黒い虚塔


 

 



第7話


 ……あの後、絢華を説得した経緯に関しては、思い出しただけでも頭が痛い。
 常務がやったみたいに、キーワードでオンとオフが切り替わるようにしようかとも思った。
 しかし、そんな操作はもう受け付けないくらいに、絢華は深く奴隷化していたのだ。
 結局、ご主人様の言うことが聞けないのかと脅し、はたまた、これもご主人様のためだとなだめすかし、言うことを聞かないともう相手をしてやらないぞとまたまた脅し……。
 そんなこんなで、ようやく会社の中ではという条件で聞き入れてくれた。
 ……会社の中だけでなく、あまり人前で奴隷状態になってもらっちゃ困るんだが。
 まあいい、いずれそんなことも気にしなくてすむようになる……。


 で、場所は変わって僕のマンション。
「倭文さまぁ!任務完了で〜す!」
 ……絢華に比べたら、こいつの奴隷状態なんか、まだまだ序の口だな。
 まあ、こいつはこいつなりに従順なんだが。
「じゃあ、まず、モノを受け取ろうか」
「はい!これですっ!」
 愛那が取りだしたのは、携帯タイプの無線機。
 一見、何の変哲もない無線機に見えるが、うちの会社の保安部員が連絡に使っている専用のものだ。
 本当に、情報だけでなく、こういうものも手に入れて来るんだな。
 ……おおかた、色仕掛けでも使ったんだろう。
 こいつも、僕のためなら、どんな手段だってためらわないだろうし……。
 そのために、束の間の甘い夢を見た保安部員のことを、少し哀れに思わないでもない。
「……うん、たしかにこれだ。でかしたぞ、愛那」
「だって、倭文さまのために働くのが私の……きゃ!」
「約束だったな……たっぷり可愛がってやる」
「あ…倭文さま!……ん…んん……」
 愛那の体を抱き寄せ、その口に舌を入れるだけで、愛那の瞳が蕩けていくのがわかる。

