TEST


 

 



《前回までのあらすじ》
 女性が巻き込まれる凶悪犯罪専門組織として結成された警察機構『レディースワット』。チーム6はその中でも「売春・人身売買」を中心に活動するチーム。
 いよいよ組織売春のシンジケート『セルコン』主催の人身売買オークション『BLACK X’mas』への奇襲捜査を当夜に控えたチーム6。行動開始までは12時間をきっていた。チームの作戦監査役である伊部奈津美は特務局石原からの動員要請を受けて『セルコン』との関連が取りざたされるお台場の世界のネコ鑑賞喫茶『にゃんにゃんハウス』へ2時間の限定付で帯同する。
 「潮招き」の神の手にかかった奈緒は望まぬ絶頂へと導かれる。石原たちから奈緒の救出を禁じられた奈津美は歯がゆい思いでそれに堪えているしかなかった。「潮招き」はさらに奈緒を次のステップへと手を下しにかかる。
 一方、表店では瑠璃子が見知らぬ少女から出されたケーキに無理やり顔を押し付けられてていた。 





明智 祐実 :【チーム6 チーフ】メンバーとして配属後、短期間に多くの功績を挙げチーム内では年少ながらチーフに抜擢された。上昇志向が強く、自らの階級をあげるためには手段を選ばず、メンバーを駒としてしか見ない非情な面がある。研究所から手に入れた洗脳薬LDを隠し持ち、メンバーの隷属化を企てている。前チーフの伊部奈津美との確執がありチーム内では孤立。

伊部 奈津美:もとはチーム6のチーフ。過去の事件の失態から降格。メンバーからの信頼は厚く、非常時にも冷静な優れた指導力をもつ。特務局・石原の要請で売春組織「セルコン」に関係する「にゃんにゃんハウス」に赴く。

松永 奈那 :【チーム6】過去の事件で殉職した長峰江梨子とともに伊部奈津美と同期。祐実の洗脳薬で支配されるも、その後、瑠璃子の力に絡めとられる。一時意図的に脱支配されたが再度瑠璃子の支配を受けた。



石原・加藤 :【特務局捜査員】本庁特務局からチーム6の監視役として派遣されている。立場上制約を受けながらも、明智祐実・伊部奈津美には協力的。『にゃんにゃんハウス』の潜入捜査に伊部奈津美と偽名「石山」「川崎」「阿部」で来店。

松崎 奈緒 :都内の大学に通う大学生。同じゼミの日暮里哲郎から一方的に行為を寄せられストーカー被害を受けている。哲郎にストーキングの自粛を促すため、最後の話し合いとしてバイトの昼休みを利用してにゃんにゃんハウスで哲郎本人と対峙するもセルコンの罠に嵌まる。

日暮里哲郎 :奈緒とは同じ大学のゼミ生。彼女を一方的に気に入り猛烈にアタックをかけていたが報われず、株で儲けた資金を元手に奈緒をセルコンで貶めることを画策してにゃんにゃんハウスに連れ込む。



『潮招き』:売春組織「セルコン」に所属するブリーダー(と呼ばれる調教師)の1人。事故により半身にキズを負う老婆。

『ママ』  :売春組織「セルコン」に所属する謎の人物。瑠璃子の「TEST」期間中の監視役?

『クラッカー』:売春組織「セルコン」に所属するブリーダー(と呼ばれる調教師)の1人。ママと仲がいい。


南條 静香 : 聖オスロー校生







**********5th−day Vol.7**********



【 お台場 DEX 『にゃんにゃんハウス(裏店)』  】



「・・・・・・・ただ今の記録は歴代第7位の記録となります」
 アナウンスは事務的に流れた。
 周囲から拍手が起こる。

「フフフ、いいじゃないか」
 『潮招き』は満足そうにいった。

 潮吹きとその快感はいまだに続いて、何度も奈緒を襲っている。
 緩やかにその間隔と距離を下げながら、やがて終息へと向かっていった。
 何度も断続的に繰り返されるその不思議な光景に客は皆息をのむ。
 その量も回数も時間も、もはやAVで見るようなそれを超えていた。

 奈緒の座るソファとその周囲は、奈緒の愛液で光っている。

「・・・あん・・・・・ふ〜ぅ・・・んん・・あん・・」
 今も電気に触れたように時折ピクン、ピクンと奈緒は体を震わせている。
 奈緒の果てた満足そうな恍惚とした表情は店内の液晶画面に映し出されている。


 哲郎は奈緒のソファの真正面に床からどっしりと座ったまま顔から上半身から奈緒の噴射した愛液まみれになっていた。

「ぐ、ぐ、グフフフフフフ。やっぱり何度見ても「潮吹き」の瞬間を真正面から拝めるなんて最高っス!」

 そういうと顔面で垂れかけた奈緒の愛液を舌で舐めとる。
「しかも逆顔射っすからこたえられないっす、グフフフ」
 哲郎は先ほど脱がせた奈緒のパンティで顔の愛液を拭った。


(馬鹿げてる!なんてヤツラだっ!女を何だと思ってるっ)
 奈津美は無力さに苛まれながら、見殺しにした奈緒の狂態に目をそむけずにはいられない。

「その態度、表に出すな。視線を彼女の方に向けて鼻の下を伸ばせ!」
「なっ・・・・」
 石原の小さな声に奈津美は鼻の下を伸ばすのはさておき、従わざるをえなかった。

「フフフフフ、静かに絶頂の終息を受け入れると、そこには新たに生まれた「仔猫」としての変化がおとずれる」
 「潮招き」は含み笑いを浮かべて奈緒の次の変化を待っている。

