TEST


 

 



《前回までのあらすじ》
 女性が巻き込まれる凶悪犯罪専門組織として結成された警察機構『レディースワット』。チーム6はその中でも「売春・人身売買」を中心に活動するチーム。
 いよいよ組織売春のシンジケート『セルコン』主催の人身売買オークション『BLACK X’mas』への奇襲捜査を当夜に控えたチーム6。行動開始までは12時間をきっていた。チームの作戦監査役である伊部奈津美は特務局石原からの動員要請を受けて『セルコン』との関連が取りざたされるお台場の世界のネコ鑑賞喫茶『にゃんにゃんハウス』へ2時間の限定付で帯同する。
 にゃんにゃんハウスでは女性達を「仔猫」として調教し、客の前に提供している実態を奈津美は目の当たりにすることになる。店内には「テイクアウト」と称する儀式で今まさに新たな犠牲者・松崎奈緒が「仔猫」になろうとしていた。
 その頃、一連の事件のキーマンである陣内瑠璃子は奈那を祐実の薬物洗脳から再び自らの手中に取り戻していた。瑠璃子が今いるところは・・・・・・・・・。







明智 祐実 :【チーム6 チーフ】メンバーとして配属後、短期間に多くの功績を挙げチーム内では年少ながらチーフに抜擢された。上昇志向が強く、自らの階級をあげるためには手段を選ばず、メンバーを駒としてしか見ない非情な面がある。研究所から手に入れた洗脳薬LDを隠し持ち、メンバーの隷属化を企てている。前チーフの伊部奈津美との確執がありチーム内では孤立。

伊部 奈津美:もとはチーム6のチーフ。過去の事件の失態から降格。メンバーからの信頼は厚く、非常時にも冷静な優れた指導力をもつ。特務局・石原の要請で売春組織「セルコン」に関係する「にゃんにゃんハウス」に赴く。

松永 奈那 :【チーム6】過去の事件で殉職した長峰江梨子とともに伊部奈津美と同期。祐実の洗脳薬で支配されるも、その後、瑠璃子の力に絡めとられる。一時意図的に脱支配されたが再度瑠璃子の支配を受けた。



石原・加藤 :【特務局捜査員】本庁特務局からチーム6の監視役として派遣されている。立場上制約を受けながらも、明智祐実・伊部奈津美には協力的。『にゃんにゃんハウス』の潜入捜査に伊部奈津美と偽名「石山」「川崎」「阿部」で来店。

松崎 奈緒 :都内の大学に通う大学生。同じゼミの日暮里哲郎から一方的に行為を寄せられストーカー被害を受けている。哲郎にストーキングの自粛を促すため、最後の話し合いとしてバイトの昼休みを利用してにゃんにゃんハウスで哲郎本人と対峙するもセルコンの罠に嵌まる。

日暮里哲郎 :奈緒とは同じ大学のゼミ生。彼女を一方的に気に入り猛烈にアタックをかけていたが報われず、株で儲けた資金を元手に奈緒をセルコンで貶めることを画策してにゃんにゃんハウスに連れ込む。



『死を招き』:売春組織「セルコン」に所属するブリーダー(と呼ばれる調教師)の1人。事故により半身にキズを負う老婆。

『ママ』  :売春組織「セルコン」に所属する謎の人物。瑠璃子の「TEST」期間中の監視役?

『クラッカー』:売春組織「セルコン」に所属するブリーダー(と呼ばれる調教師)の1人。ママと仲がいい。


南條 静香 : 聖オスロー校生











**********5th−day Vol.6********





【 お台場 DEX 『 にゃんにゃんハウス(表店)』 】




「な〜んだかねぇ〜、まるで手駒の争奪戦、オセロゲームやってるみたいだな、あの傲慢女(明智祐実)と。たかだか薬で奪えると思ってるの?」

 美穂からかかってきた携帯電話を切ると無造作にテーブルに投げ出した。
 支配から解放した奈那が、祐実と奈津美に思いのほかいい形で接触できたことに瑠璃子は満足していた。


