Turn Out Devils


 

 

Turn Out 1


 彼女にとって、「異世界」への入り口は、その日、突然に開いた。



 じゃばぁ……っ
 満天の星、というわけにはいかなくても多少は輝きが見える空の下、高崎 みのり(たかさき・みのり)は一人、泳いでいた。
 伝統ある女子校のお嬢様であることを感じさせない、トビウオのような動き。
 インターハイにも出場したことがある、アスリートの泳ぎ。

 ざばぁっ
「っ……ふぅ」
 みのりがプールサイドに腰掛け、キャップとヘアゴムをとると、結んでいた髪が肩の下まで垂れる。
 ゴーグルを外して、左胸の上に挟む。
 実年齢より少しだけ大人びて見える顔は、サバサバとした雰囲気を感じさせる。同性に好かれる明るい性格のせいか。
「ふぅっ、疲れたっ」
 そのまま寝そべるみのり。
 競技用の水着に隠れた乳房は、なかなかに大きい。みのりの動きに合わせて、たぷんと揺れる。

 ――来て良かった。
 普段は夕方には部活を終えて家に帰るところが、今日は委員会がやたらと延びて泳げなかった。
 そこで、守衛さんに頼んで鍵を貸してもらい、こんな時間まで「自主トレ」と称して泳いでいたのだ。
 女子校で普段は警備が厳しいものの、インターハイ経験者のみのりの願いは、比較的あっさりと受け入れられた。ステータスのたまものか。

「楽しそうですね」
「え?」

 突然の声に、みのりは慌ててプールの出口を見る。
 そこには髪の長い女性の影。
「あ……えーと」
 一瞬考えて、
「姫川さん? だっけ? ごめんなさい物覚えが悪くて」
 思い出す。
 ――確か、隣のクラスに転校してきた姫川 茜(ひめかわ・あかね)さん。
「はい、当たりです」
 顔に笑みを貼り付けて近づいてくる、背の小さい夏服の女学生。
 腰まであろうかという髪の毛が風に揺れる。
「どうしたの? こんな時間に」
 自分のことは棚に上げて、みのりが問う。
「いえ、通りがかったら、なぜかプールで泳いでいる音が聞こえたもので」
「いや、そうじゃなくて、なんでこんな時間にこんなところに……っ!?」
 みのりは立ち上がろうとして、一瞬立ちくらみを覚える。
「あれ、大丈夫ですか?」
「……あ、ごめんなさい、……ちょっと疲れちゃったかな」
「あはは……無理してはダメですよ」
「そうね」
 みのりは、ぺろっと舌を出して応える。

 ――あれ、今、何か聞こうとしたと思うんだけど……なんだっけ? それに今、一瞬、姫川さんの目が光ったような気がしたんだけど……気のせい?

 声に出さない疑問を、頭の隅に残しながら。



「それにしてもみのりさん、もう8時ですよ。
 帰らなくて大丈夫ですか?」
「え? ……あ、ほんとだ」
 監視用スペースにかかっている時計を見ると、確かに8時を数分過ぎていた。
「もう2時間だ」
「えっ、2時間も泳いでたんですか?」
「うん。たまにあるのよね、調子に乗って泳いでるといつの間にか時間が経っちゃって……」
 ――なんか、おかしい。
 しゃべりながらみのりは、何とも言えない違和感を得る。
 まるで、人間を模した機械としゃべっているような……相手が人間でないような。

 ――まさか、ね。

 そんなわけない。みのりはその妄想を、あっさり捨て去る。

 しかし、みのりは気づいていなかった。
 その「妄想」が間違っていなかったことに。
 そして、今のこの会話が、茜がその人ならざる力を発揮するための、時間稼ぎだということに。



「うん、やっぱりあたしはバタフライが一番好きだなあ。カッコイイし。
 クロールもいいけどね」
「へー、そうなんですかー」
 そのまま、立ち話3分。
「で、みのりさん、帰らなくて大丈夫なんですか?」
「あ」
 ――しまった、すっかり話し込んじゃった。
 みのりも一般女性と変わらず、無駄話が好きである。
「そうね、もうずいぶん泳いだし、これ以上遅くなっちゃ親に怒られるし、終わりにしないとね」
 そういいながらみのりは歩き出し……