 奈緒は呆けた表情でソファに埋もれたまま周囲を見回す。

「・・・と・・・もっと、もっと、もっと、もっとぉーっ!欲しい、欲しい、奈緒、我慢できないよ〜ぅ。欲しい、欲しい、気持ちいいの欲しいーっ。欲しいのっ!もっともっともっと気持ちよくして。奈緒を感じさせてよぉーっ。イキたいのーっ。奈緒もっともっと、いっぱい、いっぱいイキたいの、気持ちよくなりたいのよぉーっ」

 急性の中毒に冒されたか熱病にでもかかったかというように奈緒は人目も気にせずに求め始めた。
 下半身は濡れに濡れ、パックリと開いたヴァギナを隠そうともせず、奈緒はソファでM開脚のまま、両手を目いっぱい広げて誰かを招きいれようと視線を投げている。


「フフフフフ、究極の快楽経験は貪欲なまでの性への欲求を噴出させるわ。それを知ってしまった『オンナ』は、もう自分のつまらない自制心なんかでそれを押さえ込むことなんてデキやしない。私の「ヒト挿しユビ」を味わってしまった女は再びその絶頂を手に入れたくなって貪欲なメスの一面を表に曝け出すことに何の恥じらいも遠慮もなくなってしまうのよ、フフフフ。まさにサカリのついた牝猫への変貌よ、このコはそれでも激しい方ね」

「はぅ〜ん、ねぇ、ねぇ〜ってばぁーっ。気持ちよくしてよォーっ!とろけさせてぇ〜よォ。誰かしよぅよぉ、気持ちいいこと私とシテよぉーっ」

 奈緒の目は淫乱に潤みきり、猛烈に溢れあがる情欲に支配され、鋭い視線のまま吊り上っている。

 およそ、さっきの店で見せた優しい才女の一面などどこかに消し飛んでいた。
 まるで別人のように。

「あぁん、我慢できなぁ〜いぃぃぃぃぃ」
 奈緒は自分の指を咥えてしゃぶりあげたあと、その指を自分のヴァギナに差し入れた。

「ホホホ、馬鹿ね、オマエ。もう我慢する必要なんかあるもんかい。貪欲なケモノのおなりよ、奈緒」
 「潮招き」は笑っている。


「あっぁぅ、あん、ちがう、ちがうのぉーっ、こんな刺激じゃダメなのぉーっ。もっと、もっと、気持ちよくなりたいのにーぃっ!」
 自分の指だけの刺激に満足できなくなっているのが誰の目にも明らかだった。


「フフフフ、さぁて、仕上げだね。奈緒、気持ちよくなりたいんだろう」
 舞台から一歩引いて暗がりにいた「潮招き」がゆっくりと奈緒に近づく。

「あん、なりたい、なりたいのぉ。ねぇ、して。また、その指つっこんで、わたしを気持ちよくしてよぉ〜っ。いいの、その指好きなのぉーっ、その指を頂戴よぉ。奈緒のオマ○コにちょうだぁ〜いいぃぃぃ」

「お前は私の可愛い飼い猫になったんだ」
「なんでもいい、気持ちよくしてくれるんだったら、何にでもなるぅ。なんでもするからぁ〜。だから気持ちよくしてぇ」

「私の命令には一切逆らえない」
「さ、逆らわない。逆らいませ〜ん、お願い、シテくれるんでしょう?」

「お前の心の最も深淵な部分をもらうよ」
 そういうと「潮招き」は異形の手の中でもひときわ伸びて尖った爪の薬指を奈緒のGスポットを刺すように突き入れた。

「ひゃふっ!ぅ〜ん、あっ、あっ、あぅ・・・」
 奈緒はその「潮招き」の一刺しでカラダを仰け反らせて白目をむいて気刻みに震えている。
「お前は私の飼い猫。絶対に逆らわない従順なペットだ。わかったね、お前は私のために存在する」

「う、う、ううぅ、う」
 声にならない呻き声をあげながら奈緒は無意識のうちに激しく首を縦にふった。
「お前の行動はすべて私のためにある。そしてお前は「快楽」を得るためにはこの私にすべてを投げ出すんだよ」

 「潮招き」の爪がGスポットを小刻みに突いては刺して引掻いては爪の面で撫で上げる。
「ひ、ひぃぃっんんん・・ふくぅ〜・・んんんぁぁぁぁ」

 奈緒は何かから逃れるように必死になって身を捩るが「潮招き」の爪は奈緒のヴァギナにくっついて離れない。

「『気持ちよくなるためには何でもする』んだ」
「・・・・気持ちよくなるためなら・・・なんでもします」
 奈緒は絶頂近くまで昂ぶる朦朧とした意識の中で復唱する。

「ホホホ。いいコだね、しっかりと私に尽くすんだよ。感情を捨て快楽を貪る魔におなり」
 奈緒は表情のない顔で虚空を見つめながらゆっくりと頷いた。

 言い終えると「潮招き」の指が抜ける。
「はぁっ!あぅんっ!」
 抜いた途端に奈緒はまたすぐ我に返ってソファの上から「潮招き」にしがみつく。
「ねぇ、もっと、もっと、その指、もっとぉ〜」


 奈緒の甘ったれた声と媚びるような態度に客席にいた奈津美は顔を背ける。
(きっと、美香も・・・熊田巡査も同行した同僚達も・・・こうやって堕としめられたのか・・・)