「あ!んん!はあッ!ああ!倭文さまぁ!」
 僕に抱きかかえられ、愛那の細身の体が跳ねる。
「……そういえば、愛那。もうひとつ頼んでいた仕事があったな」
「ん!ああ!はい……うちの社長の…はあぁっ!能力はっ!ん!炎熱系です!」
 そう、実のところ、僕はうちの社長について詳しいことを知らない。
 というか、社長自身が、あまり表に出てこないタイプなのだ。
「炎熱系?」
「ああ!は、はい!そ、それも、一瞬で!んん!周囲のものを蒸発させる!ほどの!」
 僕にしがみつき、大きく腰を揺らしながら報告する愛那。
 ……器用なことするよな。させる方もさせる方だけど。
 だが、炎熱系なら、水系統か氷冷系統の力で対抗できるか?
 それにしても……。
「たしか、うちの社長の名前って……」
「は!はい!本晴樹(もと はるき)です!」
 もと…はるき…どこかで聞いたような名前だな……。
 いや、もちろんうちの会社の社長だから、名前くらいは知っている。
 しかし、なんか、悪魔の名前っぽくない。
「うちの社長って、魔王クラスの悪魔のはずだよな?」
「んんんっ!は!はい!しかし…ああん!私たちとは…はあっ!け、系統が異なります!」
 ……!そういうことか。
 僕はもちろん、愛那や絢華も含めて、魔界にいる悪魔の大半はかつて天界に身を置いていた者だ。
 それが、何らかの理由で天界を追放されたか、あるいは自分の意志で天界から降った者が悪魔になった。
 僕たち悪魔が、堕天使とも呼ばれるゆえんだ。
 しかし、悪魔の中には、ごくまれに、それとは違う出自を持つ者がいる。
 それは、かつて人間たちに崇められていたが、天界によって魔と見なされた太古の神々……。
 かつて神を名乗っていただけあって、その力は強大だ。
 しかも、それは、天界とルーツを同じくする僕たちとは、根本的に原理の違う力だ。
「はうっ!ん!し、倭文さまぁ!」
 彼らは、数も少ないし、うちの社長のように、あまり表に出てくることもない。そしてその素性を知られることを極端に嫌う。
 それを……こいつは、よくもまぁそこまで調べてきたもんだ。
 しかし、これはやっかいかもな……。
 今現在天界を統べる神にはおよばないにしても、その力は、そこらへんの上級悪魔をはるかに凌ぐだろう。
 だいいち、辺りを一瞬にして蒸発させるほどの力なんか発揮されたら、会社そのものが吹き飛ぶぞ。
 ただの魔王クラスの悪魔と思って仕掛けると、やり損なうのは目に見えている。
 それにしても、僕たちとは違う、強い力を持った太古の神か……ん? 
 ひょっとして……あれなら通用するかも……。
「あんッ!はあッ!倭文さまっ!?」
 あの力が発動すれば、その時点で、社長の力はだいぶ削がれるはずだ……。
 あとは、水や氷を使う悪魔で押さえ込む。
 その頭数を揃えるためのカードは、たった今手に入った。
 問題は、あれをどうやって仕込むかだが……。
 ……そうだ!適任の奴がいるじゃないか!
 どうせ、あいつには返さなくてはいけない借りがあるし、そのついでに僕の役に立ってもらうとするか。
「フ…フフフ……」
「倭文さま?…あうんッ!ひゃッ!あああッ!」
「いや、おまえは本当に優秀な奴隷だよ、愛那」
「ひあっ!?し!倭文さま!?んんっ!んあああああッ!」
 腰を沈めた後に、反動をつけるようにして、ズンッ、と深く突き挿れる。
 僕にしがみつく愛那の腕に力がこもる。
「よく調べてきたな。僕からの褒美だ、受け取るがいい」
「あああッ!し!しとりさまああああああッ!!」
 愛那は頭を大きく反らし、ギュウウウ、と僕を強く抱きしめてくる。
 ビクンビクン、と何度か体を痙攣させると、ガクン、と体の力が抜け、僕に寄りかかって喘いでいる。
「はぁはぁ……え?し、倭文さま!?ああッ!」
 まだ繋がったままの体勢から、愛那の尻を抱きかかえるようにして再び突き上げる。
「おまえに頼んだ仕事はふたつだったからな。褒美が1回じゃ数が合わないだろう」
「あ!ありがとうございます!倭文さま!はああっ!」
 愛那も、歓喜の表情を浮かべて再び腰を揺すりはじめる。
 もう少し、悪戯、いや、サービスしてやるか……。
 僕は、愛那に埋め込んだままの玉を操作し、体中の感度を上げていく。
「ひあああッ!?あがっ!はあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」
 たちまち、愛那の瞳の焦点が合わなくなり、瞳孔がピクピクと震え出す。
 そして、体をガクガクと跳ねるように上下させる。
「フフフ、今夜は気を失うまで相手してやるぞ」
「は!はひいいいいぃッ!」
 その日、深夜まで愛那の声が部屋に響き続けたのだった。 