(ウフフ、これから奈那には2人へのいたずらに一役かってもらわなきゃ。それにしても・・・・)
「夜まで手持ち無沙汰ったらありゃしない。あと何時間潰せばいいてーのよっ!」
 瑠璃子は思わず思っていたことが声に出てしまい、周囲がびっくりして彼女へ視線をなげた。
「なに見てんのよ。私がそんなに珍しい?アンタ達はネコだけ見てろ。ネコだけ!」
 目の前には食べきれないほど大きく盛られた『チンチラサンド スペシャルミックスCセット』がある。

 瑠璃子の機嫌の悪さは今に始まったのではなく、数分前にかかった「ママ」からの電話がきっかけだった。

『いいこと?あなたは我われ組織の一員となるための「TEST」の渦中にいることを忘れてはダメよ』
 いきなりのお仕着せがましい言い方に瑠璃子ははなっからけんか腰だった。

『あ、忘れた。なんだっけ?あんた誰ぇ〜?』
『はぐらかすんじゃないわよ!このマセガキ!』
『うるさいよ、ババァ!キンキン怒鳴ると血圧上がるよ』
『な、何ですってっ!きーっ悔しいーっ!』
『アハハハハハ、あんたからかってると楽しいんだもん』

(ママ、落ち着いて。アンタがキレてどうすんの)
 携帯の向こうからクラッカー(4th−day Vol.5)の諭す声が聞こえる。

『今夜、晴海の『Zton(ゼットン)』にいらっしゃい。いいわね、来ない子は殺すわよ」
『おぉ、コワ。凄むとそんな声になるんだ。だったら何だってこんな店に来させるのよ』
『その店で『チンチラサンド スペシャルミックスCセット』をオーダーなさい」
『え〜っ、まずそうだよ。それにお腹すいてないし〜』
『話を最後まで聞きなさい!料理と一緒についてくるスペシャルにゃんにゃんカードが『Zton(ゼットン)』の入場パスになる。時間は追ってメールで知らせるわ』
 そういうとママは瑠璃子に質問させる間合いも与えずさっさと電話を切ってしまった。


 電話での会話を思い出しながら、瑠璃子は手に入れたカードを目の前で凝視する。
 「チンチラ」のカードは一見普通のトレーディングカードのようにしか見えない。

「ふぅ、猫見てなにがみんな楽しいんだか、コイツらは・・・・」
 周囲で猫たちをめではしゃいでいる客達を瑠璃子は冷めた目で見ていた。
 周囲はカップルか女だらけのグループばかり、瑠璃子のように1人で来ている客は少ない。

「あーっヒマヒマヒマ!ヒマが一番嫌いなのよねーっ!」
 制服姿でテーブルにどっかりと足を投げ出した姿はここを校内と取り違えているのではないかと思うほど奔放な恰好だ。
 周囲の女性達はそんな瑠璃子を見て冷笑し、彼女を差し置いて男どもは瑠璃子の腿の奥へと視線を投げてきわどく見え隠れするパンティに鼻を伸ばす。

「ネコだけ見てろ、ネコだけ!私のパンツは犬キャラだ!」


【 新宿 会員制喫茶SEA-BOSE 】



 2人の男女がモニター画面の映像を食い入るように見ていた。
 店の厨房脇にある従業員控室、女はパソコンチェアーに腰掛け、男はその後ろで立ったまま画面の様子に釘付けになっていた。

 ママとクラッカーの2人は、今夜の準備のためにこの店に詰めていた。
 画面にはオンタイムの『にゃんにゃんハウス(表店)』と『 同 (裏店)』の様子が映し出されている。

 そこには瑠璃子が悪態をつく姿がしっかりと映っている。
「ママ、ウソついたでしょう?」
 男は含み笑いを浮かべ、背後からママと呼ばれた女の肩を優しく揉み始めた。
「あら?何の話?」
「しらばっくれて!今日の入場にあの店のカードなんて必要ないはずだ」
「ああでも言わなきゃ、あのコすぐに帰っちゃうでしょ」
「帰られちゃマズイことがあるわけだ」
「ホホホホ、何のことかしらね」
「何かを期待してるんじゃない?」
 クラッカーは言った。

「『TEST』で使った小道具は、最終日の結果発表までには回収する。鉄則よ」
「なるほどね、あれも小道具なんだ」
「小道具は「ナマモノ」もあるからね。所在は常に下っ端がサーチしてるのよ、ウフフ」
「まったくもって、ココの組織力には驚かされる」