 目の前の奈緒の姿に失踪したまま行方のわからない加納美香(1st−day)がダブって奈津美は見るに堪えない。

 ソファの脇の「潮招き」に奈緒は体を摺り寄せ、ペロペロと異形の手を舐めあげ、ひたすら媚びる。

「フフフフ、私に媚びるかい?でもね、お前が媚びるべき相手は別にいるんだよ」
 そう言うと「潮招き」は奈緒から離れ、哲郎へと不自由な体で歩み寄った。
 

「この男が今日からお前の主人だよ」
 哲郎が「潮招き」の脇に立つ。

「いいわぁ。気持ちよくしてくれるなら、誰だっていいよぉ〜。ねぇ、あなた、シテくれるんでしょ〜?だったら、ココですぐに頂戴よぉ〜。イカせて、イカせてぇーっ」

 奈緒には目の前の男が男が哲郎であることさえ判別できないほど快楽の虜になっている。

「ならばご主人様にサカりのついたお前の媚態をお見せ。ソファから下り、ご挨拶するんだよ」
「は、はい」
 奈緒は「潮招き」の言葉に何の抵抗もなく、するりとソファを下りて上半身も脱ぎ捨てて全裸で四つんばいのまま哲郎に擦り寄った。

「フフフフ、言われなくても脱ぎだすなんてできたコだよ、このコは。自分からネコになろうってかい」

 「潮招き」は奈緒の仕草に目を細めた。

「にゃ〜〜〜ぉ、ふ、ふ〜ん」
 自分の描く猫の媚態を恥ずかしげもなく演じている。
 その姿は、奈津美たちの前にいるすでに堕とされた『仔猫』たちと同じだった。

「ニャう、クン、クフ〜ん、気持ちよくしてくださ〜ぃ。して、してくださいぃ」
 四つんばいのまま哲郎の周りを擦り寄る奈緒は背後から見ると濡れてパックリと口を広げているヴァギナが丸見えだった。

 内腿はすでに噴き出した愛液でヌルヌルに濡れ切ってライトに照らされて光っている。

 客も哲郎も、先ほどまでの奈緒とのギャップを楽しんでいるようだった。

(人が・・・人がこれほどあっさりと、短時間で変えられてしまうものなのか・・・)

 奈津美は奈緒の変化に恐怖すら覚えていた。
(この私でさえ、もしかしたら・・・・・)
 考えずにはいられない奈津美は奈緒の媚態を見て図らずも自分が昂ぶっていることに気づく。

(な、なにを考えているんだ、私は・・・)
 想像したことを振り切るように首を大きく振った。
 自分の体の奥の部分が熱く疼いたことを恥じる。
(ま、まさか、私が?こんな辱めを目の前にして・・・・)
 今、目の前に繰り広げられた光景を見て自分自身が昂ぶっている。
 思わず押し当てていた右手をズボンの上から離した。
(弱いから助ける力が必要なんだ。弱いから、結束して強くなろうとしてるんじゃない)
 レディースワットに入ってからも奈津美は、時折、自分が女であることの弱さについて考えずにはいられなかった。


 フン、クン、クンクン、フフンと「潮招き」が鼻を鳴らした。
(おや、まぁ私の超敏感な嗅覚に引っかかるこの匂い。この中に奈緒以外で女の「お湿り」の匂いなんてネェ・・・)

 興味津々で「潮招き」は周囲を見渡した。
(仔猫たちの発情はファンタジータイムだけ。私の飼い猫である以上、仔猫たちが勝手に濡れることなどありえない。と、すると・・・・フフフフフ、面白いじゃないか)

 「潮招き」は見つけられないもう一人の女の匂いに含み笑いを隠せない。
(ゆっくりと炙り出してやろうかね。1匹ならたとえ警察の犬であっても恐れることはないよ、フフフ)

 老女は哲郎に向き直った。
「ガマガエル、さぁ準備おし!出番が来たよ」
 老女は冷たく言い放つ。
「が、ガマガエルはよしてくださいよう。いっつもこれだけはイヤなんだよなぁ、見世物にされてるみたいで」

「『されてるみたい』じゃなくて、まさに見世物なんだろうよ。宣伝効果というやつさね」
 「潮招き」は笑った。

「コレだけは個室でやったっていいのにと思う、我輩」
 哲郎は渋々、下半身だけ全裸になる。


「俺達だってあんなもん見たくはネェよなぁ」
 奈津美の近くのテーブルからいくつかの声が漏れる。
 どうやら哲郎が登場するのは今回が初めてではないらしい。
 みなこの後の展開を知っているような口ぶりだった。


「かーっ。ちいせぇーっ!あれでも、いっちょまえにおっ勃ってるのか」
 どこからともなく漏れた哲郎のイチモツの驚くべき小ささから店内に失笑が漏れる。

「いや、あれ本物か?中に押し込んでんじゃネエの?」
「誰か「粗品」って熨斗つけてやれよ、かわいそうに」
「おもちゃじゃねぇの?ガチャポンかなんかの・・」
「あれじゃ、ウチの小2の悪ガキの方がでけぇぞ、同じ皮被りでも・・」
 誰もがその矮小な哲郎のモノを本物の大きさとは思っていなかった。


「ほら、ほらぁ、ほらぁ。この時だけは泣きたくなるっす」
 哲郎はウルウルと涙を滲ませる。
「なんだい、アンタ本気で泣いてンのかい?みっともないネェ、大の男が」

「大じゃなくて小だろうよ」
 客席から「潮招き」の哲郎の叱咤にチャチャが入り、周囲がどっと笑った。

 店内の男達はみな一様に安堵感を滲ませる。
 哲郎のイチモツに嫌悪感どころか同情さえ感じられるようだった。
「あれじゃぁ女も満足できやしねぇよなぁ〜、被ってるし」
 ため息がそこここで漏れた。


「さぁ、仰向けにおなりよ」
 「潮招き」は舞台の真中で哲郎に横になるよう促した。
 ソファは奈緒が下りた後、早々に床下へと収納されていた。
 ひときわ一段高くなった舞台で男が租チンを勃起させて横になっている。