 ――数日後
「ふう、意外と手間取ったな……」
 僕の手元にあるのは、愛那が手に入れてきた例の無線機。
 それと……無線機に接続されているのは、アンチ・洗脳操作感知センサーと、ディー・フォンの<マインド・ハッカー>の機能を組み込んだ装置だ。
 <マインド・ハッカー>は、電話やメールなどを使って遠隔操作での洗脳を可能にする機能を持つため、こういう、無線機とは相性がいい。
 その機能を使えば、無線を通じて、保安部員たちを一気に支配下に置くこともできるだろう。
 ただ、任務の性質上、保安部員にもセンサーが埋め込まれている可能性が高い。
 そこで、<マインド・ハッカー>を使い、アンチ・センサープログラムも送り込む。
 これで、やっかいな保安部を手中に収めることができる。
 僕は、装置を起動させ、無線機の周波数を合わせていく。
 ご丁寧にも、使用する周波数は毎日変更されることになっているが、この数日分の周波数は、とうに愛那が調べ上げている。
「……僕の声が聞こえるか?」
「……ハイ」
 おそらく、数十人はいるだろうか、抑揚のない声で返事が返ってくる。
 うん、うまく機能しているみたいだな。
「おまえたちの属している部署は?」
「……保安部です」
「保安部は、何のために仕事をしている?」
「……会社のため、そして、社長のためです」
「うん、では、おまえたちの職務を言ってみろ」
「……外部からの不審者の排除、および、社内での問題行為の監視など、社内の平和を守り、会社を守ることです」
「その通りだ。そこで通達しておく、今、会社で一番重要な人物は製品事業部本部長の倭文淳だ」
「……倭文…製品事業部本部長が最重要人物……はい、了解しました」
「だから、倭文本部長を守ることが会社を守ることであり、倭文本部長の言葉に従うのが会社のためになるんだ」
「……了解しました。……わたしたちは、倭文本部長に従います」
 ……これでいい。
 保安部を掌握すれば、社内では敵がいなくなったといっていい。