「パトロンの資金力は強大よ。それに「にゃんにゃんハウス」をはじめとするミニ店の収益も十分だわ。・・・あら、何か映ってる?」

 ママは画面に目を凝らした。
「きっとあれは危険な小道具だよ、ウフフ。映像監視ができるからママはわざとあのコを『にゃんにゃんハウス』に来させたね」

「いやん。クラッカーは、まるっとお見通しなワケね。私、ハプニングは好きよ。ましてや、あのコの困る姿、是非見たいのよん」
 ママはウキウキしながらコーヒーを口にした。

「知らないよ、店が壊れるよ。ゴジラとキングギドラを店内で鉢合わせさせるようなもんさ」
「イイのよ、今日のパーティーのため、警察への周辺撹乱は午後から各地で始まる。それの口火だわ。表店ならいくら壊れたって構わない」
 ママは含み笑いを浮かべる。
「そうか、今日も撹乱のため、そこココで事件が起きるわけね」
「面白いわよぉ、秋葉原コスプレ少女達による秋葉原駅前集団童貞オタク逆強姦事件、ディズニーランド昼パレードだんじり化事件、渋谷センター街路上ストリップ事件、浅草仲見世集団笑い病事件、横浜ベイサイドストリーキングロードレース事件、それから・・・」

「もういい、もういいよ、ママ。あぁ、頭痛て。やりすぎだ、逆にサツからは裏を読まれるんじゃないのか?それに一体何人を操ってるんだい」
 クラッカーは呆れた。
「ウフフフ、いいじゃない。B級ブリーダーたちの屋外練習の一環だと思ってよ、午後1時から各地で順次始まる。警察はてんやわんやよ、メディアもね」

「ったく、何考えてんだか!」
「ウフフフ、事件に今みたいな名前つくかしらねぇ〜」


「まったく、「TEST」の主催を補佐する今回の役目を逸脱してないかい?」
「あらぁ、これも立派な仕事よ。それにあの馬鹿捕まえるのにあのコを使うのも最も効果的じゃな〜い。単細胞だから絶対ひっかっかるわよ、ナイトホークが瑠璃子ちゃんの居場所をさりげなくリークした以上はね」

「もっとスマートに、人目に触れずに回収する方法があるよって言いたいのさ、オレは」
「はいはい。でも私はね、一貫して私を安っぽく見て反抗的なこの2人にはお灸を据えなきゃ私の自尊心が堪えられないのっ!」

「ホラっ!本音が出た」
「あら?ホント。識者会の長老達にはナイショよ、クラちゃん」
「クラちゃん?・・はいはい、わかりましたよ。ナイトホーク、回収に行かせてるの?捕獲は難しいかもよ、あれはオリジナルじゃない」

 クラッカーは画面に映る人物を見ながら舌を鳴らす。

「ナイトホークはオリジナルの回収に向かってる。逃走してるのよ、あの馬鹿。それにナイトホークには万に一つもレディースワットのいる場所へは行かせられないわ」

「ホラ、そうやって意味深なコト言っておきながらその理由をオレには教えてくれないんでしょ。イジワルだよな」

「ウフフ、そのうちには・・ね」
 そう言ってママは微笑んだ。



【 お台場 DEX 『 にゃんにゃんハウス(表店)』 】



 頬杖をついた瑠璃子はいきなり目の前に突き出されたバースデーケーキにびっくりする。

 瑠璃子が顔をあげるといつのまにか脇に同い年くらいの少女が立っていた。
「なに?このバースデーケーキ、間違えてるよ。こんなの頼んでないもん」
 瑠璃子は少女に言った。
「私も頼まれたの。あなたのテーブルに置いてくれって。親友からだって言えばわかるって・・」

 少女も誰かに頼まれてもってきたらしく困惑しきりだ。

「親友?だれそれ、親友なんて私にいるはずないじゃん」
「ケーキの中央にヒントを埋めてあるから目を凝らして見てみろって言ってた・・。結構イケメンの男の子だったよ」

「イケメン?ケーキの中央?」
「なんか埋まってるっぽいよ、よく見てみてメッセージボードのチョコを外したトコロ」

 そう言われて瑠璃子はケーキの中央にあるチョコでできたメッセージボードを外して顔を近づける。

 その時、少女の右手が思い切り瑠璃子の後頭部をおさえると思い切りケーキに瑠璃子を押し付けた。

「うわっぷぷぷぷぷぷ、やっ!やめてよっ!」
 まるで瑠璃子の顔面が足そのもので、ケーキを踏み潰すように少女の手は瑠璃子の後頭部を押さえつけたまま瑠璃子の顔面にケーキをなすりつける。