 舞台を見慣れた店の客達も男優に劣りすぎる哲郎の躯体に目のやり場に困っていた。

「さぁ、奈緒。お前のご主人さまだよ。お前が仕えるべきご神体、この肉茎に口でご挨拶するんだ」
「はい」
 奈緒は素直に哲郎に体を重ねると哲郎のイチモツに何の抵抗もなく舌を這わせた。
「お前はこの男とそのモノが欲しくて欲しくてたまらないんだ」
「はむ・・・は、ふぁい、・・欲ひぃ、欲ひいよぉ」
 一心不乱に舐めあげ、口に含み、手でしごき、奈緒はあらん限りを尽くす。

「ホホホ、未通女(おぼこ)じゃないのは、指を挿した時にわかってはいたが、まんざら知らないわけじゃなさそうだね〜。大したテクニックをお持ちじゃないか」

 奈緒の仕草や舌使いを見ながら「潮招き」は目を細めた。
「いい仔猫が手に入ったよ。ガマガエル、あんた「見る目」はあるようだ」

「ひく、ひ、ひ、どはぁー」
「きゃん」
 哲郎の嬌声と奈緒のか弱い悲鳴がほぼ同時だった。

「なんだい、もう最初の絶頂かい、1分もたってないのにねぇ。安心おし、いくらイっても今のアンタは私の力で勃ちっぱなしだ」
「ぐふぅ、面目ない」
 哲郎はしょげ返る。
 「潮招き」は以前からこの「テイクアウト」のために哲郎のイチモツが萎えないように簡単な暗示を植え込んでいた。


「さぁ、奈緒。お前の主人を跨いでそれをお前の中に挿入するんだよ」
「はい・・・・・・ん、んん」
 奈緒は自分の股間を哲郎のイチモツに下ろしていく。
 哲郎の肉茎はあっという間にするっっと奈緒に飲み込まれてしまった。

「いやん、入れてるのにぜんぜん気持ちよくなぁい。いやよ、大きさが違いすぎるの、小さ過ぎてやぁっ!」

 奈緒の声が不満そうに響くと客の間から再び失笑が漏れた。

「他人事じゃネェなぁ。でもあんな悲惨なほど小さくネエけど」
「いやだねぇ。オレだったらヒーヒー言わしてやんのになぁ」
 暗がりの舞台の周りの客席からは客達の勝手な言葉が漏れ聞こえ、哲郎をさらに萎縮させた。

「ほうら、お前の仔猫になろうかって女にまで嫌われてどうすんだい。お前のサイズじゃピグミーでも抱くんだね」

「ひ、ひどいっす。これじゃ毎回トラウマ重ねてるっス」
 哲郎は鼻水まで垂らしてベソをかいている。

 
「どど、どっぴゅーっ」
 哲郎は挿入した奈緒が腰を振ったことが快感で再び奇声を上げた。
「我慢できないのかネェ、まったく安上がりな男だよ。またイッたのかい」
 奈緒の挿入に哲郎は簡単に昇天する。
「だったら、前からお願いしている通り、我輩の切実な願いを聞いて、私の御神体を大きく強くしてくださいよぅ」

「イヤだね。アタシは男のケツの穴に「神の手」は突っ込みたくないんだよ」
 すでに「潮招き」は哲郎の早漏ぶりに呆れ返っている。

「さぁ、ガマガエル。奈緒を抱きしめて結合部分を見えるようにおし。奈緒のアヌスが見えるように足の角度を調整するんだよ」

 哲郎は指示通り奈緒を抱きしめると2人が結合したまま横になっている恰好になり、「潮招き」に2人の股間を晒した。

「さぁ、奈緒。少し我慢するんだよ。初めてかもしれないけどね」
 そういうと再び「神の手」が奈緒に触れると今度はそのアヌスに一気に挿入された。

「ひゃはぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁ」
 奈緒は上半身を仰け反らせて苦悶の表情をあらわにする。
 ズズズズズズと音が聞こえてきそうなほど、その指が奈緒のアヌスの中でじわりじわりと回転していく。

「お、お、あ、あ、ぐ・・あ・・」
 奈緒の嬌声が響くと同時に哲郎も再びあの果てた声をあげる。
「ぐおおお、絞まる、しまるっすぅぅぅぅぅぅ」
 奈緒のヴァギナが哲郎のイチモツを締め上げていく。
 「神の手」にアヌスを責められた奈緒はその反動で膣に哲郎のモノをくわえ込んだまま締め上げているのだった。

「このくらいだろうね、ふう」
「きゃうんっ!」

 「潮招き」が手を抜くと奈緒はがっくりと哲郎の上に倒れこんだ。
「これでいい。さぁガマガエル、好きなだけ腰を動かしてごらん」
 哲郎は言われるままにゆっくりと腰を動かし始める。

「ひゃんっ!いい、いい。いいのーっ!これ、これよぉーっ、これをまってたのぉーっ。気持ちいい、とけちゃうう、とろけちゃう。いいっ!いいよぉーぅ!」

 奈緒は貪欲に快感を得ようと自分から腰を振り始めた。
 哲郎を忌み嫌っていた数分前までの頑なな態度がウソのように。

「いい。いいの。きもちいいのぉーっ好き、大好き。イッちぁぁぁぁうぅぅ、もっと、もっと、もっとぉーっ」

 奈緒の乱れように客達は息を呑んだ。
 一体なにが起きたのか理解できていない、奈津美もその1人だった。
「痺れちゃ〜ふぅん、もっと、もっと突いて。届いてる、奥までキテるよぉ〜ぉ」


「初めてご覧いただくお客様にご説明いたします。これは「潮招き」のワザで、挿入状態で「神の手」を女性のアヌスに入れて独自の刺激処置を与えることで、その女の膣サイズと相手方の男の御神体のサイズがジャストフィットするように膣の内壁サイズを強制的に拡張・収縮調整する能力をもっています。どんなに巨根だろうと短小だろうと、彼女の手にかかれば女はその男の肉茎とジャストサイズとなります。それ以後のSEXでは、まさに「潮招き」の右手で与えられた刺激と同等のものをその男の肉茎から得られるようになります」