 この日、非番だった者のことも考慮して、僕は念には念を入れて、保安部員の洗脳を、さらに3日続けて行った。



 ――氷毬常務の部屋。
「よく来たわね、倭文くん」
 保安部員を僕の支配下に置いてから数日経って、僕はまた常務の部屋に呼び出された。
「お呼びでしょうか?常務?」
「ええ、ちょっとね……『私のペットの倭文ちゃん』」
 まあ……それ以外に用事はないんだろうけど。
 なるほど、いったん操作して暗示を埋め込んでしまえば、後は、キーワードひとつで切り替えができるため、魔力は使わなくてすむ。
 魔力も使わず、事前に組み込んでいた暗示を発動させるだけなら、センサーもごまかせる。
 そうやって、将来有望な社員は、出世してセンサーを埋め込まれる前に自分の支配下に置いてきたんだろう。
 同じような能力を操る者同士、常務の考えていることはだいたいわかる。
 僕がセンサーの無効化に苦心したように、常務は、立場を利用して、センサーを埋め込まれる前の者を支配下に置こうとしたに違いない。
 まあ、社長の愛人だから、多少のことは許されるんだろう、というのもあるんだろうけど。
 しかし、そうやっていられるのも今日までだ。
「……なんでしょうか?氷毬さま?」
「さあ、いつものように服を脱いでこちらへいらっしゃい」
「はい、氷毬さま」
 僕は、いつものように操られたフリをして服を脱ぎ、常務の方に歩み寄る。
 そこには、これもいつもと同じく、服を脱いで全裸になった常務が立っている。
「倭文くん……ん…んん……」
 僕の体を抱き寄せ、口づけしてくる常務。
 その背後に回した手から、僕は玉を常務の中に送り込む。
 絢華の時に一度やっているから、センサーの探知と無効化は簡単だった。
「んん……はぁ……。さあ、たっぷり可愛がってあげるわよ、倭文くん」
「……それは僕のセリフです。氷毬常務」
「な!?し、倭文くん!?暗示が解けたの!?」
 常務が、ハッとした表情で僕の顔を見つめる。
「いや、暗示が解けたんじゃなくて、最初から暗示にかかってないんですよ」
「そ、そんなはずは!?」
「ええ、今まで僕が常務とやってきた事は全部覚えてますよ。だって、僕は、ただ、暗示にかかったフリをしていただけですから」
「そんな!?」
 そう、短い叫びをあげる常務。
【動くな】
 後ずさりしようとする常務に、命令を送り込んで動きを止める。
「な!?これは!?」
「ああ、常務の体に細工をさせてもらいました」
「こ、こんな事をして!わかってるの!?私にもセンサーが入ってるんだから、そのうち保安部員が……」
「来ませんよ」
 保安部員は、すでに全員僕の手駒だ。
 だいいち、そのセンサー自体が無効化してある。
「う、うそ!?」
「ウソじゃありませんよ。保安部員は来ません」
「そ、そんな……」
 常務の目が大きく見開かれる。
 まだまだ、この程度でショックを受けてもらっちゃ困るんだけどな。
{自分は大声で助けを呼べないし、呼ぼうとも思わない}
 大声で騒がれるとさすがに面倒なので、機先を制して、大声を出せないよう思念を送る。
「さてと、それじゃあ始めましょうか」
「始めるって…何を!?」
「何をもなにも、常務が僕とやろうとしていたことですよ。もちろん、立場は逆ですし、僕は、常務ほど優しくないですけどね」
【僕のモノをしゃぶるんだ】
 僕は、そう常務に命令を送る。
「え……あ…ああ……」
 常務が視線を下に落とす。お互い、すでに裸だから、常務が視線を落とした先には僕のモノがある。
【さあ、早くしゃぶるんだ】
「あ…ん…んん……」
 常務がゆっくりと腰を落とし、僕のモノにしゃぶりつく。
 僕がやっていたように、操られているフリではない。
 それは、埋め込んだ玉を通して伝わってくる、常務の思考や感情でわかる。
 常務から感じるのは、どす黒く渦巻く憎悪と屈辱感……。
 僕がそうであるように、操作系の能力を操る者は、操作されることを嫌う。
 だから、僕に操られていることがはっきりわかるように、思念を送って認識を操作することはせず、命令モードで体だけを操る。
 でなければ、復讐の意味がない。
【もっと口全体を使うんだ】
「んふ……ん…ん…ちゅる…んん……」
 フェラの快感、というよりも、これまでの屈辱を返せる興奮から、僕のモノはすぐに大きくなる。
【さあ、もっと激しくするんだ】
「んんん……ふん…ふん…ちゅ…じゅるるる……んんん!」
 見ただけでは、自分から熱心にしゃぶっているように見えるが、常務からは、屈辱にまみれた感情が伝わってくる。
 それが、僕の射精感を高める。
「……く!」
 僕は、常務の頭を押さえつけ、喉の奥に射精する。
「んく!ぐぼ!くふ!んん!くふ!ん!」
 苦しげに常務が呻くが、僕はその頭を押さえつけ、むせることすら許さない。
「……んふ!ごほ!けほけほ!」
 ようやく解放され、口の周りを白く汚しながらむせる常務。
「フフフ、いい顔になったじゃないですか。どうです?操作というのは、こういう風にするものなんですよ」
「……っ!」
 僕の方を見上げた常務の顔が、屈辱に歪む。
 そう、その顔だ!
 おまえのために、僕がいままで、心の中で何度その表情を浮かべてきたことか!
 だが、こんなものじゃまだまだ足りない。
 足りるわけがない……。

