TEST


 

 



********** exhibition 『TEST』 3 **********






【晴海『Zton(ゼットン)』店内 地下舞台】






 (まずは目の前にある邪魔者だけでも排除しておくことが得策のようね。先にこの小生意気なガキを潰しておかなくちゃ)

 意思を固めた祐実は、トリガーにかかる指をはずし、一瞬伸ばしてから再びトリガーにあてる。

「はい!はい!はい!はい!はい!はい!そこまで!そこまでぇーっ!明智チーフ、タイム、ターイム!」
「な・・・・・石原・・君。あなた、どうして、どうやってココまで来れたのよっ」
 いきなり舞台の袖から現れた石原に祐実は驚きを隠せなかった。
 石原は瑠璃子を祐実やほかのメンバーからかばう様に立ちはだかった。

「まぁ、まぁ、どこからなんていいじゃないですか。オレは常に特務局の立場としてチーム6の監視勤務があるわけですからね」

「よくないわ!死にたいの、あなた。しかも丸腰じゃない」
 周囲への注視を怠らず、それでも祐実は石原の突然の登場が腑に落ちない。
「そうやって殺してきたんですか」
 石原の形相が変わった。
「なんですって?」
 祐実の片方の眉がピクリと吊りあがる。石原の突拍子もない言葉が祐実の感情的な何かの琴線に触れた。
「そうやって前任の特務局捜査員たちを葬っていた。違いますか?」
「なに馬鹿なこと言ってるの!そこをどきなさい、そこにいる陣内瑠璃子をかたる女は間違いなく今回の首謀者の1人なのよ」

「まぁ、まぁ決めつけないで。それにこのコ、武器もなにも持っていないじゃないですか、彼女こそ丸腰ですよ。それを今、あなたはいとも簡単に殺そうとしていた」

「何言ってるの!身柄を保護しようとしていただけのこと。ほかのみんなに聞いてもらえればわかる」
 石原の勝手な決めつけに祐実はその場を取り繕うように苦笑して見せた。
「オレ、見てたんですけど」
 石原の表情に今まで祐実が見たこともない含み笑いが浮かんだような気がした。
「冗談じゃない。彼女は組織に囚われていたんでしょう。その彼女の安全を確保した我々チームが仮に彼女になにか非があったとしても、法的に罪状も決まらぬうちに保護以外の何ができるって言うの」

「ナニよそれ。勝手なことばっかし言っちゃってさ、隊長さんってば」
 石原に庇われ、その脇からひょっこり顔を覗かせて祐実の言い逃れに瑠璃子はあけすけにものを言う。
「あなたは黙ってて。敵に捕らわれてあなたはまだ気が動転してるのよ、瑠璃子ちゃん」
 祐実は語気を半ば荒げて押さえつけるように瑠璃子の言葉を制した。
「ふん、勝手に言ってれば?」
 瑠璃子はツンと顔を背けた。
 祐実の表情が引きつる。
(ちっ、この男も間が悪い。ここまで私たちを監視するなんて。いっそあなたにも殉職してもらおうか)
 祐実がそう思った矢先、目の前に石原からICレコーダーを突きつけられた。
「なによ、そのICレコーダーは?」
「これでも・・ですか?」
 再生ボタンを石原は押す。

 ****************************************
 **『その態度が気に入らないのよ。ふてぶてしいにも程があるわ』
 **『気に入る気に入らないの問題で決めつけないでよ。お姉さんは私が首謀者だとでも思ってるワケ?ありえない』
 **『決めつけるわ。私は好き嫌いでヒトを平気で判断するの。あなたの存在自体が私にとって悪よ。死んでもらうわ』
 **『ヒッドーい!大人気ないと思わないの』
 **『言いたいことはそれだけ?なら、苦しまないように1発で殺してあげる』
 **『そう、そうやって無視するワケ?』
 **『本気よ、私。さっき気に入らない仲間を殺してきたばかりなんだから』
 ****************************************

 そこにはさっき瑠璃子と交わしたばかりの会話が残されていた。

「特務局は別にLS(レディースワット)自体の存在をいぶかしがって我々捜査員を内偵に出していたワケじゃないんですよ。まあ、もともと我々の活動自体、警察のどの機関からも歓迎されるべきものではないですけどね」

「なにを言ってるの石原君。こんなところに来てまで内輪もめしてる場合じゃないのよ。作戦を遂行しなくては。作戦の終局は目前なのよ」

 すでに事件の終局は詰めの一手を残すのみ、現場を押さえ関係者の身柄拘束まできてる。
 あとはこのまま全員を1箇所に集めて所轄を招き入れて全員確保すれば祐実の成功は目に見えている。
 その後で石原に何を言われようがどうにでも処理できる。
 だが今はまだだめだ。
 しかもショックウェーバーを解除し続ける人間がいる事実は不確定要素として新たな敵の出現と、大事な関係者の逃亡にもなりかねない。