 瑠璃子の顔はみるみる生クリームで真っ白になっていく。
「ケケケ、口といわず鼻の穴や耳穴からもしっかり喰いやがれってんだ。ギャハハハーっ楽しいぜぇーっ!」

 少女は容姿に似合わぬ汚い口調で高笑いし続けた。
 そしておもむろにテーブルの脇に寄せたチンチラサンドスペシャルミックスCセットを鷲づかみにしてほおばった。


【 お台場 DEX 『にゃんにゃんハウス(裏店)』  】



 およそ、その物体は手と呼べる代物ではなかった。
 見れば見るほど異形。
 どす黒く、グローブのように一部は膨れ上がり、指にあたる部分はどれもまったく太さも違う。

 それ指がまるでヤマタノオロチのようにそれぞれが勝手に動くさまは、まさに人外の生物のようだ。

 その手の主、『死を招き』が奈緒の目の前で微笑んだ。
「さぁ、お嬢さん。気を楽にしてね」
「いやっ!来ないで!触らないで下さい!助けてーっ!」

「大丈夫よ、痛いと思うのはほんの一瞬」
 『死を招き』の半面焼け爛れた顔はマスクで隠されて窺い知ることはできない。


「グフフ〜フ、パンティ、外させていただきます」
 哲郎は『死を招き』の横から奈緒に擦り寄ると奈緒のパンティを脱がせようと両手をスカートのめくれ上がった腰にぬ〜っと近づける。

「い、いやーっ!やめて!やめてよぅーっ!」
「な、奈緒せんぱぁ〜い。腰を振るのはこれからにしていただきたいものですなぁ〜。おパンツが取りづらくってかなわんス」

 奈緒は哲郎にパンティを脱がされまいと不自由な体をくねらせて必死で哲郎から逃れようとしていた。

「奈緒ちゃん、だめよ。もうあなたの体は両の足をそろえてソファの上で動かなくなる」」
 『死を招き』の言葉に体は一瞬にして反応し、ソファ上でピタリと止まった。
「はぅ・・・い、いや、なんでなの体が勝手に・・、お願い、やめて」

「ウフフ。そして奈緒ちゃん、あなたはパンティを脱がされた瞬間からまるでネコのように発情するわよ。思い浮かべてごらんなさい、ネコの発情期を」


 奈緒の目は潤んで涙が頬を伝う。
「いっやぁ、女性の涙、それも美しい女性の涙に感動っス」

 そう言いながら哲郎はせわしなく奈緒のスカート、ストッキングとさっさと脱がせていた。
「プププププ、見目麗しい、なま足発見!っす。舐めちゃおうかな」

「お、お願い哲郎君。あなたのことは誰にも言わないから、こんなことは・・もうやめて」
 奈緒の懇願は空しいだけだった。

「やめろっと言ぅわれてもぉ〜・・ですな。今ではおっそぉすぎぃ〜たぁ〜ってねぇ、わっがんねっしょ」

「お願い。哲郎君、私を信じて」
「いやぁ、ゾクゾクすますねぇ、奈緒先輩。とっでもそそらるるっす。大丈夫、奈緒先輩は絶対誰にも言わね・・それ信ずられるっす」

「えっ・・・それじゃぁ・・・」
「今の奈緒先輩の言葉より、20分後の奈緒先輩の言うことの方がもっと信頼できるんすネェ、これが」

 哲郎の手が奈緒の腰に触れ、パンティのウエストのゴム部分を摘み上げた。

「いやーっっっっっ」
 揃えられた足をなぞるようにして奈緒のパンティをゆるゆると醍醐味を味わうように脱がしていく。

「ほほぅ、『セサ』シリーズのハイキニショーツっす。奈緒先輩の趣味っスか、悪くないチョイスっすね」

「ひ、ひゃんっ!」
 全身を電気が一瞬にして駆け抜けるような感覚に奈緒は言葉にならない奇声をあげた。


 どくん・・・まるでそんな擬音と共に奈緒の体中の血液が一気に沸きだしたような感覚に襲われる。

「ひ、ふ、ふぅん・・・・な、なに・・・そんな・・どうして」
 奈緒は自分の体に起こり始めた変化に混乱した。

 体が熱くなり、乳首が固くとがっていく。
 下半身が別の世界にいるようにそこだけ熱くなり始めた。
 気だるげなくすぐったさとえもいわれぬ開放感がおとずれる。
 そして全身が別の生き物のように敏感になっていく。