 スピーカからの解説に「おおっ」とざわめきが起こった。
「いいぃぃ、いいよぉーっ。もっと、もっと、もっとぉぉぉぉっー。いじめて、突いて、奈緒を、奈緒をめちゃくちゃにしてぇぇぇぇ」

 奈緒の忘我の喘ぎ声はそれを裏付けるかのように、さっきまで不満を怒りとしてぶつけていた矮小な哲郎のイチモツを、今は悦んで受け入れて腰を振り、愛液を溢れさせ、垂れ流している。

 説明のアナウンスは続く。
「『潮招き』の「神の手」で潮吹きに至った女は、それ以前とは比較にならないほど人が変わったようにSEXに対し貪欲で淫乱化いたします。今、皆様の前にいる多くの仔猫たちのように」

「あっ、あーっ!あぁ、あ、あ・・・・」
 奈緒がオーガスムを迎えたのが誰の目にもわかった。

「さぁ、奈緒、ガマガエル。2人とも身奇麗になさい」
 「潮招き」に仕わされ仔猫達がタオルやウェットティッシュで2人の体を拭く。
 奈緒は老女の命令に何事もなかったようにスルスルと下着と服を着た。

「「潮招き」の手にかかり、主人をあてがわれ、「神の手」のアヌス処置で隷従を意識づけられた女は、自分の膣にフィットする主人の肉茎以外では満足できなくなり他者とのSEXを頑なに拒否する一方で、主人の肉茎を求めずにはおれなくなります」

 おおぅっとどよめきが大きくなった。

 それが本当なら堕としめた女は主人である男のみに快感を得ることしかできず、常に男を自分から貪欲に求めてくる。
 男にとって都合のいい存在になりえるのだ。
 
「私の手にかかれば、どんな矮小なイチモツも、女には絶頂を得られる唯一無二のものとして快楽中枢を刺激する存在となり、女はそのたった一人の男だけを求めずにはおれなくなります。もし他人とまぐわったとしても、それ以上の快感は得ることができず、余計自分の性欲に火をつけ、主人である男の元へ駆けつけて、SEXせずにはいられない体になります」

「おおおおおっ」
 店内の暗がりから感嘆と羨望の声が上がる。

「皆様におかれましても、ご希望があれば、是非この老いぼれ、「潮招き」をご指名ください。ご夫婦の倦怠期対策にでもいかがです。出張いたしましょう」

 「潮招き」は商魂逞しくPRする。

「いくらなんでも、もうそのコは・・そこのニイちゃんが独占しちまうんだろ?オレ、結構そのコ気に入ったんだけどなぁ」

 舞台近くの暗がりのテーブルからため息が漏れた。

「ホホホ、大丈夫、ご安心くださいな。このコのテイクアウト契約は1ヶ月。私の魔法、期限設定ができるんですのよ」

「そ、それじゃぁ・・」
 男の顔に期待感が表れる。
「ホホホ、初めて来店されたお客様のようね。1ヶ月後、この奈緒の膣サイズは魔法の効果期限とともに本来の自分のものに復元されます。勿論、私の支配が消えるわけではなく、1ヶ月後、彼女は新たな仔猫としてきっと皆様とお目にかかることができましょう」

 おおっと歓声が上がった。
 奈緒を気に入ったのはどうやら1人だけではなさそうだった。

「魔法の効力が切れれば、このコの「ガマガエル」への思慕の念も消え去り、彼との交ぐわいの記憶は一瞬で霧散するでしょう。同時に奈緒は皆様に新たな気持ちで接することができます」

 含み笑いを浮かべて「潮招き」は一礼した。
「おひねりでも頂きますれば、少しばかりのお好み調製もご随意に。ただし会の規定には背けませんので悪しからず」

 店内から拍手が起こった。

 哲郎と奈緒の2人はすでに服を着て「潮招き」の後ろで待っていた。
「さぁ、奈緒。あらためてお前のご主人様にご挨拶を」
「はい。松崎奈緒です」
 奈緒は哲郎に向かって微笑むと一礼した。

「ご主人様とお呼びするんだよ、奈緒!」
 「潮招き」が奈緒を叱る。
「はい、申し訳ありません。ご主人様、松崎奈緒です」
 そう言って奈緒は哲郎の前で深々と頭を下げた。

 哲郎は相好を崩しっぱなしだった。
「グフフフフ、『ご主人様』は今じゃメイドカフェでも言う。奈緒、我輩のことは2人だけのときは「哲郎様」と呼ぶんだぞ」

「はい、喜んで。哲郎様、奈緒は哲郎様のお言いつけを忠実に守る哲郎様の仔猫です」

 奈緒の屈託のない笑顔と忠誠と隷属の言葉に哲郎は感極まって体を震わせた。
 奈緒の笑顔もそして外面も昨日までと寸分変わらない哲郎のお気に入りの松崎奈緒だ。

「奈緒、他に人がいるときは「哲郎さん」だ。いいな?」
「はい、哲郎様。ほかに人がいるときは「哲郎さん」とお呼びします」

「知ってる人がいるトコロでは、我輩と奈緒は「友達モード」だ。態度も今までどおりでいい。ただし適度に好意的だぞ」

「はい。哲郎様、奈緒は他に知り合いがいる前では哲郎様とお友達として接します。好意的に」
 奈緒は屈託のない微笑みを哲郎に向けた。

「じゃあ、練習だ。何か言ってみろ。奈緒」
「はい。哲郎様。ウフっ・・・哲郎さん、午後のバイトそろそろだよ。一緒に頑張ろうね!他のみんなに迷惑かけないようにね。終わったら何か食べに行こうよ」
 そこには「潮招き」の手に堕ちる前と寸分違わぬ、以前の奈緒の姿があった。
 「哲郎さん」と丁寧に呼ぶ以外はもとのままだ。