{自分は倭文のモノを中に挿れたい。倭文のモノが欲しくてしょうがない}
 僕は、ソファーに腰掛けて、常務に思念を送りつける。
「あ…や…こ、今度は……なに?」
 こういう時、なまじ操作系の能力に長けていると、いちいちどういう操作を受けているか理解できてしまう分、精神的なダメージは大きいだろう。
 もちろん、僕もそれを狙っているんだけど。
「さあ、常務、今あなたがしたい事をしたらいいんですよ」
「あ…そ、そんな…ああ…」
 常務は、よろよろと僕の方に歩み寄り、僕の腿をまたぐようにして、僕の肩に手をかける。
「それに、どのみち、こういうことをするために僕を部屋に呼んだんでしょう?」
「ああ…でも、それは……」
「さあ、はやくしてください、常務」
「あ…はん!んんん!」
 常務は、片手で僕のモノを支え、腰を沈めて自分の中に挿入する。
「あっ!はああっ!ん!はうん!」
 そのまま、腰を揺すり始めた常務に、さらに思念を送る。
{倭文のモノを挿れるのはとても気持ちいい。自分は、もうこれなしでは生きてはいけない}
「ひあああっ!ああうんっ!ああああぁッ!」
 思念を送ったとたん、常務の体が反り返り、大きく喘ぐ。
 しかし、ただ気持ちよくなってもらうわけにはいかない。
{自分は倭文に屈しない、こんな屈辱を受けた相手は好きになれない。しかし、そう思えば思うほど、どんどん気持ちよくなってしまう}
「ひゃあああッ!な!なんで!うあああん!」
 なんで?そんなの決まっているでしょう。僕が、そういう操作をしているからですよ。
 それとも、もう、そんなこともわからなくなってきてるんですか。
{倭文に屈し、服従するのは、自分のプライドが許さない}
 ……そう、こいつは愛那のようにも絢華のようにもしない。
 そのためには、僕の言うがままになるのを屈辱に感じるプライドだけは保ち続けてもらう。
「こ!こんなの!いやあっ!あああッ!でも!すごく!気持ちイイのッ!」
 僕は全く動いていないのに、常務は自分から腰を動かすことを止めることができない。
{自分は、倭文から受けた屈辱を気持ちよく感じてしまう}
「あああッ!ひああッ!」
{倭文にプライドを傷つけられるば傷つけられるほど、快感を感じてしまう}
「くはあっ!んああっ!」
{しかし、それでも自分はプライドを失わないし、心は決して倭文に屈しない}
「ああっ!いやああああっ!」
 屈辱、苦痛、それに、極度の快感の入り交じった表情で、腰を振り続ける常務。
「いい声じゃないですか、常務。イキそうなんですか?」
{もし、イってしまったら、自分は倭文に屈してしまうかもしれない}
「あああッ!いやっ!んっ!そ、そんなことッ!」
{しかし、それは逆に、イカなければ、倭文に屈することはないということだ}
「んんん!イキそうなわけ!ないでしょ!」
 イカなければ大丈夫だという安堵感。
 しかし、それは罠。
 わざと逃げ道を作り、次の落とし穴にはめるための……。

 そろそろ次の段階にいくか。
{心では嫌っていても、自分は倭文の言葉に逆らうことができない}
「嬉しそうですね、常務」
「嬉しいわけっ!あるはずないでしょッ!」
 金髪を振り乱し、大きく頭を振って否定する常務。
 しかし、その素振りは、快感に喘ぐようにも見える。
「でも、気持ちいいんでしょう?」
「そ!それはッ!……くはああっ!」
「いいんですよ、もっと気持ちよくなっても。さあ、もっと派手に腰を振って」
「くあああッ!ああッ!な!?ど!どうして!?」
「フフ、常務はもう僕の言うがままなんですよ」
「はうッ!んっ!こ、こんなことしてっ!いいと思ってるの!?倭文くん!」
「倭文くん?僕のことは、倭文さま、と呼んでもらいましょうか」
「そ、そんなっ!……くっ!」
「さあ……」
「んんッ!うっ……し…倭文さまっ!…くっ!んんん!くはあああッ!あああんッ!」
 倭文さま、と口にした瞬間、屈辱の表情を浮かべる常務。
 しかし、僕の送った思念によって、その屈辱はすぐに快感に置き換えられ、常務は、身を焦がす快楽に悶える。
「倭文さま、と呼んだということは、僕に屈したということですね」
「くっ!屈してなんかいないわっ!だって!私はまだイってないんですものっ!はううッ!」
「そうですか、それじゃ、さっさとイってもらいましょうか」
「だ、誰がっ!」
「さあ、僕のモノがもっと奥まで入るように腰を使って」
「あッ!んぐうッ!はあああッ!」
「そして、僕の精液を受けて……イクんです」
「だ!ダメッ!イったらッ!くはああッ!いやッ!ひああああああああッ!!」
 すでに、常務が感じている快感は限界を超えているはずだ。
 そこに、まともに中出しされたら、ただでさえ簡単にイってしまうだろう。
 ましてや、今の常務の体は僕の言いなりだ。イケと命令されたらひとたまりもない。
「あああああッ!あああぁぁぁ……そ、そんな……私……イってしまったなんて……」
 僕の体の上で大きく喘ぎながら、イってしまった絶望感に打ちひしがれる常務。
 もう、ほんのひと押しで、愛那や絢華のような従順な奴隷になるだろう。
 だが、そんなことはしない。
「もう一度、チャンスをあげましょうか、常務」
「……え?」
「もし、もう一度やってイカなければ、僕に屈していない、ということにしてあげましょう。どうです?」
「……やるわ!1回イっただけで…し、倭文さま…んふう!に屈するもんですか!ああん!」
 それでいい……そうでなければ面白くない。
 まあ、僕の命令に従って、僕を倭文さまと呼び、しかも、その屈辱からくる快感に喘いでいる時点で、もう屈しているようなものだが。