 ぞくっ
「!?」

 思わぬ違和感に足を止める。
「? どうなされたんですか?」
「あ、いや、ちょっと……」
 気のせいかと思い、また歩を進めると……

 ぞくっ
「……っ!?」

 また足が止まる。

 何。
 何この違和感。

 また歩く。

 ぞくぞくっ!
「ぁ……っ!」

 耐えきれず、しゃがみ込みそうになってなんとか堪える。


 あり得ない。
 こんなところでこんな違和感。



 「女性の部分」が、熱くなっている。
 しかも、猛烈に。



 みのりは処女だが、年頃の一般女性に違わず、それなりの自慰経験がある。
 しかし、このようなところで、しかもただ歩いただけで、そのような感覚を得るのは、明らかに異常だった。

 脚を動かすだけで、水着が「そこ」と擦れる感触が、全身を貫く。

「大丈夫ですか? みのりさん」
 心配そうな顔をする茜。
「え、ええ……大丈夫よ……ぅっ!?」
 くらぁっ
 茜の瞳を見た途端、再びめまいがする。
 その瞬間、みのりの脳裏には“なぜか”、自らの恥ずかしい姿が鮮明によみがえる。
 それは、週に1度くらいしている、自慰行為の姿だった。

 恥ずかしいことだと思いながら、自らの身体の誘惑に負け、下着の上から「そこ」に指を這わせる行為。
 恥ずかしい声を上げながら、さらなる快感を求めて、下着の中に指を入れる自分の姿。
 「そこ」にある突起をさすり、かりそめの絶頂に翻弄される、自らの痴態。
 その全てが、鮮明に思い出される。

 その瞬間。
 ――あ……オナニーしたい……
 「オナニー」という単語が浮かんだ瞬間、みのりの脳がその言葉に汚染され始める。
 ――オナニーしたら、気持ちよさそう……ダメ、こんなところでオナニーなんて……オナニーは、家に帰ってからじゃないと……一人になってオナニーしたい……オナニーなんてはしたない……何でオナニーのことばっかり……

 卑猥な単語に侵された思考を必死で否定するみのり。
 と、
「みのりさん、本当に大丈夫ですか?」
「え、あ、うん、何でもない……」
 そこでやっと、隣に茜が居ることを思い出す。
 ――ダメ、よくわかんないけど、オナニーしたいこと、とにかく、姫川さんにばれたらダメ……オナニーのこと考えてるってばれたら、恥ずかしすぎて、死んじゃう……

 そう思い、必死に歩を進めるみのり。
 だが。

「ん……ぁ、ぁ……あっ……あぅぅっ……」

 身体を動かすたび、股間への快感、そして「その欲求」は強くなる。
 十歩も歩かないうちに、みのりの乳首が起き上がり、固くなっていく。

 ――ああ、なんで……気持ちいい、オナニーしたいの、こんなに……

 しかし、このまま進めば更衣室だ。
 茜を置いて、一人になれる可能性が高い。
「みのりさん」
「え? ……うぅっ」
 くらぁっ。
 まためまいがする。
「みのりさん、更衣室で何をするつもりですか?」
 はっ、とみのりは“気づく”。
 ――このまま更衣室に向かったら、あたしがオナニーしたいって、姫川さんにばれる……
 それはまずい。
 仕方なくみのりは、プールサイドを左に曲がって歩き続ける。

「みのりさん……大丈夫ですか?」
 “何も知らない”茜は、心配そうにみのりを見つめる。
「だ、大丈夫、よ……あんっ!」
 首を動かした拍子に、水着が乳首に擦れて衝撃が奔る。
 ――ダメ……擦れてる……
 ……その衝撃のせいで、まためまいが起きたことには、みのりは気づかなかった。

 気がつくと、みのりの脳裏には別の映像が映っていた。
 中学生のとき、修学旅行で、お風呂で自分の身体を洗う姿。
 あのときみのり達は、冗談で、みんなの胸を触り合ったのだった。

 ――そうだ! 上だけ水着脱いで、あのときみたいに胸を出せばいいんだ……
   そうすれば、擦れない……!
 幸い、ここには女性の茜しかいない。
 恥ずかしがることは、何もない……はずである。