「あっ・・・・ふ、ふん・・・・はぉぅっ・・・なぉん あふん・・にゃ・・ほ・・・」
 全身が快楽に襲われることを拒む苦悶に満ちた表情に鼻の頭と額に薄らと汗が滲み始めている。

 自分の体が自分自身のものとは思えなかった。

「自分の体の変化、十分に気づいているわね。感じ始めてきちゃったんだろう?」
「ち、ちがう・・・ふ・・〜ぅん・・わたし・・・そ、そんな・ぁ・んん・・」

「足が開いていく。両足はソファの肘置きにまでかけられて下半身の中心が私の前に晒される」

 『死を招き』の言葉と同時に奈緒の足は主の意思を無視して開き始めた。
「いや、いやぁ・・こ、こんなこと・・こんなカッコしたくないのにぃーっ」
「だめよ、泣いてちゃ。お客さまが気分を害されるじゃない」
 その言葉に奈緒の涙まで『死を招き』に止められた。
「ぇっ・・あぁぁ・・にゃ・ふ・・ぅん・・・ひゃ・んん・」


「おおおおっ膨らんでるっす、つやつやヌレヌレっす。パックリです、そしてピンク色でとってもキレイす!絶品ですな」
 哲郎は歓喜の声をあげる。
 声が興奮のあまりだんだんと大きくなる。
 奈緒の広げられた足の奥からすでに濡れ始めた女陰が顕わになった。

 舞台の周辺の観客は固唾を飲んで展開を見守っている。


「い、いや・んん・・いあぁぁ、見ぃないでぇ・・あ・ふ・・ぅ〜ん・・・見ないでぇーっ!」

「ちょっとフライング。すりすり、すりりりりり」
 哲郎は興奮に震えがちな右人差し指で今やあけっぴろげに晒された奈緒のクリトリスとヴァギナをなぞった。

「あぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ」
 全身を細かく震わせて堪えきれずに奈緒は声をあげてしまう。

「グフフフフフフフ、『準備よし』の状態ですな。では『死を招き』さま、お願いいたしますです」

「フフフ、奈緒。あなたにも私の可愛い飼い猫になってもらおうかしらね」

 奇怪な人外の手が奈緒のヴァギナに近づく。

「い、いや。助けて、助けてくださぃぃぃぃぃぃーっ!」
 あらんばかりの力を振り絞って奈緒は懇願した。
「大丈夫、心配要らないよ。ホント、一瞬なんだから」
「い、いや・・」
 哲郎の鼻の下を伸ばしたイヤらしい表情に奈緒の恐怖心はさらに煽られた。


 『死を招き』の異様な形の指先が奈緒のワギナの先に触れるその寸前、老女が前置きをする。

「命をとられるわけでも、薬物で汚されるわけでもない。あなたの苦悩を取り去って、新しい世界を見せてあげる」

「いやです!私は、私は今のままでいいんです。新しい世界なんか要りません!だからお願い、私を帰して!」

「それはこの後で、私からあらためてあなたに聞かせてもらうよ。生まれ変わった感想をね」
「あなたは・・・・あなたは神にでもなったつもりなんですか!だれも他人の自由を奪う権利なんてないっ!」

「そうよ、だって私、神だモン」
「狂ってる・・・」
 奈緒は恐怖と侮蔑の混じった複雑な表情で老女を睨んだ。
「嫌な言い方だね。神は神でも貧乏神かもね、ホホホ」
 『死を招き』は高らかに笑っている。