「んくう!くはあああああああッ!!……んんん!はぁはぁ……」
「またイったんですか、それじゃ、僕に屈したということで……」
「もう一度!もう一度チャンスをちょうだい!」

「ああああっ!んはああああああッ!!」
「これで終わりですか?」
「はあぁ……ま、まだよ!」

「んんんん!ひいああああああぁッ!!」
「今度こそおしまいですか?」
「んんん……ま、まだまだ……」


「あ゛ッ!……んん!…ん!…う゛う゛!」
 もう何度イっただろうか。
 今の常務を動かしているのは、決して僕に屈しない、という、ただその一念。
 それすらも、僕の操作によって組み込まれたものでしかないのだが。
 イカない、屈しないと思いつつも、常務は自ら快楽を貪るように腰を動かし続け、イキ続けた。
「う゛う゛う゛ッ!……う゛あ゛ッ!……あ゛あ゛あ゛ッ!」
 もはや、目は虚ろになり、惰性のように腰を揺らして鈍い喘ぎ声を上げる。
 僕の言葉への反応もだいぶ鈍くなってきた。
 ……さすがに、これ以上やると壊れてしまうな。
 ここでこいつを壊してしまうと、それはそれで後が面倒だ。
 それに、こいつには、やってもらわなければならないことがある。