 思い立ったみのりは、ゴーグルを手に持って、肩紐を降ろす。
 布地に覆われていた、大きく形のいい胸があらわになる。
「わー、みのりさんって、胸大きいんですね」
 茜が無邪気に言う。
「ええ、いいでしょ」
 みのりも否定しない。
 確かに自慢の胸だった。
 Dカップの胸を露出させて、多少は楽になった、ような気がする。
「いいなぁ……みのりさん、触っていいですか?」
「ん……いいよ」
 みのりはあっさり承諾する。
 ――普通だよね……修学旅行のときも触られたし。
 みのりの言葉を受けて、茜はみのりの後ろに回る。
 そして、
 ふにっ
「あっ……!!」
 茜が両手でみのりの胸を包み込んだ瞬間、みのりの身体がびくん、と反応する。
 ふにふに、ふにふに
「あ……ぅ……はあぁっ……」
 (みのりにとっては)予想外の衝撃に、みのりの口の端から唾液が一筋こぼれる。
 ――な、なんで……むね、触られてる、だけなのに……
   乳首、何にも、されてないのに……
 何が何だか、分からない。
 でも、気持ちいい。
 思考が熔けそうだ。
「あーあ、やっぱり大きな胸っていいなぁ。
 男の人にモテるでしょう」
 茜が胸から手を離し、不満そうにつぶやく。
「……ぁ……そんな、もてないよ、私……」
「本当ですかあ?」
「……本当だって……」
 快感の余韻に浸りながら、みのりは一人の男の子の顔を思い浮かべていた。

 ……その瞬間、茜が顔をしかめたことに、みのりが気づくはずもない。



「あ……あん……あん……ああ……気持ちいい……」
 あれから5分。
 みのりは、ずっとプールサイドを歩き回っていた。
 もう、2周目も終わろうとしているのに、いっこうに身体の疼きが収まらない。むしろ、疼きは増す一方だった。

「本当に、大丈夫ですか?」
 心底心配そうに、茜はみのりを見つめる。
「あん……だ、だい、じょ、ぶ……あああぁっ」
 何度目かのめまいと、強烈な快感。
 身体がぐらつくだけで、強い快感に襲われるほど、みのりの全身は敏感になっている。
 もう、みのりは喘ぎ声を抑えられない。正確には、抑えなければいけないということを忘れさせられていた。
 右足を前に出す度に、突起が水着に擦れる。
 左足が前に出る度に、水着が「女性の部分」を締め付ける。
 「そこ」は完全に口を開き、粘性の高い汁は既に膝下まで伝っていた。
「気持ちいい……ああぁ……気持ちいい……」
 譫言のようにつぶやくみのり。
 しかし当のみのりは、自らの発言の異常さに気づいていない。

 ――早く、オナニーしたい、オナニーしたい、擦りたい、あそこ擦りたい、あそこグリグリして、ビクビクしたい……!

「みのりさん?」
 急に、茜がみのりの正面に立つ。
 みのりは思わず茜の瞳を見て、
「ぅぁっ……あああぁぁぁぁぁっっ!!」
 さらなるめまいと快感に耐えきれず、身体を痙攣させ始める。
 それでも、みのりの両足はバランスを保ち、膝が崩れることはなかった。みのりの強靱な精神力によるものか、あるいは……。
「みのりさん、そんなにおまんこ擦りたいんですか?
 おまんこいじりたいんですか?」
 茜は目の前にいるはずなのに、なぜか耳元でささやかれているような錯覚。
「あぁ……ダメ……ダメなのぉ」
 もう、自分でも何を言っているか分からない。それでも、みのりの口は最後の抵抗を表していた。
「そうですか……だったら、乳首をグリグリしたらどうです?
 おまんこ触らないんだったら、オナニーになりませんよ?」
 ――おまんこ触らないんだったら、オナニーにならない……
 その言葉が、みのりの思考を書き換える。
 手に握られたキャップとゴーグルが、その手から自然にこぼれ落ち……
 ぎゅぅっ!
「いひいいいいいいいぃぃっぃぃぃいっっっ!!」
 両手の指が、同時に両方の乳首をつまみ上げた瞬間、みのりの抵抗は破綻した。
「あっ! あああっ! きもちいい! きもちいいっ! ちくびかんじる!! オナニーしてないのにかんじるうう!!」
 棒立ちの姿勢で両胸をもみしだき、本来は精悍な顔に恍惚の表情を浮かべるみのり。
 乳房を揉み潰しては腰を突き出し、乳首を引っ張っては全身をふるわせる。
 上半身裸で見せるその踊りは、普段の快活とした姿からは想像もつかない、女の、いや牝の痴態だった。
 ――もう、ダメ……あたし、壊れちゃう……壊れる……!
 尋常でない快感に、みのりは恐怖する。
 だが、
「みのりさん、ずいぶん頑張りましたね……でも、もういいでしょ。
 私の目、見なさい」
 声に釣られて、みのりは茜の瞳に目を向けてしまう。
「う……っ!!!」
 何度目かのめまいと、うめき声にしかならない壮絶な快感の直後、みのりの右手がコントロールを離れる。
 向かうは……
「じゃあみのり、3つ数えたらその指で、クリトリスを思いっきり押し込みなさい。
 きっと、頭真っ白になるわよ」
「……ひっ」
 茜の宣告に、みのりは本能的な恐怖を覚える。
 ――本当に、壊される。
「いち」
「……ゃ」
「に」
「……ゃ、ゃ、やめ、」
「……いってらっしゃい。……さん」
 ぎゅうううぅぅうっ!
「…………かはぁっ……! ……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 茜の命令に従った指は、みのりの突起を全力で押し潰し。
 たっぷり20秒の絶頂痙攣を味わったみのりは、白目を剥いて倒れ込んだ。