「びっくりしったぁ〜。すっかり元のままじゃないっすか!でも違うよな、奈緒、お前が我輩の下僕になったのなら、その証拠に我輩にお前のパンティーを今ここで脱いで渡してもらおうか、ヌレヌレのパンティーを」

「はい。哲郎様。哲郎様に喜んでいただけるなら、奈緒はパンティーを哲郎様に差し上げます」
 そう言って奈緒はスカートを捲り上げると何の躊躇いもなくパンティーを下ろして哲郎に差し出した。
「クン、クン。グフフフフ、よくできたな、奈緒。えらいぞ」
「はい!哲郎様に喜んでいただいて奈緒は幸せです」
 何の不快感も示さずに奈緒は微笑んだ。

「周りに人がいても知ってる人がいないときは奈緒は我輩に対して今みたいな「淫乱モード」になれ。我輩におねだりする淫乱な女になるんだ。周りの男達から我輩が羨ましがられるような淫らで美しい牝ネコになれ」

「はい。哲郎様。奈緒は周りにいる男達から哲郎様が羨ましがられるような淫乱で美しい牝ネコになります」
「じ、じゃ、じゃあ、実演。やってみろ、期待してるぞ」
「はい」
 そう言って微笑むと奈緒は俯き加減で哲郎に近づく。
 哲郎の肩越しに寄り添ってゆっくりと顔を上げたとき、奈緒の表情は一変して情欲に満ちた艶やかな牝の表情が浮き出ていた。

「・・・ねぇ、して。奈緒のこと可愛がって。奈緒、いっぱい、いっぱい欲しいの。哲郎様の熱いの入れてほしい〜」

 そういいながら、奈緒はスカート越しに自分の股間を哲郎の太腿に擦りつける。
 体が密着して豊満な胸が哲郎に押しつけられてくる。

「グフフフフ。う〜ん、いい、いいよ!奈緒、淫乱モードのときは「哲郎」って呼んでよ、心を込めてね」


「はい。哲ろォ〜、私の哲郎ォ、早く私を食べて。好きなだけ挿れて、おま○コ掻き回してよぉ。ホテルでも公園でもいいからぁ〜」

 そう言って奈緒は両手を哲郎の首に回して胸と股間をぴったりと哲郎に押つけた。

「グフフフフ、満足、満足。さらに、はいっ!「友達モード」チェンジ!」
 哲郎の言葉に奈緒の表情と態度は一変する。
 抱きついていた腕を、哲郎の腕に絡ませて横に並んだ。
「さぁ、行きましょうバイト。時間ないよ、あと5分だよ」
 あっけらかんと、そして哲郎には縁遠かった明朗快活で親しげな、以前の可愛い奈緒の姿がそこにはあった。

「グフフフフ、金かけた甲斐がありましたバイ」
「そうかい、そうかい。じゃ、そろそろあんた達2人はこれでお開きだね」

「おっと、その前に、ココでやらせたいことがあって、グフフフフ」
「なんだい。またアレかい。あんたも罪作りな男だね」
 「潮招き」は呆れ顔だ。
「コレも宣伝効果じゃないの?グフフフフ」

 哲郎は奈緒の脇に立った。
「奈緒、カレシいるんだろ?ご主人様には正直に答えるんだ」
「・・・・います」
 奈緒は少し困った顔をして上目遣いで哲郎を見つめながら言った。
「誰だ?我輩の知ってる人?」
「はい。藤堂孝之君です。でも今の本当の彼氏は哲郎様です」
「ありゃりゃ、同じゼミの藤堂先輩ですか。妬けますネェ。でも、奈緒はもう我輩のモンだモンね、だろ?」

 自信たっぷりに哲郎は胸を張った。

「はい、私は哲郎様の下僕である飼い猫です」
「淫乱な牝ネコだね」
「はい、淫乱な牝ネコです」

「よぅし、だったら奈緒、今ココで藤堂先輩に電話してきっぱりと別れるんだ」
「・・・・・・・・・・」
「できないんだったら、もう我輩は奈緒のお○んこに入れてあげな〜いよォ」
「イヤッ、そんなのイヤです!」
 その言葉に奈緒はすぐさま携帯を取り出してダイヤルする。

「めいっぱいショッキングで、汚い言葉で別れるんだ。お前は誇り高き日暮里哲郎様の飼い猫なんだからな」

「はい、哲郎様」
 電話はすぐにつながった。

「グフフフフフ」
 これからの展開を思い浮かべて哲郎は笑いが止まらない。


「あっ、奈緒だけど。孝之、今夜のデート行けない。なぜって?それはね、もうあなたと、つきあうつもりがないからよ」

 相手の男はさぞびっくりしていることだろう。

「理由?あなたが嫌いになったから。大っキライ」
 奈緒は声を荒げた。

「グフフフフフ、ダメだな奈緒。もっと汚い言葉を使うんだ」
 奈緒は目で頷いた。
 
「うるさいなぁ!会いたくないって言ってるでしょ!いちいちぎゃあぎゃあ喚かないでよ!だったら本当のこと言ってあげる、アンタの臭いチン○を咥えるのに飽きたの!ねちっこいSEXもイヤ。アンタ小さいくせに自分の大きさバッカ自慢してるし、もっと大きい人いるんだよ」

 奈緒の近くにいる哲郎は耳をそばだてて笑いを堪えている。
 携帯から荒ぶる男のわずかに漏れているのだろう。

「とにかく、チン○が臭くて、ちっちゃいのに、すぐ咥えさせて飲ませようとする早漏なアンタの貧弱なSEXとオサラバしたいの。私、さっき新しいカレに攻められて何度も潮吹いちゃった。孝之とヤって今までそんなことないもんね。アハハハ、そういうこと。せいぜい私よりいい女見つけなさい、未練たらしくつきまとうようならゼミのみんなにこのコトばらすからね。じゃあね〜ちん○洗えよ!お風呂入れよ!」