 石原と問答してる暇は祐実にはなかった。

「その作戦計画が・・・・ある特定の人間だけに名誉と功績を与えて、功名心を満たすために練られた無理なものだとしたら」
 石原は祐実の思惑など気にすることなく話を続けた。
「なに・・・・言ってるの。戯言は後にして。今はあなたの言葉にかまっている暇なんてない」
「さっき、上で串刺しになっている奈津美さんを見かけましてね・・・。あれも、チーフが命令してましたよね、涼子さんに・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 半ば図星の祐実の謀を言い当てられて祐実自身の顔が笑みのまま歪む。
「我々はね、国家の治安組織の一員なんですよ、明智チーフ。あなたは異常だ。あなたは上に行くことばかり考えている。少しばかりの犠牲があっても自分のためになるなら人の命を平気で軽んじている節さえある」

「誤解だわ」
 そう言ったものの、確信を突かれているのも事実で祐実はそれを表情にまで出して隠そうとはしなかった。
「LS1人の人材育成には普通の警察官育成の20人分にも匹敵する予算と労力が注ぎ込まれてる。知ってました?今じゃ警視庁の特殊急襲部隊に匹敵する力量があると上も判断して予算がつけられはじめてるんです。あなたがたが言うように、もう決してPRのマスコットもどきじゃないんですよ、上の受けもいいし。はい」

「・・・・・・・・・・」
 石原の言葉の先を考えて祐実は黙っていた。この男は何を言おうとしているのか。
「チームの中でも接近戦に強かった長峰江梨子を失い、今ここでまたチームの何人かを失うことは組織にとってヒジョーに痛いわけです」
「あなた・・・・どこまで知ってるの」
 祐実はすでに石原が祐実の思惑の一部を語っている以上、その目的を知っているものと確信し始めていた。

「数々の難事件を解決し、入隊後異様な速さで昇進していくあなたを妬み、いぶかしく思うキャリア組も多くてね。その捜査方法の不透明な部分を洗って、あげ足をとって追い落とそうとする連中が特務局にたまたま多く集まった。それが死んだ安達、上野、荏田、沖原だったんですよ。知ってました?みんなあなたの同期か1つ2つ上、入庁のエリートを自負していたヤツラなんです」

「それが何だって言うの。私には関係ないわ。単なる偶然よ、彼らの事故だって不慮の・・・」
 祐実の言葉を石原は途中で遮った。
「あるね。明智、お前だろ?アイツラを陥れたのは。アンタのパソコンの中身調べさせてもらったよ、自宅のプライベート機とはいえ不用意に記録なんか書いておかないこった。ロックは簡単に破らせてもらった。ファイルまでしっかりコピーさせてもらいましたよ。コレ動かぬ証拠ってヤツ」

 言葉遣いが豹変した石原はUSBメモリーをこれ見よがしに祐実の目の前にちらつかせた。
 石原の変わりざまを見て納得いったのか、祐実は溜息混じりに不遜な笑みを浮かべた。
「汚いマネ平気でするのね〜、特務局って。公安よりタチ悪いんじゃない?しかも私へのその口の利き方、それがあなたの地?」
「あんたよりマシだよぉ〜。ヒトを平気で操るようなヤツよりね」
 おどけるような余裕すら見せて石原は祐実に言った。
「あなた自分の置かれた状況分かっていないわ。私、いつでもこの場であなたを殺せるのよ。そしてそれをここにいるセルコンのせいにだってすることもたやすいこと」

 銃口をゆっくりと石原に向けて祐実は冷ややかに笑った。

「チーフ!やめて下さい!言い争いをしている場合じゃありません。それにチーフも石原さんも一体何を喋ってるんですか?」
 暗示のまま踊り続ける京香を抱きすくめるようにして押さえる小雪が二人の会話の意味を理解できないまま叫んだ。

「小雪は黙ってて!石原、あなた自分の置かれた立場分かってる?ココにあなたの味方は1人もいないわ。私が引き金を引くだけであなた、この世から消えてなくなるの。おめでとう、殉職は2階級特進よ。それも私が殺したことにできないからオマケでつけてあげられる冥途の土産ってとこかしら」

「・・・・・・・・殺して終わりにするってか」
「そうよぉ、いけない?一番ベストな方法じゃない。伊部奈津美とあなたが殉職、私には願ってもない厄介払いができるのよ。でもまずはあなたの後ろに隠れている薄汚い子狐を狩る方が先かしら。出てらっしゃい、陣内瑠璃子」

「待つんだ。オレ、キミのコト好きなんだ、マジで。だから、これ以上キミに無益な人殺しにはなって欲しくない。だからあえてキミの前に姿を晒して取引に来たのさ」
 石原は真顔で祐実と向き合う。