 奈緒は恐怖の中でも『死を招き』に対して怒りをあらわに毅然とした態度で睨み据えた。
「オホホ、命乞いの次は逆ギレかい。私はお前の自由なんて奪うつもりはない。ただ、今お前が抱えているこの男への生理的な嫌悪感を取り除いてやろうってだけさ。1時間後にはお前は今までと変わらずこの店を出て自分の意思で好き勝手をしているだろうよ」

「私のカラダに指1本触れてご覧なさい。訴えてやる!あとできっと後悔させてあげる!」
「ホホッ、いいわよ。あなたにその意思が残っていれば、警察でも裁判所にでも訴え出ればいいだろう」

 ソファに覆いかぶさるように『死を招き』の顔が奈緒に近づく。
「フフフ、始めようかね」

 老女の指がゆっくりと奈緒に触れていく。
「はぁうぅっ・・・・っ!」
 奈緒は全身がすでに敏感すぎるほど敏感になっていて、ほんのちょっとの接点に体をビクンっと痙攣させる。

「あなたのGスポットを私のこの『神の指』がなぞった瞬間、あなたの苦悩も一瞬で霧散するからね」

 愛液が潤滑油のようになって老女の肥大化した奇怪な指を奈緒自身が飲み込んでいく。
 ズブズズズ・・・粘液と擦れるような音が特殊マイクに拾われて店内にサービスされる。
 淫猥なサウンドに客達は息を呑む。

 天井や壁に取り付けられた固定カメラは別室の制御室から望遠モードを駆使して店内にある液晶画面に奈緒の秘部への挿入状況を的確に映してくる。

 客達は壁面にあるその大画面液晶やテーブルに設置されている小型液晶で喰い入る様にその様子を見守っている。

 画面は時折分割され鼻の頭にうっすらと汗を掻き、羞恥と快楽の複雑に入り組んだ奈緒の表情も捉えてく。

 ヴァギナ、子宮頚、Gスポットそして子宮のさらに奥へと着実に『神の指』が達していく。

「あぅ・・・はっ・・・・・ふん・・・んふ・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛む」

 すでに奈緒は感情の乱高下に耐え切れず失神しかけているように見えた。
 目はうつろで時折白目さえ向いているのではないかというほど取り乱し、興奮しているのが見て取れる。

 客達の関心は目の前の自分の仔猫そっちのけで奈緒へと注がれていた。

 舞台の照明、周囲の照明がさらにゆっくりと暗くなっていく。

「・・・・・せ、せんぱい」
(どうにか彼女を助けられないのっ!)

 奈津美の言葉と心の叫びは石原にも痛いほど察することができるものの、その術は見当たらなかった。

 奈津美は必死に堪えながらも、それでも石原へと声をかけずにはいられなかった。

「阿部!だまって見てるんだ、暴走すんなよ」
 石原は奈津美を制するので精一杯だった。

(黙って見てるってのがどれだけ辛いかあんた達わかってるのっ!)
 叫びそうになるのを奈津美はぐっと堪えて下唇を噛んだ。

「今日は何センチだろうねぇ」
 奈津美たちの後ろのブースから中年男性の下卑た声が聞こえた。
 何かを期待しているのだろう話しかけられた相手も「メートル越え賭けますか?」などと答える。

 暗がりで顔の見えない後ろのテーブルを奈津美は振り返りざま睨みつけた。

 奈津美は彼らの言葉の意味がわからない。
 ただ、決してまともな会話であろうはずはなかった。
(コイツラは、何度もこんな場面を楽しんで見てるって言うのか・・・!)
 握った拳に力が入って奈津美の手は小刻みに震えていた。

 『神の指』は最後の到達地点まで埋没したかのようで、その侵攻が止まった。

「はぁ、はぁ、はぅ〜ん、は、は、くぅ〜ん、くふぅ〜ん、ぅぅぅっぅ・・・・・・」
 指の侵攻停止で、奈緒も落ち着きを取り戻そうと肩で息をしつつも、表情に冷静さが戻りつつあった。

 あまりの奇怪なおぞましい指の侵入に奈緒の表情は険しい。
 呼吸が荒く肩で息をしているのが見て取れた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

「気分はどう?奈緒ちゃん。もう少しだからね、ウフフフ」
「・・・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 『死を招き』の声と奈緒の呼吸が店内スピーカから流れる。
 店内は異様な雰囲気に包まれていた。

