だから、留年してしまったのは確かに俺のせいだと思うけど、スケベなのは元からだって。




 優紀は相変わらずバリバリと働いて、俺たちの生活を支えてくれている。

「さあっ、ボーナス出たから今夜はみんなですっぽん鍋よ!」
「げっ、すっぽん!?」
「ケンイチったらなによー!ちゃんとデパートで売ってる調理済みのやつだってば。後は野菜とか入れるだけ。結構高かったんだからね、これ!」

 そ、そうか、ほっ。
 ていうか、すっぽん買って来るっていうことは、その後は当然……。




「さあっ、今夜こそリベンジよ!沙紀!」
「もうー、優紀ねぇも懲りないよね」

 だから、その勝負で一番体張ってんの俺なんですけど。
 ちなみに、復活した沙紀の前に優紀は敵ではなく、一度も勝負に勝ててないのは言わずもがなだ。






 そして。

「ケンちゃん!早く早く!遅刻しちゃうよ!」
「待ってくれよー、沙紀」

「おお、ナカモトよ。また新しいクスリが入ったぞ」
「もう授業始まるんだよ、また後な、後!つうか、店の前まで出てきて何やってんだよ」
「今度のはすごいぞい。ひとつ飲めば精力が漲り、100人の女とやっても大丈夫じゃ」
「だーっ!そんなことを人前で言うなぁっ!ほんっと、デリカシーないよな、あんた」

 俺のエロ道はまだ始まったばかりなのかもしれない。つうか、誰もエロ道を突き進むとは宣言してないんだけどよ。
 でも、結局やってることはエロライフだし、ジジィの手ひらの中なのかもな。
 まあ、どのみち、このジジィとは長いつき合いになりそうだ。

「もうー、なにやってんのケンちゃん!?急がないと遅れちゃうよ!」
「ああっ、すぐ行く!じゃあな、ジジィ、また後で!」

 俺は、ジジィに声をかけると、少し前で手を振って俺を呼んでいる沙紀の方に向かって走り出した。

 
 
< 終わり >


 

 

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