「何言ってんだか、取引もなにもあったモンじゃないわ。この期に及んであなた、交換条件が提示できる立場かしら?」
 祐実はせせら笑った。

「このメモリーと交換だ。オレの願いはただ1つ。このコを見逃してやってくれ、まだ未成年だ、殺すなんて残酷すぎる。キミのことも他言しないし、このコにもさせないよ」

「馬鹿ね。あなたたち2人とも殺してそれを回収すれば私の用はコト足りる。残念ね、駆け引きにさえなりえない」
 石原の交換条件を祐実は一笑に付した。

「ならば、このメモリーと同じものを別の場所に隠してる。オレが死ねば自動的にそれは特務局に廻る、あんたも破滅だ」

「あら、フフフいっぱしに脅してるつもり?死人に口ナシよ。意味のない記録媒体は偽造物との真偽が明確に判断されない限り証拠的価値は薄い。私はそれを偽モノであると証拠づける力を持っている。無駄よ、全てね」
 ふふんっと祐実は石原の脅しを鼻であしらう。
 石原の顔に焦りの表情が浮かんだ。
「ぐぅ・・、だが証拠は証拠だ。全てを疑って裏取りをする特務局なら決して見過ごさない!」
 石原は精一杯のカラ元気を出して言い放つ。
 それを祐実は腹を抱えて笑って見せた。何がおかしいっ!と石原は祐実を怒鳴りつける。
「フン、あなたはウソをつくときに右の眉が吊り上る癖があるのよ。バカね、ファイルコピーの話ウソでしょ、他言しないこともウソ!」
「なっ・・・」

「見くびらないでもらいたいわ。我われレディースワットは今や警察組織の中でも最高の実戦部隊であるということをね。自分の癖や周囲の人間の癖、熟知しておくこと取り調べ術で習わなかったの?特務局ともあろう所属のお方が・・・。あなたの前任者のバカたちは言葉の端々や態度が露骨だったのよ。私の気に障るウザいヤツには消えてもらう、これ私の主義なの。だから伊部にも死んでもらった」

 銃口を石原に向け、整然と立つ祐実の姿は見とれるほど美しかった。

「な、なんてことだ・・・キミは組織をわかっちゃいない。これ以上、上に行ったって何になる。総監にでもなるつもりか、オレにはわからない。キミのなにがその病的なまでの上昇志向の源なんだ」
 祐実はあっさりと石原の言葉を受け流す。
「病的とはヒドい言い方ね。馬鹿なヒト、これだから嫌いよ。あなたみたいなタイプ。頭まで筋肉でできてるような体力勝負のお馬鹿さん、プライベートでも結構しつこくつきまとってきたけれど『ウザイ』だけなのよ。だいたい何よ、酒の席で言うに事欠いて、『私をカノジョにしたい』?、虫唾が走るわ」


「・・・・・・・・・・・・・・・いいだろ、ほんとにスキだったんだから」
 石原は祐実の自分を馬鹿にした態度にふてくされるようにこぼした。

「あら、それはどうも。それはウソじゃないようね。まゆ毛上がらないもの。こんなトコで再告白?迷惑なのよ、そこの女狐ぐらいがあなたにはお似合いよ。あんたなんかに慕われてると思うと『チョー気持ちワルい』、仕事と思えばこそよ、一緒にいたのも」

「・・・・・・・・憧れだった。才色兼備、こんなコが彼女だったら。せめてデートで食事でもして手ぐらい握れればと・・夢のようだと思っていたよ、確かに」
 肩を落として祐実の本心を垣間見て石原は自分の気持ちを吐露した。

「あわよくばキスでもしようと思った?どうせ、1人で家に帰っても私の裸でも想像してマスかいたりしてんでしょ?あーやだやだ、仕事中のあなたの視線も吸い付くようで気持ち悪かった」

 祐実は顔を歪めて嫌がるそぶりを見せる悪態をついた。

「・・・・・言うか。そこまで」
 石原は祐実の拒絶ぶりに動揺を隠せなかった。

「ばかね、あなたの今までの態度が私にそう言わせてるのよ。少しは気づいて自分から謝ってみたらどう?さあ、殺されたくなかったら謝りなさいよ」

 祐実は銃口を真っ直ぐ石原の肩口に向けた。
「・・・・・・・・・・・・・」
 石原は何かを口にしかけたが無言のまま通した。
「わたし、本気よ。さぁ、今までの無礼をどう無様なみっともない態度で詫びてくれるのか、楽しみだわ」
 祐実は魅力的とさえ思える微笑みを浮かべる。
 瑠璃子をかばうように一歩退いた石原は瑠璃子の全身を自分の体で隠すように密着した。
「・・・・・・・・・・・・・」
 鋭い視線で祐実を睨む。
 石原は覚悟を決めたようだった。
 だが、その態度すら祐実は気に入らなかった。

「フン!気に入らないわね。訂正、ここからあんたを生きたまま出すはずないものね。こう言えばいいかしら?謝ればもう少しだけ長く生かしといてあげるわ」

 祐実の顔から笑顔が消える。

「(瑠璃子ちゃん聞いてくれ・・・)」

 石原は祐実に聞こえないよう声を殺して祐実との視線を逸らさぬまま瑠璃子に語りかけた。

「(彼女はおそらくオレの眉間を一発で仕留めてくる、今までの仲間達も事件の渦中に巻き込まれた形で同じように殺されてるんだ。今度銃声が鳴ったら、一足飛びに舞台の下の観客席に飛び降りるんだ)」