 言い終えると奈緒は小気味よく携帯のボタンを押して通話を切ると哲郎に向かって「終わったよ、これでいい?」と微笑んだ。

 周囲は一気に騒然とする。
「あっりゃーっ、キッツ。相手のカレシは思い余って自殺モンだね」
「オレ、あんなこと言われたら彼女のトコ駆けつけて無理心中する」
 店内の男達は口々に相手のフラれた男を思い同情していた。
 それよりむしろ、奈緒の変貌ぶりにただただ驚くばかりだ。


 奈緒は携帯をしまうとすぐに哲郎に体を寄せた。
「哲郎さん〜、奈緒、言いつけを一生懸命に守ったよ。だからいいでしょ、奈緒にご褒美。奈緒、さっきアレだけイッたのにぃ、もう溢れてきてるのォ〜、哲郎さんの愛をもっともっと受け止めたいのォ〜。だから〜・・・ねっ」

 「友達モード」の奈緒は哲郎からご褒美をもらえるものと目を生き生きと輝かせニコニコと哲郎に微笑みながらカラダをくねらせた。

 すでにふった男のことなど、これっぽっちも思っていない。ただ、ただ、哲郎だけを見ている。

「グフフフフ、それぢゃ、最後に「主従モード」もいってみますか・・・」
 哲郎は奈緒の身も心も好き勝手にいじれることに無常の喜びを感じていた。


「はいはいはい、それはココを出てからね。ショータイムは終わり、お開きだよ、お前さんたち。お持ち帰りするんだろ、ガマガエル」

 一変してラブラブになってしまった2人に「潮招き」は「テイクアウト」を宣言する。

 2人はバイトの続きがあると言って、表店には戻らず裏店から帰るという。
「そうかい。じゃ、お帰りはこっちだよ。あぁ、そうだ・・・奈緒」
 2人を出口に案内しながら、「潮招き」は思い出したように奈緒に振り返った。
「はい。「潮招き」さま・・・・・・」
 奈緒はまるで教祖でも崇めるように逡巡した態度で軽く腰を下げ、こうべを垂れている。

 哲郎の言った「主従モード」になっている。

「お前、新しい世界なんて要らないって。さっき言ってたっけねぇ。私がせっかく悩みを消してやろうとしたのにさ」
 それは奈緒のカラダに「潮招き」の指が挿される前の、奈緒の意思の叫びだった(5th−day Vol.6)。

 奈緒は「潮招き」の人外の腕に心を込めたキスをする。
「申し訳ありません、「潮招き」様。「新しい世界」がこんなにも素晴らしいものなんて思わなかったんです、良くも悪くも。ウフフフ」

「おや?言うねぇ、私に自我の根っこを掴まれといてまだそんな口が利けるかい。芯の強いコだったんだねぇ、まぁいいだろう。して、そのイイコトってのは何だい?」

「SEXがこんなに気持ちいいなんて・・・・。わたしの体が、触れてもらえるだけでこんなシアワセな気持ちになるなて。新しい世界に導いてくださった「潮招き」様に感謝しております」

 奈緒はかしこまって再度「潮招き」の手にキスをした。
「おいおい、忘れてもらっちゃこまるんですな。我輩が奈緒を選んだから・・だぞ」

 哲郎がチャチャを入れる。
「はい、哲郎様。奈緒をココに連れてきて下さりありがとうございます」
 奈緒の感謝の態度は、疑うべくもなく本心から表されている、それが誰の目にも明らかだった。

「グフフフ、だから言ったぢゃないかぁ、さっきの奈緒の言葉より、新しい世界を知った奈緒の言葉のほうが信頼に足るってねぇ〜」

 哲郎は奈緒の変わり様に満足しきりだ。
「おっしゃるとおりです。哲郎様、さっきまでの私は何とかして自分はこの場を切り抜けて助かろうと、心にもないことを言っていました。申し訳ありません」

 奈緒は神妙な態度で頭を下げた。

「奈緒、それじゃぁ聞こうかね、新しい世界を知って悪いことってのはなんだい?」
「はい。悪いことは、いくら可愛がって頂いてその場は満足しても、すぐに欲しくて欲しくてたまらなくなってしまった事です。お慕い申し上げている哲郎様のことを考えると何も手につかないし、寝ることすらできないかもしれない」

「ほほほほほほ、よっぽど今までのお前は自分自身を抑えてきたんだろうネェ。その禁欲さがもしかしたら異常なほどの欲情を引き起こすんだね。前の男もことSEXに至ってはお前を満足させていなかったようだしね。大丈夫だよ、1日もたてばもう少し収まりがついてくるさ。好きなときに好きなだけ求め、普段はそんなこと露ほどにも思っていないような、今までのアンタでいられる。安心おし」

「はい。「潮招き」さま」
 奈緒は素直に礼を言った。

「そうそう、ガマガエル。いつもどおり「テイクアウト」の料金は店から退出したタイミングで引き落としされるからね」

「わかってますよぅ。興ざめするような金の話をしないでよぅ、資金は潤沢だからさ」

「ほう、いつもながら大したもんだよ、お前さんは。おひねりが1円もないのがいただけないがね」

「グフフフフフ、今度考えとくよ」
「ありがとうよ、でも「今度」と「幽霊」は出たためしがないんだよ。それと、前の2人の魔法の有効期限はあと3日と10日だよ、わかってるね」