「ふぅ……やっと『開いた』わねえ……楽しかったけど」
 気を失ったみのりの横で、茜が独りごちる。
 無邪気そうなさっきまでの雰囲気とは全く違う、呆れと嘲笑が混ざったような表情。
「はっ!!」
 茜が気合いを入れたとたん、辺りの景色が歪む。



「ほらっ! 起きなさいっ!」
 ぱちんっ!
 頬に突然の衝撃を受けて、みのりは目を覚ます。
 ぼぅっとしていたみのりは、それでも数秒すると
「な……なに、これっ!?」
 状況の異常を感知する。

 目の前にいた茜はいつの間にか全裸だった。
 それはまだいい。
 茜の背中にあるのは……黒い羽根のようなもの。
 そう、それこそ、悪魔のような――
「やっとお目覚めね」
 目の前の茜が口を開く。
「ひ……姫川さん、これ、は……っ!?」
 言い終わる前に、みのりは自分の格好に気づいて愕然とする。

 みのりも全裸だった。
 しかも、両手首を「何か黒いもの」に縛られて。

 自らの裸を見た瞬間、先ほどの出来事を思い出す。
 なんだか途中から気持ちよくなって、意味不明な行動をして、そして……信じられない快感の中で絶頂を迎えた、自らの姿。

「あ……な、あたし、何? え?」
「あなたはねぇ、これから生まれ変わるのよ」
 茜が断定的に告げる。
「え……?」
「あなたはねえ、人間じゃなくなるの。
 今から私に造り替えられるのよ」

 人間じゃ、なくなる。
 作り、帰られる。
 ――なに、それ。
 理解の範疇を遥か超えることを言われ、みのりの思考が止まる。

「わからないかなあ?
 あなたの『器』を利用して、新しい悪魔を造るのよ。
 まあ、今はわからなくてもいいや。
 すぐに身体で理解できるわ」
 さっきまでの茜とは全く人が違う。完全にみのりを見下した態度。
 しかし、反感を覚えている余裕はなかった。
 ――ヤバイ。これ、普通じゃない。
 目の前にいる生き物が発している言葉を、半分も理解できない。
 しかし、とてつもなく恐ろしい状況にあることは肌で分かった。

「ひ―― い、いやぁっ……!」
「だーめ、もう無理。
 あなたの『扉』はもう開いちゃったから」
 一歩一歩、茜が近づく。
 後ずさろうとするみのりは、しかしもう既に、最初から壁に縛り付けられていた。

 茜がしゃがみ込むと、勝手にみのりの足が開いていく。
「ひいぃ……っ」
 自らの意思とは裏腹に、身体が勝手に動く。その事実が、みのりの恐怖感をさらに煽った。

「さぁてと……」
 茜はしかし、おもむろに自らの背中に手を伸ばす。
「んっ」
 背中から黒い羽根を一本抜き、手に取る。
 と、途端にその羽根は膨らみ、暗黒の球となる。
 大きさとしては、鶏の卵程度。