「(『犬』さん、死んじゃやだよ。瑠璃子がなんとかする)」
 瑠璃子は小声で返した。

「(オレも死にたくないけれど・・・・、『犬』は主人を守るための番犬じゃないとね。キミが殺されてオレが生き残っても結局オレは組織に責任を問われて殺される。『犬』は役割を果たすためにいるんだ)」

「(大丈夫だよ、ボクが『犬』さんを助ける。ぜったい大丈夫、『犬』さんがボクをかばってくれた気持ちだけで十分だよ。『犬』さんのおかげでもう逆転の準備ができたから)」

「(ダメだ。誇り高いキミは死ぬ気だ。オレにはわかる。どのみちオークションの結果で殺されるなら同じと君は考えているんだろう)」

「その辺で止めておくことね。さっきから言ってるでしょう、ナメてもらっちゃ困るのよ!われわれ、レディースワットを。いくら小声で話したところで、その子についたピンマイクからかすかにでも十分聞こえてる、バカね」

 瑠璃子との会話に気をとられ、石原は一瞬祐実から視線を逸らせていた。
 祐実の声にはっとなって石原が視線を戻したとき、銃声はまるでエコーでも聞いているかのように長い時間響いたかに思えた。

 紺のコートを羽織った右肩から貫通した銃弾で噴出した血は背後にいた瑠璃子の顔にまで飛び散った。
 乾いた発射音が周囲に響く、肉をえぐる鈍い貫通音をかばわれている瑠璃子のピンマイクが拾う。

 苦痛に顔をゆがめながら、振り返った石原が呆然と立ち尽くしたままの瑠璃子を見て、かばうように抱え込み丸くなってその場に伏せた。
 銃声はそのあと2回響き、そのたびに石原が受ける衝撃が瑠璃子に響くように伝わった。
 今度の2発は間違いなく致命傷と言える場所に撃たれたことを瑠璃子は石原から伝わる衝撃で感じ取った。
「『犬』さん!『犬』さん!!!」
 瑠璃子は大声で叫んだ。
 覆いかぶさるように瑠璃子をかばった重くて厚い石原の体は弾丸を瑠璃子へは1発も打ち込ませてはいなかった。

「に・・・、逃げ・・ろォーっ、逃・・げる・・ん・・だぁ、瑠・璃・・・コ・ちゃ・・ん」
 石原の苦悶の表情と振り絞った声の向こう側から2人に近づく靴音が響いた。

「ANGEL(祐実)一体なぜ!」
 小雪の声が瑠璃子に響く。
 瑠璃子は、自分に対してすぐさま反問した小雪は祐実の支配を完全に受けていないと瞬時に判断した。
「小雪!黙りなさい。関係者をこの場に集めて身柄の確保よ」
 すでに祐実は符牒さえ使わずに小雪を制した。

「聞き捨てならないわね。陣内、お前が言った『犬』ってこの馬鹿のこと?」
 銃口を2人に向けたまま、祐実はすぐ目の前まで来ていた。
 石原のわき腹を蹴り上げると石原はうめき声を上げた力なくその場に倒れこんだ。
「『犬』さんっ!やめろ!このババァーっ」
 瑠璃子が掴みかかるように祐実に迫ると祐実はあっさりと銃身で瑠璃子の頬を弾いて叩き伏せた。

 蒼白になって倒れこんだ瑠璃子の目の前に祐実はいる。
 石原の背中はすでに血で赤く染まり、口元からも血がにじみ出ていた。
 目だけは恨めしげに下から刺すように祐実を睨みつけている、息が荒い。
「あなた、セルコンのスパイなんでしょ、石原。それでここに潜り込んでこれたのも合点がいくわ。フン!とんだ食わせ者だったようね。だったら私が殺してきた馬鹿達もあなたと同じ穴のムジナだったわけね」

「・・・・ちがう。あいつらは・・・・ただの・・」
「どうだか!でも、これで私の疑問がひとつ解けそうよ、あなたに聞くわ。グスタボの言っていた私のチームの中のスパイ、『仔猫』って誰?」
「・・・・教えられるわけないだろう・・」
「アハハ、あんた、馬鹿ぁ?知らないと言えばまだいいものを、教えられないってことは、知ってるって自分からゲロしてるようなモンよ」
「クッ!」
 石原は自分の軽率さに唇を噛む。
「あんたが本庁の特務局って言うのも眉唾ものね。今までのヤツらはもっとマシだったわよ、私には敵わなかったけどね」
「アイツらは選りすぐりのエリートだった。オレのようなまぐれで特務局に配属されたのとはわけが違う。それをあんたはっ!」

 祐実を睨みつける石原の言葉を無視して祐実は銃口を石原に近づける。
「『犬』のあんたがいるんだから、『仔猫』だっているんでしょう?正直に答えれば苦しまずにひとおもいに殺してあげる。『仔猫』も一緒にね」