「へいへい、それも合点承知。奈緒が手に入ったら、アイツラは手放すよ。奈緒を手に入れるための舞台装置で「テイクアウト」しただけだからね」

 そう言い残して哲郎と奈緒は寄り添いながら舞台のそでへと消えていった。
 続いて「潮招き」も一礼のもと、不自由な半身を引きずるようにして去っていった。
(さぁて、疲れたから少し休憩して、紛れ込んだ牝ネコを探し出すとするかねぇ)
 「潮招き」は笑った。


【 お台場 DEX 『にゃんにゃんハウス(表店)』  】




「てっへへへへっへへへへへへ、バッカでぇ〜っ!簡単に騙されてヤンのっ!」
 少女の顔は醜悪なぐらい悪意に満ちた歪んだ表情でケーキまみれで目鼻がわからなくなった瑠璃子を見て大笑いしていた。

「な、なんなのっ!ひっどい!」
 生クリームで真っ白になった顔を持ち上げて瑠璃子は必死で顔を拭った。
 クリームが四方に飛び散った。
 拭いきれずに瑠璃子の視界はおぼつかない。
 必死になって自分を辱めた少女の行方を捜す。

「コレは預かっとく!」
 生クリームで滑り易くなった瑠璃子の手から少女は音叉をあっという間にツルんと取り上げた。

 周囲は思わぬ騒動に全員が一箇所に注目して事態の推移を見守っている。
「な、何すんのよ!私になにか恨みがあるって言うのっ!」
「おうよ、大アリだ。べらんめぇ!ココであったが百年目ってんだ。再会の祝いだ、しっかり喰いやがれ!」

 少女は崩れきったケーキをまるで土でも握るかのように握り締めて瑠璃子の口へと押し付けた。

「ぶぎゃん!やめてっていってるでしょーっ!信じらんなーいっ!」

 清楚な少女のいでたちと似つかわしくないチャキチャキの江戸っ子言葉の口調のギャップとに周囲はただ呆然としていた。

 彼女はさらに瑠璃子の後頭部を押さえつけてぐちゃぐちゃに崩れたケーキにさらに瑠璃子の顔を押し付けた。
「ぐぐえぇ〜、ちょっとやめてよ。あんた、一体だれなのよ!」
「オレか?オレは南條静香(4th−day Vol.4)だ。ぎゃっははははは、覚えてネエだろうーっ!」

「知らないわ!南條静香なんて聞いたこともない!」
 後ろから羽交い絞めにしてケーキを押し付けてくる静香を必死に引き剥がして瑠璃子はテーブルから離れた。

「いい顔してるぜ、ブスな顔がちったぁクリームの白粉で見れる顔になったじゃねぇか」
「このっ!」
 瑠璃子が掴みかかろうとするところを静香はするりとかわして足をかけると瑠璃子はいとも簡単に転んだ。
「いったぁーい」
「悲しいわ、ここまでしても、わたくしのこと思い出して下さいませんの。瑠璃子さん、ひどい!ひどいわっ!」
 急に清楚な態度と言葉遣いに変貌して南條静香は悲しげに目を潤ませる。

「知るもんか!あんたなんかっ!」
「ケケケケッ、そうかい、そりゃ残念だな。いい気味だぜ、『瑠璃子ネエ様』よォ。そろそろ判れよ、この南條静香はコピー体だよ、オリジナルじゃない」

「あっ!ま、まさか、アンタ・・・・・」
「おっとぉ!ばれる前にもういっちょ!下の口にも食わしてやらなきゃよぉ!うめぇぞ、ココのケーキは!喰ったことねぇけどな」

 静香は足で瑠璃子を押さえつけるとスカートをめくり上げ、パンティの中へ、握りしめたクリームいっぱいのつぶれたケーキの残骸を放り投げた。

「いやぁぁぁぁぁあぁ!気持ち悪い!何すんのよ、この『とっちゃんボーヤ』!」
「あっ、バーローっ!下品なコードネームで呼ぶんじゃネェよ。ゲっヘへへへへ、バレちゃあ、仕方あんめぇ!瑠璃子!思い知ったか、このあばずれめぇぇぇ!きっちりこの間の礼は返させてもらうゼ!」

 スカートを戻すと静香はスカートの上から瑠璃子の股間に入ったケーキを踏み潰すように足ですり潰した。

 周囲は目の前で繰り広げられた美少女2人の思いがけない喧嘩に目を疑うばかりだった。

「チクショウ!琥南!許さないからね!私にこんなことして!」
「ウフフ、瑠璃子さん。あなたは強かったわ、ナイトホークも有能ななブリーダーだった。しかし、オレは屈辱を忘れん男だ!」

 静香の言葉に力がこもる。
 静香が男と名乗ったことで周囲はさらにざわめき始めた。

「悪乗りしてない?あんた。タダじゃすまさないからねっ!『勃ち上がりなさい!急速上昇!』」
 それは以前、瑠璃子が琥南に刷り込んだ性的絶頂を促すキーワード(4th−day Vol.4)だった。

「はい、はい、はい。なんのことかなぁ?ンケケケケケ・・」
 南條静香は瑠璃子の発したキーワードにわざとらしく「何か言った?」と言わんばかりに耳に手をあてて聞き耳ポーズをする。

「えっ、う、ウソ!あんた、何ともないの・・・・・」
 琥南の性格をコピーされた静香は人差し指を立てて「チ・チ・チ」と左右に振った。

「ケケケ、おめえ、自分で言ったろ。お前の下品なキーワード吹きこまれた後での人格コピーした人形なら、その暗示もそのままコピーされるってな」
「えっ・・・それじゃあ・・」
「おうよ、この南條静香はお前にオレの頭ン中に変なキーワードを入れられる前に作ったのっ!(ケケケ、ほんとは違うんだけどよ、ネタばらしは得策じゃねぇしな)」

 異様な騒動に、にわかに周囲が異常な雰囲気に浮き足立ち始める。

 
 


 

 

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