 とりあえず、常務にかけた枷をいくつか外すことにする。
 それだけで、精神的にはだいぶ楽になるだろう。
 もちろん、簡単に甘々の奴隷にするほど僕は優しくない。
{意識をはっきりと保つんだ、ここで自分を見失うと、体だけでなく、心まで倭文のモノになってしまうぞ}
 まだ多少の理性が残っているうちに、玉を使って思念を送る。
「あ゛ッ!う゛あ゛あ゛ッ!い、いやッ!」 
{そうだ、まだ自分はこの男に屈するわけにはいかない}
「ん゛ん゛っ!……あ゛っ!んんん!」
 少しずつ、常務の喘ぎ声に、はっきりとしたものが戻ってくるのがわかる。
{しかし、これだけイってしまったのだから、もしかしたら、自分は倭文の事が好きなのかも知れない}
「んあ゛あ゛ッ!そ、そんな!……こと!?…んんんんッ!」
{好きになることと、屈することは違う。好きになったからといって、相手に屈服するとは限らない}
「ひあああっ!ああん!んん!はううううん!」
 壊れかけの状態から正気に戻ってきたのか、常務の瞳にだいぶ光が戻ってきて、喘ぎ声も甘いものが混じってくる。
{だから、今度イったら、素直に倭文の事が好きだと認めてしまおう。だって、こんなに気持ちいいのだし、もう、自分は倭文なしでは生きてはいけないのだから}
「あああん!はああッ!イイッ!イイのッ!んはああああんッ!……ああッ!イクッ!またイクのッ!んんん!はあああああああッ!」
 僕の送る思念に抵抗することもなく、常務は素直に快楽に身を委ね、そして、何度めかの絶頂に達する。
「はああぁ…んん……ああ…そ、そんな…わ、わたし…倭文くんのことが……好きなの?……くっ!……んんん!そ、そんなはず…ないのにっ!」
 常務から伝わってくるのは、僕に対する憎悪と屈辱、そして僕への好意と愛情……。
 操られることを嫌い、自分を操る者を憎悪するのは、操作系の能力を持つ悪魔の本能と言っていい。
 今の常務の精神は、僕に対する憎悪と愛情という、相反する感情に引き裂かれそうになっている。
 強力な操作によって、その本能的な憎悪を消してしまえば、常務は完全に堕ちるだろう。
 しかし、それでは面白くない。
「だから、僕のことは、なんと呼ぶんでしたかね?」
「く……し、倭文さま…ん!あああん!」
 常務は、羞恥と屈辱のない交ぜになった表情を浮かべるが、すぐに快感に顔を蕩けさせる。
「いい顔をするじゃないですか、そんなに僕のがよかったんですか?」
「そ!そんなわけないでしょ!だって、私は…私はっ!」
「僕のことが憎くてしょうがない、ですか?」
「そ、そうよ!」
 うん、まあ、たしかにウソじゃあないな。
「そのわりには、だいぶお楽しみのようでしたけど」
「そ、それは!私をそんな風に操作したからじゃない!」
「そうですか、わかりました。じゃあ、僕も、もう二度と相手はしないことにしましょう」
「ダメ!それはダメよ!」
「だって、僕のことが……」
「好きよ!……くっ!はああああっ!」
 僕に対する憎しみのために、僕への好意を認めることすら屈辱に感じ、それもすぐに快感に変換されてしまう。
 憎悪と愛情、そして屈辱と快感の連鎖……これからずっとその連鎖に悶え、苦しむがいいさ。
「では、僕に屈したということでいいんだね、璃々栖」
「ち!違う!それに!璃々栖って!?」
「僕のことを、倭文さま、と呼ぶ奴を、常務とか氷毬さんとか呼ぶわけないだろう」
「そ、そんな!……あ!はああっ!」
「なんだ、僕のことを好きだと言えば、僕が優しくなるとでも思ったのか?そんなわけないだろう、璃々栖、おまえは僕の奴隷……」
「な!……くはあああッ!」
「いや、奴隷ですらないな。ペットか?」
「ぺ!ペット!……んんん!くふう!」
 僕の言葉に、いちいちプライドを傷つけられ、それでもって快感に悶える璃々栖。 
 人のことを散々ペット扱いしておいて、自分は一人前に屈辱を感じてやがる。
「いいや、ペット以下だな。璃々栖、おまえは僕の性欲処理のためのただの道具だ」
「どっ!?そ!そんな!……かはあああッ!」
 ……性欲処理の道具っていうよりかは、言葉責め仕様のオモチャみたいだな。
「だって、今日だけで、僕が何回おまえの中に出したと思っているんだ?」
「だからって!道具だなんて!……んあああああッ!」
「なんだ、あれだけイった後なのに、僕の言葉だけで、またこんなに溢れてきてるじゃないか。本当によくできた性欲処理器だな」
「そ、そんな!それは!……あああああッ!」
「ククク…璃々栖、いいことを教えてやろう」
「な、なに……ですか?……ふううん!」
「僕への憎しみ、そして、その屈辱を晴らしたいのなら、僕のことを洗脳し、おまえのモノにすることだ。そう、今、僕がおまえに対してやっているようにな」
「や、やってみせる!……いつか、きっと!」
「だが、性欲処理器のおまえにそれができるかな?」
「くっ!……ああ!ひゃああああんっ!」
「なんだ、またこんなに溢れさせて、しかたない道具だな。そんなに挿れて欲しいのなら、使ってやろう」
 そういうと、僕は、グショグショに濡れた璃々栖の裂け目に、僕のモノを無造作に挿し込む。
「あああッ!わ!私は!道具じゃ!ない!……ひいああああッ!」
「道具なのが嫌なら、自力でそこから這い上がって来るんだな、璃々栖」
「んあああああッ!やる!這い上がってみせる!し、倭文さまに!ひゃあああッ!私のことをっ!認めさせてみせる!くうううううッ!そ、そして!いつかっ!立場を逆転させてみせるわっ!はああああんっ!」
 ああ、せいぜい頑張るんだな。
 その、屈辱にまみれる快楽から、抜け出すことができたらの話だが。