「・・・・・・・・・」
「しらばっくれるようなら、もっと苦しんでから死んでいくのよ。あんた、それでもいいの?」

 周囲は固唾を呑んで状況を見つめている。
 逃げようと思う小者は一人もいなかった。
 快楽や悦楽、至高の楽しみは極限状態でこそまた格別の味が味わえることを知っている人種である。
 ここで捕まろうがいくらでも金を積み人脈を駆使すれば、そんな事実さえ捻じ曲げられる怪物たちの集まりである。

 事実、ここでいかように警察のチカラで取り押さえられようともどうにでもなると思っている連中だ。

 今までにない『演出』に観客達は身を乗り出すように舞台に注視する。
 侵入してきた警察の仲間割れである。面白くないはずがなかった。
 中にはこんな時こそと差し迫る緊迫感に快感を覚え、いきり立つ自分の肉棒を同伴した人形相手に刺し貫いて楽しんでいるものさえいる。

 2階から上の階ではブース席は個室になっているので周囲の視線など気にせず、目は舞台へ釘付けで下半身は自分の占有物となり果てた女たちから快楽奉仕をさせるなど、このセルコンのパーティーでは珍しいことではなかった。


「あん・・あん・・・あ〜ん・んんんん、いい、いいですぅ・・・ごしゅじんさまぁ〜・・」
 バックから貫かれ自らも腰をくねらす女は全裸で全身が汗で光っていた。
 2−C10ブースの中で男は舞台を見下ろしながら、女を攻めたて舞台の展開に興奮していた。
「フフフ、気持ちいいか?」

「は、はい・・・いい・・・・・いいですぅ・・・ごしゅじんさまの・・・だけが・・・わたし・・・・わたしの・・・・・あああん・・こわれちゃうぅぅ」

 女は快感から小刻みに身を震わせてあえぐ。

「クククク。実に面白い趣向だよ、今までで最高のシチュエーションだ。先が読めん、私でさえこの先、破滅的な展開で身柄を確保されるかも知れんというのにこの場から逃げ出そうとも思わんばかりか、この最後の決着がどうつくのか身を賭してでも見たいと思うぞ」

 男はそう言ってブランデーを一口あおると、自分の下で喘いでいる女の頬にもグラスから垂らした。

「お前も飲むんだ、旨い!今日の酒は最高に旨いぞ!」
「ふぁ・・・はい・・・ごひゅじんさまぁ・・・・・」
「ククククク、下の口からもこぼすなよ。こぼしたらオシオキだ」
 女は舌を思い切り伸ばして頬にこぼれたブランデーを舐めとった。
「おひゅじんさまのぉ・・・・たいふぇつなせぇえきはぁ・・の、のりかがこぼさず・・いただきますぅぅぅ、あぁぁぁああ。いい、イク、いくぅーっ」

「フフフフ、明智もまさか『仔猫』が誰なのか夢にも思わんようだな。え?紀香」
「あぁぁぁぁぁ・・・・さいこォ〜 ごしゅじんさまあぁぁぁぁぁぁ」
「おい、紀香。許してやる、仕事の顔に戻ってみろ、ただしオレの奴隷であることに変わりはない。『magic Change』」

 男がキーワードを口にした瞬間、女の顔つきはダレ切ったうつろな表情から一変した。
 よつんばいの姿勢からすぐさま起立し裸体のまま霧山の前に直立不動になった。
「おっしゃるとおりです、霧山補佐官。明智祐実の動きは全て私、伏見紀香が組織にリークしていました。明智祐美の分刻みのオペレーションの細部にわたるまで組織は解析をし用意周到に対処をしておりましたので明智もさぞ悔しかったことでしょう」

「フフフフ、加納美香を着任早々に堕としたのもお前の手引きがあってこそだな」
「はい。稲葉統括参事官が美香に大そう興味を示しておいでで、ナイトホーク様の調製を受けさせるべく私が参事官のご命令で美香を参事官室に誘い出して『人形』に仕立てていただきました。美香の堕とされる様はそばで見ていてゾクゾクいたしました。あれほど短時間で人の人格が変えられるなんて・・・・」

「クククク、まさかあの裏版のDVDが参事官室で撮影されたとは明智も考えンだろうな」
「おっしゃるとおりです、補佐官」
 全裸に剥がれ、汗と精液まみれで横たわりながら、伏見紀香は秘部を隠すこともなく霧山の問いかけに応えていく。

「だが、お前もまた私に見初められて、組織の力で私の人形になったのだ。それもこのレディスワットがTESTの舞台に選ばれてこそ、オレがセルコンと何の躊躇もなく手を組んだ報奨として今のお前が私の手中にあるのだからな」

「感謝しております。私を霧山補佐官の牝奴隷にしていただいて紀香は幸せで胸いっぱいです」
 紀香は無邪気なコドモのように微笑んだ。
「お前は芯の強い女だった。調製するブリーダーもほとほと手をやいたらしい。覚えているか昔の自分を?」
「愚かでした・・・・でも今はわたしは霧山さまの忠実な人形、牝奴隷です。霧山さまにご奉仕をさせていただくこと、喜んでいただくこと以外、私には興味のないことです」