「『死を招き』、死を招く・・実は仮の名よ。本当の意味は『うしお』を招く(『潮』を招く)、『潮招き』。おわかり奈緒?フフフフ、もう聞いちゃいないわね、心ここにあらずだねぇ」

 奈緒の険しい表情はいつの間にか緩みきって、すでに我を忘れたかのようにぽっかりと口を開け、視線は宙をさまよっている。

「ホホホ、私の指の味に酔ってきたね、オマエ。いいよ、いい顔だ」
 「潮招き」は満足そうに笑った。


(潮?潮って・・・・・)
 奈津美が『死を招き』ならぬ『潮招き』の言葉に戸惑っていた。

「さぁ、奈緒。私の可愛い飼い猫。あなたの苦悩は一瞬のうちに霧散して快楽に溺れる獣(ケモノ)におなり」

 会場はそのセリフを待っていたかのように静まり返って物音一つしない。

「イメージなさいな。ネコの発情を。オスを求めてお前が甘く喘いで御覧なさい。今まで味わったことのないような究極の至福のときを与えてあげる」

 それだけ言うと老女『潮招き』は奈緒の最深部にまで挿入した『神の指』を思い切り早く、奈緒のGスポットを含む膣壁を刺激するようにくるっと掻きまわすように捻った。

 ズリュッっと重い物体が滑るような音が店内スピーカーに拾われた。

「あ゛ーっっっっ」

 奈緒の目が一瞬にしてきつく閉じられる。
 苦悶の表情にも見えるが、それは体の奥底から物凄い勢いで吹き上がってくる快楽の波にまず意識が反応したからだ。

 体がぶるぶると震えだす。
 かつてない快楽のマグマの急上昇に全身が襲われていた。

「あっ、あっ、あぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁっぁーっ」
 店内に奈緒のオーガズムの声が響き渡る。
 店内がその状況を固唾を呑んで見守っている。

「フフフ、おゆきなさい。愛液とともにあなたの過去と苦悩をすべて噴き出して、生まれ変わるのよ」

 『潮招き』はもう一度その『神の指』を今度は力を込めて再び奈緒の中で一瞬のうちに回転させたかと思うと一気にその指を外へと引き抜いた。

 シューっと鮮やかに一直線に「潮招き」の奈緒に埋没していた指が引き抜かれた。


「っやぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁーっ」


 奈緒に襲いかかる全身の大痙攣と大音声の喘ぎ、そして引き抜かれた『神の指』にいざなわれるかのように奈緒の『潮』がスポットライトに照らされてキラキラと噴射される。

「おおっ」
 店内からはだれかれ問わず、その奈緒の「潮吹き」に感嘆のどよめきが起きる。

「ひぃやぁふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう、イクーぅっーっっー!とけちゃう、とけちゃう、とろけちゃぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅっぅう。いい、いい、いいーっ!いいのぉぉぉぉぉぉぉーっ!」
 
 店内の大画面は奈緒の「潮吹き」の瞬間をスロービデオで再現し始める。
 噴射の瞬間のヴァギナのアップ。
 まるでスポーツ番組のスローシーンか、教育番組の生物の生態スローのように。
 ほとばしる愛液がキラキラと光り黒のバックに照り映えて弧を描いて飛んでいく。

 そして苦悶と昇天の入り混じった奈緒の恍惚の表情と痙攣。
 それが画面に幾度となく再現されている。

 奈緒の「潮吹き」はそのピークを過ぎながらも、周囲が驚くほど繰り返し繰り返し続いている。
 店内の客達はその「潮吹き」の様子を生で観察することができた。
 「潮招き」の老女の奇怪な指が女体に及ぼす快楽は、通常ではありえない持続的な絞り尽くすような「潮吹き」を生み出すのだった。

「あぁぁぁぁぁぁぁ、あ。あ。ふ、ふぅ〜・・ん、ああ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっぁっぁあぁぁっぁぁ」
 奈緒の喘ぎ声は止むことなく続いている。

「ただ今の記録。最大飛長172センチメートル」
 まるで陸上競技場での記録のアナウンスのような事務的な声が店内スピーカから奈緒の「潮吹き」が記録が知らされる。

「おおっ」と店内からどよめきがたつ。

 宴はまだまだ続いていく。

 
 


 

 

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