「今から、あなたのおまんこに『これ』を送り込むわ。
 気持ちいいわよ、凄く。
 で、イクたびにあなたは書き換えられる。
 気持ちよく悪魔になれるんだから、感謝してよね?」
「いやぁっ、やめて、やめて、やめてえええええぇぇぇぇぇぁあああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!」
 ずにゅううっ!!
 ぶちっ!
 懇願の叫びも空しく、球がみのりの処女膜を破って押し込まれる。
 下半身を襲う灼熱の衝撃に、みのりの理性は一瞬で砕け散った。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!! いいっ! いいっ!!! きもちいいっ!! きもちいいよぉおおおお!!!!」
 股間が。子宮が。胸が。脳が。腕が。膝が。心が。
 痛みはない。あるのは強烈な法悦のみ。
 みのりの全てが連鎖的に化学反応を起こし、その衝撃を歓喜のもとに受け入れる。
「きもちいいっ!! きもちいいいいっっ!!!! いいいいいいいいっっっっ!!!!!」
 10秒も保たずに迎える次の絶頂に、翻弄されるみのり。
「いいいあああぁあぁっぁぁぁあっっっ!!! やあああぁぁぁぁぁぁぁぁあぅっっっ!!!! ひああああぁああぁぁっぁあああぁあぁっ!!!!」
 絶頂を迎えるごとに、みのりは書き換えられる。
「うあああっぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁあぁああああぁっぁ!!!! すごいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!! いくいくいくいくいくいくいくううううううううううううううう!!!!!!」
 ある感情は上書きされ、ある本能は覆される。
「いくううううぅううううううううぅぅぅぅぅっぅぅっっっっう!!!!」
 また一つ。
「あああああああああああああああああああああああぁぁぁっぁぁあぁぁっっっっっっっ!!!!!!」
 また一つ。
 そして、何十度も迎えた絶頂の後、最後の変化が訪れる。
「あああああっぁぁぁぁっぁぁぁぁあ!!! いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁああ!!!! なにこれえええぇぇぇぇぇえぇぇ!!!! あついいいいぃぃぃぃぁぁああぁぁぁっぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
 急激に、みのりの身体が燃え上がるような熱を帯びる。
 快感に浮かされたものではない、本物の熱。
「ああああぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁぁ……っ」
 焼けるように熱い。
 特に、背中が。
「さあ、悪魔の誕生よっ!」
 茜のかけ声。その瞬間、みのりの身体が黒い光を放つ。
「ああああああああああああああああ!!!!! でる!!!! でるうううううう!!!!!! なんかでちゃううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!」
 はざぁっ!
 音と共に、一瞬にして、みのりの背中に漆黒の翼が現れた。
「ひあああああああああああああああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
 「人間としてのみのり」を壊されたその瞬間、さらなる高みに到達したみのりは、破滅的な快感と、信じられない幸福感の中、ゆっくりと気を失った。


「起きなさい、みのり」
 声が聞こえ、みのりは目を覚ます。
「誕生おめでとう」
 その声で気づく。
 自分が、今までの自分でないことに。

「な……なんなの、これっ……あんっ!」
 起き上がろうとして、甘い衝撃に阻止される。

 みのりの背中からは、人間には存在し得ない、黒い羽根が生えていた。
 しかし、それを超える問題がある。

 股間が、飢えていた。

 ――おまんこが……熱くて、寂しい……
 「おまんこ」という卑猥な単語が自然に思い浮かんだことに一瞬おののくが、そこに手を這わせた瞬間にそんな感情は消し飛んだ。

「あっ……うっ、きもちいい……はぁ、あぁぁ……からだ、熔けちゃう……なんで、止まんない……」
「うん、上々ね」
 目覚めてすぐにオナニーを始めるみのりの姿を見て、満足する茜。
「しばらく、オナニーでもしてから帰りなさい。
 とりあえず人間のフリしておくのよ、後々やりやすいからね。
 じゃあ、私は帰るわ」
「ああ……感じるう……! あん! あん! ああああぁぁ!!」
 みのりは、茜の話を聞いていない。
 さっきまで処女だったにもかかわらず、「女性の部分」に指を4本も突っ込み、必死に内部をかき回していた。

 それでも茜は気にしない。
 聞いていなくても、必ず命令通りになる。

 一連の行為に満足した茜は、プールを出て行った。果てしない自慰行為に没頭するみのりを、置き去りにしたまま。

 
 
< 完 >


 

 

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