「ククククク、まったく模範的な回答だな。お前が、お前でなくなる瞬間は私の吐く発動キーワードに託された。そのことをお前に話したら、お前はもうなりふりかまわず大泣きしながら私の足元に這いつくばって懇願したんだぞ、「助けて、お願い、私を変えないで」と」

「紀香は紀香のご主人さまである霧山士朗さまのためにだけ存在することを許される牝猫奴隷です。過去の私の過ち、どうかお許しください」

 感情のこもらない表情で言葉を口にする紀香にはレディースワットの中で見せるあの凛々しい局長としての姿は片鱗も残っていない。
「さぁ、また牝奴隷に戻れ、紀香。淫臭漂わすセックスのことしか考えられない牝猫になるんだ」
 そう言って霧山はキーワードを口にすると小気味よく指を鳴らした。


「ご主人さまぁ、可愛がってぇ、紀香のこと、もっと、もっとぉ〜くちゅくちゅぅ〜っ!くちゅくちゅしてぇ〜」
 紀香は再び淫らな卑しい声を上げ主人である霧山の腿に顎をのせてしなだれかかっていた。

「今でも思い出す、発動キーワードの最初の一文字口にした瞬間の、お前の絶望的な哀れな表情といったらなかった。あのときこそ私の征服心は大いに満たされた」

「ごしゅじんさまぁ〜、紀香の、紀香のだいじな、大事なご主人さまぁ〜」
 紀香は慈しむように霧山の腿に頬づりをする。
「フフフフ、可愛いやつよ。これからもしばらくは可愛がってやろう、紀香」
「はい・・・ありがとうございまふ・・紀・・香は・・うれふぃいれすぅ」
 霧山の逸物に頬ずりして紀香はチロチロと舌を出して物欲しそうに上目遣いで亀頭の尿口を舐める。
 霧山が紀香に躾けたフェラをしたいという紀香からの意思表示だ。
 紀香は霧山の精液を飲むことに狂的な欲望を植えられていた。
 そして霧山の許しなしには行動できないように抑制暗示も組み込まれた。

 祐実の傲慢な態度に怒りを顕わに不服そうに霧山の前にいた紀香がまったく不満の声を上げられず、霧山の許しを得て初めて口にしたのもそのためだ。

 霧山の『許可してやる、言ってみろ』、『構わん、言え』(3rd−day)の言葉に従順だった紀香の行動はまさに霧山の雌奴隷としての自覚に他ならない。

 もちろん自我を失くし、霧山の従順な牝奴隷であることに紀香が悦びを感じずにはいられないココロを根付かせてのことだ。
 

「オレのものを舐めてキレイにしろ、許可してやる」
「はい、ごしゅじんさま、よろこんで紀香は、なめなめしますっ!逞しいご主人様のモノは紀香にとって大事な大事なものです」
 紀香はまるで少女のような屈託にない笑顔を霧山に向けて霧山のイチモツに頬ずりを繰り返した。
「ナメながら、お前はオナニーもするんだ。オレを楽しませろ」
「はい、おおせのとおりに・・・・・・はぅっ・・・ふ、ふ〜んんん」

 紀香は霧山のモノをゆっくりと口に優しく含んでナメとりながら、両手を自分の胸とぱっくりと開いた陰唇に這わせていった。

「クククク、面白い、実に面白い。あの舞台にいるほとんどのヤツラがオレの部下であり、お前の部下なんだからな。興奮しないわけがない」
 霧山は再びブランデーをあおった。
「『仔猫』が誰であるか明智が知るとき、それがよきにつけ悪しきにつけ、この芝居の幕になるな、フフフ。なぁ、私の可愛い紀香よ」

 紀香の上司である霧山は下卑た笑いを浮かべた。
「ふぁい、ごひゅひんさまの、おっひゃるとおり・・でふ・・ハムハム、チュパ、チュパ」
 その脇のテーブルではまるでテレビドラマのように階下に見える祐実と石原、そして瑠璃子のやり取りが映し出されている。


「自分をよく見ろ、紀香。私を貶め、女だてらに私に逆らい、レディースワットを独立した女性のみの組織に構築したいなどとほざいた末路がこのザマだ、紀香」

 過去の霧山に対する紀香の気高い誇りあるスワットの態度が彼には気に入らなかった。
 コネとへつらい、上司への露骨な接待、隊員を”業務のうち”とホステスのように使い、自らの地位向上に躍起になった霧山。

 レディスワットが警察マスコットとして活動していたときの霧山は彼女たちを自由に指図できる広報部局長だった。

 イメージ戦略と名うって自らが先頭きって作り出した美しく、戦える、正義の華麗なるクイーン集団。
 霧山の当初の狙いは見事に当たり、接待もどきの根回しもうまくいった。
 なにしろ才媛の婦警にして部下ともなれば、誘われた上層部の者たちも宴席では無理もし放題だ。