 そうやって、璃々栖を堕とし、ひとしきりいじめ倒した後……。
「ああ、そうだ、璃々栖。おまえに、僕の性欲処理器から抜け出せるかもしれない機会を与えてやろう」
 そう言うと、僕は、自分のスーツを拾い上げ、ポケットを探る。
「……え?」
「おまえは社長の愛人なんだろう?」
「ど!どうしてそれを!?」
「そうなんだろう?」
「……そうです」
「まあ、今は僕の性欲処理器だがな」
「ち!ちがっ!……はあああん!」
 まあ、ヤっていないときは、性欲処理器じゃなくて、いじめて反応を楽しむ変態オモチャだな……。
「とは言っても、今は、社長より僕の方が好きなんだろう?」
「……はい……ああん!」
 顔を赤らめてうなずく璃々栖。
 ふーん、こんな表情もできるのか、でも、それも屈辱に感じてるみたいだな。
「じゃあ、性欲処理器から這い上がるためにも、せいぜい僕のために働くことだな」
「く……んん!んはあっ!」
 なんだ、この程度のことで感じてしまうのか。
 プライドが高いってのも、なかなか大変なもんだ。
「そこでだ、璃々栖。今度、社長と寝るときに、こいつを社長に埋め込んでおいてくれ」
 そう言って僕が取りだしたのは、水色に輝く宝石。
 この宝石の効果は、持つ者が発した言葉と反対の感情を相手に持たせるもの……。
 しかし、それは表向きにすぎない……、そんな機能は、別に他の物にでも組み込める。
 こいつの真価は、この宝石そのものの性質によるもの……それは、霊体の吸収。
 この宝石は、発動させると、悪魔であれ天使であれ、霊的存在を吸収する。
 僕の計算では、魔王や、神ですら封印できるほどだ。
 特に、これを体内に埋め込まれた状態で使われると、どれほど強力な力を持つ者でも抗うことはできないだろう。
「こ、これは?」
「これが何かは、おまえが考える事じゃない。これは、手で持っても何ともないが、相手の胴体部分に触れると、体内に吸い込まれるように調整してある。うまくやれば気づかれることすらないだろう」
「……いったい何のために?」
「言ったはずだ、おまえが考える事じゃない、と。命令だ、璃々栖。これを社長の体に埋め込むんだ」
 璃々栖には、僕の言葉には逆らえないようにしてある……。
「くっ!……んん!か、かしこまりました……んふうっ!」
「それに、こうやって僕のために働いて、僕に認められれば、逆転のチャンスが巡ってくるかもしれないだろう」
「そ、そうですね……んん!」
 普通に考えたら、社長とふたりだけの時に、社長に訴えて、僕を処分させればいいだけの話なんだが……。
 そんなことすら思いつかない時点で、完全に僕の支配下にあるということだが、本人はそれにすら気づいていない。
 この調子なら大丈夫だろう。
「ククク……」
「し、倭文さま?……はああんっ!」
「いや、なんでもない。ああ、そうだ、璃々栖。僕とふたりっきりのとき以外は、僕のことを倭文さま、と呼ばなくていいぞ。今までどおり、倭文くん、と呼ぶんだ」
「よ、よろしいのですか?……ああん!」
「かまわない。それと、僕に対して敬語も使うな」
 面白いから放っておくが、こうやって、僕に敬語を使うたびに、いちいち、その屈辱からくる快感に悶えられるのもめんどくさい。



 璃々栖から、首尾良くいったとの報告があったのは、それから10日ほど経ってからだった。
 これで準備は整った。
 さあ、いよいよ本丸を落とさせてもらうとするか……。

 
 


 

 

戻る