 しかし、もともと志し高く、警察への憧れと夢をもって門を叩いた頭脳・技能に優れた女性たちを採用した結果はマスコットチームから名のとおり女性を犯罪被害から守る特殊部隊への変貌だった。

 上層部も彼女たちの実力を認めるほどの実績をPR活動の市中の場で発生する犯罪行為の阻止に活躍を重ねるうちに、マスコットチームは本当のチームになっていった。

 車上荒らし、盗難やひったくりの類、公衆の面前でのDVなどはじめは小さな、とるにたらない事件の阻止にすぎなかった。 

 それが一変したのは女性行員と女性客を人質に強行に及んだ拳銃武装した男たちを彼女らが俊敏な行動で解決したときだった。
 彼女たちは現場近くでの交通安全の啓発活動に出ていて市民からの助けに応じて現場へと向かった。
 それは通報によって所轄が駆けつけるよりも早く、初動での彼女たちの活躍は多くの衆人の目にふれた。。
 ニュースソースは一気に彼女たちの希望を適える絶好のメディアとなってくれたのだった。
 霧山の立場が暗雲たちこめたのはその時からだった。

 もっとも上の覚えもめでたかった彼はレディスワットがマスコットから本当の捜査組織になったことで捜査部局の補佐官の地位を得たのだから、あながち不幸ともいえなかったが。

 もともと霧山は組織の中では所詮事務職の長でしかなかった。
 彼女たちは彼の無能さを嘆き、彼の配下で下命されることは部下の作戦行動に大きな支障になるとまでチームを率いたこの女は上司の稲葉に直接訴えていた。

 もとは能力的にも遠く及ばない畑違いの現場管理職の辛酸を霧山は舐めさせられることとなった。

「我々はもうマスコットなんかではありません。第一線で体をはって女性を犯罪から守っている誇りもあります。机上の論理で作戦を決めるような事務屋の上司の下では部下の安全を保障してやれません」

 毅然とした態度で稲葉参事官の前で霧山に言い放つ紀香を思い出す。
 あんな言葉にオレもよく我慢したもんだ。
 霧山は回想する。

「私は第一に組織のため、そして部下の安全な作戦遂行のため、判断もしたし、命令もした。私情など挟んだつもりはない」

「はっきり申し上げて霧山補佐官を隊の上官から外してください、稲葉参事官。彼の言動と行動は広報局当時からセクハラとパワハラの何ものでもありません」

 これでも賞罰なく地位を積み上げてきたオレを20代そこそこの娘が何を言うか。

 無事これ名馬というではないか。
「パワハラに、セクハラ?伏見、お前はそういう見方でしかオレを見ていなかったのか?」
 そもそも、お前やほかの女たちもオレが採用を強く働きかけて、目をかけてきたからここまでこれたというのに。
「失礼な言い方でしたら謝りますよ、霧山補佐官。でも『指揮官の悪い部隊は全滅する』との言葉もありますから」
「な、なにをっ!私にお前たちの指揮を執る才覚がないとでも言うのか」
 言葉を荒げる霧山に紀香は冷静だった。
「はっきり言って、そうです。霧山補佐官」
「なっ・・・・・」
 霧山は言葉を失い顔を一気に紅潮させた。

「このままでは我々レディスワットはこの方もまた女性の敵として駆逐してしまいかねません。適材適所、この方にはもとの事務職の長として別のしかるべきポストでご健闘願いたいものです」

 なんだ、紀香、上司である私に向かって『この方』とはなんて言い草だ。そのしかるべきポストとは?あん?

「寛大なご選択を、稲葉参事官。彼の異動、更迭をご決断いただけなければレディースワットは全員の連名により長官への直訴も辞さない覚悟です」

 よくそれだけのことを職階もわきまえずに言えたもんだ、この女は。
「警察内部の恥部として公にしたくはない。霧山さん、やり方によってはあなたを訴えるだけの材料を我々は準備できますよ。ハラスメント以外に今までの不正支出もあらってみましょうか」

 お前たちも、そしてオレでさえ、ただの国家の飼い犬だ。組織を壊してどうするつもりだ。
 冷めた視線で哀れむような紀香の視線。
 こいつはオレを上司どころか人間としてさえ見ていないのか。
 ふと、回想から解き放たれてうつむいた視線の先に霧山のいきり立つモノに夢中でむしゃぶりつく紀香を見る。

「伏見!貴様何の恨みがあってオレを破滅させるつもりかっ!このアマっ!」
 過去の紀香の霧山への蔑みと侮蔑の言葉と態度を思い出して、霧山は目の前でフェラをする紀香に叫んで、彼女の乳房を思い切り掴みあげた。

「あっ、あああああああんん、感じちゃうっ!うれしいいれすぅぅ〜、ごしゅじんさまぁ〜、もっ、もっと強く、つよくぅーっ!痛いのキモチいい〜っ!」

 痛みに喜悦の表情を浮かべた紀香は頬をうっすらと赤らめてさえいるほど悦びと快感に身を震わせて感じている。
 今のお前にはオレへの反抗的な態度など考えもできまい。
 ましてや、オレに痣がつくほど乳房を捻りつぶされたところで、お前にとっては悦びでしかないわけだ。
 オレのこの昇華し切れないお前への怒りをどうやったら消すことができようか。
 霧山は目の前で苦痛によがり声を上げて喜悦の表情を浮かべる変わり果てた女に、埋れ火のように残る熱い怒りを持て余していた。

 すさまじいな、人間の怨念といのは。いまだにお前への憎しみを昇華し切れないオレがここにいる。
 貴様をこうまで貶めて、辱めてさえも、だ。

 紀香の自慰とフェラを見下ろしながら霧山はふと自分のある一つの思いつきに笑いを堪えられなくなった。
「ハハハハハ、そうだ、こんなシチュエーションはもうしばらくないだろう。これはいい!元のお前に一度戻してやろうじゃないか。そしてまた絶望を味わわせた後にオレの性処理奴隷に戻してくれるわっ!ハハハハハ」

「いやぁ、元に戻るなんて嫌です。私は、紀香はご主人様の牝奴隷でいたいんです、いやぁぁ〜、戻さないでぇ、牝奴隷でいさせてくださいぃぃぃーっ!」

 従順な牝奴隷を刷り込まれた紀香は元の自分に戻されるのを嫌がって泣きじゃくり始めた。
「もっと、もっと、フェラもうまくなりますぅ、心を込めてセックスももっといっぱいしますぅ。だから、だからぁーっ」

 そういって前にもまして激しく霧山のそれにむしゃぶりついた紀香は必死だ。
「安心しろ、紀香。お前は飽きるまで私の牝奴隷だ。ただ、私が楽しむために一時的に元のお前に戻ってもらうだけだ」

「いやでふぅ〜、もっと、もっとご主人さまを気持ちよくして差ひ上げたいんでふよぉ〜」
 紀香はフェラチをを続けながら本当に涙を流してココロから元の自分に戻されるのを嫌がっている。
「元に戻ったら、きっと、きっと、紀香は、恥知らずな馬鹿女に戻って、大事な、ココロから大切にしたいご主人さまを傷つけるに決まってますぅ〜。そんなの紀香、耐えられません」

 たいした女だな、あのナイトホークは。こうまで人間を別人に変えられるものなのか、しかもかつての同僚に容赦なく。
 霧山は紀香を見ながら胸を躍らせた。
「紀香、だったらお前のココロを元の紀香に戻したときに残してやろう。お前は元の紀香の中で私に牝奴隷である忠誠を示してみろ」
「へっ?」
 意味がわからず、泣きじゃくる紀香はあっけにとられた。
「楽しませてくれ。そのためには紀香、私のかわいい牝奴隷の紀香よ、お前の助けも必要だ」
「します。ご主人様のためなら紀香は命かけてでもご主人様のご命令を遂行します」
「フフフフ、せいぜいオレを楽しませろよ。今から発現解除のキーワードでお前を元に戻すが・・・・・・・・・・・・・・・だ。わかったな」

 意志の強い目で牝奴隷・紀香は霧山に向かってうなづいた。
「よし、それならお別れのスペルマをお前にやろう。しっかりとココロをこめてフェラするんだ。ほとばしる私の精液を飲み下したときにキーワードを聞くとお前は牝奴隷になる前の伏見紀香にもどるんだ」

 霧山の言葉に紀香は慈しみ、別れを惜しむように涙を浮かべて精一杯のフェラチオで霧山のモノを固く屹立させていく。

「クッ、うまくなったじゃないか、紀香。イクぞ、飲み下せ、で、でるっ!『Magic Change!』」

 どぴゅっと音が出そうなほどの射精をした霧山。
 唇からはみ出た霧山のスペルマをもったいなさげに指で口に吸い上げる紀香にだんだんと意思が戻ってくるのが霧山にはわかった。

「な、な、な、なにこれ。わたし、なにをっ」
 紀香は口を腕で拭い、腕についた糸を引くような粘ついた液体をみて愕然とする。
「くくくく、やぁ、伏見クン。ご無沙汰だな、それは私の精液だよ」
「きっ、きりやまっ!うっ、うえっうえぇぇぇぇーっ」
 霧山に背を向けて紀香は一気に嗚咽をもらす。
 紀香にとってこの男の精液を口にするなどあってはならない、文字通り唾棄すべき屈辱だった。
 自分が全裸であるのに気づきあわてて両手で胸と秘部を隠し、身を小さく丸めてもっとも霧山の椅子から離れた劇場のバルコニーの壁にもたれ燃え上がるような敵意を霧山に向けた。

「霧山!おまえは国を、警察を、裏切る反逆者だ!この俗物!奇妙なチカラで私をいい様にもてあそんだ罪は必ずその体で償わせるからな!!」

 
 


 

 

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